生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_温感組成物
出願番号:2000376813
年次:2010
IPC分類:A61K 8/34,A61Q 13/00,A61Q 19/00,A61K 47/10,C09K 3/00


特許情報キャッシュ

隈元 浩康 太田 英明 JP 4454838 特許公報(B2) 20100212 2000376813 20001212 温感組成物 高砂香料工業株式会社 000169466 鐘尾 宏紀 100108350 野口 武男 100091948 隈元 浩康 太田 英明 20100421 A61K 8/34 20060101AFI20100401BHJP A61Q 13/00 20060101ALI20100401BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20100401BHJP A61K 47/10 20060101ALI20100401BHJP C09K 3/00 20060101ALI20100401BHJP JPA61K8/34A61Q13/00 101A61Q19/00A61K47/10C09K3/00 B A61K 8、A61K 47、A61Q、C09K 3 特開平11−199522(JP,A) 特開平07−228537(JP,A) 特開2000−026268(JP,A) 6 2002179517 20020626 16 20071012 福井 美穂 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚に対する刺激性が少ないあるいは全くなく、かつ持続性の優れた温感効果を有する温感組成物、この温感組成物を含有する香料組成物およびこの温感組成物あるいは香料組成物を含有する香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品に関する。【0002】【従来の技術】従来より、使用時に温感を与える物質、あるいは材料として、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、カプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ノナン酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテルなどのバニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(特開昭57−9729号公報)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、ジンゲロン、など種々のものが知られている。【0003】【発明が解決しようとする課題】これら温感剤は、温感効果を発現させるため、直接あるいは香料組成物中に含有された状態で各種製品に添加される。しかし、従来知られた温感剤の中には、皮膚に対して強い刺激性を発現したり、温感効果が十分でないという問題があるものが多く、また温感効果が高いものについても温感持続性の点あるいは成分の使用量を少量とすると温感効果、温感持続性が充分でないなどの問題点を有するものが多い。【0004】したがって、本発明は、これら問題点のない、すなわち、皮膚に対する刺激性が少ないかあるいは全くなく、少量使用においても温感効果、温感持続性に優れた温感組成物を提供することを目的とするものである。また、本発明は、皮膚に対する刺激性が少ないかあるいは全くなく、少量使用においても温感効果、温感持続性を付与することができる香料組成物を提供することを目的とするものである。さらに、本発明は、上記温感組成物または香料組成物を含有する、温感効果、温感持続性に優れた香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品を提供することを目的とするものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討を行った結果、従来冷感剤として知られた化合物あるいは組成物(本発明では、両者を併せて「冷感剤」という。)と下記一般式(I)で表される化合物及び/又は温感剤として知られた化合物あるいは組成物(本発明では、両者を併せて「温感剤」という。)とを各少量併用することで、本来各素材には持たない全く異なった温感効果が発現し、さらにこの温感効果は3時間以上も持続することおよび各素材単独では刺激を発現できないレベルの低濃度で十分な温感効果与えることができるため、従来技術ではなし得なかった、無刺激での温感効果の発現も可能であることを見出して、本発明をなしたものである。【0006】すなわち、本発明は、(A)冷感剤、および(B)一般式(I):【0007】【化4】【0008】(式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)で表わされる化合物を含有する温感組成物(但し、飲食品および口腔製品用温感組成物を除く。)を提供するものである。【0009】 また、本発明は、(A)冷感剤、(B)上記一般式(I)で表わされる化合物および(C)温感剤を含有する温感組成物(但し、飲食品および口腔製品用温感組成物を除く。)を提供するものである。【0010】 また、本発明は、上記温感組成物のいずれかを含有する香料組成物(但し、飲食品および口腔製品用香料組成物を除く。)を提供するものである。【0011】 また、本発明は、上記温感組成物のいずれかまたは上記香料組成物を含有する香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品(但し、飲食品および口腔製品を除く。)を提供するものである。 本発明の温感組成物は、温感剤、冷感剤単独では発現しないような少量の使用においても上記組成とすることにより、温感効果が発現され、しかも温感効果が従来考えられないような長時間持続する。また、本発明の温感組成物を足の裏に塗布した場合、背中等にも温感効果を発現させることができるものであり、従来の温感剤とは異なるものである。【0012】【発明の実施の形態】本発明の温感組成物は、上記したように冷感剤(A)と、上記一般式(I)で表わされる化合物(B)および/または温感剤(C)とを含むものである。この温感組成物中、成分(A)として用いられる冷感剤としては、従来冷感剤として用いられている化合物あるいは組成物であれば何れのものであってもよい。本発明で使用することができる冷感剤の代表的なものを例示すると、例えば、一般式(II):【0013】【化5】【0014】(式中、R2およびR3は、各々独立して、水素原子または水酸基を表す。)で表される化合物、一般式(III):【0015】【化6】【0016】(式中、R4は水素原子またはメチル基、R5は水素原子、低級アルキル基または2−アルコキシエチル基を表す。)で表される化合物、一般式(IV):【0017】【化7】【0018】(式中、nは1〜10の整数を表す。)で表される化合物、一般式(V):【0019】【化8】【0020】(式中、R6は水素原子、直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基、直鎖または分岐ヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物およびl−メンチル酢酸N−エチルアミド、N,2,3−トリメチル−2−(1−メチルエチル)−ブタンアミドが挙げられる。上記一般式などで示された化合物を含め、本発明において好ましく使用することができる冷感剤を具体的に例示すると、次のようなものを挙げることができる。しかし、本発明で冷感剤として用いることができる化合物あるいは組成物がこれらに限定されるものではない。【0021】メントール、イソプレゴール、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−2,3−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、6−イソプロピル−9−メチル−1,4−ジオキサスピロ−(4,5)−デカン−2−メタノール、コハク酸メンチル及びそのアルカリ土類塩、トリメチルシクロヘキサノール、N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド、ハッカ油、ペパーミント油、メントン、メントングリセリンケタール、乳酸メンチル、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、l−メンチル酢酸N−エチルアミド、l−メンチル−4−ヒドロキシペンタノエート、l−メンチル−3−ヒドロキシブチレート、l−メンチル酢酸N−エチルアミド、N,2,3−トリメチル−2−(l−メチルエチル)−ブタンアミド、スペアミントなど。【0022】これら具体的に例示した化合物の中では、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチル−プロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オールが好ましく、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールおよび3−(l−メントキシ)−2−メチル−プロパン−1,2−ジオールがより好ましい。【0023】また、本発明の温感組成物の成分(B)である上記一般式(I)で表わされる化合物の中では、R1がメチル基であるバニリンが好ましいものである。【0024】更に、温感組成物の成分(C)である温感剤としては、例えば次のような化合物または組成物を挙げることができるが、本発明で温感剤として用いることができる化合物または組成物はこれらに限定されるものではない。【0025】バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテルなどのような一般式(VI):【0026】【化9】【0027】(式中、R7は水素原子、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基を表す。)で表わされるバニリルアルキル或いはアルケニルエーテル化合物、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン或いはノナン酸バニリルアミドのような一般式(VII):【0028】【化10】【0029】(式中、R8は直鎖または分岐アルキルまたはアルケニル基を表す。)で表わされる化合物、ジンゲロン、トウガラシチンキ、ショウガエキスなど。また、本発明においては、これら以外のものであって、本明細書の従来技術において温感剤として挙げられているものも使用することができる。【0030】これら具体的に例示した温感剤の中では、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、ジンゲロン、トウガラシチンキおよびショウガエキスが好ましく、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、トウガラシチンキがより好ましく、さらにはバニリルブチルエーテルが一層好ましいものである。【0031】成分(A)、成分(B)および成分(C)の一般的な使用割合は、成分(A)1重量部に対し、成分(B)は0.000001〜100重量部、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは0.001〜1重量部であり、成分(C)は0.5〜100重量部、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは0.5〜1重量部である。また、成分(B)と成分(C)が共に用いられる場合には、成分(A)1重量部に対し、成分(B)と成分(C)の合計量で、0.000001〜100重量部であり、好ましくは0.0001〜10重量部である。なお、このときの成分(B)と成分(C)の割合は、成分(B)1重量部に対し成分(C)が0.01〜100重量部であることが好ましい。【0032】成分(A)、成分(B)および成分(C)の組み合わせとして好ましいものとして、成分(A)としての3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールまたは3−(l−メントキシ)−2−メチル−プロパン−1,2−ジオールと、バニリンおよび/またはバニリルブチルエーテルとの組み合わせが挙げられるが、このときの各成分割合は、一般的には成分(A)1重量部に対し、成分(B)は0.0001〜10重量部、成分(C)は0.5〜10重量部であり、好ましくは各々0.01〜10重量部および0.5〜10重量部である。本発明の温感組成物は、成分(A)と成分(B)および/または成分(C)とからなるものであってもよいし、更にエタノール、純水などの人体に対し安全な希釈剤により希釈したものであってもよい。このときの希釈倍率は、適用対象となる製品により適宜のものとすればよく、通常2〜10000倍程度とされる。【0033】本発明の温感組成物は、必要であれば香料組成物に含有せしめることができる。これら香料組成物としては、従来知られた香料組成物のいずれのものであってもよく、特に限定されるものではない。たとえば、香調別では、シトラスノート、グリーンノートノート、フローラルノート、アルデヒドノート、フルーツノート、ウッディーノート、モッシーノート、スィートノート、ムスキーノート、アンバーノート、アニマルノート、ミントノート、ハーバルノート、マリンノートなど、また花精油の特性別では、ブラックカーラント、ボロニア、ブルーム、カプシン、カーネーション、カッシー、シャンバカ、クリサンテマム、クローバー、シクラメン、フリージア、ガーデニア、ヘリクライサム、ヘリオトローブ、ハネーサックル、ヒヤシンス、ジャスミン、カロカロンデ、ライラック、リリー、リリーオブザバレイ、リンデンブロッサム、マグノリア、マリーゴールド、ミモザ、ナーシサス、ネロリ、オレンジフラワー、オーキッド、オスマンサス、ポピー、レシダ、ローズ、ステファノーテス、スイートピー、チュベローズ、バーベナ、バイオレット、ウォールフラワー、ウイスタリア、イランイラン、ラベンダー、ジョンキルなどがあげられる。本発明の温感組成物は、合成あるいは天然香料成分を用いての調香の際の調香成分あるいは添加成分として、あるいは調香後の添加剤として用いることができる。【0034】本発明の温感組成物あるいは本発明の温感組成物を含有する香料組成物は、各種製品への添加成分として用いられるが、このときの温感組成物の製品中における含有量は、適用される製品の種類、製品の一回の使用量、製品の使用方法または適用方法などにより大きく異なる。製品中における成分(A)、(B)、(C)の含有量は、一般的には、各々重量で製品組成全体の0.000001%〜10%、好適には0.0001%〜1%、より好適には0.001%〜0.5%である。本発明の温感組成物を含む各種製品を製造する際には、予め作成された温感組成物あるいは温感組成物を含有する香料組成物を製品に添加しても良いし、予め作成された製品に本発明の温感組成物の各成分を直接あるいは必要であれば溶剤に溶解して別々に添加しても良い。また、製品の製造時に、各成分を製品の配合成分として用いてもよい。【0035】 本発明の温感組成物は、香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品(但し、飲食品および口腔製品を除く。)などの温感付与或いは温感持続成分として用いることができる。香粧品、トイレタリー製品としては、石鹸、ボディーシャンプー、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、消臭剤、発汗防止剤、スキンローション、スキンクリーム、モイスチャライザー、デオドラント製品、コロン、香水、口紅、リップクリームなどが、さらに医薬品としては、局所薬、パップ剤などが挙げられる。しかし、これらの例示は本発明の温感組成物が適用できる製品の一部を示したものにすぎず、これにより本発明が限定されるものではない。【0036】これら製品には、用途に応じて本発明の温感組成物と共に各種の添加剤が加えられてもよい。例えば、一例を挙げると、血行促進剤、消炎剤、保湿剤、収斂剤、抗菌・抗ばい剤、無機塩類、有機塩類、油性成分、界面活性剤、生薬類、色素,香料、硫黄,湯の花、殺菌剤などを挙げることができる。【0037】以下、皮膚外用剤および入浴剤組成物を例に挙げて更に詳しく説明する。まず、本発明の温感組成物が添加される製品が化粧料など皮膚外用剤である場合、温感組成物の配合量は、特に制限されるものではないが、皮膚外用剤組成物の全組成の0.00001〜10重量%、特に、0.001〜1重量%であることが好ましい。【0038】本発明の皮膚外用剤には、本発明の温感組成物のほか、所望に応じ粉体を配合することができる。粉体としては、通常化粧料に配合されるもの、例えば無機粉体、ホモポリマー、コポリマー、樹脂などの有機粉体が挙げられる。これらの中でタルク、セリサイト、マイカ、カオリン、シリコーン樹脂、ナイロンが肌での感触が良好であり、好ましい。【0039】これらの粉体は、使用感から、平均粒径が0.1〜15μmのものを用いるのが好ましく、平均粒径が1〜10μmのものが特に好ましい。また、これら粉体の配合量は、使用感の点から本発明の皮膚外用剤中1〜60%が好ましく、5〜25%が特に好ましい。【0040】本発明の皮膚外用剤には、さらに油性物質を配合することができる。かかる油性物質としては、使用感の点から、アボカド油、ツバキ油、タートル油、トウモロコシ油、オリーブ油、小麦胚芽油、大豆油、ホホバ油、落花生油、カカオ脂、ラノリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、コレステリルエステル類、シリコーン油などが好ましい。【0041】これら油性物質のうち、特に使用感の点から、25℃における表面張力が30dyn/cm以下の油性物質、特にシリコーン油が好ましい。具体的にはメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサンが挙げられる。これらの中で、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンが特に好ましく、25℃における粘度が200センチストークス(cs)以下のものが使用感をより高める点から特に好ましい。【0042】これら油性物質は、全組成中に0.1〜20%、特に1〜10%配合するのが好ましい。また、これら油性物質と前記粉体との配合比は、粉体の皮膚上への残存率を高める点から、重量比で1:20〜20:1、特に1:1〜1:10が好ましい。【0043】本発明の皮膚外用剤にはアルコール類を配合することもできる。アルコール類としては、エチルアルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどが好ましい例として挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。これらのアルコール類の配合量は、使用感の点から0.1〜30%、特に1〜20%が好ましい。さらに本発明の皮膚外用剤には、生理的に有効な保湿成分、抗炎症剤、美白剤、UVケア剤、殺菌剤、制汗剤、香料等を配合することもできる。【0044】本発明の皮膚外用剤は、例えば化粧水、乳液、クリーム、パウダー、ハップ剤、パック剤、マッサージ剤、ぺースト剤、スプレー剤等のあらゆる形態をとることができ、使用部位や使用場面にあわせて種々の使用形態とすることができる。【0045】また、本発明の温感組成物が浴用剤組成物等入浴剤組成物に配合される場合、その配合量は特に制限されないが、温感組成物は全組成の0.000001〜1重量%、特に0.0001〜0.1重量%が好ましい。なお、本発明の入浴剤組成物は、入浴時浴槽に投入して使用されるが、その場合前記温感組成物の総量が浴湯中で0.00015〜150ppm、特に0.015〜15ppmになるように1回の使用量を決めるのが好ましい。【0046】浴用組成物には、本発明の温感組成物に加えて、必要に応じて無機塩、有機酸、油性成分等を配合することができる。本発明の浴用剤組成物に用いられる無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩化カリウム、硫化カリウム等が挙げられる。これら無機塩類の中では、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましいものとして挙げられ、これらは単独又は二種以上を組合わせて使用することができる。また、これら無機塩の浴用剤組成物中における配合量は、組成物全量中5%以上、特に10%以上とすることが好ましい。【0047】また、有機酸としては、例えばコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸等の有機酸が挙げられる。これらは単独または二種以上を組合わせて使用することができ、これら有機酸の浴用剤組成物中における配合量は、組成物全量中0.1〜95%が好ましい。さらに油性成分としては、油脂類、ロウ類、炭化水素類、高級脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、精油類、シリコーン油類などを挙げることができる。【0048】本発明の浴用剤組成物には、更に通常浴用剤に用いられている公知の下記浴用剤原料を配合するとができるが、配合できる浴用剤原料はこれら例示されたものに限定されるものではない。【0049】(a)無機酸類;ホウ酸、メタケイ酸、無水ケイ酸等。(b)生薬類;ウイキョウ、カミツレ、イチョウ、オウバク、桂皮、紅花、芍薬、ショウキョウ、菖蒲、センキュウ、トウキ、チンピ、ソウジュツ、カノコソウ、ビャクシ、トウヒ、ハッカ、ブクリョウ、人参、カラス麦等及びこれらのエキス類。(c)色素類;黄色4号、青色1号、黄色202号の(1)等の厚生省令に定められたタール色素別表I及びIIの色素、クロロフィル、リボフラビン、クロシン、紅花、アントラキノン等の食品添加物として認められている天然色素等。(d)ビタミン類;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等。(e)香料類。(f)その他;硫黄、湯の花、鉱砂、雲母末、中性白土、いり糠、殺菌剤、防腐剤、その他製剤上必要な成分等。【0050】本発明の浴用剤組成物は、前記温感組成物に必要に応じて前記任意成分を加えて製造することができる。これらの任意成分の配合量は製剤中に0〜99%の範囲で配合される。また、上記のようにして調製された本発明の浴用剤組成物に、0.01〜90%の範囲で適当量の水を加えて製剤の安定性を増したり、製剤を乳化させた形態とすることもできる。なお、本発明の浴用剤組成物は、公知の浴用剤と同様に粉末、顆粒、錠剤、液体等様々な剤型にできることはいうまでもない。【0051】【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。【0052】なお、以下の実施例および比較例において用いられる略称あるいは商品名などは以下の化合物または成分からなるものである。CA−10:3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオールTPG−1:3−(l−メントキシ)−2−メチル−プロパン−1,2−ジオールTK−5:3−(l−メトキシ)エタン−1−オールVBE:バニリルブチルエーテル【0053】アルスコープTAP−30:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)(27%)、東邦化学工業社製SWANOL AM−101:2―アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン(40%)、日光ケミカルズ社製ポイズC−60H:塩化o−[2―ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、花王社製アミゾールCDE:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、川研ファインケミカル社製【0054】B.H.T.:2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールテキシンSS−1:ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム(1E.O.)(42%)、コグニスジャパン社製Plantaren2000upnp:アルキル(C8−16)グルコシド、コグニスジャパン社製【0055】実施例1〜11および比較例1〜4(浴剤に使用した場合の温浴効果)表1および表2に示す各組成の粉末浴剤各30gを41℃のお湯200リットル中に投入し、比較例1をコントロールとして、各組成の温浴効果(入浴直後の感覚、入浴1時間後の感覚および入浴3時間後の感覚)および入浴時の刺激感を調べた。なお、調査は、健常者の男性5名および女性5名の計10名により実施された。結果を表1および2に示す。【0056】【表1】【0057】【表2】【0058】表1および表2から明らかなように、バニリンおよびCA−10を各単独で含む比較例2および3の入浴剤ではバニリンおよびCA−10の添加効果が全く示されなかった。また、VBEを単独で用いた比較例4の入浴剤では、VBEによる温感効果が若干発現されるが、持続性に欠けるものであった。一方、本発明の温感組成物である実施例1〜11については、いずれも全員が温浴効果を認めた。【0059】実施例12〜15および比較例5〜8(ボディーシャンプーに使用した場合の温感効果)表3に示す各組成のボディーシャンプー各15gを綿タオルに取って全身を洗浄し、比較例5をコントロールとして、各組成の温感効果(洗浄直後の感覚、洗浄1時間後の感覚および洗浄3時間後の感覚)および使用時の刺激感を調べた。なお、調査は、健常者の男性5名および女性5名の計10名により実施された。結果を表3に示す。【0060】【表3】【0061】実施例12および実施例14はVBEを併用しているため、使用直後は本来VBEが有する温感効果が発現し、その後本発明による長時間持続する温感に連動することが確認された。また、実施例13および実施例15では、洗浄直後は比較例5(コントロール)と同じで特別な感覚は無いが、しばらくすると全身がポカポカしてくることが分かった。【0062】実施例16〜20および比較例9〜12(シャンプーに使用した場合の温感効果)表4に示す各組成のシャンプー各10gを用いて毛髪を洗浄し、比較例9をコントロールとして、各組成の温感効果(洗浄直後の感覚、洗浄1時間後の感覚および洗浄3時間後の感覚)および使用時の刺激感を調べた。なお、調査は、健常者の男性5名および女性5名の計10名により実施された。結果を表4に示す。【0063】【表4】【0064】メントールを併用した実施例16では洗浄直後は冷感を発現するが、その後本発明による長時間持続する温感に連動することが確認された。また、実施例17ではVBEを併用しているため、洗浄中から本来VBEが有する温感効果が発現し、その後本発明による長時間持続する温感に連動することが確認された。さらに、実施例17では一部のパネラーが洗浄中から本来CA−10が有する弱い冷感効果が発現を認めた。しかし、1時間後には、全員が頭部から首筋に温感を認めた。【0065】実施例21〜23および比較例13〜16(ローションに使用した場合の温感効果)表5に示す実施例21〜23および比較例14〜16の各組成のローション各1mlを一方の腋下に塗布し、他方の腋下に比較例13(コントロール)のローションを1ml塗布して温感効果(塗布直後の感覚および塗布1時間後の感覚)および使用時の刺激感を比較調査した。なお、調査は、健常者の男性5名および女性5名の計10名により実施された。結果を表5に示す。【0066】【表5】【0067】表5から明らかなように、バニリン、CA−10およびトウガラシチンキを各単独で含むローションである比較例14〜16では、殆ど効果は示されなかった。一方、実施例21〜23については、塗布後しばらくしてから温感効果を認めた。【0068】【発明の効果】以上詳細に述べたように、本発明の温感組成物は、使用される温感剤および冷感剤がそれぞれ単独では刺激を発現できないレベルの低濃度で十分な温感効果を与えることができ、このため従来の技術ではなし得なかった、無刺激での温感効果の発現が可能となり、また長時間にわたる温感持続性を発現することができるという顕著な効果を有する。 冷感剤および一般式(I):(式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)で表わされる化合物を含有することを特徴とする温感組成物(但し、飲食品および口腔製品用温感組成物を除く。)。 冷感剤、一般式(I):(式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)で表わされる化合物および温感剤を含有することを特徴とする温感組成物(但し、飲食品および口腔製品用温感組成物を除く。)。 冷感剤が、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチル−プロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オールから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載された温感組成物。 請求項1〜3のいずれかに記載の温感組成物を含有することを特徴とする香料組成物(但し、飲食品および口腔製品用香料組成物を除く。)。 請求項1〜4のいずれかに記載の温感組成物または香料組成物を含有することを特徴とする香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品(但し、飲食品および口腔製品を除く。)。 冷感剤、下記一般式(I):(式中、R1は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)で表わされる化合物または温感剤の含有量が、0.000001〜10重量%であることを特徴とする請求項5記載の香粧品、トイレタリー製品、入浴剤または医薬品。


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