生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_生体利用可能なメチオニンを雌ウシに供給する方法
出願番号:2000581896
年次:2011
IPC分類:A23K 1/16,A23K 1/18,A61K 31/223,A61P 1/00,A61P 15/00


特許情報キャッシュ

ロベール,ジヤン−クロード ベネツト,ロベール グロ,ジヨルジユ JP 4703853 特許公報(B2) 20110318 2000581896 19991110 生体利用可能なメチオニンを雌ウシに供給する方法 アジツソ・アイルランド・リミテツド 505016344 川口 義雄 100062007 大崎 勝真 100103920 坪倉 道明 100124855 松本 はるか 100166567 ロベール,ジヤン−クロード ベネツト,ロベール グロ,ジヨルジユ FR 98/14249 19981113 FR 99/10050 19990729 20110615 A23K 1/16 20060101AFI20110526BHJP A23K 1/18 20060101ALI20110526BHJP A61K 31/223 20060101ALI20110526BHJP A61P 1/00 20060101ALI20110526BHJP A61P 15/00 20060101ALI20110526BHJP JPA23K1/16 301GA23K1/18 BA61K31/223A61P1/00 171A61P15/00 171 A23K 1/00-3/04 A61K 31/223 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特表2001−514841(JP,A) 特開昭51−142551(JP,A) 特開昭58−081741(JP,A) 14 EP1999009021 19991110 WO2000028835 20000525 2002529108 20020910 18 20061023 木村 隆一 【0001】本発明は、メチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステル、またはそれらの塩を雌ウシに投与することを含む、生体利用可能なメチオニンを雌ウシに供給する方法に関する。本発明は、乳牛から得られるミルクを改良する方法、特にメチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステル、またはそれらの塩を乳牛に供給することを含む方法にも関する。【0002】タンパク質は、泌乳牛の飼料の主栄養素の1つである。しかし雌ウシは実際にはタンパク質を必要とせず、その代わり雌ウシ自身のタンパク質を作り上げる基本的要素である特定のアミノ酸を必要とする。【0003】メチオニンは制限アミノ酸であることが知られており、特にミルク生産において、メチオニン量のバランスを良好に保つことによってミルク生産量が効率的になると考えられている。メチオニン量を増加させることによってミルク生産量を増加させることができるとも考えられている。【0004】従って、メチオニン量を維持するかさらに増加させることが望ましい。メチオニンは雌ウシの飼料に直接加えることが可能である。しかしこのアミノ酸の遊離形態は、第1胃の細菌によって急速に分解され、その結果少量のメチオニンしか血流に入らない。この問題を克服するために多くのことが試みられており、一般には、第1胃の影響を受けずに化合物を通過させるために保護または修飾された形態でメチオニンが飼料に加えられている。保護または修飾された形態から遊離したメチオニンは次に小腸に送られ、血流に吸収される。この特殊な目的のために最も広く研究されている化合物の1つはメチオニンのヒドロキシアナログ、すなわち2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)ブタン酸であり、全般にHMBと呼ばれる。【0005】WO99/04647号(1999年2月4日公開)は、飼料にメチオニンのヒドロキシアナログを追加することによって、メチオニンを第1胃に導入する方法を開示している。この特許出願では、ヒドロキシアナログは第1胃による分解の影響を実質的に受けずに第1胃を通過し、その結果少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%のヒドロキシアナログが腸から血流に吸収されると主張している。この特許出願では、ヒドロキシアナログ、その塩、エステル、アミド、およびオリゴマーを「第1胃バイパス」と呼んでおり、雌牛の血流へのメチオニンの導入のための改良された効率的な手段であると主張している。この特許に開示される化合物の利点は、この化合物は第1胃の問題を回避し腸で吸収されることであると主張している。【0006】メチオニンのヒドロキシアナログの効果に関する出版物も多数存在し、1998年5月の発表を元にしたチャールズ・シュワーブ(Charles Schwab)による出版物ではすべての出版物についてのレビューがあり、メチオニンのヒドロキシアナログが腸管吸収に関する第1胃の問題が回避されると考えられるが、1頭当り60g/日を超える投与量、好ましくは1頭当り90g/日を超える投与量で投与した場合にのみこのことが言えると結論している。より少ない投与量では、メチオニンのヒドロキシアナログは第1胃の微生物によってより多い量が消費されると著者は述べている。【0007】メチオニンのヒドロキシアナログの吸収の最良の測定法は、血液中の生体利用率を測定することである。生体利用率は、飼料に導入される化合物のメチオニン相当量と比較した血液中のメチオニン量として特徴づけられる。この測定は、ヒドロキシアナログの第1胃を通過する経路、消化経路中の吸収位置とは無関係のアナログの吸収率、および酵素によるヒドロキシアナログからメチオニンへ転化する割合を考慮している。雌ウシ1頭当り50g/日に相当するメチオニンの投与量で、第1胃における消化に対してポリマーで保護されたメチオニン、特に商品名スマートアミン(Smartamine)(登録商標)として販売されている製品は、第1胃バイパスが90%であり、ヒドロキシアナログの生体利用率はわずか3%であるとこの文献には記載されている。【0008】J Dairy Science 1988,71,pp3292−3301の論文には、ミルク生産量を増加させるためのメチオニンのヒドロキシアナログのメチルエステルまたはエチルエステルの雌ウシの飼料への導入が開示されている。この研究の結果は、これらのエステルはメチオニンのヒドロキシアナログに容易に転化され、続いて雌ウシの第1胃で分解されることを示している。特に、第1胃液中で6時間インキュベートした後では、ヒドロキシアナログのメチルエステルとエチルエステルはそれぞれ1.8%と3%しか残留しない。これは、メチオニンとメチオニンのヒドロキシアナログとの場合の34%および85%と比較される。【0009】前述の従来技術の教示とは逆に、我々は、メチオニンまたはメチオニンアミドおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのある種のエステルが雌ウシに好都合な影響を与えることを発見した。驚くべきことに我々は、ある種の化合物によって公知の従来技術よりも効率的でより迅速に第1胃の血流にメチオニンが導入されることを発見した。我々は、これらの特定の化合物は第1胃バイパスおよび腸管吸収によって血流に入るのではなく、第1胃壁を通って吸収されることによって血流に入ることも発見した。本発明者らは、特定のエステル化合物を供給経路から乳牛の飼料に導入することによって、ミルク生産が希望通りに向上されることも発見した。【0010】従って、本発明は、メチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステル、またはそれらの塩を雌ウシに投与することを含む生体利用可能なメチオニンを雌ウシに供給する方法を提供する。 本発明の目的のため、雌ウシはウシを意味し、すなわち肉牛および乳牛を意味する。【0011】特に、本発明は、メチオニンまたはメチオニンアミドの分岐アルキルエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログの分岐アルキルエステルを雌ウシに投与することを含む、生体利用可能なメチオニンを雌ウシに供給する方法を提供する。【0012】特許請求されるエステルの使用は、従来技術のメチオニン誘導体よりも雌ウシの血流中のメチオニン量が多くなるという点で従来技術よりも優れている。さらに驚くべきことに本発明者らは、特定のエステルを使用することによって、メチオニンが非常に迅速に血流に吸収されることを発見した。本発明によるエステル誘導体は、第1胃での分解が避けられるだけではなく、驚くべきことに第1胃壁から吸収されることによって血流にメチオニンが送られることが分かった。このことは、メチオニンのヒドロキシアナログ化合物が第1胃で分解されるか第1胃を通過して腸管で吸収されるかのいずれかであるかが知られている従来技術とは正反対である。【0013】当分野の従来技術から明らかであるが、反芻動物の血流へのメチオニンの導入の研究は、血流へのメチオニン導入の最も速く最も効率的な手段として第1胃バイパス化合物の使用に集中していた。本発明者らは、本発明のエステルを雌ウシの飼料に添加することによって、メチオニン相当量の50%を超える量が第1胃壁から直接吸収される場合があることを発見した。これらのエステルは高い生体利用率を有するだけではなく、雌ウシが摂取した後に第1胃から吸収されることによって、メチオニンまたは生物学的に等価な化合物を非常に迅速に血流に送ることができる。これまで揮発性脂肪酸、アンモニア、およびジオキシカーボン類などの化合物のみが第1胃壁から吸収されると実質的に考えられていたので、この結果は驚くべきことであり全く予想外のことであった。【0014】本発明は雌ウシの体調の向上に関しても探求しており、本発明の特定のエステルを使用することによって重量増加を改良し、受精率を向上させ、エネルギーを増大させ、さらに肝機能を向上させることができる。【0015】エステルの投与による肝機能への効果は重要な利点である。この効果は、非常に低密度のリポタンパク質の改良によって代謝の問題が軽減されることを特徴とすることができる。同様のことであるが、ケトン血症が減少し、肝脂肪症も制限される。【0016】エステルの投与は、生殖においても有益な効果を得ることができる。出産と生殖の間隔を短くすることができる。この効果は、精子注入時の受精率を増大させるという特徴も有する。【0017】特殊なエステルの使用によって、第1胃発酵を刺激し、それによってより消化しやすい有機物質が得られ、従ってより多くのエネルギーを得ることもできる。【0018】本発明者らは、本発明のエステルを乳牛に与えた場合に、その乳牛から得られるミルクが改良されることも発見した。【0019】本発明の別の態様によると、メチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステル、またはそれらの塩を雌ウシに投与することを含む、乳牛のミルクの改良方法が提供される。【0020】特に、本発明は、メチオニンの分岐アルキルエステルまたはメチオニンのヒドロキシアナログの分岐アルキルエステルを雌ウシに投与することを含む、乳牛のミルクの改良方法を提供する。【0021】本発明のエステルを乳牛に供給する場合、本発明者らは、メチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステル、またはそれらの塩を乳牛の毎日の通常飼料に追加することによって、乳牛から得られるミルクの品質の予期せぬ向上が見られることを発見した。特に、本発明者らは特定のエステルを乳牛の飼料に加えることによって、ミルクのタンパク質含有量が増加することを発見した。【0022】さらに、タンパク質の量以外に、特定のメチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステルまたはそれらの塩を投与することによって、ミルク生産量およびミルクの脂肪含有量を向上させることができることを発見した。【0023】エステルの投与によるタンパク質含有量の増加は、一般にミルク1リットル当りで0.5〜4gのタンパク質と評価することができる。一般に増加するタンパク質は、α、β、およびκであり、特にβおよびκタンパク質は生産されるミルクのチーズ製造特性に望ましい効果を有する。【0024】以上の目的は、全体または一部で実現することができる。【0025】本発明は、メチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステル、またはそれらの塩を雌ウシに投与することを含む、雌ウシに生体利用可能なメチオニンを供給する方法に関する。好適なエステルはアルキルエステルである。アルキル基は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜10の炭素原子、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する線状、分岐、または環状アルキル基であってよい。【0026】メチオニンおよびメチオニンのヒドロキシアナログの好適なエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、すなわち、n−ブチルエステル、s−ブチルエステル、イソブチルエステル、およびt−ブチルエステル、ペンチルエステルおよびヘキシルエステル、特にn−ペンチル、イソペンチルエステル、n−ヘキシルエステル、およびイソヘキシルエステルが挙げられる。メチオニンの好適なアミドとしては、N−アシルメチオニンアルキルエステルが挙げられ、例えばN−アセチルメチオニンアルキルが挙げられる。【0027】好ましくは、エステルは分岐または線状アルキルエステルであり、特に分岐アルキルエステル、例えばイソプロピルエステルおよびt−ブチルエステルである。メチオニンのエステルに関しては、イソプロピルエステルおよびt−ブチルエステルが最も好ましい。メチオニンのヒドロキシアナログに関しては、t−ブチルエステルおよびイソプロピルエステルが最も好ましい。【0028】特に、メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルの使用が特に効果的であり、第1胃壁から吸収されることによってメチオニン相当量の少なくとも50%を血流に供給可能であることが分かった。メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルは、メチオニンの生体利用率が50%を超えることが分かった。【0029】さらに、ヒドロキシアナログのイソプロピルエステルを使用することで、投与後の比較的短時間で生体利用率のピークが現われることから、第1胃壁から直接吸収されることを示しており、従って該エステルが第1胃バイパスではないことを示していることが分かった。【0030】メチオニンのt−ブチルエステルは、第1胃で吸収されることによってメチオニン相当量の約80%を雌ウシに与えることができることも分かった。この特殊なエステルは、メチオニンを摂取して1時間以内の場合に血流に迅速に入ることも分かった。【0031】エステルは任意の好適な方法で雌ウシに供給することができる。好ましくは、エステルは飼料のサプリメントとして供給され、通常の毎日の飼料によって雌ウシに与えることができる。雌ウシには濃縮物部分とかいば部分を含む飼料が与えられる。本発明の別の態様によると、かいば部分、濃縮物部分、およびサプリメントを含む飼料が提供され、該サプリメントはメチオニンまたはメチオニンアミドのエステルおよび/またはメチオニンのヒドロキシアナログのエステル、およびそれらの塩を含む。【0032】飼料に加えられる好適なエステルは、前述したエステルである。好ましい飼料は、かいば部分、濃縮物部分、およびメチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルを含む。【0033】雌ウシの飼料に加えられるエステルの量は、雌ウシの品種およびミルク生産サイクルの段階によって変動しうる。好適にはサプリメントは、メチオニン相当量で計算して1頭当り1日で上限75g、好ましくは5〜50g、特に10〜30gの量のエステルを含む。【0034】必要なエステル量は、当業者には公知の任意の好適な手段を使用して計算することができる。好適には、コンピュータモデルを使用して量を求めることができる。【0035】飼料がメチオニンのヒドロキシアナログのt−ブチルエステルまたはイソプロピルエステルを含む場合、エステルは好適には1頭当り7〜65g/日の濃度で存在することができ、最も好ましくは1頭当りで10〜30g/日の濃度を含有する。飼料がメチオニンのイソプロピルエステルまたはt−ブチルエステルを含む場合、飼料は好適には7〜65g、最も好ましくは10〜30gのエステルを含む。【0036】本発明の別の態様によると、本明細書で前述した1頭の雌ウシに1日に投与することが好適な量のエステルを含む単位用量が提供される。【0037】かいば部分は通常、コーンサイレージ、グラスサイレージ、アルファルファサイレージおよび/または乾草サイレージを含むことができる。濃縮物部分は、粗びき粉、ナタネ、ダイズ、トウモロコシグルテンなどのタンパク質源、および魚粉、血粉、ビールかすなどの副産物に加えてトウモロコシ、コムギ、オオムギなどの穀物を通常含むことができる。【0038】エステルを含むサプリメントは、任意の好適な時間にかいば部分および穀物部分と混合することができる。エステルは液体であり、飼料ペレットを製造する前にかいば部分および濃縮物部分と混合して導入することができる。あるいは、エステルは、雌ウシに与える前に農業従事者がペレット飼料に加えることができる。【0039】飼料ペレットにエステルを加える場合、ペレットの製造前または後のいずれも好適である。特に、ヒドロキシアナログのイソプロピルエステルは、得られるペレットが長期間にわたって95%の安定性が維持される程度に安定であることが分かった。従って、本発明のエステルを飼料サプリメントとして使用することによって、安定なメチオニン源を得ることができる。【0040】以下の実施例を参照しながら本発明を詳細に説明する。【0041】実施例1:メチオニンのヒドロキシアナログのエステル(a)エステルの調製:(1)メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステル314.4g(1.88mol)の2−ヒドロキシ−4−メチルチオ−ブチロニトリルを、障害物を取付けた撹拌装置の付いたジャケット反応器に装入した。201.3g(1.951mol)の95%硫酸をゆっくり加えながら、温度を50℃より低温に維持した。硫酸を加えた後、反応温度を45℃で15分間維持した。227.3gのイソプロパノールを反応内容物に加えた。次に反応器底部の温度が116℃に到達し、上部の温度が70℃に到達するまで反応器の温度を5℃/分で上昇させた。これらの反応器条件を5時間維持した。この間、一部の蒸溜物を除去して、新しいイソプロパノールで置換した。【0042】次に反応混合物に161.2gの32%アンモニア水溶液(2.72molのアンモニア)を加えて中和した。2相に分離した。780gの水と449.7gのジクロロメタンを加えた。得られた2つの相を分離し、939.1gの有機相と1247.4gの水相を得た。【0043】有機生成物の軽留分を蒸溜によって除去した。蒸発浴の温度を上昇させ、約数ミリバールまで圧力を低下させた。263.5gの蒸溜物を回収した。メチオニンのイソプロピルエステルの力価が99%を超えるていことが分かった。収率は72%であった。【0044】(2)メチオニンのヒドロキシアナログのメチルエステル、エチルエステル、n−ブチルエステル、およびシクロヘキシルエステル適当なアルコールを使用したことを除けば、上述のようにしてこれらのエステルを調製した。【0045】(b)生体利用率前述のようにして調製したエステルの、50gのメチオニン相当量に相当する以下の量の単回投与量を、前述の実施例2(b1)に記載の方法で2頭の雌ウシに与えた。【0046】HMBのメチルエステル:64.8gHMBのエチルエステル:74.8gHMBのイソプロピルエステル:80.5gHMBのn−ブチルエステル:96gHMBのシクロヘキシルエステル:97.5gHMBのs−ブチルエステル:79gメチオニンおよびHMBの濃度を27時間測定した。測定値をプロットし、得られた曲線の下の面積を計算して生体利用率の結果を求めた。【0047】生体利用率はスマートアミン(Smartamine)(登録商標)を基準として求めた。【0048】エステルの生体利用率の結果を表1に示す。【0049】【表1】【0050】実施例2−メチオニンのエステル(a)エステルの調製以下の一般手順に従ってメチオニンのエステルを調製した:メチオニンと、エステル化されるメチオニンに対して1.2当量の硫酸とを、アルキル鎖の性質に対応したアルコールに加えた。得られた混合物を還流し、水を蒸発させて平衡を移動させた。混合物にアンモニアを加えて中和し、エステルを単離した。アルコールは留去した。得られたエステルをジクロロメタンで抽出し、水洗した。ジクロロメタンは蒸発させた。【0051】この手順に従って調製したメチオニンのエステルは、メチオニンメチルエステル、メチオニンn−プロピルエステル、メチオニンn−ブチルエステル、メチオニンn−ヘキシルエステル、メチオニンn−オクタデシルエステル、N−アセチルメチオニンエチルエステル、メチオニンメチルエステル塩酸塩、メチオニンエチルエステル塩酸塩、メチオニンイソプロピルエステル、メチオニンt−ブチルエステル、メチオニンシクロヘキシルエステル、メチオニンs−ブチルエステル、およびメチオニンドデシルエステルである。【0052】(b)生体利用率エステルの生体利用率を評価した。【0053】(I)メチオニンメチルエステルおよびメチオニンn−プロピルエステル前述のように調製した56gのメチオニンメチルエステルと72gのメチオニンn−プロピルエステル(DL−メチオニン50gに相当する)を、朝の給餌直前の午前7時45分に単回投与として2頭の雌ウシに与えた。【0054】雌ウシに与えた飼料は、7kgの乾草と2kgの濃縮物を含み8時00分と16時00分の2回の同量の飼料に分配した。【0055】【表2】【0056】雌ウシにエステルを与えた日の9時00分、10時00分、11時00分、13時00分、および15時00分と、エステル供給の前日および2日後の9時00分、12時00分、および15時00分に、頚静脈穿刺により血液試料を採取した。【0057】各試料について、3000回転/分で10分間血液を遠心分離することによって血液試料から血漿を分離した。試料は冷凍室で保存した。ムーア(Moore)およびステイン(Stein)の標準的手順に従ってメチオニンの分析を行った。【0058】従来のAUC法を使用して結果をプロットし、得られた曲線の下の面積を計算して各エステルの生体利用率が計算される。【0059】エステルの生体利用率の結果を表2に示す。【0060】(2)メチオニンn−ヘキシルエステル、メチオニンn−ブチルエステル、メチオニンn−オクタデシルエステル、N−アセチルメチオニンエチルエステル前述のようにして調製したエステルの、50gのメチオニンに相当する以下の量の単回投与量を、前述の(b1)に記載の方法で2頭の雌ウシに与えた。【0061】メチオニンn−ヘキシルエステル:79gメチオニンn−ブチルエステル:86gメチオニンn−オクタデシルエステル:227gN−アセチルメチオニンエチルエステル:75g雌ウシに与えた飼料は、7kgの乾草と、41%のオオムギ、37%の脱水ビートパルプ、5%の糖蜜、2%の尿素、および15%のダイズ48を含むと2kgの濃縮物を含み、8時00分と16時00分の2回の同量の飼料に分配した。【0062】以下の計画で雌ウシにエステルを与えた:【0063】【表3】これらのエステルの生体利用率の結果を表2に示す。【0064】(3)メチオニンエチルエステル塩酸塩前述のようにして調製した72gのメチオニンエチルエステル塩酸塩を使用して(b1)の手順を繰り返した。【0065】雌ウシに与えた毎日の試料は(b2)と同様であった。【0066】以下の計画に従って雌ウシにエステルを与えた:【0067】【表4】血液試料は(b1)と同じ時間に採取した。【0068】このエステルの生体利用率の結果を表2に示す。【0069】(4)メチオニンドデシルエステルおよびメチオニンイソプロピルエステル前述のようにして調製した106.5gのメチオニンドデシルエステルと64.1gのメチオニンイソプロピルエステル(50gのDL−メチオニンに相当)を前述の(b1)のようにして2頭の雌ウシに与えた。【0070】以下の計画に従って雌ウシにエステルを与えた:【0071】【表5】血液試料は(b1)の計画に従って採取した。【0072】これらのエステルの生体利用率を表2に示す。【0073】(5)メチオニンシクロヘキシルエステル、メチオニンメチルエステル塩酸塩、およびメチオニンs−ブチルエステル前述のようにして調製したエステルの、50gのメチオニン相当量に相当する以下の量の単回投与量を、前述の(b1)に記載の方法で2頭の雌ウシに与えた:メチオニンシクロヘキシルエステル:122gメチオニンメチルエステル塩酸塩:73gメチオニンs−ブチルエステル:72g生体利用率の結果を表2に示す。【0074】【表6】【0075】実施例3:動態血流のメチオニンおよびHMBの生体利用率の動態を、メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルに関して測定し、メチオニンのヒドロキシアナログ(本発明によらない化合物)と比較した。【0076】ヒドロキシアナログのイソプロピルエステルの試料と(69g)ヒドロキシアナログ(アリメット(Alimet)(登録商標)57g)を4頭の雌ウシに与えて実施例2の手順を繰り返した。雌ウシから採取した血漿中のメチオニンおよびHMBの量を分析し、その結果を以下の表3および4に示す。【0077】メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルによって、HMB自体の場合よりもはるかに速く血流にメチオニンおよびHMBが送られることが結果から分かり、従って第1胃壁からエステルが吸収されていることを示している。【0078】【表7】【0079】【表8】【0080】実施例4:ミルク生産実施例(a)メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルおよびメチオニンのイソプロピルエステルメチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルを、16頭の雌ウシに8週間与えた。各雌ウシには、100%の要求および115%のPDIE(腸で消化できるタンパク質)要求を満たすコーンサイレージおよびサプリメントを毎日与えた。毎日のサプリメントは、19.8%のオオムギ、21.1%のコムギ、37.5%のビートパルプ、2.3%の動物性脂肪、1.1%の塩類、0.6%の炭酸カルシウム、および1.1%の重炭酸ナトリウムからなる4.3kgの高エネルギー濃縮物、2.2kgの日に当てたダイズケーキ、1kgの通常ダイズケーキ、240gの尿素、および300gのビタミンおよびミネラルサプリメント類で構成された。【0081】雌ウシを3つの群に分割し、通常の飼料に以下のサプリメントを加え、1頭で1日当り12.5gの生体利用可能なメチオニンが得られるようにして、本発明による方法を実施した。【0082】−処理1:1kgのダイズケーキ−処理2:1kgのダイズケーキ、20gのポリマーコーティングしたメチオニン(比較例)−処理3:57%のメチオニンを含有するHMBIのイソプロピルエステルを3%添加した1kgのダイズケーキ−処理4:76%のメチオニンを含有するメチオニンのイソプロピルエステルを2.5%添加した1kgのダイズケーキ。【0083】これらのサプリメントを以下の計画に従って雌ウシに与えた:【0084】【表9】生産したミルクの分析結果を以下の表5に示す。【0085】【表10】【0086】メチオニンのイソプロピルエステル、ならびにメチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルを雌牛の飼料に加えることによって、より脂肪含有率が高くよりタンパク質含有率の高いミルクが得られることが結果から分かる。【0087】実施例5 肝臓および繁殖性実施例4の手順を繰返し、雌ウシの肝機能および繁殖性を調べた。エステルを与えた雌ウシに実質的な向上が見られた。【0088】実施例6 ミルク生産実施例1および2に報告される結果を確認するために選択した他のエステルを含有する飼料を使用して実施例4の手順を繰り返すと、乳牛の血液中のメチオニンの生体利用率は本発明のエステルおよびこれらのエステルを使用した飼料を使用した場合に向上が見られる。ミルクの向上も見られる。 メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルまたはその塩を雌ウシに投与することを含み、第1胃壁を通って吸収されることによって、生体利用可能なメチオニンを雌ウシに供給する方法。 前記エステルが飼料へのサプリメントとして導入される請求項1に記載の方法。 メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルを雌ウシに投与することを含む、生体利用率が少なくとも50%であるメチオニンを雌ウシに供給する方法。 メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルまたはその塩を乳牛に供給することを含む、乳牛から得られるミルクの改良方法。 前記改良が前記ミルクのタンパク質含有量の増加を含む請求項4に記載の方法。 前記改良が前記ミルクの脂肪含有量の増加を含む請求項4に記載の方法。 穀物部分、濃縮物部分、およびサプリメントを含む飼料であって、該サプリメントがメチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルまたはその塩を含む、請求項1または2により生体利用可能なメチオニンを雌ウシに供給するための飼料。 前記サプリメントが、メチオニン相当量で計算して上限75gの量のエステルを含む請求項7に記載の飼料。 メチオニン相当量で計算して10〜30gの量のエステルを含む請求項8に記載の飼料。 前記イソプロピルエステルが、雌ウシ1頭当り1日当りで7〜65gの量で存在する請求項8または9に記載の飼料。 メチオニンのヒドロキシアナログのイソプロピルエステルまたはそれらの塩を雌ウシに供給することを含む、雌ウシの体調を向上させる方法。 前記向上が繁殖性の向上を含む請求項11に記載の方法。 前記向上が肝機能の向上を含む請求項11に記載の方法。 前記向上がエネルギーの増大を含む請求項11に記載の方法。


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