生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_注意欠損/活動亢進症の治療のためのアルカノイルカルニチン誘導体の使用
出願番号:2000503842
年次:2009
IPC分類:A61K 31/205,A61P 25/00


特許情報キャッシュ

クラウディオ・カバッツァ JP 4276779 特許公報(B2) 20090313 2000503842 19980708 注意欠損/活動亢進症の治療のためのアルカノイルカルニチン誘導体の使用 シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ 591043248 SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 松谷 道子 100106518 クラウディオ・カバッツァ US 08/898,433 19970722 20090610 A61K 31/205 20060101AFI20090521BHJP A61P 25/00 20060101ALI20090521BHJP JPA61K31/205A61P25/00 BIOSIS(STN) CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) Neuroscience Letters,1997年,223,pp.201-205 Behavioural Brain Research,1983年,7,pp.379-382 Brain Research Bulletin,1993年,32,pp.159-170 6 IT1998000188 19980708 WO1999004785 19990204 2001510800 20010807 8 20050301 清野 千秋 【0001】(発明の分野)本発明は学習障害を患っている子供を治療するための治療法およびより明確には、注意欠損/活動亢進症(ADHD)に冒されている子供を治療するための方法に関する。本発明は更に、ADHDに冒されている子供を治療するための薬物を調製するための既知の作用成分の使用にも関する。【0002】ADHDは発育上不適当な注意欠損および一般に活動亢進を伴う衝動性のことである。【0003】ADHDの診断基準は、アメリカ精神医学協会により出版された精神障害の診断および統計マニュアル、第4版(DSM-IV)、82-85頁に詳細に示されている。【0004】ADHDの診断は、実際上かなりの注意を持って、注意欠損又は活動亢進の症状が子供の精神年齢に対して過剰である場合にのみなされるべきである。教室での注意欠損は、高い知能を有する子供が学問的に刺激がない環境に置かれた時にも起こり得る。【0005】ADHDは原因不明の多相な疾患である。子供および青年において病的性質および無能力が伴うために、全世界に渡る主要な臨床および一般の健康問題の一つである。【0006】財政上の損失、家族に与えるストレス、学術および職業活動に与える影響に関して、社会に与えるその影響は巨大である。この症候群の症状は周囲(親や教師)を悩ますものであり、子供にとっても悲惨なものである。疾患はたいてい社会的および就学機能の障害を伴い、多くの場合子供時代を通して持続する。【0007】更に、多動症の子供の予見的、長期的研究は、その大部分が多動症の症状を持ち続け、反社会的疾患に進行するということを示す。【0008】合衆国およびヨーロッパで行われた疫学研究によると、ADHDは学齢期にある子供の約5から10%を冒している。ADHDは男児において女児の10倍多く見られる。【0009】ADHDは、子供が小児科医および小児精神科医へ引き合わされる共通の原因であり、小児精神科診療者の約50%を数える。【0010】罹患した子供は必ずしも共通の特徴を持つわけではない。とは言うものの、その子供達のほとんどが注意持続期間、衝動のコントロール、およびきちんとした振る舞いの欠落を示す。共通の活動亢進および衝動性症状は以下のように記述される。子供達はしばしば手や足をもじもじさせ、教室や家で食事中に席を離れ、待っていることが難しく、質問が終わる前に出し抜けに答え、過剰に話し、他人を遮るか、他人へ割り込み、走るのが不適当な状況でしばしば走り回る。【0011】他の側面に関して共通の注意欠損の症状を以下に記述する。子供達はしばしば学校の勉強や他の日常活動で細部に注意を払えないか、不注意の間違いを犯す。彼等は仕事や遊びでの活動において注意を維持するが困難であり、外からの刺激により簡単に気が散り、直接話しかけられた時聞いていないように見え、指示通りに動かず、学校の勉強や日常の仕事を終えることが出来ない。しばしば、彼等は学校若しくは家の仕事をする気がなく、持続する精神的努力を要する仕事を避け、仕事や活動に必要な物をしばしば失い、一般の日常活動において忘れっぽい。いくらかの子供では活動亢進性衝動が注意欠損症状よりも優勢な子供もいれば、注意欠損が優勢な子供もいる。ほとんどの場合、活動亢進性衝動と注意欠損の症状は合わさっている。【0012】既に示したように、ADHDの原因は不明である。遺伝的要因、出生前や周生期に受けた脳障害が疾患の原因と考えられてきた;しかし、決定的な結論はまだ得られていない。最近では、罹患した子供はエネルギーの調節機構における障害に冒されていると考えられている。【0013】これまで疾患を治療するために提案された精神薬は、刺激剤(アンフェタミンおよびメチルフェニデート)、三環系抗鬱薬(イミプラミン、アミトリプチリン)および抗精神薬(フェノチアジン、ハロペリドール)である。【0014】二つの化合物が世界中で最もよく用いられる:メチルフェニデートとクロニジンである。後者は中枢抗高血圧剤として主に用いられている。【0015】メチルフェニデートは、活動亢進および注意欠損の両方においてよい効果を持ことが分かっている、多くの臨床研究の対象物である。しかしながら、活動亢進のリバウンドがしばしば報告され、時に衝動性が増加するのが見られた。【0016】メチルフェニデートを用いた治療中、目の下の疲労性の隅、拡大瞳孔、頭痛および食欲減退などの副作用がしばしば報告されている。【0017】睡眠困難、夜間覚醒、寝汗、眠気、心収縮および心収縮による血圧の低下も報告されている。最も一般的な副作用は、不眠症、食欲減退および体重減少である。【0018】クロニジンは家庭/学校での活動亢進および注意障害に効果的でもあるが、教師や親によると目標諸問題に関するその有利効果はメチルフェニデートを用いて得られるものほど有意ではない。【0019】クロニジンの副作用は様々で、頻発する。眠気は最も一般的なものである。短い居眠りが増えることも報告されている。【0020】時に悪夢を伴う夜間覚醒もしばしば起こる。吐き気や食欲減退および口内乾燥も報告されている。心収縮および心収縮による血圧の低下もメチルフェニデートを用いた治療よりもより頻繁に起こる。【0021】両化合物、即ちメチルフェニデートおよびクロニジンの逆効果が臨床試験中に報告され、試験に加わらない患者によっても、親や先生によっても報告されている。【0022】それゆえ、ADHDに冒されている子供の治療のための、治療を要する子供に少なくとも既知薬と同程度に効果的であるだけでなく、前述の欠点および既知薬の有害な副作用を呈しない薬物を投与することを含む治療法を提供することが、本発明の目的である。【0023】(発明の概要)この目的は、治療を要する子供に単一又は多投与量投与管理でL-カルニチン又は、直鎖若しくは分枝アルカノイル基が2-8の、好ましくは2-5の炭素原子を有するアルカノイルL-カルニチン又はその薬理学上許容される塩の治療的有効量を経口又は非経口で投与することを含む、注意欠損/活動亢進症(ADHD)の治療のための方法を提供する本発明により達成される。【0024】(詳細な態様の記述)好ましいアルカノイルL-カルニチンは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルおよびイソバレリルL-カルニチンである。アセチルL-カルニチン、プロピオニルL-カルニチンおよびイソバレリルL-カルニチンが特に好ましい。【0025】実際の使用において、L-カルニチン、アルカノイルL-カルニチン又はその薬理学上許容される塩は、通常の医薬製剤のいずれかで非経口又は経口で投与される。これらは徐放性製剤を含み、錠剤、カプセル、粉末、溶液、シロップなどの固体および液体の経口単位投与製剤および、滅菌溶液および懸濁液などの液体点滴製剤を含む。本明細書に使用されている単位投与製剤という語は、単一又は多投与で投与され得るために物理的に分けられた単位を言い、各単位はそのような単位物の1又はそれ以上の特定数の投与において所望の効果を生むべく計算された定量のL-カルニチン、又は等モル量のアルカノイルL-カルニチン又はその薬理学上許容される塩を担体と合わせて含む。【0026】投与されるL-カルニチン、アルカノイルL-カルニチン又はその薬理学上許容される塩は、正確な専門医の判断を用いて、子供の年齢、体重および体調を考慮して決定されるべきである。有効な結果は一日当たり30から40mg/kg体重のL-カルニチン低投与量でも認められ得るが、一日当たり約50から約120mg/kg体重の投与量が好ましい。これとは別に、等モル量のアルカノイルL-カルニチンおよび、L-カルニチンおよびアルカノイルL-カルニチンの薬理学上許容される塩も同様に有効に用いられ得る。【0027】L-カルニチン、アルカノイルL-カルニチンおよびその塩は極端に毒性が低いため、必要と思われる場合、より多くの投与量が安全に投与され得る。所望の生化学的反応の性質から見て、多投与量管理を用いて一日投与量を数回の投与に分けるのがけるのがしばしば望ましく、反応は投与された全量について測定される。【0028】経口又は非経口投与のためのL-カルニチン含有組成物の典型的な例は以下のごとくである:【0029】実施例1溶液又は滅菌水溶液の濃度は1ml当たり50mgから500mgである。【0030】A.注射用組成物(アンプル/バイアル用)は以下のように調製される:L-カルニチン: 50ml注射用の水を加えて 1mlとする【0031】B.静脈投与用組成物は以下に従って調製される:L-カルニチン: 50gNaCl: 8.6gKCl: 0.3gCaCl2:0.33g注射用の水を加えて 1リットルとする【0032】C.経口使用のための組成物は以下の無制限の組成物に従って調製される:L-カルニチン: 5gマンニトール: 1.1gソルビトール: 60gメチルp-オキシベンゾエート: 0.100gプロピルp-ベンゾエート: 0.050gオレンジ抽出物: 20gビタミンB12 300mcg精製水を加えて 10mlとする【0033】実施例2200mgから400mgのL-カルニチンを含む錠剤は以下に従い調製される:L-カルニチン: 200gスターチ: 100gアビセル: 150gタルク: 50g【0034】成分を穏やかに混ぜ、1g重量の錠剤にまで圧縮する。【0035】実施例3500mgのL-カルニチンを含むカプセルを賦形剤なしで、又は不活性担体と混合して、およびゼラチンの鞘に入れることにより調製し得る。【0036】前述のアルカノイルL-カルニチンのいずれかがL-カルニチンに置換する同じ化合物の調製は、平均的な技術を持つ医薬技術者には容易であろう。【0037】L-カルニチン又は前述のアルカノイルL-カルニチンの薬理学上許容される塩は、L-カルニチン又はアルカノイルL-カルニチンへの酸の添加により調製され、有害な毒性や副作用を引起こさない全ての医薬上許容される塩をその分子内塩に加えて含む。医薬上許容される酸添加塩の製造は、医薬技術においてよく知られている。【0038】適当な塩の無制限の例は、クロライド、ブロマイド、オロテート、アスパルテート、酸アスパルテート、酸タートレート、酸シトレート、酸ホスフェート、フマレート、酸フマレート、ラクテート、マレエート、酸マレエート、酸オキサレート、酸サルフェート、グルコースホスフェート、タートレートおよび酸タートレート塩を含む。無毒でかつL-カルニチン、アルカノイルL-カルニチンの投与と実質上同じの結果を与える他の適当に許容される塩および上記の医薬塩は当業者には明らかであり、上に列挙した塩と等価であると考えられる。【0039】ADHDの治療処置におけるL-カルニチンの効能を示す臨床研究をこれ以下に記載する。【0040】注意欠損/活動亢進症(ADHD)に冒されており、通常の治療法(刺激薬)を用いた治療下にある、疲労感に冒されていることを嘆く子供達のグループを、この特徴的な症状を治療し、改善するのに広く用いられるL-カルニチンを用いた更なる治療に供した。L-カルニチン治療は、疲労症状を改善するだけでなく、意外にも、彼等のADHD症状の大部分の改善をもたらした。L-カルニチン治療の停止後、ADHDの症状が再発した。L-カルニチン治療をもう一度行うとADHDの症状に顕著な改善がもたらされた。【0041】この観察は、ADHDの標的症状へのL-カルニチンの作用を徹底的に調べることを目的とした臨床研究の実行を促した。【0042】ADHDと診断された25人の子供を研究で採用した。【0043】DSM-IVによる診断選択基準は、ADHDの治療のために特定されたセンターの小児精神学者または小児心理学者により確立された。【0044】両性の全患者は家庭で生活しており、施設に入っていなかった。20人が男児、5人が女児であり、4才から12才であった。【0045】25人中8人の患者が主に注意欠損症に、7人が主に活動亢進/衝動性症状に、10人がその2つが合わさった症状に冒されていた。【0046】選ばれた子供達は刺激薬で改善されず、刺激物を用いた治療中、睡眠困難又は夜間覚醒および食欲減退などの更に進行の進んだ持続性の有害副作用を患った。全ての標準的治療を停止し、一日当たり100mg/kgの投与量の経口溶液製剤のL-カルニチンに置き換えた。治療を12週間続けた。臨床評価を基本時(2つの診察)および4週、8週および12週で行った。【0047】臨床評価は、グロニンゲンの親による診察規範(Groningen's Parent Observation Scale)(ブールスマ エス.(Boorsma S.)(1990)、グロニンゲン行動診察規範の親編:要因の設定とノルマ。エイ.エフ.カルベルボア(A.F.Kalverboer)(版)中の、発育生体心理学:危険状態にある子供の実験的および診察的研究(pp293-298)。アン.アーバー(Ann.Arbor):ユニバーシティ オブ ミシガンプレスを参照されたい)と2人の教師による診察規範、即ちグロニンゲンの規範(バエッセン ダブリュ.(Vaessen W.)(1990)、グロニンゲン行動診察規範の教師編:要因の設定とノルマ。エイ.エフ.カルベルボア(A.F.Kalverboer)(版)中の、発育生体心理学:危険状態にある子供の実験的および診察的研究(pp287-291)。アン.アーバー(Ann.Arbor):ユニバーシティ オブ ミシガンプレスを参照されたい)およびコナーの規範(ウェリー ジェイ.エス.(Werry J.S.)、スプラーグ アール.エル.(Sprague R.L.)、アンド コーヘン エム.エヌ.(Cohen M.N.)(1975)、子供を用いた薬物研究における使用のためのコナーの教師による評価規範:経験的研究。ジャーナル オブ アブノーマル チャイルド サイコロジー3、217-229を参照されたい)によりなされた。【0048】グロニンゲンの行動診察規範親編はADHDの15の標的症状を分類し、親特有の洞察力や家での生活の日常的な困難を斟酌することが明示されている。注意と活動亢進の症状の両方が含まれている。【0049】グロニンゲンの行動診察規範教師編も15の標的症状を分類し、教師特有の洞察力と学校での活動で特別困難なことを斟酌することが明示されている。【0050】コナーの教師評価規範は行動に関する39の記述項目より成る。これは、ADHDの治療のために設計された組成物の作用を研究するのに一般に用いられ、世界中で認可されている。【0051】L-カルニチン治療に対する反応を3評価基準からの包括的臨床効果として評価した。【0052】目的の症状が消えるか、明らかに減少した時のみ反応を陽性と評価した。症状のスコアは以下の通りである:1=全くなし;2=少し見られる;3=少し多い;4=大変多い。反応をスコア1と2に関して陽性であると定義した。【0053】テスト化合物の作用の評価のためのこれらの基準に基づいて12週目(治療の終わり)に、注意疾患に明らかに冒された6人の子供に、活動亢進/衝動性疾患に明らかに冒された6人の子供に、その合わせた症状に冒された8人の子供においてL-カルニチンに対する反応が陽性であるとみなされた。陽性の反応は25%の患者のうち全20名の患者即ち80%に認められた。【0054】患者の安全性を検査中および12週目に評価した。【0055】有害又は病原性であると定義される薬物の副作用も、構造的、生理学的又は代謝的機能の変化も報告されなかった。治療に関係しているかどうか分からない程度のわずかな副作用、即ち2人の患者が糞便の不慣れな臭いに不快感を示したことは報告された。 L-カルニチン又は、直鎖若しくは分枝アルカノイル基が2-8炭素原子を有するアルカノイルL-カルニチン又はその薬理学上許容される塩を含有する、注意欠損/活動亢進症(ADHD)の治療のための医薬組成物。 ADHDに冒されている子供に30-120mg/kg体重/日のL-カルニチン又は等モル量のアルカノイルL-カルニチン又はその薬理学上許容される塩を投与するのに適した経口又は非経口投与組成物である、請求項1記載の組成物。 一日当たりに投与される全量が、体重1kg当たり、L-カルニチンの50から100mg、又は等モル量のアルカノイルL-カルニチン又はその薬理学上許容される塩である、請求項2記載の組成物。 アルカノイルL-カルニチンが2-5炭素原子を有する、請求項1-3いずれかに記載の組成物。 アルカノイルL-カルニチンが、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリルおよびイソバレリルL-カルニチンから成る群から選択される、請求項1-4いずれかに記載の組成物。 L-カルニチン又はアルカノイルL-カルニチンの薬理学上許容される塩が、クロライド、ブロマイド、オロテート、アスパルテート、酸アスパルテート、酸タートレート、酸シトレート、酸ホスフェート、フマレート、酸フマレート、ラクテート、マレエート、酸マレエート、酸オキサレート、酸サルフェート、グルコースホスフェート、タートレートおよび酸タートレートから成る群から選択される、請求項1-5いずれかに記載の組成物。


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