生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_4’−O−メチルピリドキシン含量およびビフラボン含量低減イチョウ葉抽出物
出願番号:2000525120
年次:2010
IPC分類:A61K 36/00,A61K 31/7048,A61K 31/365,A61P 9/10,A61P 25/28


特許情報キャッシュ

シュワーベ, クラウス−ペーター JP 4530533 特許公報(B2) 20100618 2000525120 19981218 4’−O−メチルピリドキシン含量およびビフラボン含量低減イチョウ葉抽出物 ドクター.ヴィルマー シュワーベ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー 500287282 葛和 清司 100102842 シュワーベ, クラウス−ペーター DE 197 56 848.3 19971219 20100825 A61K 36/00 20060101AFI20100805BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20100805BHJP A61K 31/365 20060101ALI20100805BHJP A61P 9/10 20060101ALI20100805BHJP A61P 25/28 20060101ALI20100805BHJP JPA61K35/78 BA61K35/78 YA61K31/7048A61K31/365A61P9/10A61P25/28 A61K 36/16 A61K 31/365 A61K 31/7048 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特公平07−076176(JP,B2) 特開平07−053371(JP,A) Lee,S.J. et al, Suppression of mouse lymphocyte proliferation in vitro by naturally-occurring biflavonoids,Life Sciences ,1995年,Vol.57,No.6,pp.551-558 Lee, Song Jin et al,Inhibition of arachidonate release from rat peritoneal macrophage by biflavonoids,Archives of Pharmacal Research ,1997年,Vol.20,No.6,pp.533-538 3 DE1998003790 19981218 WO1999032129 19990701 2001526235 20011218 7 20050208 鶴見 秀紀 【0001】本発明は4’−O−メチルピリドキシンおよびビフラボン含量低減イチョウ(ginkgo biloba)葉抽出物、それらの製造方法、および該抽出物を含有し、高用量においても4’−O−メチルピリドキシン還元体とビフラボンによる有害な副作用を伴わない薬剤に関する。【0002】イチョウ葉抽出物は、治療を目的に30年間使われている。ベルリンにある連邦健康理事会(Bundesgesundheitsamt)E委員会は、特定の抽出物からなる薬剤が、行動障害、末梢性閉塞症、目眩および耳鳴りの症状改善に有効であることを承認している(BAnz No.133,1994年7月19日)。該抽出物は、フラボングリコシドを22〜27%、ギンコリド(ginkgolide)A、ギンコリドBおよびギンコリドCが2.8〜3.4%であり、ビロバリドが2.6〜3.2%であるテルペンラクトンを5〜7%、およびギンコル酸(ginkgolic acid)(アルカリフェノール化合物)を最大5ppm含有する特徴がある。このようなイチョウ葉抽出物およびその製造方法は、DE3940091(EP−B−0431535)およびDE3940092(EP−B−0431536)によって知ることができる。【0003】4’−O−メチルピリドキシン(4’−メトキシピリドキシン)が イチョウ種子に含まれていることは、Wada et al.,Chem.Pharm.Bull.33(1985),3555−3557に記載されている。該化合物は、痙攣、意識不明のような中毒症状(“ギンナン食中毒”および“ギンナンシトトキシズム(sitotoxism)”)を来し、該症状は通常より大量のイチョウ種子を食した後に起こり得るものである。そのため、発見者は前記化合物を“ギンコトキシン(ginkgotoxin)”と命名した。同じ研究グループはその後の研究によって、4’−O−メチルピリドキシンはイチョウ葉に含まれていないことを見出した(Wada et al.,Chem.Pharm.Bull.16(1993),210−212)。この報告と対照的に、イチョウ葉からの4’−O−メチルピリドキシンの単離と同定に関する報告が近年発刊された文書に報告されている(Arenz et al.,Planta Medica 62(1996),548−551)。【0004】この研究では、イチョウ葉抽出物を含有する市販製剤が、抗ビタミンB6剤(4’−O−メチルピリドキシン)含有量に関して分析され、約4μg/mlから10μg/mlの濃度の液体医薬形態が見出された。これは製剤化された乾燥抽出物の約100〜250ppmに相当する。【0005】治療目的に用いられるイチョウ抽出物は、さらに1000ppm以下のビフラボンを含有している。我々自身の研究によって、文献既知の生物活性以外に、これらの化合物には免疫毒活性もあることが明らかになっている。マウスを用いた膝窩リンパ節アッセイにおいて、我々はエタノール−水によるイチョウ葉の総抽出物の酢酸エチル可溶分画に、リンパ節が反応することを確認した;実施例1を参照。クロマトグラフィー分離によって得られたサブフラクションを用いた試験によって、免疫毒活性は、ビフラボンを70%より多く含むサブフラクションの投与後にしか起こらないことが明らかになった。イチョウにおいて見出されたビフラボンは、以下の化合物である:シアドピチシン、ギンケチン、イソギンケチン、セコイアフラボン、およびビロベチン。【0006】本発明に関する技術的課題は、4’−O−メチルピリドキシンおよびアルキルフェノール化合物(ギンコル酸、ギンコール(ginkgol))を事実上含まず、ビフラボン含有量は技術的に可能な最小量であり、活性決定成分であると認められたフラボノールグリコシドおよびテルペンラクトン含有量は、E委員会(BAnz No.133,1994年7月19日)が規定した量である、イチョウ葉抽出物を提供することである。【0007】本発明による抽出物は、以下を含有する:−20〜30重量%のフラボノールグリコシド、−総量2.5〜4.5重量%のギンコリドA、B、CおよびJ−2.0〜4.0重量%のビロバリド−10ppm未満、好ましくは1ppm未満のアルキルフェノール化合物(ギンコル酸、ギンコール)−10重量%未満のプロアントシアニジン−50ppm未満の4’−O−メチルピリドキシン−100ppm未満のビフラボンさらに本発明は、このようなイチョウ葉抽出物の生成方法に関する。【0008】この技術的課題は、イチョウ抽出物の既知の生成方法に、新たな2工程を導入することによって解決された:1.陽イオン交換体による4’−O−メチルピリドキシンの低減2.活性炭へのビフラボンの吸着【0009】これらの操作は、DE3940091の請求項3による製法中、好ましくは工程g)において実施される。したがって、工程f)において得られた溶液の濾過後、該溶液を陽イオン交換体カラムに通し、該カラムを含水エタノールまたは含水メタノールによって溶離する。得られた溶離液を活性炭処理する。陽イオン交換体の溶離には20〜80重量%、好ましくは50重量%のエタノールまたはメタノールを用いることができる。本発明による前記2操作の順番は互いに交換可能であり、いずれの場合も結果は変わらない。その後下記実施例3に従って操作を継続し、溶液を脂肪族化合物溶媒または脂環式化合物溶媒によって抽出し、アルキルフェノール化合物を除去する。【0010】前記方法の工程c)によって、脂溶性成分、すなわち水に溶けにくい成分が除去されるが、該成分にはビフラボンの量の大部分が含まれる。したがって、本発明の請求項1による抽出物調整の好ましい方法は、以下の工程の数値および順番に特徴がある。【0011】a)含水アセトン、1〜3個の炭素原子を有する含水アルカノールまたは無水メタノールによるイチョウ葉を抽出、b)有機溶媒を10重量%を越えない濃度まで濃縮することによる、最終蒸留工程において水を添加してもよい該溶媒の分離、c)残留水溶液を水によって固体含量5〜25重量%に希釈し、温度を25℃未満になるまで冷まし、沈殿が生じるまで静置、d)残留水溶液を硫酸アンモニウムによって処理し、メチルエチルケトンまたはメチルエチルケトンとアセトンとの混合物による少なくとも1回の抽出、【0012】e)得られた抽出物を濃縮し、エタノール−水混合物によって該溶液を50重量%の水およびエタノール、および10重量%の固体をそれぞれ含むように希釈、f)溶液を鉛化合物または不溶性ポリイミドによる処理、g)溶液を濾過、および強酸陽イオン交換体への透過である、水または含水メタノールを用いた該陽イオン交換体による溶離、h)溶離液の活性炭処理、i)沸点60〜100℃である脂肪族化合物溶媒または脂環式化合物溶媒による濾液の抽出、j)残留水−アルコール溶液を濃縮し、続いて硫酸アンモニウムによって処理し、メチルエチルケトンおよびアセトンによる抽出、k)得られた有機相を固体含量50〜70重量%に濃縮、およびl)濃縮物を真空中にて乾燥し、水分含量5%未満の乾燥抽出物にする。【0013】本発明のさらなる態様においては、工程g)および工程h)は交換可能である。本発明のさらなる態様においては、前記方法の工程g)および工程h)は工程i)の後にのみ実行される。【0014】フラボノールグリコシドおよびテルペンラクトンを濃縮する、吸着樹脂を用いる既知の方法(EP−B−0360556、JP−A−04182434)において、本発明による前記2工程は、脱着工程においては抽出物のメタノール−水溶液によって(EP−B−0360556、実施例III、請求項12参照)、およびエタノール−水溶液の場合はJP−A−04182434によって、それぞれ行われる。有用な陽イオン交換体の例は、酸陽イオン交換体である。最も好ましい陽イオン交換体は、MerckIのような酸陽イオン交換体である。【0015】本発明による抽出物は、薬学的試験モデルにおいて循環促進活性、虚血性障害防止活性、ラジカル捕食活性、および血栓凝集阻害活性を示し、これまで知られていたイチョウ抽出物と対照的に、4’−O−メチルピリドキシンおよびビフラボンが誘発する危険がある有害な影響を高投薬量でも生じせしめない。【0016】さらに、本発明は、本発明によるイチョウ抽出物を含有することが特徴である薬剤に関する。薬剤を製剤する場合、本発明による抽出物は従来法に従って製造してもよく、例えば、溶液、被覆錠剤、錠剤または注射用製剤にしてもよい。該薬剤は、末梢性循環障害および脳動脈循環障害の処置に使用してよい。【0017】実施例1膝窩リンパ節試験:18〜24gのC57BL/6の雄マウスを用いた(Charles River,Sulzfeld)。動物を餌および水を自由に得られる標準環境条件下に保持した。膝窩リンパ節反応(PLR)誘導のため、DMSO10μl中の試験物質を、足底下(subplantar)から左後脚に注射した。対照群の動物にはDMSO10μlの注射1回のみを処理した。各単一抽出物は、2mgの量を投与した。異なる亜抽出物の用量は、開始時点における各抽出物の割合に一致させた。【0018】試験動物を、エーテル麻酔下、頸部切断により7日後に屠殺した。膝窩リンパ節を両方除去し、付着組織を除去した後、湿った濾紙を敷いたペトリ皿に集めた。その直後にリンパ節の重量を、0.1mg感度の電子秤にて計量した。PLR強度を、同側性膝窩リンパ節および対側性膝窩リンパ節の重量差を指標として求めた。【0019】実施例2DE3940091(col.4,?.67)の実施例1による鉛−タンニン沈殿操作の上清に活性炭2.5gを添加し、50重量%のエタノール中に乾物残渣を10重量%含むようにする。該混合物を室温下にて30分間攪拌する。活性炭を濾過して除去し、濾液を20mlの強酸性陽イオン交換体(MerckI)を担持したカラムに通す。DE3940091の実施例1に記載の方法によって、溶離液をさらに処理する。【0020】乾燥抽出物22.25gが、ギンコフラボングリコシド(ginkgo flavonglycoside)を23.9%、ギンコリドを3.3%、ビロバリドを2.9%、プロアントシアニジンを7.1%,アルキルフェノール化合物を1ppm未満、4’−O−メチルピリドキシンを50ppm未満*)、およびビフラボンを60ppm**)未満含有して、メチルエチルケトン/エタノール中の最終産物溶液を乾燥後に得られる。【0021】実施例3吸着樹脂Duolite S−761から、EP−B−0360556実施例IIIの第5頁第41行に従ってフラボンおよびテルペンラクトンを脱着して得た90%メタノール−水溶液250mlを、90重量%メタノール中に乾燥残渣を10%含有する状態で、15mlの強酸性陽イオン交換体を担持したカラムに通す。活性炭3.75gを添加して該溶液の一部を真空下において除去し、水を添加して該溶液のメタノール濃度を50重量%に調整し、室温下にて30分間攪拌する。【0022】濾過床を通る吸引によって活性炭を濾過し、50重量%メタノール20mlにて濯ぐ。乾燥抽出物23.2gが、ギンコフラボングリコシドを22.8%、ギンコリドを3.1%、ビロバリドを2.8%、プロアントシアニジンを9.6%,アルキルフェノール化合物を1ppm未満、4’−O−メチルピリドキシンを50ppm未満、およびビフラボンを28ppm未満含有して、真空下乾燥による溶液の濃縮後に得られる。【0023】実施例4イチョウ抽出物錠剤の製剤:【表1】*)Arenz et al.,Planta Medica,Vol.62(1996),548−551による分析方法**) Gobbata et al.,Fitoterapia,Vol.67(1996),152−158による分析方法***)DAB 10=Deutshes Arzneinbuch10=ドイツ薬局方10 - 20〜30重量%のフラボノールグリコシド、 - 総量2.5〜4.5重量%のギンコリドA、B、CおよびJ - 2.0〜4.0重量%のビロバリド - 10ppm未満のアルキルフェノール化合物 - 10重量%未満のプロアントシアニジン - 50ppm未満の4’−O−メチルピリドキシン - 100ppm未満のビフラボンを含有するイチョウ葉抽出物の生成方法であって、以下の工程の数値および順番:a)含水アセトン、1〜3個の炭素原子を有する含水アルカノールまたは無水メタノールによるイチョウ葉を抽出、b)有機溶媒を10重量%を越えない濃度まで濃縮することによる、最終蒸留工程において水を添加してもよい該溶媒の分離、c)残留水溶液を水によって固体含量5〜25重量%に希釈し、温度を25℃未満になるまで冷まし、沈殿が生じるまで静置、d)残留水溶液を硫酸アンモニウムによって処理し、メチルエチルケトンまたはメチルエチルケトンとアセトンとの混合物による少なくとも1回の抽出、e)得られた抽出物を濃縮し、エタノール−水混合物によって該溶液を50重量%の水およびエタノール、および10重量%の固体をそれぞれ含むように希釈、f)溶液を鉛化合物または不溶性ポリイミドによる処理、g)溶液を濾過、および強酸陽イオン交換体への透過である、水または含水メタノールを用いた該陽イオン交換体による溶離、h)溶離液の活性炭処理、i)沸点60〜100℃である脂肪族化合物溶媒または脂環式化合物溶媒による濾液の抽出、j)残留水−アルコール溶液を濃縮し、続いて硫酸アンモニウムによって処理し、メチルエチルケトンおよびアセトンによる抽出、k)得られた有機相を固体含量50〜70重量%に濃縮、およびl)濃縮物を真空中にて乾燥し、水分含量5%未満の乾燥抽出物にする、を特徴とする、前記方法。 工程g)および工程h)が互いに交換可能である、請求項1に記載の方法。 工程g)および工程h)を工程i)の後にのみ実行する、請求項1または2に記載の方法。


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