生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_化学発光式窒素酸化物濃度計
出願番号:2000338483
年次:2009
IPC分類:G01N 21/76,G01N 31/00


特許情報キャッシュ

田辺 亮 JP 4314737 特許公報(B2) 20090529 2000338483 20001107 化学発光式窒素酸化物濃度計 株式会社島津製作所 000001993 喜多 俊文 100098671 江口 裕之 100102037 田辺 亮 20090819 G01N 21/76 20060101AFI20090730BHJP G01N 31/00 20060101ALI20090730BHJP JPG01N21/76G01N31/00 H G01N 21/75-21/83 G01N 31/00-31/22 特開平7−103900(JP,A) 特開2000−221183(JP,A) 1 2002148193 20020522 9 20070316 西村 直史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラーの煙道排ガスや自動車排気ガス等に含まれる窒素酸化物の濃度を一酸化窒素(NO)とオゾン(O3)の反応による化学発光を利用して測定する化学発光式窒素酸化物濃度計に関する。【0002】【従来の技術】工場の焼却炉における燃焼や自動車のエンジン内における燃焼などにより生じる人体に有害な窒素酸化物(NOX)が問題となっているが、大気や排気ガス中の窒素酸化物濃度を測定する装置の一つに、化学発光法による化学発光式窒素酸化物濃度計(以下、NOX計と称する)がある。これは、試料ガス(大気または排気ガス等から採取したサンプルガス)とオゾン(O3)とを測定装置内の反応槽内で接触させ、試料ガス中のNOとO3とが化学反応を起こし二酸化窒素(NO2)となる際に発生する化学発光強度を光検出器で検出することにより、試料ガス中のNOの濃度を測定するものである。【0003】また、環境大気中に含まれる窒素酸化物は主にNO2とNOであるが、NO2はO3との化学発光反応がないので、このままでは化学発光法では測定できない。そこで、NOX計では、NO2濃度を測定できるように、測定部の反応槽内に試料ガスを導入する試料ガス導入流路に触媒が設けられたコンバータを介在させ、NO2とNOが共存する環境大気中の試料ガスをコンバータを通して試料ガス中のNO2をNOに還元変換して、化学発光法で測定している。ここで、コンバータを通して得られた測定値は、NO2とNOの合わせたNOX(=NO+NO2)量のために、コンバータを通さないときのNO濃度を差し引いてNO2濃度を求める。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、NOX計では、装置測定部の反応槽内に試料ガスを供給する試料ガス導入流路に触媒が設けられたコンバータが介在していることから、次の問題がある。【0005】すなわち、コンバータの触媒は、経時的に劣化し、触媒による還元能力、すなわち、NO2−NO変換効率が低下するため、測定誤差が大きくなって測定値の信頼の点で問題があった。したがって、測定精度を維持・確保するために、コンバータ内の触媒、ないし、カートリッジタイプでは触媒を収納するコンバータ反応管を測定回数や期間に応じて、適宜、コンバータ内の触媒の新しいものとの詰替えやコンバータ反応管の交換が必要となるが、触媒の劣化度は測定する試料ガスによっても異なり(例えば、ガスタービンの排ガスなどはNOXに対するNO2の比率が高いので、触媒の劣化が激しい)、触媒の詰替えやコンバータ反応管の交換の時期を適切に判断することが困難である。そのため、しばしば、劣化した触媒の使用による測定で測定誤差が生じるという問題があった。なお、コンバータ内の触媒の新しいものとの詰替えと触媒を収容したカートリッジタイプでのコンバータ反応管の交換の両者を総称して、以下、触媒の交換という。【0006】劣化した触媒の使用による測定を避けるためには、安全を見越して定期的な触媒の交換を早めに行えばよいが、このような、安全を見越しての早めの触媒の交換は、触媒の使用環境により劣化速度が異なることへの配慮がなされておらず、触媒が未だ測定精度を保証できるに足る還元能力を有しているにも関わらず、高価な触媒を廃棄することになることから有効な資源を無駄にし、測定装置のランニングコストを高めることになると共に、交換作業を頻繁に行う必要があり、その作業が面倒で時間を要し、測定効率の低下をきたすことになる。【0007】また、コンバータの劣化度を判定して触媒の交換の時期を適切に見極めるために、試料ガスに代えてNO2濃度既知の標準ガスを試料ガス導入流路に供給し、このNO2標準ガスをコンバータを通してNOに還元変換して、O3の供給されている測定部の反応槽に供給し、化学反応で生じる化学発光強度を測定し、標準ガスのNO2濃度(正確には変換されたNO濃度)を測定し、コンバータ触媒の交換直後に測定されたNO2濃度既知の標準ガスのNO2濃度値と比較することで、触媒の劣化度を測定し、触媒の交換時期を的確に判定することが可能となる。【0008】しかしながら、このためには、NO2既知の標準ガス供給源(通常、NO2ガスボンベ)が必要となるため、コストと手間がかかることから、標準ガスによるコンバータ触媒の劣化度の判定、ないし、自動による劣化度の確認は、一般に行われていないのが実情である。【0009】本発明は、上記に鑑み、コンバータ触媒の劣化度の判定、ないし、確認に標準ガスを使用することなく、コンバータ触媒の劣化度を判定できてコンバータ触媒の交換時期を簡便かつ的確(適切)に判断でき、また、ルーチンでの交換時期の自動判定の可能な化学発光式窒素酸化物濃度計を提供することを目的としている。【0010】【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の化学発光式窒素酸化物濃度計では、反応槽での化学反応後のオゾンキラー(オゾン分解器)を通過してO3が分解された排気ガスを、試料ガス導入流路に介在するコンバータを通過させて測定部の反応槽に導き、反応槽内でのオゾンガスとの化学反応によって生じる化学発光強度に基いて触媒の劣化度を判定することが特徴となっている。【0011】具体的には、試料ガスとオゾンガスとを測定部の反応槽に導入し、化学反応による化学発光強度を測定部の光検出器で測定するNOX計であって、オゾンキラーを通った排気ガスを試料ガス導入流路のコンバータに導く流路と、反応槽でのコンバータを通過した排気ガスとオゾンガスとの化学反応で生じた化学発光強度を測定部で測定し、その測定値に基づいてコンバータ触媒の劣化度を判定する制御手段とを備えていることを特徴としている。この種のNOX計では、測定部の反応槽には、オゾンキラー(オゾン分解器)を備えた排気ガス用流路が接続されており、このオゾンキラーで排気ガス中の未反応の余剰O3を分解した後、排気ガスを大気中に放出するように構成されている。【0012】本発明は、オゾンキラーで分解された排気ガス中にNO2が含まれている事実に着目し、この排気ガス中のNO2を標準ガスとしてコンバータ触媒の劣化度を判定できないかとの新規な発想に基づくものである。すなわち、NOX計では、無声放電式等のオゾン発生器へ大気(空気)を導入し、大気中の酸素(O2)をO3に変換しているが、この際に、オゾン発生器では、大気中のN2がO3により酸化されてO3と共にNO2も発生している。このように、NOX計では、大気中のO2をオゾン発生器でO3に変換するので、オゾン発生器でO33と共に発生するNO2の濃度は、主に該発生器に供給される大気の流量、および、水分量に依存する。しかし、大気の流量変化による影響は、フローセンサで測定された流量から補正でき、また、水分量は電子クーラーで一定に保たれるため、NO2の濃度は、数十ppm程度と略一定であることが実験で確認できた。【0013】このような観点から、上記のように、化学反応後の反応槽の排気ガス中のNO2濃度(実際には、排気ガス中のNO2がコンバータでNOに変換されることからNO濃度であるが、以下、便宜上、適宜、NO2濃度と称する)を化学発光法で測定することで、コンバータ触媒の劣化の程度(劣化度)が測定、判定でき、それでもってコンバータ触媒の交換時期が分かる。すなわち、反応槽の化学発光強度から排気ガス中のNO2濃度が測定部で測定され、制御手段は、この測定値とコンバータ触媒が劣化していない正常時の所定値とを比較し、例えば、測定値が所定値を下回った際には、コンバータ触媒の還元効率が、所定の測定精度が得られない程度に劣化しているので、コンバータ触媒の交換の指示を行う。【0014】この制御手段のコンバータ触媒の交換の指示は、表示部に触媒の交換を要する旨の表示、ないし、報知部より警報(アラーム)等としてなされ、これにより、現在測定に用いている触媒の還元効率が正確な分析(測定)に供し得ない程度に劣化をきたしており、触媒として用をなさず、新しいコンバータ触媒と交換する時期であることを、操作者は察知できる。【0015】なお、反応槽からの排気ガス中のNOの化学発光強度の測定値と比較される所定値は、新しいコンバータ触媒に交換直後に、そのコンバータ触媒を用いて測定されたオゾンキラーでオゾン分解された反応槽の排気ガス中のNO2(NO)の化学発光強度値、ないし、その化学発光強度から演算処理で求められたNO2(NO)濃度値と、コンバータ触媒の劣化度の判定モードにおけるコンバータ触媒による排気ガス中のNO2の化学発光強度値、ないし、その値から演算処理で求められたのNO2(NO)濃度値との差(ないし、比)、または、分析(測定)精度に支障のない限度に劣化したコンバータ触媒による排気ガス中のNOの化学発光強度、ないし、その化学発光強度から演算処理で求められた排気ガス中の2(NO)濃度で、予め実験、測定等で求められたものである。【0016】また、オゾン発生器で発生するNO2の濃度は、該発生器に導入される大気ガスの流量、水分量、周囲温度等に依存するが、これは、NOX計に内蔵されているフローセンサ(流量計)、大気を除湿し一定の水分量に保つ電子クーラーの温度センサやNOX計に内蔵された温度センサの値から、オゾン発生器で発生するNO2濃度(測定)値の補正は可能である。したがって、NO2濃度既知の標準ガス(ボンベ)を使用することなく、コンバータ触媒の劣化度を判定でき、それの交換時期を的確に判断でき、還元効率の劣化したコンバータ触媒を用いての測定を未然に防止できる。【0017】さらに、コンバータ触媒を、それの還元効率が測定精度が保証できる限度に劣化する迄使用できるので、コンバータ触媒を定期的に交換する場合であっても、交換回数を低減できると共に、資源の有効使用が図れる。さらに、オゾンキラー通過後の反応槽の排気ガスをコンバータに導く流路に電磁弁等を設け、この電磁弁をCPUなどで制御することで、コンバータ触媒の劣化度のルーチンによる定期的な自動判定が可能となる。【0018】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に沿って説明する。図1は、この発明の一実施例のNOX計の構成を示す概略構成図である。図1に示すNOX計1は、3方電磁弁SV1、電子クーラーとフィルタ等でなる前処理部21、ポンプP1、3方電磁弁SV2、NO2−NOコンバータ22、流量計23が試料ガスの流れ方向に順次配列された試料ガス導入流路2、電子クーラー31、ポンプP2、流量計32、無声放電式等のオゾン発生器33が空気の流れ方向に順次配列されたオゾンガス導入路3、加熱分解式等のオゾンキラー(オゾン分解器)41を備えた排気ガス用流路4をそれぞれ備え、各流路2、3、4は、光電検出器51とでNOX測定部5を構成する反応槽52に接続されている。【0019】また、3方電磁弁SV1には標準ガス導入路6が接続されており、この流路6に校正用のゼロガスとスパンガス供給源(通常ボンベ)につながるゼロガス導入路7とスパンガス導入路8とが電磁弁SV3、SV4を介してそれぞれ接続されており、さらに、3方電磁弁SV2には、NOX(=NO2+NO)測定時に試料ガスをコンバータ22を通さずに反応槽52に導入するためのバイパス路24が接続されている。これらの構成は、各構成部品の配列順序の差こそあれ、本質的に従来のこの種のNOX計と変われるところはない。【0020】9は、本発明で新たに設けられた排気ガス用流路4のオゾンキラー41を通過した反応槽52内の排気ガスを試料ガス導入流路2のコンバータ22に導く帰還流路で、図の実施例では、3方電磁弁SV1に接続する標準ガス導入路6に電磁弁SV5を介して接続されている。【0021】測定部5の光電検出器51の出力は、CPUを主体とする演算処理/制御部10に接続されており、演算処理/制御部10は、光電検出器51で検出された化学発光強度を示す出力信号を処理してNOX、または、NO濃度を求めたり、電磁弁SV5、SV1〜SV4、ポンプP1、P2の動作を制御したり、また、試料ガス導入流路2に介在するコンバータ22内の触媒の還元効率(能力)の劣化度を判定(測定)するモードでは、触媒の還元効率が測定精度が保証できない(分析に供し得ない)程度に劣化している場合にコンバータ22の触媒の交換を要すること、すなわち、触媒の交換時期であることを示す出力信号を発する。なお、演算処理/制御部10には、それの出力信号で作動する不図示の表示部、報知部、レコーダやキーボード等が接続されている。【0022】次に、上記構成のNOX計により、通常の測定モードで、試料ガス中のNOX濃度、および、NO濃度を測定する場合について説明する。先ず、NOXの測定では、演算制御/制御部10の制御のもとに、3方電磁弁SV1は試料ガスを前処理部21に導入する側に、3方電磁弁SV2は試料ガスをコンバータ22に導入する側(バイパス路24を閉じる側)に切換えられ、また、電磁弁SV5、SV3、SV4は閉じられる。この状態でポンプP1、P2が演算制御/制御部10の制御のもとに駆動されると、試料ガス流路2に導入され前処理部21で除塵・除湿された試料ガスは、コンバータ22で含有されるNO2成分がNOに変換されて流量計23で一定の流量とされて測定部5の反応槽52へ導入される。【0023】一方、オゾンガス導入流量3に導入され電子クーラー31で除湿処理に供された外部の空気は、流量計32で一定の流量とされてオゾン発生器33へ移送され、そこで無声放電によりO3ガスを発生し、このO3ガスが測定部5の反応槽52へ導入される。測定部5の反応槽52へ導入された試料ガスとO3ガスが混合され、その結果、試料ガス中のNO成分とO3とが反応し化学発光を生じ、その強度が光電検出器51で測定される。この化学発光の信号強度は、試料ガス成分中のNO濃度に比例するため、測定された化学発光強度が演算処理/制御部10で演算処理されて試料ガス中のNOX濃度が定量され、演算処理/制御部10に接続する不図示の表示部に表示される。【0024】また、NOの測定は、演算制御/制御部10の制御のもとに、電磁バルブSV5、SV1、SV3、SV4はNOXの測定と同じで、3方電磁弁SV2がバイパス路24側に切換えられ、試料ガスはコンバータ22を通らずに流量計23を経て、オゾンガス導入流路3よりO3ガスが導入されている測定部5の反応槽52へ導入され、化学発光を生じ、その強度が光電検出器51で測定される。測定された化学発光強度が演算処理/制御部10で演算処理されて試料ガス中のNO濃度が定量され、演算処理/制御部10に接続する不図示の表示部に表示される。なお、コンバータ22を通った試料ガス中のNO濃度、すなわち、NOX(=NO2+NO)濃度からコンバータ22を通らない試料ガス中のNO濃度を差引くことでNO2濃度が算出される。【0025】さらに、校正モードでは、電磁弁SV5を閉じた状態で3方電磁弁SV1を標準ガス流路6側に切換え、電磁弁SV3を開いてゼロガス導入路7よりゼロガスを反応槽52に供給することでゼロ校正を、また、電磁弁SV4を開いてスパンガス導路8よりスパンガスを反応槽52に供給することでスパン校正を行う。このような通常のNOX濃度、NO濃度の測定、ならびに、ゼロ/スパン校正動作は、従来のNOX計と変わるところはない。【0026】続いて、本発明の特徴である試料ガス導入流路2に介在するコンバータ22の触媒の還元効率(還元能力)の劣化度の判定モードについて説明する。なお、判定モードは、測定値が不適切と思われる場合や触媒の劣化度を判定、または、確認したい場合に測定モード、校正モードに割り込んで随時に行って、また、測定の前後、あるいは、校正後にルーチンで自動で定期的に行うようにしてもよい。触媒の劣化を判定したい場合には、演算処理/制御部10に接続する不図示のキーボード、または、不図示のモード切り換えスイッチ等で、触媒の劣化度の判定モードに切り換える。【0027】これにより演算処理/制御部10の制御のもとに、3方電磁弁SV1は帰還流路9に接続する標準ガス流路6側に、3方電磁弁SV2は試料ガスをコンバータ22に導入する側(バイパス路24を閉じる側)に切換えられ、ポンプP1、P2が駆動される。まず、電磁弁SV4、SV5が閉の状態でSV3が開きゼロガス(N2)が導入され、試料ガス導入路2、排気ガス用流路4に残っていた試料ガスを完全に排気する。つぎに、SV3が閉じてゼロガス導入を停止した後、SV5が開く。これにより、測定部5の反応槽52からの未反応の余剰O3を含む排気ガスは、排気ガス用流路4に介在するオゾンキラー41でO3が加熱分解され、オゾン発生器33でO3ガスと共に発生したNO2ガスが、前処理部21を経て、コンバータ22に導入されて排気ガス中のNO2成分がNOに変換されて流量計23で一定の流量とされて測定部5の反応槽52へ導入される。【0028】反応槽33に導入された排気ガス中のNO2(NO)成分は、同槽52にオゾン発生器33を備えたオゾンガス導入流路3から導入されているO3と反応し化学発光を生じ、その強度が光電検出器51で測定され、測定された化学発光強度が演算処理/制御部10で演算処理されて試料ガス中のNO2(NO)濃度が定量され、指示が安定した時点の測定値Dが演算処理/制御部10のメモリに記憶される。【0029】測定された排気ガスのNO2(NO)濃度Dは、演算処理/制御部10に予め記憶されている所定値のしきい値K(例えば、コンバータ触媒の交換直後に測定されたオゾンキラー41でオゾン分解された反応槽52の排気ガス中のNO濃度値と、判定モードにおける排気ガス中のNO2(NO)濃度値との差、ないし、比)と比較し、しきい値Kを上回っている場合(D>K)には、コンバータ22の触媒の劣化が小さいと判断し、何も表示、ないし、警報が発せられず、これにより、触媒の還元効率が測定精度が確保できない程に劣化していないことが確認でき、触媒を新しいものと詰替え交換することなく、引き続き試料ガスのNOX/NOを測定できることが認識できる。この場合、通常の測定モードへ自動的に移行するようにしてもよい。【0030】一方、しきい値Kを下回っている際(D<K)には触媒の劣化が大と判断し、演算処理/制御部10は不図示の表示部に信号を送り、「触媒の交換要」、「効率低下」、「測定精度不良」などのメッセーイジを表示したり、報知部が作動して警報(アラーム)を発する。【0031】なお、所定値は、例えば、コンバータの触媒を新しい触媒に詰替えた(新しい触媒に交換)直後に測定されたオゾンキラーでオゾン分解された反応槽の排気ガス中のNO2(NO)の化学発光強度値、ないし、化学発光強度から演算処理で求められたNO濃度値と、判定モードにおける排気ガス中のNOの化学発光強度値、ないし、化学発光強度から演算処理で求められたNO2濃度値との差や比、または、分析(測定)精度に支障のない限度まで触媒の還元能力が劣化したときの排気ガス中のNO2の化学発光強度、ないし、その化学発光強度に対応する排気ガス中のNO2(NO)濃度で、予め実験や測定等で求めたもので、演算処理/制御部10のメモリに予め記憶されている。また、所定値は、所定の一定値ではなく、測定精度に影響のない許容誤差範囲をも含むものである。【0032】これにより、操作者は、触媒の還元効率が、測定(分析)に支障を来たす程度まで劣化しており、触媒の交換時期に来ていることが判定、ないし、確認でき、触媒を新しい触媒と詰替え交換する。【0033】このように、測定モード途中の任意の時点で、かつ簡便に触媒の交換の要否を判定することができ、信頼性の高いNOXの定量を長期間継続して行うことが可能となる。特に、NOXに対するNO2の比率が高く、コンバータの劣化が激しいガスタービンの排気ガスなどの測定に有効である。また、触媒の劣化をNO2濃度既知の標準ガス(ボンベ)を使用することなく簡便・的確に判定できることから、効率の低下した触媒を用いての測定(分析)を未然に防止できると共に、測定精度を確保できる限度に還元効率が劣化する迄触媒を交換することなく使用できるので、触媒を定期的に交換する場合であっても、触媒の交換回数を低減できると共に、資源の有効使用が図れる。【0034】なお、実施例では、試料ガス導入流路に介在するコンバータ内の劣化した触媒を新しい触媒に詰替えるようにしたが、コンバータがカートリッジタイプである場合は、コンバータ反応管を取替えることになる。また、実施例では、キーボードやスイッチの操作で随時、触媒の劣化度を判定する判定モードに切換えるようにしたが、測定モードの前後、または、校正後に定期的に判定モードに切換えて自動判定することも可能である。【0035】さらに、オゾンガス導入流路に介在するオゾン発生器でO3と共に発生するNO2の濃度は、オゾン発生器に導入される大気(空気)の流量、水分量、周囲温度等に依存するので、オゾン発生器に導入される空気の流量、除湿に用いる電子クーラーの温度、周囲温度等を検出し、それらの検出値でNO2測定(濃度)値(実際にはNO測定値)を補正するようにすれば、触媒の劣化度をより正確に判定することが可能となる。この際、オゾン発生器に導入される空気の流量、電子クーラーの温度、周囲温度等の検出には、この種のNOX計が内蔵しているフローセンサや温度センサを用いればよい。【0036】【発明の効果】本発明の化学発光式窒素酸化物濃度計によれば、試料ガス中のNO2をNOに変換する試料ガス導入流路に介在するコンバータ触媒の交換の要否を簡便に判断できる。したがって、長期間の信頼性の高い測定を行う上でその有用性は極めて大なるものである。【0037】また、コンバータ触媒の交換の要否を判定できることから、効率の低下した触媒を用いての測定を未然に防止できると共に、測定精度を確保できる限度に還元効率が低下する限度迄触媒を交換することなく使用できるので、触媒を定期的に交換する場合であっても、触媒の交換回数を低減できると共に、資源の有効使用が図れる。【0038】さらに、コンバータ触媒の交換要否の判定にNO2濃度既知の標準ガス(ボンベ)を必要としないので、ランニングコストの低減が図れる。【図面の簡単な説明】【図1】この発明の一実施例のNOX計を示す構成説明図である。【符号の説明】1:NOX計2:試料ガス導入流路21…前処理部 22…NO2−NOコンバータ23…流量計 24…バイパス路3:オゾンガス導入流路31…電子クーラー 32…流量計33…オゾン発生器4:排気ガス用流路41…オゾンキラー5:NOX測定部51…光電検出器 52…反応槽6:標準ガス導入路 7:ゼロガス導入路8:スパンガス導路 9:帰還流路10:演算処理/制御部 SV1、SV2:3方電磁弁P1、P2:ポンプ SV5、SV3、SV4:電磁弁 試料ガスをNO2−NOコンバータを介して供給しうる試料ガス導入流路を、オゾンガス導入流路とオゾンを分解するオゾンキラーを有する排気ガス用流路が接続された測定部の反応槽に接続し、前記反応槽内での試料ガスとオゾンの化学反応によって生じる化学発光強度を測定部の光検出器で測定する化学発光式窒素酸化物濃度計であって、前記オゾンキラー通過後の排気ガスを前記試料ガス導入流路のコンバータに導く流路と、前記反応槽での排気ガスとオゾンとの化学反応で生じる化学発光強度の測定出力に基づいて前記コンバータ触媒の劣化度を判断する制御手段とを備えてなる化学発光式窒素酸化物濃度計。


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