タイトル: | 特許公報(B2)_分解性ハイドロゲルからの修飾ポリエチレングリコール分子の送達 |
出願番号: | 2000518700 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 47/48,A61K 47/34 |
ハリス,ジェイ・ミルトン JP 3884615 特許公報(B2) 20061124 2000518700 19980123 分解性ハイドロゲルからの修飾ポリエチレングリコール分子の送達 デビオ ルシェルシュ ファルマシュティーク ソシエテ アノニム 501230638 奥山 尚一 100099623 有原 幸一 100096769 松島 鉄男 100107319 ハリス,ジェイ・ミルトン US 08/964,972 19971105 20070221 A61K 47/48 20060101AFI20070201BHJP A61K 47/34 20060101ALI20070201BHJP JPA61K47/48A61K47/34 A61K 47/00-47/48 A61K 9/00- 9/72 特開平05−508879(JP,A) 国際公開第96/021649(WO,A1) 特開平03−017025(JP,A) 特表平09−504299(JP,A) MARTINEZ, A et al,Branched poly(ethylene glycol)linkers,Macromol Chem Phys,1997年,Vol.198,pp2489-2498 PITT, Colin G et al,Manipulation of the rate of hydrosis of polymer-drug conjugates: The secondary structure of the polymer,Journal of controlled Release,1996年,Vol.39,pp221-229 25 US1998000918 19980123 WO1999022770 19990514 2001523637 20011127 14 20000818 小堀 麻子 【0001】本発明は、親水性ポリマーであるポリエチレングリコールを含む、架橋結合した網目状組織ハイドロゲルに関するものである。【0002】親水性ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)やポリエチレンオキサイド(PEO)の分子や表面への化学的な付着は、バイオテクノロジーにおいて大変有用である。通常の形態において、PEGは両末端が水酸基である直線状のポリマーである。【0003】HO-CH2CH2O-(CH2CH2O)n-CH2CH2-OH【0004】このポリマーは簡便な形式では、HO-PEG-OHのように表し、ここで-PEG-という記号は以下の構造単位を表すものとする。【0005】-CH2CH2O-(CH2CH2O)n-CH2CH2-【0006】典型的な形態において、nの範囲はおよそ10から2000である。【0007】PEGは通常、methoxy-PEG-OH(または簡便にはmPEG)として用いられ、methoxy-PEG-OHにおいては、一つの末端が比較的不活性なメトキシ基となっており、もう一方の末端が化学修飾しやすい水酸基となっている。【0008】CH3O-(CH2CH2O)n-CH2CH2-OH mPEG【0009】PEGはまた、エチレンオキサイドをグリセロールやペンタエリスリトール、ソルビトールなどの様々なポリオールへ付加することによって調製することができる分枝状でしばしば用いられる。例えば、4つの腕のある分枝PEGはペンタエリスリトールから下に示すようにして調製される。【0010】C(CH2-OH)4 + n C2H2O → C[CH2O-(CH2CH2O)n-CH2CH2-OH]4【0011】分枝PEGは一般的にR(-PEG-OH)nのような形式で表され、ここで、Rはグリセロールやペンタエリスリトールのような中心の核になる分子を表し、nは腕の数を表す。【0012】PEGは水や多くの有機溶媒に対する溶解性があり、毒性や免疫原性がないという特性を有しており、多用されるポリマーである。PEGの使用法のひとつは、ポリマーを不溶性分子に共有結合的に結合させ、その結果生じたPEG-分子接合体を可溶化することである。例えば、Greenwald, Pendri, and Bolikal, J. Org. Chem., 60, 331-336(1995)において、水に不溶の薬剤タキソール(taxol)がPEGと結合させることで水に可溶となったことが示されている。【0013】Davis et al. U.S. Patent No. 4,179,337において、PEGを結合させたタンパク質は、腎臓浄化値が減少し、免疫原性も減少するため、血液循環時間が促進されることが示されている。ポリマーの毒性がないことと、体から迅速に浄化されることが薬化学への適用において有利な特徴となっている。これらの適用や多くの先行文献はハリスの著作(J. M. Harris, Ed., "Biomedical and Biotechnical Applications of Polyethylene Glycol Chemistry," Plenum, New York, 1992)に述べられている。【0014】PEGをタンパク質のような分子に結合させるためには、タンパク質上や表面の何らかの基と反応するのに適した官能基を末端に有するPEGの活性化された誘導体が必要である。多くの有用なPEGの活性化された誘導体のなかで、カルボキシメチル化されたPEGスクシンイミド活性エステルが、K.Iwasaki and Y. Iwashita U.S. Patent No.4,670,417 において開示された。この化学は、活性エステルのタンパク質のアミノ基との反応を説明している(スクシンイミド基はNHSで、タンパク質はPRO-NH2で表す)。【0015】PEG-O-CH2-CO2-NHS + PRO-NH2 → PEG-O-CH2-CO2-NH-PRO【0016】PEG-O-CH2-CO2-NHSのようなスクシンイミド活性エステルは、通常活性化されたカルボン酸として用いられ、それはカルボン酸をN-ヒドロキシルスクシンイミドと反応することにより得られる。【0017】この技術には問題があった。PEGを活性化するのに用いられる官能基の中には、生体内のドラッグデリバリーに用いるときに、毒性をもつものやその他の望ましくない残基を生じるものもある。官能基をPEGに結合するために考え出された化学結合の中には、望ましくない免疫応答をおこすものもある。タンパク質上の特定の官能基との反応において、十分なまたは適切な選択性をもたない官能基は、タンパク質を失活させることもありうる。【0018】PEGハイドロゲルは水膨張性のゲルであって、傷口を覆うことや、ドラッグデリバリーに用いられる。PEGハイドロゲルは、可溶性の親水性ポリマーを化学的に架橋結合させたさせた網目状構造やマトリックス中に取り込むことによって溶けずに膨潤するように調製される。生体内の送達において、薬剤として有用な典型的な物質は、共有結合的にPEGハイドロゲルに結合したものではない。その物質は、架橋結合したマトリックスの中に取り込まれ、マトリックスの隙間を通過する。不溶性のマトリックスは体内に永久に残り、薬剤の放出の制御はいくらか不正確なものとなる。【0019】Embrey and Graham's U.S. Patent No. 4,894,238において、ハイドロゲルを調整する方法のひとつのアプローチが開示されている。直鎖状ポリマーの両末端は様々な強固な、非分解性の化学結合でつながれている。例えば、直鎖状PEGはトリオール(triol)とジイソシアネート(diisocyanate)が反応して加水分解的に安定な(非分解性の)ウレタン結合をつくることにより、架橋結合のネットワークに取り込まれている。【0020】非分解性PEGハイドロゲルの調製法について、関連した研究がGayet and Fortier J. Controllede Release, 38, 177-184 (1996)に示されている。ここで、直鎖状PEGはパラニトロフェニルカルボネート(p-nitrophenylcarbonate)として活性化され、牛血清アルブミンタンパク質との反応によって架橋結合される。その結合は、加水分解に対し安定なウレタン基である。【0021】N.S. Chu U.S. Patent No. 3,963,805において、非分解性のPEG網目状組織は、多官能モノマーを混合したラジカル開始剤を用いて生成した他のポリマーと、PEG鎖のランダムなもつれによって調製されることを示している。また、P. A. King U.S. Patent No. 3,149,006においては、高分子量PEGの放射線によって誘導される架橋結合による、非分解性PEGハイドロゲルの調製が述べられている。【0022】Nagaoka et al. U.S. Patent No. 4,424,311においては、PEGメタクリレートとメチルメタクリレートのようなコモノマーの共重合によるPEGハイドロゲルの調製法が示されている。このビニル重合はPEGが付着するポリエチレン骨格を生成する。メチルメタクリレートコモノマーは、ゲルにさらなる物理的強度を与える。【0023】Sawhney, Pathak and Hubbell, Macromolecules, 26, 581 (1993)において、ポリグリコリドやポリラクチドとPEGのブロック共重合体は、下に示すようにアクリレート基(acrylate)で終結している。【0024】CH2=CH-CO-(O-CH2-CO)n-PEG-(O-CH2-CO)n-O-CO-CH=CH2【0025】上式において、グリコリドブロックは-O-CH2-CO-単位であって、メチレン基へメチル基を付加することで、ラクチドブロックができる。nの値は2の倍数をとることができる。アクリレート基のビニル重合は、ポリエチレン骨格をもった不溶性の架橋結合ゲルを生成する。ポリマー骨格のポリグリコリドやポリラクチド部分はエステル基であって、架橋結合ゲルがゆっくりと分解や溶解をした結果、ゆっくりとした加水分解による壊裂を受けやすい。【0026】実質的にPEGでない成分は、ハイドロゲルの中に取りこまれる。生体内のドラッグデリバリーにおいて用いられるとき、実質的にPEGでない成分はハイドロゲル中に接合体をとりこむ傾向があり、マトリックス中で分解したり溶解したりすることによって毒性をもったり、望ましくない組成物が血流中に放出される。【0027】ドラッグデリバリーに適しており、ドラッグデリバリーシステムを促進するような固有の特性を持った、現在のものに替わるPEGハイドロゲルを提供することがのぞましい。【0028】本発明は、例えば、PEGと酵素、ポリペプチド、薬剤、ヌクレオシド、リン脂質、その他の生物学的に活性な物質との接合体を含む、PEGと様々な分子の接合体を制御して放出するための化学的に架橋結合したPEGハイドロゲルを提供する。また、そのハイドロゲルを製造する方法を提供する。【0029】本発明のハイドロゲルは、ポリエチレングリコールの活性誘導体と、生物学的に活性な物質やそのほかの分子上のアミノ基、またはアミノ基をもつほかのポリエチレングリコール分子や一般的に加水分解的に不安定な結合をもたない関連する同様のペプチドでないポリマーの反応によってつくられる。骨格中に弱い結合を含むポリエチレングリコール分子は、ポリマーマトリックス中の架橋結合の加水分解による分解をうけやすく、他のポリエチレングリコール分子や関連するペプチドでないポリマーの付着した生物学的に活性な物質を放出しやすい。生体内でのゲルの崩壊によってPEGと分子の接合体が血流に放出され、一般的に体内から浄化される実質的に無毒のポリマー断片を生ずる。加水分解的に不安定な結合の近傍の原子を変えることで、加水分解速度および接合体の放出の正確な制御ができる。【0030】加水分解的に不安定なPEGポリマー骨格の例には、カルボン酸エステル、リン酸エステル、アセタール、イミン、オルトエステル、ペプチド、酸無水物、ケタール、オリゴヌクレオチドが含まれる。これらの弱い結合は、異なる末端基をもつ二つのPEGが下に示すように反応してできる。【0031】-PEG-Z + Y-PEG- → -PEG-W-PEG-【0032】上式において、-W-は加水分解的に不安定な弱い結合をあらわす。Z-とY-はPEG分子の末端に位置する官能基であって、互いに反応して弱い結合である-W-を形成することができるものをあらわす。反応して加水分解的に不安定な結合であるWを生成するZ基とY基の例は、アルコールとカルボン酸が反応してできるカルボン酸エステル、アミンとアルデヒドが反応してできるイミン、ヒドラジドとアルデヒドが反応してできるヒドラゾン、アルコールとリン酸が反応してできるリン酸エステル、アルデヒドとアルコールが反応してできるアセタール、アルコールとギ酸が反応してできるオルトエステル、PEGアミンと末端にカルボキシル基のあるPEGペプチドが反応してつくられるペプチドの新しいペプチド結合、PEGカルボン酸と末端にアミノ基のあるPEGペプチドが反応してつくられるペプチドの新しいペプチド結合、PEGリン酸アミドと5’末端が水酸基であるPEGオリゴヌクレオチドが反応してできたオリゴヌクレオチドからなる群から選ばれる対を含む。【0033】例えば、以下のZ基とY基の対は上記のW基を生成するのに用いられる。【0034】-PEG-CO2H + HO-PEG- → -PEG-CO2-PEG-【0035】-PEG-OPO3H2 + HO-PEG- → -PEG-OPO3(H)-PEG-【0036】-PEG-CHO + (HO-PEG)2 →-PEG-CH(O-PEG)2-【0037】-PEG-CHO + NH2-PEG- → -PEG-CH=N-PEG-【0038】PEGハイドロゲルのゲルは、以下の3つの成分を混合して調製される。(1)骨格中に加水分解的に不安定な結合Wをもち、鎖の末端に反応基XをもつPEG。(2)鎖の末端に反応基Qをもつ分枝PEG、または関連するペプチドでないポリマー。(3)反応基Qをもつ生物学的に活性な分子、または他の分子。ここで、反応基Xは、-O-(CH2)n-CO2-NHSまたは-O-CO2-NHS中のスクシンイミジル基(NHS)、またはスルフォスクシンイミジル基、ベンゾトリアゾール基、パラニトロフェニル基を含む活性基からなる群から選ばれる。反応基Qは一般的にアミノ基(-NH2)である。【0039】架橋結合の網目状組織は加水分解的に不安定なW基、および安定なT基の両方によってかたちづくられている。不安定なW基の加水分解によって、加水分解的に安定な、たいていは共有結合でPEGやそのほかのポリマーが付着している、生物学的に活性な分子または、他の分子が放出される。【0040】ゲルの物理的強度や圧縮性を制御するために、本発明のハイドロゲル中のポリマーの分枝の数を変えることができる。一般的に、分枝は多くなるほど短くなり、ゲルの強度が大きくなるほど孔が減り、水分含有量が減る。ここで、強度は圧縮耐性と弾性で定義される。【0041】ハイドロゲルのマトリックスに取り込まれた物質を放出する速度は、ゲルの加水分解による崩壊の速度を制御することでコントロールできる。ゲルの加水分解による崩壊の速度は、ハイドロゲルのマトリックスを形成しているPEGの結合度をコントロールすることで調節することができる。マルチアームPEGは10本の分枝をもち、腕が崩壊して、3本の分枝をもつPEGよりもゆっくり薬剤分子を放出する【0042】下に示すPEGは、骨格中に含まれる2つの加水分解的に不安定なエステル結合からなっている。【0043】NHS-O2C-CH2-O-PEG-O-CH2-CO2-PEG-O2C-CH2-O-PEG-O-CH2-CO2-NHS【0044】上記のPEGは両末端がN-ヒドロキシルスクシンイミド部分(NHS)で活性化されている。ここで、活性なスクシンイミドエステル部分はNHS-CO2でありアミノ基との反応性がある。上記分子が、マルチアームのPEGアミンや、例えばそれ以外のアミノ基を含むタンパク質と結合したとき、架橋結合の網目状組織は加水分解的に安定なアミド結合、および不安定なエステル結合の両方によってかたちづくられる。安定なアミド結合は、活性NHSエステルとアミンの反応によって生じる。【0045】上の例は、本発明の有利な特徴を説明する。第一に架橋結合の網目状組織は、PEG骨格内の加水分解的に不安定なエステル結合(W)の加水分解により、分解または崩壊する。第二にゲルは崩壊するときにPEGと、潜在的に治療への適用に便利なタンパク質接合体を放出する。第三に微妙にエステル結合の種類を変えることで、加水分解による崩壊速度を制御することができる。【0046】上記の例において、エステル結合は次のような構造をしている。【0047】-PEG-O-CH2-CO2-PEG-【0048】このエステル結合はpH 7、37℃において半減期4時間で加水分解される。しかし、次のような構造のエステルを用いると、エステル結合の加水分解の半減期は、pH 7、37℃において43日である。【0049】-PEG-O-(CH2)n-CO2-PEG- n = 2【0050】このようにエステル結合に隣接する原子を変えることで、ゲルの加水分解による崩壊速度を制御することができる。また、マトリックス中にとりこまれているPEGとタンパク質の接合体の放出速度を制御することができる。一般的に、上記の構造に含まれるメチレン基の数をあらわすnの値が大きくなるほど、加水分解速度は低下する。【0051】このように本発明は、なかでも、加水分解的に不安定な結合を有し、その不安定な結合の加水分解によってPEGや関連するペプチドでないポリマーと、タンパク質やその他の治療効果を有する分子の接合体を血流中に放出するように制御される、分解性PEGハイドロゲルを提供する。【0052】添付した望ましい具体例を説明する図とともに、以下の本発明の詳細な説明を考慮すれば、前述の内容や、本発明の他の目的、また同様に成し遂げられた方法はたやすく明らかなことである。【0053】本発明の架橋結合されたPEG高分子構造体からなるハイドロゲルは、ドラッグデリバリーシステムや傷の包帯剤として用いることができる。傷の包帯剤は内用することができ、体内において経時的に分解する。本発明のハイドロゲルは、火傷に対して、ポリマーに結合した治療物質を提供するのに用いるドラッグデリバリーシステムにおいて有効に利用することができる。ドラッグデリバリーシステムにおいては、ハイドロゲルの加水分解速度が、薬剤組成物の放出を制御するようにコントロールされる。【0054】薬剤とは、ヒトやその他の動物の診断、治癒、緩和、処置、病気の予防、または身体や精神の健康の増進を意図したあらゆる物質を意味する。本発明は、一般に生体内で何らかの活性や役割をもったり、または生体から取り出した生物学的に活性な物質の送達に用いられる。【0055】基や、官能基、部分、活性部分、反応部位、ラジカルは、全て化学的に何らかの同じ意味を持ち、この文献において異なった定義可能な部分、分子単位、他の分子や分子の部分と反応する機能や活性をもった単位を示す。【0056】結合とは通常、化学反応の結果としてできた部分を示し、一般的には共有結合であるものをいう。加水分解的に安定な結合とは、水中で安定で汎用のpHにおいて長期にわたり水と反応せず、潜在的にはいつまでも水と反応しないことを意味する。加水分解的に不安定な結合は、水と反応し、一般的にはハイドロゲルの崩壊とマトリックス中に取り込まれていた物質の放出を起こさせるものである。この結合を、加水分解をうけやすい、または加水分解型であるという。架橋結合された高分子構造体を分解するのにかかる時間は、加水分解速度で示され、通常半減期として測定される。【0057】当業者であれば、参照にY部位と反応するZ部位があるとき、目的のW結合を生成するために、場合によって通常用いられる化学的な手順や標準により、次に用いる試薬や手段をきめる。ここで述べるには多すぎるほどの方法があるが、当業者にとっては明白なことであろう。たとえばアルコールとカルボン酸が反応するとき、アルコールと反応するのに先立って酸は通常酸塩化物のような別の形に変わることは、当業者であれば理解すべきことである。【0058】本発明のハイドロゲルの調製において、非分解物として用いられる分枝PEGポリマーのかわりに、加水分解的に不安定な結合を持たない、ペプチドでない関連する分枝ポリマーが用いられることも理解すべきである。ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリプロピレングリコール(PPG)のようなポリアルキレンオキサイド、ポリオキシエチル化グリコールやポリオキシエチル化ソルビトールやポリオキシエチル化グルコースなどのポリオキシエル化ポリオールなども、これらの分枝ポリマーに含まれる。これらのポリマーはホモポリマーやランダム共重合体、ブロック共重合体、上記のポリマーをモノマーとしたターポリマーであり、直鎖状、分枝状、置換されたもの、またはmPEGと同様に置換されないものや、リンカーの付着に使用可能な活性部位を一つだけ有する単官能PEGと同様に置換されないものであり得る。【0059】特定の例において、好適なその他のポリマーには、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルフォリン(PAcM)(publishied Italian Patent Application MI-92-A-0002616 November 17, 1992)が含まれる。PVPとポリオキサゾリンはこの分野ではよく知られたポリマーであり、その調製と分枝状のPEGの合成に用いられることは、当業者には明白なことである。【0060】以下の例は、ポリマー骨格中の加水分解的に不安定な結合をもつPEGの調整方法と、PEGと生体分子の接合体を放出するように調製した分解性のハイドロゲルの使用について説明する。加水分解的に不安定な結合をもつPEGとその調製法については、1997年9月12日に出願された、タイトルが「半減期と前駆体が制御された分解性ポリエチレングリコールハイドロゲル(Degradable Poly(ethylene glycol) Hydrogels With Controlled Half-life and Precursors)」であって、加水分解的に不安定な結合を骨格中に有するPEGの調製法に関連する内容であって、1997年9月13日に優先権を主張したクレームを出願した、仮出願番号60/026,066である米国特許出願に述べられていることを引用により本明細書の一部をなすものとする。【0061】[例1][加水分解的に不安定な骨格結合と、末端NHS活性カルボネートをもつPEG誘導体の合成(NHS-OOCO-PEG-W-PEG-OCOO-NHS)]100mlの丸底フラスコにトルエンに溶かしたベンジルオキシPEGカルボキシメチル酸3400(benzyloxy-PEG carboxymethyl acid 3400)( 3.4 g, 1 mmol, Shearwater Polymers社製 Huntsville, AL)を共沸させ、2時間蒸留し、室温まで冷却した。メチレンクロリドに溶かした塩化チオニル(thionyl cloride)( 2M, 4 ml, 8 mmol, Aldrich社製)を注入し、混合物を窒素下において終夜で攪拌した。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、この濃縮物は、P2O5とともに真空下で約4時間乾燥した。残留物に無水メチルクロリド(5 ml)と共沸的に乾燥した、トルエン(20 ml)に溶かしたベンジルオキシPEGカルボキシメチル酸3400( 2.55 g, 0.75 mmol)を加えた。ベンジルオキシPEGアシルクロリド(benzyloxy-PEG acyl chloride)が溶解した後、新鮮な蒸留したトリエチルアミン( 0.6 ml)を加える。混合物を終夜でかき混ぜ、トリエチルアミン塩をろ過し、生成物はエチルエーテルで沈殿させて捕集した。さらに生成物は水にとかし、メチレンクロリドで抽出した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮してエチルエーテル中で沈殿させた。沈殿物は真空下で乾燥させた。HPLC分析により、ベンジルオキシPEGの100%がPEGエステルに変わり、約15%のベンジルオキシPEG酸(benzyloxy-PEG acid)が残ったことがわかった。【0062】混合物は、イオン交換カラム(DEAE sepharose fast flow, Pharmacia社製)でベンジルオキシPEG酸を除去するクロマトグラフィを用いて精製した。1,4−ジオキサン(20ml)に溶かした100%純粋なαベンジルオキシωベンジルオキシPEGエステル6800(a-benzyloxy-w-benzyloxy PEG ester 6800) (2 g, 0.59 mmol end group)は、水素(2気圧)、Pd/C(1 g, 10% Pd)とともに一夜で水素化分解した。触媒はろ過によって取り除き、溶媒のほとんどをロータリーエバポレーターで除去した後、生成物はエーテルに沈殿させた。αベンジルオキシωベンジルオキシPEGエステル6800はろ過して捕集し、真空下で乾燥させた。収量は1.5 g(75%)であった。【0063】αベンジルオキシωベンジルオキシPEGエステル6800(1.5 g, 0.44 mmol end group)は100mlのアセトニトリルと共沸して乾燥させ、室温に冷却した。この溶液にジスクシミジルカーボネート(disuccimidyl carbonate)(DSC)(0.88 mmol, Fluka社製)とピリジン(0.1 mol)を加え、その溶液を室温で終夜攪拌した。溶媒は真空下で除去し濃縮物は真空下で乾燥させた。生成物は35mlの乾燥メチレンクロリドに溶解し、溶け残った固体はろ過して除去した。さらにろ液をpH 4.5の塩化ナトリウム飽和アセテートバッファーで洗浄した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮し、エチルエーテルに沈殿させた。沈殿は真空下P2O5で乾燥させた。収量は1.4g(93%)であった。【0064】生成物をNMR(溶媒はDMSO-d6)で分析した結果を示す。(1)ベンジルオキシPEGプロピオン酸からの生成物のd は、 3.5(br m, PEG)、2.55(t, -OCH2CH2COOPEG-)、4.13(t, -PEG-COOCH2CH2O-)、4.45(-PEG-OCH2CH2OCO-NHS)、2.80(s, NHS, 4H)であった。(2)ベンジルオキシPEGカルボキシメチル酸からの生成物のd は、 3.5(br m, PEG)、4.14(s, -OCH2COOPEG-)、4.18(t, -OCH2COOCH2CH2-)、4.45(t,-PEG-OCH2CH2OCO-NHS)、2.81(s, NHS, 4H)であった。【0065】[例2][加水分解的に不安定な骨格結合と、末端NHS活性カルボン酸塩をもつPEG誘導体の合成(NHS-OOC-(CH2)n-O-PEG-O-(CH2)n-CO2-PEG-O2C-(CH2)n-O-PEG-O-(CH2)n-COONHS)]100mlの丸底フラスコに二官能PEG2000( 2 g, 1 mmol, Shearwater Polymers社製)と二官能PEG酸2000( 4 g, 2 mmol, Shearwater Polymers社製)を70mlのトルエンと共沸させ、窒素下で蒸留した。2時間後、溶液を室温まで冷却し、スズ2ヘキサノン酸エチル(stannous 2-ethylhexanoate)(200 g, Sigma Chemical社製)を加えた。溶液は窒素下で24時間環流させた。溶媒は真空下で濃縮し、濃縮物は100mlのエーテル中に沈殿させた。生成物はろ過によって捕集し、真空乾燥し、pH 5.0のナトリウムアセテートバッファーに溶解させた。少し乳化した溶液は遠心分離し、上澄み溶液をメチレンクロリドで3回抽出した。有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空下で濃縮し、エーテルに沈殿させた。生成物はろ過して捕集し、真空乾燥した。70%の生成物と、15%の酸会合物、15%の酸が存在することがHPLC分析によりわかった。この混合物はさらに、イオン交換クロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーにより精製した。収量は3g(50%)であった。【0066】生成物をNMR(溶媒はDMSO-d6)で分析した。(1)PEGカルボキシメチル酸からの生成物のd は、 3.5(br m, PEG)、4.15(s, -OCH2COOCH2-)、4.18(t, -OCH2COOCH2CH2-)、3.98(s,-PEG-OCH2COOH)であった。(2)PEGプロピオン酸(PEG propionic acid)からの生成物のd は、 3.5(br m, PEG)、2.55(t, -PEGOCH2CH2COOCH2-)、4.13(t, -OCH2COOCH2CH2-)、2.43 (s,-PEG-OCH2CH2COOH)であった。【0067】100mlの丸底フラスコに弱い結合を有する二官能酸(前段階で得られたもの3 g 約1 mmol end group)とN-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxy succinimid)(NHS)(126 mg, 1.05 mmol)を50 mlの乾燥メチレンクロリドに溶解させた。この溶液に、5 mlのメチレンクロリドにとかしたジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbodiimid)(240 mg, 1.15 mmol)を加える。混合物を窒素下で終夜攪拌した。溶媒は濃縮し、濃縮物は15 mlの無水トルエンに再び溶解させた。溶解しない塩はろ過によって取り除き、ろ液は200 mlの乾燥エチルエーテルに沈殿させた。沈殿物はろ過し、真空乾燥した。収量は2.7 g(90 %)であった。【0068】生成物をNMR(溶媒はDMSO-d6)で分析した。d は、 3.5(br m, PEG)、2.8(s, NHS, 4H)、4.6(s, -PEG-O-CH2-COONHS)、2.85(t, -PEG-OCH2CH2-COONHS)であった。【0069】[例3][PEG誘導体の中間におけるエステル結合の加水分解速度]エステル結合の加水分解速度を正確に測定するために、水溶性の架橋構造のないmPEG-O-(CH2)-COO-PEGmを例2のように合成した。加水分解はバッファー溶液(0.1 M)中でさまざまにpH、温度を変えて行い、HPLC-GPC(Ultrahydrogel(商標) 250, Waters社製)により追跡した。このエステル結合の半減期を表1に示す。【0070】【表1】【0071】[例4][分枝状PEGアミンから加水分解的に不安定なPEGハイドロゲル、モデルタンパク質(FITC-BSA)、加水分解的に不安定な骨格結合と末端NHS活性カルボン酸塩をもつPEG誘導体の調製(NHS-OOCO-PEG-W-PEG-OCOO-NHS)]テスト管中で、100 mg(14.7 μmol)の二官能PEG活性カルボネート6800(NHS-OOCO-PEG-W-PEG-OCOONHS 例1で調製したもの)は、0.75 mlのバッファー(0.1 Mリン酸、pH 7)に溶かした。この溶液に0.15 mlの8本の腕のあるPEGアミン1000(250 mg/ml)と0.1 mlのFITC-BSA(10 mg/ml)を加えた。すばやく振とうした後、放置すると数分でゲルが生成した。適切なバッファーのpHの範囲は、5.5から8であることがわかった。【0072】[例5][分枝状PEGアミンから加水分解的に不安定なPEGハイドロゲル、モデルタンパク質、加水分解的に不安定な骨格結合と末端NHS活性エステルをもつPEG誘導体の調製(NHS-OOC-(CH2)n-O-PEG-O-(CH2)n-CO2-PEG-O2C-(CH2)n-O-PEG-O-(CH2)n-COONHS)]100 mg(約16.6 μmol)の二官能PEG活性エステル(NHS-OOC-(CH2)n-O-PEG-O-(CH2)n-CO2-PEG-O2C-(CH2)n-O-PEG-O-(CH2)n-COONHS 例2で調製したもの)を、0.75 mlのバッファー(0.1 Mリン酸、pH 7)に溶かした。この溶液に0.166 mlの8本の腕のあるPEGアミン10000(250 mg/ml)と0.1 mlのFITC-BSA(10 mg/ml)を加える。すばやく振とうした後、放置すると数分でゲルが生成した。適切なバッファーのpHの範囲は、5.5から8であることがわかった。【0073】[例6][加水分解によって溶解するハイドロゲルからのモデルタンパク質の放出の研究]すべてのタンパク質を含んだハイドロゲルディスクは、放出実験の前に、質量と半径を測定しておいた。それぞれのディスクは、時間t=0においてリン酸バッファー(0.1 M、pH 7)に浸した。バッファーの量は湿ったゲルの重量の50倍以上であった。溶液は37℃に保ちおだやかに振とうした。測定前の時間に、少量のバッファー溶液をタンパク質濃度測定のために取り除き、測定後もとに戻した。タンパク質濃度は495 nmにおけるUVスペクトルにより測定した。図1にハイドロゲルからのPEG-FITC-BSAの放出のプロファイルを示す。時間に対してプロットされている単位は、その日の画分の時間tにおけるモル数を、ハイドロゲル分解の完了として定義される無限時間でのモル数で割ったものである。【0074】本発明は特定の具体例で示された。しかしこれらの記述は発明をこの具体例の範囲に限定するものではなく、当業者であれば本明細書に記述した範囲内において様々な変化を加えることができることがわかるであろう。本発明には誠実な精神の範囲内で、また特許請求の範囲において定義された本発明の範囲内で、全ての選択、修正、同等のものが含まれる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明のPEGに共有結合的に結合したモデルタンパク質(FITC-BSA)によって調製された、PEGハイドロゲルからの放出のプロファイルを示すグラフである。 一以上のペプチドでないポリマーと、該ペプチドでないポリマーおよび一以上の生物活性物質の接合体との間に加水分解的に不安定な結合を含む分解性架橋結合高分子構造体であって、該構造体はフリーラジカル重合のないときに架橋結合され、該ペプチドでないポリマーは、ポリアルキレンオキシド類(poly(alkylene oxides))、ポリオキシエチル化ポリオール類(poly(oxyethylated polyols))、ポリオレフィンアルコール類(poly(olefininc alcohols))、ポリアクリロモルフォリン(poly(acrylomorpholine))、およびこれらの混合物からなる群から選ばれ、該加水分解的に不安定な結合が水溶液中で分解して、該生物活性物質とペプチドでないポリマーの接合体を放出する、分解性架橋結合高分子構造体。 上記ペプチドでないポリマーがポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol))である、請求項1に記載の構造体。 加水分解的に不安定な結合が、カルボン酸エステル、リン酸エステル、オルソエステル、酸無水物、イミン、アセタール、ケタール、オリゴヌクレオチド、ペプチドからなる群から選ばれる、請求項1に記載の構造体。 前記構造体は、上記ペプチドでないポリマーとの間に、アミド、ウレタン、アミン、エーテル、チオエーテル、ウレアからなる群から選ばれる加水分解的に安定な結合をさらに含む、請求項1に記載の構造体。 上記生物活性物質が、酵素、ポリペプチド、薬剤、ヌクレオシド、リン脂質からなる群から選ばれる、請求項1に記載の構造体。 上記ペプチドでないポリマーが、ポリオキシエチル化グリセロール(poly(oxyethylated glycerol))、ポリオキシエチル化ソルビトール(poly(oxyethylated sorbitol))、ポリオキシエチル化グルコース(poly(oxyethylated glucose))、ポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol))、ポリプロピレングリコール(poly(propylene glycol))からなる群から選ばれる、請求項1に記載の構造体。 上記ペプチドでないポリマーが、分枝状の高分子アミンを含む、請求項1に記載の構造体。 少なくとも一の加水分解的に不安定な結合をPEGポリマー骨格中に有し、該加水分解的に不安定なPEGは分枝状のPEGアミンに共有結合的に結合しており、縮合反応によって架橋結合されている構造体であって、生物学的に活性な分子とポリエチレングリコール(PEG)の接合体を含む、化学的に架橋結合された分解性高分子構造体。 上記分枝状のPEGアミンがR(CH2-O-PEG-NH2)pの式で表され、この式においてPEGはポリエチレングリコールであり、Rはグリセロール(glycerol)、グリセロールオリゴマー(glycerol oligomers)、ペンタエリスリトール(pentaerythritol)、ソルビトール(sorbitol)、トリメチオールプロパン(trimethyolpropane)からなる群から選ばれる分枝の中心となる基であって、pは3から10であって、分枝状のPEGポリマーの分枝の度合いを示す、請求項8に記載の構造体。 上記生物学的に活性な分子と上記加水分解的に不安定なPEGとの接合体が、X-PEG-W-PEG-T-Dの式で表される構造を有し、この式において、PEGはポリエチレングリコールであり、Dは該生物学的に活性な分子であり、Tは加水分解的に安定な結合であり、Wは加水分解的に不安定な結合であり、Xは上記分枝状アミンのアミンと反応する部分である、請求項8に記載の構造体。 Xがスクシンイミジルエステル(succinimidyl ester)、スルホスクシンイミジル(sulfosuccinimidyl)、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)、パラニトロフェニル(p-nitrophenyl)、ジトリメチロールプロパンdi(trimethylolpropane)からなる群から選ばれる、請求項10に記載の構造体。 Wがカルボン酸エステル、リン酸エステル、オルソエステル、酸無水物、イミン、アセタール、ケタール、オリゴヌクレオチド、ペプチドからなる群から選ばれる、請求項10に記載の構造体。 Xが-O-(CH2)n-CO2-NHSであって、nが0から10である、請求項10に記載の構造体。 上記加水分解的に不安定な結合の加水分解の半減期がn値によって決定される、請求項13に記載の構造体。 Wが-O-(CHR')r-CO2-で表されるエステル結合あって、rが1から10であって、R'が水素またはアルキル基である、請求項13に記載の構造体。 Tがアミド、ウレタン、アミン、チオエーテル、ウレアからなる群から選ばれる、請求項13に記載の構造体。 ペプチドでないポリマーと生物活性物質の接合体からの物質を生体組織へインビボで送達するための、請求項1に記載の高分子構造体を含んでなるシステム。 -PEG-T-PEG-W-PEG-W-PEG-T-Dの式で表される部分を含む架橋結合高分子構造体であって、この式において、PEGは分子量が300から200,000ダルトンの分枝状または直鎖状のポリエチレングリコールであり、Wはカルボン酸エステル、リン酸エステル、オルソエステル、酸無水物、イミン、アセタール、ケタール、オリゴヌクレオチド、ペプチドからなる群から選ばれる加水分解的に不安定な結合であり、Tはアミド、ウレタン、アミノ、エーテル、チオエーテル、ウレアからなる群から選ばれる加水分解的に安定な結合であり、Dは生物学的に活性な分子であって、該高分子構造体は水溶液中で分解性であり、生物学的に活性な分子DとPEGの接合体を溶液中に放出し、該構造体はフリーラジカル重合がないときに架橋結合される、架橋結合された高分子構造体。 (1)骨格中に加水分解的に弱い結合を有するPEGと、 (2)分枝状の実質的にペプチドでない高分子アミンと、 (3)構造体を形成する生物学的に活性な分子とが反応してできる生物学的に活性な分子とペプチドでないポリマーの接合体を放出する、フリーラジカル重合のないところで架橋結合された高分子構造体の製造方法であって、反応が次のように表され、X-PEG-W-PEG-X + R(CH2-O-poly-NH2)p + D-NH2) → productXは、スクシンイミジルエステル、スルホスクシンイミジル、ベンゾトリアゾール、パラニトロフェニルからなる群から選ばれ、Rはグリセロール、グリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチオールプロパン、ジトリメチオールプロパンからなる群から選ばれる分枝状のポリマーpolyに通じる分枝の中心となる基であり、pは分枝状のポリマーpolyの分枝の数を表す3から10の値であり、polyはポリアルキレンオキシド類、ポリオキシエチル化ポリオール類、ポリオレフィンアルコール類、ポリアクリロモルフォリンからなる群から選ばれるポリマーであり、Wはカルボン酸エステル、リン酸エステル、オルソエステル、酸無水物、イミン、アセタール、ケタール、オリゴヌクレオチド、ペプチドからなる群から選ばれる加水分解的に不安定な結合であり、Dは生物学的に活性な分子である、フリーラジカル重合のないところで架橋結合された高分子構造体の製造方法。 Xが-O-(CH2)n-CO2-NHSまたは-O-CO2NHSであり、nが1から10である、請求項19に記載の方法。 Wが-O-(CHR')r-CO2-で表されるエステル結合であり、rが1から10であり、R'が水素またはアルキル基である、請求項19に記載の方法。 分枝状のペプチドでない高分子アミンが骨格中に弱い結合を持たない、請求項19に記載の方法。 polyがポリアルキレンオキシド(poly(alkyleneoxides))、ポリビニルピロリドン(poly(vinyl pyrrolidone))、ポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol))、ポリオキサゾリン(polyoxazoline)、ポリアクリロイルモルフォリン(poly(acryloylmorpholine))からなる群から選ばれる、請求項19に記載の方法。 上記生物活性物質が治療物質であり、該構造体が治療物質を傷に作用させるためのハイドロゲルであって、傷や傷跡へ用いるものである、請求項1に記載の構造体。 加水分解的に安定している結合により生物活性物質に共有結合されその骨格内に少なくとも1つの加水分解的に不安定な結合を有する第1のポリ(エチレングリコール)と、前記第1のポリ(エチレングリコール)分子に架橋結合された第2の分岐状ポリ(エチレングリコール)とを含む分解性架橋結合高分子構造体において、前記第1のポリ(エチレングリコール)分子の前記骨格内の前記加水分解的に不安定な結合が、水性溶液中で分解して、前記生物活性分子と前記ポリ(エチレングリコール)との接合体を放出することができ、前記第2の分岐状ポリ(エチレングリコール)が、その骨格内に加水分解的に不安定な結合を有しない構造体。