タイトル: | 特許公報(B2)_パラフェニレンジアミンの製造方法 |
出願番号: | 2000325578 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C209/38,C07C209/36,C07C211/51,C07B61/00 |
ジュー ユン−ジェイ キム ジン−エオク ウォン ジェオン−イム JP 3561225 特許公報(B2) 20040604 2000325578 20001025 パラフェニレンジアミンの製造方法 コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド 598174989 正林 真之 100106002 ジュー ユン−ジェイ キム ジン−エオク ウォン ジェオン−イム KR 00-38764 20000707 20040902 7 C07C209/38 C07C209/36 C07C211/51 C07B61/00 JP C07C209/38 C07C209/36 C07C211/51 C07B61/00 300 7 C07C209/38 C07C209/36 C07C211/51 C07C209/02 C07C211/52 特開平08−059571(JP,A) 特開平07−002742(JP,A) 特開昭53−028130(JP,A) 特開昭52−136134(JP,A) 特公昭39−000466(JP,B1) 特開平08−059571(JP,A) 特開平07−002742(JP,A) 特開昭53−028130(JP,A) 特開昭52−136134(JP,A) 特公昭39−000466(JP,B1) 韓国特許出願公開第2000−17757号公報 6 2002047254 20020212 7 20001025 藤森 知郎 【0001】【発明の属する技術の分野】本発明は、パラフェニレンジアミンの製造方法に関し、詳しくは、極性有機溶媒の存在下で尿素とニトロベンゼンとを塩基と反応させて4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを製造した後、水素化触媒を用いて水素化反応させることにより、高純度のパラフェニレンジアミンを製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】パラフェニレンジアミンは、化粧品、酸化防止剤の原料、燃料添加剤及び染料分野においてもその利用度が高い化合物である。最も大きな需要先は、高弾性、高耐熱性素材であるアラミド(aramid)繊維を製造する基礎原料としての使用や、ポリウレタン原料であるパラフェニレンイソシアナート(p−phenylenediisocyanate)を製造する基本物質としての使用などであって、その応用範囲が広いことが知られている。【0003】このような応用範囲を持つパラフェニレンジアミンを製造する従来の商業化された方法には、第1番目の方法としては、クロロベンゼンに硝酸を作用させてパラニトロクロロベンゼンを製造した後、これをアンモニアと反応させて4−ニトロアニリンを製造し、その製造された4−ニトロアニリンを水添(水素添加)してパラフェニレンジアミンを製造する方法がある。【0004】第2番目の方法としては、アニリンを酸化窒素でジアゾ化(diazotation)した後、過剰のアニリンと反応させて1,3−ジフェニルトリアジンを製造してこれを転位させ、更にそれを水素添加してパラフェニレンジアミンとアニリンを得るジアゾ化工程による製造方法がある。【0005】ここで、前記の第1番目の方法は、最も一般的な商業化された方法であるが、反応中間体の4−ニトロアニリンの製造のためのクロロベンゼンのニトロ化の反応時に65:35の比率で異性質体のオルト(ortho)とパラ(para)のニトロクロロベンゼンが生じてくる。そして、この段階においてはパラ生成物を純粋に分離することができないため、最終の生成物のパラフェニレンジアミンに少量の異性体が残留し、高純度のパラフェニレンジアミンを製造することが困難であるという問題点がある。このため、この方法は低純度製造用または染料製造用として用いられている。また、塩素含有物を原料として使用することに起因して、多量に発生する廃液の処理が難しいという問題点もある。【0006】商業化された第2番目の方法は、オルト異性体の精製問題を解決する方法である。詳しくは、アニリンを酸化窒素でジアゾ化した後、ジアゾ化合物を過剰のアニリンと反応させて1,3−ジフェニルトリアジンを製造し、これを酸性条件下で転位させ、更に水添して、アニリン誘導体であるパラフェニレンジアミンを得る方法である(米国特許第4,020,052号及び第4,279,815号)。しかし、この方法によると、比較的高純度のパラフェニレンジアミンを製造することはできるが、工程が厳しくなり、多段階の反応を要するという問題点がある。【0007】最近では、新しい方法として、まずNASH(nucleophilic aromatic substitution of hydrogen)反応を用いてベンズアミド(benzamide)とニトロベンゼンとを有機塩基であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide:以下、TMA(OH)とする)と反応させて中間体のN−(4−ニトロフェニル)ベンズアミド(n−(4−nitrophenyl) benzamide)を合成し、合成した中間体に水(またはアンモニア)を添加して4−ニトロアニリンと安息香酸(またはベンズアミド)とに分解する2段階反応を経て、4−ニトロアニリンを製造する方法が提案されている(J. Am. Chem. Soc., 1992, 114(23); J. Org. Chem., 1993, 58, 6883−6888; 米国特許第5,436,371号、第5,380,946号、WO 93/24447)。【0008】この方法によると、極めて選択的にパラ位が置換された4−ニトロアニリンを製造することができる上に、水素化反応を実施して高純度のパラフェニレンジアミンを製造することができる。【0009】【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法は、2段階反応により4−ニトロアニリンを製造し、反応中に水分が含まれるために生成物の収率が相当に低下するという問題点がある。また、比較的高価な有機塩基であるTMA(OH)を使用しなければならないという問題点もある。【0010】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、製造工程の単純化及び製造費用の節減を図りながら高純度のパラフェニレンジアミンを製造する方法を提供することを目的とする。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記したようなNASH反応を用いる方法において生じる問題点を解決するために鋭意研究努力した結果、アルカリ塩基類の存在下でベンズアミドの代わりに尿素を用いてニトロベンゼンと反応させた結果、従来と比べて安易な条件下で選択的に4−ニトロソアニリンを製造することができるということを発見して、本発明を完成するに至った。【0012】本発明は、分離及び精製過程を経ずに同一反応容器(one−pot)内でパラジウム触媒(Pd/C)または白金触媒(Pt/C)の存在下で水素化反応を実施して、オルト、メタのような異性体を生ずることなく高純度のパラフェニレンジアミンを製造するものである。【0013】また、本発明は、廉価な尿素とアルカリ塩基類を用いることにより、製造費用を節減し、4−ニトロソアニリンを経てパラフェニレンジアミンを製造する反応を通じて、パラ異性体の選択性が高く、生成物の分離後に精製過程を必要としないパラフェニレンジアミンを製造するものでもある。【0014】即ち、前記の目的を達成するための本発明に係るパラフェニレンジアミンの製造方法は、極性溶媒の存在下で尿素とニトロベンゼンとを塩基と反応させて4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを製造した後、連続的にパラジウム触媒(Pd/C)または白金触媒(Pt/C)を用いて水素化反応を実施してパラフェニレンジアミンを得る段階を含むことを特徴とする。【0015】より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。【0016】(1) 極性溶媒の存在下で尿素とニトロベンゼンとを塩基と反応させて4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを製造した後、引き続き前記混合溶液をアルコールで希釈し、水素化触媒を用いて水素化反応を実施することにより、パラフェニレンジアミンを製造することを特徴とするパラフェニレンジアミンの製造方法。【0017】(2) 前記水素化触媒として、パラジウム触媒(Pd/C)または白金触媒(Pt/C)を用いることを特徴とする(1)記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。【0018】(3) 前記水素化触媒の含量が、4−ニトロソアニリン及び4−ニトロアニリンの総重量100重量部に対し0.1から10重量部であることを特徴とする(1)又は(2)記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。【0019】(4) 前記アルコールを、極性溶媒100重量部に対し50から500重量部になるように添加することを特徴とする(1)記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。【0020】(5) 前記水素化反応を実施するときの温度が、常温から200℃であることを特徴とする(1)記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。【0021】(6) 前記水素化反応を実施するときの水素圧が、3.51から35.1kg/cm2絶対圧力(50から500psi(psi:ポンド/平方インチ絶対圧力))であることを特徴とする(1)記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。【0022】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。【0023】本発明は、ジメチルスルホキシドのような極性有機溶媒の存在下で尿素とニトロベンゼンとを塩基と反応させて、4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを製造した後、Pd/C触媒またはPt/C触媒を用いて水素化反応を実施して高純度のパラフェニレンジアミンを製造する方法に関するものである。【0024】本発明によるパラフェニレンジアミンの製造方法では、まずジメチルスルホキシドのような極性有機溶媒の存在下で尿素とニトロベンゼンとを塩基と反応させて4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを製造する。【0025】このとき、塩基としては比較的廉価の無機塩基であるアルカリ金属及びアルカリ土金属塩基類などを使用することができ、反応溶媒としては無機塩基の溶解度を考慮して極性溶媒のジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリドンなどを使用することができる。【0026】尿素及びニトロベンゼンの比率を適切に調節することにより、生成される4−ニトロソアニリン及び4−ニトロアニリンの比率を調節することができる。即ち、尿素の比率が高くなるほど、4−ニトロソアニリンの生成比率が大きくなる。また、ニトロベンゼンの比率が高いと、4−ニトロアニリンの生成比率は大きくなるものの、4−ニトロアニリンの2次反応生成物の4,4’−ジニトロジフェニルアミンが検出されるようになってしまう。従って、ニトロベンゼンに対する尿素の好ましい比率は1〜10当量である。【0027】このように尿素とニトロベンゼンとから1次生成物の4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを得て、連続的にPd/C触媒またはPt/C触媒を用いて水素化反応を実施することにより、高純度のパラフェニレンジアミンを製造することができる。【0028】ここで、水素化反応の実施前に、4−ニトロソアニリン及び4−ニトロアニリンの混合溶液にエタノール及びイソプロパノールのようなアルコールを添加して希釈して使用することが好ましい。このときのアルコールの量は、使用した極性溶媒100重量部に対し50〜500重量部であるのが好ましい。このように水素化反応の実施前に反応溶媒をアルコールで希釈しなければ反応が進行しない。【0029】ここで使用されたPd/C触媒またはPt/C触媒のような水素化触媒の量は4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンの総重量100重量部に対し0.1〜10重量部であるのが好ましい。【0030】このとき、反応温度は常温〜200℃が好ましい。もし、反応温度が低過ぎると、反応が進行しなくなり、反応温度が低くなるほど反応の進行程度も相当低下する。反面、反応温度が高くなると、反応速度は速くなる。【0031】そして、水素化反応を実施するときの水素圧は3.51〜35.1kg/cm2絶対圧力(50〜500psi)が好ましい。水素圧が高くなるほど反応速度は速くなる。【0032】本発明においては、廉価な尿素とニトロベンゼンとから2−ニトロソアニリン及び2−ニトロアニリンのようなオルト化合物である副産物を生じることなく4−ニトロソアニリン及び4−ニトロアニリンが生成されるので、水添により異性体を含まない高純度のパラフェニレンジアミンを生成するのに有利である。【0033】また、この反応は水分含量によって大きく影響されないため、無水状態のための反応装置が必要ではなくなる上に、4−ニトロソアニリンを生成した後に分離工程を経る必要なしに一つの反応容器内で水素化反応を通じて高純度のパラフェニレンジアミンを製造し得るという利点をもつ。【0034】このような点を確認するため、以下の実施例によりパラフェニレンジアミンの製造方法を例示するが、本発明において生成物は核磁気共鳴(NMR)スペクトルと気体クロマトグラフィー−質量分析検出器(GC−MSD)を用いて分析・確認し、気体クロマトグラフィーと高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量分析した。【0035】全ての物質は気体クロマトグラフィーで定量分析し、その条件は以下のようにした。【0036】1.キャピラリーカラム(Capillary column):ULTRA2(Crosslinked 5% Ph Me Silicone)50m×0.2mm×0.33μm2.キャリヤガス(Carrier gas):窒素(nitrogen)3.ヘッド圧力(Head pressure):1.4kg/cm2絶対圧力(20psi)4.オーブン(Oven): 100℃(2min) to 280℃, β=10℃/min5.検出器・温度(Detector and temperature): FID(280℃)6.スプリット比(Split ratio):30:17.ガスフローレート(Make up gas flow−rate):38ml/min【0037】生成物を定量するためピレン(pyrene)を内部標準物質として用い、ピレン面積を基準として各物質の濃度に対する面積比を求めて標準検量をした。検量曲線から生成物のモル濃度を計算し、4−ニトロソアニリン及び4−ニトロアニリンの収率はニトロベンゼンを基準にして算出した。【0038】【実施例】以下、本発明の実施例を詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。【0039】【実施例1】冷却器と温度計が装着された1リットルの反応容器に、尿素(120g、2mol)、水酸化カリウム(158g、2.4mol)、ピレン(6g)、DMSO(80g)を入れた後、酸素雰囲気下で攪拌しながら温度を90℃まで昇温した。反応温度が90℃に達した後、滴下漏斗(funnel)を通してニトロベンゼン74g(0.6mol)とDMSO 80gとの混合溶液を徐々に滴下した。このとき、反応容器内の温度が90±4℃を超えないように調節した。反応の終了点はガスクロマトグラフィーで分析してニトロベンゼンがなくなる時間と定め、反応時間は1時間30分〜2時間程度要した。内部標準物質のピレンを基準に生成物を定量分析した結果、ニトロベンゼンに対し4−ニトロソアニリン88モル%(mole%)と4−ニトロアニリン12モル%(mole%)とを得た。【0040】この混合溶液を2リットル加圧反応容器内でエタノール300mlを加えて希釈した後、5%Pd/C触媒3gを用いて温度90℃で8.4kg/cm2絶対圧力(120psi)の水素圧で水素化反応を実施した。【0041】ガスクロマトグラフィーで確認した結果、オルト、メタのような副産物が見られない高純度のパラフェニレンジアミンが転換率100%で得られたことが確認された。【0042】【実施例2】前記実施例1と同様の方法により実施したが、前記実施例1とは異なり、水素化触媒として3%Pt/C触媒を用いて水素化反応を実施した。【0043】ガスクロマトグラフィーで確認した結果、この場合も転換率100%で高純度のパラフェニレンジアミンが得られたことが確認された。【0044】【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る方法、即ち、極性有機溶媒の存在下で尿素とニトロベンゼンとを塩基と反応させて4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを製造した後、水素化触媒を用いて水素化反応を行い高純度のパラフェニレンジアミンを製造する方法によれば、オルト及びメタのような異性体が含まれずに、高純度のパラフェニレンジアミンを製造することができる。【0045】また、4−ニトロソアニリンの分離及び精製過程を経ずに同一反応容器で水素化触媒の存在下で水素化反応を実施しているので、製造工程の単純化を図ることができる上、廉価な尿素及びアルカリ塩基類を用いているので、製造費用を節減することができ、パラ異性体の選択性が非常に高いので生成物の分離後に精製過程を必要としなくなるという効果もある。 極性溶媒の存在下で尿素とニトロベンゼンとを塩基と反応させて4−ニトロソアニリンと4−ニトロアニリンとを製造した後、引き続き前記混合溶液をアルコールで希釈し、水素化触媒を用いて水素化反応を実施することにより、パラフェニレンジアミンを製造することを特徴とするパラフェニレンジアミンの製造方法。 前記水素化触媒として、パラジウム触媒(Pd/C)または白金触媒(Pt/C)を用いることを特徴とする請求項1記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。 前記水素化触媒の含量が、4−ニトロソアニリン及び4−ニトロアニリンの総重量100重量部に対し0.1から10重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。 前記アルコールを、極性溶媒100重量部に対し50から500重量部になるように添加することを特徴とする請求項1記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。 前記水素化反応を実施するときの温度が、常温から200℃であることを特徴とする請求項1記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。 前記水素化反応を実施するときの水素圧が、3.51から35.1kg/cm2絶対圧力(50から500psi)であることを特徴とする請求項1記載のパラフェニレンジアミンの製造方法。