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タイトル:特許公報(B2)_生薬配合可溶化液体組成物
出願番号:2000325817
年次:2011
IPC分類:A61K 47/34,A61K 9/08,A61K 36/00,A61K 47/46


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多田 広基 長谷川 和夫 JP 4742289 特許公報(B2) 20110520 2000325817 20001025 生薬配合可溶化液体組成物 大正製薬株式会社 000002819 多田 広基 長谷川 和夫 20110810 A61K 47/34 20060101AFI20110721BHJP A61K 9/08 20060101ALI20110721BHJP A61K 36/00 20060101ALI20110721BHJP A61K 47/46 20060101ALI20110721BHJP JPA61K47/34A61K9/08A61K35/78 YA61K35/78 WA61K47/46 A61K 47/00 A61K 9/00 A61K 36/00 A23L 2/00 CAPLUS(STN) 特開平04−282303(JP,A) 特開平06−219923(JP,A) 特開平07−165530(JP,A) 特開平10−204001(JP,A) 特開平11−236330(JP,A) 特開平10−330211(JP,A) 特開平11−199465(JP,A) 特開2001−302451(JP,A) 特表2004−515456(JP,A) 日本油化学会誌,1999年,Vol.48 , No.11,pp.1275-1280 3 2002128703 20020509 9 20070910 田村 直寛 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は生薬抽出物を配合し、可溶化剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステルの析出を防止した可溶化液体組成物に関する。【0002】【従来の技術】近年、生薬抽出物は疲労回復等の目的でドリンク剤等の液体組成物中に広く配合されている。この生薬抽出物には多種多様な成分が含まれているが、中には水難溶性の物質も存在する。よって、これを液体組成物中に溶解させるには、可溶化剤としての非イオン性界面活性剤等が必要になる。中でもポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は可溶化力に優れているため、生薬抽出物の可溶化剤として広く利用されている。【0003】しかしながら、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油には、酸性もしくはアルカリ性域で分解し、経時的に沈殿物や浮遊物を生じる性質がある。そのため、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を可溶化剤とした場合、液体組成物のpHを4.5以上に設定する必要があった(特公平7−76474号公報参照)。【0004】一方、飲料は防腐性、風味等の観点から、pHを4.5以下に設定することが望ましく、低pHでも安定な可溶化系の開発が望まれていた。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、低pHにおいても安定な生薬抽出物配合可溶化液体組成物を提供することを課題とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課題をすべく、耐酸性、耐塩性、耐熱性に優れ、広い範囲の用途に適した乳化剤として使用されているポリグリセリン脂肪酸エステルに着目した。すなわち、ポリグリセリン脂肪酸エステルを可溶化剤とすることによって、低pHにおいても安定な生薬抽出物配合可溶化液体組成物を調製しうることを確認した。【0007】しかしながら、この可溶化液体組成物の経時的な安定性を調べたところ、低温度においてポリグリセリン脂肪酸エステルに起因する沈殿等を生じることがわかった。【0008】そこで、本発明者らはさらに検討を行ったところ、ポリグリセリン脂肪酸エステルを可溶化剤とする生薬抽出物配合液体組成物に大豆油等の油成分および一定量のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を加えることにより、低温下における沈殿等を防止しうることを見出した。【0009】かかる知見に基づき完成した本発明は、生薬抽出物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤および油成分を配合し、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤の配合量が、ポリグリセリン脂肪酸エステル1質量部に対して6分の1〜1質量部である可溶化液体組成物である。【0010】本発明における生薬抽出物の形態は生薬乾燥粉末、抽出エキス、流エキスなどである。生薬としては、ニンジン、オウギ、オウセイ、カンゾウ、タイソウ、チンピ、ビャクジュツ、サンヤク、ブクリョウ、シュクシャ、ジオウ、トウキ、クコシ、カシュウ、リュウガンニク、シャクヤク、センキュウ、ニクジュヨウ、ジャショウシ、トシシ、トチュウ、ロクジョウ、イカリソウ、カイクジン、トウチュウカソウ、カイバ、オンジ、ヨクイニン、サンシュユ、ゴミシ、ショウキョウ、サイコ、ケイヒ、ハンピ、ムイラプアマ、バクモンドウ、ゴオウ、ジョテイシなどが挙げられる。【0011】本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセンモノカプリル酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノリノレン酸エステル等が好ましく、これらを1種もしくは2種以上配合することができる。その中でも、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステルが特に好ましい。【0012】また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、原生薬に換算した生薬抽出物1質量部に対して0.01〜20質量部であり、好ましくは、0.01〜2質量部である。【0013】本発明におけるポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等が挙げられるが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。【0014】また、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤の配合量はポリグリセリン脂肪酸エステル1質量部に対して、6分の1〜1質量部であり、5分の1〜1質量部が好ましい。【0015】本発明における油成分としては、ビタミンE、ビタミンEの誘導体、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、γ−オリザノール、大豆油、並びに中鎖脂肪酸トリグリセライド、γ-リノレン酸等のトリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。【0016】また、油成分の配合量は、ポリグリセリン脂肪酸エステル1質量部に対して0.01〜1質量部であり、0.05〜1質量部が好ましい。【0017】本発明では生薬抽出物に起因する沈殿の抑制を目的として、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子物質を配合することができる。これらの中でもポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが好ましい。【0018】【発明の実施の形態】本発明における可溶化液体組成物には、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどの水溶性多価アルコールを溶解補助剤として用いるのも有効である。【0019】本発明の可溶化液体組成物のpHは特に限定はなく、低pHにおいても沈殿等を生じないことを特徴とするが、飲料としたときの防腐性、風味等をも考慮すれば、pH2.5〜7、好ましくは3〜5である。【0020】本発明における可溶化液体組成物には、乳糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖、ソルビト−ル、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、ステビア等を甘味剤もしくはエネルギー源として配合することができる。【0021】また、油成分でないビタミン類、ミネラル類、アミノ酸およびその塩、ローヤルゼリー、カフェイン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。【0022】さらに、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば、抗酸化剤、着色剤、香料、矯味剤、溶解補助剤、保存料、pH調整剤などの製剤技術一般に使用される担体を配合することができ、常法により、シロップ剤、液剤などの経口製剤および飲料とすることができる。【0023】【実施例】以下に、試験例、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。【0024】(試験例)表1および2に掲げた各種界面活性剤、グリセリンおよび大豆油を80℃にて加温混合した後、80℃温水により溶解した。これらの各水溶液に、ポリビニルピロリドン0.3w/v%,ムイラプアマエキス0.6w/v%(原生薬換算)、クエン酸1.0w/v%を配合し、1mol/L水酸化ナトリウム溶液によりpHを3.0、4.0、4.6および5.0に調整した。これらをガラス瓶に充填し、キャップを施し、試験液1〜5および対照液1〜4とした。【0025】試験例および対照液を5℃および65℃の恒温槽にて2週間保存し、内溶液中の沈殿および浮遊物を目視により観察した。その結果を表3に示す。なお、沈殿および浮遊物の程度は以下の基準により判定した。【0026】沈殿および浮遊物の観察基準沈殿および浮遊物ともになし :−沈殿および浮遊物が少量存在 :+沈殿および浮遊物がかなり存在:++【0027】【表1】【表2】【表3】【0028】以下の実施例において括弧内の数値は原生薬に換算した値(mg)である。(実施例1)シャクヤクエキス 30mg(120)ニンジンエキス 90mg(600)オウギリュウエキス 0.3mL(300)カンゾウエキス 50mg(200)ジオウエキス 300mg(600)トウキリュウエキス 0.4mL(400)ロクジョウチンキ 1.08mL(300)イカリソウエキス 100mg(1000)ショウキョウチンキ 0.6mL(120)ケイヒリュウエキス 0.3mL(300)ヨクイニンリュウエキス 0.6mL(600)ハンピチンキ 1.25mL(250)ブクリョウエキス 9.6mg(300)タイソウナンエキス 70mg(230)ムイラプアマエキス 15mg(300)オウセイリュウエキス 0.6mL(600)クコシリュウエキス 0.3mL(300)サイコリュウエキス 0.15mL(150)VB1 10mgVB2 5mgVB6 5mgカフェイン 50mgタウリン 500mgポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 100mgデカグリセリンモノミリスチン酸エステル 75mgデカグリセリンモノステアリン酸エステル 75mgグリセリン 200mg大豆油 30mgポリビニルピロリドン 300mg白糖 5000mgキシリトール 4000mgクエン酸 適量DL−リンゴ酸ナトリウム 200mgパラオキシ安息香酸プロピル 3.3mgパラオキシ安息香酸ブチル 3.3mg安息香酸ナトリウム 30mgミックスフルーツフレーバー 50mg上記の各成分を精製水に攪拌溶解し、pHを4.5に調製して、全量50mLの内服液剤を得た。【0029】(実施例2)上記の各成分を精製水に攪拌溶解し、pHを3.0に調整して、全量50mLの内服液剤を得た。【0030】【本発明の効果】本発明により、pHや温度に依らず長期保存しても安定な生薬抽出物配合可溶化液体組成物を提供できることがわかった。 ムイラプアマエキス、デカグリセリンモノミリスチン酸エステルおよびデカグリセリンモノステアリン酸エステルの少なくとも1種、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油並びに大豆油を配合し、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合量が、デカグリセリンモノミリスチン酸エステルおよびデカグリセリンモノステアリン酸エステルの少なくとも1種の1質量部に対して6分の1〜1質量部である可溶化水性液体飲料。 デカグリセリンモノミリスチン酸エステルおよびデカグリセリンモノステアリン酸エステルの少なくとも1種の配合量が、原生薬に換算したムイラプアマエキス1質量部に対して0.01〜20質量部である請求項1に記載の可溶化水性液体飲料。 さらにポリビニルピロリドンまたはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有する請求項1または2のいずれか1項に記載の可溶化水性液体飲料。


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