生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_メトホルミンの新規塩および方法
出願番号:2000523985
年次:2009
IPC分類:C07C 279/26,A61K 9/20,A61K 9/48,A61K 31/155,A61K 31/18,A61K 31/4965,A61K 45/06,A61P 3/10


特許情報キャッシュ

ピーター・ティミンズ ウィリアム・ジェイ・ウィンター スシル・ケイ・スリバスタバ アリソン・ブレットノール チェンコウ・ウェイ ジェラルド・エル・パワーズ JP 4278863 特許公報(B2) 20090319 2000523985 19981201 メトホルミンの新規塩および方法 ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー 391015708 BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY 青山 葆 100062144 田村 恭生 100068526 ピーター・ティミンズ ウィリアム・ジェイ・ウィンター スシル・ケイ・スリバスタバ アリソン・ブレットノール チェンコウ・ウェイ ジェラルド・エル・パワーズ US 08/986,586 19971208 20090617 C07C 279/26 20060101AFI20090528BHJP A61K 9/20 20060101ALI20090528BHJP A61K 9/48 20060101ALI20090528BHJP A61K 31/155 20060101ALI20090528BHJP A61K 31/18 20060101ALI20090528BHJP A61K 31/4965 20060101ALI20090528BHJP A61K 45/06 20060101ALI20090528BHJP A61P 3/10 20060101ALI20090528BHJP JPC07C279/26A61K9/20A61K9/48A61K31/155A61K31/18A61K31/4965A61K45/06A61P3/10 C07C 279/26 A61K 31/155 CA(STN) REGISTRY(STN) 米国特許第03174901(US,A) 特公昭39−008237(JP,B1) 特開昭63−230628(JP,A) 12 US1998025104 19981201 WO1999029314 19990617 2001525361 20011211 13 20051130 福島 芳隆 【0001】(技術分野)本発明は抗高血糖剤メトホルミンの塩、更に詳しくは、必要に応じて他の抗糖尿病性剤と組合せる、二塩基性酸、好ましくは二塩基性有機カルボン酸のメトホルミン塩、およびかかる塩または組合せを用いる糖尿病の処置法に関する。【0002】(背景技術)ビグアニド(biguanide)抗高血糖剤メトホルミンは目下、米国においてその塩酸塩の形状で売られている[Glucophage(登録商標)、ブリストル−マイヤーズ・スクイブ・カンパニー]。メトホルミン塩酸塩は、凝集性の白色粉末であって、水溶性が高く(周囲温度で>300mg/ml)、相対湿度95%、25℃で測定した吸湿性が6時間で20%以上の湿分吸収量であり、かつ圧縮感受性(compaction snsceptibility)が高い。従って、医薬製造設備でのメトホルミン塩酸塩の取扱いにおいて、特に湿度の高い環境下で問題が起生する。さらに、徐放性システムにおけるメトホルミン塩酸塩の配合は、少なくともいく分かは、その極めて高い水溶解性に基づき、非常に困難である。【0003】現在売られているメトホルミン塩酸塩は、食塩の明確なにがみ味を有する。従って、それは通常、コーテッド錠剤で売られており、ここで、コーティング(被膜)は不快な味のいずれもマスクするようになっている。しかしながら、メトホルミン塩酸塩が刻み目を入れた分割しうる錠剤の形状にある場合は通常、不快な味をマスクするコーティングあるいは外層を有しない。味が最も重要に関係するのは、メトホルミン塩酸塩を、錠剤を飲み込むことができない子供や大人用に指示した咀しゃく可能な錠剤または液体で調剤すべき場合である。このような場合、塩酸塩の不快な味は、順応性(compliance)に問題となりうるだろう。【0004】従来技術では、メトホルミン:酸のモル比1:1である種々の有機または無機酸のメトホルミン塩を開示した参考文献が充満している。すなわち、たとえばU.S.特許No.3174901には、メトホルミンのリン酸塩、硫酸塩、臭酸塩、サリチル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、スクシネート(コハク酸塩)、エタンスルホン酸塩、フマレート(フマル酸塩)およびグリコレート塩が開示されている。U.S.特許No.4835184には、メトホルミンのp−クロロフェノキシ酢酸塩が開示されている。フランス特許No.2320735および2037002には、メトホルミンのパモエート塩が開示されている。フランス特許No.2264539および日本特許No.6600875には、メトホルミンのオロチン酸塩が開示されている。フランス特許No.2275199には、メトホルミンの(4−クロロフェノキシ)イソブチレート塩が開示されている。【0005】U.S.特許No.4080472には、メトホルミンのクロフィブレート塩が開示されている。U.S.特許No.3957853には、メトホルミンのアセチルサリチル酸塩が開示されている。フランス特許No.2220256には、メトホルミンのテオフィリン−7−アセテート塩が開示されている。ドイツ特許No.2357864および1967138には、メトホルミンのニコチン酸塩が開示されている。U.S.特許No.3903141には、メトホルミンのアダマントエート塩が開示されている。【0006】日本特許No.69008566には、メトホルミンの亜鉛−クロロフィリン塩が開示されている。日本特許No.64008237には、メソ酒石酸、酒石酸、メソ蓚酸、および酸化マレエートなどのヒドロキシ脂肪族ジカルボン酸の塩を含む、メトホルミンのヒドロキシ酸塩が開示されている。日本特許No.63014942には、メトホルミンのタンニン酸塩が開示されている。日本特許No.87005905および61022071には、メトホルミンの3−メチル−ピラゾール−5−カルボン酸(または他の5員複素環カルボン酸)塩が開示されている。【0007】ルーマニア特許No.82052には、メトホルミンのスルファミド・アリールオキシアルキルカルボン酸塩が開示されている。ソビエト連邦特許No.992512には、メトホルミンのトリメトキシ安息香酸塩が開示されている。U.S.特許No.4028402には、メトホルミンのジクロロ酢酸塩が開示されている。これらの塩は全て、メトホルミン:酸のモル比1:1から形成される。Efendic らのU.S.特許No.5631224には、メトホルミンとGLP−1(7−36)アミドまたはGLP−1(7−37)もしくはGLP−1(7−37)活性を保持するそのフラグメントとの組合せが開示されている。【0008】(発明の開示)本発明によれば、メトホルミンの新規な塩が提供され、該塩はメトホルミン塩酸塩に対して同等の抗高血糖活性を保持し、かつメトホルミン塩酸塩と比較して取扱い特性が改善され、たとえば吸湿性が低く、流動特性が良く、並びに圧縮感受性が低く、錠剤工具などに対する腐蝕性も低い。また、本発明の新規塩は、塩酸塩と比較して味覚特性が改善されていることから、特に該新規塩が刻み目付き錠剤、咀しゃく可能な錠剤または液体の形状を有する場合に、患者の順応性を高めることができる。【0009】加えて、本発明のメトホルミンの新規塩は、塩酸塩よりも水への溶解性がかなり小さいことから、所望のメトホルミン放出速度を達成するのに少量のポリマー賦形剤を要する徐放生システムに、メトホルミンを配合する機会を付与する。本発明の新規メトホルミン塩は、二塩基性酸のメトホルミン塩であって、ここで、メトホルミン:二塩基性酸のモル比は2:1である。メトホルミンと共に新規塩を形成する二塩基性酸は、二塩基性有機カルボン酸が好ましく、たとえばコハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸などの飽和ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、およびリンゴ酸、タートロン酸(tartronic acid)、酒石酸などのヒドロキシジカルボン酸が包含される。最も好ましいのは、メトホルミンのコハク酸塩(2:1)およびメトホルミンのフマル酸塩(2:1)である。【0010】本発明の好ましいメトホルミン・フマレート(2:1)塩は、さらさらした白色結晶であって、周囲温度での水への溶解度が140mg(塩)/ml(水)である。本発明の好ましいメトホルミン・スクシネート(2:1)塩は、さらさらした白色粉末であって、周囲温度での水への溶解度が95mg(塩)/ml(水)である。なお、メトホルミン塩酸塩は、凝集性の白色粉末であって、周囲温度での水への溶解度が高く、300mg(メトホルミン)/ml(水)以上であった。【0011】本発明のメトホルミン・フマレート(2:1)塩およびメトホルミン・スクシネート(2:1)塩はそれぞれ、相対湿度95%、25℃で測定した吸湿性が低く、6時間で7%以下の湿分吸収量であるのに対し、メトホルミン塩酸塩は、相対湿度95%測定の吸湿性が高く、6時間20%以上の湿分吸収量である。さらに、本発明のメトホルミン塩(2:1)は、バルク(bulk)輸送で問題を起こしうるメトホルミン塩酸塩の高い圧縮感受性と比較して、圧縮感受性が低い(自重下で圧縮する傾向にある)。【0012】従って、吸湿性が低く、流動特性が改善され、かつ圧縮感受性も低い本発明の新規メトホルミン塩(2:1)は、錠剤成形製造中の取扱いの観点から、メトホルミン塩酸塩を上回る実質的かつ予想外の利点をもたらす。驚くべきことに、メトホルミン・フマレート(2:1)塩およびメトホルミン・スクシネート(2:1)塩は、メトホルミン塩酸塩と比較して、実質的により耐えられる味を有することがわかった。従って、本発明のフマレートおよびスクシネート塩は、患者の順応性に悪影響を及ぼすことなく、刻み目付き錠剤や、咀しゃく可能な錠剤あるいは液体で調剤することができる。【0013】本発明のメトホルミン・二塩基性酸(2:1)塩は、通常の塩形成手順によって製造される。すなわち、たとえばメトホルミン塩基(イオン交換カラムまたは他の通常の技法を用い、塩酸塩から製造しうる)を、メタノールまたは他の適当な溶剤に溶解し、次いでエタノールまたは他の適当な溶剤中の二塩基性有機カルボン酸(たとえばフマル酸またはコハク酸)の溶液と混合する(メトホルミン:二塩基性酸のモル比2:1)。所望の塩が晶出し、これを濾過で回収し、乾燥してさらさらした固体を形成しうる。【0014】さらに本発明によれば、経口投与または注射投与しうる、メトホルミン・二塩基性酸(モル比2:1)塩と他の抗高血糖剤を組合せて含有する新規な抗高血糖性の組合せが提供される。本発明のメトホルミン塩と他の抗高血糖剤を組合せて使用すれば、これら薬物のそれぞれ単独使用から生じうるものを上回る抗高血糖成果がもたらされ、かつこの成果はこれら薬物によって生じる抗高血糖効果の総和を越えるものでもある。【0015】上記他の抗高血糖剤は、経口用の抗高血糖剤、好ましくはスルホニル尿素化合物、たとえばグリブリド(glyburide)[グリベンクラミド(glibenclamide)としても公知]、グリメピリド(glimepiride)(U.S.特許No.4379785に開示)、グリピジド(glipizide)、グリクラジド(gliclazide)もしくはクロルプロパミド(chlorpropamide)、β−細胞のATP−依存チャンネルに作用する他の公知のスルホニル尿素化合物もしくは他の抗高血糖剤であってよく、グリブリドが好ましい。本発明のメトホルミン塩とスルホニル尿素化合物の重量比は、約300:1〜50:1、好ましくは約250:1〜75:1の範囲内で選定される。また経口用抗高血糖剤は、アカーボース(acarbose)(U.S.特許No.4904769に開示)またはミグリトール(miglitol)(U.S.特許No.4639436に開示)などのグルコシダーゼ・インヒビターであってもよい。【0016】本発明のメトホルミン塩とグルコシダーゼ・インヒビターの重量比は、約300:1〜2:1、好ましくは約200:1〜25:1の範囲内で選定される。本発明のメトホルミン塩は、チアゾリジンジオン経口用抗糖尿病性剤(NIDDM患者においてインスリン感受性効果を有する)、たとえばトログリタゾン(troglitazone)[Warner−LambertのRezulin(登録商標)、U.S.特許No.4572912に開示]、ゾルグリタゾン(zorglitazone)(SKB)、ピオグリタゾン(pioglitazone)(タケダ)、ミツビシのMCC−555(U.S.特許No.5594016に開示)、Glaxo−WelcomeのGL−262570、エングリタゾン(englitazone)(CP−68722、Pfizer)またはダーグリタゾン(darglitazone)(CP−86325、Pfizer)と組合せて使用することができる。【0017】本発明のメトホルミン塩とチアゾリジンジオンの重量比は、約75:1〜0.1:1、好ましくは約5:1〜0.5:1の範囲内で選定される。また本発明のメトホルミン塩は、非経口用の抗高血糖剤、たとえばインスリンと、または注射、経口あるいは経皮もしくはバッカル剤で投与しうる、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、たとえばGLP−1(1−36)アミド、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)(U.S.特許No.5614492に開示)と組合せても使用することができる。【0018】また本発明の新規メトホルミン塩の単独または他の抗高血糖剤との混合物を、アミリンと組合せて使用することもできる。加えて、本発明によれば、タイプII糖尿病(NIDDM)および/またはタイプI糖尿病(IDDM)を含む高血糖症を処置する方法が提供され、該処置法において、治療上有効量のメトホルミン・二塩基性酸(モル比2:1)塩を、必要に応じて他の抗高血糖剤と組合せて、かかる処置を必要とする患者に対して投与する。【0019】スルホニル尿素化合物、たとえばグリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミドおよびグリクラジドや、グルコシダーゼ・インヒビターもしくはミグリトールが存在する場合、これらをフィジシアンズ・デスク・リファレンス(Physician's Desk Reference)に示される処方配合、量および投与法で使用しうる。チアゾリジンジオン抗糖尿病性剤が存在する場合、これらを約0.01〜2000mg/日の範囲内の量で使用し、1日当り1回用量または2〜4回の分割用量で投与しうる。インスリンが存在する場合、これをフィジシアンズ・デスク・リファレンスに示される処方配合、量および投与法で使用しうる。【0020】GLP−1ペプチドが存在する場合、これらをU.S.特許No.5346701(TheraTech)、5614492および5631224の記載に準じ、経口用バッカル製剤、鼻腔内投与または非経口で投与しうる。本発明の新規メトホルミン塩は、メトホルミン塩酸塩と少なくとも同等に効力ある抗高血糖剤であって、上記の処置を必要とする種々の哺乳類、たとえばイヌ、ネコ、ヒト等に、メトホルミン塩酸塩と同様な方法で投与することができる。これらのメトホルミン塩は、全身投与、好ましくは経口投与することができる。【0021】本発明のメトホルミン塩は、それ単独または経口用抗高血糖剤の1種以上と組合せて、通常の全身投与剤形、たとえば錠剤、カプセル剤、エリキシル剤または注射用製剤に組み込むことができる。また、この投与剤形は、必要な生理的に許容しうる担体物質、賦形剤、潤滑剤、緩衝剤、抗菌剤、増量剤(たとえばマンニトール)、酸化防止剤(アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム)等も含有する。経口用の投与剤形が好ましいが、非経口剤形も十分満足な結果が得られる。【0022】投与用量は、患者の年令、体重および症状、並びに投与型式、投与剤形、生活規制および所望成果に応じて、注意深く調整しなければならない。一般に、上記投与剤形の本発明メトホルミン塩(2:1)は(それ単独または他の抗高血糖剤との組合せのいずれに拘わらず)、フィジシアンズ・デスク・リファレンスに記載のメトホルミン塩酸塩[ブリストル−マイヤーズ・スクイブ・カンパニーのGlucophage(登録商標)]の場合の量で投与されてよい。【0023】本発明のメトホルミン塩と他の抗高血糖剤の組合せは、通常の処方手順を用いて、それぞれ別々に、あるいは可能な場合には1つの製剤で調合することができる。本発明の各種製剤は、必要に応じて、約0〜90重量%、好ましくは約1〜80重量%範囲内の量の1種以上の充填剤または賦形剤、たとえばラクトース、シュガー、コーンスターチ、変性コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、無機塩(炭酸カルシウムなど)および/またはセルロース誘導体(木材セルロース、微結晶セルロースなど)を含有してもよい。【0024】上記充填剤に代えてまたは加えて、1種以上の結合剤を、組成物全量中約0〜35重量%、好ましくは約0.5〜30重量%範囲内の量で存在させてもよい。本発明の使用に好適な上記結合剤の具体例としては、ポリビニルピロリドン(分子量約5000〜80000、好ましくは約40000)、ラクトース、スターチ(コーンスターチ、変性コーンスターチなど)、シュガー、アカシアゴム等、並びに微粉末形状のワックス結合剤、たとえばカルナバワックス、パラフィン、鯨ろう、ポリエチレンまたは微結晶ワックスが挙げられる。【0025】組成物が錠剤の形状とする場合、該組成物は、組成物全量中約0.5〜10重量%、好ましくは約2〜8重量%範囲内の量の1種以上の錠剤用崩壊剤、たとえばクロスカルメロース(croscarmellose)・ナトリウム、ポビドン(povidone)、クロスポビドン(crospovidone)、スターチ・グリコール酸ナトリウム、コーンスターチまたは微結晶セルロース、並びに組成物全量中約0.2〜8重量%、好ましくは約0.5〜2重量%範囲内の量の1種以上の錠剤成形用潤滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナバワックス等を含有する。必要に応じて存在させうる他の通常の成分としては、保存剤、安定化剤、粘着防止剤もしくはシリカ流れ調節剤または滑剤(glidants)、たとえばSyloidブランド二酸化珪素並びにFD&C着色剤が挙げられる。【0026】また本発明の錠剤は、錠剤組成全量中0〜約15重量%を構成しうるコーティング層を有することができる。錠剤コアの上に塗布されるコーティング層は、通常のコーティング配合物で構成することができ、かつ1種以上のフィルム形成剤または結合剤、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーやエチルセルロース、セルロースアセテート、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸コポリマー、β−ピネンポリマー、ウッドレジン(wood resins)のグリセリルエステルなどの疎水性ポリマー等、および1種以上の可塑剤、たとえばトリエチルシトレート、ジエチルフタレート、プロピレングリコール、グリセリン、ブチルフタレート、ヒマシ油等を含有するだろう。錠剤コアとコーティング配合物は共に、着色化のためアルミニウムレーキを含有しうる。【0027】フィルム形成剤は、1種以上の溶剤を含有する溶剤系から塗布され、かかる溶剤としては、水;メチルアルコール、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコールなどのアルコール;アセトンまたはエチルメチルケトンなどのケトン;塩化メチレン、ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタンなどの塩素化炭化水素が挙げられる。着色剤を用いる場合、着色剤はフィルム形成剤、可塑剤および溶剤組成といっしょに塗布される。本発明の好ましい錠剤組成物は、約90〜97.5重量%のメトホルミン塩(2:1)、約2〜8重量%のプロビドンおよび約0.5〜2重量%のステアリン酸マグネシウムを含有する。【0028】本発明の医薬組成物は、以下の手順に従って製造することができる。すなわち、薬物と存在する場合の充填剤(たとえばラクトース)の一部(50%以下)との混合物を、着色剤の存在または非存在下で共に混和し、次いで#12〜#40のメッシュスクリーンに通す。存在する場合の充填剤−結合剤(たとえば微結晶セルロース)、崩壊剤(たとえばプロビドン)を加え、混和する。潤滑剤(たとえばステアリン酸マグネシウム)を加え、均質混合物が得られるまで混和する。次に得られる混合物を打錠して、大きさ2グラム以下の錠剤とする。必要な場合、本発明の錠剤を、U.S.特許No.5030447に開示の湿式造粒技法で調剤してもよい。【0029】次に挙げる実施例は、本発明の好ましい具体例である。実施例1メトホルミン・フマレート(2:1)の製造メトホルミン塩基(8.71モル)(塩酸塩からイオン交換カラムで製造)を、メタノール/H2O(5:1)に溶解する。攪拌しながら、フマル酸のエタノール溶液(4.05モル)を窒素雰囲気下、周囲温度(〜20℃)で1時間にわたって加える。直ちに結晶化が起こり始める。スラリーを周囲温度で1時間攪拌後、生成物を濾別し、エタノールで洗い、減圧乾燥して、メトホルミン・フマレート(2:1)塩をさらさらした白色結晶固体で得る(収率72M%、融点247〜249℃)。得られるメトホルミン・フマレート(2:1)塩は、水への溶解度が140mg/ml、相対湿度95%/25℃で測定した吸湿性が6時間で7%以下の湿分吸収量、および低い圧縮感受性であった。メトホルミン・フマレート(2:1)塩の錠剤成形では、対応する塩酸塩の場合と比較して、錠剤工具への腐蝕性は低かった。【0030】実施例2メトホルミン・スクシネート(2:1)の製造メトホルミン塩基(8.95モル)(塩酸塩からイオン交換カラムで製造)を、メタノール/H2O(5:1)に溶解する。攪拌しながら、コハク酸のエタノール溶液(4.42モル)を窒素雰囲気下、周囲温度(〜20℃)で1時間にわたって加える。コハク酸溶液の添加後すぐに、塩の結晶化が始まる。スラリーを周囲温度で1時間攪拌後、生成物を濾別し、エタノールで洗い、減圧乾燥して、メトホルミン・スクシネート(2:1)塩をさらさらした白色結晶固体で形成する(収率89M%、融点246〜247℃)。得られるメトホルミン・スクシネート(2:1)塩は、水への溶解度が95mg/ml、相対湿度95%/25℃で測定した吸湿性が30分で1%以下の湿分吸収量、および低い圧縮感受性であった。メトホルミン・スクシネート(2:1)塩の錠剤成形では、対応する塩酸塩の場合と比較して、錠剤工具への腐蝕性は低かった。【0031】実施例3メトホルミン・フマレート(2:1)を含有する錠剤の製造下記の配合を持つ錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・フマレート(2:1) 600.0微結晶セルロースNF 80.0クロスカルメロース・ナトリウムNF 45.0ポビドンUSP 15.0ステアリン酸マグネシウムNF 8.0【0032】遊星形ミキサーにて、上記メトホルミン・フマレート(2:1)を微結晶セルロースの半量およびクロスカルメロース・ナトリウムとブレンドする。ポビドンUSPを適当量の精製水に溶解し、この溶液を用いて、薬物−賦形剤混合物を湿式造粒する。グラニュールを60℃のオーブンで、1.5〜2.5%W/Wの含水率まで乾燥する。V−コーンブレンダーで、グラニュールを残りの微結晶セルロースと、次いでステアリン酸マグネシウムと混和する。得られる混合物を、適当なカプセル型工具を用いて打錠し、錠剤を得る。この処方では、トラブルのない錠剤成形を確保するのに、メトホルミン塩酸塩の場合の処方のように打錠の直前に追加の水分を加える必要がない。メトホルミン・フマレート塩は、メトホルミン塩酸塩と比べて味の強烈さが少なく、このことは、最終メトホルミン・フマレート錠剤へのフィルムコーティングの必要がないことを意味する。【0033】実施例4メトホルミン・スクシネート(2:1)を含有する錠剤の製造下記の配合を持つ錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・スクシネート(2:1) 600.0微結晶セルロースNF 80.0クロスカルメロース・ナトリウムNF 45.0ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cps)(HPMC)USP 15.0ステアリン酸マグネシウムNF 8.0【0034】遊星形ミキサーにて、上記メトホルミン・スクシネート(2:1)を微結晶セルロースの半量およびクロスカルメロース・ナトリウムとブレンドする。HPMC USPを適当量の精製水に分散し、この混合物を用いて、薬物−賦形剤混合物を湿式造粒する。グラニュールを60℃のオーブンで、1.5〜2.5%W/Wの含水率まで乾燥する。V−コーンブレンダーで、グラニュールを残りの微結晶セルロースと、次いでステアリン酸マグネシウムと混和する。得られる混合物を、適当なカプセル型工具を用いて打錠し、錠剤を得る。この処方では、トラブルのない錠剤成形を確保するのに、メトホルミン塩酸塩の場合の処方のように打錠の直前に追加の水分を加える必要がない。【0035】実施例5メトホルミン・フマレート(2:1)およびグリブリドを含有する錠剤の製造下記の配合を持つ錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・フマレート(2:1) 600.0グリブリド 5.0微結晶セルロースNF 80.0クロスカルメロース・ナトリウムNF 45.0ポビドンUSP 15.0ステアリン酸マグネシウムNF 8.0【0036】遊星形ミキサーにて、上記メトホルミン・フマレート(2:1)およびグリブリドを微結晶セルロースの半量およびクロスカルメロース・ナトリウムとブレンドする。ポビドンUSPを適当量の精製水に溶解し、この溶液を用いて、薬物−賦形剤混合物を湿式造粒する。グラニュールを60℃のオーブンで、1.5〜2.5%W/Wの含水率まで乾燥する。V−コーンブレンダーで、グラニュールを残りの微結晶セルロースと、次いでステアリン酸マグネシウムと混和する。得られる混合物を、適当なカプセル型工具を用いて打錠し、錠剤を得る。この処方では、トラブルのない錠剤成形を確保するのに、メトホルミン塩酸塩の場合の処方のように打錠の直前に追加の水分を加える必要がなく、該フマレート塩の味に強烈さが少ないことは、最終錠剤へのフィルムコーティングの必要がないことを意味する。【0037】実施例6メトホルミン・スクシネート(2:1)およびグリブリドを含有する錠剤の製造下記の配合を持つ錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・スクシネート(2:1) 600.0グリブリド 5.0微結晶セルロースNF 80.0クロスカルメロース・ナトリウムNF 45.0ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cps)(HPMC)USP 15.0ステアリン酸マグネシウムNF 8.0【0038】遊星形ミキサーにて、上記メトホルミン・スクシネート(2:1)およびグリブリドを微結晶セルロースの半量およびクロスカルメロース・ナトリウムとブレンドする。HPMC USPを適当量の精製水に溶解し、この溶液を用いて、薬物−賦形剤混合物を湿式造粒する。グラニュールを60℃のオーブンで、1.5〜2.5%W/Wの含水率まで乾燥する。V−コーンブレンダーで、グラニュールを残りの微結晶セルロースと、次いでステアリン酸マグネシウムと混和する。得られる混合物を、適当なカプセル型工具を用いて打錠し、錠剤を得る。この処方では、トラブルのない錠剤成形を確保するのに、メトホルミン塩酸塩の場合の処方のように打錠の直前に追加の水分を加える必要がない。【0039】実施例7メトホルミン・フマレート(2:1)およびグリピジドを含有する錠剤の製造 下記の配合を持つ錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・フマレート(2:1) 600.0グリピジド 5.0微結晶セルロースNF 80.0クロスカルメロース・ナトリウムNF 45.0ポビドンUSP 15.0ステアリン酸マグネシウムNF 8.0【0040】遊星形ミキサーにて、上記メトホルミン・フマレート(2:1)およびグリピジドを微結晶セルロースの半量およびクロスカルメロース・ナトリウムとブレンドする。ポビドンUSPを適当量の精製水に溶解し、この溶液を用いて、薬物−賦形剤混合物を湿式造粒する。グラニュールを60℃のオーブンで、1.5〜2.5%W/Wの含水率まで乾燥する。V−コーンブレンダーで、グラニュールを残りの微結晶セルロースと、次いでステアリン酸マグネシウムと混和する。得られる混合物を、適当なカプセル型工具を用いて打錠し、錠剤を得る。この処方では、トラブルのない錠剤成形を確保するのに、メトホルミン塩酸塩の場合の処方のように打錠の直前に追加の水分を加える必要がない。【0041】実施例8メトホルミン・スクシネート(2:1)およびグリピジドを含有する錠剤の製造下記の配合を持つ錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・スクシネート(2:1) 600.0グリピジド 5.0微結晶セルロースNF 80.0クロスカルメロース・ナトリウムNF 45.0ヒドロキシプロピルメチルセルロース(5cps)(HPMC)USP 15.0ステアリン酸マグネシウムNF 8.0【0042】遊星形ミキサーにて、上記メトホルミン・スクシネート(2:1)およびグリピジドを微結晶セルロースの半量およびクロスカルメロース・ナトリウムとブレンドする。HPMC USPを適当量の精製水に溶解し、この混合物を用いて、薬物−賦形剤混合物を湿式造粒する。グラニュールを60℃のオーブンで、1.5〜2.5%W/Wの含水率まで乾燥する。V−コーンブレンダーで、グラニュールを残りの微結晶セルロースと、次いでステアリン酸マグネシウムと混和する。得られる混合物を、適当なカプセル型工具を用いて打錠し、錠剤を得る。この処方では、トラブルのない錠剤成形を確保するのに、メトホルミン塩酸塩の場合の処方のように打錠の直前に追加の水分を加える必要がない。【0043】実施例9メトホルミン・フマレート(2:1)塩を含有する咀しゃく可能錠剤の製造下記の配合を持つ咀しゃく可能錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・フマレート(2:1) 600.0キシリトール 450.0フレーバー、グレープ 0.5フレーバー、スパイス 0.5ステアリン酸マグネシウムNF 10.0【0044】上記メトホルミン・フマレート(2:1)を、適当なワイヤ・メッシュスクリーン(孔径600ミクロン)に通す。フレーバー成分を予めスクリーンに通したキシリトールとブレンドし、得られる混合物をVコーンブレンダー内のメトホルミン・フマレート(2:1)に加える。混合物を10分間混和する。V−コーンブレンダーの内容物に、ステアリン酸マグネシウムを加えるが、このとき、ステアリン酸マグネシウムは425ミクロン孔スクリーンに通しておく。混合物を5分間混和し、適当な工具を用いて打錠し、平らな面のベベル縁を持つ錠剤を得る。【0045】実施例10メトホルミン・スクシネート(2:1)塩を含有する咀しゃく可能錠剤の製造 下記の配合を持つ咀しゃく可能錠剤を、以下の手順で製造した。成分 量/錠剤(mg)メトホルミン・スクシネート(2:1) 600.0キシリトール 450.0フレーバー、ラズベリー 0.5ステアリン酸マグネシウムNF 10.0【0046】上記メトホルミン・スクシネート(2:1)を、適当なワイヤ・メッシュスクリーン(孔径600ミクロン)に通す。フレーバー成分を予めスクリーンに通したキシリトールとブレンドし、得られる混合物をV−コーンブレンダー内のメトホルミン・スクシネート(2:1)に加える。混合物を10分間混和する。V−コーンブレンダーの内容物に、ステアリン酸マグネシウムを加えるが、このとき、ステアリン酸マグネシウムは425ミクロン孔スクリーンに通しておく。混合物を5分間混和し、適当な工具を用いて打錠し、平らな面のベベル縁を持つ錠剤を得る。【0047】実施例11メトホルミン塩酸塩の湿分吸収特性と比較して、メトホルミン・フマレート(2:1)塩およびメトホルミン・スクシネート(2:1)塩の湿分の吸収/脱吸収プロフィール(profile)を測定するため、以下に示す実験を行った。採用手順は以下の通りである。メトホルミン塩の吸湿性については、サンプルの湿分吸収量特性を急速に分析する手段である、ダイナミック・ベイパー・ソープション(Dynamic Vapour Sorption)(DVS)で評価する。温度を調節した環境(30℃に保持)にあり、かつ分離ブランク天秤皿に対して適宜に風袋をはかった、適当な微量天秤サンプル皿に、約5mgのサンプルを載せる。湿分飽和空気/乾燥窒素の割合を変化できる混合ガス流による0%から95%のRHにおいて、インクレメント増加の調節プログラムに、両空間(chambers)を付す。各条件でのサンプルの重量増加を、規定される質量の最小変化率に達するか、あるいは平衡状態になる特定の時間が過ぎるまで記録する。95%から0%への逆サイクルを直ちに行なって、吸収/脱吸収プロフィールを生じせしめ、これによって吸湿性を判定する。【0048】相対湿度(RH)/25℃での湿分吸収量の所見は、以下の通りである。(1)メトホルミン塩酸塩時間 湿分吸収量(%)30分 1.270分 3.33時間 10.06時間(平衡状態に到達せず) 20.1(2)メトホルミン・フマレート(2:1)時間 湿分吸収量(%)30分 1.070分 2.03時間 4.16時間(平衡状態に到達せず) 6.6(3)メトホルミン・スクシネート(2:1)時間 湿分吸収量(%)30分(平衡状態に到達) 0.27【0049】要するに、試験した塩の湿分吸収量の程度は、以下に示すランク順序に示される。(1)メトホルミン塩酸塩:相対湿度95%、25℃で6時間後の湿分含有量20%(2)メトホルミン・フマレート(2:1)塩:相対湿度95%、25℃で6時間後の湿分含有量6.6%(3)メトホルミン・スクシネート(2:1)塩:相対湿度95%、25℃で30分後の平衡湿分含有量0.27%【0050】これらの結果から、メトホルミン塩酸塩は、本発明のメトホルミン・フマレート(2:1)塩やメトホルミン・スクシネート(2:1)塩と比較して、実質的に多量の湿分を実質的に吸収することが認められる。従って、本発明のメトホルミン塩(2:1)は、メトホルミン塩酸塩と比較して、錠剤成形中の取扱い特性が改善されていると云える。 メトホルミン2モルに対して、フマル酸、コハク酸、およびリンゴ酸からなる群から選択される二塩基性酸1モルのモル比を持つ二塩基性酸のメトホルミン塩。 さらさらした粉末または結晶の形状を有する請求項1に記載のメトホルミン塩。 周囲温度での水への溶解度(mg/ml)が150mg/ml以下である請求項1に記載のメトホルミン塩。 相対湿度95%、20℃で測定した吸湿性が6時間で7%以下の湿分吸収量である、さらさらした顆粒の形状を有する請求項1に記載のメトホルミン塩。 請求項1に記載のメトホルミン塩およびその医薬的に許容しうる担体から成る医薬組成物。 錠剤またはカプセル剤の形状を有し、かつメトホルミン塩がメトホルミン・フマレートまたはメトホルミン・スクシネートである請求項5に記載の医薬組成物。 さらに他の抗高血糖剤を含有する請求項5に記載の医薬組成物。 他の抗高血糖剤がグリブリドまたはグリピジドである請求項7に記載の医薬組成物。 請求項1に記載のメトホルミン塩を含む高血糖症治療剤。 メトホルミン塩を、他の抗高血糖剤といっしょに投与することを特徴とする、請求項9に記載の高血糖症治療剤。 請求項1に記載のメトホルミン塩と、他の抗高血糖剤であるスルホニル尿素化合物、グルコシダーゼ・インヒビター、チアゾリジンジオン、GLP−1ペプチドおよび/またはインスリンを含む、高血糖症治療用医薬組成物。 他の抗高血糖剤がグリブリド、グリピジド、グリメピリド、アカーボース、ミグリトール、トログリタゾンまたはインスリンである請求項11に記載の高血糖症治療用医薬組成物。


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