タイトル: | 特許公報(B2)_地球温暖化防止方法及びその装置 |
出願番号: | 2000520889 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | B01D 53/54,B01D 53/56,B01D 53/86,C01B 21/22,C07C 55/14,C07C 51/27 |
田川 克志 三浦 功慈 児玉 莊平 清水 敦 田中 克利 JP 4212234 特許公報(B2) 20081107 2000520889 19981116 地球温暖化防止方法及びその装置 旭化成ケミカルズ株式会社 303046314 松井 佳章 100151965 清水 猛 100068238 伊藤 穣 100095902 武井 英夫 100103436 鳴井 義夫 100108693 田川 克志 三浦 功慈 児玉 莊平 清水 敦 田中 克利 JP 1997316671 19971118 JP 1998081722 19980327 20090121 B01D 53/54 20060101AFI20081225BHJP B01D 53/56 20060101ALI20081225BHJP B01D 53/86 20060101ALI20081225BHJP C01B 21/22 20060101ALI20081225BHJP C07C 55/14 20060101ALI20081225BHJP C07C 51/27 20060101ALI20081225BHJP JPB01D53/34 128B01D53/34 129BB01D53/36 AC01B21/22C07C55/14C07C51/27 B01D 53/00-53/96 C01B 21/22 C07C 51/27、55/14 特表平09−508346(JP,A) 特開昭50−064159(JP,A) 米国特許第03467492(US,A) 特開平03−004027(JP,A) 特開昭49−014378(JP,A) 22 JP1998005148 19981116 WO1999025461 19990527 29 20040625 小久保 勝伊 技術分野 本発明は、地球温暖化ガスの処理方法及びその処理装置に関する。より詳しくは、地球温暖化ガスである亜酸化窒素(N2O)を発熱的に分解させ、N2Oを窒素(N2)、酸素(O2)、場合によってはこれらに加えて窒素酸化物(NO、NO2等)、に変換することで地球温暖化を防止する方法及びその装置に関するものである。背景技術 従来、硝酸を酸化剤として使用する化学プロセスの一つであるアジピン酸の製造プロセスでは、シクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールを硝酸で酸化する際に副生していた亜酸化窒素は大気中へ放出されていた。 しかしながら、亜酸化窒素は、代表的な地球温暖化ガスとしての二酸化炭素ほど広く知られている訳ではないが、地球温暖化ガスの一つとして近年注目されてきている物質である。 亜酸化窒素は、自然の土壌及び農耕地からその大部分が発生し、地球上の全亜酸化窒素発生量への化学工業の寄与する割合は小さい。しかしアジピン酸製造プロセス等の化学プロセスは、N2Oの人為的発生源であるために発生量の調整が可能と考えられ、まず化学プロセスから発生する亜酸化窒素を低減させようとする機運が近年高まってきている。 従来、すでに、化学プロセスから発生する亜酸化窒素を低減させる提案は種々なされている。それらの提案の多くは、亜酸化窒素(N2O)を窒素(N2)、酸素(O2)、場合によってはこれらに加えて窒素酸化物(NO、NO2)、に分解する方法であり、これらのうち触媒を用いずに加熱により分解を行う熱分解法と、触媒を用いて分解を行う接触分解法の二つのN2O分解方法が、主要なN2O分解方法であるので、それぞれについて以下説明する。 触媒を用いない熱分解法としては、例えば米国特許第2,974,019号公報、特開昭61−257940号公報、特開平5−339003号公報、特表平9−508346号公報等による提案が知られている。しかし、これらの提案はいずれも次に示すような未解決の問題を有しており、まだ十分満足し得る亜酸化窒素の熱分解方法は提案されていない。 即ち、米国特許第2,974,019号公報は、N2Oを高温高圧(〜1692℃、〜25.5気圧)下に熱分解させてNO2を得る装置を提案しているが、この装置は、前記高温高圧に耐えうる信頼性に富む材料の入手が困難であること、及びそれ故に装置が高価なものとならざるを得ず、実用性を欠く。 また、特開昭61−257940号公報は、本発明と同じ出願人によるものであり、N2Oを含む排ガスを予熱して昇温させると約900℃でN2Oの熱分解が開始し1000℃以上でN2Oの熱分解ができることを開示している。しかしながらこの提案におけるN2Oの熱分解方法では、処理すべきN2Oを含む排ガス中のNO及びNO2の合計量を10%以下にする必要があるために、排ガス組成を調整する付加的工程を必要とするという問題点がある。 さらに、特開平5−339003号公報は、前記特開昭61−257940号公報に示されたN2Oの熱分解方法を改良し、N2Oを火炎処理して熱化学分解させる方法を提案している。しかしながら、この方法は、火炎の有する燃焼熱で、火炎の存在下にN2Oを熱化学分解させる方法であり、このためにこの方法による場合には火炎の燃焼熱にN2Oの分解熱が加わり、かなりの高温で熱化学反応を行わざるを得ないことが懸念される。またこの方法は、N2Oの熱化学分解のために火炎を継続的に利用する方法であるため、その火炎を発生させるための燃料使用量が多くならざるを得ない。それ故に、その結果発生する燃焼ガスの量も多くなり、熱化学分解したガス体中のNO、NO2濃度が必然的に薄められ、NO、NO2を回収するための装置(例えば吸収塔)が大型化するなどの問題点が懸念される。 さらにまた、特表平9−508346号公報は、前記特開昭61−257940号公報に示されたN2Oの熱分解方法を、予熱部について改良し、N2OからNOを製造する方法を提案している。即ち、この方法は、N2Oを含むガスを熱交換器を用いて、約400〜700℃となし、次に熱交換器を用いないで、燃焼性ガスの燃焼熱等を利用して約850℃に上昇させ、次いで1000℃以上でガス中のN2Oを熱分解し、生成ガスを急速冷却してNOを回収することによるN2OからNOを製造する方法の提案である。しかしながらこの方法による場合は、処理すべきN2Oを含むガスの全量を燃焼性ガスの燃焼等を利用して850℃に上昇させることが必要であり、そのために燃焼性ガスを多量に使用せざるを得ず、この点でこの方法も前記特開平5−339003号公報による提案と同様の問題点を有する。その上この方法では前記燃焼熱を保有したN2Oが、反応室で多量の分解熱を発生して熱分解するので、反応室の温度がかなり高温にならざるを得ないと懸念される。この点について、同号公報の明細書においても反応室の温度が1500℃まで上昇する可能性があることが記載されている。 N2Oの熱分解反応においては、N2OがN2とO2に分解する反応が発熱反応であり、発生する多量の分解熱はN2Oの熱分解が行われる反応系の温度を顕著に上昇させるという問題点がある。この反応系が高温になればなるほど、反応器及び反応器から排出されるガスを処理する諸設備、例えば、熱交換設備、生成ガスの吸収設備、これらの設備を連結する配管等に至るまで、より高価な耐熱性材料を用いなければならなくなり、また得られる設備の保守保全がより困難性を増す恐れがある。しかしながら、前記従来提案の全てにおいて、N2Oの分解熱によって発生する上記問題点に対する考慮は全くなされていない。 即ち、既述のように従来、十分満足しうる亜酸化窒素の熱分解方法は提案されていないのである。 触媒を用いる接触分解法としては、例えば、特開平5−4027号公報、特開平6−277453号公報等による提案がすでになされている。しかし、これらの提案はいずれも次に示すような未解決の問題を有しており、熱分解方法の場合と同様まだ十分満足し得る亜酸化窒素の接触分解法は知られていない。 例えば本発明と同じ出願人による特開平5−4027号公報は、N2Oを含む排ガスを酸化第二銅触媒の存在下でN2とO2へ接触分解する方法を提案しており、この提案には、400℃から600℃の反応温度が望ましいこと、接触分解における反応熱が大きく、断熱反応においては、反応器出口側で温度が上がるため、空気等で希釈して反応器に供給することが望ましいこと、そして、接触分解による反応熱を接触分解後ガスから熱交換器によって蒸気として回収するか、又は、接触分解後ガスを空気等で希釈することによって除熱することが開示されている。しかしながら、反応熱を熱交換器、又は、希釈ガスで処理する同号公報における提案は、N2Oの接触分解熱が19.5Kcal/molであることを考えると問題を有する。即ち、前記分解熱は、例えば、N2O濃度34%のN2O含有ガスを接触分解させると、その前後で約600℃温度が上昇する程に大量の分解熱が発生することを意味しており、従って、前記提案によって除熱しようとすると、大量の希釈ガスを必要とするか、あるいは、大型の熱交換器を必要とすることとなり、除熱経費が著しくかさむ恐れがあるのである。 また、特開平6−277453号公報は、触媒性N2O分解プロセスの改良に関する提案であり、同号公報にはN2O分解ゾーン内すべての温度を許容最大温度Tmax以下に維持するために、分解ゾーン出口の流出ガスを冷却後、冷却ガス流の一部を分解ゾーンに還流させる方法が開示されている。しかしながらこの提案も前記特開平5−4027号公報と全く同様にN2O分解時に発生する大量の反応熱に起因する問題がある。 即ち、従来、十分満足しうる亜酸化窒素の接触分解方法もまた提案されていないのである。 本発明は、以上において詳述した従来提案されているN2Oの分解方法が有する未解決の諸問題を解消し得るN2Oの分解方法であり、N2Oを分解させることで地球温暖化を防止しようとするものである。 即ち、本発明の課題は、発生するN2O分解熱を効率的に制御し、N2Oを含む被処理ガス中のN2Oを低温かつ高分解率で分解させ、必要に応じてNO、NO2を低廉に回収し得て、かつN2O分解器その他設備機器への熱負荷が少なく、その上、系外からの熱エネルギーの供給が極めて少なく、設備コストが低廉で運転コストも低廉である、実用性に優れるN2Oの分解方法による地球温暖化防止方法及びその装置を提供することである。発明の開示 本発明者らはN2Oの分解方法、特にN2Oの分解熱が関与する前記問題点を解消し得る方法について、鋭意検討を重ねた結果、前記従来のN2O分解方法とは全く異なる前記本発明課題を達成し得るN2Oの発熱的分解方法を見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち本発明は、1. N2Oを含有する被処理ガス中のN2Oを熱分解又は接触分解させるN2Oの発熱的分解方法において、N2Oを含む被処理ガス流を分割し、その一部を予熱し、該気流中のN2Oを発熱的に分解させ熱気流となし、分割された残りの被処理ガス流を該熱気流中に供給して、N2Oの分解を継続させることを特徴とするN2O含有ガスの分解方法、2. N2Oの発熱的分解が、熱分解により行われることを特徴とする上記1に記載のN2O含有ガスの分解方法、3. 分割された残りの被処理ガスを該熱気流の流れの方向の複数の箇所へ供給することを特徴とする上記2記載のN2O含有ガスの分解方法、4. 被処理ガス中のN2Oの分解を、実質上押し出し流れ状態で行うことを特徴とする上記2又は3記載のN2O含有ガスの分解方法、5. 予熱を、燃料の酸化発熱反応を用いた直接加熱方式で行うことを特徴とする上記2又は3記載のN2O含有ガスの分解方法、6. 燃料が水素又はメタノールであることを特徴とする上記5記載のN2O含有ガスの分解方法、7. N2Oの発熱的分解が、接触分解により行われることを特徴とする上記1に記載のN2O含有ガスの分解方法、8. 分割された残りの被処理ガスを該熱気流の流れの方向の複数の箇所へ供給し、各々触媒層と接触させてN2Oを発熱的に分解することを特徴とする上記7記載のN2O含有ガスの分解方法、9. 触媒層と接触してN2Oを発熱的に分解する直前の気流が、希釈ガスとの混合気体であることを特徴とする上記7又は8記載のN2O含有ガスの分解方法、10. 希釈ガスが、空気及び/又は被処理ガス中のN2Oを接触分解させた後のガスであることを特徴とする上記9記載のN2O含有ガスの分解方法、11. 被処理ガス中のN2Oを接触分解した後のガスを冷却後、希釈ガスとして用いることを特徴とする上記9記載のN2O含有ガスの分解方法、12. 予熱が、被処理ガス及び/又は希釈ガスと、水素を貴金属系触媒を用いて酸素と反応させ生成する水蒸気とを混合することにより行われることを特徴とする上記7、8、10又は11記載のN2O含有ガスの分解方法、13. N2Oを含む気体中のN2Oを熱分解するN2Oガスを発熱的に分解する装置であって、(a)N2Oを含む分割された一部の被処理ガスの導入部、(b)該導入したN2Oを含む被処理ガスの予熱部、(c)予熱部に隣接し、N2Oを含む分割された残りの被処理ガスを、熱分解部中の発熱的に分解され熱気流となった気流の流れ方向の一箇所又は二箇所以上に供給する供給手段を具備し、N2Oガスの発熱的分解を継続させる熱分解部、(d)熱分解した気体の排出部、から成ることを特徴とするN2O含有ガスの分解装置、14. 予熱部が燃料燃焼手段を具備してなることを特徴とする上記13記載のN2O含有ガスの分解装置、15. 燃料燃焼手段への燃料供給量の増減により、排出部の出口の気流の温度を、一定温度に制御することを特徴とする上記14記載のN2O含有ガスの分解装置、16. 熱分解部が、少なくとも一つの被処理ガスの供給手段の前方及び/又は後方箇所に多孔板及び/又は多管ノズルを具備して成ることを特徴とする上記13、14又は15記載のN2O含有ガスの分解装置、17. 被処理ガスの供給手段のある方向へ流入する気流が、旋回流として流入するように、多孔板、多管ノズル及び/又は被処理ガス供給口が設置されて成ることを特徴とする上記13、14又は15記載のN2O含有ガスの分解装置、18. N2Oを含む気体中のN2Oを触媒に接触させN2Oを接触分解させることでN2Oガスを発熱的に分解する装置であって、(a)N2Oを含む分割された一部の被処理ガスの導入部、(b)該導入したN2Oを含む被処理ガスの予熱部、(c)予熱部に隣接し、N2Oを含む分割された残りの被処理ガスを、接触分解部中の発熱的に分解され熱気流となった気流の流れ方向の異なる箇所に供給する一つ又は二つ以上の供給手段、及び触媒層を具備し、N2Oガスの発熱的分解を継続させる接触分解部、(d)接触分解した気体の排出部、からなることを特徴とするN2O含有ガスの分解装置、19. 導入部、予熱部、若しくは接触分解部のいずれか又はそれらの複数部に希釈ガスを供給する手段をさらに有することを特徴とする上記18記載のN2O含有ガスの分解装置、20. N2Oを含む気体中のN2Oを触媒に接触させN2Oを接触分解させることでN2Oガスを発熱的に分解する装置であって、(a)N2Oを含む分割された一部の被処理ガスの導入部、(b)該導入したN2Oを含む被処理ガスの予熱部、(c)触媒層を有するN2Oを含む被処理ガスの接触分解部、(d)接触分解した気体の排出部、からなる装置1と、(e)装置1から排出される接触分解後の熱気流となった排出ガスとN2Oを含む分割された残りの被処理ガスとの導入部、(f)該接触分解後の熱気流となった排出ガスとN2Oを含む分割された残りの被処理ガスとの混合部、(g)触媒層を有し、N2Oガスの発熱的分解を継続させるN2Oを含む被処理ガスの接触分解部、(h)接触分解した気体の排出部、からなる装置2の1つ又は複数とから構成されることを特徴とするN2O含有ガスの分解装置、21. 装置1及び装置2の導入部、予熱部、混合部若しくは接触分解部のいずれか又はそれらの複数部に希釈ガスを供給する手段をさらに有することを特徴とする上記20記載のN2O含有ガスの分解装置、22. 地球温暖化ガスであるN2Oの大気中への放出が低減されたアジピン酸の製造方法であって、(1)シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンを硝酸酸化してアジピン酸となす硝酸酸化工程、(2)硝酸酸化工程から発生するN2O含有ガスからHNO3を回収する硝酸回収工程、(3)HNO3を回収した残りのN2Oを含有する被処理ガス流を分割し、その一部を予熱し、該気流中のN2Oを発熱的に分解させ熱気流となし、分割された残りの被処理ガス流を該熱気流中に供給して、N2Oの分解を継続させるN2O分解工程、(4)N2O分解工程から排出されるN2O分解熱を回収するN2O分解熱回収工程、を含むことを特徴とするアジピン酸の製造方法、である。発明を実施するための最良の形態 以下において、本発明を詳細に説明する。 本発明は、N2Oを含有するガス中のN2Oを発熱的に分解し、地球温暖化ガスであるN2Oの大気中への放出を著しく低減させることで、地球温暖化を防止するものである。N2Oの分解に関しては、次の式(1)、(2)で示される反応が知られている。 N2O → N2 + 1/2O2 (1) N2O → NO + 1/2N2 (2) 上記式(1)の反応は19.5kcal/molの熱量を発生する発熱反応であり、上記式(2)の反応は1.96kcal/molの吸熱反応である。従ってN2Oの分解反応は式(1)の反応による発生熱量が式(2)の反応による吸収熱量に全体として勝っているときに発熱的分解になる。本発明におけるN2Oの分解は、このような発熱的N2Oの分解を意味する。 本発明は、N2Oを含有する被処理ガス中のN2Oを熱分解または接触分解させるN2Oの分解方法において、N2Oを含む被処理ガス流を分割し、その一部を予熱し、該気流中のN2Oを発熱的に分解させ熱気流となし、分割された残りの被処理ガス流を該熱気流中に供給して、N2Oの分解を継続させる。 本発明におけるN2Oを含む気体である被処理ガスは、好適には硝酸酸化法によるアジピン酸の製造プロセスからの原料ガスであるが、本発明はこれに限定するものではない。またN2Oの他に空気、窒素、酸素、水、二酸化炭素、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、炭化水素類を含んでいても何ら問題ない。 本発明におけるN2Oの熱分解とは、触媒を用いないで、N2Oを含む気体中のN2Oを発熱的に熱分解させることによって、N2OをN2、O2、NO、NO2等に変換させることをいう。本発明では、N2Oを含む気体である被処理ガス流を分割して複数のガス流を形成させ、そのガス流の一部を予熱する。 この際の予熱温度は、N2Oが熱分解を実質上開始し得る温度であることが好ましい。本発明における特に好ましい予熱温度は、約750℃以上約950℃以下である。予熱温度が約750℃未満であると、N2Oの熱分解反応域に該予熱ガス流を導入した際に、N2Oの熱分解反応を実用的な反応速度で進行させ得なくなる恐れがある。また約950℃を越えると、実質的なN2Oの熱分解反応が開始するので、本発明の予熱するという利点が失われる。この予熱温度に応じて、予熱領域に近接した熱分解領域における導入された被処理ガスの滞留時間を適宜設定することができる。 予熱された前記被処理ガス流の一部は、予熱領域に隣接するN2O熱分解反応領域に導入され、この反応領域において、N2Oの自己熱分解が発熱的に開始され、熱分解し、N2Oの分解熱によって、導入されたガス流の流れの方向にガス流の温度がより上昇し、高温の熱気流が形成される。 本発明では、この高温の熱気流中に、分割された残りの被処理ガス流を供給することによって、その残りの被処理ガス流の温度をN2Oの熱分解温度以上に上昇させ、熱気流中に供給された被処理ガス中のN2Oの熱分解を引き続いて行わせるのである。 分割された残りの被処理ガス流は、前記熱気流の流れの方向の複数の箇所へ供給することがより好ましく、2〜5箇所に供給することが特に好ましい。このようにすることで、本発明によれば、先に供給した被処理ガス中のN2Oが自己熱分解して発熱する分解熱を、それより後に供給した被処理ガス流の昇温に、高度に順次利用することができるのであり、またN2Oの熱分解反応系の温度雰囲気を、1000℃程度の比較的低温領域から1300℃程度の中温領域にいたるまでの至適状態に制御できるのである。被処理ガス流を分割した流れの数が多くなれば、それにつれて予熱に要する燃料の投入量が少なくてすみ、N2Oの分解反応を所定の温度に維持するためのエネルギーコストが低減される。 本発明によるN2Oを含むガス中のN2Oの熱分解は、N2O熱分解領域に導かれるガス流れを押し出し流れ状態となして行うことが好ましい。このようにすることで、被処理ガス中のN2Oが熱分解して発熱する分解熱を、後からN2O熱分解領域に供給する被処理ガス流の昇温に、より効率よく利用することができる。また、該ガス流れを押し出し流れ状態とすることによって、N2O熱分解反応域における熱気流の温度をより正確に制御することが可能となり、所望する温度域の熱気流の所望する箇所に、分割された残りの被処理ガス流を供給することが可能となるのである。 本発明における処理すべき被処理ガス流を分割して得られるガス流の一部を予熱する際の予熱方法は、特に制限されるものではなく、従来公知のガス体を加熱する方法のいずれを用いても差し支えない、例えば、被処理ガスの流れる管を外部から加熱する管式型加熱等の間接加熱方式、燃焼ガス中に被処理ガスを入れて加熱する気体熱媒体型加熱方法や燃料及び/又は被処理ガスの一部を燃焼させその熱で被処理ガスを加熱する部分燃焼型加熱方法などの直接加熱方式、さらには電気炉による加熱方式、マイクロ波加熱方式などのいずれであっても良い。 前記予熱方法のうち、本発明では、直接加熱方式が、他の加熱方式より容易にかつ低廉に所望する温度までガス流れを加熱することができるので、特に好ましく用いることができる。 直接加熱方式をより具体的に示すと、部分燃焼型加熱方法としては、被処理ガス中のN2Oを燃料と直接反応させ、この反応熱により被処理ガスを加熱する方法を例示できる。気体熱媒体型加熱方法としては、燃料の燃焼により形成された高温ガスと被処理ガスを混合する方法を例示できる。 本発明における前記燃料とは支燃性ガスの存在下で燃焼する物質であり、気体燃料、液体燃料、固体燃料を幅広く使用できる。気体燃料としては、天然ガス、メタン、プロパン、ブタン等の炭化水素ガス、水素ガス、アンモニア、ヒドラジン等が例示される。液体燃料としては、ガソリン、ケロシン、軽油等の炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類が例示される。気体燃料の中では水素ガスが二酸化炭素の発生がなく、環境への影響がきわめて微少である点で他の燃料より優れているために特に好ましい。また、液体燃料の中ではメタノールが安価でかつ取り扱い容易な点で他の燃料より優れているために、本発明では特に好ましく用いられる。支燃性ガスとしては、空気、酸素、亜酸化窒素等を例示できる。 次に、本発明によるN2Oを熱分解することで地球温暖化を防止する地球温暖化防止装置について説明する。 本発明によるN2Oを熱分解する地球温暖化防止装置、即ち、N2O熱分解装置は、 (a)N2Oを含む被処理ガスの導入部、 (b)導入した被処理ガスの予熱部、 (c)予熱部に隣接し、気流の流れ方向の一箇所又は二箇所以上に、N2Oを含む被処理ガスの供給手段を具備する熱分解部、 (d)熱分解した気体の排出部、から成る。熱分解部はN2Oを熱分解させる領域である。 第1図に、本発明によるN2O熱分解装置を説明するための概念図を示した。第1図において、1はN2Oを含むガス導入部、2は導入したガスの予熱部、3は予熱ガス受け入れ部、4はN2Oを含むガスの供給部、5はN2Oの熱分解反応を行わせるN2O熱分解部、6は熱分解ガス排出部、7は熱分解反応器(炉)壁を示す。 被処理ガスの一部が、ガス導入部1を経て予熱部2でN2Oが熱分解を開始し得る温度に均一に予熱される。予熱を既述の直接加熱方式によって行う場合には、予熱部2に、図示していない燃料、支燃性ガスの導入部を設ければよい。この場合には予熱部内に燃焼バーナ等の燃料燃焼手段を具備させることが好ましい。 予熱されたN2O含有ガスは、予熱ガス受け入れ部3から熱分解部5へ導かれる。熱分解部5は予熱部2に隣接して又は接続されて予熱ガス受け入れ部3を介して設けられる。この熱分解部5で、N2Oの熱分解温度以上の温度でN2Oの熱分解が行われ、発生したN2Oの分解熱で熱気流が形成される。 形成された熱気流は、ガス供給部4より供給される分割された被処理ガスの残りの被処理ガス流と熱分解部5で混合される。第1図においては、このN2Oを含むガスの供給部4の数が3である場合を示すが、本発明において特に好ましいN2Oを含むガスの熱分解部5における供給部の数(被処理ガス供給段数)は2〜5である。 N2Oを含むガス供給部4は、熱分解部5内の熱気流の流れの状態を調整し得るガス供給手段を有することが好ましい。例えば、ガス供給部の一又は二以上が、被処理ガスの流れの方向と速度を調整し得る1つ以上のノズルから成るようにすることである。かかる手段を付与することにより、流れの方向と速度が至適に調整された被処理ガスを熱分解部に導入することが可能となり、熱分解部内の熱気流の流れの状態を制御することができる。 前記熱気流は、1番目のガス供給部4からのガスと混合され、合流し、その温度は一時的に低下する。次にこの合流した熱気流は、N2Oの熱分解が進むにつれて、温度が上昇し、再び熱気流となり、2番目のガス供給部4からの被処理ガスと混合される。以下同様にして、ガス供給部4から導入された被処理ガスは、その中のN2Oが順次熱分解されて、高い変化率で熱分解された後、熱分解ガス排出部6を経て熱分解反応装置より排出される。 本発明においては、N2Oの熱分解反応を連鎖反応的に安定して進行させることが好ましく、このために熱分解部5内のガス流れを実質上押し出し流れ(プラグフロー)となすことが好ましい。必要に応じて、隔壁、邪魔板、多孔板、充填物等のガス流れ調整手段を熱分解部5に設けてもよい。本発明において好ましいのは、熱分解部5内のN2Oを含むガス供給部4の前方及び/又は後方箇所に、図示してない多孔板及び/又は多管ノズルをガス流れを押し出し流れとするように具備させることである。 また、本発明においては、N2Oを含むガス供給手段の方向へ流入する熱気流が、旋回流として流入するようにガス流れを調整することが好ましい。熱気流を旋回流となすために、隔壁、邪魔板、多孔板、充填物等のガス流れ調整手段を熱分解部5に設けてもよい。熱気流を旋回流に制御するために、ガス供給部4に、被処理ガス流の流れの方向と速度を調整し得る1つ以上のノズルから成るガス供給手段を具備させることが好ましい。 本発明では、熱分解装置出口(熱分解排出部6の出口)の気流の温度を一定の値に制御することが好ましい。このようにすることで、機器の長時間継続運転が可能となる。この出口温度は、被処理ガスの供給温度、被処理ガス中のN2O濃度、被処理ガス供給速度、予熱部に供給される燃料の量等で変化する。従って熱分解装置出口の気流温度を一定に保つには、これらの因子を制御する必要があるが、本発明では、予熱部に供給される燃料の量を制御することで熱分解装置出口の気流温度を一定に保つことが好ましい。このようにすれば、分解温度をより安定に保つことができる。 本発明では、被処理ガスの供給温度を約750℃未満とすることが好ましい。また、熱分解装置から流出する反応終了後の気体の温度には特に制限はなく、1000℃程度の比較的低温領域から1300℃以下の中温領域までの広い温度範囲で制御することが可能である。さらに必要であれば1500℃以上とすることも可能である。 本発明におけるN2Oの接触分解とは、N2Oを含む気体中のN2Oを、触媒を用いて(触媒と接触させて)発熱的に分解させN2OをN2、O2に変換させることをいう。本発明は、N2Oを接触分解させて地球温暖化を防止する方法及びその防止装置である。この接触分解法の場合は分解温度が前記熱分解法に比べてより低温なのでNO、NO2はほとんど発生しないか、例え発生しても極く僅かである。 本発明におけるN2Oを含有するガスである被処理ガスは前述のごとく、N2Oの他に空気、窒素、酸素、水、二酸化炭素、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、炭化水素類を含んでいても何ら問題ない。しかしながら、接触分解法においては、被処理ガス中に含まれる成分が温度条件により触媒を被毒する恐れがある場合、あるいは、好ましくない反応が起こる可能性がある場合には、あらかじめその成分を除去して触媒層に供給することが好ましい。例えば、N2Oを含有するガスがパラジウム触媒等の被毒原因となる一酸化窒素、二酸化窒素を含有する場合には、予めこれらの成分を吸収塔で酸化吸収後、ミストの水分を除去した後、本発明の被処理ガスとして用いることが好ましい。従って、本発明における被処理ガスは、N2O分解設備に供給する前に予め含まれる他の成分を除去したガスや、他のガスと混合されたガス等であっても差し支えない。 本発明は、N2O分解触媒の種類によって制約されるものではない。しかしながら、本発明の課題を達成するのに、より好ましい触媒は銅、ニッケル、鉄、コバルト、パラジウム又はこれらの金属の酸化物あるいは複合酸化物を含有する触媒である。触媒は担体上に触媒を保持した担持触媒の形態で使用することが好ましい。触媒担体としては適度な細孔を有し、熱安定性の高いものが選ばれる。本発明において好ましい触媒担体はアルミニウム、シリカ、チタン、マグネシウム、ジルコニウムの酸化物あるいは複合酸化物である。これらの担体のうち、アルミニウム酸化物では、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナがより好ましい。シリカ・アルミナ系の複合酸化物では、ZSM5等のゼオライトがより好ましい。チタン酸化物では、アナターゼ型及びルチル型の酸化チタンがより好ましい。ジルコニアも耐熱性が高く好ましい。さらには、上記した担体の混合物から成る担体も好ましく用いうる。また、本発明における触媒の担持は公知の方法によって差し支えなく、例えば、触媒金属の水溶性塩の水溶液を担体に含浸させた後焼成処理する方法であってよい。 本発明においてより好ましく用い得る触媒系は、200〜800℃のN2O接触分解温度を有するものであり、特に好ましくは、300〜700℃の接触分解温度を有する触媒系である。 上述した接触分解温度がより高温度である触媒系においては、本発明によるN2Oの接触分解方法を適用することによって、N2O接触分解時に発生する分解熱をより効率よく次のN2O接触分解に利用し得る。 本発明では処理すべき被処理ガス流を分割したガス流となして、その分割したガスの一部即ち、複数のガス流のうちの一つのガス流を予熱してN2Oの接触分解領域に導入し、被処理ガス中のN2Oを接触分解させて熱気流を生成させる。この熱気流中に、前記分割された残りの被処理ガスを供給する。このようにすることで、その残りの被処理ガス流の温度をN2Oの触媒による反応開始温度以上に上昇させ、触媒層を通過させることによって被処理ガス中のN2Oの接触分解を継続させるのである。触媒層がN2Oの接触分解領域となる。 分割された残りの被処理ガスは、前記熱気流の流れの方向の複数の箇所へ供給することが好ましい。この供給された被処理ガスは前記複数の箇所で、前記熱気流と混合され、その供給箇所の後方に位置する触媒層と各々接触させる。このようにすることで、本発明によれば、先に供給した被処理ガス中のN2Oが接触分解されて発生する分解熱を、それより後方で供給した被処理ガス流の昇温に、高度に順次利用することができる。前記分割被処理ガス流の供給箇所は2〜4箇所が特に好ましい。被処理ガス流の分割数が多くなれば、希釈ガスの量が少なくてすむので、N2Oの分解反応を所定の温度に維持するためのエネルギーコストが低減される。 本発明では、上述のように被処理ガス流を分割して、複数の導入口より接触分解装置へ導入する。このときの被処理ガスの分割比率は対象とする被処理ガス中のN2O濃度、用いる触媒系に要求されるN2O分解温度及び用いる触媒層の処理能力を考慮して、適宜選択して差し支えない。しかしながら、被処理ガスを分割導入することによる効果を大きくするためには、隣接する触媒層において前方の触媒層に導入する被処理ガス量をQ Nm3/Hとするとき、その後方の触媒層には1.1〜3.0Q Nm3/Hになるように分割導入することがより好ましく、特に好ましくは、1.2〜2.7Q Nm3/Hである。同様に、触媒層の容量は、触媒系および各触媒層の入り口、出口の温度をそれぞれ同じくした場合には、隣接する触媒層において前方の触媒層の容量をVm3とするとき、その後方の触媒層の容量は1.1〜3.0Vm3になるように分割することがより好ましく、特に好ましくは、1.2〜2.7Vm3である。 本発明においては既述のように被処理ガスを分割してその一部を予熱する。この予熱方法はN2O接触分解法においても、特に制約されるものではなく、従来公知のガス体を加熱する方法の何れを用いても差し支えない。例えば、被処理ガスの流れる管を外部から加熱する管式型加熱等の間接加熱方式、燃焼ガス中に被処理ガスを入れて加熱する気体熱媒体型加熱方法や燃料及び/又は被処理ガスの一部を燃焼させその熱で被処理ガスを加熱する部分燃焼型加熱方法などの直接加熱方式、さらには電気炉による加熱方式、マイクロ波加熱方式などの何れであっても良い。また、水素等の可燃性ガスを触媒を用いて酸素等の酸化性ガスと反応させその反応ガスを被処理ガスと混合することによる予熱方式でもよい。これらの方式の中では、水素ガスを空気中の酸素と貴金属系触媒により反応させ生成する水蒸気を予熱源に用いる方法が、低温からの予熱が可能であり予熱温度の制御範囲が幅広いのでより好ましい。 本発明のN2O接触分解法においては、必要に応じて希釈ガスを用いることができる。この希釈ガスは接触分解系において、特定の箇所に限定されることなく用いることができ、また、気体流の温度を所定の温度に制御したい場合に用いればよい。従って、例えば、被処理ガス中のN2O濃度が低く分解熱の発生による懸念すべき温度上昇を考慮する必要がない場合には希釈ガスを用いなくてもよい。逆に、例えば、N2O濃度が高いか、あるいは用いる触媒系の反応温度が狭い特定温度範囲に限定される場合などには、分解後の気体流の温度上昇を抑制するか、あるいは、気体流の温度を特定温度範囲内に制御する必要を生じるので、希釈ガスが好ましく用いられる。 本発明で希釈ガスを使用する場合は希釈ガスの供給箇所を被処理ガスの供給箇所と同じくすることが好ましい。希釈ガスは触媒被毒物質や、N2O分解反応を阻害する物質を含まないガスから選んでよい。本発明において特に好ましく用いられる希釈ガスは、安価で入手し易く、取り扱いが容易である点から空気及び/又はN2Oを含有するガス中のN2Oを接触分解させた後のガスである。 本発明の対象とするN2Oの接触分解反応は、窒素と酸素を発生し、ガス量が増える不可逆的な反応であるから、触媒層の操作圧を高くした方が、ガス処理量を多くすることができ、また、設備を小さくし得る点から有利と考えられる。しかし、純粋なN2Oのガスは加圧下で爆発的に反応する挙動があるとされており、本発明者らは、混合系であっても過度の加圧下ではN2Oのガスが爆発的に分解する可能性があると考えている。従って、本発明における好ましい触媒層の操作圧力は大気圧から0.5MPa、より好ましくは大気圧から0.3MPaである。なお、既述の熱分解法の圧力についても同様である。 本発明は、N2Oを熱分解または接触分解させるいずれのN2O分解方法においても、N2Oを含む気体中のN2O濃度が60容量%以下であるガスにより好適に用いられる。特に好ましい被処理ガス中のN2O濃度は、2〜50容量%である。被処理ガス中のN2O濃度が60容量%を越えると、純粋なN2Oガスの爆発的な分解挙動を無視し得なくなる懸念を生ずる。 本発明における各触媒層入り口のガス流中のN2O濃度は、本発明の目的を達成し得るように設定すればよいが、2〜20容量%がより好ましく、特に好ましくは5〜15容量%である。触媒層入り口のガス中のN2O濃度を2容量%未満にすると、接触分解して発生する熱による触媒層出口の温度上昇が少なくなり、それより後方で供給した被処理ガス流の昇温に、順次高度に利用することができなくなる恐れがある。また、各触媒層入り口ガス中のN2O濃度を20容量%超にすると、接触分解して発生する熱による触媒層出口温度の上昇が過度になり、触媒の熱劣化が加速され、更には、設備が破壊され易くなる恐れがある。 次に、本発明によるN2Oを接触分解する地球温暖化防止装置即ち、N2O接触分解装置について説明する。 本発明によるN2Oの接触分解装置は、N2Oを含む気体である被処理ガスを触媒層に接触させ、N2Oを接触分解させる装置であって、(a)被処理ガス及び/又は希釈ガスの導入部、(b)被処理ガス及び/又は希釈ガスの混合部、(c)装置の長手方向の異なる箇所に被処理ガス及び/又は希釈ガスの一つ又は二つ以上の供給手段を具備する混合部、(d)触媒層を有する接触分解部、(e)接触分解した気体の排出部、からなる。 また、本発明によるN2Oの接触分解装置は、N2Oを含む気体中のN2Oを接触分解する装置であって、(a)被処理ガス及び/又は希釈ガスの導入部、(b)被処理ガス及び/又は希釈ガスの混合部、(c)触媒層を有する接触分解部、(d)接触分解した気体の排出部、からなる装置と、(e)該接触分解後の排出ガスと被処理ガス及び/又は希釈ガスの導入部、(f)該接触分解後の排出ガスと被処理ガス及び/又は希釈ガスの混合部、(g)触媒層を有する接触分解部、(h)接触分解した気体の排出部、 からなる装置の1つ又は複数とから構成される。 いずれの場合も、触媒層が前述したN2Oの分解領域である。 本発明においては、被処理ガス及び/又は希釈ガスを予熱することはN2O分解反応を制御するために有効な手段である。このために、被処理ガス及び/又は希釈ガスの混合部は、被処理ガス及び/又は希釈ガスを予熱する部分を兼ね備えていることが好ましい。 第4図、第5図に、本発明によるN2Oの接触分解装置を説明するための概念図を示した。 本発明による接触分解装置は、第4図に示すように一つの分解装置の中に複数の触媒層を有していてもよく、また、第5図に示すように、独立する触媒層を結合した分解装置であってもよい。 第4図、第5図において、17は被処理ガス導入部、18は希釈ガス導入部、19は導入したガスの予熱部、20は予熱ガス受け入れ部、21は空隙部、22は接触分解部、23は混合部、24は被処理ガスの供給部、25は希釈ガス供給部、26は接触分解ガスの排出部、27は接触分解反応器の器壁を示す。 第4図において、被処理ガスの一部と希釈ガスが、ガス導入部17及び18を経て予熱部19でN2Oの触媒による接触分解の反応開始温度に均一に予熱される。予熱されたN2O含有ガスは、予熱ガス受け入れ部20から接触分解部22へ導かれる。接触分解部22は予熱部19に隣接して、又は接続されて、予熱ガス受け入れ部20を介して設けられる。この接触分解部22で、N2Oの接触分解が行われ、発生したN2Oの分解熱で熱気流が形成される。形成された熱気流は、被処理ガス供給部24より供給される分割された被処理ガスの残りの被処理ガスと希釈ガス供給部25から供給される希釈ガスと混合部23で混合され、所定の濃度、温度とした後、接触分解部22でN2Oの接触分解が行われる。第4図においては、接触分解部への、この被処理ガス供給部24の数が2である場合を示すが、本発明において特に好ましいN2Oを含むガスの接触分解部22における供給部の数は2〜4である。同様に、希釈ガス供給部25より供給される希釈ガス供給部の数は第4図においては、2であるが、特に好ましい希釈ガス供給部の数は2〜4である。 以下同様にして、被処理ガス供給部24から導入された被処理ガスは、その中のN2Oが順次触媒により接触分解されて、最終的には接触分解ガス排出部26を経て接触分解反応装置より排出される。 以上は第4図に基づいて説明したが、第5図に示す装置も実質的に第4図に示す装置と同様である。 本発明においては、N2Oの触媒による接触分解反応を安定して進行させるために混合部23の前方及び/又は後方箇所に、図示していない多孔板及び/又は縮流部を混合後のガス流が均一な流れとなるように具備させることが好ましい。また、混合部23内に邪魔板、充填物等のガス体の混合機能を有した構造物を挿入しても良い。N2Oを含むガス供給部24及び希釈ガス供給部25は、反応器内の熱気流が旋回流になるようにするために、各供給部が、供給ガスの流れの方向と速度を調整しうるそれぞれ1つ以上のノズルから成るガス供給手段を有していることが好ましい。 本発明におけるガス流量、ガス温度の制御方法は、特に限定されるものではない。しかしながら、各触媒層における触媒充填量により各触媒層への被処理ガス供給量を振り分け、各触媒層入り口のガス中のN2O濃度及びガス温度が実質上等しくなるように、希釈ガス流量及び希釈ガス温度を調整することが好ましく、このようにすることで各触媒層の入り口、出口温度を所望する状態に制御できる。 本発明では、被処理ガスを分割してその一部を最初の接触分解部に供給することにより、その次の接触分解部以降、即ち、2段目の接触分解部以降は被処理ガスを反応開始温度まで昇温するために必要な熱量の一部もしくはすべてを、その前の接触分解部からの高温ガスと混合することで達成できるので、反応系に必要な被処理ガスの熱交換器サイズをより小さく抑えることが可能である。また、本発明によれば、接触分解部全域の温度制御に希釈ガスを、好ましくは被処理ガスとの混合気体として、それぞれの接触分解部へ供給することにより、各触媒層温度の管理を容易にすると共に、希釈ガスの供給総量をより低減し得る。従って、また、希釈ガス送気設備を小さくし得て、運転コスト及び設備投資を著しく少なくすることが可能である。 本発明では、分解反応によるガス流の保有熱の有効利用の観点から、N2O分解反応装置から流出する反応後の気体は、一般的な構造を有するボイラーに導入して反応熱を蒸気として回収することが好ましい。また、被処理ガスを、ボイラーにより冷却された反応終了後のガスと熱交換することにより加熱して、本発明の反応装置に供給する被処理ガスを昇温することが好ましい。 また、反応器から流出する熱分解反応完了後の気体中に含まれている窒素酸化物(NO,NO2)は、水及び空気と接触させて、NO,NO2を硝酸水溶液として回収することが好ましい。既述のように、本発明におけるN2Oを含む気体である被処理ガスは、好適には硝酸酸化法によるアジピン酸の製造プロセスからの原料ガスであるが、アジピン酸プラントから排出された亜酸化窒素を本発明の方法により熱分解する場合は、該回収された硝酸水溶液は、再びアジピン酸の製造に用いることが好ましい。生成するNO,NO2を再利用する必要が無い場合は、前記ボイラー又は熱交換器から流出する排ガス中のNO,NO2を触媒の存在下で還元処理することが好ましい。還元処理方法としては、NO,NO2を含有する排ガスを、例えば、触媒の存在下でNH3と反応させ、NO及びNO2をN2とH2Oに変換する方法があげられる。このようにすることで熱分解反応終了後の気体を無公害化することができる。 以上から明らかなように、本発明による地球温暖化防止方法及びその装置は、N2Oを含有する気体、特に、硝酸を酸化剤として使用する化学プロセスから発生するN2O含有気体、N2O含有原料ガスに好ましく用い得るものである。特にアジピン酸の製造方法に好ましく用い得る。 即ち本発明は、地球温暖化ガスであるN2Oの大気中への放出が極めて低減されたアジピン酸の製造方法であって、(1)シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンを硝酸酸化してアジピン酸となす硝酸酸化工程、(2)硝酸酸化工程から発生するN2O含有ガスからHNO3を回収する硝酸回収工程、(3)HNO3を回収した残りのN2Oを含有する被処理ガス流を分割し、その一部を予熱し、該気流中のN2Oを発熱的に分解させ熱気流となし、分割された残りの被処理ガス流を該熱気流中に供給して、N2Oの分解を継続させるN2O分解工程、(4)N2O分解工程から排出されるN2O分解熱を回収するN2O分解熱回収工程、を含むアジピン酸の製造方法、に特に好ましい。実施例 以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 表1の組成と流量を有するアジピン酸プラントから排出されるN2Oを含有する被処理ガス(原料ガス)中のN2Oを熱分解させる。 第2図に熱分解装置の概念図を示した。 熱分解反応炉(熱分解部8)は、内径450mm、長さ4750mmの円筒状耐熱レンガ炉であり、その炉壁の厚みは300mmである。炉内は略同じ容量の空隙部を有する4つの熱分解反応室(N2Oの分解領域)に厚み200mmの耐熱レンガ製多孔板で直列に仕切られる。被処理ガス供給段数は4である。第1の反応室には分割され予熱された被処理ガスが流入し、第2、第3、第4の反応室には、分割された残りの被処理ガスが導入される。第2、第3、第4反応室には、多孔板から熱気流が各反応室に流入する直後に被処理ガスの供給口が設置される。また、第2、第3、第4の反応室には、該被処理ガス供給口の後方であって、熱気流が流入する多孔板から150mmの位置に厚さ200mm高さ300mmの耐熱レンガ製邪魔板を設置する。熱分解部と同じく耐火レンガで形成された予熱部は、内径200mm長さ500mmの円筒状空隙部を有し、その端部に被処理ガス導入口を有し、もう一方の端部は熱分解部に接続される。該予熱部へは、被処理ガス1Nm3当たり12kcalに当たる水素が1.3Nm3/hrで空気と共に導入され、予熱部内において燃焼され、予熱部に17.9Nm3/hrで導入される被処理ガスと均一に混合される。供給する被処理ガスの温度を550℃とする。第1の反応室へ予熱部から導入される気体流の温度は830℃である。第2、第3、第4反応室へ550℃の被処理ガスをそれぞれ34.1Nm3/hr、72.6Nm3/hr、155.4Nm3/hrで供給する。第2、第3、第4反応室の入り口における熱気流と被処理ガスとの混合後の気体流の温度はそれぞれ830℃であり、炉内圧はゲージ圧で1.25kg/cm2となる。 熱分解炉から排出される気体流の温度は1163℃であり、供給被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 実施例2 被処理ガス供給温度が300℃であり、予熱部へ供給する水素流量が7.2Nm3/hrであり、予熱部、第2、第3、第4反応室へ供給する被処理ガスの流量をそれぞれ、55.7Nm3/hr、60.0Nm3/hr、72.9Nm3/hr、91.4Nm3/hrとする以外実施例1と同様にして、アジピン酸プラントから排出される被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力は1.25kg/cm2となり、予熱部内と、第2、第3、第4反応室の入り口における混合後の気体流の温度はそれぞれ830℃となり、熱分解炉から排出される気体流の温度は1027℃であり、供給する被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 実施例3 被処理ガス供給温度が700℃であり、予熱部へ供給する水素流量が0.1Nm3/hrであり、予熱部、第2、第3、第4反応室へ供給する被処理ガスの流量をそれぞれ、3Nm3/hr、12.0Nm3/hr、50.6Nm3/hr、214.4Nm3/hrとする以外実施例1と同様にして、被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力は1.25kg/cm2となり、予熱部内と、第2、第3、第4反応室の入り口における混合後の気体流の温度はそれぞれ830℃となり、熱分解炉から排出される気体流の温度は1263℃であり、供給する被処理ガス中のN2Oの99%が熱分解される。 実施例4 予熱部へ供給する水素流量が1.2Nm3/hrであり、予熱部、第2、第3、第4反応室へ供給する被処理ガスの流量をそれぞれ、19.7Nm3/hr、36.1Nm3/hr、73.4Nm3/hr、150.8Nm3/hrとする以外実施例1と同様にして、被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力は1.25kg/cm2となり、予熱部内と、第2、第3、第4反応室の入り口における混合後の気体流の温度はそれぞれ800℃となり、熱分解炉から排出される気体流の温度は1131℃であり、供給する被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 実施例5 実施例1における熱分解反応炉を、略同じ容量の空隙部を有する第1、第2、第3反応室に厚さ200mmの耐熱レンガ製多孔板で直列に区分する。被処理ガス供給口、邪魔板の位置関係は実施例1と略同一である。予熱部は実施例1の予熱部と同じ容量である。予熱部へ供給する水素流量を2.9Nm3/hrとし、予熱部、第2、第3反応室へ供給する被処理ガスの流量をそれぞれ、40.4Nm3/hr、76.5Nm3/hr、163.1Nm3/hrとする。その他は実施例1と同様にして、被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力は1.25kg/cm2となり、予熱部と、第2、第3反応室の入り口における混合後の気体流の温度はそれぞれ830℃となり、熱分解炉から排出される気体流の温度は1173℃であり、供給する被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 実施例6 実施例1における熱分解反応炉を略同じ容量の空隙部を有する第1、第2反応室に厚さ200mmの耐熱レンガ製多孔板で直列に区分する。被処理ガス供給口、邪魔板の位置関係は実施例1と略同一である。予熱部は実施例1の予熱部と同じ容量である。予熱部へ供給する水素流量を6.9Nm3/hrとし、予熱部、第2の反応室へ供給する被処理ガスの流量をそれぞれ、96.6Nm3/hr、183.4Nm3/hrとする。その他は実施例1と同様にして、被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力は1.25kg/cm2となり、予熱部内と、第2の反応室の入り口における混合後の気体流の温度はそれぞれ830℃となり、熱分解炉から排出される気体流の温度は1200℃であり、供給する被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 実施例7 表1の組成と流量を有するアジピン酸プラントから排出されるN2O含有被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 第3図に熱分解装置の概念図を示した。 熱分解反応炉(熱分解部)は、内径400mm、長さ4300mmの円筒状耐熱レンガ炉であり、その炉壁の厚みは300mmである。炉内は略同じ容量の空隙部を有する4つの熱分解反応室(N2Oの分解領域)に厚み200mmの耐熱レンガ製多孔板で直列に仕切られる。第1の反応室には分割され予熱された被処理ガスが流入し、第2、第3、第4の反応室には、分割された残りの被処理ガスが導入される。第2、第3、第4反応室には、多孔板から熱気流が各反応室に流入する直後に被処理ガスの供給口が設置される。この被処理ガス供給口は熱分解反応炉の長軸に垂直な平面上に二カ所対向して設置され、また被処理ガスの吹き出し方向が当該長軸と交差しないように設置されている。熱分解部と同じく耐火レンガでできた予熱部は、内径200mm、長さ500mmの円筒状空隙部を有し、その端部に被処理ガス導入口を有し、もう一方の端部は熱分解部に接続される。該予熱部へは、被処理ガス1Nm3当たり13kcalに当たるメタノールが0.0231kmol/hrで空気と共に導入され、予熱部内において燃焼され、予熱部に17.8Nm3/hrで導入される被処理ガスと均一に混合される。供給する被処理ガスの温度を550℃とする。第1の反応室へ予熱部から導入される気体流の温度は830℃である。第2、第3、第4反応室へ550℃の被処理ガスをそれぞれ34.3Nm3/hr、72.7Nm3/hr、155.2Nm3/hrで供給する。第2、第3、第4反応室の入り口における熱気流と被処理ガスとの混合後の気体流の温度はそれぞれ830℃であり、炉内圧はゲージ圧で1.25kg/cm2となる。 熱分解炉から排出される気体流の温度は1162℃であり、供給被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 実施例8 実施例7における熱分解反応炉を、略同じ容量の空隙部を有する第1、第2、第3反応室に厚さ200mmの耐熱レンガ製多孔板で直列に区分する。被処理ガス供給口の位置関係は実施例7と略同一である。予熱部は実施例7の予熱部と同じ容量である。予熱部へ供給するメタノール量を0.0520kmol/hrとし、予熱部、第2、第3反応室へ供給する被処理ガスの流量をそれぞれ、39.9Nm3/hr、77.0Nm3/hr、163.1Nm3/hrとする。その他は実施例7と同様にして、被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力は1.25kg/cm2となり、予熱部と、第2、第3反応室の入り口における混合後の気体流の温度はそれぞれ830℃となり、熱分解炉から排出される気体流の温度は1172℃であり、供給する被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 以上の実施例1〜8において既述したN2O熱分解条件及び結果を表2にまとめて示す。 比較例1 実施例1における熱分解反応炉に耐熱レンガ多孔板、邪魔板を設けることなく、即ち炉内を一つの反応室とし、N2O含有被処理ガスは分割することなく予熱部のみに全量供給する。予熱部へ供給する水素量、被処理ガス量をそれぞれを19.9Nm3/hr、280Nm3/hrとする。その他は実施例1と同様にして、被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力はゲージ圧で1.25kg/cm2となり、熱分解部入り口における混合後の気体流の温度は830℃となり、熱分解炉出口における気体流の温度は1283℃となる。被処理ガス中のN2Oの99%以上が熱分解される。 上述のように本比較例1においては、熱分解炉出口における気体流の温度は1283℃であるが、前記実施例2における相当する温度は、256℃も低い1027℃に過ぎない。 また本比較例1においては、280Nm3/hrの被処理ガスを熱分解させるために使用される水素の供給量は19.9Nm3/hrである。これに対して、例えば本発明の実施例3においては、比較例1と同量である280Nm3/hrの被処理ガスを熱分解させるために使用される水素供給量は、わずか0.1Nm3/hrに過ぎないことが判る。両者の被処理ガス中のN2Oの熱分解率は共に99%以上であるから、本発明においては、被処理ガスを分割流として供給することによって熱分解炉内でN2Oが分解するときに発生する熱量を極めて効率よく利用し得ることが明らかである。 また、被処理ガスを予熱するために、燃料を用いても、その量が上述のように極めて少量で済むので、必要に応じてN2Oが熱分解して生成するNOを回収する場合でも、生成NOの予熱燃料から生成するガスによる希釈率が非常に低くなり、NOを高濃度で回収し得るのである。 比較例2 熱分解炉の予熱部へ供給する水素量を2.9Nm3/hrとした以外は比較例1と同様にして、被処理ガスは分割することなしに被処理ガス中のN2Oを熱分解させる。 熱分解炉内の圧力はゲージ圧で1.25kg/cm2となり、熱分解部入り口における混合後の気体流の温度は598℃となり、熱分解炉出口における気体流の温度は601℃であり、供給する被処理ガス中のN2Oは全く熱分解されることがない。 上述のように本比較例2による水素供給量は2.9Nm3/hrであるが、このような少量の水素で、被処理ガス280Nm3/hr中のN2Oを熱分解させることはできない。これに対して、既述のように、本発明の、例えば実施例1においては、280Nm3/hrの被処理ガス中のN2Oを99%以上熱分解させるのに、わずか1.3Nm3/hrの水素供給量でよい。 以上の比較例1〜2において既述したN2O熱分解条件及び結果を表3にまとめて示す。 実施例9 N2O(15.0モル%)、O2(13.5モル%)、N2(70.2モル%)、CO2(1.1モル%)、NO(0.1モル%)、NO2(0.1モル%)の組成を有する200℃の被処理ガスを130.6m3/Hの流量とし、被処理ガス中のN2Oを触媒を用いて接触分解させる。 触媒として酸化銅−アルミナ触媒を用いる。即ち、γ−アルミナに硝酸銅溶液を含浸後、120℃の熱風で6時間乾燥、次に500℃で3時間焼成処理した酸化銅担持量が3.7%、表面積145m2/g、充填密度758kg/m3の触媒を使用する。 接触分解反応器は、内径2700mm、長さ5000mmの円筒状容器である。反応器内は熱気流の流れ方向に対して、即ち、反応器の長手方向に対して、5つの接触分解反応室(N2Oの分解領域)に分かれ、各反応室の前後は多孔板で仕切り、混合室となっている。第1、第2、第3、第4、第5の反応室は各0.25m3、0.14m3、0.63m3、2.27m3、6.61m3の触媒で構成される。 被処理ガス130.6Nm3/Hは5つのガス流に分割される。第1の反応室には予熱された被処理ガスが流入し、第1反応室出口で熱気流を形成する。第2、第3、第4、第5の反応室手前の混合室には分割された残りの被処理ガスが熱気流の流方向に対し直角な2方向から旋回流をなすようにそれぞれ導入される。 反応室入り口の圧力を0.21MPaとする。第1反応室へ被処理ガス12.5Nm3/Hを反応器出口ガスと間接熱交換して430℃となして供給する。第1反応室出口におけるガスは、N2Oの分解熱により779℃の熱ガスとなる。第2反応室前の混合室には、前記熱ガスと混合後N2O濃度が6.5モル%となるように被処理ガス10.0Nm3/Hを供給する。混合後のガス温度は528℃となる。第2反応室出口においては、N2Oの分解熱により685℃の熱ガスとなる。第3反応室前の混合室には被処理ガス18.1Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は6.5モル%、ガス温度は473℃となる。第3反応室出口においてはN2Oの分解熱により632℃の熱ガスとなる。第4反応室前の混合室には被処理ガス32.6Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は6.5モル%、ガス温度は443℃となる。第4反応室出口においてはN2Oの分解熱により603℃の熱ガスとなる。第5反応室前の混合室には被処理ガス57.4Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は6.5モル%、ガス温度は426℃となる。排出口での分解ガス温度は587℃であり、供給被処理ガス中のN2Oは99%以上触媒により接触分解される。 本実施例における処理すべき被処理ガスの総量は130.6m3/Hであり、これを分割供給することによって、130.6Nm3/Hのうち12.5Nm3/Hのみを反応開始に必要な温度である430℃に予熱して供給すればよく、予熱に必要な熱交換器の熱負荷は908kcal/hとなる、また、分割された残りの被処理ガスは予熱することなく供給できる。残りの被処理ガスを予熱しないで供給しても、各触媒層入り口温度を反応開始温度の430℃以上に維持し得てN2O接触分解反応を継続できることが、本実施例より明らかである。 実施例10 表4の組成と流量を有するアジピン酸プラントから排出される被処理ガス中のN2Oを触媒を用いて接触分解させる。触媒は実施例9で用いたのと同じ触媒を使用する。 接触分解反応器は、内径2700mm、長さ5000mmの円筒状容器である。反応器内は熱気流の流れ方向に対して2つの接触分解反応室に分かれ、各反応室間は前後を多孔板で仕切り、混合室となっている。第1、第2の反応室は各3.90m3、6.04m3の触媒で構成される。 第1の反応室には被処理ガスと希釈ガスの混合ガスを予熱したものが流入し、第2の反応室前にある混合室には分割された残りの被処理ガスと希釈ガスが、それぞれ熱気流の流方向に対し直角な方向の2箇所から旋回流を発生するように導入される。 反応室入り口の圧力を0.21MPaとする。第1反応室は30℃の被処理ガス114.8Nm3/Hと230℃の希釈ガス406.7Nm3/Hとを混合してN2O濃度7.5モル%とし、さらに、反応器出口ガスと間接熱交換して500℃として供給する。 前記希釈ガスは、被処理ガス中のN2Oを接触分解させた反応後のガスからボイラーで熱回収して得られるガスである。 第1反応室出口におけるガスはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第2反応室前の混合室には被処理ガス165.2Nm3/Hと希釈ガス44.1Nm3/Hを供給し、混合後のN2O濃度を7.5モル%、ガス温度500℃とする。排出口での分解ガス温度は680℃であり、供給被処理ガス中のN2Oは99%以上触媒により接触分解される。希釈ガスの総使用量は供給被処理ガスに対してモル比で1.61となる。 実施例11 使用する触媒は実施例9と同じである。接触分解反応器は、内径2700mm、長さ5000mmの円筒状容器である。反応器内は熱気流の流れ方向に対して3つの接触分解反応室に分かれ、各反応室間は多孔板で仕切られ、混合室となっている。第1、第2、第3の反応室は各2.07m3、3.08m3、4.70m3の触媒で構成される。 第1の反応室には被処理ガスと希釈ガスの混合ガスを予熱したものが流入し、第2、第3の反応室前の混合室には分割された残りの被処理ガスと希釈ガスが、熱気流の流方向に対して、即ち、反応器の長手方向に対して、それぞれ2箇所から流入し旋回流となるように導入される。 反応室入り口の圧力を0.21MPaとする。第1反応室は30℃の被処理ガス62.0Nm3/Hと230℃の希釈ガス219.2Nm3/Hとを混合してN2O濃度7.5モル%とし、さらに、反応器出口ガスと間接熱交換して500℃として供給する。 前記希釈ガスは、被処理ガス中のN2Oを接触分解させた反応後のガスからボイラーで熱回収して得られるガスである。 第1反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第2反応室前の混合室には被処理ガス89.3Nm3/Hと希釈ガス23.8Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度7.5モル%、ガス温度500℃となる。第2反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第3反応室前の混合室には被処理ガス128.7Nm3/Hと希釈ガス34.2Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度7.5モル%、ガス温度500℃となる。排出口での分解ガス温度は680℃であり、供給被処理ガス中のN2Oは99%以上触媒により接触分解される。希釈ガスの総使用量は供給被処理ガスに対してモル比で0.99となる。 実施例12 使用する触媒は実施例9と同じである。接触分解反応器は、内径2700mm、長さ5000mmの円筒状容器である。反応器内は熱気流の流れ方向に対して4つの接触分解反応室に分かれ、各反応室間の前後は多孔板で仕切られ、混合室となっている。第1、第2、第3、第4の反応室は各1.24m3、1.81m3、2.69m3、4.07m3の触媒で構成される。 第1の反応室には被処理ガスと希釈ガスの混合ガスを予熱したものが流入し、第2、第3、第4の反応室前の混合室には分割された残りの被処理ガスと希釈ガスが熱気流の流方向に対し、即ち、反応器の長手方向に対して、直角にそれぞれ2箇所から流入し旋回流となるように導入される。 反応室入り口の圧力は0.21MPaとする。第1反応室は30℃の被処理ガス37.4Nm3/Hと230℃の希釈ガス131.6Nm3/Hとを混合してN2O濃度7.5モル%とし、さらに、反応器出口ガスと間接熱交換して500℃として供給する。前記希釈ガスは、被処理ガス中のN2Oを接触分解させた反応後のガスからボイラーで熱回収して得られるガスである。 第1反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第2反応室前の混合室には被処理ガス53.8Nm3/Hと希釈ガス14.3Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は7.5モル%、ガス温度は500℃となる。第2反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第3反応室前の混合室には被処理ガス77.4Nm3/Hと希釈ガス20.5Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は7.5モル%、ガス温度は500℃となる。第3反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第4反応室前の混合室には被処理ガス111.4Nm3/Hと希釈ガス29.6Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は7.5モル%、ガス温度は500℃となる。排出口での分解ガス温度は680℃であり、供給被処理ガス中のN2Oは99%以上触媒により接触分解される。希釈ガスの総使用量は供給被処理ガスに対してモル比で0.70となる。 実施例13 使用する触媒は実施例9と同じである。接触分解反応器は、内径2700mm、長さ5000mmの円筒状容器である。反応器内は熱気流の流れ方向に対して5つの接触分解反応室に分かれ、各反応室間の前後は多孔板で仕切られ、混合室となっている。第1、第2、第3、第4、第5の反応室は各0.78m3、1.14m3、1.67m3、2.48m3、3.73m3の触媒で構成される。 第1の反応室には被処理ガスと希釈ガスの混合ガスを予熱したものが流入し、第2、第3、第4、第5の反応室前の混合室には分割された残りの被処理ガスと希釈ガスが熱気流の流方向に対し、即ち、反応器の長手方向に対して、直角にそれぞれ2箇所から流入し旋回流となるように導入される。 反応室入り口の圧力は0.21MPaとする。第1反応室は30℃の被処理ガス23.7Nm3/Hと230℃の希釈ガス83.8Nm3/Hとを混合してN2O濃度7.5モル%とし、さらに、反応器出口ガスと間接熱交換して500℃として供給する。 前記希釈ガスは、被処理ガス中のN2Oを接触分解させた反応後のガスからボイラーで熱回収して得られるガスである。 第1反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第2反応室前の混合室には被処理ガス34.2Nm3/Hと希釈ガス9.1Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は7.5モル%、ガス温度は500℃となる。第2反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第3反応室前の混合室には被処理ガス49.2Nm3/Hと希釈ガス13.1Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は7.5モル%、ガス温度は500℃となる。第3反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第4反応室前の混合室には被処理ガス70.9Nm3/Hと希釈ガス18.9Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は7.5モル%、ガス温度は500℃となる。第4反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。第5反応室前の混合室には被処理ガス102.0Nm3/Hと希釈ガス27.2Nm3/Hを供給する。混合後のN2O濃度は7.5モル%、ガス温度500℃となる。排出口での分解ガス温度は680℃であり、供給被処理ガス中のN2Oは99%以上触媒により接触分解される。希釈ガスの総使用量は供給被処理ガスに対してモル比で0.54となる。 以上の実施例10〜13において既述したN2O接触分解条件及び結果を表5にまとめて示す。 比較例3 実施例9と同じ触媒、被処理ガスを用いる。接触分解反応器は、内径2700mm、長さ5000mmの1つの反応室からなる円筒状容器である。反応室を2.60m3の触媒で構成する。 反応室には被処理ガスを予熱したものが流入する。反応室入り口の圧力は0.21MPaとする。反応室には被処理ガス130.6Nm3/Hを反応器出口ガスと間接熱交換して430℃として供給する。反応室出口においてはN2Oの分解熱により779℃の熱ガスとなる。供給被処理ガス中のN2Oは99%以上触媒により接触分解される。本比較例3においては、被処理ガスを全量予熱する必要があるために、予熱に必要な熱負荷は、9.623kcal/hとなり、実施例9に対し11倍の熱量を熱交換できる大型の熱交換器が必要となる。 比較例4 実施例10と同じ触媒、被処理ガスを用いる。接触分解反応器は内径2700mm、長さ5000mmの1つの反応室からなる円筒状容器である。反応室を10.18m3の触媒で構成する。 反応室には被処理ガスと希釈ガスの混合ガスを予熱したものが流入する。反応室入り口の圧力は0.21MPaとする。第1反応室は30℃の被処理ガス280.0Nm3/Hと230℃の希釈ガス989.8Nm3/Hとを混合してN2O濃度7.5モル%とし、さらに、反応器出口ガスと間接熱交換して500℃として供給する。 前記希釈ガスは、被処理ガス中のN2Oを接触分解させた反応後のガスからボイラーで熱回収して得られるガスである。 反応室出口においてはN2Oの分解熱により680℃の熱ガスとなる。供給ガス中のN2Oは99%以上触媒により接触分解される。希釈ガスの総使用量は供給被処理ガスに対してモル比で3.54となる。 上述のように本比較例4においては、280.0Nm3/Hの被処理ガスを触媒を用いて接触分解するために必要な希釈ガス量は被処理ガスの3.54倍であるのに対し、本発明の実施例13においてはわずか0.54倍に過ぎないことが判る。さらには、1段目入り口の加熱を必要とするガス量が比較例4において希釈ガスと被処理ガス合わせて1269.8Nm3/Hなのに対して、実施例12においては希釈ガスと被処理ガス合わせて432.1Nm3/Hとわずかである。両者の被処理ガス中のN2Oの分解率は99%以上であるから、本発明においては、被処理ガス及び希釈ガスを分割流として供給することによって接触分解反応器内でN2Oが分解するときに発生する熱量を極めて効率よく利用しうることが明らかである。 以上の比較例4において既述したN2O接触分解条件及び結果を表6にまとめて示す。【表1】【表2】【表3】【表4】【表5】【表6】産業上の利用可能性 以上において詳述したことから明らかなように、本発明は低温で効率良くN2Oを分解することができ、反応系外からのエネルギー供給量が極めて少なくて済む実用性に格別に優れる地球温暖化防止方法およびその装置であり、次のような顕著な効果を有する。 即ち、N2Oを熱分解することで地球温暖化を防止する本発明においては、1. 比較的低い温度でN2Oを高分解率で熱分解させることができ、生成するNO,NO2を高濃度に存在せしめ、必要によりNO,NO2を低廉に回収し得て、その上、系外からの熱エネルギーの供給が極めて少ないという、格別に優れた効果を有する。2. また本発明は、反応器容量が小さく、プロセス機器の材質の選択が容易であり、プロセス機器への熱負荷が少なく、被処理ガス昇温のための熱交換器を小型にすることができ、NO等を高濃度に回収できる、実用性に極めて優れるN2O熱分解装置を提供しうる。 また、N2Oを接触分解することで地球温暖化を防止する本発明は、次のような顕著な効果を有する。1. 本発明によるN2O分解方法は処理すべきN2Oを含むガス流を分割して、その一部をN2O接触分解反応が開始し得る温度へ予熱し、分割された残りの被処理ガスは、前記予熱された被処理ガスの温度より低い温度でN2O接触分解層へ供給するので、被処理ガス全量を予熱して供給する場合に比べて、予熱に必要な供給熱量を著しく低減し得る。2. それ故に、予熱に必要とされる、例えば、熱交換器等の予熱設備を著しく小型にすることができ、あるいは、外部から供給される燃料による燃焼予熱の場合には、該燃料使用量を著しく低減し得る。3. 更に、本発明においては、被処理ガスと希釈ガスとを混合して触媒層へ供給することもできるので、この場合も、前記被処理ガスの分割供給による前記効果により、用いる希釈ガス供給量を著しく低減することができる。4. 本発明は複数の触媒層を用いるN2O接触分解方法であるので、前記被処理ガス分割供給により、前方の触媒層でN2Oが接触分解して発生する多量の熱量をその長手後方に位置する触媒層に供給する被処理ガスに付与することができる。即ち、N2Oの接触分解によって発生する多量の熱量を、順次分割して供給される被処理ガス流の温度上昇にそれぞれ極めて有効に利用できる。5. それ故にまた、各触媒層へ供給するガスの温度及び各接触分解層内の温度を所望する触媒系に最適な温度に容易に制御し得る。6. 本発明によるN2O接触分解装置は、前記効果を有するN2O接触分解方法を実施可能とする装置であるので、装置全体を被処理ガス当たりの規模を小規模に形成し得て、従って、総設備経費が低廉であり、外部からの原燃料、熱エネルギーの供給が著しく少なくて済む。7. また、接触分解層の温度制御を極めて容易になし得、N2O分解熱による触媒層及びその近傍の急激な温度上昇を確実に防止し得る装置である。8. それ故に、本発明によるN2O接触分解装置は、運転操作が容易であるばかりか、装置の耐久性にも優れ、実用性に極めて優れる。9. 本発明によるアジピン酸製造プロセスは、N2Oの大気中への放出が極めて少なく、上述したような実用性に極めて優れるN2O分解技術から構成されるので、地球温暖化防止に著しく寄与し得るのみならず、低廉な設備費で、安価に運転し得る。【図面の簡単な説明】第1図は、本発明のN2O熱分解装置の概念図である。第2図は、実施例1に用いる熱分解装置の概念図である。第3図は、実施例7に用いる熱分解装置の概念図である。第4図は、本発明の複数の触媒層を有するN2Oの接触分解装置の模式図である。第5図は、本発明の独立する触媒層を複数組み合わせたN2Oの接触分解装置の模式図である。なお、図中の符号は、1:N2Oを含む気体の導入部、2:予熱部、3:予熱ガス受け入れ部、4:N2Oを含む気体の供給部、5:N2O熱分解部、6:熱分解ガス排出部、7:熱分解装置壁、8:熱分解部、9:多孔板、10:予熱部、11:邪魔板、12:N2Oを含む気体の供給部、13:熱分解部、14:多孔板、15:予熱部、16:N2Oを含む気体の供給部、17:被処理ガスの導入部、18:希釈ガスの導入部、19:予熱部、20:予熱ガス受け入れ部、21:空隙部、22:接触分解部、23:混合部、24:被処理ガスの供給部、25:希釈ガスの供給部、26:接触分解ガス排出部、27:接触分解装置器壁、である。 N2Oを含有する被処理ガス中のN2Oを熱分解又は接触分解させるN2Oの発熱的分解方法において、N2Oを含む被処理ガス流を分割し、その一部を予熱し、該気流中のN2Oを発熱的に分解させ熱気流となし、分割された残りの被処理ガス流を該熱気流中に供給して、N2Oの分解を継続させることを特徴とするN2O含有ガスの分解方法。 N2Oの発熱的分解が、熱分解により行われることを特徴とする請求の範囲第1項記載のN2O含有ガスの分解方法。 分割された残りの被処理ガスを該熱気流の流れの方向の複数の箇所へ供給することを特徴とする請求の範囲第2項記載のN2O含有ガスの分解方法。 被処理ガス中のN2Oの分解を、実質上押し出し流れ状態で行うことを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項記載のN2O含有ガスの分解方法。 予熱を、燃料の酸化発熱反応を用いた直接加熱方式で行うことを特徴とする請求の範囲第2項又は第3項記載のN2O含有ガスの分解方法。 燃料が水素又はメタノールであることを特徴とする請求の範囲第5項記載のN2O含有ガスの分解方法。 N2Oの発熱的分解が、接触分解により行われることを特徴とする請求の範囲第1項記載のN2O含有ガスの分解方法。 分割された残りの被処理ガスを該熱気流の流れの方向の複数の箇所へ供給し、各々触媒層と接触させてN2Oを発熱的に分解することを特徴とする請求の範囲第7項記載のN2O含有ガスの分解方法。 触媒層と接触してN2Oを発熱的に分解する直前の気流が、希釈ガスとの混合気体であることを特徴とする請求の範囲第7項又は第8項記載のN2O含有ガスの分解方法。 希釈ガスが、空気及び/又は被処理ガス中のN2Oを接触分解させた後のガスであることを特徴とする請求の範囲第9項記載のN2O含有ガスの分解方法。 被処理ガス中のN2Oを接触分解した後のガスを冷却後、希釈ガスとして用いることを特徴とする請求の範囲第9項記載のN2O含有ガスの分解方法。 予熱が、被処理ガス及び/又は希釈ガスと、水素を貴金属系触媒を用いて酸素と反応させ生成する水蒸気とを混合することにより行われることを特徴とする請求の範囲第7項、第8項、第10項又は第11項記載のN2O含有ガスの分解方法。 N2Oを含む気体中のN2Oを熱分解するN2Oガスを発熱的に分解する装置であって、(a)N2Oを含む分割された一部の被処理ガスの導入部、(b)該導入したN2Oを含む被処理ガスの予熱部、(c)予熱部に隣接し、N2Oを含む分割された残りの被処理ガスを、熱分解部中の発熱的に分解され熱気流となった気流の流れ方向の一箇所又は二箇所以上に供給する供給手段を具備し、N2Oガスの発熱的分解を継続させる熱分解部、(d)熱分解した気体の排出部、から成ることを特徴とするN2O含有ガスの分解装置。 予熱部が燃料燃焼手段を具備してなることを特徴とする請求の範囲第13項記載のN2O含有ガスの分解装置。 燃料燃焼手段への燃料供給量の増減により、排出部の出口の気流の温度を、一定温度に制御することを特徴とする請求の範囲第14項記載のN2O含有ガスの分解装置。 熱分解部が、少なくとも一つの被処理ガスの供給手段の前方及び/又は後方箇所に多孔板及び/又は多管ノズルを具備して成ることを特徴とする請求の範囲第13項、第14項又は第15項記載のN2O含有ガスの分解装置。 被処理ガスの供給手段のある方向へ流入する気流が、旋回流として流入するように、多孔板、多管ノズル及び/又は被処理ガス供給口が設置されて成ることを特徴とする請求の範囲第13項、第14項又は第15項記載のN2O含有ガスの分解装置。 N2Oを含む気体中のN2Oを触媒に接触させN2Oを接触分解させることでN2Oガスを発熱的に分解する装置であって、(a)N2Oを含む分割された一部の被処理ガスの導入部、(b)該導入したN2Oを含む被処理ガスの予熱部、(c)予熱部に隣接し、N2Oを含む分割された残りの被処理ガスを、接触分解部中の発熱的に分解され熱気流となった気流の流れ方向の異なる箇所に供給する一つ又は二つ以上の供給手段、及び触媒層を具備し、N2Oガスの発熱的分解を継続させる接触分解部、(d)接触分解した気体の排出部、からなることを特徴とするN2O含有ガスの分解装置。 導入部、予熱部、若しくは接触分解部のいずれか又はそれらの複数部に希釈ガスを供給する手段をさらに有することを特徴とする請求の範囲18項記載のN2O含有ガスの分解装置。 N2Oを含む気体中のN2Oを触媒に接触させN2Oを接触分解させることでN2Oガスを発熱的に分解する装置であって、(a)N2Oを含む分割された一部の被処理ガスの導入部、(b)該導入したN2Oを含む被処理ガスの予熱部、(c)触媒層を有するN2Oを含む被処理ガスの接触分解部、(d)接触分解した気体の排出部、からなる装置1と、(e)装置1から排出される接触分解後の熱気流となった排出ガスとN2Oを含む分割された残りの被処理ガスとの導入部、(f)該接触分解後の熱気流となった排出ガスとN2Oを含む分割された残りの被処理ガスとの混合部、(g)触媒層を有し、N2Oガスの発熱的分解を継続させるN2Oを含む被処理ガスの接触分解部、(h)接触分解した気体の排出部、からなる装置2の1つ又は複数とから構成されることを特徴とするN2O含有ガスの分解装置。 装置1及び装置2の導入部、予熱部、混合部若しくは接触分解部のいずれか又はそれらの複数部に希釈ガスを供給する手段をさらに有することを特徴とする請求の範囲20項記載のN2O含有ガスの分解装置。 地球温暖化ガスであるN2Oの大気中への放出が低減されたアジピン酸の製造方法であって、(1)シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノンを硝酸酸化してアジピン酸となす硝酸酸化工程、(2)硝酸酸化工程から発生するN2O含有ガスからHNO3を回収する硝酸回収工程、(3)HNO3を回収した残りのN2Oを含有する被処理ガス流を分割し、その一部を予熱し、該気流中のN2Oを発熱的に分解させ熱気流となし、分割された残りの被処理ガス流を該熱気流中に供給して、N2Oの分解を継続させるN2O分解工程、(4)N2O分解工程から排出されるN2O分解熱を回収するN2O分解熱回収工程、を含むことを特徴とするアジピン酸の製造方法。