生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ベンゾチアゾールジオキセタン類
出願番号:2000562018
年次:2010
IPC分類:C07F 9/09,C09K 11/07,C12Q 1/42,G01N 21/76,G01N 21/78


特許情報キャッシュ

ブロンスタイン,イレーナ エドワーズ,ブルックス JP 4519320 特許公報(B2) 20100528 2000562018 19990728 ベンゾチアゾールジオキセタン類 アプライド バイオシステムズ, エルエルシー 509130413 津国 肇 100078662 齋藤 房幸 100116919 伊藤 佐保子 100119079 ブロンスタイン,イレーナ エドワーズ,ブルックス US 60/094,336 19980728 20100804 C07F 9/09 20060101AFI20100715BHJP C09K 11/07 20060101ALI20100715BHJP C12Q 1/42 20060101ALI20100715BHJP G01N 21/76 20060101ALI20100715BHJP G01N 21/78 20060101ALI20100715BHJP JPC07F9/09 UC07F9/09C09K11/07C12Q1/42G01N21/76G01N21/78 C C07D 417/00 C07D 493/04 C07F 9/09 C09K 11/07 C12Q 1/00 G01N 21/76 G01N 21/78 CA/REGISTRY(STN) 特表平02−502916(JP,A) 米国特許第05679802(US,A) 特表平09−507571(JP,A) 国際公開第97/024460(WO,A1) Chem. Abstr., Vol.93,抄録番号第93:45535q,1980年,p.826 Chemistry Letters,1979年,p.1231-1234 11 US1999017094 19990728 WO2000006164 20000210 2002521447 20020716 22 20060704 安藤 倫世 【0001】この出願は、1998年7月28日に出願された米国出願番号60/094,336号の仮出願を優先権主張してなされた、正規の国内出願である。この仮出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。【0002】発明の背景発明の分野本発明は、改良された化学発光性1,2−ジオキセタン化合物に関する。さらに詳しくは、本発明は、改良された酵素的に除去しうる不安定性基を含む、酵素的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタン化合物に関する。この不安定性基は、不安定性基を除去するために適当な酵素が添加されるまで、分子が光、すなわち可視光または適当な機器で検出可能な光を発生して分解するのを防止する。【0003】1個の酵素分子が、触媒サイクルを経て、数千の酵素的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタン分子からその優れた不安定性基の除去を行うことができる。このことは、各々のジオキセタン分子からその優れた不安定性基を除去するのに1分子の化学的な開裂剤が必要である、化学的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタン類とは、極めて対照的である。【0004】酵素的に開裂可能な発光性の1,2−ジオキセタン化合物は、通常、ジオキセタン環の3−炭素原子にスピロ結合した、例えばアダマンチリデン基のような安定化基をも有しており、それは、酵素的に開裂しうる不安定性基が残りの分子に結合している結合を意図的に開裂する前に、ジオキセタン化合物が室温(約25℃)で自発的な分解を生起するのを防止することを助けている。(Wiervngaら、Tetrahedron Letters, 169 (1972) および McCapra ら、J. Chem. Soc., Chem. Comm., 944 (1977))。このように、これらの安定化基により、そのようなジオキセタン類を使用前に極めて長期間、実質的な分解を生起することなく、例えば約4℃から約30℃の温度範囲で約12ヶ月から約12年程にわたって貯蔵することが可能となる。【0005】本発明は、さらに、そのジオキセタン分子を従来公知のイムノアッセイ、化学アッセイ、および核酸プローブアッセイに組み込むこと、ならびに、化学的または生物学的物質の存在、量、もしくは構造を同定あるいは定量する分析を可能とする、種々のミクロ分子、合成ポリマー、タンパク質、核酸、触媒的抗体などの分子構造やミクロ構造研究用の直接的な化学的/物理的プローブとしてのそれらの使用に関する。【0006】発明の背景発明者として本願中の発明者の一名以上の名が挙げられ、そしてトロピックス社(Tropix, Inc.)に譲渡された出願には、化学発光性化合物として1,2−ジオキセタン類が明確に記載されており、それらは、種々の生物学的材料の検出用に、外的条件や手の込んだ装置に依存することなく、迅速に行うことができる超高感度アッセイにおけるレポーターや標識として用いることができる。これらには、米国特許第4,931,223;4,931,569;4,952,707;4,956,477;4,978,614;5,032,381;5,145,772;5,220,005;5,225,584;5,326,882;5,330,900;5,336,596;および5,871,938号がある。前述のもの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。本願と共通して譲渡された他の特許は発行されており、他の出願は出願係属中である。この多くの特許文献は共に、ジオキセタン環の炭素の1つに結合した典型的にはスピロアダマンタンのような多環基および電子感受性であるジオキセタン環の残りの炭素に結合した基で安定化された、1,2−ジオキセタン類を取り扱っており、電子感受性基の保護、典型的にはアリール基は、アニオン、通常はオキシアニオンに導き、それは不安定であって、そして分解する。分解により、O−O結合は切断され、光子が発生する。この電子感受性基が結合している同一の炭素原子はアルコキシまたは他の電子活性基を有する。【0007】最初に市販されたこのクラスのジオキセタン類は、3−(4−メトキシ−スピロ(1,2−ジオキセタン−3,2′−トリシクロ(3.3.1.13,7)デカン)−4−イル)フェニルホスフェート、とくにその二ナトリウム塩であり、一般にAMPPD(登録商標)として知られている。この化合物は、ミシガン州、デトロイトのルミジェン社(Lumigen, Inc.)と共に、本願の譲受人、すなわちトロピックス社により市販されている。上記化合物の優れた性能は、スピロアダマンタン環上の選択的な置換によって得ることができる。いずれかの橋頭位炭素を塩素のような電子活性種で置換すると、反応速度およびシグナル/ノイズ比(s/n)が改善される。AMPPD(登録商標)の塩素置換体であるCSPD(登録商標)は、マサチューセッツ州、ベッドフォードのトロピックス社により広く市販されている。アリール基が同じく塩素のような電子活性置換基を有する、同様構造の「第三世代」ジオキセタン化合物では、性能がさらに改善されており、トロピックス社が市販している。そのホスフェートは、CDP(登録商標)およびCDP−Star(登録商標)の商標で入手できる。【0008】しかしながら、水溶液中でさらに化学発光向増強剤、例えばポリ〔ビニルベンゾチアゾール(ベンゾチアゾールジメチルアンモニウムクロリド)〕(「BDMQ」)のようなポリマー状アンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウム塩および他のヘテロ極性ポリマーの存在下でのAMPPD(登録商標)は、一定の発光特性(「t1/2」、一定の定常状態の発光レベルでの最大化学発光強度の半分を得るのに要する時間として定義される;この発光半減期は種々の環境において、ジオキセタンオキシアニオンの安定性の関数として変動する)に到達する最適時間がより長くなることが認められた。【0009】統計的には、およそ7(t1/2)の時間が、定常的な発光キネティックスに到達するのに必要とされる。BDMQの存在下pH9.5の水溶液中2×10-5Mより上の濃度でのAMPPD(登録商標)のt1/2 は7.5分であることが見出された。BDMQの不存在下4×10-3Mでは、t1/2 はおよそ30〜60分であることが見出され、一方、水溶液中2×10-5Mでは、AMPPD(登録商標)のt1/2 は2.5分であることが見出された。【0010】酵素的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタンをレポーター分子として用いる迅速バイオアッセイにおいて、アッセイで「終点」を検出するように、できるだけ早く定常状態の発光キネティックスに到達することが望ましい。化学発光強度は定常状態のキネティックスが得られる前に測定することができるが、定常状態での発光キネティックス以前に正確なデータを得ようとすれば、精巧で、熱的に制御された発光測定機器を用いる必要がある。【0011】さらに、AMPPD(登録商標)は、水性緩衝液中、BDMQ等の化学発光増強剤の存在下あるいは非存在下で、望ましい熱的かつ非酵素的に活性化された発光、あるいは「ノイズ」よりも強い値を示す。このようなノイズは、励起状態のアダマンタノンからの、およびAMPPD(登録商標)分子の芳香族部分に由来するm−オキシ安息香酸メチルアニオンの発光によるものである。測定されたAMPPD(登録商標)のノイズレベルは標準的な発光測定器における暗電流より約2オーダー以上であるため、このノイズは検出レベルを制限し、ひいては本来の感度の実現を妨害する。【0012】重要なことには、CCDカメラ等の化学発光検出用の種々の機器は、緑色波長および赤色の波長においてより大きな検出感度を有している。【0013】AMPPD(登録商標)および類縁のジオキセタン類は、典型的には可視スペクトルの青色波長で発光する。従来は、発光波長を「シフト」させるために、ポリマー型エンハンサーを用いる必要があった。検出感度を高めるために、可視スペクトルの「赤色または緑色端」に近接した波長で発光するジオキセタン類を得ることが望ましい。【0014】したがって、本発明の目的は、レポーター分子として酵素的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタン類を用いるアッセイ、とくにバイオアッセイを行うのに要する時間を減少させることである。【0015】また、アッセイ、とくにバイオアッセイにおいてレポーター分子として用いる際に、アッセイを完了するのに要する時間を減少させる、新規で改良された酵素的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタン類を提供することも本発明の目的である。【0016】本発明の他の目的は、改良されたシグナル/バックグラウンド挙動をもたらし、したがって改良された検出レベルをもたらす、酵素ベースのアッセイ、とくにバイオアッセイ用の基質として用いるための新規で改良された酵素的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタン類を提供することである。【0017】本発明の別の目的は、その発光波長が緑色および赤色側へシフトしたジオキセタンを提供することである。【0018】本発明の更なる目的は、これらの改良された酵素的に開裂しうる1,2−ジオキセタン類の合成に有用な新規中間体を提供することである。【0019】本発明のもう1つの目的は、これらの酵素的に開裂しうる化学発光性1,2−ジオキセタン類およびそれらの中間体の製造方法を提供することである。【0020】これらおよび他の目的は、本発明の性質、範囲、用途と共に、以下の記載および添付の請求の範囲から、当業者に容易に明らかなものとなる。【0021】発明の概要上記の目的およびその他のことは、下記一般式の新規な一群のジオキセタン類:【0022】【化3】【0023】(式中、Tは、【0024】【化4】【0025】であり、かつRは独立してジオキセタンに安定性を付与する任意の分枝状のアルキルもしくはシクロアルキル基であっても、または両者のRが一体となってジオキセタン環にスピロ結合したシクロアルキルもしくはポリシクロアルキル基を形成してもよく、1以上のR基は非置換、あるいはハロゲン原子、アルコキシ基又は電子吸引性有機基で置換されてもよく、R1は、1以上のハロゲン原子で任意に置換されてもよい、アリール基または炭素数1〜20のアルキル基であり、YはHまたは電子供与性基もしくは電子吸引性基、または(1)助蛍光団(ancillary fluorophore)もしくは(2)任意の生物学的基に結合する有機リンカー基であってもよく、Xは化学的又は酵素的手段で除去される任意の保護基であってもよく、R2〜R6は、独立してH、アルキル、分岐状アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールであり、R3とR4はスピロ縮環したシクロアルキル基として一体化されてもよい)によって達成される。【0026】上記のジオキセタン類は、縮環ベンゾチアゾールアルデヒドまたはトルエン誘導体より過マンガン酸酸化を用いてカルボン酸を得ることで合成することができる。この酸のエステルが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,731,445号明細書に記載された方法に従って、上記化合物のジオキセタン前駆体を製造するために用いられる。【0027】詳細な説明本発明の構造、合成、使用の好ましい態様について記述する。【0028】構造本発明は、下記一般式を有するジオキセタン類を使用する。【0029】【化5】【0030】(式中、Tは、【0031】【化6】であり、かつRは独立してジオキセタンに安定性を付与する任意の分枝状のアルキルもしくはシクロアルキル基であっても、または両者のRが一体となってジオキセタン環にスピロ結合したシクロアルキルもしくはポリシクロアルキル基を形成してもよく、各々のR基もしくはスピロ結合した環式基は非置換、あるいはハロゲン原子、アルコキシ基又は電子吸引性基で置換されてもよく、R1は、1以上のハロゲン原子で任意に置換されてもよい、アリール基または炭素数1〜20のアルキル基であり、YはHまたは電子供与性基もしくは電子吸引性基、または助蛍光団もしくは任意の生物学的基に結合していてもよい有機リンカー基であってもよく、Xは化学的にあるいは酵素的手段で除去される任意の保護基であってもよく、R2〜R6は各々、独立してH、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールであり、R3とR4はスピロ縮環したシクロアルキル基として一体化されてもよい)【0032】式Iおよび式IIの置換基の各々についての代表的なものは、本明細書中および参照により本明細書に組み込まれる先のトロピックス社の特許に新規な化学式が与えられており、当業者がよく知っているものである。また。Rの好ましいものとして、直鎖状または分枝状の炭素数2〜12のアルキル、とくに好ましくは分枝状のアルキル基が挙げられる。各々のアルキル基は、1以上の電子吸引性基もしくは電子供与性基で置換されていてもよく、および/または各々のアルキル基Rは、全体としてのジオキセタンの溶解度を高める、通常はかなり疎水性である、1以上の基で置換されていてもよい。好ましい可溶化基として、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。【0033】好ましい態様において、両者のR基は、一緒になってスピロアダマンチル基を形成し、その基は非置換であっても、あるいは、いずれかの橋頭位もしくは両方の橋頭位が、炭素数1〜7のアルコキシ、ハロ、アルキル等のような電子活性(電子吸引性もしくは電子供与性)基で置換されていてもよい。アダマンチル基上の置換基の例は、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第5,112,960号明細書に記載されている。スピロアダマンチル基以外では、各々のR基として、時期尚早の分解を防止するために、ジオキセタンを立体的に安定化するように選択される。【0034】R2〜R6は各々独立に、R3とR4が一緒になってスピロ縮環したシクロアルキル基を形成することを除いて、R基について上記したと同様に選択される。その他、R2〜R6は独立に、水素、非置換あるいは炭素数1〜6のトリフルオロアルキルのような1以上のハロゲン、とくにフッ素で置換されたアルキル、ヒドロキシ、フェニル、ナフチル等から選択される。R2〜R6の各々、および/またはすべてあるいはどのような組合せも、上記のように、ジオキセタンの水溶性を向上させるように計算された基でさらに置換されていてもよい。R2〜R6の各々の基は、1又は2の水溶性を向上させる基を有していてもよい。アルキルの代わりに、R2〜R6の各々、および/またはすべてがアリール、好ましくはフェニルであってもよい。【0035】置換基Yは、1以上の機能を果たしてもよい。Yは水素であってもよく、あるいは、保護されていないジオキセタンの分解キネティックスをもたらすために(下記のXについての項参照)、Yは電子吸引性基(例えば、任意のヘテロアリール基)であってもよい。Yは電子供与性基(例えば、任意のアルキル基)であってもよい。さらに、ジオキセタンのアリール基上に置換する置換基として、広汎な他の電子活性置換基が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,538,847号明細書に置換基「Z」として記載されている。その中に記載されているように、メトキシ基のような電子供与性基は、アニオン分解プロセスを促進し、一方、塩素のような電子吸引性基はその分解反応を遅らせる。驚くべきことに、アリール環上の置換基の影響は、アダマンチルまたは他の立体的に安定化させる基上の置換基とは全く反対である。その他に、Yは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,800,999号明細書に記載されているように、本発明のジオキセタンと検討されるべき生物学的な基との間での共有結合をもたらす、炭素数1〜20の有機リンカー基であってもよい。この態様において、ジオキセタンあるいはその前駆体は、間接的というよりはむしろ、直接的な標識の役目を果たし、酵素以外の、例えばpH、熱等が有効な引き金となるようになる。これらの態様において、(下記の)Xとしては、酵素標識基以外のものである。【0036】その他の変形例において、YはOX′であってもよい。以下で記述するように、Xは引き金となる基、すなわち、その活性化または除去が環のC−C結合およびO−O結合の開裂を経てジオキセタンを分解に導く基である。ベンゾチアゾール基がジオキセタンに結合している部位に関してメタ位にあるOX基は、第一の引き金として作用するものである。YをOX′に設定することにより、引き金を追加したり、減少させたりすることができる。この選択がなされる場合には、X′は独立に、Xを特徴づけるかもしれない同一のセットの種々のものから選択される。【0037】古典的な態様においては、Xは酵素不安定性基である。好ましい基としてホスフェート基やガラクトシド基が挙げられるが、本質的には、開裂によってオキシアニオンを生じさせる任意の酵素開裂性基が本発明で使用するのに適している。多くの種類の酵素開裂性基が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,605,795号明細書に明示されている。一般にリン酸エステルに加えて、基Xは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,605,795号明細書に基Zとして特定されているいかなる基であってもよく、エステラーゼ、デカルボキシラーゼ、ホスフォリパーゼ、α−またはβ−キシロシダーゼ、フコシダーゼ、グルコシダーゼおよびチオグルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、マンノシダーゼ、フルクトフラノシダーゼ、グルコシドウロナーゼ、トリプシン等に対する基質が挙げられる。さらに、OX基は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,591,591号明細書に記載されているように、タンパク質分解酵素により開裂され得る広汎なペプチドのいずれかによって置き換えることができる。【0038】前述のように、酵素的な引き金に対して、非酵素的で化学的な引き金の方が好ましいと思われる状況が存在する。このような例において、Xは好ましくはH、トリアルキルシリル等である。種々の化学的な引き金およびXの例が、例えば、これも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,652,345号明細書に記載されている。【0039】化学発光のモニターおよび測定(定量)において、広汎な装置が開発されている。最も高感度で、とくにスループットの高いスクリーニング用途等に適したものとして、CCDカメラがある。ジオキセタンからの典型的な化学発光は、可視スペクトルの青色波長において生じる。CCDカメラは青色発光を「見る」、すなわち自動計測することが困難である。典型的には、カメラは青色発色の長波長側の「端」のみを観測する。ジオキセタン上に縮環ベンゾチアゾール共鳴基を用いると、光は緑色側にシフト、つまり、発光が可視スペクトルの緑色端へシフトする。従来のジオキセタンは、通常、増強剤と共に用いられ、水の存在下で観察されうる化学発光の消光を避けるために、ジオキセタンを疎水性領域に隔離するように構成される。これらの増強分子は、好ましくは、例えばホスホニウム、スルホニウム、およびアンモニウムポリマーのような四級オニウムポリマーである。代表的なポリマーとそれらの効果は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,330,900号明細書に記載されている。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、また、さらに増強効果を向上させるために、参照により本明細書に同じく組み込まれる米国特許第5,547,836号明細書に記載されているように、界面活性剤添加物と共に用いてもよい。ジオキセタンの発光が緑色側にシフトし、また縮環ベンゾチアゾールの存在によりジオキセタンの疎水性が高くなっているため、より少量の増強剤と、要すれば、必要とされる添加剤が用いられる。前述のように、ジオキセタンのY基は、種々の機能に用いられうる。1つの機能は、結合手としての機能である。対象の生物学的基とのリンカーであることに加えて、Yは、分解におけるジオキセタンのエネルギー発生を吸収し、これに応答して蛍光を発する蛍光基である、エネルギー伝達型発蛍光基に結合する有機結合基(通常はアルキルまたはアルコキシ)であってもよい。エネルギー伝達型蛍光は、よく研究されており、図7および図8に示されている。【0040】本出願の図面についてより詳細に言及すると、図1は本発明の好ましい態様の化学構造である、ベンゾチアゾールジオキセタンホスフェートを示している。この分子は、本明細書中で、BZPDと称する。このジオキセタンの合成は、図3および図4に示されており、合成に必要な反応は以下に記されている。慣用の原料が本発明のジオキセタンの合成に使用され得るが、新規なイソチオシアネート類が本発明の1様相として記載されており、図5に示されている。【0041】図9は、550nmより上のピーク波長を示しており、増強剤不存在下でのBZPDの発光波長の「グリーンシフト(緑色側へのシフト)」を示している。図10に示すように、増強剤{Sapphire-II(商標)}の存在下で、長波長強度がさらに増大している。BZPDの相対的な化学発光性能は、図11〜14において、他の商業的に成功を収めているジオキセタン類と比較されている。すなわち、CSPD(登録商標)(アダマンチル基上に塩素置換基を有するフェニルジオキセタン)およびCDP−Star(登録商標)(さらにフェニル基上に塩素を有するもの)と比較して、BZPDの相対的に「迅速な」あるいは短いT1/2が図11−Aに示されている。本発明のジオキセタンは、図11−Bに示されているように、優れたS/N性能をも有している。もしバックグランドのノイズがあまりにも高い(低いS/N)と、ピーク強度の発現がいかに迅速であろうと、アッセイは相対的に感度の低いものとなるので、S/N値は重要である。【0042】図12−Aおよび図12−Bは24分後に同様の性能を示すものであり、BZPDの継続的に高い感度と発光プロフィールを示している。感度はジオキセタン検出剤に必須の特性である。図13−Aおよび図14−Aにおいて、アルカリホスファターゼの様々な濃度でのBZPDについての4分後および24分後のそれぞれの感度を測定した。明らかに示されているように、BZPDはきわめて低い酵素濃度(10-17モル以下)においてさえ、優れた検出感度(より大きなシグナル)を与える。図13−Bおよび図14−Bに示されているように、BZPDのS/N比は、これまでに開発されたジオキセタンに匹敵するものであるので、高められた感度はごく少量の物質を検出するのに用いることができる。【0043】BZPDの直接合成法を下記する。上記のジオキセタン類は、縮環型ベンゾチアゾールアルデヒドまたはトルエン誘導体より過マンガン酸酸化を用いて合成しうる。参照により本明細書に同じく組み込まれる米国特許第5,731,445号明細書に記載の方法に従って上記化合物のジオキセタン前駆体を製造するために、この酸のエステルが用いられる。【0044】ベンゾチアゾールジオキセタン基質の合成以下の例は、ベンゾチアゾールジオキセタン基質およびそれらの前駆体の代表的な合成であり、特許請求の範囲を一切限定するものではない。4,6-ジブロモ−o−アニシジンは次の文献に従って得られた:Fuchs, Monatshefte fur Chemie, 36, 130, 1915。【0045】バリアンユニティー(Varian Unity)300NMRスペクトロメーターを使用した。全てのNMRデータは、プロトン(1H)NMRである。【0046】実施例1:2−ベンズアミド−3,5−ジブロモアニソール4,5−ジブロモ−o−アニシジン(11.3g;40.2mmol)を、ジクロロメタン75ml及びピリジン6.7mlに溶解した。混合物をアルゴン下に室温で撹拌した。塩化ベンゾイル(4.8ml;1.03当量)をシリンジにより滴下して加えた。混合物を8時間撹拌して、橙−茶色の懸濁液を得た。次に反応混合物をロータリーエバポレーターで1/3の容量に濃縮した。濃厚のスラリーを Buchner 漏斗で濾過し、フラスコ及び固形物をジクロロメタン/ヘキサン50:50で洗浄した。次に得られた白色の固形物を水で十分に洗浄して、あらゆるピリジン塩酸塩を除去した。固形生成物を真空下に乾燥して、上記の標記生成物13.56gを得た。2相の濾液を漏斗中に水で洗浄し、有機層を分離し、次にロータリーエバポレーターに付して、紫茶色の固形物を得た。ジクロロメタン/ヘキサン50:50によりこね、酢酸エチルの最小量から再結晶して、第2の産物を1.43gの重量で得た。NMR (300 MHz/DMSO-d6): δ 3.81 (s, 3H), 7.36 (1H), 7.44-7.71 (m, 4H), 7.88-8.11 (m, 2H), 9.88 (s, 1H).IR (CH2Cl2/cm-1): 3420, 2980, 2940, 1691, 1585, 1487, 1400, 1041, 875, 837.【0047】実施例2:N−(2,4−ジブロモ−6−メトキシ)フェニルチオベンズアミド前記実施例の生成物(14.4g;37.4mmol)を、無水ピリジン35mlに僅かに温めながら溶解した。五硫化リン(11g;49.5mmol)をアルゴン下に一部づつ加えた。濃厚で薄黄色の錯体が発熱して形成した。この混合物を油浴に90℃で2時間撹拌して、稀薄で暗黄色の懸濁液を得た。次に混合物を15分間還流し、室温に冷却した。混合物を酢酸エチル125mlで処理して、ガムを沈殿させた。次に水1mlを渦巻きながら加え、ガムを凝集させ、その後上澄みをデカントした。次にガムを酢酸エチル2×25mlでこねた。合わせた有機物をロータリーエバポレーターに付して、ピリジンを含有する橙色の油状物を得た。水中の水酸化ナトリウムの7%水溶液を、20分間激しく撹拌しながら油状物に加えた。溶液を濾過して不溶物を除去し、水酸化物溶液の最小量ですすぎ洗いした。次に濾液を3M HClでpH1に酸性化し、フロック状で薄黄色の固形物を沈殿させ、ジクロロメタンの最小量に溶解した。有機層を分離し、ロータリーエバポレーターに付して、レモンイエロー色の固形物として上記の標記生成物12.6gを得た。エタノールからの再結晶により分析試料を得て、TLC(Kieselgel 60−ジクロロメタン;Rf=0.56)で1点材料を得た。NMR (300 MHz/DMSO-d6): δ 3.81 (s, 3H), 7.40-7.59 (m, 6H), 7.90-7.93 (m, 2H), 11.36 (s, 1H).IR (CHCl3/cm-1): 3380, 2990, 1584, 1490, 1400, 1345, 1040, 878, 838, 695.【0048】実施例3:2−フェニル−4−メトキシ−6−ブロモベンゾチアゾール前記実施例のチオアミド12.6g(31.4mmol)を、メタノール30ml中で温めた。メタノール中の4.3M ナトリウムメトキシド7.35ml(31.6mmol)を加えながら、懸濁液を渦巻いた。添加の間に固形物は溶解し、黄色は薄琥珀色に退色した。溶媒をロータリーエバポレーターに付し、真空に排出して、ガラスを被覆する琥珀色でガラス状の固形物を得た。N−メチルピロリドン20mlを加える間、このチオアミド塩をアルゴン下に保持した。フラスコを隔膜で蓋をし、泡立て器に接続して、110〜120℃の油浴に配置した。30分間撹拌して固形物を発生させ、色が緑茶色になった。次にフラスコを室温に冷却し、その後水100mlを加えて、オフホワイトの固形物を生成した。混合物を濾過し、固形物を水で十分に洗浄した。真空下に乾燥し、固形物を酢酸エチル:ヘキサン50:50から再結晶して、白色で毛髪様の針状物7.05gを得た。TLCは、Rf=0.47で青色螢光生成物の点を示し、微量のUV吸収不純物が、より高いRf(Kieselgel 60−ジクロロメタン)において存在した。不純物をシリカゲルクロマトグラフィーにより除去して、分析試料を得た。NMR及びIRデータは、上記の標記生成物の構造と一致していた。NMR (300 MHz/CDCl3): δ 4.10 (s, 3H), 7.07 (d, 1H), 7.49-7.52 (m, 3H), 7.66 (d, 1H), 8.11-8.14 (m, 2H).IR (CHCl3/cm-1): 3003, 2940, 1590, 1562, 1517, 1440, 1400, 1387, 1322, 1260, 1055, 978, 830, 690.【0049】実施例4:2−フェニル−4−メトキシ−6−ホルミルベンゾチアゾール前記実施例のクロマトグラフィーに付した生成物3g(9.37mmol)を、無水THF 70mlにアルゴン下で溶解した。別のフラスコで無水THF 60mlを冷却し、アルゴン下に−78℃で撹拌した。このフラスコに2.5M n−ブチルリチウム5.6ml(14.1mmol)をシリンジにより加えた。次にブロモベンゾチアゾール出発物質の溶液を、添加漏斗からアルゴン下に25分かけて滴下して加えた。添加の終了時にTHF 7mlを使用して、漏斗をすすぎ洗いした。赤茶色の溶液を低温度で更に10分間撹拌した。次に無水DMF 1.8mlをシリンジにより滴下して加えた。10分後、溶液を1時間かけて徐々に室温に温めた。反応を1M塩化アンモニウム水溶液20mlの急速な添加によりクエンチした。THFを Rotovap により除去し、生成物を酢酸エチルと残留水に分配した。酢酸エチル層を水で4回洗浄して、あらゆるDMFを除去した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去して、半固形ペーストを得た。これをヘキサン中の20%ジクロロメタン20mlでこね、その後デカントし、真空に排気して、無水固形物を得た。得られた桃色生成物は1.81gの重量であった。TLCは、実質的にRf値0.62(Kieselgel 60−10%酢酸エチル/ヘキサン)での1点を示した。同様にして得られた生成物のスペクトルデータは同一であり、上記の標記化合物に予想されるものと一致していた。NMR (300 MHz/CDCl3): δ 4.18 (s, 3H), 7.48-7.56 (m, 4H), 8.04 (d, 1H), 8.17-8.20 (m, 2H), 10.08 (s, 1H).IR (CHCl3/cm-1): 3010, 2840, 2740, 1695, 1595, 1572, 1480, 1470, 1395, 1290, 1270, 1145, 1057, 983, 850, 690.【0050】実施例5:2−フェニル−4−メトキシ−6−ホルミルベンゾチアゾールジメチルアセタールアルゴン下に前記の実施例のアルデヒド1.8g(6.7mmol)を、ジクロロメタン11ml、トリメチルオルトホルマート0.9ml及び無水メタノール0.7mlにより処理した。懸濁液を撹拌して、トルエンスルホン酸一水和物105mgを一度に加えた。フラスコをアルゴンでパージした後、隔膜で閉じた。固形物は速やかに溶解して、黄−橙色の溶液を得た。室温で一晩撹拌を続けた。反応混合物を、過剰トリエチルアミン(0.15ml)によりシリンジを使用して中和した。混合物から全ての揮発物をストリッピングし、混合物をジクロロメタンの最小量に溶解して、アルミナの2cm×1.5インチカラムのプラグクロマトグラフィーに付した。溶離剤をロータリーエバポレーターに付し、油状物を排気して徐々に凝固した。試料を直ぐにIR分析し、カルボニル吸収の不在を示した。これは、アセタール形成が完了したことを示し、粗生成物は直ぐに次の反応に使用した。IR (CH2Cl2/cm-1): 2940, 2840, 1602, 1580, 1468, 1410, 1355, 1198, 1155, 1060, 996, 837.【0051】実施例6:ジエチル−1−メトキシ−1−(2−フェニル−4−メトキシベンゾチアゾール−6−イル)メタンホスホナート前記工程で得られた粗生成物を、篩−乾燥ジクロロメタン11ml及びトリエチルホスファイト1.5mlにアルゴン下で溶解した。フラスコを隔膜で密閉し、撹拌された溶液をドライアイス/アセトン浴で−78℃に冷却した。アルゴン風船によりこの温度で圧力を平衡させた。次に懸濁液となった混合物を、三フッ化ホウ素エテラート1.0mlを滴下して処理した。内容物を徐々に約−20℃に温めると、懸濁固形物は溶解した。溶液を冷蔵庫に1時間保存し、次に一晩撹拌しながら徐々に室温に温めた。翌朝、固形重炭酸ナトリウム0.7g、続いて飽和重炭酸ナトリウム水溶液15mlを加えた。2相を激しく撹拌して二酸化炭素を放出させた。必要に応じて水を3時間かけて加え、あらゆる無機物を溶解した。ジクロロメタン層を分離し、水性層を同じ溶媒15mlで逆抽出した。合わせた有機物をTLC(Kieselgel 60−酢酸エチル)に付して、ほぼRf=0.15に単一のUV/青色螢光の点を示し、原点にテーリングしている。溶液を蒸発させ、40℃で真空に排気した。次に粘性で黄色の油状物を、ジクロロメタン/酢酸エチル50/50の最小量に溶解し、非常に短いプラグのシリカゲルに通した。溶離剤を、ジクロロメタン/ヘキサンの混合物により数回ストリッピング及びチェーシングをした。油状生成物は2.7gの重量であった。NMR及びIR分光分析法は、実質的に純粋な生成物を示したが、水分の存在が示された。NMR (300 MHz/CDCl3): δ 1.21-1.36 (m, 6H), 3.46 (s, 3H), 3.93-4.21 (m, 7H), 4.59-4.64 (d, 1H), 7.07 (s, 1H), 7.47-7.52 (m, 3H), 7.57 (s, 1H), 8.11-8.14 (m, 2H).IR (CH2Cl2/cm-1): 3660 & 3460 (H2O), 2980, 2935, 2860, 1597, 1570, 1510, 1480, 1460, 1445, 1408, 1342, 1245-1285(br), 1100, 1040(br), 965(br), 865, 840, 610.【0052】実施例7:6−(メトキシトリシクロ〔3.3.1.13.7〕デシ−2−イリデンメチル)−2−フェニル−4−メトキシベンゾチアゾール前記工程の排気されたホスホナートエステル2.7g(6.4mmol)を、無水THF 25mlにアルゴン下で溶解した。溶液を、隔膜及びアルゴン風船を装備したフラスコで、撹拌しながら−78℃に冷却した。溶液を、ヘキサン中の2.5M n−BuLiの十分量により滴下して処理して、ほぼパーマネントレッドパープル色を達成した。この方法で、水分及びプロトン性不純物の全てを滴定した。続いて、同じn−BuLi溶液2.7ml(6.75mmol)を滴下して加えて、バーガンディ色の溶液を得た。低温で10分間撹拌した後、2−アダマンタノン(0.95g、6.33mmol)を、水分を除外するためにアルゴンの強流下で、固形物として加えた。固形物を10分かけて溶解した。次に溶液を徐々に室温に温めた。アルゴン雰囲気を維持しながら、還流冷却器を装着した。混合物を1.5時間還流して、薄橙色の溶液を得た。次にTHFを、注意深く発泡を避けながら、ロータリーエバポレーターでストリッピングした。生成物を、酢酸エチル25mlと飽和重炭酸ナトリウム/水1:1 50mlに分配した。次に有機層を水25mlで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ストリッピングして、薄黄色のガムを得た。ガムを、微量の極性汚染物を除去するためにクロロメタンにより溶離して、短いカラムのシリカゲルのプラグクロマトグラフィーに付した。適切な画分を排気して、ジクロロメタン−ヘキサンによりチェーシングした。排気された生成物は2.14gの重量であり、冷凍庫で保管すると半固形物になった。IR分光分析法では、小さい2−アダマンタノンカルボニルバンドを表し、それは微量の汚染を示し、次の工程で除去された。IR (CH2Cl2/cm-1): 2920, 2850, 1597, 1567, 1450, 1402, 1330, 1320, 1310, 1252, 1165, 1100, 1057, 978, 865, 640, 620. トレースAD=1720 及び 1710で0。【0053】実施例8:6−(メトキシトリシクロ〔3.3.1.13,7〕デシ−2−イリデンメチル)−2−フェニル−4−ヒドロキシベンゾチアゾールDMF中のナトリウムエタンチオラートを60%水素化ナトリウム及びエタンチオールから調製した(60%水素化ナトリウム240mg(6mmol)を、アルゴン雰囲気下にヘキサンで3回洗浄して鉱油を除去した)。DMF 11mlを加えた。エタンチオール(0.45ml、6mmol)を滴下して加え、撹拌しながら、得られた懸濁液を0℃に冷却した。水素の発生が停止した後、溶液を室温に温め、別個のフラスコ中のメトキシ〔2−フェニル−4−メトキシ(ベンゾチアゾール−6−イル)メチリデンアダマンタン1.64g(3.9mmol)にアルゴン下でピペットにより加えた。得られた溶液を油浴中に130℃で撹拌した。1時間後、溶液は濃橙色になり、懸濁固形物を含有した。反応混合物を冷却し、1M塩化アンモニウム及び75%酢酸エチル/ヘキサンの各50mlに分配した。有機層を水25mlで3回洗浄した。合わせた水性層を同じ溶媒混合物で逆抽出し、次に水で数回洗浄した。合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥した。TLC(Kieselgel 60−ジクロロメタン)は、Rf=0.23で生成物を示したが、Rf=0.39で出発物質を示した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:50%ジクロロメタン−ヘキサン〜純粋ジクロロメタン)は、低Rf生成物の純粋な画分1個を単離した。混合画分を繰返しクロマトグラフィーに付して、更なる生成物を単離した。溶媒をストリッピングした後、上記の標記生成物の合計245mgを得た。NMR (300 MHz/CD2Cl2): δ 1.74-2.07 (m, 14H), 2.71 (s, 1H), 3.26 (s, 1H), 3.32 (s, 3H), 6.76 (s, 1H), 6.94 (d, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.44-7.59 (m, 3H), 7.99-8.16 (m, 2H).IR (CH2Cl2/cm-1): 3520, 2910, 2850, 1612, 1575, 1480, 1445, 1302, 1284, 1175, 1080, 980, 860.【0054】実施例9:二ナトリウム6−(メトキシトリシクロ〔3.3.1.13,7〕デシ−2−イリデンメチル)−2−フェニルベンゾチアゾリル−4−ホスファート分子篩乾燥ピリジン4.0mlをフラスコにアルゴン下で配置した。フラスコは、電磁撹拌棒を備え、氷浴に配置された。蒸留オキシ塩化リン0.112ml(1.2mmol)をシリンジにより滴下して加えた。他のフラスコで前記実施例のヒドロキシベンゾチアゾール誘導体245mgを、無水THF 15mlにアルゴン下で溶解した。次にTHF溶液を、リン酸化剤の撹拌した溶液に徐々に滴下して加えた。添加の間、沈殿物が発生した。添加の終了時に、フラスコ及びシリンジをTHF 2mlですすぎ洗いし、また、そのTHFを反応フラスコに徐々に加えた。次に反応混合物を室温に温め、3時間撹拌した。先端に綿の付いたシリンジ20mlを使用して上澄みを吸い取り、ピリジン塩酸塩を残した。この上澄みを、0.5M水酸化ナトリウム溶液15mlに滴下して加え、氷浴温度で撹拌しながら、水で75mlの容量に稀釈した。僅かに曇った溶液を室温に温めて透明にした。溶液を、注意深く排出してTHFを除去し、容量を、アセトニトリル5.0ml及び水により110mlに調整した。この溶液を、Polymer Laboratories 社製2インチポリスチレン逆相HPLCカラムに2分割して注入した。勾配5%〜10%アセトニトリルを使用して、270nmにおいて最大ピーク吸収で分離させた。この勾配は、あらゆる特定の装置において最適化を必要とする。適切な画分を収集し、凍結乾燥して、薄黄色の固形物294mgを得た。分光データは上記の標記構造と一致した。同様の支持を有し、0.1%水性重炭酸ナトリウムに対するアセトニトリル勾配を使用した分析HPLCクロマトグラフィーは、13.2分で溶離する単一生成物を示した(約50%アセトニトリル)。NMR (300 MHz/D2O): δ 1.38-2.02 (m, 14H), 2.51 (s, 1H), 3.00 (s, 3H), 7.26-7.53 (m, 5H), 7.75-8.04 (m, 2H).【0055】実施例10:二ナトリウム6−(メトキシスピロ−〔1,2−ジオキセタン−3,2′−トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン〕−4−イル)2−フェニルベンゾチアゾリル−4−ホスファート前工程のエノールエーテルホスファート285mgを管に配置した。固形物をメタノール1.0mlで湿潤し、次にジクロロメタン25mlを加えて溶解した。次に溶液を5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン(CHCl3中2mg/ml)の溶液0.5mlで処理した。溶液に酸素ガスを噴霧しながら管の内容物を0℃に冷却した。5分後、酸素が溶液から泡立ち続けている間、温度を5℃に維持しながら、冷却した400ワットのナトリウムランプにより管を照射した。ランプと管の間に Kapton ポリイミドフィルムの5mm 厚切片を配置して、不要なUV放射線を取り除いた。照射を17分間続けた。分析HPLC〔0.1%NaHCO3(H2O)−アセトニトリル勾配〕は、出発物質(13.2分で溶離)の1,2−ジオキセタン(12.94分で溶離)への変換が実質的に完了したことを示した。反応混合物から溶媒をストリッピングして、赤色のガムを得た。アセトニトリル5ml及び0.05M水性水酸化ナトリウム20mlを、渦巻き及び随時冷却しながら加えてガムを溶解した。次にDI水を加えて総容量を70mlにした。この溶液を高い保持力を有する紙フィルタを通して濾過し、少量づつ水で注意深く洗浄して、110mlの容量の濾液を得た。この溶液を、Polymer Laboratories 社製1インチポリスチレン逆相HPLCカラムに2分割して注入した。勾配5%〜100%アセトニトリル(水に対して)を使用して、270nmにおいて最大ピーク吸収で分離させた。この勾配は、あらゆる特定の装置において最適化を必要とする。同様の支持を有し、0.1%水性重炭酸ナトリウムに対するアセトニトリル勾配を使用した、合わせた生成物の分析HPLCクロマトグラフィーは、12.96分で溶離する単一生成物を示した(約50%アセトニトリル)。適切な画分を収集し、凍結乾燥して、薄黄色の固形物287mgを得た。生成物1,2−ジオキセタンは、pH8.5で水性緩衝液中においてアルカリ性ホスファターゼによりトリガーされたとき、558nmで緑色光を発生した。UV: 213, 260.5 及び 50/50 CH3CN/H2Oにおける304 nm【0056】実施例11:2−メトキシ−4,6−ジブロモフェニルイソチオシアナート4,6−ジブロモ−o−アニシジン19.75g(70mmol)及び固形重炭酸塩20gを、フラスコにアルゴン下で配置した。大型で強力な電磁撹拌棒を適用し、続いてアセトニトリル120ml及びジクロロメタン50mlを加えた。チオホスゲン6.0mlをシリンジにより急速に加えながら、懸濁液を0℃で撹拌した。直後に濃厚な沈殿物が発生した。フラスコの内容物を徐々に室温に温めながら、激しく撹拌した。発生した二酸化炭素を、ニードルベントを有する泡立て器に導いた。混合物は温まると僅かに稀薄になり、より容易に撹拌された。激しい撹拌を2時間続けた。次に懸濁液を0℃に再冷却した。固形物を Buchner 漏斗で濾取し、フラスコをすすぎ洗いし、あらゆる残留固形物を冷却アセトニトリル30mlによって移した。濾液をロータリーエバポレーターに付して、橙色の変色領域を含む固形物にした。この固形物をヘキサンでこね、排気乾燥し、白色の元のフィルターケークを含有する Buchner 漏斗に移した。この固形物を、存在する無機重炭酸塩(二酸化炭素は放出された)を中和するために、NaH2PO4の0.5M水溶液5×100mlにより洗浄した。固形物をすすぎ洗いの度に砕いた。次に白色の生成物を水で十分に洗浄し、真空下に乾燥した。無水生成物は21.8gの重量であった。同様の合成生成物から得られた分析データは、上記の標記構造と一致した。NMR (300 MHz/CDCl3): δ 3.92 (s, 3H), 6.98 (d, 1H), 7.31 (d, 1H).IR (CH2Cl2/cm-1): 3020, 2970, 2940, 2030(br), 1575, 1555, 1470, 1400, 1040, 935, 870, 840.【0057】実施例12:2−フェニル−4−メトキシ−6−ブロモベンゾチアゾール〔1ポット方法〕前記実施例のイソチオシアナート15.5g(48mmol)を、無水THF 50mlにアルゴン下で溶解した。溶液を氷浴中で撹拌しながら0℃に冷却した。フェニルマグネシウムブロミド(Aldrich 社製、THF中1.0M)50ml(50mmol)を、シリンジにより稀薄流で加えた。冷却中に10分間撹拌した後、溶液を徐々に室温に温めた。この時点で僅かに発熱しながら沈殿物が発生し始めた。薄橙−茶色の懸濁液は2時間で濃厚となった。溶媒を30℃でロータリーエバポレーターにより除去して、ガラスを被覆する湿った桃色の固形物を得た。篩乾燥DMF 50mlを加えて、この材料を空気から保護した。固形物は僅かに発熱しながら溶解した。フラスコを125℃で油浴に配置した。45分間で、あらゆる残留THFを、短路蒸留ヘッドを使用してフラスコから留去した。混合物はこの間に暗色化し、懸濁固形物が発生した。室温に冷却すると、フラスコの内容物は固形化した。水性1M HCl 100mlを加え、固形物を砕いた。続いて水100mlを加えた。混合物を冷浸して、あらゆる対応するマグネシウムイオンを除去した。次に混合物を濾過し、水で十分に洗浄した。湿った固形物を温酢酸エチル2×250mlに取り、不溶フロックから上澄みを分離した。合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、ストリッピングして、薄茶色の固形物13.27gを得た。TLCは、Rf=0.47で主な青色螢光生成物の点を示し、微量のUV吸収不純物が、より高いRfで存在した(Kieselgel 60−ジクロロメタン)。少量の着色原点を、シリカゲルのプラグクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により除去した。適切な画分を合わせて、生成物(実施例3と実質的に同一)12.29gを得たが、高いRfで微量の不純物をまだ含有した。本実施例の反応は、また、フェニルマグネシウムブロミドをイソチオチアナートと反応させて、実施例2のチオアミド生成物を得た後の、酸性化及び作用であり得る。【0058】下記も上記の一般的な合成方法論に従って合成した。当業者は、必要に応じて些細な修正を容易に行うことができる。ベンゾチアゾール系へのあらゆる他の経路も同様に適用され得る。【0059】実施例13:2−(p−ベンジルオキシベンズアミド)−3,5−ジブロモアニソールNMR (300 MHz/DMSO-d6): δ 3.79 (s, 3H), 5.21 (2H), 7.11-7.14 (d, 2H), 7.34-7.52 (m, 7H), 7.93-7.96 (d, 2H), 9.70 (s, 1H).【0060】実施例14:N−(2,4−ジブロモ−6−メトキシ)−p−ベンジルオキシフェニルチオベンズアミドNMR (300 MHz/DMSO-d6): δ 3.80 (s, 3H), 5.22 (2H), 7.08-7.11 (d, 2H), 7.32-7.55 (m, 7H), 7.95-7.98 (d, 2H), 11.12 (s, 1H).【0061】実施例15:2−(p−ベンジルオキシ)フェニル−4−メトキシ−6−ブロモベンゾチアゾールNMR (300 MHz/DMSO-d6): δ 4.00 (s, 3H), 5.21 (2H), 7.17-7.22 (m, 3H), 7.34-7.50 (m, 5H), 7.98-8.01 (m, 3H).【0062】実施例16:2−(p−ベンジルオキシ)フェニル−4−メトキシ−6−ホルミルベンゾチアゾールNMR (300 MHz/DMSO-d6): δ 4.05 (s, 3H), 5.23 (2H), 7.20-7.23 (d, 2H), 7.33-7.50 (m, 6H), 8.05-8.08 (d, 2H), 8.31-8.32 (d, 1H), 10.04 (s, 1H).【0063】実施例17:2−(p−ベンジルオキシ)フェニル−4−メトキシ−6−ホルミルベンゾチアゾールジメチルアセタールIR (CHCl3/cm-1): 3000, 2940, 2840, 1611, 1580, 1530, 1490, 1470, 1355, 1180, 1155, 1060, 1020, 980, 838, 700.【0064】実施例18:ジエチル−1−メトキシ−1−〔2−(p−ベンジルオキシ)フェニル−4−メトキシベンゾチアゾール−6−イル〕メタンホスホナートNMR (300 MHz/CDCl3): δ 1.19-1.37 (m, 6H), 3.43 (s, 3H), 3.86-4.18 (m, 7H), 4.51-4.75 (m, 1H), 5.12 (s, 2H), 7.02-7.03 (m, 2H), 7.30-7.52 (m, 7H), 8.02-8.06 (m, 2H).【0065】実施例19:6−(メトキシトリシクロ〔3.3.1.13.7〕デシ−2−イリデンメチル)−2−(p−ベンジルオキシ)フェニル−4−メトキシベンゾチアゾールNMR (300 MHz/CDCl3): δ 1.78-2.1 (m, 14H), 2.74 (s, 1H), 3.30 (s, 1H), 3.35 (s, 3H), 4.06 (s, 3H), 5.12 (s, 2H), 6.85-6.96 (m, 1H), 6.99-7.12 (m, 2H), 7.29-7.50 (m, 6H), 7.99-8.14 (m, 2H).【0066】【表1】【0067】【図面の簡単な説明】【図1】 縮環(ヘテロアリール)ベンゾチアゾール1,2−ジオキセタンホスフェートを示す。【図2】 (省略)【図3】 本発明の式Iのジオキセタンの合成を示す。【図4】 本発明の式Iのジオキセタンの合成を示す。【図5】 本発明の式Iのジオキセタンの中間体の合成を示す。【図6】 (省略)【図7】 エネルギー移動を用いた赤色発光ジオキセタン系の合成および構造を示す。【図8】 エネルギー移動を用いた赤色発光ジオキセタン系の合成および構造を示す。【図9】 本発明のジオキセタンの発光スペクトルを示す。【図10】 本発明のジオキセタンの発光スペクトルを示す。【図11A】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。【図11B】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。【図12A】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。【図12B】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。【図13A】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。【図13B】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。【図14A】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。【図14B】 市販の従来技術のジオキセタンと比較した、本発明のジオキセタンの、化学発光キネティックスの速度、および感度を示す。 式(式中、Tは、であり、 両者のRは一体となってジオキセタン環にスピロ結合したスピロアダマンチル基を形成し、 R1は、メチル基であり、 YはHであり、 Xはホスフェートである)で表される、1,2−ジオキセタン化合物。 請求項1記載の化合物を含有する、試料中の第一物質の検出用キット。 上記ジオキセタンの存在下、上記ジオキセタンを分解させる酵素をさらに含有する、請求項2記載のキット。 四級オニウムポリマーである水溶性増強物質をさらに含有する、請求項2又は3記載のキット。 上記キットが、界面活性剤である増強添加剤をさらに含有する、請求項2〜4のいずれか1項記載のキット。 試料に請求項1記載の化合物(ただし、ホスフェートは第一物質によって除去されるものである)を添加する工程、上記試料をインキュベートする工程及び光の発生について上記試料を調べる工程を含み、そのように発生する光が上記第一物質の存在を示し、検出される光の量がその量を示すものである、上記試料中の第一物質を検出する方法。 上記方法が、検出される光の量を増強させるために、上記試料に四級オニウムポリマーである増強剤を添加する工程をさらに含むものである、請求項6記載の方法。 その光がCCDカメラによって検出される、請求項6又は7記載の方法。 上記四級オニウムポリマーがホスホニウム、スルホニウムおよびアンモニウム四級オニウムポリマーからなる群より選択される、請求項7記載の方法。 上記方法が、界面活性剤である増強添加剤を添加する工程をさらに含むものである、請求項6〜9のいずれか1項記載の方法。 上記物質が酵素である、請求項6〜10のいずれか1項記載の方法。


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