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タイトル:特許公報(B2)_合成ガスから製造される水素を触媒賦活化および炭化水素転化に用いるガス転化方法
出願番号:2000531416
年次:2008
IPC分類:C10G 2/00,C01B 3/50,C07C 1/04,C10G 45/00,C10G 47/00


特許情報キャッシュ

ドジョージ,チャールズ,ウイリアム デントン,ロバート,ディーン JP 4174181 特許公報(B2) 20080822 2000531416 19990205 合成ガスから製造される水素を触媒賦活化および炭化水素転化に用いるガス転化方法 エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー 390023630 EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY 河備 健二 100106596 ドジョージ,チャールズ,ウイリアム デントン,ロバート,ディーン US 09/023,581 19980213 20081029 C10G 2/00 20060101AFI20081009BHJP C01B 3/50 20060101ALI20081009BHJP C07C 1/04 20060101ALI20081009BHJP C10G 45/00 20060101ALI20081009BHJP C10G 47/00 20060101ALI20081009BHJP JPC10G2/00C01B3/50C07C1/04C10G45/00C10G47/00 C10G 1/00-75/04 C01B 3/00- 6/34 C07C 1/00- 1/36 特開平6−158058(JP,A) 特開昭60−81288(JP,A) 米国特許第5260239(US,A) 米国特許第5283216(US,A) 特表2002−502833(JP,A) 特表2001−524024(JP,A) 13 US1999002543 19990205 WO1999041217 19990819 2002503731 20020205 12 20060123 澤村 茂実 【0001】開示の背景本発明の分野本発明は、炭化水素および水素の両方が合成ガスから製造される方法に関する。より詳しくは、本発明は、炭化水素を合成し、合成ガスから水素を製造し、その際水素は(i)炭化水素合成の触媒の賦活化および(ii)炭化水素生成物の品質向上の少なくとも一つに用いられる、ガス転化方法に関する。【0002】本発明の背景炭化水素合成方法は公知であり、該方法において、H2とCOとの混合物を含む合成ガス原料は、炭化水素合成反応器に供給され、そこでフィッシャー−トロプシュ触媒の存在下に、より高分子量の炭化水素を生成するのに有効な条件で反応する。これらの方法は、固定床、流動床およびスラリーによる炭化水素合成を含み、それらはすべて種々の技術論文および特許に十分に記載されている。多くの場合、合成炭化水素は、主としてC5+炭化水素(例えばC5+−C200)、好ましくはC10+炭化水素を含み、その少なくとも一部分は室内温と室内圧力の標準状態で固体であることが望まれている。炭化水素が主としてC5+パラフィンを含むスラリー炭化水素合成方法が好ましい。これらの炭化水素は、一種以上の水素転化操作によってさらに有用な製品に品質向上されるが、該操作においては、分子構造の少なくとも一部分が水素との反応によって変化する。そのため、水素転化操作はすべて水素を必要とする。水素は、また炭化水素合成触媒を再生するために、そして時には炭化水素合成用のシンガス原料のH2対CO比を維持したり或いは変化させたりするために必要とされている。外部の水素源に依存するというよりむしろ、炭化水素合成触媒の再生(rejuvenation)用に、また合成炭化水素の水素転化による品質向上用に水素を発生するという炭化水素合成方法をもつことが望まれている。【0003】本発明の概要本発明は、炭化水素を接触合成し、H2とCOとの混合物を含む合成ガス(シンガス)から水素を製造し、そして合成された炭化水素を品質向上し、該水素は、(a)炭化水素合成触媒を賦活化するため、および(b)少なくとも一種の水素転化操作により合成炭化水素の少なくとも一部を品質向上するための少なくとも一つに用いられる、ガス転化方法に関するものである。ガス転化方法とは、少なくとも、シンガスからの炭化水素の合成および水素製造、また合成炭化水素の少なくとも一部の水素転化を含むことを意味する。転化とは、転化域において炭化水素の少なくとも一部の分子構造を変化させる方法を意味し、またこの方法は、以下に説明されるように、共反応体として水素を用いるかまたは用いない、接触および非接触の両方法を含む。したがって広い意味では、本発明は、シンガスから炭化水素を合成することおよび水素を製造すること、そしてシンガスから製造された水素を上記の少なくとも一種の方法に用いることを含む。さらに詳しくは、本発明は、H2とCOとの混合物を含む合成ガスからの炭化水素の合成および水素の製造、および該合成炭化水素の少なくとも一部の転化を含むガス転化方法を含み、かつ該方法は、該合成ガスを炭化水素合成触媒と接触させる工程、該H2とCOとを該合成触媒および該触媒を可逆的に不活化する種の存在下に、炭化水素を生成しまた該触媒を不活化するに有効な反応条件で反応させる工程、該合成された炭化水素の少なくとも一部を少なくとも一種の転化操作によって品質向上させる工程を含み、かつ(a)該シンガスから製造された該水素と接触させることにより該触媒を賦活化する工程、および(b)該炭化水素の少なくとも一部を、水素転化触媒の存在下に、その分子構造を変化させるために該シンガスから製造された該水素と反応させて品質を向上させる工程の少なくとも一つを含む。更なる実施態様においては、シンガスから製造された水素は、炭化水素合成および/または水素製造に用いられてもよい。水素は、(a)圧力スウィング吸着(PSA)、膜分離または熱スウィング吸着(TSA)などの物理的分離手段、および(b)水性ガスシフト反応などの化学的手段の一種以上を用いてシンガスから製造される。水素製造の物理的手段は、水性ガスシフト反応などの化学的手段が用いられるか否かによらず、典型的には、シンガスから水素を分離するために用いられ、望ましい純度(例えば少なくとも約99%)の水素が得られる。シンガスは外部源から得ることができるであろうが、典型的にはシンガス生成は、またガス転化プロセスの一部分であろう。したがって、シンガス製造がガス転化設備の一部である実施態様においては、本発明は、(a)ガス状の炭化水素様物質、酸素および必要に応じてスチームを、H2とCOとの混合物を含むシンガスを生成するのに有効な反応条件で反応させ、(b)該シンガスの一部を、該H2とCOとを反応させて炭化水素を生成させまた該触媒を可逆的に不活化するのに有効な反応条件で炭化水素合成触媒と接触させ、(c)該シンガスの残部から水素を製造し、(d)水素を(i)該触媒の賦活化および(ii)該合成炭化水素の少なくとも一部の水素転化の少なくとも一つに用いることを含む。【0004】炭化水素の合成は、シンガスをHCS反応域または反応装置中で、フィッシャー−トロプシュ触媒の存在下に炭化水素、好ましくはC5+炭化水素を生成するのに有効な条件で反応させることにより達成される。知られているように、HCS反応を通して、HCS触媒は、シンガス中に存在する窒素化合物(例えばHCNおよびNH3)および恐らくはHCS反応によって生成する他の化合物などの触媒不活化種の存在により可逆的に不活化する。また、触媒活性は、触媒を水素または水素を含むガスと接触させることによって回復(賦活化)されることが知られている。HCS反応装置から排出される合成炭化水素生成物の少なくとも一部は、少なくとも一種の転化操作によって品質向上されて、その粘度または流動点が低下し、またはより高価値の沸点留分に転化される。典型的には、転化は少なくとも一種の水素転化操作を含むであろうが、そこでは炭化水素が水素転化触媒の存在下に水素と反応する。外部源に依存するよりはむしろ、ガス転化設備が、設備内でのこれらの利用の一種以上に必要な水素の少なくとも一部を提供することが好ましい。【0005】物理的分離手段を用いてシンガスから水素を製造することは、水素が少なくCOに富むH2とCOとの混合物を含むオフガスと共に、比較的純度の高い水素が提供されることを意味する。このCOリッチオフガスは、燃料として使用されるかまたはHCS反応域に供給されてもよい。水素の需要がシンガスから水素を分離することによって満たされるよりも大きい場合、または水素製造の補助的または代替手段が望まれる場合には、水性ガスシフト反応装置などの化学的手段が、シンガスから必要とされる水素のすべてまたは一部を製造するために用いられてもよい。この実施態様においては、(a)シンガスの一部および(b)シンガスから水素を物理的に分離する結果として得られるCOリッチオフガスの少なくとも一種が、スチームおよび水性ガスシフト触媒の存在下に水性ガスシフト反応装置に供給されて、COとスチームとからH2とCO2との混合物が生成し、次いで該混合物は物理的分離手段に通されて水素が残りのガスから分離され、比較的高純度のH2とCOリッチオフガスとが生成し、該オフガスはHCS反応域、シフト反応装置のいずれかに再循環されるか、または燃料として利用される。【0006】詳細な説明シンガス発生用原料の炭化水素成分は、炭化水素成分として主としてメタンを含む天然ガスから好都合に誘導されるが、よく知られているように、任意の適用可能かつ好都合な手段によって、石炭、コーク、炭化水素液体およびガスを含む任意の適切な炭化水素様物質から得てもよい。典型的には、炭化水素合成設備はそのような炭化水素様物質の源に非常に近い場所にあろうし、またシンガス発生操作はその設備の必須の部分であろう。原料は低分子量(例えばC1−C4)の炭化水素、好ましくはアルカン、より好ましくは天然ガスにおけるような主としてメタンを含むものが好ましい。天然ガスが特に好ましく使用されるが、その理由は、天然ガスは、主としてメタンを含み、使い易く清浄であり、また処理しまた廃棄すべき灰分、頁岩、硫黄化合物およびその類似物を大量に残していないからである。シンガスは、石炭、コークまたはタールなどの高温の炭化水素様物質をスチームと接触させることを含め、種々の手段により生成されてもよく、またそのような物質を部分酸化条件で燃焼し、メタンまたは低分子量の炭化水素ガスをシンガス発生装置への原料の炭化水素成分として生成されてもよく、これらは、次いでシンガス発生装置に供給され、そこで酸素または空気で部分酸化され、そして水蒸気改質されるかまたは水性ガスシフト反応器に通される。部分酸化および水蒸気改質は、水蒸気改質触媒を用いて固定床または流動床のいずれかで達成されるが、流動床は優れた混合および熱移動特性を有する。接触部分酸化においては、シンガス発生装置への原料の炭化水素成分は、酸素および所望によりスチームと予混合され、シンガス発生装置に通され、そこで公知の貴金属触媒、好ましくは担持貴金属触媒の存在下で反応する。これらのプロセスは、低分子量の炭化水素、典型的にはC1−C4アルカンを用いるが、好ましくは天然ガスにおけるようなメタンが、スチーム、酸素または空気と共に、シンガス発生装置に供給される。流動床シンガス発生(FBSG)方法においては、部分酸化および水蒸気改質の両方が水蒸気改質触媒の存在下で起こる。FBSGは、例えば米国特許第4,888,131号および同第5,160,456号に開示されている。自己熱改質においては、部分酸化が触媒なしに行なわれ、触媒固定床で行われる断熱水蒸気改質に先行する。反応器を出るシンガスは、H2とCOとの混合物を、水蒸気またはスチーム、窒素、CO2および少量の未反応メタンと共に含む。シンガス発生装置への原料に存在するCO2の量は反応平衡に影響を与えるであろうし、また装置の条件と共にシンガスのH2対CO比を調整するために用いられる。大部分の水はHCS反応器に通される前にシンガスから除去される。炭化水素源がシンガス製造用かまたは製造装置用かのいずれにも関係なく、そのような炭化水素原料は、窒素元素または窒素含有化合物を例外なく含有するが、これらは、シンガス発生装置で反応してHCNおよびNH3などの窒素質種を生成し、HCS反応を通してHCS触媒を不活化する。【0007】HCS方法においては、液体およびガス状の炭化水素が生成されるが、それらは、シフトまたは非シフト条件下、好ましくは水性ガスシフト反応が殆どまたは全く起こらない非シフト条件下で、H2とCOとの混合物を含むシンガスをフィッシャー−トロプシュタイプのHCS触媒と接触させることにより、特に触媒金属がCo、Ruまたはそれらの混合物を含む際に生成される。適切なフィッシャー−トロプシュ反応タイプの触媒は、例えばFe、Ni、Co,RuおよびReなどの第VIII族触媒金属の一種以上を含む。一実施態様においては、触媒は、触媒的有効量のCoと、Re、Ru、Fe、Ni、Th、Zr、Hf、U、MgおよびLaの一種以上とを、適切な無機担体物質、好ましくは一種以上の耐火性金属酸化物を含むものに担持して含む。Co含有触媒のための好ましい担体は、特にスラリーHCS方法が用いられ、そこで高分子量の主としてパラフィン系液体炭化水素生成物が望まれる場合には、チタニアを含む。有用な触媒およびその調製は公知であり、例証ではあるがこれに限定されない例としては、例えば米国特許第4,568,663号、同第4,663,305号、同第4,542,122号、同第4,621,072号および同第5,545,674号に見出される。【0008】炭化水素合成に関しては、H2とCOとの混合物を含むシンガスから炭化水素を生成するための固定床、流動床およびスラリーの炭化水素合成(HCS)方法がよく知られており、また文献に記載されている。これらすべての方法においては、シンガスは、適切なフィッシャー−トロプシュタイプの炭化水素合成触媒の存在下に、炭化水素を生成するのに有効な反応条件で反応される。特にコバルト成分を有する触媒が用いられる場合には、これらの炭化水素のいくらかは液体であり、いくらかは固体(例えばワックス)であり、またいくらかは25℃1気圧の温度および圧力の標準室温条件下でガスである。スラリーHCS方法はしばしば好まれるが、その理由は、激しい発熱合成反応に対するその優れた熱(および質量)移動特性であり、またコバルト触媒が用いられる場合にはかなり高分子量のパラフィン系炭化水素を製造できるからである。スラリーHCS方法においては、H2とCOとの混合物を含むシンガスは反応装置中のスラリーを通って第三相として上方にバブリングされるが、該反応装置には、微粒子状のフィッシャー−トロプシュタイプの炭化水素合成触媒がスラリー液(反応条件で液体である合成反応の炭化水素生成物を含む)中に分散され、また懸濁されて含まれる。水素対一酸化炭素モル比は、約0.5〜4の広範囲にあってもよいが、より典型的には約0.7〜2.75の範囲、好ましくは約0.7〜2.5の範囲にある。フィッシャー−トロプシュHCS反応に対する化学量論的モル比は2.0であるが、本発明を実施する際には、HCS反応以外用に必要な量の水素をシンガスから得るために高められてもよい。スラリーHCS方法においては、H2対COモル比は、典型的には約2.1/1である。スラリーHCS方法の条件は、触媒および所望とする生成物によっていくらか変動する。担持コバルト成分を含む触媒を用いるスラリーHCS方法においては、主としてC5+パラフィン(例えばC5+−C200)、好ましくはC10+パラフィンを含む炭化水素を生成するために有効な典型的条件は、例えば温度、圧力および時間あたりガス空間速度が、それぞれ約320−600°F(160〜316℃)、80−600psi(0.56〜4.2mPa)および100−40,000V/hr/Vであり、該時間あたりガス空間速度は、触媒容量当たり時間当たりのガス状のCOおよびH2の混合物の標準容量(0℃、1気圧)として表される。炭化水素合成操作を通して、HCS触媒は、シンガス中に存在しまた合成反応に起因する上述した不活化種によって活性を失う(不活化する)。この不活化は可逆的であって、触媒活性は不活化触媒を水素と接触させることにより回復される(触媒は賦活化される)。反応性スラリー中のHCS触媒の活性は、HCS反応装置中のまたは外部の再生容器中のいずれかで、スラリーを水素または水素含有ガスと接触させて触媒を賦活化したスラリーを生成することによって、周期的または連続的に再生されるが、この点は、例えば米国特許第5,260,239号,同第5,268,344号および同第5,283,216号に開示されている。【0009】シンガスから水素を製造するために有効な物理的分離プロセスは、吸着−脱着方法および膜分離を含むが、そのいずれもがよく知られておりまた商業的に利用可能である。吸着−脱着方法には、TSAおよびPSAが含まれ、そのいずれもサイクル方式で運転される複数の吸着剤を収納する容器を含む。吸着剤には、モレキュラーシーブ、シリカゲルおよび活性炭が含まれる。圧力スウィング吸着と熱スウィング吸着との相違は、水素以外のガス成分が、吸着サイクルを通して吸着剤に主に吸着されるが、PSAにおいては圧力スウィングサイクルにより再生中に吸着剤から脱離されることにあり、これは熱スウィング吸着における熱スウィングサイクルによる方法とは対照的である。吸着と脱着の圧力差は、典型的には少なくともマグニチュードのレベルである。操作中、原料ガスは、この場合にはシンガスのスリップストリームであるが、一つ以上の容器または吸着域に供給され、そこで水素以外のシンガス成分(少量の水素を伴う)が吸着剤に吸着される。吸着剤が能力に達した際には、容器への原料流れは閉止され、圧力が低下され、そして吸着されたシンガスの非水素成分が脱着されてパージガスとして除去される。所望により、いくらかの水素を、脱着サイクルの最後に容器を掃気するために用いることができる。容器は、再加圧され、次の吸着サイクルのために流れ状態に戻される。したがって、パージガスは、少量の水素と共に、COといくらかの他の非水素シンガス成分とを含む。このパージガスは、吸着オフガスであって、廃棄処分されるかまたは燃料として燃焼されてもよいが、好ましくは一つ以上のHCS反応装置に原料の一部として再循環されて、炭化水素合成用の有用なCOに利用される。吸着の間にシンガスから分離される水素は、典型的には純度99%であり、また99%より高純度でさえある。典型的なPSA装置は、少なくとも一つの吸着用の容器を有し、さらに少なくとも一つの他の容器を再加圧しながら、少なくとも一つの他の容器は減圧されまたパージされる。膜分離においては、中空繊維束が容器中にあって、シンガスは容器に通され、そこで繊維の外側を通って流れ、そして容器外に流れでる。水素リッチ透過ガスは、各繊維の内側に生成され、分離された透過流れとして排出される。典型的な設備においては、複数のそのような容器が各容器からの透過物を次の連続した容器への原料として連続的に組み合わされている。高い能力は連続した装置を平行させた装置を用いることによって達成される。水素は、典型的にはPSAによって得られるような純度ではないが、通常、少なくとも約80%の純度である。非透過流出物は、COリッチオフガスとしてまとめられて、PSA分離から回収される場合と同じ方式で利用される。物理的分離のさらに他の実施態様には、PSAまたはTSAの吸着−脱着と膜分離との組み合わせが含まれる。典型的なこのタイプの分離方法においては、シンガスは、先ず膜装置に通されて、透過物として水素リッチ流れが製造される。この水素リッチガス透過物は、次いでPSAまたはTSA装置に通され、高純度の水素流れとCOリッチオフガス流れとが製造される。この方法によって製造されるオフガスの量はいずれかの方法自体を用いて得られるものより少ない。【0010】水性ガスシフト反応を用いて水素を製造する場合には、シンガスの一部またはスリップストリームは、水性ガスシフト反応装置に通され、そこでCOは、耐火性金属酸化物担体に担持されたニッケルなどのシフト触媒の存在下に、H2およびCO2の混合物を生成するのに有効な条件で水蒸気と反応し、生成した該H2およびCO2の混合物は、未反応のCOを含むが、他のシンガス成分と共に該シフト反応装置を出る。所望により、CO2は、アミン洗浄などの当業者によく知られた手段によって、シフト反応器の流出物から除去されてもよい。CO2除去のためにヒンダードアミン洗浄を採用する商業的に利用可能な方法は、ExxonのFlexsorb(登録商標)プロセスである。水素リッチのシフト反応装置流出物は、CO2が除去または除去されることなく、冷却およびドラム分離(図示しない)で多少の過剰水が除去された後、物理的分離手段に通されて、水素がガス中のCOと他の非水素成分とから分離され、相対的に純度の高い水素とCO含有オフガスとが生成される。これらのガス流れは、次いで上記と同様にして用いられるが、CO含有オフガスは、その低CO含有量のために、典型的には燃料として燃焼される。シフト反応装置が用いられるか否かは、所望とする水素の量と、炭化水素合成と水素製造との両方のシンガス要求量を満足するためのシンガス発生装置の能力とに因る。【0011】本発明のHCS方法によって製造される炭化水素の少なくとも一部は、C5+炭化水素のすべてまたは一部を水素転化することによって、典型的には、さらに有用な生成物に品質向上される。転化とは、水素と反応することによって、炭化水素の少なくとも一部の分子構造が変換される操作の一種以上を意味し、また転化は、非接触処理(例えば水蒸気分解)および接触処理(例えば接触分解)(そこでは留分が適切な触媒と接触される)を含む。水素が反応体として存在する場合には、そのような方法は、典型的には水素転化として引用されるが、例えば水素異性化、水素化分解、水素化脱蝋、水素化精製、および水素化処理といわれる一層過酷な水素化精製を含み、いずれも文献に公知の条件下で行われて、パラフィンに富んだ炭化水素原料を含めて炭化水素原料を水素転化する。転化によって生成されるより有用な製品の例証であるが限定されるものではない例には、合成原油、液体燃料、オレフィン、溶媒、潤滑油、工業用または医薬用油,ワックス含有炭化水素、窒素および酸素含有化合物およびその類似物の一種以上が含まれる。液体燃料には、モーターガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、およびケロセンの一種以上が含まれ、一方潤滑油には、例えば自動車用、ジェット用、タービン用および金属加工用油が含まれる。工業用油には、坑井掘削油、農業用油、熱伝導油およびその類似物が含まれる。本発明を実施する際に有用な水素転化方法の例証であるが限定されるものではない例は、米国特許第4,832,819号、同第4,943,672号、同第5,059,299号、同第5,378,348号および同第5,457,253号に開示されている。【0012】図1を参照すると、ガス転化設備10は、FBSGシンガス発生装置12、スラリーHCS反応装置14、シンガスから水素を製造する手段16、および水素転化装置18を含む域(box)18を含む。天然ガス、酸素およびスチームは、ライン20、22、および24を経由して夫々FBSG装置に供給され、H2とCOとの混合物を含むシンガスを発生する。スラリーHCS反応装置14に入る時間あたり100モルのCOを基準にして、シンガス発生装置12からライン26に通されるシンガス流れは、時間あたり218モルの水素および時間あたり104モルのCOを含み、H2対COモル比は約2.1:1である。商業規模の設備はより大きなもので、時間あたり100,000モル以上程度のCOを処理する。以下、すべての数値は、特段の記載がない限り時間あたりのモル数をいう。これに関し、209モルの水素および100モルのCOが、ライン26を経由してHCS反応装置14に通される。HCS反応装置は、担持されたコバルト成分を含む触媒を含み、80%のCO転化率で運転するように設計されている。9モルの水素と4モルのCOとを含むシンガススリップ流れは、ライン28を経由してライン26から引き出され、水素製造装置16に通される。PSA装置が用いられる実施態様においては、典型的には、少なくとも99%の水素流れが、低分子量の炭化水素および窒素である残りと共に製造される。この例の目的としては、水素の85%が、スリップ流れから吸着分離用のモレキュラーシーブを用いて分離される。8モルの水素がライン30に入り、水素分離によって製造されるH2が少なくかつCOに富むオフガスは、1モルの水素と4モルのCOとを含むが、ライン34を経由して排出される。この実施態様においては、オフガスは、次いで低BTU値の燃料ガスとして用いられる。一実施態様においては、このCOリッチオフガスはライン35を通り、ライン26を経由してHCS反応装置に送られ、HC反応用の追加のCOが提供される。PSA装置を出る8モルの水素のうち5モルがライン30を経由して水素転化装置に送られて、合成炭化水素の700゜F(371℃)+留分を水素異性化するための水素を提供し、HCS触媒再生のために、3モルがライン32を経由してHCS触媒の再生手段(図示しない)に通される。HCS触媒は、公知のように、HCS反応装置中のまたは外部容器中のままで、連続的または周期的に再生されてもよい。HCS反応装置で製造される炭化水素は、ライン36を経由して排出され、水素転化装置18に通され、そこで水素と共に水素異性化反応装置(図2の44として示される)に供給されて、低沸点物質を製造し、またそこで重質の700゜F(371℃)+炭化水素が、700゜F(371℃)−炭化水素に転化される。炭化水素は、シリカ−アルミナ担体に担持されたコバルトーモリブデン触媒などの適切な水素異性化触媒の存在下に、50wt%の700゜F(371℃)+留分転化率で、H2と反応させることによって水素異性化される。このことは、反応器を通る各流路によって、700゜F(371℃)+物質の50wt%が、700゜F(371℃)未満の沸点を有する700゜F(371℃)−物質に転化されることを意味する。水素異性化された700゜F(371℃)−物質は、次いで生成物留分に分けられるか、より輸送可能な物質として用いられて更なる品質向上操作に附される。いかなる未転化の700゜F(371℃)+物質も、再循環されて水素異性化反応装置への新原料と混合される。別に、シンクルードまたはよりポンピング可能かつ輸送可能な物質を製造するため、HCS反応装置から排出される合成液体の流動点および粘度は水素異性化によって低下されてもよい。【0013】図2は、水素異性化装置18をより詳細に図示するものである。図2を参照すると、水素異性化装置18は、分留装置40と42、および水素異性化反応装置44を含む。HCS反応装置から排出された液体炭化水素生成物は、HCS反応装置の塔頂物から凝縮された炭化水素液体(およそC11+)と組み合わされ、ライン36を経由して分留装置40に通され、そこでライン46を経由して排出される重質留分とライン48を経由して排出される軽質留分とに分留される。重質留分は、ライン46を経由して排出される700゜F(371℃)+物質を含むが、水素異性化反応装置44に通され、そこで上述のように、適切な水素異性化触媒の存在下に、ライン30を経由して反応装置に通される水素(シンガスから製造される)と接触して反応する。水素異性化された炭化水素は、700゜F(371℃)+留分を含むが、主として未反応の水素と炭化水素ガスと水とを含むガスと共に、ライン50を経由して反応装置44から排出され、冷却(図示しない)およびノックアウトドラム52の気液分離へと続き、そこで炭化水素液体と水とが相互に分離され、また未反応水素および少量の未反応メタン、C2+炭化水素ガスないし窒素から分離される。水はライン55を経由して排出され、水素リッチテールガスはライン58を経由して除かれる。水素異性化炭化水素は、ライン51を経由して排出されて、分留装置42に通される。分留装置42は、ナフサおよびディーゼル留分を製造し、それぞれライン53および54を経由して排出し、残りの700゜F(371℃)+物質は、塔底物としてライン56を経由して排出されて、水素異性化反応装置44に、分留装置40からの新原料と共に再循環される。少量の軽質炭化水素ガスは、ライン57を経由して塔頂物として排出される。装置は、700゜F(371℃)より高い沸点の炭化水素の100%消滅が達成されるように設計されている。典型的な水素異性化反応装置の条件は、約1.3のLHSV、800−900psia(5.6〜6.3mPa)および約700−750゜F(371〜399℃)の温度を含む。この特定の図では、循環物対新原料の比は、容量基準で約0.5である。このような条件下では、水素異性化反応装置に供給される5モルの水素の内、4モルが反応装置中で炭化水素と反応する。未反応の1モルの水素は、テールガスとしてライン59を経由して反応装置から排出される。【0014】図3は、図1の本発明の方法の更なる実施態様を説明するものである。図3において、テールガスとして水素異性化反応装置から排出される1モルの未反応水素が、ライン58、60および32を経由して触媒再生のためにHCS装置14(またはHCS反応装置の外の触媒再生容器)に、および/またはHCS反応のためにH2およびCOの原料の一部としてライン58および26を経由して反応装置に戻される。水素リッチの水素異性化反応装置テールガスを、原料の一部としてHCS反応装置に戻すことにより、シンガス発生の要求量とシンガス発生装置を出るシンガスのH2対COモル比とのいずれもが多少低減される。このテールガスが触媒再生に用いられる実施態様においては、水素製造の要求量は、テールガス中の水素量によって低減される。水素異性化テールガスが図1の水素製造装置16に再循環されるというさらに更なる実施態様(図示されない)においては、テールガス中の水素が相対的に高純度であることにより、PSA装置に供給されるガス流れの純度が高められ、またシンガス製造から求められる水素量が多少低減される。再度図3を参照すると、図1のプロセス図において、シンガススリップ流れから水素分離で製造されるCOリッチPSAオフガスは、燃料として消費される代わりに、シンガス原料の一部としてライン34を経由してHCS反応域に通される。この実施態様においては、全HCS原料の構成と割合は、シンガス発生装置生成量からのHCS原料部分が、207モルの水素と96モルのCOとを含み、COを100にするのに必要な4モルの追加のCO(PSAオフガスによって供給される)がHCS原料ライン26にライン34を経由して通されること除いて、図1に示される実施態様におけると同じである。【0015】図4は、本発明の他の実施態様を図示するものであり、そこでは水性ガスシフト反応装置が用いられて、シンガスのスリップ流れからより多くの水素が発生され、ガスシフト反応装置の流出物は次いで物理的分離手段に通されて水素が分離され回収される。図4に戻ると、水素製造手段16は、水性ガスシフト反応装置62を含み、そこにライン28を経由してシンガスのスリップ流れが供給され、またシンガスが十分な水蒸気を含まない場合にはライン64を経由してスチームが供給される。シフト反応装置は、酸化クロムを用いた酸化鉄などの水性ガスシフト触媒を含む。シフト反応装置においては、スチームが触媒の存在下にCOと反応して、反応するCOおよびH2Oの各モル当たり、1モルのH2と1モルのCO2を生成して、CO2といくらかの未反応COおよびH2Oとを含む水素リッチガスを製造するが、このガスは反応装置を出て、冷却およびドラム分離して水が除去(図示しない)された後、ライン66を経由してスクラバー68に通されてCO2が除去される。スクラバー68は、不活性な充填物または分留段を含む通常の接触塔である。溶媒は、アミン水溶液またはFlexsorb PS(登録商標)(2−ピペリジンおよびエタノールスルホランを含み、ガスからCO2を除去する)などのヒンダードアミン水溶液などであり、これは米国特許第4,112,051号に記載されているが、ライン70を経由して入り、CO2を除去する。特定溶媒によるCO2除去システムかまたは他のCO2除去手段かは、所望とするCO2除去の程度による。Flexsorb PS(登録商標)システムが用いられる場合には、実質的にすべてのCO2がガスから除去される。CO2が負荷された溶液は、ライン72を経由して排出され、溶媒回収に送られ、一方洗浄されてCO2が減少した蒸気は、ライン74を経由して熱交換器および分離装置76に通され、そこで蒸気は200゜F(93℃)未満に冷却され、水がライン78を経由して排出される。水蒸気をまだ含むが、液体の水を含まない冷却ガスは、ライン80を経由してPSA装置82に通される。PSA装置は、水素をガスの残余部分から分離して、99%以上の高純度水素を製造するが、それはライン30を経由して排出され、上述した任意のまたはすべての実施態様にしたがって用いられる。水素分離から得られるオフガスは、ライン34を経由して排出され、典型的には低BTU値の燃料として用いられる。別に、CO2除去システムは、シフト流出物の精製が単にPSAを用いることによって達成されるならば、設置される必要はない。【0016】本発明は、発生装置への炭化水素原料として処理済み天然ガスを用いるFBSGシンガス発生装置、スラリーHCS装置および水素転化のための水素異性化装置について特に詳しく記述したが、本発明の実施は、当業者が理解しまた認識するように、これらの特定の実施態様に限定されるものではない。したがって、いかなる適切かつ好都合なシンガス源も、シンガス発生装置およびシンガス発生方法用原料として用いてもよく、これは流動触媒床または固定触媒床のいずれも、また非スラリーHCS方法を用いてもよいのと同様である。同様に、水素転化方法は、上記に列挙したものの少なくとも一種を含むであろう。【0017】本発明の実施においては、種々の他の実施態様および変更態様は、上記した本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に自明であろうし、また当業者により容易に実施できると考えられる。したがって、本明細書に添付される請求の範囲は、上述された正確な内容に限定されるものではなく、むしろこれらの請求の範囲は、本発明が関連する分野の当業者によりそれらの等価物として扱われるすべての特徴および実施態様を含めて、本発明のもつ特許取得可能な新規な特徴はいずれも含まれるものとみなすことができる。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は、シンガスから製造される水素が、触媒再生と水素転化とに用いられる本発明の一実施態様の簡単なブロック流れ図である。【図2】 図2は、水素転化のより詳細を示す。【図3】 図3は、水素製造からのCOリッチオフガスがHCS反応装置に供給され、また水素リッチの水素転化テールガスが再生にも用いられる実施態様を説明する。【図4】 図4は、水性ガスシフト反応およびPSAを用いる水素製造を説明する簡単なブロック図である。 以下の工程(a)〜(d)を含むことを特徴とするガス転化方法。(a)ガス状の炭化水素様物質と酸素、また必要に応じてスチームを、H2とCOの混合物を含む合成ガスを生成させるに十分な条件下で反応させる工程(b)該H2とCOを反応させて炭化水素を生成させ、かつ炭化水素合成触媒を可逆的に失活させるに十分な反応条件下で該合成ガスの一部を該触媒と接触させる工程(c)該合成ガスの残部から水素を製造する工程(d)(i)該触媒を賦活化するため、(ii)該合成炭化水素の少なくとも一部を水素転化するため、の少なくとも一方に該水素を使用する工程 該水素が、(i)物理的な分離手段、または(ii)化学的な手段の少なくとも一方により該合成ガスから製造されることを特徴とする請求項1に記載のガス転化方法。 該水素が物理的な分離を含む手段により該合成ガスから製造されることを特徴とする請求項2に記載のガス転化方法。 該水素が水性ガスシフト反応を含む水素製造手段により製造されることを特徴とする請求項2に記載のガス転化方法。 該炭化水素合成触媒がフィッシャー−トロプシュタイプの触媒を含み、かつ該合成炭化水素の少なくとも一部が標準室温状態の温度および圧力下で固体であることを特徴とする請求項3に記載のガス転化方法。 該触媒が触媒コバルト成分を含む請求項5に記載のガス転化方法。 該炭化水素合成反応が、スラリー液中に該炭化水素合成触媒と該H2およびCOの気泡とを含むスラリー中で起こり、該スラリー液は該反応条件下で液体である該合成炭化水素を含む請求項6に記載のガス転化方法。 該水素が該触媒を賦活化(rejuvenate)するために用いられる請求項7に記載のガス転化方法。 COリッチオフガスを含むオフガスが、該水素を該合成ガスから物理的に分離することにより製造され、かつ該炭化水素の合成に用いられる請求項3に記載のガス転化方法。 COリッチオフガスを含むオフガスが、該水素を該合成ガスから物理的に分離することにより製造され、かつ該炭化水素の合成に用いられる請求項8に記載のガス転化方法。 該物理的分離が、該合成ガスを膜分離手段に通して水素リッチ透過物を製造し、該水素リッチ透過物を圧力スウィング吸着手段に通して高純度水素ストリームを製造することを含む請求項3に記載のガス転化方法。 該物理的分離が、該合成ガスを膜分離手段に通して水素リッチ透過物を製造し、該水素リッチ透過物を圧力スウィング吸着手段に通して高純度水素ストリームを製造することを含む請求項7に記載のガス転化方法。 該物理的分離が、該合成ガスを膜分離手段に通して水素リッチ透過物を製造し、該水素リッチ透過物を圧力スウィング吸着手段に通して高純度水素ストリームを製造することを含む請求項8に記載のガス転化方法。


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