生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_抗菌剤のためのスクリーニング方法
出願番号:2000581240
年次:2006
IPC分類:C12Q 1/18,C12N 1/00,G01N 33/15


特許情報キャッシュ

コアテス アンソニー ロバート ミルネス フ ヤンミン JP 3737365 特許公報(B2) 20051104 2000581240 19991109 抗菌剤のためのスクリーニング方法 ヘルパーバイ セラピューティクス リミテッド 503469360 鈴木 俊一郎 100081994 牧村 浩次 100103218 高畑 ちより 100107043 鈴木 亨 100110917 コアテス アンソニー ロバート ミルネス フ ヤンミン GB 9824553.3 19981109 US 60/107,655 19981109 GB 9909962.4 19990429 20060118 C12Q 1/18 20060101AFI20051221BHJP C12N 1/00 20060101ALI20051221BHJP G01N 33/15 20060101ALI20051221BHJP JPC12Q1/18C12N1/00 TG01N33/15 B C12N 1/00 C12Q 1/18 - 1/20 G01N 33/15 JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG) PubMed Trends Biotechnol.,1996年,Vol.14,No.4,p.134-140 Trends Food Sci.Technol.,1997年,Vol.8,No.7,p.238-241 8 GB1999003728 19991109 WO2000028074 20000518 2002529103 20020910 14 20031127 上條 肇 【0001】本発明は、従来の抗菌剤に対し耐性を示す静止期の細菌の亜個体群を単離すること、新たな、改良された抗菌剤の同定のためのスクリーニングプロセスにこのような耐性亜個体群を使用すること、それによって同定される新規抗菌剤、およびこのような抗菌剤の治療上の応用に関する。【0002】結核は、世界中で、いまだに重大な疾病にとどまり、感染性の疾病が原因とされる全死亡数の7%が、結核を原因とする死亡で説明されるとみられている。米国特許5,700,925号明細書で論じられているように、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)に感染した人の大多数は、結核の症候は顕在化していないが、ツベルクリン皮膚試験に対しては陽性反応を示す。このような感染した宿主中では、ある細菌は、抗菌薬に対し実質的に耐性であるような休眠または潜伏状態で持ちこたえている。生涯にわたり、これらの感染しているが、無症候性の人々の10%までが、しばしば最初の感染後多くの年数の経過後、休眠中の細菌が活性化され、発育を開始する際に、続けて結核を顕在化することがある。この結果、肺結核症および他の多様な形態の疾患となりうる。休眠している微生物の活性化および疾病状態の顕在化の方向に傾かせる要因としては、たとえば、貧困、不健康な生活状態、栄養不良、免疫不全あるいは免疫抑制が挙げられる。【0003】一般に、結核の治療においては、たとえばリファンピシン、イソニアジドおよび/またはピラジナミドのような抗菌剤を用いた抗菌治療法が、活発に発育している細菌に対しては、比較的成功している。しかしながら、このような治療法は、休眠したままの、あるいは発育期を経験し、再び休眠期に入った細菌に対しては効果がない。この結果、休眠中の微生物の耐性により、長期にわたる化学療法治療を余儀なくされるため、結核症患者および結核菌保菌者の臨床治療に、特有の問題を引き起こす。このような長期、典型的には6ヶ月間にわたる治療は、満足いくものではなく、高額であるため、患者の承諾を得にくい結果となるといってもよく、また、治療の間、標的とされるM. tuberculosisに加え、細菌の抗生物質耐性株の発育と出現を促進するといってもよい。【0004】大半の病原性細菌、たとえば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、Streptococcus pyogenes、Streptococcus gordoniiおよび大腸菌(E. coli)は、化学療法の間あるいはその後に再感染のためのプールとして作用すると思われる類似の実質的に抗菌剤耐性の亜個体群を持つと考えられている。これらの抵抗性の細菌は、通常、再発時には薬剤感受性であり、このことは、化学療法に対する耐性が遺伝的というよりもむしろ表現型的であることを示している。【0005】このような持続性の細菌の代謝が細胞分裂なしに停止してしまうか(すなわち、胞子のようになる)、または活性となるか(すなわち、その結果、細胞は、たとえばmRNAのような代謝の標識を含有するだろう)を調査するために、我々は、静止期の微生物が生存可能な微好気性勾配中で微生物を長期間培養することにより得られるインビトロの静止期モデルにおいてM. tuberculosisを研究した。このような静止期の細菌は、(106〜107cfu/mlの濃度で細菌を用いて評価したときの)通常最小阻止濃度(MIC)レベル0.1μg/mlで、リファンピシンに対し耐性があることがわかった。抗結核剤を用いた治療の前後でのインビボにおけるM. tuberculosisの生存能力も検査した。抗菌物質を用いた治療の後でも、生存能力のある抵抗性の培養不可能な細菌が存在していた。宿主動物をステロイド療法に受けさせた時に、その細菌の休眠状態が破棄された。【0006】本発明は、最小阻止濃度より大過剰の濃度でリファンピシンのような抗菌剤を用いて、このような静止期の細菌を処置することにより、生菌数をコロニー形成単位(CFU's)がゼロとなるまで減少させたが、一方で、たとえば、ブロス(broth)希釈カウントにより検出可能である執ような微生物が少数残るという、予期せぬ、しかも驚くべき発見に基づくものである。これらの耐性亜個体群は、発育の再開時においては、通常MICレベルでリファンピシンに感受性となるので、リファンピシンに対して表現型的に耐性である。【0007】静止期のE. coliおよびS. aureusモデル系を用いた類似の研究、並びにカナマイシンおよびアンピシリンを用いたそれらの処置は、それぞれ類似の結果を生じた。したがって、最初の観点では、本発明は、少なくとも下記の工程を有し、静止期の細菌の表現型的に抗生物質耐性の亜個体群を調製する方法を提供するものである:(i) 細菌培養菌を静止期まで発育させる工程、(ii) 前記静止期の培養菌を、一以上の抗菌剤を用いて、発育している細菌を殺すのに充分な濃度および時間にて処置し、それによって表現型的に抗生物質耐性の亜個体群を選択する工程。【0008】ここで言及するように、「表現型的に抗生物質耐性の」細菌とは、静止期の細菌を、特定の抗生物質(または2以上の抗生物質)を、多量の投薬量で、すなわちMICより少なくとも10倍多い量で投与して処置した後に、代謝的に活性なままである(たとえば、転写活性によって検査されるような)静止期の細菌の一部のことをいう。しかしながら、この亜個体群は、静止状態でないときには、抗生物質を用いた処置に影響を受けやすい。特定の抗生物質に耐性のある細菌の亜個体群は、異なる抗生物質に耐性のある亜個体群とは区別し得るということは理解されるであろう。【0009】ここで言及するように、「殺す」とは、代謝活性の欠如によって評価されるような生存能力の喪失をいう。この効果を達成するために、適切な時間および適度な濃度で、抗生物質を静止期に投与する。好適には、抗生物質は、105〜109細菌/ml(たとえば、106〜107細菌/ml)の濃度の細菌とともに、10〜104×MICの濃度で、具体的には、25〜150μg/ml(たとえば、50〜100μg/ml)の濃度で使用される。細菌は、1〜10日間、具体的には3〜5日間、抗菌剤で処置されることが好ましい。【0010】使用される抗菌剤の種類は、研究されている特定の細菌に依存するであろう。通常MICレベルのたとえば、102、103または104倍の濃度で、RNAポリメラーゼを標的とするリファンピシンのような抗菌剤を使用することが好適であることが見出された。本発明のこの観点の典型的な態様では、100μg/mlのリファンピシン(MIC×103)を用いて、一日間106細菌/mlのレベルで、静止期のM. tuberculosisの処置をしたところ、102細菌/mlの表現型的に耐性の亜個体群となった。代わりに、M. tuberculosisをピラジナミドで処置してもよい。別の態様では、3日間、50μg/mlのカナマイシンまたは100μg/mlのアンピシリンを用いて、静止期のE. coliまたはS. aureus(約109細菌/ml)の処置をしたところ、ほぼ105細菌/mlの表現型的に耐性の亜個体群となった。【0011】 表現型的に抗生物質耐性な副次集団が、インビボで代謝的に活性なままであり、疾病の再発または兆候を生じ得る持続性細菌の典型として見られた。したがって、たとえばStaphylococcus、Escherichia、HemophilusおよびMycobacterium属由来の細菌といった、インビボで休眠状態を示す細菌の抗生物質耐性集団は、特に興味深い。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、Streptococcus pyogenes、Streptococcus gordoniiおよびマイコバクテリウム・ツベルクローシスなどの細菌由来の副次集団が特に好ましい。【0012】 特に好ましい面においては、細菌は、リファンピシン、カナマイシンおよびアンピシリンでそれぞれ処置されたマイコバクテリウム・ツベルクローシス、大腸菌(Escherichia coli)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)である。 静止期の細菌を、多量の投薬量の抗菌剤で処置することにより得られる、このような表現型的に耐性な静止期の細菌の副次集団は、本発明のさらなる面を構成する。【0013】本発明の表現型的に耐性な亜個体群は、インビボで休眠中の細菌のふるまいを模倣するということを基礎として、亜個体群は、潜在的に有用でありうる新規な抗菌剤を同定するために設計されたスクリーニング手順において、価値あるツールを構成する。このような表現型的に耐性の亜個体群に対し、活性を有する抗菌剤が、休眠中の細菌が再感染のためのプールを供給する結核のような疾病の治療において、大きな治療の可能性を有するであろうことは、理解されるであろう。【0014】したがって、さらなる局面では、本発明は、試験化合物または薬剤の抗菌活性を評価するための、あるいは静止期の細菌に対して抗菌活性を有する化合物または薬剤を同定、または単離するための方法であって、下記の工程を有する方法を提供するものである:(i) 細菌培養菌を静止期まで発育させる工程、(ii) 前記静止期の培養菌を、一以上の抗菌剤を用いて、発育している細菌を殺すのに充分な濃度および時間にて処置し、これによって表現型的に耐性な亜個体群を選択する工程、(iii) 前記表現型的に耐性な亜個体群のサンプルに、一以上の試験化合物または薬剤をインキュベートする工程、(iv) 前記表現型的に耐性の亜個体群に対する抗菌効果を評価し、および必要に応じて抗菌活性を示す化合物または薬剤を単離する工程。【0015】このような方法により、大多数の化合物の迅速で効率的な高速スクリーニングが容易となる。スクリーニングされる化合物は、どのような化学物質であってもよく、すでに知られているかあるいはそれ自身新規であってもよい。特に最適な候補化合物は、コンビナトリアルケミストリー(conbinatorial chemistry)の生成物、ファージディスプレイライブラリー、天然物、あるいは既知の抗菌剤または他の薬剤についての合成、半合成または天然の相同物、類似物、誘導体および前駆物質である。【0016】このような相同物、類似物、誘導体および前駆物質は、自然に産生される抗生物質または抗菌剤または他の薬剤に関連しているかまたは誘導される実在の物質であり、具体的には、これが、単一のまたは多数のアミノ酸の置換、付加、および/または欠失、またはグリコシル化レベルの変更によるタンパク質もしくはペプチドである場合、あるいは抗菌剤がたとえばエステル化、多種の置換基の付加、メチル化といった化学誘導体化による化学物質であればのことである。上記した修飾は、むしろ、分子の主要な機能には、影響を及ぼさないであろう。すなわち具体的には、それらは、この活性の範囲が少し変えられても、抗菌活性を保持しているであろう。【0017】試験を行うために、103〜106細菌/mlを含む、好適には1〜1000μl、具体的には50〜300μlの調製された抗生物質耐性細菌(使用前に洗浄される)を、サンプル、たとえば0.1〜100μg、好ましくは1〜20μgに加え試験する。これらを、代謝活性に最適な温度、好ましくは37℃で、一緒にインキュベートした。その後、抗菌効果を、1日から4週間、好ましくは4週間の間一週に一度、というようにさまざまに時点を変えて、一以上の時点で評価した。【0018】抗菌効果に関して、ここで使用されているような「評価する」という用語は、抗菌活性の程度の絶対値を得るという意味における定量、およびサンプル中の抗菌活性の量について半定量的な評価、または、たとえば指標もしくは割合といったその他の表示を得るという意味における定量の両方を包含する。評価することには、細菌の活性への両方の陽性的効果を同定することを含む。しかしながら、抗菌効果を示す薬剤または化合物を同定し、必要に応じて単離することが好ましい。このような抗菌効果は、特質上、殺菌的であっても静菌的であってもよいが、前者が好ましい。【0019】抗菌活性の存在は、試験サンプル中の代謝的に活性なまたは生存している細菌のレベルを対照サンプルと比較することにより確認することができる。この評価は、代謝活性を同定する適切な技術のいずれによって達成されてもよい。したがって、たとえば、転写または翻訳活性は、一以上の遺伝子に関して評価してもよく、具体的には、遺伝子転写レベルをモニターすることによって、あるいはさらに一般的には、たとえば特定の塩基またはアミノ酸の組み込みをモニターすることによってもよい。代わりに、他の技術を用いることもでき、たとえば、コロニー形成能を評価してもよく、具体的には、たとえ、中間の液体培地での培養なしに、固体培地に直接プレートしてもcfuが得られないかもしれないとしても、液体培養で蘇生させた後に、cfuカウントを決定することができる。関心のある化合物を、必要に応じて、たとえば、MICレベルを確立させるために、異なる濃度で、再スクリーニングしてもよい。【0020】抗菌活性を有する化合物または薬剤とは、使用される濃度で、無処理の対照サンプルと比較して好ましくは50%未満、特に好ましくは25%未満、具体的には10%未満にまで代謝活性を減少させることにより、表現型的に抗生物質耐性である亜個体群の代謝活性にとり悪影響を与えるようなものであると考えられる。このような方法で同定され、さらに、たとえば、耐性の亜個体群に関し、(細菌を106〜107cfu/mlの濃度で用いて評価したときに)10μg/ml未満、好ましくは1μg/ml未満、特に好ましくは0.1μg/ml未満の最小阻止濃度を示す、候補化合物を、さらなる分析、効力試験および毒性試験などを受けさせてもよい。【0021】さらに、本発明は、本発明のスクリーニング方法を行うためのキットに拡張してもよい。したがって、本発明は、試験化合物の抗菌活性を評価するためのキット、または抗菌剤を同定するためのキットであって、少なくともi) 本明細書で記載されているような静止期細菌の表現型的に抗生物質耐性な亜個体群を含むキットを提供するものである。【0022】前記キットは、細菌の代謝活性を確認することにより、試験化合物または薬剤の抗菌作用を評価するための適切なバッファーおよび溶液(特に、細菌を保持するためのもの、たとえば適当な抗菌剤を含んでいるもの)をも含んでいることが好ましい。さらに、前記キットは、アッセイの標準化のための、または比較目的のための手段を含んでいてもよい。【0023】上記方法によって同定または単離される化合物または抗菌剤は、さらなる試験または利用のために、大規模に、製造されることが好ましい。これは、試験化合物の種類に応じて、合成的方法もしくは自然の方法または両方の組合わせを使用することにより達成することができる。具体的には、試験化合物がペプチドである場合には、これはペプチド合成によって合成的に製造してもよく、あるいは適当なDNA分子を発現させることによって製造してもよい。したがって、好ましい態様では、本発明は、静止期の細菌に対し抗菌活性を有する薬剤を調製する方法であって、本明細書に記載の方法に従って同定された薬剤を拡張することを特徴とする方法を提供するものである。【0024】さらなる観点において、本発明は、静止期細菌の抗菌剤耐性の亜個体群、たとえばM. tuberculosisのリファンピシン耐性亜個体群、E. coliのカナマイシン耐性亜個体群またはS. aureusのアンピシリン耐性亜個体群に対して、細菌発育阻止効果または殺菌効果を示す、新規な化合物に向けられる。特に、本発明は、上述した方法により同定された抗菌剤を提供する。【0025】 耐久性細菌の抗菌剤に対する耐性は細胞壁透過性の減少および/または代わりとなるシグマ因子(たとえばsigB)の使用に基づくことが信じられている。したがって、細胞壁透過性の増加または代わりとなるシグマ因子の使用を阻害する効果を有する新規の抗菌剤が特に好ましい。 本発明に従って同定された抗菌剤は、症候性疾患が始動または再始動する原因となるプールを、休眠細菌が提供する疾患または障害の処置における特別の用途を有する。特に、Staphylococcus、Escherichia、HemophilusおよびMycobacterium属の病原性細菌により引き起こされる疾患を標的とすることができる。前記耐久性細菌に対して活性を有する抗菌剤は、それらの耐久性細菌が休眠または非休眠段階にある場合に、疾患または状態の症候または無症候段階の間において用いることができ、かつ必要に応じて非休眠細菌に作用する薬剤と一緒に用いてもよい。ここで用いられるように、「非休眠細菌」は、その時は非休眠状態にある、つまり活発に発育しているが、他の時には休眠状態を示していても、いなくてもよい細菌を包含する。【0026】したがって、もう一つの観点において、本発明は、ここで記載した新規の抗微生物剤、たとえば抗菌剤または化合物および製薬上許容される希釈剤または賦形剤を含有する組成物または処方にも向けられる。「製薬上許容される」ことにより、成分は、組成物の他の成分と両立性を有することならびに被投薬者(recipient)に対して生理上許容されることが求められることを意味される。【0027】本発明に係る製薬組成物は、容易に入手できる成分を用いて、従来からある方法で処方してもよい。したがって、活性成分を、必要に応じて他の活性基質とともに、一以上の従来の担体、希釈剤および/または賦形剤と一緒に取り込ませて、従来のガレヌス調製剤、たとえば錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、香粉剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体として、または液体媒体中で)、軟膏剤、軟および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌した注射用の溶液剤、滅菌包装された散剤などを調製してもよい。【0028】好適なキャリア、賦形剤および希釈剤の例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、スターチ、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アグリネート(aglinates)、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水シロップ、水、水/エタノール、水/グリコール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ミネラル油または脂肪基質、たとえば堅い脂肪またはその好適な混合物である。【0029】結核症および休眠細菌の定着および存在が問題となる他の疾患状態の臨床的な管理において、これらの微生物の異なった成長期にそれぞれ作用する複数の抗菌剤の配合物を投与することは有利である。したがって、たとえば、結核および同様の疾患の治療への適当な化学療法的アプローチは、微生物の発育または対数期に作用する一以上の抗菌剤および休眠または静止期の個体群に作用する一以上の抗菌剤を、患者に投与することであろう。【0030】したがって、本発明に基づく好ましい処方は、活発に発育する細菌に対して活性を有する少なくとも一つの抗菌剤および当該細菌の静止期にある表現型的に耐性の亜個体群に対して活性を有する少なくとも一つの抗菌剤または化合物(ここで記載した通り)を含有する。このような処方は、細菌感染、たとえば結核などの治療において同時、別個、または連続の使用のために組み合わせた調製剤として提供することができる。【0031】このような処方は、疾患の症候または無症候段階中に投与してもよい。すなわち、耐性亜個体群に対する抗菌剤は、これらの細菌が休眠期にある場合に必ずしも用いる必要はないが、これらの細菌が活発に発育している場合には用いてもよい。ここで用いたように、活発に発育する細菌に対して活性を有する抗菌剤は、前述したように、対数期中の細菌に対して抗菌効果を示す。【0032】さらなる観点において、本発明は、たとえば上述したスクリーニング法により静止期細菌の表現型的に耐性の亜個体群に対して有効であるとして同定された化合物または薬剤、あるいは細菌感染の治療での使用のためにそれらを含有する組成物を提供する。適切に治療することができる細菌感染は、感染した生物体(macroorganism)が無症候である場合でさえも、都合良くはたとえば疾患の発症前または公知の抗菌剤での処置後も、抵抗性細菌が感染後も残るような感染である。これらの細菌は休眠期にあってもよく、したがって、好ましい観点おいて、処置され得る細菌感染は、該感染が活発に発育する細菌がいないまま無症候の患者中で残っている、すなわち感染後に休眠期に入ることができる抵抗性細菌の亜個体群により代表され、または特徴づけられる限りにおいて、休眠細菌を含む(または潜在的に含むことができる)。【0033】さらにもう一つの観点において、本発明は、細菌感染の治療のための医薬の調製において、たとえば上述したスクリーニング法により静止期の細菌の表現型的に耐性の亜個体群に対して有効であると同定された化合物または薬剤、またはそれらを含む組成物の使用に関する。前記方法により同定した、このような抗菌性化合物の細菌感染(好ましくは休眠細菌も関わり合うもの)の処置における利用は、本発明のもう一つの観点を構成する。【0034】代わりとなる観点から、本発明は、細菌感染の治療方法を提供し、この方法は、このような治療を必要とする患者に、発育の静止期に作用する抗菌剤または化合物の有効量を、必要に応じて前記細菌の発育期に作用する一以上の抗菌剤の存在下で投与することを含む。本発明に係る治療方法において、処置される動物は、哺乳類、特に好ましくはヒトである。【0035】上述したように、投与は、疾患をわずらった個体が症候的であっても、または無症候的な場合でも行ってよい。本発明の抗菌剤は、休眠して耐久性の、すなわち発育の静止期にある細菌に対して有効であると確認できるのであるが、本発明の薬剤はこれら細菌が活発に発育している場合に投与してもよい。組成物の投与は、従来の経路、たとえば経口、直腸、または腸管外的に、たとえば筋肉内、皮下、腹腔内または静脈注射によるいずれによって行ってもよい。【0036】このような組成物における活性成分は、処方剤の約0.01〜約99重量%、好ましくは約0.1〜約50%、たとえば10%を構成してもよい。もちろん、投与される活性成分の正確な用量、および治療過程の長さは、たとえば患者の年齢および体重、治療を要求する特定の状態およびその重篤度、および投与経路として挙げられる様々な因子に依存するであろう。【0037】 本発明の各々の観点において、抗菌剤の標的となる静止期の細菌としては、病原性細菌、たとえばStaphylococcus aureus、Haemophilus influenzae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus gordonii、Escherichia coli、および特に好ましくはMycobacterium tuberculosisを挙げることができる。 以下の非限定的な実施例は、本発明を説明する役割を果たす。添付した図面は下記の通りである。【0038】図1は、E. coliおよびS. aureusの10日の期間にわたる発育曲線を示す。図2は、静止期および対数期の発育間に50μg/mlのカナマイシンで処置した後のE. coliの生存能力を示す。図3は、静止期および対数期の発育間に100μg/mlのアンピシリンで処置した後のS. aureusの生存能力を示す。【0039】【実施例1】M.tuberculosisの発育および遺伝的でなく表現型的なリファンピシン耐性細胞個体群の選択M.tuberculosis H37RvをWayne (1976) Amer.Rev.Resp.Dis.114:807-811の方法に従い、10% ADCを補った0.05% Tween80を含有するミドルブルック7H9 ブロス(Middlebrook 7H9 broth)中で、撹拌せずにまた他の撹乱なしに100日間まで発育させた。静止期の微生物は、生存していた所では、最小阻止濃度(MIC)レベルの0.1μg/mlリファンピシンに耐えた。10mlの培養物サンプル60個を、ガラスビーズとともに3-5分間激しく撹拌(vortex)した後、水浴ソニケーター中で5分間未満、超音波処理した。すべての培養物を500mlのスクリューキャップ付き滅菌ビンにプールした。リファンピシンの添加に先立って、以下のとおりに培養物のサンプルを採取し、純度、生存度、代謝活性を調べた:1.コロニー形成単位(CFU)カウント用に2×100μl2.ブロス(broth)カウント用に2×5ml3.[3H]ウリジンカウント用に2×10ml4.[35S]メチオニンカウント用に2×5ml5.RT-PCRのためのRNA抽出用に10ml6.薬剤フリー対照用に10ml7.無菌度を調べるための血液寒天に20μlリファンピシン耐性亜個体群の選択および検出1000μg/mlリファンピシン50mlを上記培養物500mlに添加し、最終的なリファンピシン濃度を100μg/mlとして、培養物を37℃で5日間インキュベートした。その後、細胞を5,000gで15分間、遠心分離することにより、50mlの滅菌試験管に回収し、次に0.05% Tween80と「セレクティタブ(Selectitab)抗生物質(M.tuberculosis以外のたいていの細菌を殺す抗菌剤の組み合わせを有しており、より速く発育する細菌によってM.tuberculosisが過剰発育となるのを防止する)」とを含有する滅菌PBS中で2回洗浄した。該細胞を、500mlの新しい7H9培地に再懸濁した。【0040】該培養物の無菌度を次の実験の前に調べた。培養物のサンプル2×100μlを、血液寒天プレートに対にして添加し、37℃で一晩インキュベートした。細胞懸濁液は4℃で一晩保存した。汚染された培養物は、常に廃棄される。この高レベルリファンピシンによる処理は、プレートカウントをゼロコロニー形成単位に減らすが、ブロス希釈カウントにより検出できる少数の残存微生物を生じることがわかった。このような選択の典型的な例を表1に示す。そこではリファンピシン処理の1日後、106細菌/mlから102細菌/mlの細菌が残った。これによりM.tuberculosisは、静止期にある少なくとも2つの微生物の個体群を有することが明らかである:1つ目は高投与リファンピシンにより殺されるが、2つ目は「抵抗」し、表現型的耐性である。発育が再開すると、静止期のリファンピシン耐性亜個体群は、通常のMICレベルの0.1μg/mlでリファンピシンに感受性となる。【0041】【実施例2】in vitroでのリファンピシン耐性亜個体群の特徴づけ方法M.tuberculosisを、10% ADSを補った0.05%のTween80を含有する7H9培地(Difco Laboratories)中で振盪せずに100日間発育させた。リファンピシンを最終濃度が100μg/mlとなるようにして5日間、培地に添加した。生存度を一日間隔で評価した。細胞を徹底的に洗浄し、培養菌の10倍希釈物からのサンプル100μlを、OADCを補ったミドルブルック7H11培地(Difco Laboratories)プレートに3連で添加した。コロニー形成単位(CFU's)を、37℃で3週間インキュベートした後のプレートでカウントした。ブロスカウントを、1mlのサンプルを9mlの7H9培地に添加した10倍希釈物について行った。生存度は、37℃で6週間インキュベーションした後に、希釈した培養物中で発育を調べることによって評価した。【0042】放射活性ウリジン取り込みのため、各時点の培養物10mlを2回洗浄して残存するリファンピシンを除去してから10mlの7H9培地に再懸濁し、次に10μCi/mlの[3H]-ウリジンとともに20時間インキュベートした。5*については、リファンピシンとともにインキュベートした後、培養物を洗浄せず、そのまま培養物に10μCi/mlの[3H]-ウリジンを添加し、リファンピシンの存在下で20時間インキュベートした。RNAを、公知技術の方法によって抽出した。RNAの[3H]-ウリジン取り込みは、トリクロロ酢酸で沈殿したRNAの1分あたりのカウント数として測定した。3つの独立した実験によって結果を確認した。【0043】リファンピシン処理の前後における細菌の代謝状態は、抽出した全RNAを調べることにより評価した。RT-PCRを以下の遺伝子について行った:リファンピシンターゲット(RNAポリメラーゼサブユニットB)をコード化するrpoB;16kDaタンパク質(α-クリスタリンホモログ);16S rRNAおよび2つのシグマ70ホモログであるsigAおよびsigB。結果結果を表1に示す。【0044】【表1】【0045】リファンピシン耐性亜個体群の細胞のサンプルを分析し、細胞個体群をさらに特徴づけした。該個体群において検出された転写活性および翻訳活性に基づいて、個体群は代謝的に活性であることが示された。試験した全ての遺伝子は、静止期に転写されることがわかった。5日間のリファンピシン処理の後、cfuは0に減少したが、16S rRNAは減らず、またrpoB、16KおよびSigBの転写物は、減少したレベルであったがそれでも検出され、その一方、SigAの転写物は見られなかった。【0046】リファンピシン処理した培養物(1-5日間)のブロス希釈カウントは、1mlあたり102細菌の値を与え(表1)、発育できる細菌の存在を示唆した。しかし、リファンピシン処理後のブロス希釈カウントが4対数桁の下落(four log drop)にもかかわらず、16S、sigB、16KおよびrpoBのRT-PCRシグナルは、生存細菌に陽性なそのような少数のブロスについて予想されたシグナルの対数上の数倍(several log fold)であった。存在する16S rRNA量を定量するために、リファンピシン処理の前後でrRNAレベルをノーザン・ブロッティングで測定した(データは示さず)。デンシトメーターによる解析は、対数期および静止期の微生物の両方において、抗生物質で処理して7日後に約半分のシグナル強度が残っていたことを示した。このことは、rRNAがリファンピシン-処理した培養物において極めて安定であることを示す。対照的に、mRNAは、rRNAよりかなり安定ではなかった。16KおよびsigBのmRNAの半減期を、対数期および長期の静止期の培養物両方で測定したところ、それらの半減期は2-3分の間であることを示した。したがって、RT-PCRの結果が長期に安定なmRNAによって説明がつくとか活発な転写を示唆するというようなことはありえない。このことは、まず微生物をリファンピシンで処理し、次いでこれらの微生物をリファンピシンと[3H]-ウリジンで同時にインキュベートすることにより検証された。リファンピシンの存在下、細菌は[3H]-ウリジンを取り込み、生き残る細菌内での活発な転写を暗示しており、高濃度のリファンピシン存在下であっても、それは細菌が盛んに代謝していることを示す。【0047】上記細胞は、その環境の変化に極めて反応的であることが示された。リファンピシンを除去して成育培地のみに戻した場合、分析された3つの遺伝子の転写レベル(16K、sigAおよびrpoB転写物)は、12時間後に5倍から10倍に増加した。放射性ウリジンの取り込みも、またリファンピシンの除去と培地単独でのインキュベーション後に、約5倍に増加した(表1で5*日および5日のカウントを比較)。このことは、これらの環境下で転写のレベルが急速に増加したことを示した。該データは、微生物が新しい培地の存在下で複製する可能性を除外するものではないが、もっともM.tuberculosisの世代時間が約20時間であることから、それは12時間での転写における2倍の上昇を説明することにしかならない。該データは、薬剤耐性の静止期細菌のこのin vitroモデルにおいて、活発にRNAに転写し、環境に対し反応的であり、依然として平板培養に陰性のままである細菌の主たる個体群が存在するという仮説を支持する。【0048】表現型的耐性と遺伝的耐性とを区別するため、細菌をリファンピシン処理後に徹底的に洗浄し、液体7H9培地で6週間培養した。4つの独立した実験で、M.tuberculosisは変わることなく発育した。これらの細菌は、0.1μg/mlリファンピシンに感受性を示し、RT-PCRおよびオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションによって検出されたように、rpoBのリファンピシン耐性突然変異には陰性であった(Immunogenetics N.V.,Netherlands;データは示さず)。これはこのモデルにおける耐性が表現型的であることを示唆する。【0049】リファンピシンの存在下でも転写が継続することから、耐性誘発のメカニズムが、突然変異あるいはrpoB mRNAの発現レベルの減少(すなわち、薬剤を照準とするレベルの低下となる)によるものであることはありえない(表1)。in vivoでの抗菌剤耐性亜個体群の評価方法マウスの慢性結核を化学的処置によって誘発するコーネル休眠(Cornell dormancy)モデルにしたがって、抗菌剤耐性亜個体群をin vivoで試験した。マウス通過のM.tuberculosis病原性H37Rv株、2×105cfuを静脈注射して感染させることにより体重18-20gのBALB/cマウス内で、M.tuberculosisを発育させた。-2週および0週(感染後2週間)の時点で、犠死せしめ無菌的に解剖した後、脾臓と肺をすぐに取り出した;器官の一部は直ちに液体窒素で凍結した。【0050】発育したM.tuberculosis のCfuカウントは、上記脾臓と肺を5mlの水を用いてモーター駆動ポリテトラフルオロエチレン/ガラス 粉砕器ですりつぶし、次いで選択的7H11培地(Difco, Detroit)のプレート上で、該ホモジネートの連続希釈からカウントを始めることにより行った。【0051】その後、ペレット化した飼料中に体重1kgあたり1000mgのピラジナミドおよび25mgのイソニアジドを与える処理を14週間行い、「無菌状態」に到達した。マウスのサンプルを、また7週の時点で犠死せしめた。さらなるサンプルを、その後、14週の時点で犠死せしめ、器官全体のホモジネートを選択的Kirchner液体培地(Lab M,Amersham)中で培養した。培養培地を200U ポリミキシンB/ml、100μgカルベニシリン/ml、20μg トリメトプリム/mlおよび10μgアムホテリシン/mlの添加により、M.tuberculosisについて選択的にした。次の8週の期間、残っているマウスのサンプルにステロイド療法を施した。結果処置前に取り出した肺からのRNAのRT-PCRはrpoB、sigA、sigB、16Kおよび16S rRNAの転写物を示した。意義深いことに、sigBおよび16Kの細菌性mRNAが、処置後91日(13週間)の肺から検出され、16S rRNAのレベルは化学療法前のレベルと比較して低下していなかった。mRNAは数時間以内に激減するため、13週間の化学療法後何らかのmRNAを少しでも見出すことは驚くべきことである。しかし、我々はin vivoで、mRNAの半減期またはRNA内への[3H]-ウリジンの取り込みを測定することができなかったため、我々は不安定なmRNAと安定なmRNAとの区別をつけることができなかった。それにもかかわらず、該データは、91日に残存している細菌の相当数が肺の中に存在しており、それらはmRNAを含むため代謝的に活性であるが、培養できないことを示唆している。RT-PCRに使われた全ての肺は、培養的に陰性であった。【0052】インビトロ・モデルにおけるように、マウスの残存菌の中からsigA転写物は検出できなかった、このことは検出限界を下回るレベルに至るこのmRNAの低い存在量のためか、あるいは非感受性プライマーによるためであろう。現存するデータは、これらの可能性を区別しない。SigF転写物(データは示さず)がコーネルマウス中で検出されたが、バンドは非常に弱かった。全てのコントロールを、汚染のゲノムDNAからではなくmRNAに由来するRT-PCR生成物であることを確実とするために行った。【0053】感染後2週間、すなわち0週時点において、4匹のマウスのサンプルは、肺または脾臓あたり2〜5×107cfuを産生した。さらに4匹のマウスを7週または14週で犠死せしめた。これらの8匹のマウスうち、2匹が陽性の器官培養、脾臓のみから1つ、肺から1つを産生した。しかしながら、この「無菌」状態のマウスは、大量のM.tuberculosis DNAを含有しており、それは器官あたり105の細菌と同等と見積もられる。ステロイドでマウスを処理すると、脾臓と肺は陽性の培養物を産生したが、それは休止の、培養不能、薬剤非感受性の状態からの復活を示す。【0054】定説によって縛られることを望むことなく、抗菌剤に対して抵抗する細菌の耐性メカニズムは、細胞壁の透過性の減少(EDTAは抵抗性細菌の細胞壁を透過性にして、リファンピシンの作用を助長する。データは示さず)および、リファンピシン媒介の転写抑制に対する非感受性を付与する代替性のシグマ因子(sigBのような)の利用によるものであると信じられている。【0055】薬剤ライブラリー(drug library)の感受性評価1〜20μgの試験化合物を含有する、ラベルされたスナップキャップ付き透明プラスチック製0.7ml滅菌チューブを使用する。化合物を0.25mlの滅菌蒸留水か他の適切な希釈剤に溶解する。カテゴリーIIIの安全封じ込め実験室内のクラスIキャビネット内で、汚染を避けるために注意を払い0.25mlのリファンピシン処理培養物を各チューブに添加する。該チューブを37℃でインキュベートする。薬剤効果は、各サンプル2×50μlを7H11寒天プレートに2つの薬剤フリー・対照(controls)を含めて、2連で添加し、1週間間隔で、CFUカウントによって試験する。サンプルの一連の10倍希釈物を必要としてもよく、それは、ADCなしの0.05%Tween80を有する7H9ブロスで作成し、その後、希釈されたサンプルを7H11寒天上にプレートし、候補化合物の濃度効果を測定する。【0056】【実施例3】カナマイシンおよびアンピシリンをそれぞれ使用するE.coliおよびS.aureusの遺伝型的でなく表現型的に耐性の亜個体群の選択Escherichia coliおよびStaphylococcus aureusの発育Escherichia coli K12およびStaphylococcus aureusを、10mlの栄養ブロスNO.2(Oxoid)中で、10日間継続的に120rpmで振盪して発育させる。細菌の生存度は、最初の24時間は2時間間隔で、およびその後は12-24時間間隔で、コロニー形成単位のカウントにより評価する。実験培養物の連続した10倍希釈物より、100μlのサンプルを栄養寒天プレート(Oxido)の3連プレートに添加する。コロニー形成単位(CFU)は、37℃で24時間プレートをインキュベートした後にカウントされる。抗生物質による抵抗性細菌の選択アンピシリンおよびカナマイシンを、E.coliおよびS.aureusのそれぞれ5日めの静止期培養物に添加し、3日間、最終濃度をそれぞれ100μg/mlおよび50μg/mlにする。3日間の抗生物質による処理後、細胞を滅菌蒸留水で3回洗浄し、その後10mlの新鮮な栄養ブロスに再懸濁する。生存度をCFUカウントおよびブロス希釈カウントにより見積もる。ブロス希釈カウントを、栄養ブロスの連続10倍希釈で行い、その後、各希釈物1mlを3連の30-ml容ユニバーサルチューブ中の栄養ブロス9mlに添加する。抗生物質が存在しない場合のE.coliおよびS.aureusの240時間にわたる期間の発育曲線を図1に示す。E.coliおよびS.aureusを発育の対数期および静止期の期間ともに、抗生物質にさらした効果を、図2および3に示す。静止期間中の培養物の処理は、細菌細胞での抗生物質耐性の亜個体群の選択を生じる。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は、E. coliおよびS. aureusの10日の期間にわたる発育曲線を示す。【図2】 図2は、静止期および対数期の発育間に50μg/mlのカナマイシンで処置した後のE. coliの生存能力を示す。【図3】 図3は、静止期および対数期の発育間に100μg/mlのアンピシリンで処置した後のS. aureusの生存能力を示す。 静止期細菌の表現型的に抗生物質耐性の亜個体群を調製する方法であって、 (i) 細菌培養菌を静止期まで発育させる工程、および (ii) 前記静止期の培養菌を、発育細菌を殺すのに充分な濃度および時間にて一以上の抗菌剤でもって処置して、表現型的に抗生物質耐性の亜個体群を選択する工程を有する方法。 前記抗菌剤が、リファンピシン、カナマイシン、アンピシリンおよびピラジナミドからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。 前記抗菌剤が、105〜109細菌/mlの濃度で存在する細菌について、25〜150μg/mlの濃度で用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。 前記細菌が、Staphylococcus aureus、Escherichia coli、Haemophilus influenzae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus gordoniiまたはMycobacterium tuberculosisであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 前記細菌がMycobacterium tuberculosisであり、かつ、前記抗菌剤がリファンピシンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 前記細菌がEscherichia coliであり、かつ、前記抗菌剤がカナマイシンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 前記細菌がStaphylococcus aureusであり、かつ、前記抗菌剤がアンピシリンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 試験化合物または薬剤の抗菌活性を評価するため、または静止期の細菌に対して抗菌活性を有する化合物または薬剤を単離するための方法であって、 (i) 請求項1〜7のいずれかで定義された方法に従って静止期の細菌の表現型的に抗生物質耐性の亜個体群を調製する工程、 (ii) 前記表現型的に耐性の亜個体群のサンプルに一以上の試験化合物または薬剤をインキュベートする工程、および (iii) 前記表現型的に耐性の亜個体群に対する抗菌効果を評価し、および必要に応じて抗菌活性を示す化合物または薬剤を単離する工程を有する方法。


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