タイトル: | 特許公報(B2)_2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアンの製造方法 |
出願番号: | 2000383103 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 339/08 |
手崎 清 杉本 義昭 JP 4683717 特許公報(B2) 20110218 2000383103 20001218 2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアンの製造方法 日本曹達株式会社 000004307 廣田 雅紀 100107984 松橋 泰典 100113860 手崎 清 杉本 義昭 20110518 C07D 339/08 20060101AFI20110421BHJP JPC07D339/08 C07D327/00-347/00 CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN) 特開平10−130263(JP,A) 特開平11−310566(JP,A) 新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III,1978年,pp.1491-1495 COREY,E.J. et al,A practical process for large-scale synthesis of (S)-5-hydroxy-6-trans-8,11,14-cis-eicosatetraenoic acid (5-HETE),Tetrahedron Letters,1981年,Vol.22, No.4,pp.299-302 1 2002187888 20020705 4 20070703 三上 晶子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、光学製品、特に高屈折率プラスチックレンズの原料として有用な2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン(以下BIMDと略す)の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】BIMDの製造方法に関しては、特開平10−130263号公報に、ホスゲンを溶解した溶媒中に、2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアン(以下BAMDと略す)を添加し、ホスゲン化した後、ホスゲンを吹き込みながら高温で反応を完結させる冷熱二段法が記載されている。【0003】しかし、上述した方法では、蒸留精製後の収率が74%と満足のいくものではなかった。本発明は、収率の高いBIMDの製造方法を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機溶媒中で、アミノ体を無機酸塩化し、単離することなくホスゲンと反応させることで収率よく目的物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。【0005】即ち、本発明は、(1)2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアンを、有機溶媒中、無機塩を形成した後、無機酸塩を単離することなく、ホスゲンと反応させることを特徴とする2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアンの製造方法、(2)無機酸が、塩酸であることを特徴とする(1)に記載の製造方法、(3)塩酸塩を、塩化水素ガスを吹き込んで製造することを特徴とする(2)に記載の製造方法、に関する。【0006】【発明の実施の形態】本発明に用いられる無機酸は、アミンと塩を形成するものであれば、特に限定されず、例えば、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等を例示することができる。特に、塩酸が好ましく例示することができる。【0007】鉱酸塩下は、有機溶媒にBAMDを溶解させ、無機酸を添加する方法、また、有機溶媒中に無機酸を溶解、又は懸濁させておきBAMD又はその溶液を添加する方法いずれの方法でも行うことができる。特に、塩酸塩化には、塩化水素ガスを吹き込むことによって行うのが好ましい。無機酸塩化は、室温から、用いる有機溶媒の沸点の範囲で行われる。無機酸に水を含む場合、反応させながら系外に水を追い出しながら行うのが好ましい。【0008】本発明に用いられる溶媒としては、ホスゲンや生成したBIMDに対し不活性なもので、沸点80℃以上のもの、更に100℃以上のものが好ましい。沸点が100℃以下の溶媒では生成したカルバミルクロリドの脱塩酸の進行が遅く、高品質のBIMDが得られ難い。また沸点があまり高いと蒸留でBIMDとの分離が困難になる。好便に使用できる溶媒の例としてはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン、クロロトルエンなどの塩素化芳香族炭化水素、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、酢酸ブチル、酢酸イソアミルなどのエステル類が挙げられ、これらを1種単独、又は2種以上混合して用いることができる。使用する溶媒の量は多ければ問題無いが、効率的には原料に対し5倍以上が適当である。【0009】BAMDの無機酸塩化が終了したのち、無機酸塩を単離することなく、ホスゲンガスを吹き込み反応を行う。完結に要する温度は用いる溶媒により異なるが100〜180℃迄の温度で十分である。100〜130℃でホスゲン化を継続し反応を完結させる。【0010】反応はスラリー状で進行し、反応が進むとスラリー濃度が小さくなり、完結時にはわずかな沈澱物を含むほとんど透明な状態になる。ホスゲン化完結後、通常ホスゲン化反応で行われている窒素吹き込みによる脱ガスまたは減圧脱ガスもしくは溶媒の一部を留出させて脱ガスを行う。脱ガスを終了した液を濾過し、溶媒を留去した後、分子蒸留を行えば高純度のBIMDが得られる。分子蒸留の温度はBIMDが分解し、着色するので150℃以下の温度が望ましい。【0011】以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。【0012】実施例1【化1】還流冷却管、温度計、ガス吹込み管及び、撹拌機を備えた3Lのフラスコにモノクロロベンゼン2.3L及びBAMD160.5gを仕込んだ。次に、攪拌下、105℃まで昇温し、105〜115℃の温度に保ちながら、塩化水素ガス99gを130分かけて吹き込んだ。吹込後。120℃まで1時間かけて昇温した。昇温後、118℃〜123℃の温度に保ちながら、ホスゲンを85g/hrで6時間、60g/hrで7時間、40g/hrで7時間吹き込んだ。反応後、反応液を濾過濃縮し、粗BIMD202.8g(純度96.2%、収率94.1%)を得た。これを、減圧下蒸留し、BIMD188.9g(収率90%)を得た。【0013】比較例1実施例1と同様の容器にo−ジクロロベンゼン1.2Lを仕込み。−10℃まで冷却し、ホスゲン502gを吹き込んで吸収させた。次に、BAMD219.2gのo−ジクロロベンゼン溶液を、0℃以下の温度に保ちながら100分で滴下した。滴下終了後、3時間かけて130〜135℃に昇温し、同温度を保ちながら、ホスゲン1378gを13時間かけて吹き込んだ。実施例1と同様の処理を行い、粗BIMD292.5g(純度80%、収率82.7g)を得た。これを、減圧下蒸留し、BIMD215.3g(収率75%)を得た。【0014】【発明の効果】以上、述べたように、本発明の方法を用いることにより、従来法に比べて収率よく高品位のBIMDを製造することが可能となった。 2,5−ビス(アミノメチル)−1,4−ジチアンを、モノクロロベンゼン溶媒中、105〜115℃の温度に保ちながら塩化水素ガスを吹き込むことにより塩酸塩を形成した後、該塩酸塩を単離することなく、100〜130℃にてホスゲンを吹き込み反応させることを特徴とする2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアンの製造方法。