生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_有機溶剤中に含有されている水分の低減方法
出願番号:2000366242
年次:2009
IPC分類:B01D 17/00,B01D 17/05,C07C 17/38,C07C 19/03


特許情報キャッシュ

安達 太起夫 倉持 理恵 石田 秀次郎 石川 篤徳 JP 4318850 特許公報(B2) 20090605 2000366242 20001026 有機溶剤中に含有されている水分の低減方法 月島環境エンジニアリング株式会社 391018592 志賀 正武 100064908 高橋 詔男 100108578 渡邊 隆 100089037 青山 正和 100101465 鈴木 三義 100094400 西 和哉 100107836 村山 靖彦 100108453 安達 太起夫 倉持 理恵 石田 秀次郎 石川 篤徳 20090826 B01D 17/00 20060101AFI20090806BHJP B01D 17/05 20060101ALI20090806BHJP C07C 17/38 20060101ALI20090806BHJP C07C 19/03 20060101ALI20090806BHJP JPB01D17/00 503BB01D17/05 501AC07C17/38C07C19/03 B01D 17/00 - 17/05 C07C 17/38 C07C 19/03 特開平09−122402(JP,A) 特開昭62−132506(JP,A) 特開2000−354704(JP,A) 特開平05−212211(JP,A) 特開平02−102770(JP,A) 特開昭63−028411(JP,A) 特開昭62−132505(JP,A) 3 2002126402 20020508 5 20050927 関口 哲生 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、微量の水分を含有する有機溶剤中の水分を、さらに低減させる方法である。特に有機溶剤を回収して再利用するような場合で、その回収工程において遠心分離等を利用して分離して得られる有機溶剤中には、水分が微細なエマルジョン状態で存在することがある。このような有機溶剤中の水分を効果的に分離・低減させるようなケースに適した方法である。具体的に例示するならば、フイルム等の製造工程で使用される三酢酸セルロースの溶媒であるジクロロメタンあるいはジクロロメタンとアルコールの混合溶剤は、その使用過程での制限から、これらの溶媒を回収して再利用する場合には、有機溶剤中に混入する水分をできるだけ除去することが必要であり、これらの用途に本発明の方法は適用することができる。【0002】【従来の技術】有機溶剤中の水分を低減させるには、蒸留や脱水剤の使用がよく行われるところであるが、水への溶解度が温度依存性を持つ溶剤について冷却して水分を析出分離する方法も有効な方法である。しかし、基本的には蒸留や脱水剤の使用は、水の含有量を極限まで低減する技術であり、蒸留の場合は過大な設備、無機塩あるいは脱水剤の使用はこれらの一部が溶剤側に混入するおそれや、薬剤使用のための経済的な負担を要することになる。これに対し、それほど水分を低濃度にまで低減させることを要しない場合には、当該溶剤を冷却することによっても、ある程度の水分量の低減が可能である。この場合、析出する水分が溶剤の冷却により生成するため非常に微細なエマルジョンとなって溶剤中に分散する。このような場合、デカンターの場合は静置時間、遠心分離器の場合は遠心分離の時間を十分に取っても、必要な分離効果が得られないことが多い。一般に均一相からある成分を析出分離する場合、析出物が元の状態と同じ状態、すなわち液相からこれに溶解しない他の液相を析出させるような場合には、エマルジョン化が起きやすく両者の分離が困難である場合が多く、前述のケースもこれに相当するものである。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機溶剤中の微量な水分を、できるだけ簡便な処理により低減する方法を提供するものである。【0004】【課題を解決するための手段】 本発明は、微量の水分を含有する有機溶剤に、該有機溶剤に対して2wt%以上10wt%以下の水を添加し、冷却、撹拌後静置して相分離させることを特徴とする有機溶剤中に含有されている水分の低減方法である。冷却温度としては、10℃以下とすることが望ましい。【0005】【発明の実施の形態】上記課題の解決のため本発明者らは鋭意検討した結果、冷却を利用して有機溶剤中の水分除去を行う際に、冷却前あるいは冷却後に除去すべき水分を対象とする有機溶剤に逆に過剰に添加し混合することで、溶剤中に存在している水エマルジョンの会合を促進し、あるいは混合溶剤の場合には、水を有機相に溶解させる成分の一部を除去し、その後の静置で容易に目的濃度まで水分含量を低減できることを見出し本発明を完成した。【0006】 本発明を実施するための具体的な手順を説明すると、処理対象の有機溶剤に対し2相を形成する程度の水を添加し、所定温度まで冷却し、あるいは、溶剤を所定温度まで冷却し2相を形成する程度の水を添加して、その後混合撹拌してから静置し、相分離する溶剤相を回収するようにする。最終の静置の際に、遠心分離等のように強制的に重力をかけ、分離性を向上させる方法を用いても良いことは当然である。 冷却温度としては、相分離が良好に行われ、水分の低減に効果がある10℃以下、好ましくは5℃以下、より好ましくは0℃付近である。尚、0℃付近迄冷却しても、若干の有機溶剤が水中に溶解しているため、氷結することはない。また、添加する水の量は、有機溶剤の水による溶解による逸失をできるだけ少なくし、処理量もできるだけ少ない方がよいので、有機溶剤に対して10wt%以下とする。【0007】本発明で対象とする有機溶剤としては、水との親和性が小さく、水難溶性で、水への溶解度が温度依存性を有するものが適している。例えば、ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、テトラクロロエタン等が例示でき、この中でもジクロロメタンが好ましい。また、これらの単独ではなく他の溶剤との混合溶剤であってもよい。本発明における微量の水分を含有する有機溶剤とは、有機溶剤を回収・再利用したり、精製等の過程で、水蒸気等を用いて処理した後に冷却して得られるものが例示され、これらの有機溶剤には、高温時に平衡状態に相当する水分が含まれていたものが、凝縮したために余分となった水が存在している。この水分は有機溶剤中に分散している場合が多く、前述のごとく遠心分離等の機械的な操作では低減させることが難しい。【0008】【実施例】実施例1表1は、水分0.15wt%を含むジクロロメタン(CH2Cl299.85wt%,H2O0.15wt%)中の水分を冷却により低減するために、単に冷却による方法(比較例)と本発明による方法を比較したものである。操作方法は前述した方法に準じるが、本実施例では水を添加し軽く撹拌した後、10℃および0℃に冷却し、静置・分離した。溶剤に含有している水分が少量であるため、従来法の場合、冷却によって析出する水分が均一相を形成せず白濁し、溶剤相中ににエマルジョン状態となって分散し静置あるいは簡単な遠心操作では分離することができなかった。一方、本発明の方法では、低減すべき目的成分である水を少量添加し、混合してエマルジョン状態の水の会合を促進し、あとは単に静置することで水の十分な分離を行うことができた。【0009】【表1】【0010】【実施例2】ジクロロメタン中にエタノールが少量溶解している混合溶剤(CH2Cl292.2wt%,C2H5OH7.0wt%,H2O0.8wt%)から水分を低減する場合の結果を、表2に示した。尚、操作手順は実施例1と同様であるが、冷却温度は10℃、7℃、O℃とした。実施例1と比べ溶剤中の水分濃度が高いのは、エタノールが共存しているためにジクロロメタン中への水の溶解度が増加したことによると考えられる。またこの実施例での操作において、溶剤中のエタノールが一部水相側へ移行し、ジクロロメタン中のエタノール濃度が減少したために溶剤中への水分の溶解性も減少し水分の減量が大きくなっていると考えられる。【0011】【表2】【0012】 溶剤中に残留する水分は、溶剤への水の溶解度あるいは実施例2のように水の溶解度を増加させる他の成分で決まるため、使用する添加水の量は多くてもよいが、多量に使用すると水へ溶剤が溶解することにより、溶剤を消費してしまうので好ましくなく、これらの例のように10wt%までの添加とする。【0013】【発明の効果】有機溶剤中の水分を低減する場合、蒸留や脱水剤の使用が多く行われる。これに対し、要求される溶剤中の水分の残留量が、単に冷却等で得られる水分の溶解度程度でよい場合には、できるだけ煩雑な操作は行わず、単純な方法によることが好ましい。しかし、単に冷却による場合、もともと他の相が共存しない相からの水分の析出となるため溶剤相中にエマルジョンを形成しやすく、その結果、その後の水分を低減するための操作が煩雑になってしまったり、溶剤が混合溶剤の場合、水の有機相への溶解を増加する成分の有効な低減にはならないので、有機相が処理以前と同様の溶解度を持ち、水の析出が不充分なことも多い。本発明の場合、低減の目的成分である水を少量添加するだけであり、設備的にも容易であり、その効果は大きい。 微量の水分を含有する有機溶剤に、該有機溶剤に対して2wt%以上10wt%以下の水を添加し、冷却、撹拌後静置して相分離させることを特徴とする有機溶剤中に含有されている水分の低減方法。 冷却温度が10℃以下である請求項1記載の有機溶剤中に含有されている水分の低減方法。 有機溶剤がジクロロメタンである請求項1または請求項2に記載の有機溶剤中に含有されている水分の低減方法。


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