タイトル: | 特許公報(B2)_濃度測定装置及び糖度測定装置 |
出願番号: | 2000342989 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 21/21,A61B 5/145 |
諸川 滋 矢野 敬和 松本 健志 植松 宏之 JP 4523143 特許公報(B2) 20100604 2000342989 20001110 濃度測定装置及び糖度測定装置 シチズンホールディングス株式会社 000001960 宮島 明 100126583 土屋 繁 100100871 諸川 滋 矢野 敬和 松本 健志 植松 宏之 20100811 G01N 21/21 20060101AFI20100722BHJP A61B 5/145 20060101ALI20100722BHJP JPG01N21/21 ZA61B5/14 310 G01N 21/00-21/61 A61B 5/06-5/22 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭58−017342(JP,A) 国際公開第97/018470(WO,A1) 特開平09−145605(JP,A) 特開平09−138231(JP,A) 特開平10−108857(JP,A) 特表平08−508903(JP,A) 特開平07−218889(JP,A) 9 2001356089 20011226 13 20070614 横尾 雅一 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は電子制御可能な光位相変調素子および電子制御可能な光旋光制御素子を用い、旋光性を持つ物質を溶かし込んだ溶液の旋光性物質の濃度を、機械的可動機構を用いずに電子的制御機構で測定する技術に関するものである。特に身体の内部の血液中の糖分濃度を非侵襲で測定し、身体に重大な支障を来すと推定される場合に音あるいは図形表示で警報を示し、あるいは緊急処置として便宜的なインシュリン投与あるいは糖分投与を自動的に行い、糖尿病で日常生活における血糖値管理を必要とする人々のための、社会的活動の補助具を実現する構成に関するものである。非侵襲血液糖分モニタが実現すれば、特に人口の10%近い潜在的糖尿病患者予備群の人々には、採血注射なしの社会活動を可能に出来、健康介助器具として理想的で有用な装置になる。【0002】【従来の技術】 従来、水溶液の糖度検出では、液体に直線偏光を入射して検光子に重ねた直線偏光板の回転角を変え、{旋光回転角/光路長}の測定値から、糖分濃度の算出を行う測定が行われる。血液中の糖分測定でこの良く知られた溶液旋光度測定を採用するには採血量が多く、被検者の苦痛と感染症の危険があった。これを軽減するため、微量血液の採集と酵素センサーによる検定が、現在既に米国である程度日常的に実施されている。しかしこれも皮膚を血液採取穴を開ける皮膚侵襲型であり、感染症の危険の心配がある。侵襲型血液糖分測定では被験者が常に消毒綿を携帯し、皮膚消毒して採血する。また、他人に見られながら消毒採血する場合の心理的負担が大きい。これとは別に、皮膚に温ヒーターを当てて一次的に発汗させ、この汗の成分の分析による非侵襲測定を行う機構が提案され、一部で実施されている。しかし、発汗用ヒータ加熱の場合は、加熱に電力を要し、携帯装置としては電池交換が面倒になる。また、加熱による皮膚表面の火傷の問題が時折生じ、あるいは接触不良による測定不良を生じている。社会的活動の最中における血液糖分の安全かつ自動的な実時間観測(リアルタイムモニタ−)は非常に困難である。非侵襲糖分濃度測定でなくとも、体内埋め込みで、消耗品がなく長時間設置出来る小型軽量低電力の血液糖度検出機構が実現しても有効である。この場合でも、生体と測定機との絶縁構造は必要であり、測定端子が血液に影響を全く与えず、生体内部で存在出来る構造に出来る事が必要である。【0003】【発明が解決しようとする課題】 血液採集なしに人体血液中の糖分濃度を測定する、非侵襲血液糖分モニタ装置の実現を目的とする。このために可動部無しの機構で人体の光透過率の測定で糖分濃度を算出しなければならない。特定波長光の人体透過率の糖分濃度による波長依存性の変化を利用し、血液糖分の推定を行う手法の提案は既にあるが、多種多様な成分を含む人体血液中から、精度高く糖分濃度を検出する事は困難であり、無侵襲の実用的血液モニタ−は未だ成功していない。糖分欠乏の自覚症状は状況によってかなり希薄になる。従って被験者本人の自覚がなくなった状況では、適切なタイミングでの糖分測定が不可能であり、危険である。被験者本人が自覚しなくとも測定を行うには、時計制御による自動測定しか方法がないが、測定忘れの救済手段がない。無侵襲血液モニタ−が実現すれば、時計制御で血液糖分測定を行い、その結果を本人にフィードバックする事が出来る。本人の糖分補給あるいはインシュリン投与が間に合わないと推定される場合に、救済処置として安全範囲の量の上記薬剤の自動投与の機構を血液糖度自動測定機構と連結させ、昏倒事故発生を未然に防ぐ事も可能になる。上記の如き装置は、糖尿病患者あるいは同予備群の人々の社会活動を容易にする。血液の無侵襲糖分測定に多少の誤差が存在しても、血液の適正糖度範囲逸脱による事故発生の前に、本人に警告出来る事は、実害が少なければ有効である。診断用や科学的分析用の精密な糖度測定装置とは異なり、社会活動補助用途には、有限の誤差を許容する簡便な血液糖度予測測定のシステムが強く望まれている。非侵襲で携帯に便利な血液糖分濃度推定装置が社会的に求められている。【0004】【課題を解決するための手段】 本発明の構成は、電気光学的旋光度変調素子と電気光学的位相変調素子と旋光性検体を組合せた光学系に、直線偏光を照射し、検体による旋光度を電気光学的旋光度変調素子で補償し、検出光強度が極値を取るように液晶素子の駆動電圧を帰還制御し、その電気的制御電圧から旋光性物質の溶液濃度を推定算出する。信号対雑音比(以降S/Nと略記)を向上するため、光透過光強度測定と旋光度測定を並行若しくは短時間で順次実施し、糖分測定用波長範囲の光強度で規格化した旋光度の値から、例えば血液中の糖分濃度を推定する。外部光によるS/Nの劣化を防止するためには、測定光の波長選択フィルタの併用、あるいは時系列的符号化変調を行い、検出光に対応する電気信号出力に該符号対応のフィルタリングし、外乱光の影響を減じて血液糖度の測定を行う事も有効である。具体例を示すと、光源として直線偏光出力のレーザダイオードあるいは発光ダイオードと直線偏光板を組合わせた素子の出力光を用い、これが検体通過で旋光変調されて生じた旋光面の角度の変化を、旋光角制御用ツイスト構造液晶素子と複屈折光の各成分の位相差を制御するための平行配向液晶素子とを組合わせて検体の旋光角度を逆補正し、元の旋光角の直線偏光に戻すように自動制御を行い、該旋光角制御に要する液晶素子駆動電圧の値から血液中の糖分濃度推定を行う。上記原理を変形すると、直線偏光を旋光角制御液晶素子で予め検体旋光角と反対向きに回転させておき、検体を通過した光の偏光角が元の角度に戻るように旋光角制御液晶素子に電圧を印加する。楕円偏光の場合は位相変調用液晶変調素子で補正して直線偏光にしてS/Nを改善する。【0005】【発明の実施の形態】 図1は本発明の構成例を説明するための機能ブロック構成図である。ここで、122は直線偏光光源手段である。該手段を構成する例を示せば、光源発光ダイオードと直線偏光板102を組合わせる。あるいは直線偏光を出力するレーザダイオードを発光源101に用いる。この場合は直線偏光板102を省略出来る。103は旋光性の検体、112は旋光性検体の旋光度補償用の電気光学的旋光度変調手段、124は直線偏光の光強度検出手段である。検体103は、光分散性粒子を含んだ溶液や生体血液の場合には、光の散乱あるいは偏光の乱れを伴なう。また、生体体液の場合には、光透過度が時間の関数で変化する。旋光度補償手段は、検体において旋光角度変調と複屈折を受けて楕円偏光になった光を、光強度検出手段124を用いて高S/N(信号対雑音比)で検出するための、旋光角度の補償変調及び楕円偏光を直線偏光にするための位相補償変調を行う手段である。旋光度変調用には、ツイスト構造と呼ばれる液晶分子配列の捻り構造を備えた液晶素子を利用する。該ツイスト液晶素子では、基板配向方向に一致した偏光成分の入射に対して旋光角が捻り角度だけ回転する。高電圧を印加すると、旋光角回転成分が減少し、旋光角度が変化する。これを利用して電気的に旋光角を調整する。位相変調用素子には平行配向の液晶素子を用いる。楕円偏光の主軸に対して基板配向角度を約45度の角度にし、常光と異常光の位相差を同素子への印加電圧で調整し、入射した楕円偏光を直線偏光に変える。【0006】 従来の公知のツイスト構造液晶表示素子について、その構成と動作を説明する。ネマチック液晶層を挟む配向処理済透明電極付基板の上面と下面とで、基板配向方向角度を例えば90度あるいは180度あるいは270度に捻って配置し、カイラル材料と言われる液晶分子間の相互配列を右回りか左回りか一方向のひねり力を与えるためのコレステリック系液晶材料を小量混入して、安定な捻り配列構造を実現する。カイラル材料を右捻りか左捻りかで選択する事により、同一ネマティック液晶材料を用いても、左捻りや右捻りのツイスト構造の素子を比較的簡単に構成出来る。通常の液晶輝度変調用素子では、ツイスト(=捻り)角度を90度に設定し、入射直線偏光の偏光面の角度と出射光の角度とを90度捻っておき、該液晶層を挟む透明電極に印加する交流電圧により形成される電界により、誘電異方性を持つ液晶分子を基板垂直方向に強制的に向けて上記偏光面の90度捻り構造を破壊する。直交配置偏光板にもしくは並行配置偏光板に挟んだツイスト液晶層の光透過率を制御し、透過光の輝度変調として表示装置に利用している。 以下の説明文では、動作を表す場合に’捻る’という言葉、名詞の修飾に’ツイスト’という言葉が混在使用されている。通常の言葉の使用の習慣に合わせて混在使用してあるが、意味は同等である。【0007】 旋光角度変調の観点から見ると、上記ツイスト(=twist=捻り)構造と呼ばれる液晶素子において、素子を通過する光は、旋光度と楕円率が、液晶層への電圧印加により変化する。ツイスト素子を旋光角度変調に用いる一つの方法は、電圧非印加時の液晶分子の配向方向と入射直線方向とを一致させて用いる。印加電圧0では捻り角だけの旋光角が得られ、高印加電圧での旋光角度が0になる。上記ツイスト素子に閾値を少し越える電圧を印加して偏光面の捻り構造を破壊し始める中間駆動段階を考察する。電圧印加により、液晶層の中央部の分子は基板垂直向きに分子長軸の角度を変える。基板近傍の分子は基板引力が大のため、ほとんど傾角を変えないが、基板を離れた位置の液晶分子は、基板垂直向の高電界の印可により傾角を大とするように向きを変える。その結果として旋光角が変化し楕円偏光の割合が変化する。通常、直線偏光の旋光角度を測定する機構では、光検出素子の前に回転出来る直線偏光板を配置し、旋光に対しては該偏光板を光軸の周りに回転させて光検出強度最大もしくは最小となる角度を測定する。この方法では機械的可動制御機構が必要になる。可動部を除去し、電子制御で偏光面角度を測定するために、上記ツイスト構造の液晶素子を用いる事が有効である。液晶旋光素子では旋光度の変化と共に楕円偏光が生じるので、楕円偏光を直線偏光に戻す複屈折位相差調整用の並行配向液晶素子を用い、直線偏光にする。直線偏光強度検出手段124は、直線偏光板106と光強度検出素子107の組合せで構成される。光検出素子107に入射する光は、直線偏光板を通過した光であり、旋光度に依存しない光検出素子107により直線偏光の光の強度に比例した出力が得られる。光検出素子には、逆方向バイアスされたシリコン半導体のPN接合素子や、ホトトランジスタ素子や、硫化カドミウム光伝導素子等が利用出来る。直線偏光板は、市販の50%吸収型の安価な直線偏光板が利用出来る。上記の検体による旋光度変調を液晶旋光度変調素子と位相変調液晶素子で補償するシステムにおいて、補償時の検出光の漏れ光を検出してこれを最小にする零位法の方式と、補償時には検出素子入射光量を検出してこれを最大にする制御を行う最大値追従型の方式とが共に構成可能である。【0008】 光源101に固体レーザダイオードを用いると、集光用光学系の省略が可能となり、構造が簡素化する。被検体103は、例えば指や耳たぶや腕の一部を利用した人体の血液保持部分である。旋光制御素子104は基板並行に近い低チルト角の配向処理を行った一対の透明電極付きの透明基板を対向配置にし、捻り角を与えた旋光度制御用のツイスト型の液晶素子である。捻り角は90度である必然性はなく、被検体の旋光度程度から360度程度まで使用可能である。両基板間に印加する電圧を0にした場合に、入射偏光は捻り角だけ偏光面が回転する。入射光の偏光面角度と液晶分子配向角度が一致していない場合は、一致成分と直交成分で光の速度が異なるので、旋光度変調と同時に楕円偏光化する。印加電圧が液晶素子の閾値より大幅に高い場合は、液晶素子の液晶分子が基板に垂直に配列するので旋光性が失われて旋光度=0となる。印加電圧が閾値近傍の場合、印加電圧に応じて旋光度と楕円偏光の率が同時に変化する。並行配向液晶素子105は、透明基板上に透明電極を形成し、配向処理を施した2枚の基板を配向処理方向を揃えて対向平行配置し、その間に液晶材料を注入封止した素子である。印加電圧0では配向分子並行成分と直交成分で通過光の位相に差異を生じ、液晶相を挟む透明電極間に閾値以上の高電圧を印加した場合は、液晶分子が基板に垂直向きになるために上記位相差が0になる。閾値近傍の実行値電圧印加では、位相差の程度が印加実効値電圧に依存して変化する。被検体103を通過して旋光度が変化し、かつ楕円偏光になった光に対し、旋光度補正素子104と位相制御素子105が旋光度を元に戻し、楕円率を被検体103を通過する前の直線偏光状態に戻すように各々の液晶素子に印加する実効値電圧を調整する。構成によっては旋光度を増加させて直線偏光光源122の出力光の偏光面と直交する90度になるように、旋光度を進める方式も利用出来る。直線偏光板106は、被検体103を除去した場合に光通過量が最小となるように、偏光板102と電圧無印加時の旋光制御素子とを通過した偏光面が直交する位置に、回転調整して配置する。旋光度測定の方法の一つとして、光検出素子107の光電流を電圧に変換し、この値が最小となるように旋光度制御素子104および位相制御素子105を駆動して液晶制御素子の駆動実行値電圧を各々負帰還制御する零位法がある。第2の方法として、偏光板102と106の偏光面方向を平行に揃えて配置して被検体103を除去した場合に光検出素子出力が最大になるようにし、被検体を挟んだ場合の測定時の該光検出素子107の出力電流が最大となるように液晶位相変調素子と液晶旋光度変調素子の印加電圧を調整し、位相制御素子105および旋光度制御素子104を駆動する各々の素子駆動の実効値電圧を帰還制御する方式がある。第1の方法は外乱光が少ない場合に高精度の測定が出来る利点があり、第2の方法は光源光量が少ない場合に電気回路の信号電圧を大きいまま制御出来る利点がある。被検体の旋光度を液晶旋光度変調素子で戻さずに進めて90度にする場合は、検光子の偏光面角度を90度回転させる事で前記同様の0位法や極大値追従法が利用出来る。外乱光の影響を除去するには光源の光量を時間の関数で変化させ、その差分を増幅する構成にする事で達成出来る。外乱光の影響では、光量検出素子107の飽和あるいは差動増幅回路の過大入力による飽和があり、飽和を生じない範囲で外部光に埋没しないよう、光源101の光量を大きくする事がS/N向上の上で有効である。時分割時間差で差動増幅回路を用いる構成では、光源光量を小の値L0にしたときの光検出信号電圧レベルをサンプリングホールドする回路に記憶してS0とし、光源光量をL1に増した時の光検出信号電圧レベルをS1とし、S1とS0の信号を差動増幅回路の2つの差動入力端子に接続し、該差分を検出増幅する。この手法で外乱外光の影響を軽減出来る。また、時間変調により検出信号成分が交流化出来るので、交流増幅回路が利用出来、増幅された信号を時間変調信号成分近傍のみ通過する周波数フィルタリングし同期検波するS/Nの良好なロックインアンプの増幅手法が使える。生きた人間の血液は脈動があるので、検出光の強度の時間変化から脈動成分を抽出して脈動周波数に同期して糖分濃度をサンプリングする事が、糖分検出のS/N向上を達成する上で有効である。上記種々の手法は生体信号のフィルタリングの一実施形態である。上記システムを低電力で安定に動作させるためには、水晶発振器による低電力発振とC/MOS集積回路による信号処理と液晶表示素子による低電力表示と音声による警報表示の組み合わせが有効である。【0009】 上記図1の基本構成における構成の、変形構成が可能である。検体103の前に旋光度逆補正用の液晶素子104と楕円偏光を直線偏光に戻す液晶位相補正素子を配置する事も出来る。図2は、変形構成の例である。222は直線偏光光源、201は発光素子、202は直線偏光板で、光源201がレーザーダイオードの場合には省略可能である。204は旋光制御素子で、偏光光源の偏光面と旋光制御素子の液晶分子配向方向は一致させておく。旋光制御素子204の出力は直線偏光であり、偏光面が印加電圧0で捻り角だけ回転しており、印加電圧を大にすると偏光面の回転が少なくなる。検体203の旋光は、旋光制御素子204の偏光面回転と逆符号で等しくなるように旋光制御素子204の駆動電圧を調整する。旋光制御素子204と検体203の両方を通過した光の偏光面は補正されて光源222の偏光面と同じ紙面と光軸を含む向きにあるが、楕円偏光になっている。楕円偏光は、位相変調素子205への駆動電圧印加で調整出来る。位相変調素子205は、配向方向を光源偏光面と45度異なる向きにして配置する。【0010】 図3は図1の構成の別の変形構成例である。322は直線偏光光源、301は発光素子、302は直線偏光板で、光源301がレーザーダイオードの場合には省略可能である。304は旋光制御素子で、偏光光源の偏光面と旋光制御素子の液晶分子配向方向は一致させておく。旋光制御素子304の出力には位相制御素子を組合せる事で直線偏光が楕円偏光になり、検体303を通過した結果が直線偏光に近似するように旋光制御素子304と位相制御素子305を制御する。両素子を通過した楕円偏光は検体303を通じて直線変調光に近似し、旋光検出する。306は直線偏光板、307は光検出素子、324は直線偏光検出手段である。検体303の旋光は、旋光制御素子304の偏光面回転と逆符号で等しくなる様に旋光制御素子304の駆動電圧で調整する。旋光制御素子304と検体303の両方を通過した光の偏光面は補正されて光源322の偏光面と同じ紙面と光軸を含む向きにあるが、楕円偏光になっている。楕円偏光は、位相変調素子305への駆動電圧印加で直線偏光に調整出来る。位相変調素子305は、配向方向を光源偏光面と45度異なる向きにして配置する。【0011】 上記構成の図1及び図2の偏光波面制御の様子を、各々図4(a)及び(b)に示す。図4(a)において、直線偏光光源の出力光408は直線偏光板401を通過して検体402に入射し、出力の旋光制御素子403で偏光面の角度が補償されて光源光408と同じ向きに戻り、その楕円偏光は更に複屈折位相差変調素子404で直線偏光に戻る。図4(b)において、直線偏光光源の出力光428は直線偏光板421を通過して旋光制御素子422で偏光面の角度が事前調整されてから検体423に入射し、補償された結果は光源光428と同じ向きの偏光に戻り、その楕円偏光は複屈折位相差変調素子424で直線偏光に補正されて直線偏光板425を通り、光検出素子426で光強度が検出される。【0012】 図2の構成を用い、検体の旋光特性を自動的に補償した状態を実現する方法の実施例を示す。検体203の旋光角度をθ1、補償素子の旋光角度θ2で表す。検体の旋光性物質の濃度xの上昇により右廻りの旋光が生じるとする。 θ1(x) =a・x ............... a は定数。当初、x=0(=濃度0)と考える。旋光補償素子の旋光角度θ(v)は、旋光度制御液晶素子204の、駆動電圧e1の関数である。 e1 = 0 の場合の旋光角度をθ0 とし、以下の式で表されるとする。 θ2(e1) =θ0 −b・e1 ......... b は定数。旋光補償素子204と検体203を共に通過した光の旋光角をθs とすると、 θs =θ2(e1)+θ1(x) =θ0 −b・e1+a・x光検出手段224の出力電圧Vdtは、制御感度を高めるために、偏光板の回転位置を選択し、検体の旋光特性が0で通過光量が0となるように設定する。従って偏光板206の回転角度の初期位置は{θ0+90度}になる。x=0かつe1=0であれば、光検出素子207への入射光量は0であり、光検出素子207の電気的出力Vdt=0である。旋光性検体の濃度xが増加してx>0となり、検体203と旋光補償素子204を通過した光の旋光の角度θsがθ0から変化すると、光検出素子207の電気的出力は、Vdt>0になる。Vdtを増幅して液晶旋光制御素子203を駆動する電圧e1を作り、負帰還を施す。e1の値を徐々に増加すると、旋光角度変化分 θs0={a・x−b・e1}の値は減少して行くが、直線偏光検出手段224の入射光が楕円偏光である場合、Vdt=0となる事はない。従って、そのままVdtを増幅して液晶旋光制御素子203を駆動する電圧e1を作り、Vdt=0とするためにe1を増加していくと、θs0は最小点を通過してしまい、その後はe1を増加していくとVdtも増加する正帰還領域に入ってしまう。従って、補償機構の動作では、直線偏光検出手段224の出力を旋光制御素子204及び位相補正素子205に順序を追って予備調整を行いながら実施する。上記液晶旋光制御素子204の駆動電圧e1に対する負帰還においても、逐次駆動電圧を増減しながらVdtの極小となるe1点を探し、その点で今度は位相制御素子205の駆動電圧を増減してVdtの極小となる極値e2を探しだし、次に再度Vdtの最小となるe1の微調整とe2の微調整を行う。外部光の混入がなければ、旋光度は被検体の糖分濃度と被検体の光路の光学距離に比例する。光学距離を一定にするための最も簡単な手法は、図1の被検体の機械的寸法を一定にする事である。また、被検体の一定体積中の血液量を把握するために被検体通過による光量の減衰量を測定し、旋光度を減衰量で除して、身体の被測定部分の血液量の変化の影響を軽減する事が出来る。外部光の混入がある場合、血液糖度測定用のレーザダイオード光源の波長以外の光を除去する事が最も重要且つ有益である。このためには、レーザダイオードに赤色発光の物を用いた場合、これ以外の波長の光を本発明の偏光強度検出素子の前に張り付けて阻止する事が有効である。赤外レーザ光源を用いる場合は、この波長より短い波長の光を阻止・吸収させるフィルタを用いる。【0013】 図5は、本発明による旋光性物質濃度測定の制御系の構成の機構の一実施例を示す。全体構成は、レーザダイオードを含む直線偏光光源504と、液晶旋光度制御素子506と、液晶位相変調素子508と、直線偏光板および光検出素子510を組合わせた光検出手段512と、該直線偏光光源504のレーザダイオードを周波数変調あるいは符号化変調するための駆動制御回路機構516と、該レーザダイオードを駆動する駆動回路機構502と、光検出手段512の出力信号を解析し、旋光度情報を抽出する検出回路機構518と、該直線偏光光源504と旋光度情報を抽出する検出回路機構518とを、共に制御する共通の時間刻みを与える発振回路機構514からなる。水晶発振回路514で作成された一定で正確な周波数のクロック信号を基に直線偏光光源504の出力光を変調する制御信号を駆動制御回路機構516で作成し、光源駆動回路502を介して光源504を駆動する。光検出手段510の検出信号を、同じ発振器514から作成される同期した時間刻みの信号で旋光度情報を抽出する検出回路機構518において解析し、旋光性検体の濃度を算出する。例えば、光源504を一定の規則を設定して周波数変調し、検出回路機構518では検出信号を該周波数に合わせた光源変調周波数の狭帯域抽出フィルタで抜き出し、同周波数のクロック信号で同期検波する事により、高S/Nで検出信号成分を取り出す事が出来る。被検者が遭遇する各種電気的雑音や、光雑音の影響を除去して旋光性物質濃度を測定する上で、同期検波の手法や符号化変調復調の手法は有効であり、共通クロック信号の発生と利用も有効である。【0014】 図6は、本発明の糖度検出装置を体に装着する場合の例を示す。測定の光学長を一定に保つ上では、一定厚みでクランプする機械的な部材が有効である。例えば洗濯挟みの如き機構でバネを利用して検体を挟むが、バネ側もしくは挟む側に寸法制限のための突起あるいはクランプ部材を備え、挟む厚みを常時ほぼ一定に保つ。図6において、602は耳タブに挟む濃度測定装置、604は偏光発光素子及び偏光検出素子を集積したモジュールであり、挟み部材の反対側は鏡面になっている。発光素子から出た偏光は検体を通過して鏡面で反射され、再度検体を通って偏光検出素子に入射する。608は信号処理及び電源電池及び無線送信器を含む回路モジュールで、耳たぶ挟み式の濃度測定装置の中に配置される。606は耳たぶである。610は耳たぶを挟む洗濯挟み状の部材で、612は挟み圧力発生のためのバネである。耳たぶは血液循環があまり大きく変化せず、装着時に邪魔にならない利点がある。他人に見られる事を好まぬ人の場合には、このような装着具を腹部や手足の着物の中の部分に設定する方式が採られる。電力節約のためには、測定は時計制御で一定時間間隔あるいは時刻に間欠測定を行い、測定データを記憶しておき、必要の都度読みだして使用する。【0015】 図7は、本発明の糖度検出装置を体に装着する場合のシステム構成例を示す。図7においては、装着性を考慮して、センサ部分は電源を備えた最小限の機構にまとめ、採取した検出情報は近距離無線で主携帯装置に伝達する。主携帯装置は更に公衆無線電話回線を利用して、患者の生体情報データバンクに情報を格納し、主治医の診断判断が出来るようにする。図7において、708はセンサモジュールで、例えば図6に示す耳たぶ挟みモジュールや腕輪モジュールや腹帯モジュールの如き無線検出モジュールである。702は検体であり、706は本発明の旋光性物質濃度検出素子であり、704は内蔵時計で、主携帯装置712の時計と同期させてある。714は10khz以下の低周波磁波、あるいは微弱電波を利用した近距離通信伝達路である。716は主携帯センシング装置の近距離受信機であり、718は信号分析処理部および公衆無線電話回線との無線送受信接続機構を含む本体処理機構である。728は公衆無線電話回線路であり、724は患者追跡管理判断機能を備えた病院システムである。同病院システムは公衆無線電話回線を利用した病院無線基地局機能を備え、多数の携帯検査装置と連結可能であり、患者のアクセス時や管理委託を受けた患者に対して追跡監視が出来る。通信基地機能は電話局に任せる事が出来る。回線路728を介して送信されてくる情報はセルラー送受信機を介して携帯装置と双方向連結され、患者のデータは医師診断機構720の中の書庫726に蓄積される。このような3つに分割された医療ケアシステムで明かなように、生体センシングは局部的対象療法に留まらず、広く情報分析比較診断のシステムと連絡を取る事で利点が増える。また、センシングモジュールに過大な機能やエネルギー的負担を掛けない仕組みが可能である。本発明の非可動式の濃度検出方式は、超小型化・超低電力化が可能であり、身体装着の無線濃度検出装置や体内埋め込みの血液糖分濃度検出に適する。測定は間欠測定あるいは時刻制御で行い、平均電力消費を低下する。【0016】 図8は、本発明の糖度検出装置を体に装着する場合のシステム構成例を示す。図8においては、体内埋め込み型の血液糖分濃度検出装置の構成例である。802は検体、808は検出装置、806はセンサ素子、804は内蔵時計、822は2次電池、824は充電用コイル、850は埋め込み人体を示す。832は充電器兼情報交換装置で、人体外部に設置する。834は10khz以下の低周波磁波発生装置で、体内埋め込みセンサ装置に電気エネルギーを送り込む。836は充電装置のエネルギー源で、電池もしくは商用電源から採取する。838はデータ分析収集装置で、時計を内蔵し、埋め込み装置の時計と同期を取っておく。828は送受信器であり、弱い電磁波を用いて埋め込み装置に情報を伝達したり、同装置から情報を採取する。814は同近距離通信路である。本埋め込みセンシング装置は、身体のアレルギー反応のないチタン金属ケースやサファイヤや石英部材光学路を介して血液中の糖分濃度の測定を体内で常時行い、測定結果を体外に安全に送信する事が出来る。本構成に自動注射機構とインシュリン及び糖分の予備タンクを用意しておけば、緊急時の自動注射機構が出来上がる。自動注射機構とインシュリン及び糖分の予備タンクは体外に用意しておき、体内情報に応じて身体装着の主携帯糖分モニタ装置が体内からの警報に応じて患者に警告を発令したり自動注射を行う。【0017】 図9に、本発明に用いる旋光度制御素子の特性の一例を示す。印加電圧0では45度ひねり構造の液晶素子に、交流パルス32khzを印加した特性を示す。印加電圧1.5V以下では45度の旋光度を示すが、1.5Vを越える駆動電圧に対して、2V位まで単調に旋光角度が減少する。【0018】 以上の説明を要約すると、次のようになる。すなわち、ツイスト型の構造の液晶素子は、分子配向の主軸成分の光に対して旋光能を持ち、電子制御旋光素子として使える。印加電圧と共に楕円偏光になるので、複屈折の成分位相差を制御する平行配向液晶素子を用い、楕円偏光を直線偏光に制御出来る。平行配向液晶素子の配向方向と楕円偏光の主軸とを数十度例えば45度ねじって配置し、平行配向液晶素子通過光の主軸速度と短軸速度との差異を利用して楕円偏光の長軸成分と短軸成分の位相差を電気的調整して直線偏光にする事が出来る。上記の光の制御を組み合わせると、溶媒に融けた旋光性物質の濃度を相対的に測定出来る。人体の血液糖分濃度の測定のように、雑音に埋もれた旋光度の測定でも、偏光面に関する情報は光強度情報とは異なり、抽出出来る。個人の健康管理の補助具として用いる場合には、誤差があっても当人が通常健康状態との差異が検出できれば充分に健康管理上の利点を見いだせる。液晶旋光素子の電子制御による血液糖度の検出は、体積が小さく出来、電力も少なく出来、身体装着や身体埋め込みに適応する。測定信号を雑音の中から抽出するためには、測定レーザ光源波長以外の成分の感度を低下させるための特定波長以外の阻止や吸収のための波長フィルタの導入が有効である。また、測定時に符号化し時間平均法によるソフト的な処理を組み合わせて信号対雑音比を改善する事で、皮膚の中の血液の雑音に埋もれた偏光成分情報を抽出出来る。精度を向上しない簡単な測定で良い場合は、尿中の糖分測定などが本方式で簡単に実現する。また、本発明の測定機構を体内に埋め込む構造にすれば、正確に血液中の糖分測定が出来、有用である。【0019】【発明の効果】 液晶光学素子の電子的制御により旋光性溶液の濃度を測定する事で、携帯性に優れた糖度計が極めて小体積で実現出来る。低電力になり、身体装着や身体埋め込みに適応する。可動部がないためにゴミの発生がなく、長期間の安定した動作が可能である。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の濃度測定装置の構成の一実施例を示す。【図2】本発明の濃度測定装置の別の構成の実施例を示す。【図3】本発明の濃度測定装置の別の構成の実施例を示す。【図4】(a)は、本発明の濃度測定装置の動作の一実施例を示し、(b)は、本発明の濃度測定装置の動作の他の実施例を示す。【図5】本発明の同期動作の実施例と動作の例を示す。【図6】本発明の濃度測定装置の装着構造の実施例を示す。【図7】本発明の濃度測定装置のセンサ部と本体の分離構成実施例を示す。【図8】本発明の濃度測定装置の埋込センサと本体の分離構成実施例を示す。【図9】本発明の液晶旋光制御素子の旋光制御特性例を示す。【符号の説明】101 レーザ光源102 直線偏光板103 検体104 液晶旋光制御素子105 液晶位相制御素子124 光強度検出手段 直線偏光を出力する光源と、前記光源と検体をはさんで配置された光強度検出手段と、前記光源と光強度検出手段との間に配置された電気光学的な旋光角度変調素子及び電気光学的な位相変調素子と、前記光強度検出手段からの出力信号を受けて前記旋光角度変調素子及び位相変調素子を帰還制御することにより前記検体中の旋光物質の濃度を算出する検出回路とを有することを特徴とする濃度測定装置。 前記旋光角度変調素子及び位相変調素子は液晶素子によって構成されている請求項1に記載の濃度測定装置。 前記旋光角度変調素子はツイスト配向型液晶素子で構成され、位相変調素子は平行配向型液晶素子によって構成されている請求項2に記載の濃度測定装置。 前記光源は直線偏光を出力するレーザダイオードと該レーザダイオードを駆動する駆動回路とにより構成し前記駆動回路と前記検出回路とを共に制御する駆動制御回路を設け、該駆動制御回路からの制御信号によって駆動回路を変調駆動すると共に、前記検出回路に同期した信号を供給し、前記検出回路は前記光強度検出手段の出力信号を同期検波して前記検体中の旋光物質の濃度を算出する請求項1から3のいずれか1項に記載の濃度測定装置。 クランプ部材により身体に装着した請求項1から3のいずれか1項に記載の濃度測定装置と、該濃度測定装置によって測定した身体の血液糖度の検出情報を伝送する伝送手段と、伝送された検出情報を入力して血液中の糖度を推定し、この推定値によって警報を発生する携帯装置とを有する糖度検出装置。 前記濃度測定装置は内蔵時計を有し、該内蔵時計によって身体血液の糖度測定を一定時間間隔で間欠測定し、この間欠測定情報を伝送手段によって携帯装置に伝送する請求項5に記載の糖度検出装置。 前記伝送手段は近距離無線送信手段である請求項5または6に記載の糖度検出装置。 身体内に埋め込まれた請求項1から3のいずれか1項に記載の濃度測定装置と、該濃度測定装置によって測定した身体の血液糖度の検出情報を伝送する近距離無線送信手段と、伝送された検出情報を入力して血液中の糖度を推定し、この推定値によって警報を発生する携帯装置とを有する糖度検出装置。 前記濃度測定装置は内蔵時計を有し、該内蔵時計によって身体血液の糖度測定を一定時間間隔で間欠測定し、この間欠測定情報を近距離無線送信手段によって携帯装置に伝送する請求項8に記載の糖度検出装置。