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タイトル:特許公報(B2)_表面被覆粉体及びそれを含有する化粧料
出願番号:2000388636
年次:2012
IPC分類:C09C 3/08,A61K 8/00,A61Q 1/00


特許情報キャッシュ

鈴木 一弘 宮川 さつき JP 5030327 特許公報(B2) 20120706 2000388636 20001221 表面被覆粉体及びそれを含有する化粧料 株式会社コーセー 000145862 田中 宏 100089406 樋口 榮四郎 100096563 鈴木 一弘 宮川 さつき 20120919 C09C 3/08 20060101AFI20120830BHJP A61K 8/00 20060101ALI20120830BHJP A61Q 1/00 20060101ALI20120830BHJP JPC09C3/08A61K8/00A61Q1/00 C09C 3/08 A61K 8/00 A61Q 1/00 特開平03−197409(JP,A) 特開昭51−042073(JP,A) 特開平09−328501(JP,A) 2 2002188024 20020705 14 20071211 仁科 努 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、表面被覆粉体に関する。さらに詳しくは化粧料への配合に適した疎水性の表面被覆粉体及び該表面被覆粉体を配合した化粧料に関する。【0002】【従来技術】 化粧料には無機粉体及び有機粉体など種々の粉体が配合されている。そしてこれらの粉体には、目的の応じて、種々の表面被覆剤で被覆することが行われている。その一つとして、油剤成分への濡れや分散性を向上させたり、肌への付着性を良くする目的で粉体を疎水化する表面被覆処理が行われている。例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等の界面活性剤による表面被覆処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油による表面被覆処理が知られている。ところが、界面活性剤で表面被覆した粉体は、化粧料に配合した際、配合油剤中に表面処理剤が溶出する場合があり、また疎水性が不充分であった。また、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面被覆した粉末は、経時的に未反応の水素が脱離し水素ガスを発生させることがあるという問題点がある。またデキストリン脂肪酸部分エステルによる表面被覆粉体(特公平5−3844号公報)が提案されているが、疎水性が充分ではない。【0003】【発明が解決しようとする課題】 本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、界面活性剤による表面被覆粉体やシリコーン油による表面被覆粉体の有する問題点を解消した、すなわち表面処理剤が分散媒中に溶出したりすることがなく、優れた疎水性を有し、分散性、安定性が良好な表面被覆粉体、並びに該表面被覆粉体を配合した化粧料を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】 本出願人等は、先に、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、油剤、ゲル化剤、乳化剤などとしてそのまま化粧料に配合すること、この配合により化粧料のしっとり感を良好にすることを提案した(特開平3−197409号公報)。本発明者らは、此の度、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは水に不溶で油剤にもとけにくいばかりでなく、粉体の表面に吸着されやすい性質があり、粉体に疎水性を付与する表面被覆剤として優れていることを知見し、本発明を完成した。【0005】 すなわち、本発明は、フラクトオリゴ糖の水酸基の水素原子が基RCO−(ここでRは炭素数7〜31の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換され、且つその置換度がフラクトオリゴ糖の一単糖単位当たり平均で1〜3個であるフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルで表面を被覆処理してなる表面被覆粉体であって、該被覆処理が、溶媒中に前記のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルを溶解し、粉体を添加してスラリーとし、これを減圧下加熱して溶剤を留去する処理である表面被覆粉体である。また本発明は、この表面被覆粉体を含有する化粧料である。【0006】【発明の実施の形態】 本発明で用いるフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、フラクトオリゴ糖の水酸基の水素原子が、基RCO−(ここでRは炭素数7〜31の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換された化合物である。その置換度は、フラクトオリゴ糖の一単糖単位当たり平均で1〜3個置換されたものである。このフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、例えばフラクトオリゴ糖に式RCOOH(ここでRは前記と同じ)で表される脂肪酸又はその反応性誘導体を反応させることにより製造される。【0007】 フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルの原料のフラクトオリゴ糖は、フルクトースを主要構成糖とするオリゴ糖である。フラクトオリゴ糖はいろいろな植物、例えばキク科、イネ科及びユリ科の根、地下茎、茎、葉、種子等に含まれており、その構造は主鎖の結合様式が2→1結合のものと、2→6結合のものの2種類がある。2→1結合のものとしてはイヌリン、アスパラゴシン、アスホデラン、トリチカン、クリテザンなどのフラクトオリゴ糖が挙げられ、またバクモンドウ由来のフラクトオリゴ糖も用いられる。2→6結合のものとしてはフレアン、レバン、セラカンなどのフラクトオリゴ糖が挙げられる。なお、フラクトオリゴ糖は、酵素などにより加水分解されたものでもよく、その平均分子量は300〜10000の分子量の範囲が好ましい。また、フラクトオリゴ糖の中でも、イヌリン、加水分解イヌリンが好ましい。【0008】 フラクトオリゴ糖に反応させる脂肪酸は、炭素数8〜32の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸であるが、このうち炭素数8〜22のものが好ましい。具体的には、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、2−エチルヘキサン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソオレイン酸等が挙げられる。また、これらの脂肪酸の反応性誘導体としては、酸ハライド、酸無水物等が挙げられる。【0009】 フラクトオリゴ糖と式RCOOH(ここでRは前記と同じ)で表される脂肪酸又はその反応性誘導体との反応は、従来公知の方法により容易に行うことができる。例えばフラクトオリゴ糖をジメチルホルムアミド及びピリジン中に分散させ、60℃前後で反応させることにより得られる。この際脂肪酸、脂肪酸ハライド又は脂肪酸無水物の添加量、反応時間、反応温度を適宜調整することにより、脂肪酸の平均置換度をコントロールできる。また、本発明のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、その反応条件等より白色から褐色の色相を有する固形状〜ペースト状或は液状のものが得られるが、必要ならば従来公知の脱色方法、例えば活性炭、ゼオライト等で処理することにより容易に白色に精製することができる。【0010】 本発明で用いるフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、水に不溶であり、また油剤にも溶けにくいばかりでなく、粉体の表面に吸着しやすい性質に富む。そのため、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルで表面被覆した粉体は、充分な疎水性を示し油成分への分散性が良く、化粧料に配合した時も安定であって、表面被覆剤が化粧料中に溶出することがない。そして、このフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル表面被覆粉体を配合した化粧料は、肌への密着性が優れ、滑らかな感触を有し、使用性に優れ、化粧持続性が良い。【0011】 本発明で被覆の対象となる粉体は、通常化粧料に用いられるものであれば、その形状(球状、針状、板状、等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することがでる。例えば、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、合成雲母、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられる。【0012】 また、有機粉体としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、ポリメチルベンゾグアナミン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、セルロース、シルク、ナイロン66、12ナイロン、6ナイロン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの樹脂のパウダー、微結晶繊維粉体、コメデンプン、ラウロイルリジン等が挙げられる。また、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。【0013】 また、有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられる。【0014】 金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられ、タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられる。天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。これらの粉体は、複合化したり、界面活性剤や油剤、シリコーン、又はフッ素化合物で表面処理を行なった粉体でもよい。【0015】 粉体の表面をフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルで被覆する方法について説明する。この被覆は、湿式法、乾式法を問わず通常の公知の粉体被覆処理技術を用いることが可能である。具体的には、流動層コートによる処理方法、メカノケミカルによる表面被覆処理方法、高速攪拌混合による表面被覆処理方法、若しくは、溶媒中にフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルを溶解し、粉体を添加してスラリーとし、これを減圧下加熱して溶剤を留去する方法などが挙げられる。【0016】 ここで用いる溶剤としては、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルが溶解もしくは均一分散するものであれば特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、イソパラフィン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、イソプロパノール、エタノール、メタノールや、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの揮発性シリコーン油等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。【0017】 更に、被覆処理の際、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、可塑剤、界面活性剤、油剤などを使用することができる。また、本発明の被覆粉体における、粉体とフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルとの比率は質量比で、粉体:フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル=99.5:0.5〜70:30が好ましく、99:1〜85:15が特に好ましい。【0018】 本発明の被覆粉体の化粧料への配合量は、0.001〜100質量%の範囲で適宜選択される。例えば、粉末状や固型状等の粉体化粧料の場合は1〜100質量%が好ましい、また水中油型や油中水型の乳化化粧料の場合は、0.001〜40質量%が好ましい。【0019】 本発明のフラクトオリド糖脂肪酸エステルで被覆した粉体は、化粧料に通常用いられる油剤中で良好な分散性を示すが、特に油剤として、シリコーン油、エステル油、グリセライド油等を用いた場合に分散性に優れるため好ましい。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等を挙げられる。【0020】 エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。【0021】 グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。これらは、一種又は二種以上が任意に選ばれて用いられる。【0022】 本発明の化粧料は、前記被覆粉体以外に、通常用いられる成分、例えば保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美容成分、香料、水溶性高分子、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料、有機粉体、疎水化処理顔料、タール色素など、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができる。【0023】 本発明のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル被覆粉体を含有する化粧料は、例えば、クレンジング料、ボディーソープ、ハンドソープ、洗顔料等の洗浄剤、油剤可溶化型化粧水、乳液、クリーム、マッサージ料、ハンドクリーム、リップクリーム、制汗剤、脱臭剤、日焼け止め乳液や日焼け止めクリーム等のサンケア製品等のスキンケア化粧料、粉白粉、パウダーファンデーション、リキッドや油性のファンデーション、メークアップ下地、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメークアップ化粧料、シャンプ−、リンス、トリートメント、ヘア乳液、ヘアクリーム、ヘアマスカラ、チック等の頭髪化粧料等が挙げられる。剤型は粉末状、プレス状、液状、乳液状、固形状、ペースト状、ゲル状、さらにスプレー状等種々の形態を選択することができる。【0024】【実施例及び比較例】 フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルの合成例を示す。 合成例1 バクモンドウ由来フラクトオリゴ糖パウダー10.8gにジメチルホルムアミド500gを加え、60℃で攪拌して溶解した。これにピリジン16gを加えて攪拌しながら塩化ステアロイル60.5g滴下し、2時間反応後ピリジン塩を濾別し、ジメチルホルムアミドを留去した。残渣にトルエンを加えて抽出し、ボウ硝にて乾燥後溶媒を留去した。残渣をメタノールで洗浄し、バクモンドウ由来フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル40gを得た。 このフラクトオリゴ糖ステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりに付加した脂肪酸の分子数を示す)は2.8であった(ケン化価から算出、以下同じ)。【0025】 合成例2 バクモンドウ由来フラクトオリゴ糖パウダーの代わりにイヌリンパウダーを用いる以外は、合成例1と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル55gを得た。この生成物の脂肪酸平均置換度は2.7であった。 合成例3 イヌリンパウダー16.2gにジメチルホルムアミド200g、ピリジン30gを加え、60℃で攪拌しながら溶解した。これに、攪拌しながら塩化ステアロイル91gを滴下し、5時間反応後、精製水1L中に投入して固形分を析出させた。これを濾別し、残渣をメタノールで洗浄し、イヌリンステアリン酸エステル57gを得た。この生成物の脂肪酸平均置換度は2.8であった。【0026】 合成例4 塩化ステアロイル60gを用いる以外は、合成例3と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル45gを得た。この生成物の脂肪酸平均置換度は1.3であった。 合成例5 加水分解イヌリンパウダー16.2gにジメチルホルムアミド200g、ピリジン30gを加え、60℃で攪拌しながら溶解した。これ塩化パルミトイル30.5gと塩化2−エチルヘキサノイル32.5gを滴下し、5時間反応後、n−ヘキサンで抽出しボウ硝にて乾燥後溶媒を留去した。残渣をメタノールで洗浄し、イヌリン(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)エステル42gを得た。この生成物の脂肪酸平均置換度は2.5であった。【0027】 次に、表面被覆粉体の製造例を示す。 実施例1 クロロホルム150gに、合成例1で得られたバクモンドウ由来フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル7gを溶解する。次に微粒子酸化チタン(この微粒子酸化チタンの平均粒径は50nmであった)93gを加えデスパーで分散したあと、バットに流し込み、加温放置してクロロホルムを除去した。その後粉砕して、バクモンドウ由来フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル被覆微粒子酸化チタン粉末を得た。【0028】 実施例2 バクモンドウ由来フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステルの代わりに、合成例2で得られたイヌリンステアリン酸エステルを用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル被覆微粒子酸化チタン粉末を得た。 実施例3 イソパラフィン150gに、合成例2で得られたイヌリンステアリン酸エステル5gを加え70℃で混合溶解する。次に酸化チタン粉末(この酸化チタン粉末の平均粒径は350nmであった)95gを加えてデスパーで分散後、攪拌しながら減圧してイソパラフィンを除去した。その後粉砕して、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆酸化チタン粉末を得た。【0029】 実施例4 酸化チタン粉末の代わりに黄酸化鉄粉末を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆黄酸化鉄粉末を得た。 実施例5 酸化チタン粉末の代わりにベンガラ粉末を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆ベンガラ粉末を得た。 実施例6 酸化チタン粉末の代わりに黒酸化鉄粉末を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆黒酸化鉄粉末を得た。 実施例7 酸化チタン粉末の代わりにセリサイト粉末を用いる以外は、実施例3と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆セリサイト粉末を得た。【0030】 実施例8 イソプロパノール100gに、合成例3で得られたイヌリンステアリン酸エステル5gを溶解する。次にマイカ20g、タルク10g、ナイロンパウダー10g、赤色226号2g、ベンガラ3gを加えデスパーで分散したあと、バットに流し込み、加温放置してイソプロパノールを除去した。その後粉砕して、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆混合粉末を得た。 参考例1 合成例4で得られたイヌリンステアリン酸エステル10gと微粒子酸化チタン90gを自動乳鉢で2時間混合し、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆微粒子酸化チタン粉末を得た。【0031】 実施例9 イソパラフィン100gに、合成例5で得られた加水分解イヌリン(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)エステル2.5gを加え70℃で混合溶解する。次に赤色104号(1)30g、赤色201号10g、酸化チタン5g、黒酸化鉄0.5gを加えてデスパーで分散後、攪拌しながら減圧してイソパラフィンを除去した。その後粉砕して、イヌリン(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)エステル表面被覆混合粉末を得た。 実施例10 クロロホルム150gに、合成例2で得られたイヌリンステアリン酸エステル3gを溶解する。次にタルク97gを加えデスパーで分散したあと、バットに流し込み、加温放置してクロロホルムを除去した。その後粉砕して、イヌリンステアリン酸エステル表面被覆タルク粉末を得た。【0032】 参考例2 合成例2で得られたイヌリンステアリン酸エステル5gとセリサイト95gをハイブリダイザー(奈良機械製作所)にて混合処理してイヌリンステアリン酸エステル表面被覆セリサイト粉末を得た。 参考例3 合成例2で得られたイヌリンステアリン酸エステル5g、流動パラフィン0.5g、スクワラン0.5g及び微粒子酸化チタン(この微粒子酸化チタンの平均粒径50nmであった)95gをハイブリダイザー(奈良機械製作所)にて混合処理してイヌリンステアリン酸エステル表面被覆微粒子酸化チタン粉末を得た。【0033】 比較例1 バクモンドウ由来フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステルの代わりに、デキストリンパルミチン酸エステル(千葉製粉社製、レオパールKL)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行い、デキストリンパルミチン酸エステル表面被覆微粒子酸化チタン粉末を得た。 比較例2 クロロホルム150gに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(シリコンKF99P 信越化学工業社製)7gを溶解する。次に微粒子酸化酸化チタン93gを加えデスパーで分散したあと、バットに流し込み、加温放置してクロロホルムを除去した。その後、120℃で2時間加熱し、粉砕して、メチルハイドロジェンポリシロキサン表面被覆微粒子酸化チタン粉末を得た。【0034】 実施例1〜2及び比較例1〜2の表面被覆粉末について、分散性、疎水性、及び安定性を調べた。その結果を表1に示す。評価は、以下の示す評価方法及び評価基準で行なった。【0035】 〔分散性の評価方法及び評価基準〕 デカメチルシクロペンタシロキサン100gに実施例1〜2及び比較例1〜2の被覆粉体を1g分散させ、2時間放置した時の粉体分散液の状態を観察し、以下の基準により評価した。○:白濁して粉体が分散した状態である。△:粉体が一部沈降し、分散液上層に透明層が観察される。×:完全に粉体が沈降している。【0036】 〔疎水性の評価方法及び評価基準〕 製造直後の実施例1〜2及び比較例1〜2の表面被覆粉末を金皿にプレスし、プレス表面に水滴(水温20℃)を落とし、その直後の接触角をエルマ社製ゴニオメータ式接触角測定装置により測定した。また製造後40℃で1ヶ月保存した実施例1〜2及び比較例1〜2の表面被覆粉末を金皿にプレスし、プレス表面に水滴(水温20℃)を落とし、その直後の接触角をエルマ社製ゴニオメータ式接触角測定装置により測定した。 上記測定において、接触角が90゜以下であるものは疎水性に劣り、90゜を超えるものは疎水性に優れる。【0037】 〔安定性の評価方法及び評価基準〕 精製水50g、エタノール50gの混合溶液中に実施例1〜2及び比較例1〜2の被覆粉体を夫々添加して分散し、密閉容器に40℃で1カ月放置した後の状態を観察した。 ○:ガスの発生が確認されない。 ×:ガスの発生が確認される。【0038】【表1】【0039】 〔評価〕 表1より明らかなように、本発明のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルで表面被覆した微粒子酸化チタンは、分散性に優れ、水との接触角も大きく、疎水性に優れ、安定性に優れるものであった。一方、比較例1のデキストリンパルミチン酸エステルで表面被覆した微粒子酸化チタンは水との接触角が著しく小さく、疎水性が劣る。また比較例2のメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面被覆した微粒子酸化チタンは分散性、安定性が良くない。【0040】 次に、化粧料の実施例を示す。 実施例11〜12及び比較例3〜5:油中水乳化型サンカット乳液 表2に示す組成の油中水乳化型サンカット乳液を製造した。また、それぞれについて、使用感、使用性、分散性及び安定性について調べた。その結果も合わせて表2に示す。【0041】【表2】【0042】(製造方法)A:成分1〜5を加温溶解し、成分6〜11を加えて均一に分散する。B:成分12〜16を均一に混合分散する。C:AにBを加えて乳化する。D:Cを容器に充填して油中水乳化型サンカット乳液を得た。【0043】 表2における評価は、次の評価方法及び評価基準により行なった。(1)使用感、使用性の評価 実施例11〜12及び比較例3〜5の油中水乳化型サンカット乳液をそれぞれを化粧品官能評価専門パネル20名に使用してもらい、使用時の肌へののび広がり、自然な仕上がり、化粧持続性について、それぞれ以下の基準で評価を行い、全パネルの平均点より判定した。 [評価基準] 評 点:評価結果 5点:非常に良好 4点:良好 3点:普通 2点:やや不良 1点:不良 [判定基準] 判 定:全パネルの評点の平均点 ○:4以上 △:2以上〜4未満 ×:2未満【0044】(2)分散性の評価 サンカット乳液においては、微粒子酸化チタンの分散性が悪いと紫外線遮蔽効果が低く、分散性が高いと紫外線遮蔽効果が高くなる。そこで、本評価においては、紫外線遮蔽効果を分散性の指標とした。 実施例11〜12及び比較例3〜5の油中水乳化型サンカット乳液のそれぞれを50cm2当たり50mgになるように石英ガラス板に塗布し、乾燥後、SPF290-ANALYZER(Optometrics社製)にてin vitroのSPF値(紫外線遮蔽効果の指数)を測定した。(3)安定性の評価 実施例11〜12及び比較例3〜5の油中水乳化型サンカット乳液を40℃で1ヶ月放置した後の状態を観察した。 ○:ガスの発生が確認されない ×:ガスの発生が確認される【0045】〔評価〕 表2の結果から明らかなように、本発明品である実施例1、2のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル表面被覆微粒子酸化チタン粉末を配合した実施例11〜12の油中水乳化型サンカット乳液は、使用時の肌へののび広がり、自然な仕上がり、化粧持続性、分散性(紫外線遮蔽効果)及び安定性の全ての項目に優れたものであった。これに対して、比較例1のデキストリンパルミチン酸エステル表面被覆微粒子酸化チタン粉末を配合した比較例3は化粧料は自然な仕上がり、化粧持続性が劣り、分散性(紫外線遮断効果)も劣った。また、比較例2のメチルハイドロジェンポリシロキサン表面被覆微粒子酸化チタン粉末を配合した比較例4は使用時の肌へののび広がり、自然な仕上がり、化粧持続性、分散性(紫外線遮蔽効果)及び安定性において劣った。フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルと微粒子酸化チタン粉末とを、被覆処理せずに、配合した比較例5は使用時の肌へののび広がり、自然な仕上がり、化粧持続性、分散性(紫外線遮断効果)において劣った。【0046】 実施例13 パウダーファンデーション 成分 質量% 1.実施例3の表面被覆酸化チタン粉末 12 2.実施例4の表面被覆黄酸化鉄粉末 2.9 3.実施例5の表面被覆ベンガラ粉末 0.9 4.実施例6の表面被覆黒酸化鉄粉末 0.4 5.実施例7の表面被覆セリサイト粉末 40 6.タルク 残量 7.ジメチルポリシロキサン(100cs) 8 8.2−エチルヘキサン酸セチル 2 9.パラオキシ安息香酸メチル 0.210.香料 適量【0047】(製造方法)A:成分7〜10を均一に混合する。B:成分1〜6を混合分散する。C:BにAを添加し、混合分散後、粉砕する。D:Cを金皿にプレス成型し、パウダーファンデーションを得た.本発明のパウダーファンデーションは、使用時の肌へののび広がり、自然な仕上がり、化粧持続性、安定性の全ての項目が優れたものであった。【0048】 実施例14 油性アイシャドウ 成分 質量% 1.キャンデリラワックス 5 2.マイクロクリスタリンワックス 5 3.ビーズワックス 5 4.トリオクタン酸グリセリル 10 5.流動パラフィン 残量 6.ロジン酸ペンタエリスリトール 3 7.オクタメチルシクロテトラシロキサン 20 8.実施例8の表面被覆混合粉末 35 9.保湿剤 適量10.香料 適量【0049】(製造方法)A:成分1〜6を加温溶解する。B:Aに成分7〜10を加えて均一に混合分散する。C:Bを80℃で金皿に充填し、冷却固化して油性アイシャドウを得た。 本発明の油性アイシャドウは、使用時の肌へののび広がり、自然な仕上がり、化粧持続性、安定性の全ての項目が優れたものであった。【0050】 実施例15 水中油乳化型化粧サンカット下地料 成分 質量% 1.ステアリン酸 1 2.セタノール 0.5 3.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.5 4.セスキオレイン酸ソルビタン 1 5.ジメチルポリシロキサン 5 6.トリオクタン酸グリセリル 10 7.1,3−ブチレングリコール 10 8.グリセリン 3 9.カルボキシビニルポリマー 0.1510.トリエタノールアミン 0.1511.パラオキシ安息香酸メチル 適量12.精製水 残量13.参考例2の表面被覆セリサイト粉末 314.参考例1の表面被覆微粒子酸化チタン粉末 215.実施例3の表面被覆酸化チタン粉末 116.香料 適量【0051】(製造方法)A:成分1〜6を加熱溶解後、成分13〜15を加えデスパーで分散する。B:成分7〜12を加熱溶解する。C:BにAを加えて乳化する。D:Cに成分16を加えて水中油乳化型化粧サンカット下地を得た。本発明の水中油乳化型化粧サンカット下地は、使用時の肌へののび広がり、自然な仕上がりに優れ、その上にファンデーションを塗布したときの密着感、美しい仕上がり、化粧持続性、そして紫外線カット効果に優れたものであった。【0052】 実施例16 リップスティック 成分 質量% 1.パラフィンワックス 12 2.ラノリンワックス 12 3.キャンデリラワックス 3 4.カオリン 10 5.ヒマシ油 残量 6.ジメチルポリシロキサン(6cs) 10 7.トリオクタン酸グリセリル 2.5 8.実施例9の表面被覆混合粉末 7 9.香料 適量【0053】(製造方法)A:成分1〜7を加熱溶解する。B:Aに成分8〜9を加え、均一に混合分散する。C:Bを80℃で加熱溶融し、カプセルに充填し、リップスティックを得た。本発明のリップスティックスティックは、使用時の肌へののび広がり、おさまりも良く、仕上がりの美しさ、化粧持続性の全ての項目が優れたものであった。【0054】 実施例17 アイライナー 成分 質量% 1.ミツロウ 5 2.セタノール 0.5 3.ステアリン酸 1 4.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5 5.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1 6.レシチン 0.1 7.トリオクタン酸グリセリル 2 8.実施例6の表面被覆黒酸化鉄粉末 10 9.実施例3の表面被覆酸化チタン粉末 0.510.トリエタノールアミン 111.1,3−ブチレングリコール 712.酢酸ビニルエマルションポリマー 1013.パラオキシ安息香酸メチル 適量14.精製水 残量15.香料 適量【0055】(製造方法)A:成分1〜7を加温溶解後、成分8〜9を加え,均一に混合する。B:成分10〜15を均一に混合する。C:AにBを加え乳化する。D:C冷却後、容器に充填して、アイライナーを得た。本発明のアイライナーは使用時に軽く均一なラインが描きやすく、化粧もちにも優れたものであった。【0056】 実施例18 粉白粉 成分 質量% 1.実施例7の表面被覆セリサイト粉末 25 2.実施例3の表面被覆顔料級酸化チタン粉末 2 3.参考例3の表面被覆微粒子酸化チタン粉末 2 4.実施例10の表面被覆タルク粉末 残量 5.窒化ホウ素 10 6.オルガノメチルポリシロキサンエラストマーパウダー 2 7.シリコーン処理無水ケイ酸 0.2 8.パーフルオロポリエーテル 3 9.ジメチルポリシロキサン(10cs) 3【0057】(製造方法)A:成分4の一部と成分8〜9を均一に混合する。B:成分1〜3、成分4の残部、成分5〜7及びAを均一に混合し、粉砕して粉白粉を得た。 本発明の粉白粉は、使用時の感触が滑らかで良好であり、また粉飛びが少なく、化粧持続性も良好なものであった【0058】【発明の効果】 本発明の表面被覆粉末は、疎水性が極めて優れ、油性成分中への分散性に富んでおり、安定性が良好である。そのため、本発明の表面被覆粉末を含有する化粧料は、滑らかな感触を有し、肌への付着性に優れ、使用性に優れており、疎水性に富み化粧持続性が良好である。 フラクトオリゴ糖の水酸基の水素原子が基RCO−(ここでRは炭素数7〜31の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換され、且つその置換度がフラクトオリゴ糖の一単糖単位当たり平均で1〜3個であるフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルで表面を被覆処理してなる表面被覆粉体であって、該被覆処理が、溶媒中に前記のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルを溶解し、粉体を添加してスラリーとし、これを減圧下加熱して溶剤を留去する処理である表面被覆粉体。 請求項1記載の表面被覆粉体を含有することを特徴とする化粧料。


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