タイトル: | 特許公報(B2)_赤芽球の識別方法 |
出願番号: | 2000522436 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 15/14,G01N 33/48,G01N 33/49,G01N 33/80 |
リー,イー リー,ジン ヤング,キャロル JP 4087560 特許公報(B2) 20080229 2000522436 19981113 赤芽球の識別方法 コールター インターナショナル コーポレイション 596163448 石田 敬 100077517 鶴田 準一 100092624 日野 あけみ 100108110 西山 雅也 100082898 樋口 外治 100081330 リー,イー リー,ジン ヤング,キャロル US 08/976,226 19971121 20080521 G01N 15/14 20060101AFI20080424BHJP G01N 33/48 20060101ALI20080424BHJP G01N 33/49 20060101ALI20080424BHJP G01N 33/80 20060101ALI20080424BHJP JPG01N15/14 PG01N15/14 CG01N33/48 BG01N33/49 AG01N33/49 HG01N33/80 G01N 15/14 G01N 33/48 G01N 33/49 G01N 33/80 特開平06−109725(JP,A) 特開平05−034342(JP,A) 特開昭57−090159(JP,A) 特開平10−369729(JP,A) 特開平8−338839(JP,A) 8 US1998024196 19981113 WO1999027346 19990603 2001524665 20011204 8 20051014 郡山 順 【0001】発明の属する技術分野本発明は、光散乱測定により、血液細胞標本中の他の細胞型から網状赤血球を識別する方法に関する。さらに、この方法は、適当な電気的測定及び光学的測定により血液細胞標本中の白血球の同時識別のための方法を提供する。【0002】発明の背景赤血球は6段階の発達、すなわち、前正赤芽球、好塩基性正赤芽球、多染性正赤芽球、正染性正赤芽球、網状赤血球及び成熟赤血球を通過する。しかしながら、網状赤血球は骨髄及び末梢血の両方に見い出される。増加した網状赤血球が溶血性貧血、サラセミア、シデロブラスト貧血並びに急性及び慢性の血液喪失において見い出される。【0003】したがって、血液標本中に含有される網状赤血球を分析することは臨床的に重要である。伝統的に網状赤血球の測定は手動で行なわれる。その工程は、顕微鏡のスライド上へのニューメチレンブルーにより染色された血液標本の塗り付けに続いて、個々のスライドの手動の目視分析を含む。網状赤血球は血液標本中の総赤血球の百分率として報告される。このアプローチは非常に時間がかかると同時に個人のスライドの分析の解釈に対して主観的である。【0004】最近、いくつかの自動化方法が網状赤血球の分析のために開発された。これらの方法の多くは、特異的に網状赤血球を染色するのに蛍光RNA染色を利用し、検出のために蛍光フローサイトメトリーを用いる。黒田他に対する米国特許第4,985,174号は、フローサイトメーターによる網状赤血球の測定を可能とするために全血の標本中の網状赤血球の蛍光染色のためにオーラミンOを含有する試薬を開示する。Fan 他に対する米国特許第5,411,891号は、血液標本中の網状赤血球を染色するための有機カチオン性染料及びpHを維持するための緩衝液を含む試薬を開示する。網状赤血球、平均細胞容積及びヘモグロビン濃度を蛍光フローサイトメーターにより分析する。これらの方法は他の細胞集団から網状赤血球を識別することができる。しかしながら、蛍光測定は複雑で高価な検出方法である。【0005】Rodriques 他に対する米国特許第5,616,501号は、染色され、かつ、ゴースト化した網状赤血球を検出するための上方中角度光散乱(UMALS)測定を用いる方法を開示している。この方法は、血液標本をニューメチレンブルー染料溶液と共にインキュベートし、次いで、ヘモグロビンを遊離させ、さらにゴースト化試薬と共にインキュベートすることにより赤血球を固定することにより網状赤血球の細胞内のRNAを沈殿させる。処理された標本混合物においては、網状赤血球はその中角度光散乱シグナルにシフトがあり、それを成熟赤血球から網状赤血球を識別するのに用いる。この方法は、高価な蛍光測定の使用を回避する。しかしながら染色工程の沈殿メカニズムが機器についてやっかいであることがある。さらに、重要なゴースト化工程は、自動化分析のために41℃まで標本混合物を加熱することを必要とする。【0006】他方では全血標本からの白血球集団の分析は、病理学の多様性に関する診断手順の不可欠で非常に重要な部分である。自動化方法で白血球の主要な集団を分析する能力は単一の血液標本の急速な診断及び多くの標本の同時の急速処理のために重要である。米国特許第5,155,044号(Ledis他に対する)は全血標本からの白血球の単離及び分析方法を開示し、それは、自動血液分析機で一工程測定において白血球を5つの亜集団に識別することを可能にする。この検出技術は、同時光散乱測定と、DC(直流)及びRF(高周波)の両方におけるインピーダンス測定を含む。レディス他は白血球亜集団の自動識別を可能にしたが、彼等は網状赤血球の識別を提供しない。【0007】米国特許第5,384,549号(浜口他に対する)は、複雑な手順により白血球を5つの亜集団に識別する溶解試薬系及び方法を記載している。この方法は3つの溶解試薬、3つの分離標本調製物並びに、リンパ球集団及び単球集団に加えて、好酸球集団、好中球集団、好塩基球集団の同一性について測定を必要とする。浜口他は、白血球の亜集団の自動識別を可能としたが、彼等は網状赤血球の識別を提供しない。【0008】米国特許第5,686,308号(Li他に対する)は、自動化血液分析機で一工程で白血球を5つの亜集団に識別するための溶解化試薬系及び方法を記載している。溶解試薬は、エトキシル化長鎖アミン化合物及び溶解試薬のpHを2.0〜3.6の範囲内に調整するための酸を含む溶解試薬及び高張アルカリ性安定化試薬を含む。この特許は白血球亜集団の識別のための試薬及び方法を教示するが、網状赤血球の識別を教示しない。【0009】先の記載に基づいて、網状赤血球を識別するための簡単で費用のかからない分析方法についての必要性がある。発明の概要本発明の一つの目的は、蛍光または核染色剤を用いずに自動化血液分析機で網状赤血球の識別を可能とする方法を提供することである。この方法は、血液細胞標本を成熟赤血球を溶解する試薬系にさらし、低角度光散乱測定により流動セル中の前記標本を分析して他の細胞の型から網状赤血球を識別することを含む。【0010】本発明の他の目的は網状赤血球と白血球の同時識別を可能とする方法を提供することである。この方法は、成熟赤血球を溶解する試薬系に血液細胞標本をさらし、DC測定及び光散乱測定により流動セル中の前記標本を分析して網状赤血球及び白血球亜集団を識別することを含む。後の発明の好ましい態様の詳細な説明からよりよく分かるように、本発明は、核染色及び複雑な蛍光検出方法を用いることなく、光散乱を用いて網状赤血球の識別を与える点で従来の技術に比較して特に有益である。本発明は次の好ましい態様の記載からよりよく理解されるだろう。【0011】好ましい態様の詳細な説明本発明は網状赤血球の識別方法及び血液細胞標本中の白血球亜集団の同時識別方法に関する。第1の態様においては、本発明の方法は、試薬系か染料または核染色剤を含有しない、成熟赤血球を溶解する試薬系に血液細胞標本をさらし、続いて焦点を合わせた流動セル中の標本混合物を光散乱を用いて分析し、血液細胞標本中の網状赤血球を識別することを含む。【0012】本発明のために適当な1つの試薬系は、一般式:【0013】【化1】【0014】(式中、Rは12〜22の炭素原子を有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基であり、m及びnは各々1以上であり、m+nは20〜40の間である)で表わされるエトキシル化長鎖アミン化合物及び溶解試薬のpHを2.0〜3.6の範囲内に調整するための酸を含む溶解試薬並びに高張アルカリ性安定化試薬を含む。【0015】任意に、赤血球デブリを減らすのに有効な量で1以上の溶解化剤を溶解試薬に包含させることができる。典型的には溶解化剤はポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンコポリマー並びに16以上のHLBを有するエトキシル化アルコールである。適当なコポリマーはPluronicコポリマー(BASFコーポレイション、ニュージャージー州、パーシッパニー)、たとえば、Pluronic F38及びPluronic 25R8を含むが、これらに限定されない。適当なエトキシル化アルコールはPlurafac A38(BASF)及びHetoxol STA30(Heterene, Inc.ニュージャージー州、パタソン)を含むが、これらに限定されない。【0016】さらなる任意の添加剤を、溶解試薬中に、それらの存在が溶解試薬組成物中の主要機能性成分と相溶性である濃度で含ませることもできる。これらの添加剤の中では、組成物の棚寿命を増加するための、酸化防止性を有する保存剤、及び抗微生物性を有する保存剤である。抗酸化性を有する保存剤はEDTA及びブチルメチルフェノールを含むが、これらに限定されない。抗微生物活性を有する保存剤は、ジメチロールジメチルヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカーバメート及びイソチオゾロン誘導体を含むが、これらに限定されない。【0017】網状赤血球の識別は光散乱測定を用いて外筒流体を用いる焦点を合わせた流動セル中で実施する。粒子、たとえば血液細胞が流動セルの開口を通過する時、レーザービームからの入射光を全方向に散乱させる。光散乱シグナルを0〜180°の間の入射光に呼応する種々の角度で光検出器により検出できる。各細胞集団は大きいか小さいかのいずれかで異なった光散乱特性を有し、異なった細胞集団の識別のために利用し得ることが分かった。入射光から10°未満で検出される光散乱シグナルは一般に低角度光散乱と呼ばれ、それは細胞のサイズ並びに細胞の量により影響を受ける。【0018】流動セルを通過する粒子または細胞からの光散乱シグナルを本発明の目的のために用いる。好ましくは、2つの角度の光散乱シグナルを網状細胞の識別に用いる。より好ましくは、光散乱の両方の角度は10°未満である。第1の角度のより好ましい範囲は約0°〜約4°である。第2の角度のより好ましい範囲は約3°〜約7°である。【0019】図1は、例Iに記載された手順に従って処理し、分析された5%の網状赤血球を含有する。臨床的全血標本のLS1(1°〜3°)対LS2(4°〜6°)の散布図を示す。この散布図では、網状赤血球は、赤血球デブリ(下)及び白血球(この散布図の範囲の外にある)から明確に識別されるクラスターを形成する。この散布図は、標準のDCスケールにリンパ球集団の下に細胞集団、領域は通常図2に示されたデブリ領域と考えられる、を描く。【0020】図3は、網状赤血球と、他の型の未成熟赤血球である有核赤血球(NRBC)をも含有する臨床標本の散布図を示す。この標本を同じ手順を用いて分析した。この図はLS1対LS2散布図における網状赤血球の右側の追加のクラスターを示し、それはNRBCに相当する。2つの未成熟赤血球集団をこの2次元散布図に分離した。【0021】低角度光散乱(LS1及びLS2)による網状赤血球の識別は簡単で複雑でない。それは、網状赤血球を他の細胞から識別するのに普通の2次元点プロットまたは散布図を利用する。この方法は核染色または蛍光検出を必要としない。本発明の第2の態様では、白血球の識別分析は網状赤血球の識別といっしょに、同じ溶解試薬系及び1つの標本調製物を用いて、電気的及び光学的分析を用いて1工程で実施できる。電気的及び光学的分析は光散乱測定及びインピーダンス測定を含む。自動血液分析機による白血球分析に用いられるDCインピーダンス測定装置は当業者に知られており、一般にRodriguez 他に対する米国特許第5,125,737号に記載されており、その全体を参照により本明細書に組み入れる。網状赤血球及び白血球の識別分析のために、流動セルを通過する粒子または細胞からの低及び中角度光散乱シグナルを検出可能な光散乱検出器が用いられる。【0022】 図1においては、白血球はLS1対LS2散布図の範囲外にあり、この図には示されていない。しかしながら、白血球の識別及び網状赤血球の識別のための標本分析を一工程測定で実施できる。両方の目的のためのデータ分析は、一工程の測定から得られた異なったパラメータを用いて同時に実施できる。 図2は、DC対LS3(中角度、約24°〜約25°)散布図における全血標本の白血球亜集団である、リンパ球、単球、好中球及び好酸球の4つの別個のクラスターを示す。標本を1つの標本調製物において処理し、網状赤血球の識別と同時に分析した。【0023】本発明の方法は、核染色剤及び蛍光を用いない網状赤血球の識別を、初めて報告する。本発明の方法は、さらに次の例を参照することにより理解できる。しかしながら、本発明が記載された例に限定されないことが分かるだろう。例I28μlのEDTA−抗凝固化臨床的全血標本に対して、0.18%のギ酸、2%の式:【0024】【化2】【0025】(式中、Rはステアリルで、m+nは27に等しい)で表わされるエトキシル化長鎖アミン、溶解化剤としての1.4%のPlurafac A38及び保存剤を含む、417μlの溶解試薬を加え、血液分析機の混合室で約4秒間混合した。次いで、1.4%のNaCl、3.2%のNa2 SO4 及び0.66%のNa2 CO3 を含み、pH11.0である、180μlの安定化試薬を加えて、混合し、溶解反応を遅延させた。【0026】安定化試薬の添加10秒後、標本混合物を、DC及び光散乱検出器を装備した血液分析機の、外筒流体であるISOTON(登録商標)III 希釈剤(フロリダ州、マイアミのCoulter Corporation の製品)を有する焦点を合わせた流動セルに、供給した。光散乱検出器は、いくつかの範囲の角度、すなわち、約1°〜約3°(LS1)、約4°〜約6°(LS2)、約24°〜約35°(LS3)及びさらに高い角度で、流動セルを通過する細胞からの光散乱シグナルを検出する。【0027】得られる散布図を図1に示す。図1は、LS1対LS2散布図において、赤血球デブリ(下)及び白血球(上、しかし、この散布図の範囲の外)から識別された網状赤血球のクラスターを示す。例II新鮮な正常な全血標本を例Iの記載と同じ試薬及び手順を用いて分析した。標本混合物を、白血球の識別及び網状赤血球の識別のための例Iで用いたのと同じ血液分析機の流動セル中で同時に分析した。図2は得られたDC対LS3散布図であり、それは白血球亜集団、すなわち、リンパ球、単球、好中球及び好酸球の4つの別個のクラスターを示す。【0028】例III例Iに記載した手順及び試薬を網状赤血球及びNRBCをも含有する臨床的全血の分析に用いた。図3は得られたLS1対LS2散布図であり、それは、網状赤血球の右側にNRBCに相当する追加のクラスターを示す。2つの未成熟赤血球集団をLS1対LS2散布図に分離させた。【0029】本発明を特に好ましい態様に関連して記載してきた。しかしながら、本発明の精神を離れることなく種々の変更をなすことができ、そのような変更が添付の請求の範囲内に入ることを意図することは明らかであろう。【図面の簡単な説明】【図1】 例Iに記載された本発明のプラクティスにしたがって得られた散布図である。【図2】 例IIに記載された本発明のプラクティスにしたがって得られた散布図である。【図3】 例III に記載された本発明のプラクティスにしたがって得られた散布図である。 網状赤血球の分別方法であって、以下のステップ:(a)血液細胞サンプルを成熟赤血球を溶解するための試薬系に晒し、(b)流動セル中の前記サンプルの低角度光散乱シグナルを計測し、そして(c)前記低角度光散乱シグナルを用いて網状赤血球を他の細胞型から分別する、を含む前記方法。 前記低角度光散乱シグナルの計測が、光散乱シグナルの2つの低角度を用いて実施される、請求項1に記載の方法。 前記低角度光散乱シグナルの計測定が、10°未満で検出される光散乱シグナルの2つの低角度を用いて実施される、請求項1に記載の方法。 前記光散乱シグナルの2つの低角度が、10°未満で検出される低角度光散乱シグナルである、請求項2に記載の方法。 1つの低角度光散乱シグナルの範囲が、約0°〜約4°である、請求項4に記載の方法。 他の低角度光散乱シグナルの範囲が、約3°〜約7°である、請求項4に記載の方法。 前記ステップ(b)において、前記流動セル中の前記サンプルのDC及び中角度光散乱シグナルを計測し、そして前記ステップ(c)において、前記DC及び中角度光散乱シグナルを用いて白血球亜集団を分別する、ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。 前記白血球亜集団は、リンパ球、単球、好中球、及び好酸球から成る群から選ばれる、請求項7に記載の方法。