生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_無水酢酸の製造方法
出願番号:2000545819
年次:2011
IPC分類:C07C 51/56,C07C 53/12,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

ジョーンズ,ウィリアム クロフォード クワーコ,エリーナー ホーキンス JP 4662624 特許公報(B2) 20110114 2000545819 19990413 無水酢酸の製造方法 イーストマン ケミカル カンパニー 594055158 石田 敬 100077517 鶴田 準一 100092624 竹内 浩二 100105706 西山 雅也 100082898 樋口 外治 100081330 ジョーンズ,ウィリアム クロフォード クワーコ,エリーナー ホーキンス US 09/066,985 19980424 20110330 C07C 51/56 20060101AFI20110310BHJP C07C 53/12 20060101ALI20110310BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110310BHJP JPC07C51/56C07C53/12C07B61/00 300 C07C 53/12、51/54-51/573 特開平07−330657(JP,A) 再公表特許第95/05356(JP,A1) 特開平7−324055(JP,A) 特開平10−245362(JP,A) 6 US1999008026 19990413 WO1999055658 19991104 2002512995 20020508 9 20060412 神野 将志 【0001】本発明は、一酸化炭素の利用度を増大させる、無水酢酸を製造する改良されたカルボニル化方法に関する。更に詳しくは、本発明は、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む触媒成分並びに(iv)溶解一酸化炭素の混合物を、液体反応混合物中の一酸化炭素の濃度を増大させる方式で、一酸化炭素を混合物の表面よりも下には供給せずにカルボニル化ゾーン内で接触させることによる無水酢酸の液相製造に関する。前記混合物中に存在する酢酸メチル及び/又はジメチルエーテル、ヨウ化メチル並びに一酸化炭素が反応して無水酢酸を生成し、それによって混合物中の一酸化炭素の濃度を著しく低下させる。得られた反応混合物を、無水酢酸を分離し、回収する従来のフラッシュ蒸留に付すと、より少ない一酸化炭素が生成系から失われる。【0002】液相で、酢酸メチル及び/又はジメチルエーテル並びにヨウ化メチルを含む混合物を一酸化炭素と、ロジウム触媒の存在下に接触させることによる無水酢酸の製造は、特許文献に幅広く報告されている。例えば、米国特許第3,927,078号、同第4,046,807号、同第4,115,444号、同第4,252,741号、同第4,374,070号、同第4,430,273号、同第4,559,183号、同第5,003,104号及び同第5,292,948号並びにヨーロッパ特許第8396号、同第87,869号及び同第87,870号を参照されたい。これらの特許には、触媒系に、ある種のアミン及び第四級アンモニウム化合物、ホスフィン及びホスホニウム化合物並びにアルカリ金属塩、例えばヨウ化リチウムのような無機化合物のような助触媒が含まれている場合に、反応速度を上昇できることが開示されている。通常、反応(プロセス)混合物及び粗製生成物の両方は、酢酸のような不活性溶媒中の反応剤及び触媒成分の溶液からなる実質的に無水の均一な液体である。従って、このような無水酢酸プロセスから得られる粗製液状生成物は、プロセス溶媒として酢酸を使用する結果として、典型的に無水酢酸と酢酸との混合物を含む。酢酸は、生成系にメタノール及び/又は水を供給することにより、例えば、無水酢酸を含むプロセス再循環流に、及び/又はカルボニル化反応器に、メタノール及び/又は水を供給することにより、本プロセスに於いて共生成され得る。【0003】無水酢酸を製造する上記プロセスは、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル並びに(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む触媒成分の液体混合物を含む反応ゾーンに一酸化炭素を供給することによって実施される。一酸化炭素は、微細に分割された形態で、例えば、気体散布装置の手段によって液体混合物の表面よりも下に供給して、反応混合物中の一酸化炭素の濃度を最大にする。通常、この方法は、無水酢酸及び/又は酢酸中に溶解された反応剤化合物、ヨウ化メチル、酢酸のような不活性溶媒及び触媒成分並びに一酸化炭素を、反応ゾーンに連続的に供給し、そして反応ゾーンから、無水酢酸及び酢酸を含む粗製生成物混合物を連続的に取り出すことによって運転される。この粗製生成物混合物にはまた、粗製生成物中に溶解された、反応剤化合物、ヨウ化メチル、酢酸溶媒及び触媒成分並びに一酸化炭素も含まれている。この粗製生成物は、第一分離ゾーンに連続的に供給し、そこで圧力が低下し、粗製生成物はフラッシュ蒸留されて、(i)反応剤化合物、ヨウ化メチル、酢酸溶媒、無水酢酸生成物及び一酸化炭素を含む蒸気流出物並びに(ii)無水酢酸及び酢酸の混合物中に溶解触媒成分を含む液体流出物を作る。この蒸気流出物は、典型的に、第一分離ゾーンに供給された粗製生成物の約30〜90重量%からなる。この液体流出物は反応ゾーンに再循環され、この蒸気流出物は生成物回収ゾーンに供給され、そこで無水酢酸(及び任意の共生成された酢酸)は分離され、生成系から取り出される。他の凝縮性成分(酢酸メチル、ヨウ化メチル及び酢酸溶媒)は回収され、反応ゾーンに再循環される。【0004】粗製生成物混合物中に含まれている一酸化炭素は、多大の費用をかけてのみ回収することができる。例えば、パージガスの再圧縮及び再循環による一酸化炭素回収は、回収されたガスの不活性不純物成分、例えば、水素、メタン、二酸化炭素、窒素及びアルゴンが、反応系内に蓄積し、一酸化炭素分圧を低下させるので望ましくない。一酸化炭素からの不純物の除去には、極低温蒸留、吸着又は膜分離並びにその後の再圧縮のような複雑で資本集約的な方法が含まれる。排出された一酸化炭素の精製及び再圧縮のための装置の資本費用は、一酸化炭素の価値を超える。従って、第一分離ゾーンからの蒸気流出物中に含まれている一酸化炭素は、典型的には回収されず、著しい費用でプロセスから失われる。回収されない一酸化炭素は、反応ゾーンに供給される全一酸化炭素の10体積%以下を構成する。一酸化炭素が回収されない場合、気体状流出物を処理又は燃焼しなくてはならない。従って、粗製反応生成物中に存在する一酸化炭素を利用するための経済的な手段は、このプロセスの総括経済性を改良することになる。【0005】一酸化炭素の利用度が増加し、そうして総括生産並びにカルボニル化方法に供給される一酸化炭素の単位当たり生産される無水酢酸(及び任意の共生成された酢酸)の収率を増大させる、無水酢酸製造プロセスを開発した。即ち、本発明は、(1)第一反応ゾーンに、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒並びに(v)一酸化炭素を連続的に供給する工程(この工程においては、成分(i),(ii)及び(iv)を含む液体反応混合物の表面よりも下に一酸化炭素を供給し、そして反応剤化合物は無水酢酸に転化して、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)無水酢酸生成物を含む第一液体反応混合物を生成する)、(2)第一反応ゾーンから第一液体反応混合物を取り出し、これを、その中で第一液体反応混合物を含む液相とオーバーヘッド蒸気相とが維持されている少なくとも1個の反応容器からなる第二反応ゾーン(ここで、約10〜30絶対バール(bara)の一酸化炭素分圧が維持され、一酸化炭素は液相の表面よりも下には供給されず、第二反応ゾーン内の液相の滞留時間は少なくとも2分間、好ましくは約4〜10分間である)に供給して、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)無水酢酸生成物を含む第二液体反応混合物を生成する工程、並びに(3)第二反応ゾーンから第二液体反応混合物を取り出す工程を含む、実質的に無水条件下における無水酢酸の液相製造方法であって、この方法における一酸化炭素の利用度が増加する、即ち、第二液体反応混合物中の一酸化炭素の濃度が、第一液体反応混合物中の一酸化炭素の濃度よりも低い方法を提供する。典型的には、第二液体反応混合物中の一酸化炭素の濃度は、第一液体反応混合物中の一酸化炭素濃度の、約50体積%又はそれ未満、好ましくは約5〜50体積%である。【0006】米国特許第5,672,744号は、(1)第一反応器内で、ロジウム触媒、ヨウ化メチル、ヨウ化物塩、酢酸メチル及び水を含む反応液体の存在下に、メタノールを一酸化炭素でカルボニル化する工程(2)その中に溶解した一酸化炭素を有する反応液体を、第一反応器から取り出し、それを第二反応器の中に導入する工程(3)第二反応器内で、メタノールを反応液体中に溶解された一酸化炭素で、7〜30秒の滞留時間及び150〜250℃の温度でカルボニル化し、そして粗製酢酸混合物を生成する工程、並びに(4)この粗製酢酸混合物をフラッシュゾーンの中に導入して、それを蒸気相と液相とに分離する工程を含んでなる、酢酸の製造方法に関する。【0007】米国特許第5,672,744号は、第二反応器又は反応ゾーン内での少なくとも2分間の滞留時間を使用する、実質的に無水条件下における無水酢酸の製造方法を意図していない。更に、この'744号特許には、本発明の方法の第二反応ゾーン内で使用される特別の反応系を使用することの重要性は開示されていない。【0008】本発明の方法は、前記引用した特許刊行物のような文献に記載されている、ロジウム触媒作用カルボニル化方法の改良である。従って、本発明者らの新規な方法は、第一反応ゾーンに、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒並びに(v)一酸化炭素を連続的に供給し、その際、一酸化炭素を液体反応媒体の表面よりも下に供給することによって実施することができる。カルボニル化ゾーンへの供給物には、また、ヨーロッパ特許出願公開第87,869号及び同第87,870号に記載されているように無水酢酸と酢酸とを共生成するために、メタノール及び/又は水を含有させることができる。本発明の方法は、実質的に無水条件下に、即ち、水を検出できないか又は微量でのみ検出できる定常状態運転条件下で運転される。この方法に供給される任意の水は、無水酢酸の全てを酢酸に転化させるために必要な量よりも著しく少ない量で供給される。【0009】第一反応ゾーンは、撹拌用の手段を備えていてよい1個又はそれ以上の圧力容器を含んでいてよい。この容器設計は、管型反応器、カラム、槽、撹拌槽又は他のデザインであってもよい。第一反応ゾーンは、少なくとも1個の、1個又はそれ以上の内部バッフルを取り付けた一般的に円筒状の容器を含み、この内部バッフルは、一酸化炭素ガススパージャー供給装置と組合わさって、非常に撹拌された再循環反応混合物を作る。第一反応ゾーン内の反応剤の滞留時間は、通常少なくとも20分間であり、好ましくは、約30〜50分間の範囲内である。【0010】反応剤化合物、ヨウ化メチル及び一酸化炭素は、第一反応ゾーン内で反応して無水酢酸を生成し、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)無水酢酸生成物を含む第一液体反応混合物を生成する。この第一反応混合物を、第一液体反応混合物からなる液相とオーバーヘッド蒸気相とを含む少なくとも1個の反応容器を含んでなる第二反応ゾーンに供給する。第二反応ゾーンを構成する容器(群)は、カラム又は槽設計のものであってよく、その中に含有されている液相を撹拌する手段が備えられていてよい。一酸化炭素消耗は、撹拌した槽反応器設計に対して、プラグフロー設計について大きいので、撹拌しないプラグフロー反応器が好ましい。【0011】第二反応ゾーン内の全圧及び液体レベルを制御することによって、第一液体反応混合物から消耗される一酸化炭素の量は、触媒的に活性のロジウム錯体及び反応混合物中のその溶解度に対する可能性のある有害な影響になる、全部の又は殆ど全部の消耗を回避するために、予定のレベルに制御することができる。オーバーヘッド蒸気空間と共に反応器液体レベルを、蒸気空間が全反応器体積の約5〜30%であるように維持することが、重要な実際的な設計特徴である。この設計特徴によって、反応器が「封じ込められた」場合に、圧縮性ガスクッションが得られる。封じ込めが起きたとき、溶解した一酸化炭素の反応が完結まで進むので温度が上昇し、反応器液体の体積膨張が起こるであろう。ガスクッションが存在することにより、ガスは、反応器の水圧レリーフ(hydraulic relief)を有するよりも圧縮されるであろう。【0012】第二反応ゾーン内の全圧は、第一反応ゾーン内の全圧にほぼ等しく、好ましくは約30〜50baraの範囲内である。一酸化炭素は、ガスクッション及び所望の全反応圧力を維持するために、第二反応ゾーンの蒸気空間に供給することができる。これは、第二反応ゾーンを構成する反応器の上部の液体が、一酸化炭素の飽和限界よりも著しく低くなり(溶解した一酸化炭素が反応するので)、蒸気空間からの一酸化炭素がガスから液体の中に拡散するので必要であろう。追加の生成が、溶解一酸化炭素からと同様に、添加した一酸化炭素から達成されるであろう。第二反応ゾーンに於いて、一酸化炭素は液相の表面よりも下には供給しない。【0013】第二反応ゾーン内での液相の滞留時間は、少なくとも2分間、好ましくは約4〜10分間である。第一反応混合物中に溶解されている反応剤化合物、ヨウ化メチル及び一酸化炭素は、第二反応ゾーン内で反応して、追加の無水酢酸を生成し、それによって液相中の一酸化炭素の濃度を低下させる。第一反応混合物には、通常、第二反応ゾーンに於いて一酸化炭素と反応し、一酸化炭素を消費するために十分な反応剤化合物が含まれている。反応剤化合物は典型的に、第一反応混合物の全重量基準で、少なくとも5重量%の濃度で、好ましくは約20〜40重量%の範囲内の濃度で存在している。必要により又は所望により、追加の反応剤化合物を、第二反応ゾーンに添加することができる。【0014】(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)生成無水酢酸生成物を含む第二液体反応混合物を、第二反応ゾーンから取り出し、分離ゾーンに供給し、そこで生成物の無水酢酸と任意の共生成された酢酸とを回収する。前記のように、第二液体反応混合物中の一酸化炭素の濃度は、第一液体反応混合物中の一酸化炭素濃度の、約50体積%又はそれ未満、好ましくは約5〜50体積%である。【0015】運転の好ましい様式に於いて、第一液体反応混合物の反応剤化合物及びヨウ化メチル成分の転化は、この混合物を第二反応ゾーンのガス状空間に、微細に分割された形態で、例えば、スプレー又は乱流液体として供給することによって最大にすることができる。第二液体反応混合物は、第二反応ゾーンの反対側端部(底)から取り出す。この運転様式によって、ガス状空間における一酸化炭素の吸収又は消費が増大し、従って、第一液体反応混合物中の溶解一酸化炭素を減少するという主な目的を達成しながら、無水酢酸の生成が増大する。【0016】この反応ゾーンは、100〜300℃及び21.7〜276.7bara(300〜4000ポンド/平方インチ、ゲージ−psig)のような高い温度及び全圧力で維持されるが、175〜220℃及び35.5〜104.4bara(500〜1500psig)の範囲内の温度及び全圧が、更に一般的である。典型的に、第二反応ゾーン内での溶解一酸化炭素の反応が断熱的に起こることが可能であり、僅かな温度上昇、例えば、約5℃以下の上昇になる。カルボニル化ゾーンに供給されたガスは、本質的に一酸化炭素又は一酸化炭素と水素との混合物、例えば、一酸化炭素と7体積%以下の水素との混合物からなっていてよい。【0017】触媒系のロジウム成分は、三塩化若しくは三ヨウ化ロジウム、ロジウム水和物又はロジウムカルボニル錯体、例えば〔Rh(CO)2I〕2(これから、可溶性触媒活性ロジウム錯体が生成される)のような種々の形態で、方法に供給することができる。例えば、米国特許第4,374,070号及びRoth等、Chem. Tech., 1971年、第600頁の触媒説明を参照されたい。反応ゾーン内に含有される液体混合物中のロジウム濃度は、250〜1300ppmであってよいが、400〜1000ppmの濃度が典型的に使用される。【0018】触媒系の助触媒成分は、(1)ヨウ化リチウムのような無機ヨウ化物塩又は第四級有機リン化合物若しくは有機窒素化合物のヨウ化物塩又は(2)カルボニル化ゾーン内でヨウ化物塩を生成する無機化合物又は有機リン化合物若しくは有機窒素化合物であってよい。有機リン又は有機窒素ヨウ化物は、ヨウ化ホスホニウム、ヨウ化アンモニウム及び少なくとも1個の環へテロ原子が第四級窒素原子である複素環式芳香族化合物から選ぶことができる。このようなリン含有ヨウ化物及び窒素含有ヨウ化物の例には、トリブチル(メチル)ホスホニウムヨーダイド、テトラブチルホスホニウムヨーダイド、テトラオクチルホスホニウムヨーダイド、トリフェニル(メチル)ホスホニウムヨーダイド、テトラフェニルホスホニウムヨーダイド等のようなテトラ(ヒドロカルビル)ホスホニウムヨーダイド;テトラブチルアンモニウムヨーダイド及びトリブチル(メチル)アンモニウムヨーダイドのようなテトラ(ヒドロカルビル)アンモニウムヨーダイド並びにN−メチルピリジニウムヨーダイド、N,N′−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド、N−メチル−3−ピコリニウムヨーダイド、N−メチル−2,4−リチジニウムヨーダイド、N−メチル−2,4−ルチジニウムヨーダイド及びN−メチルキノリニウムヨーダイドのような複素環式芳香族化合物が含まれる。好ましいヨウ化化合物塩助触媒は、ヨウ化リチウム並びにテトラアルキルホスホニウムヨーダイド、トリフェニル(アルキル)ホスホニウムヨーダイド、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド及びN,N′−ジアルキルイミダゾリウムヨーダイド(但し、アルキル基は8個以下の炭素原子を含有する)からなる。【0019】助触媒化合物の一部又は全部を、カルボニル化ゾーン内でヨウ化物塩を生成する化合物として供給することができる。従って、助触媒化合物は、最初はそれらの対応する酢酸塩、水酸化物、塩化物若しくは臭化物の形態で供給することができ又はリン含有助触媒及び窒素含有助触媒は、リン又は窒素原子が三価である化合物として、例えば、トリブチルホスフィン、トリブチルアミン、ピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール等として供給することができ、これらはカルボニル化ゾーン内に存在するヨウ化メチルによって四級化される。【0020】カルボニル化ゾーン内に存在するヨウ化塩助触媒の量は、種々の要因、特に使用される特別の助触媒に実質的に依存して変化させることができる。例えば、反応混合物中のヨウ化リチウムの濃度は、175〜5000ppm Li、好ましくは1500〜3700ppm Liの範囲であってよく、これに対してリン含有助触媒及び窒素含有助触媒は、それらのヨウ化物塩として計算し、反応混合物、即ちカルボニル化ゾーンの含有物の全重量基準で、0.5〜25重量%の濃度で存在してよい。反応混合物中に存在する他の材料、例えば、酢酸、無水酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル及び/又はジメチルエーテルの量は、例えば、カルボニル化速度、滞留時間並びにヨウ化物塩助触媒及び酢酸溶媒の濃度に実質的に依存して変化する。【0021】排出物を、カルボニル化ゾーンから連続的に取り出し、ヨウ化メチル、酢酸メチル及び/又はジメチルエーテル、酢酸並びに無水酢酸からなる大部分と、酢酸及び無水酢酸の混合物中の触媒成分の溶液からなる小部分とに分離する。この小部分はカルボニル化ゾーンに再循環し、この大部分は一連の蒸留によってその成分部分に分離する。【0022】本発明の方法を、下記の例によって更に例示する。例に於いて、材料の量は、他の方法で示さない限り重量部で与える。パーセントは、他の方法で示さない限り重量基準である。【0023】下記の材料を、1分間当たり560部の速度でガススパージャー装置の手段によって、一酸化炭素を反応混合物の表面よりも下に供給している、1個又はそれ以上の邪魔板を取り付けた逆混合反応容器からなる第一反応ゾーンに、下記の速度で連続的に供給する。【0024】酢酸メチル 2466部/分ヨウ化メチル 704部/分酢酸 1269部/分無水酢酸 585部/分【0025】ロジウム及びリチウム触媒成分を、酢酸/無水酢酸供給物中の溶液として供給し、第一反応ゾーン内に含まれる液体混合物中の400〜1000ppm〔Rh〕及び1000〜2500ppm〔Li〕の濃度を得る。第一反応ゾーンの容量は、約40分間の滞留時間を得るように設計されている。約190〜210℃の温度及び約40〜50baraの全圧を、第一ゾーン内で維持する。【0026】第一液体反応混合物を、第一反応ゾーンから約5570部/分の速度で連続的に取り出し、一酸化炭素を頂部の蒸気空間に供給している槽反応容器からなる第二反応ゾーンの蒸気空間に供給する。第一液体反応混合物の組成は、ほぼ、30%の酢酸メチル、12%のヨウ化メチル、22%の酢酸、29%の無水酢酸および0.7体積%の一酸化炭素である。第一液体反応混合物のほぼ7%は、二酢酸エチリデン、タール、アセトン、不活性物質等のような他の成分からなっている。一酸化炭素を、第二反応ゾーンの蒸気空間に、約40〜50baraの全圧を維持するように供給する。第二反応ゾーン内での滞留時間は、ほぼ4〜6分間である。第二反応ゾーンに供給される一酸化炭素の量は、約20部/分である。第二反応ゾーンに於いて、約190〜210℃の温度及び約40〜50baraの全圧を維持する。【0027】第二液体反応混合物を、第二反応ゾーンの底から5590部/分の速度で連続的に取り出し、第一分離ゾーンに供給し、そこで圧力を2〜5baraまで低下させて、供給混合物の約80%をフラッシュ蒸留させる。第二液体反応混合物の組成は、ほぼ、29%の酢酸メチル、12%のヨウ化メチル、22%の酢酸、31%の無水酢酸、0.2%の一酸化炭素及び約7%の他の物質である。蒸発しない第二液体反応混合物のこの部分は、約37%の酢酸、45%の無水酢酸、ロジウム及びリチウム触媒成分並びにタール及びその他の高沸点物からなる。第一液体反応混合物中に溶解している一酸化炭素の約70%が、第二反応ゾーンで反応した。これによって、一酸化炭素の総括利用が約90%から約95%にまで増加した。【0028】本発明を、その好ましい態様を特に参照して詳細に説明したが、変形及び修正が本発明の精神及び範囲内で実施できることはいうまでもない。 (1)第一反応ゾーンに、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒並びに(v)一酸化炭素を連続的に供給する工程であって、成分(i),(ii)及び(iv)を含む液体反応混合物の表面よりも下に一酸化炭素を供給し、そして反応剤化合物は無水酢酸に転化し、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)無水酢酸生成物を含む第一液体反応混合物を生成せしめる工程、 (2)第一反応ゾーンから第一液体反応混合物を取り出し、これを、第一液体反応混合物を含む液相とオーバーヘッド蒸気空間とが維持されている少なくとも1個の反応容器を含んでなる第二反応ゾーンであって、40〜50絶対バール圧(bara)の全圧を維持し、一酸化炭素は液相の表面よりも下には供給せず、第二反応ゾーン内の液相の滞留時間は少なくとも2分間である、第二反応ゾーンに供給して、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒からなる溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)無水酢酸生成物からなる第二液体反応混合物を生成する工程並びに (3)第二反応ゾーンから第二液体反応混合物を取り出す工程を含んでなり、それによって、本製造方法での一酸化炭素の利用度を増大させる、無水条件下に無水酢酸を製造する方法。 第二液体反応混合物中の一酸化炭素の濃度が、第一液体反応混合物中の一酸化炭素濃度の5〜50体積%である、請求項1に記載の方法。 100〜300℃の温度及び21.7〜276.7baraの圧力(全圧)で本製造方法を実施し、そして第二反応ゾーン内の滞留時間が4〜20分間である請求項1に記載の方法。 175〜220℃の温度及び35.5〜104.4baraの圧力(全圧)で本製造方法を実施し、第二反応ゾーン内の滞留時間が4〜10分間であり、そして第二反応ゾーンに供給される第二液体反応混合物が20〜40重量%の酢酸メチルを含む請求項1に記載の方法。 (1)第一反応ゾーンに、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒並びに(v)一酸化炭素を連続的に供給する工程であって、成分(i),(ii)及び(iv)を含む液体反応混合物の表面よりも下に一酸化炭素を供給し、そして反応剤化合物は無水酢酸に転化し、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含む溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)無水酢酸生成物を含む第一液体反応混合物を生成せしめる工程、 (2)第一反応ゾーンから第一液体反応混合物を取り出し、これを、微細に分割された形態で、第一液体反応混合物を含む液相とオーバーヘッド蒸気空間とが維持されている少なくとも1個の反応容器を含んでなる第二反応ゾーンであって、40〜50絶対バール(bara)の全圧を維持し、一酸化炭素は蒸気空間に供給し、一酸化炭素は液相の表面よりも下には供給せず、第二反応ゾーン内の液相の滞留時間は少なくとも2分間である、第二反応ゾーンの蒸気空間に供給して、(i)酢酸メチル、ジメチルエーテル又はこれらの混合物から選ばれる反応剤化合物、(ii)ヨウ化メチル、(iii)ロジウム及び1種又はそれ以上の助触媒を含んでなる溶解触媒成分、(iv)酢酸溶媒、(v)溶解一酸化炭素並びに(vi)無水酢酸生成物を含む第二液体反応混合物を生成せしめる工程並びに (3)第二反応ゾーンから第二液体反応混合物を取り出す工程を含む、175〜220℃の温度及び35.5〜104.4baraの圧力(全圧)で無水条件下に無水酢酸を製造する方法であって、第二液体反応混合物中の一酸化炭素の濃度を、第一液体反応混合物中の一酸化炭素濃度の5〜50体積%とする方法。 第二反応ゾーン内の滞留時間が4〜10分間であり、そして第二反応ゾーンに供給する第二液体反応混合物が、20〜40重量%の酢酸メチルを含む請求項5に記載の方法。


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