タイトル: | 特許公報(B2)_置換されたピリジンカルボン酸の改善された製造方法 |
出願番号: | 2000555871 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 213/803,C07D 213/80,C07D 215/00,C07B 41/08,C07B 33/00 |
シュタインバウアー・ゲーアハルト ツィンマーマン・クルト ヴレスネッガー・エルンスト シュタインヴェンダー・エーリヒ JP 4610737 特許公報(B2) 20101022 2000555871 19990604 置換されたピリジンカルボン酸の改善された製造方法 デーエスエム・ファイン・ケミカルズ・オーストリア・ナッハフォルゲル・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト 599065370 江崎 光史 100069556 三原 恒男 100092244 鍛冶澤 實 100111486 シュタインバウアー・ゲーアハルト ツィンマーマン・クルト ヴレスネッガー・エルンスト シュタインヴェンダー・エーリヒ AT A 1069/98 19980622 20110112 C07D 213/803 20060101AFI20101216BHJP C07D 213/80 20060101ALI20101216BHJP C07D 215/00 20060101ALN20101216BHJP C07B 41/08 20060101ALN20101216BHJP C07B 33/00 20060101ALN20101216BHJP JPC07D213/803C07D213/80C07D215/00C07B41/08C07B33/00 C07D 213/00-803 CA/REGISTRY(STN) O'MURCHU, C. ,Ozonolysis of quinolines: a versatile synthesis of polyfunctional pyridines,Synethesis,1989年,No.11,p.880-882 7 EP1999003882 19990604 WO1999067217 19991229 2002518479 20020625 7 20060403 齋藤 恵 【0001】【従来の技術】置換されたピリジンカルボン酸は除草剤の合成のための重要な原料である。そのためそれの工業的規模での製造は非常に重要である。置換されたピリジンカルボン酸製造のための方法の一つは、対応する置換されたキノリンをオゾン分解する方法である(O'Murchu, Synthesis (1989) p.880-882)。この方法では、塩基性の官能基を有するキノリン原料を、硫酸塩としての硫酸を添加することによって、水と酢酸との混合物中に溶解し、そしてこの溶液中でオゾン分解を行う。ピリジンカルボン酸の置換態様に依存して(特に、置換されたピリジン-2,3- ジカルボン酸が反応生成物として望まれる場合)、この反応混合物を過酸化水素で更に酸化する。【0002】工業的に重要な物質は2-アセチルニコチン酸である。これは8-メチルキノリンをオゾン分解することによって製造することができる。【0003】しかし、対応する合成法を工業的規模で行うと、結晶化操作によっては実際上生成物から除去することができない副生成物が生じる。その結果、次の反応に必要とされる高い純度を達成することができない。除去が困難なこのような副生成物の構造として、ピリジン環においてアルキル化された置換されたピリジンカルボン酸が確認された。2-アセチルニコチン酸を製造するための8-メチルキノリンのオゾン分解の場合は、2-アセチル-4- メチルニコチン酸及び2-アセチル-6- メチルニコチン酸が確認され、この際、酢酸エチル、メチル-tert.- ブチルエーテル、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルイソブチルケトン、ブタノールまたは水などの溶剤から結晶化させた場合は4-メチル誘導体が生成物中に残存する。【0004】この副生成物が生成する原因が、反応混合物中に含まれる数ppm 量の鉄にあることが見出された。少なくとも部分的には素材をステンレススチールとする構成要素から建設される工業的なプラントにおいては、微量の鉄の混入は実際上不可避である。これは、本件の場合のように、水性の強酸性溶液中で作業を行う場合には特に当てはまる。【0005】【発明が解決しようとする課題】それゆえ、本発明の課題は、微量の鉄などの金属の存在下でも上記の副生成物の生成を防ぐことができる、対応する置換されたキノリンをオゾン分解することによって置換されたピリジンカルボン酸を製造するための改善された工業的方法を見出すことであった。【0006】【課題を解決するための手段】それゆえ、本発明の対象は、以下の式【0007】【化3】【0008】で表され、かつその2位及び/または3位及び/または4位においてR3によって置換され、及び6位及び/または7位においてはR4によって置換されており、そして式中、R1及びR2はHまたはC1-C3 アルキル基を意味しそしてR3及びR4は反応条件下に不活性の基を意味し、そして基R1及びR2のうちの少なくとも一つはHではない、キノリンを、水性酸性溶液中で、−5〜+40℃の温度でオゾンと反応させ、こうして得られた溶液を、形成した過酸化物を分解させるために、酸素または空気の導入下に0.5 〜15時間の間、0〜100 ℃の温度に維持し、そして以下の式【0009】【化4】【0010】[ 式中、R3は上で定義した通りであり、R5及びR6はOHまたはC1-C3-アルキル基を意味し、そして基R5及びR6のうちの少なくとも一つはOHではない]で表される対応する置換されたピリジンカルボン酸を反応混合物から単離することを特徴とする、キノリンのオゾン分解によって置換されたピリジンカルボン酸を製造するための改善された方法である。【0011】本発明の方法では、式Iのキノリンを式IIの置換されたピリジンカルボン酸に転化する。ここで、適当なキノリンは、5位または8位において、メチル基、エチル基、iso-プロピル基またはn-プロピル基によって置換されている。更に、上記キノリンは、2位及び/または3位及び/または4位において、水素、C1-C3-アルキル基、C1-C3-アルコキシ基、ハロゲンなどのもので置換されていることができる。好ましくは2位、3位及び4位のうち一つの位置だけが置換されており、特に好ましくは、原料として使用されるキノリンは、2位、3位及び4位に置換基として水素を有する。原料として適したキノリンは、6位及び/または7位においても、反応条件下に不活性の基によって、例えばC1-C3-アルキル基、C1-C3-アルコキシ基、ハロゲン基などによって置換されていることができる。更に、8位においてメチル基またはエチル基によって置換されており及び5位が水素によって占められているキノリンも好ましい。これらの例は、8-メチルキノリン、3-エチル-8- メチルキノリンである。特に好ましくは、8-メチルキノリンが使用される。【0012】上記原料は商業的に入手可能であり、また例えばスクラウプ(Skraup)合成によって製造することもできる。スクラウプ合成については、例えば、C.O'Murchu, Synthesis 1989, P.880-882 に記載されている。【0013】対応する反応は、本発明では、水性酸性溶液中で行われる。ここで酸としては、例えば、硫酸、硝酸またはリン酸などの鉱酸が適している。【0014】場合によっては、酢酸、メタノールなどの追加の溶剤を添加してもよい。しかし、置換されたキノリン用の溶剤としての水性鉱酸中だけでオゾン分解が行われるように、酢酸の使用は避けるのが好ましい。特に好ましくは、硫酸水溶液が使用される。鉱酸の量はそれほど重要ではない。水性鉱酸の他に、更に別の溶剤(例えば酢酸)を使用しない場合は、当然ながら、原料の均一な溶液を調製するために、キノリンの塩を形成させるのに十分な量で、すなわち置換されたキノリンに対して硫酸の場合は0.5 当量、硝酸の場合は1当量の量で、鉱酸を使用しなければならない。【0015】原料は水性酸性溶液中に溶解させる。この際、原料の濃度は2〜30重量%、好ましくは2.5 〜10重量%であるのがよい。原料の濃度が低い方が、所望とする最終生成物の収率は高くなる。このように得られた溶液を、当量のまたは過剰量のオゾンが消費されるまで、オゾンを運ぶO2 流でガス処理する。その終点、すなわち反応時間は理論的なオゾン量の消費によって与えられ、またこれと同時にオゾンの発生量が高まるので、これからも簡単に確認できる。更に、反応の終点は、置換されたキノリンの反応の収まりについて適当なプロセス内監視をすることによってもも簡単に確認できる。【0016】オゾン分解の温度は−5〜+40℃である。好ましくは、0〜+10℃の温度が選択される。オゾン分解の後、溶液を加熱することによって中間生成物である対応する過酸化物を分解し、ここで所望とする置換されたピリジンカルボン酸が生ずる。この過酸化物の分解の際の温度は0〜100 ℃、好ましくは約50〜70℃であり得る。当然ながら、過酸化物の分解のための時間は選択した温度に依存し、例えば60℃では約2.5 時間続ける。本発明による方法では、過酸化物の分解のために、過酸化水素などの更なる酸化剤を使用することは必要不可欠ではない。【0017】過酸化物の分解と同時に、酸素を反応溶液中に導入する。この際、酸素は純粋な酸素の形または空気の形で使用することができる。この処置によって、4位または6位でアルキル化された最終生成物の生成が避けられる。この過酸化物の分解は、過酸化物の残量が多くとも5mmol/Lになるまで行われる。過酸化物の残量は、更に仕上げする前に、ピロ亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を添加することによって破壊することもできる。副反応としてのラジカル反応は主に過酸化物分解の終点時に起こるため、極微量のppm 量の鉄が反応混合物中に存在する場合は、過酸化物の分解を中断しそして存在する過酸化物の残量を還元剤で還元することによって、4位または6位でアルキル基によって置換されたピリジンカルボン酸の生成を最小限に抑えることができる。この場合、酸素の導入は場合によっては無しで済ませることができる。副生成物の含量は、0.1 重量%を超えるべきではない(例えばHPLCまたはGCで測定する)。【0018】所望とする最終生成物は反応溶液から抽出することによって単離される。ここで、抽出の間のpH値は、4未満、好ましくは2.5 未満であるのがよい。所望とするpH値への調節は、主に、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いて行われる。【0019】抽出のための溶剤としては、主に、トルエン、メチル-tert.- ブチルエーテル、酢酸エチルまたはn-ブタノールが適している。【0020】特に好ましくは、酢酸エチルまたはメチル-tert-ブチルエーテルが抽出剤として使用される。抽出後、得られた有機相を、好ましくは10〜30重量%の生成物濃度まで、濃縮し、そして−10〜+10℃で所望とする最終生成物が晶出する。【0021】有機溶剤を蒸発させる際、この溶剤が水と共沸混合物を形成する場合は、水も共沸除去される。【0022】本発明の方法によって、式IIで表される所望とする置換されたピリジンカルボン酸が70〜80%の収率で得られる。生成物の純度は98%を超える。本発明の方法は、好ましくは、2-アセチルニコチン酸(ANA) の製造に使用される。【0023】ここでANA は、70〜75%の収率で及び98%を超える純度で得られる。邪魔な2-アセチル-4- メチルニコチン酸などの副生成物は生成しないかまたは無視し得る程度の量でしか生じない。【0024】本発明に従い製造されるピリジンカルボン酸は、その高純度の故に、除草剤の製造のための原料として特に良好であり、2-アセチルニコチン酸は、主に、置換されたセミカルバゾンに基づく除草剤の製造に好適である。【0025】それゆえ、更なる対象の一つは、本発明に従い製造されたピリジンカルボン酸を除草剤の製造に使用することである。【0026】【実施例】例1(比較試験)12kgの8-メチルキノリン(84mol) を、250 リットルの水及び9.5kg の60%濃度硝酸(90mol) 中に溶解した。この溶液を1℃まで冷却し、そしてこの溶液中に、オゾンを60g/m3含む酸素流を導入した。この作業は、この溶液中の8-メチルキノリンの残量が約1g/L に達するまで(GCによって測定)行った。次いで、過酸化物を分解するために、この溶液を4時間60℃に加熱した。この過酸化物分解の終点は滴定(ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、デンプン)することによって決定した。過酸化物の残量は1mmol/Lであった。【0027】同様に行った3つのバッチを精製した。過酸化物溶液中には12ppm の含量の鉄が検出された。【0028】50%濃度の苛性ソーダ溶液を用いてpHを1に調節し、そしてその溶液を、篩底型抽出器(Siebbodenextraktor)を通して向流状態及び1/1 の相比において酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルを留去することによって、その抽出物を約180 リットルの体積に濃縮した。この溶液を−5℃にまで冷却し、生成物を加圧吸引濾過器を通して濾別し、前もって冷却した酢酸エチルで洗浄し、そしてこの加圧吸引濾過器上で減圧乾燥した。【0029】28kg( 理論値の67%) の2-アセチルニコチン酸が得られ、これは、GC及びHPLC分析によると、2-アセチル-4- メチルニコチン酸を0.75%含んでいた。【0030】このようにして、9.1 %までの割合で2-アセチル-4- メチルニコチン酸を含む幾つかのバッチが得られた。【0031】例2例1と同様にして製造されたオゾン化溶液300ml 中に、酸素流を導入した。25pmm の鉄含量に相当する40mgの硫酸鉄(II)五水和物をこの溶液に添加し、そしてこの混合物を、更に酸素の導入下に、2.5 時間60℃に加熱した。滴定によって3mmol/L の過酸化物含量が確認された。50%濃度苛性ソーダ溶液を用いてpHを1に調節しそして酢酸エチルで抽出した後、2-アセチルニコチン酸が得られ、この生成物中には副生成物である2-アセチル-4- メチルニコチン酸は検出できなかった。【0032】例3250kg の8-メチルキノリン(1.75kmol)を、3200リットルの水及び180kg の96%濃度硫酸(1.75kmol)中に溶解した。この溶液を1℃の温度に冷却し、次いでオゾンを50〜60g/m3含む酸素流を導入した。これは、8-メチルキノリンの残量が約1g/リットルに到達するまで行った(GCで測定)。【0033】オゾン分解後、得られた反応混合物を60℃の温度の2000リットルの水を含む容器中に注ぎ移した。過酸化物の分解の間に、1時間当たり2m3の空気をこの水溶液中に連続して導入した。過酸化物の分解は、過酸化物残量が3〜5mmol/ リットルになるまで(滴定により測定)、60℃の温度で2時間行った。【0034】50%濃度の苛性ソーダ溶液を用いて1.5 〜2のpH値に調節し、そしてこの溶液を、篩底型抽出器を通して、向流状態及び1.5/1 のメチル-tert.- ブチルエーテル/水溶液の相比にて、メチル-tert.- ブチルエーテルで抽出した。メチル-tert.- ブチルエーテルを留去することによって、その抽出物を約10重量%の濃度まで濃縮した。【0035】得られた溶液を−10℃まで冷却し、生成物を加圧吸引濾過器を通して濾過し、前もって冷却したメチル-tert.- ブチルエーテルで洗浄し、そしてこの吸引濾過器上で減圧乾燥した。【0036】202 kg( 理論値の70%) の2-アセチルニコチン酸が得られた。【0037】HPLC分析によるその純度は98.5%であり、副生成物としての2-アセチル-4- メチルニコチン酸は検出できなかった。 以下の式で表され、2位及び/または3位及び/または4位においてR3によって置換され、及び6位及び/または7位においてR4によって置換されており、そして式中、R1及びR2はHまたはC1-C3-アルキル基を意味し、そしてR3は水素、C1-C3-アルキル、C1-C3-アルコキシまたはハロゲンを意味し、R4は水素、C1-C3-アルキル、C1-C3-アルコキシまたはハロゲンを意味し、そして基R1及びR2のうちの少なくとも一つはHではない、キノリンを、水性酸性溶液中で−5〜+40℃の温度でオゾンと反応させ、こうして得られた溶液を、生成した過酸化物を分解するために、酸素または空気の導入下に0.5 〜15時間0〜100 ℃の温度に維持し、そして以下の式[ 式中、R3は上記で定義した通りであり、R5及びR6はOHまたはC1-C3 アルキル基を意味し、この際、基R5及びR6のうちの少なくとも一つはOHではない]で表される対応する置換されたピリジンカルボン酸を反応混合物から単離することを特徴とする、キノリンのオゾン分解によって置換されたピリジンカルボン酸を製造するための改善された方法。 式Iのキノリンとして、8-メチルキノリンまたは3-エチル-8- メチルキノリンを使用することを特徴とする、請求項1の方法。 水性酸性溶液として、硫酸水溶液、硝酸水溶液またはリン酸水溶液を使用することを特徴とする、請求項1の方法。 オゾンとの反応を0〜+10℃で行うことを特徴とする、請求項1の方法。 過酸化物の分解を50〜70℃で行うことを特徴とする、請求項1の方法。 酸素を純粋な酸素の形または空気の形で導入することを特徴とする、請求項1の方法。 抽出することによって、置換されたピリジンカルボン酸を反応混合物から単離することを特徴とする、請求項1の方法。