生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_高純度カーボネートの製造方法
出願番号:2000399988
年次:2009
IPC分類:C07C 68/08,C07C 69/96,C07D 317/34,C07D 317/36,C07D 317/38,C07D 317/40


特許情報キャッシュ

伊藤 晶和 安部 浩司 大平 則行 浜本 俊一 JP 4310919 特許公報(B2) 20090522 2000399988 20001228 高純度カーボネートの製造方法 宇部興産株式会社 000000206 伊藤 晶和 安部 浩司 大平 則行 浜本 俊一 20090812 C07C 68/08 20060101AFI20090723BHJP C07C 69/96 20060101ALI20090723BHJP C07D 317/34 20060101ALI20090723BHJP C07D 317/36 20060101ALI20090723BHJP C07D 317/38 20060101ALI20090723BHJP C07D 317/40 20060101ALI20090723BHJP JPC07C68/08C07C69/96C07D317/34C07D317/36C07D317/38C07D317/40 C07C 68/08 C07C 69/96 C07D 317/36 C07D 317/38 C07D 317/40 特開平07−196584(JP,A) 特開昭58−185536(JP,A) 化学大辞典9,日本,共立出版株式会社,1962年 7月31日,304、305頁 8 2002193892 20020710 8 20060719 水島 英一郎 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、特定の合成ゼオライト存在下において、カーボネートに含有される不純物を高度に除去することができる高純度カーボネートの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】近年、カーボネートは、例えば各種化学反応の溶媒として、高分子化合物の溶媒として、あるいはコンデンサや電池用電解液の溶媒として使用されている。これらカーボネートは、(1)オキシドと二酸化炭素、(2)ホスゲンとモノアルコールまたはジオール、(3)鎖状カーボネートとモノアルコールまたはジオールの組み合わせで合成するために、これらの製造方法および用いられる原料によって必然的にメタノール、エタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどの2価アルコール(ジオール)、塩素含有化合物、カーボネートが脱炭酸して副生するエーテル類などのいくつかが不純物として含むことが知られている。これらの不純物は、カーボネート製造工程で殆ど除去することができるが、1%未満の不純物を除去することは容易ではなかった。【0003】一方、これらのカーボネートを用途に応じて微量の水分またはアルコール類等の不純物を除くための検討がなされており、例えば、特開平5−74485号公報には、プロピレンカーボネートやエチレンカーボネートのような環状カーボネートをシリカゲル処理し、ジオール成分を低減することが開示されている。また、同公報には活性炭や、活性アルミナ、モレキュラーシーブス等の吸着剤により処理する方法について開示されている。しかしながら、これら吸着剤により処理した場合にも、環状カーボネート中には微量のアルコールやエーテル等が残存しており、このため、カーボネートを電池用電解液として使用した際にサイクル特性を低下させる一因と考えられるアルコールやエーテル等の不純物を高度に除去する方法が求められている。【0004】また、特開平8−325208号公報には、合成ゼオライト存在下におけるジオールと鎖状カーボネートとの反応を利用して、環状カーボネートに含有されるジオールを高度に除去する方法が提案されている。しかしながら、同公報の方法では、ジオールは高度に除去できるが、新たに炭酸ガスやエーテル、アルコール類が副生し、また、使用される鎖状カーボネートがメチルエチルカーボネートのような非対称鎖状カーボネートの場合には、エステル交換反応が起こり、ジメチルカーボネートとジエチルカーボネートに一部転化されるという問題点がある。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カーボネートを特定の合成ゼオライトと接触させることにより、従来公知のシリカゲル、活性炭、活性アルミナまたはモレキュラーシーブでは除去が困難であったカーボネート中の微量のアルコールやエーテル等の不純物を高度に除去する方法を見出し、本発明に至った。すなわち、本発明者らは、合成ゼオライトは自己結合性がないため、柱状あるいは球状の成型体とする際に、バインダー(結合剤)としてベントナイト、カオリン、アタプルガイトのような粘土鉱物が従来より使用されており、その含有量が成型体に対して15〜25重量%と多量であり、この多量のバインダーがアルコールやエーテル等の不純物を生成する原因であることを見出した。そこで、合成ゼオライト中のバインダー量を極少量にした特定の合成ゼオライトをカーボネートの精製に使用することにより、カーボネートに含有される不純物を効率的に除去し、かつ、カーボネートが合成ゼオライトに含有されるバインダー(結合剤)成分の作用で副反応を起こして、新たに炭酸ガスやエーテルやアルコールを副生したり、鎖状カーボネートがエステル交換が起こったりする問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。【0006】【課題を解決するための手段】本発明は、SiO2が40〜51重量%、Al2O3が26〜38重量%、Na2Oが18〜24重量%からなり、バインダー成分(結合剤)を5重量%以下含有する合成ゼオライトとカーボネートとを接触させることを特徴とする高純度カーボネートの製造方法に関する。本発明の合成ゼオライトを用いることにより、水分、塩素含有化合物などの不純物の吸着能力が著しく改善され、かつ、脱炭酸などの副反応が生じない高純度カーボネートを提供することができる。。【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な高純度カーボネートの製造方法について更に詳しく説明する。本発明で用いられる合成ゼオライトとして、モレキュラシーブス4A、モレキュラシーブス13Xなどが挙げられる。中でも、モレキュラシーブス4Aは、吸着能が高く、破過時間が大きいので好ましい。そして、合成ゼオライトに含有されるバインダー(結合剤)は5重量%以下である。バインダー成分としては、特に限定されないが、例えば、ベントナイト、カオリン、アタプルガイトのような粘土鉱物が挙げられる。合成ゼオライトは、粉末のまま用いても良いし、球形のものを用いても良く、また、極少量のバインダーを含有させて柱状あるいは球状のような成型体として用いることもできる。【0008】また、合成ゼオライト中のSiO2が41〜50重量%、Al2O3が28〜37重量%、Na2Oが19〜23重量%であることが好ましい。合成ゼオライト中に不純物として存在する金属酸化物としては、MgOが2重量%以下、CaOが0.5重量%以下、Fe2O3が0.5重量%以下、P2O5が0.4重量%以下、K2Oが0.1重量%以下とするのが好ましく、総含有量として4重量%以下が好ましい。【0009】合成ゼオライトはカーボネートと接触させる前に、結晶水を除くためや吸着能を向上させるために通常乾燥させて使用される。この時、乾燥条件は特に限定されるものではなく、一般に知られている方法で乾燥させることができる。例えば、減圧加熱乾燥や電気炉などを使用する方法が挙げられる。【0010】合成ゼオライトとカーボネートとの接触方法は、カーボネートを連続的に通液する方法(以下、連続法という。)、また、カーボネート中に合成ゼオライトを添加し静置または攪拌する方法(以下、バッチ法という。)が挙げられる。連続法の場合、接触時間は液空間速度(LHSV)として0.1〜10/時間であることが好ましい。バッチ法の場合の処理温度は、10〜60℃が好ましい。また、バッチ法の場合には、カーボネートに対して、0.1〜30重量%の合成ゼオライトを添加し、0.5〜240時間処理することが好ましい。【0011】本発明の前記カーボネートの具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどの環状カーボネートが挙げられる。これらの環状カーボネートは、一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。また、本発明の前記カーボネートの具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、sec−ブチルメチルカーボネート、tert−ブチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネートが挙げられ、とりわけ非対称カーボネートが好ましい。これらの鎖状カーボネートは一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。また、前記の環状カーボネートと組み合わせて使用してもよい。本発明で得られた高純度カーボネートを電池用電解液として使用した場合には、不純物量が極めて少ないのでサイクル特性に優れた電池を提供することができる。【0012】しかし、これらのカーボネートはほんの一例にすぎず、本発明で使用可能なカーボネートは、前記の具体的カーボネートに限定されず、発明の趣旨から容易に類推可能なカーボネートに適用される。【0013】本発明において、カーボネートを合成ゼオライトと接触させる際に、環状カーボネートと鎖状カーボネートはそれぞれ単独で使用しても良いし、任意に選択され組み合わせて使用しても良い。任意に選択され組み合わせて使用する場合、前記の環状カーボネート/前記の鎖状カーボネートエステルの重量比は、10/90〜90/10で使用するのが好ましい。【0014】【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。[モレキュラシーブスの合成法]本発明で用いたモレキュラシーブスは、特公昭45−24663号公報に準じて合成した。実施例1表1に示すモレキュラーシーブス(MS)100gとカーボネート300gを500mlのガラス容器に入れ、密閉して放置した。120時間ほどモレキュラーシーブスに浸漬したカーボネートについて、ガスクロマトグラフでエーテル、アルコールの生成量およびエステル交換量の測定を行った。更に炭酸ガスの生成量を電位差滴定することにより測定した。ガスクロマトグラフはGC−14A(島津製作所製)を用い、キャピラリーカラムはHP−INNOWAX(ヒューレットパッカード製)を使用した。電位差滴定装置はCOMTITE−980(平沼産業製)を用い、滴定試薬としては1/100規定のエタノール性水酸化カリウム溶液を使用した。結果を表2に示す。表1中、炭酸ガス生成率、エーテル生成率、アルコール生成率は、比較例1の炭酸ガス、エーテル、アルコールの生成量をそれぞれ100%として換算した値である。また、エステル交換率は、比較例1のエステル交換量を100%として換算した値である。[XRFによるモレキュラーシーブスの成分分析]モレキュラーシーブス1gをめのう乳鉢で粉砕し、ポリプロピレン膜を張ったポリエチレン製のカップに入れて分析を行った。装置は全自動蛍光X線装置(PHILIPS製 PW2400型)を使用した。分析結果を表1にMS成分(重量%)欄に示す。【0015】実施例2〜5表1に示すモレキュラーシーブスとカーボネートを使用した他は、実施例1と同じ試験を行った。結果を表2に示す。【0016】比較例1表1に示すモレキュラーシーブスとカーボネートを使用した他は、実施例1と同じ試験を行った。結果を表2に示す。なお、炭酸ガス、エーテル、アルコールの生成量は、それぞれメチルエチルカーボネート300g中、43ppm、170ppm、17ppmであった。また、エステル交換率は、仕込みのメチルエチルカーボネートに対して4.7%であった。【0017】【表1】【0018】【表2】【0019】実施例6内径15mm、高さ60mmのステンレス製カラムに実施例1と同じモレキュラーシーブス100mlを充填し、室温下、液空間速度(LHSV)2/時間でメチルエチルカーボネートを通液した。モレキュラーシーブス100mlに対して100倍量通液した後、100mlほど処理液を採取し実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。表3中、炭酸ガス生成率、エーテル生成率、アルコール生成率は、比較例2の炭酸ガス、エーテル、アルコールの生成量をそれぞれ100%として換算した値である。また、エステル交換率は、比較例2のエステル交換量を100%として換算した値である。【0020】比較例2比較例1と同じモレキュラーシーブスを使用した他は、実施例6と同じ試験を行った。結果を表3に示す。なお、炭酸ガス、エーテル、アルコールの生成量は、それぞれメチルエチルカーボネート100g中15ppm、20ppm、5ppmであった。また、エステル交換率は、仕込みのメチルエチルカーボネートに対して0.5%であった。【0021】【表3】【0022】バインダーを多量に含有しているモレキュラーシーブスを使用した場合、炭酸ガスやエーテルやアルコールが副生し、またメチルエチルカーボネートの場合エステル交換によりジメチルカーボネートとジエチルカーボネートが副生した。これに対しバインダーを含有していないモレキュラーシーブスを使用した場合、炭酸ガスやエーテルやアルコールが全く副生しておらず、エステル交換についてもほとんど起こっていない。また、バインダーの添加量が少ないモレキュラーシーブスを使用した場合(実施例5)には、比較例1に比べると炭酸ガス、エーテル、アルコールの生成率やエステル交換率が低下した。【0023】なお、本発明は記載の実施例に限定されず、発明の趣旨から容易に類推可能な様々な組み合わせが可能である。特に、上記実施例の溶媒の組み合わせは限定されるものではない。【0024】【発明の効果】本発明によれば、高純度に精製されたカーボネートの製造方法を提供することができる。 SiO2が40〜51重量%、Al2O3が26〜38重量%、Na2Oが18〜24重量%からなり、ベントナイト、カオリン、アタプルガイトから選ばれる少なくとも1種の粘土鉱物であるバインダー成分(結合剤)を5重量%以下含有する合成ゼオライトとエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種の環状カーボネートおよび/またはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、sec−ブチルメチルカーボネート、tert−ブチルメチルカーボネートから選ばれる少なくとも1種の鎖状カーボネートとを接触させることを特徴とする高純度カーボネートの製造方法。 前記ゼオライト中に不純物として存在するMgO、CaO、Fe2O3、P2O5、K2Oから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物の総含有量が4重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の高純度カーボネートの製造方法。 前記ゼオライト中に存在するMgOが2重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の高純度カーボネートの製造方法。 前記ゼオライト中に存在するCaOが0.5重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の高純度カーボネートの製造方法。 前記ゼオライト中に存在するFe2O3が0.5重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の高純度カーボネートの製造方法。 前記ゼオライト中に存在するP2O5が0.4重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の高純度カーボネートの製造方法。 前記ゼオライト中に存在するK2Oが0.1重量%以下であることを特徴とする請求項2記載の高純度カーボネートの製造方法。 前記鎖状カーボネートが、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、イソプロピルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、sec−ブチルメチルカーボネート、tert−ブチルメチルカーボネートから選ばれる非対称カーボネートのいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高純度カーボネートの製造方法。


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