タイトル: | 特許公報(B2)_育毛剤組成物 |
出願番号: | 2000365247 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61Q 7/00,A61K 36/28,A61P 17/14 |
中口 修 坂野 俊宏 橋垣 智至 ジャン モーリス マン JP 4498593 特許公報(B2) 20100423 2000365247 20001130 育毛剤組成物 株式会社マンダム 390011442 ヴェ・マン・フィス香料株式会社 598006439 清原 義博 100082072 中口 修 坂野 俊宏 橋垣 智至 ジャン モーリス マン 20100707 A61K 8/97 20060101AFI20100617BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20100617BHJP A61K 36/28 20060101ALI20100617BHJP A61P 17/14 20060101ALI20100617BHJP JPA61K8/97A61Q7/00A61K35/78 TA61P17/14 A61K 8/00-8/99 A61Q 1/00-99/00 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) CAplus(STN) 特開平03−145427(JP,A) 特開平08−092041(JP,A) 1 2002167310 20020611 7 20071018 川合 理恵 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、育毛剤組成物に係り、その目的は、優れた育毛効果を有し、しかも頭皮に対して好ましくない刺激を与えることのない安全性の高い育毛剤組成物を提供することにある。【0002】【従来の技術】毛髪は、毛乳頭に分布している毛細血管を通じて栄養補給された毛母細胞が細胞分裂することによりつくられている。毛髪は半永久的に伸びつづけるわけではなく、通常の場合、男性で2〜5年間、女性で4〜6年間、成長を続けたのち(成長期)、毛根の角化が進行し(移行期)、ついに毛髪が抜ける(休止期)。そして一定期間の後再び毛髪が形成される。【0003】このように、毛髪はある一定のサイクル(毛周期)に従って成長を続けているので、正常な毛髪においては、成長期の毛髪は全体の85〜90%、移行期の毛髪は1%程度、休止期の毛髪は14〜19%と、略一定の割合に保たれている。しかしながら、何らかの原因によりこのサイクルが崩れると、成長期の毛髪と休止期の毛髪の割合が乱れ、ひいては脱毛の症状を呈することとなる。一般的な脱毛症は、休止期毛が異常に多く抜ける休止期毛性脱毛症と、萎縮毛が認められる成長期毛性脱毛症に分類することができ、具体的には、休止期毛性脱毛症として、男性型脱毛症、フケ症による脱毛症、脂漏性脱毛症等を、また成長期毛性脱毛症として、円形脱毛症等を例示することができる。【0004】【発明が解決しようとする課題】脱毛症の原因としては、自己免疫、末梢神経異常、精神的ストレス、頭皮の細菌感染等を挙げることができるが、直接的な原因は、毛母細胞の栄養不足と考えられている。従って、毛母細胞の栄養不足を解消して機能を正常に戻すことができれば、脱毛を予防して、発毛を促進することができるとされる。そこで、現在の育毛剤には様々な有効成分が配合されており、具体的には、頭皮におけるフケの発生を予防するための表皮の角質溶解剤、頭皮における細菌の繁殖を防ぐための殺菌剤、毛乳頭に連なる毛細血管の血流を促進して血液循環を改善するための血流促進剤、毛母細胞の代謝を活発にして毛髪の成長を促進するための毛母細胞の賦活剤等が配合されている。しかしながら、上記した従来の育毛剤の有効成分は、その育毛効果が十分満足できるものではなく、また頭皮に対して好ましくない刺激を与えてしまうことがあった。【0005】【課題を解決するための手段】 本発明は上記した問題を解決するためになされたものであって、請求項1に係る発明は、有効成分として、アキャントスペルナムヒスピジウム(Acanthospermum hispidium)の抽出物が含有されてなることを特徴とする育毛剤組成物に関する。【0006】【発明の実施の形態】 本発明に係る育毛剤組成物は、有効成分として、アキャントスペルナムヒスピジウム(Acanthospermum hispidium)の抽出物が含有されてなることを特徴とする。【0007】アキャントスペルナムヒスピジウム(Acanthospermum hispidium)は、キク科の一年草で、アフリカや南アメリカの熱帯地域に広く分布している。アフリカのベナン共和国では、伝統薬として感染症の治療に用いられている。ジンバブエ共和国のショナ(Shona )族の間ではウンビマ(umbima)と呼ばれ、ンデベレ(Ndebele )族の間ではシバマヤウリ(sibama yauli)等と呼ばれている。【0008】本発明においては、アキャントスペルナムヒスピジウム(Acanthospermum hispidium)の地上部及び地下部の全部位が使用可能で、その種子、果実部、花部、葉部、根部、茎部などの各部位を単独で或いは適宜混合して用いてもよい。また、乾燥状態のもの、非乾燥状態のものいずれも好適に用いられる。尚、本発明においては、葉部及び茎部が好ましく用いられる。【0011】 上記した植物原料の乾燥粉砕物等をそのまま育毛剤組成物の有効成分として用いることができるが、溶媒抽出物が用いられる。溶媒抽出物を得る際に用いられる溶媒は特に限定されないが、無水、或いは含水有機溶媒、特に一価アルコール、多価アルコール又はその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素又はハロゲン化物、芳香族炭化水素より選択された1種以上が含まれる無水、或いは含水有機溶媒を用いると育毛効果が充分に発揮され好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクタノール等の炭素数1〜8の一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の炭素数2〜6の多価アルコール或いはその誘導体、アセトン、メチルアセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等の炭素数3〜6のケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の炭素数4〜5のエステル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等の炭素数4〜8のエーテルや石油エーテル、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の炭素数4〜8の脂肪族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の炭素数1〜2の脂肪族炭化水素のハロゲン化物、ベンゼン、トルエン等の炭素数6〜7の脂肪族炭化水素のうち1種或いは2種以上が含まれてなる無水或いは含水有機溶媒を好ましい例として挙げることが出来る。【0012】上記した溶媒の使用量は特に限定されないが、抽出操作に供される植物原料に対して、1〜15重量倍、好ましくは3〜10重量倍、より好ましくは3〜7重量倍とされる。また、抽出操作は特に限定されず、上記の植物原料又はその乾燥粉砕物を室温下1〜30日間浸漬することにより抽出する方法、或いは上記の溶媒によりその沸点程度の温度において還流抽出又はソックスレー抽出器等を利用して抽出する方法等を例示することができる。【0013】上記抽出溶媒により得られる抽出液から溶媒を留去して得られる抽出物を用いることができるが、抽出溶媒としてエタノールを用いた場合には、エタノールは皮膚に対する安全性が高いため、抽出液から溶媒を留去することなく用いることができる。【0014】また、本発明においては、上記の方法により得られた抽出物を、さらに精製処理することにより得られた抽出物を有効成分として用いることができる。この精製処理としては、通常行われる方法であればよく、例えば、液−液分配や液体カラムクロマトグラフィー等を例示することができる。液体カラムクロマトグラフィーによる精製処理の場合、カラムに充填する充填剤としては、イオン交換樹脂、アルミナ、シリカゲル、アガロースゲル等を例示することができる。尚、液体カラムクロマトグラフィーによる精製処理は常法に従えばよい。【0015】 本発明に係る育毛剤組成物は、上記したような方法で調製した有効成分が配合され、その配合量は特に限定されないが、少なすぎると有効成分配合による効果が充分発揮されないため、全組成物中0.01〜100重量%とするのが望ましく、0.1〜20重量%がさらに好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。また、植物の抽出物のみを育毛剤組成物とすることも可能である。【0016】本発明に係る育毛剤組成物には、上記した有効成分以外に、育毛・養毛成分として、例えば、ビタミンE及びその誘導体、センブリエキス、トコフェロール、朝鮮人参エキス、ニコチン酸メチル、ニコチン酸ベンジル、ニンニクエキス、セファランチン、塩化カルプロニウム、トウキエキス、アセチルコリン等の血行促進剤、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、ノニル酸バニルアミド等の局所刺激剤、フェノール、尿素、サリチル酸、レゾルシン、乳酸などの角質溶解剤、プラセンタエキス、ペンタデカン酸グリセリド、パントテニルエチルエーテル、ビオチン、ヒノキチオール、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、コハク酸、クエン酸、アラントイン、感光素301号等の代謝賦活剤、グリチルリチン酸及びその誘導体、塩酸ジフェンヒドラジン、ヒドロコリチゾン、アレイン酸クロルフェニラミン、グリチルレチン酸等の消炎剤、オルソメトキシシンナムアルデヒド、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、イソプロピルメチルフェノール、ソルビン酸、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等の殺菌剤、メントール、ハッカ油、カンフル等の清涼剤、その他、エストリオール、エストロン、エストラジオール、エチニルエストラジオール等の女性ホルモン等を適宜配合することも可能である。【0017】更に、本発明の効果を損なわない範囲で、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール等の一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、水溶性高分子、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、界面活性剤、精製水、香料、防腐剤、抗菌剤、油脂及びロウ類、高級脂肪酸、ステロール、脂肪酸エステル、保湿剤、清涼剤、色素等の通常の化粧品成分、或いはホルモン類、ビタミン類、アミノ酸類、収斂剤及び胎盤抽出物、エラスチン、コラーゲン、ムコ多糖、アロエ抽出物、ヘチマ水、ローヤルゼリー、バーチ、ニンジンエキス、カモミラエキス、甘草エキス、サルビアエキス、アルテアエキス、セイヨウノコギリソウエキス等の生薬成分をはじめとする動植物抽出成分等の特殊配合成分を目的に応じて適宜任意に配合してもよい。【0018】尚、前記育毛剤組成物は化粧品、医薬部外品或いは医薬品として用いることができ、例えば、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアトリートメントとして用いることができる。【0019】【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1の試料の調製)アキャントスペルナムヒスピジウム(Acanthospermum hispidium)の葉及び茎の乾燥粉砕物2.6kgにエタノール6リットルを加え、還流温度にで3時間還流抽出した。不溶な植物残渣を濾別し、濾液を減圧留去することにより得られた抽出物87g(収率3.4%)を実施例1の試料とした。【0021】(試験例1:マウスの発毛に対する効果)1.試料溶液の調製 実施例1の試料を、その濃度が5%(W/V)となるように99.9%エタノールに溶解したものを検体溶液とした。また、99.9%エタノールを比較例1の検体溶液とした。【0022】2.マウスへの塗布 C3H/HeN Crjマウス(8週齢、体重21〜26g)を一週間以上馴化飼育を行ったあと、異常のなかったものについて、背部被毛を電気バリカンで、2cm×4cmの広さに毛刈りし、さらに電気シェーバーにて除毛し、試料溶液の投与部位とした。除毛してから3日後、実施例1及び比較例1の検体溶液を各10匹のマウスに連続19日間、100μlずつ、1日1回午前中に塗布した。試験期間中、C3H/HeN Crjマウスは、温度22±2℃、相対湿度55±15%、換気回数20回/時、照射時間を午前6時から午後6時に設定した飼育室で、プラスティックケージ(14.5cm×26cm×12.5cm)を用いて5匹ずつ飼育した。【0023】検体塗布部位の状態を定期的に観察し、以下の評価基準に従ってスコアをつけ、10匹の平均点を算出した。皮膚がピンク色を呈する…0点皮膚が灰色に変化(100%未満)…1点皮膚が灰色に変化(100%)…2点発毛が茶色に変化(100%未満)…3点発毛が茶色に変化(100%)…4点発毛が黒色に変化…5点また、試験期間中のマウスの皮膚投与部位を前記評価時に目視で確認し、発赤などの皮膚異常が発現するかを同時に観察した。【0024】【表1】【0025】 表1の結果から、本発明に係る育毛剤組成物は優れた育毛効果を有していることが分かる。また、比較例1と比較して、マウスの皮膚投与部位は、試験期間中を通じて影響はなく、実施例の試料による皮膚異常は認められなかった。【0026】(試験例2:マウス毛包由来細胞の増殖に対する効果)1.試料溶液の調製 実施例1の試料につき、マウス毛包由来細胞の増殖効果を試験した。まず、各試料を培養液に添加したときの最終濃度が後記表2及び3に示す濃度となるように、99.9%エタノールに溶解した。また、比較例2としては、ミノキシジルを培養液に添加したときの最終濃度が70μg/mlとなるように、99.9%エタノールに溶解したものを用いた。【0027】▲2▼毛根の回収生後4日齢のC3H/HeSlc系新生仔マウスの皮膚を無菌的に採取し、10%FBS−DMEM培地で数回洗浄した。筋組織を取り除き、皮膚片を約1mm幅の短冊状に切り、毛包下部が現れるよう真皮結合組織を剥離した。出来るだけ多くの完全な毛球が得られるよう、メスで真皮組織をさらに細かく分け、0.2%コラゲナーゼDMEM培養液(カルシウム、マグネシウム不含)で60分間、37℃でインキュベートした後、5℃に冷し、10%FBS−DMEM培地を加え反応を止め、毛球を回収した。【0028】▲3▼細胞の培養得られた毛根をトリプシン処理し、毛球部分の細胞(主に毛母細胞)を得、この細胞を10%FBS−DMEM培地に分散させコラーゲンコートした96ウェルマイクロプレートに播種した。5%CO2,37℃条件下で24時間培養した後、培養液を試験培地(MCDB153培地に、5μg/mlのインシュリン、5ng/mlのEGF、0.5μg/mlのヒドロコルチゾン、及び35μg−protein /ml−Bovine Pituitary Extractを添加したもの)に試験物質又は99.9%エタノールのみを1/100容添加したものに交換し、引き続き同じ条件で4日間培養した後、細胞数を測定した。また、対照例として、99.9%エタノールのみを添加したものについても同様に培養し、細胞数を測定した。尚、比較例2及び対照例の試料を用いた試験は、上記と同じ条件下で行った。【0029】3.細胞増殖 実施例1及び比較例2の試料溶液を添加した場合について得られた細胞数を、対照例について得られた細胞数と比較し、細胞増殖比の平均値±標準偏差を算出した。対照例との有意差検定は、危険率5%(p<0.05)を有意とし、t−検定を行った。【0030】 結果を表2に示す。【表2】【0031】 表2の結果から、実施例1の試料は、比較例2のミノキシジルよりも低濃度で同等程度以上の優れた毛包細胞増殖活性を有していることが分かる。【0032】【表3】(処方例1) 育毛剤 配合量(重量%) 実施例で得られた抽出物 5.0 酢酸トコフェロール 0.1 パントテニルアルコール 0.2 ニコチン酸アミド 0.1 ヒノキチオール 0.05 ポリオキシエチレン(E060) 硬化ヒマシ油 0.3 香料 0.1 1,3−ブタンジオール 2.0 エタノール 55.0 精製水 残 部 合計 100.0【0034】【発明の効果】 本発明は、有効成分として、アキャントスペルナムヒスピジウム(Acanthospermum hispidium)の抽出物が含有されてなることを特徴とする育毛剤組成物に関するものであるから、頭皮に対して好ましくない刺激を与えることなく、しかも、毛包細胞増殖活性作用を有し、毛包を活性化して優れた育毛効果を発揮することができる。 有効成分として、アキャントスペルナムヒスピジウム(Acanthospermum hispidium)の抽出物が含有されてなることを特徴とする育毛剤組成物。