タイトル: | 特許公報(B2)_癌転移抑制剤及びこれを含有する飲食品 |
出願番号: | 2000320109 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61P 35/04 |
田沼 靖一 小野木 淳 志村 進 JP 4124952 特許公報(B2) 20080516 2000320109 20001019 癌転移抑制剤及びこれを含有する飲食品 田沼 靖一 594072683 株式会社ロッテ 307013857 浜田 治雄 100064012 田沼 靖一 小野木 淳 志村 進 20080723 A61K 36/18 20060101AFI20080703BHJP A61P 35/04 20060101ALI20080703BHJP JPA61K35/78 CA61P35/04 A61K 36/18 A23F 3/14 A23G 1/00 A23G 1/30 A23G 3/34 A23G 4/00 A23L 1/30 A61P 35/04 BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) 特開平06−098718(JP,A) 特開平11−029492(JP,A) 特開2000−086526(JP,A) 特開平07−274894(JP,A) 特開平07−213251(JP,A) 特開2000−262246(JP,A) 特開2000−204044(JP,A) GIL,M. et al,Effect of purinergic receptor antagonists suramin and theobromine on tumor-induced angiogenesis in BALB/c mice,Folia Biol (Praha),1993年,Vol.39, No.2,p.63-8 BARCZ,E. et al,The influence of theobromine on angiogenic activity and proangiogenic cytokines production of human ovarian cancer cells,Oncol Rep,1998年,Vol.5, No.2,p.517-20 2 2002128685 20020509 9 20031008 今村 玲英子 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、カカオ豆の圧搾物及び/またはカカオ豆の外皮にヘキサンを加えて抽出後の抽出残渣を更に熱水抽出した抽出残渣物に、0.3N水酸化ナトリウム溶液で抽出して得られる抽出液を、酢酸でpH5.0に調整後、得られた沈殿物を水に溶解し、透析後乾燥して得られる抽出物を有効成分とする癌転移抑制剤に関する。【0002】【従来の技術】癌、虚血性心疾患、腎不全等の疾患は、生体内で生じるラジカルが関与することが解明され、強いラジカル消去作用を持つ植物ポリフェノールには、これらの疾病に対する予防効果があることが明らかにされつつある。例えば、茶や赤ワインに含まれているポリフェノールには、発癌抑制作用があることが既に知られている。【0003】チョコレートやココア等の原料として使用されているカカオ豆にもポリフェノールが含まれており、このポリフェノールを有効成分とする先行技術としては、特開平9−224606号公報にカカオ豆からエタノールで抽出して得られる発癌予防物質を含有する健康飲食品が開示されている。【0004】しかしながら、カカオ豆等のポリフェノールによる予防効果は、癌の発生を抑制する発癌予防を目的としたものであり、既に生じた癌細胞の転移を抑制することにより癌が拡大、進行するのを防ぐものではなく、既に癌に罹患した患者を対象とするものではない。【0005】また、特開平3−205402号公報及び特開平4−13684号公報には、松かさ、茶、草みづき、三豆根等から得られる新規なリグニン配糖体が癌遺伝子の発現を特異的に抑制することが記載されており、癌治療剤としての用途が開示さている。詳しくは、マウス乳癌ウイルス(MMTV)遺伝子を導入したマウス乳癌細胞において、MMTV遺伝子の発現がクロマチンタンパク質における脱ポリADP−リボース反応が引き金になって起こるところから、この反応に関与するポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼを上記リグニン配糖体で阻害することによって、癌遺伝子の発現を抑制し癌治療剤として使用するものである。【0006】しかしながら、松かさ、茶、草みづき、三豆根等から得られるリグニン配糖体によるポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼ阻害は、癌遺伝子の発現の段階を抑制するものであって、癌転移を抑制するものではなく、また、松かさや茶等を原料として熱水、エタノール、アセトン等の溶媒で処理した抽出残渣物をアルカリ抽出、エタノール沈殿、ゲル濾過により調製されるので、原料を得ることが困難であったり、リグニン配糖体の含量が低い等の問題点があった。【0007】その他、癌の治療法としては、一般に外科的治療、放射線療法、化学療法(薬剤投与)等が実施されている。これらの中で化学療法は、従来から直接癌細胞を死滅させる薬剤を投与する治療法が広く適用されており、この化学療法に使用する抗癌剤に関する提案も多い。しかしながら、抗癌剤による治療では、抗癌剤が癌細胞のみならず正常細胞にも作用するため、副作用が非常に強いという欠点がある。さらに、抗癌剤は毒性が強いために、高用量や長期の反復投与に限界があり、化学療法による従来の治療法では癌の転移、再発の抑制や延命等の点で十分な効果が期待できないのが現状である。【0008】したがって、癌治療において、癌転移を阻止し、長期投与が可能で、かつ優れた治療効果を有する薬剤や治療法の期待は大きい。【0009】癌の転移の分子メカニズムは以下の過程を経ると考えられている。(1)転移能をもった癌細胞が腫瘍塊の中から離脱し、(2)間質組織の中を移動し、(3)血管の基底膜へ接着する。(4)接着した癌細胞は基底膜を分解、破壊し、さらに血管内腔へ侵入する。(浸潤という)(5)さらに、癌細胞は血管内を移動して標的臓器の血管内皮細胞に選択的に接着する。(6)接着した癌細胞は、その血管の基底膜を分解し、破壊し、さらに標的臓器内へ移動する。(7)そして、新しい環境下で生着、増殖し、さらに新たな転移巣を形成する(日本臨床53巻7号、1571〜1577頁[1995年])。【0010】したがって、癌転移を抑制するためには上記したいずれかの過程を抑制すればよく、癌の治療法の一つとして重要である。これまでに知られている癌転移抑制物質としては、▲1▼血管新生阻害物質(アンジオスタチン、インターフェロンα、トロンボスポンジン、血小板第4因子、TNP−470、ペントサンポリサルフェート等)▲2▼細胞接着阻害物質(RGDS関連ペプチド、YIGSR関連ペプチド、SCMキチン、ノジリマイシン、ツニカマイシン等)▲3▼血小板凝集阻害物質(シカプロスト、インドメタシン、アンチスタシン等)▲4▼シグナル伝達阻害物質及び運動能制御物質(カルボキシアミド−トリアゾール、MDL−27032、べラパミル、ジルチアゼム等)▲5▼細胞外マトリックス分解酵素阻害物質(バチマスタット、FOY−305、レチノイド、インターフェロンβ等)▲6▼免疫療法剤(CGP−19835A、BCG、OK−432等)等が報告されている(ファルマシア31巻10号、1132〜1137頁[1995年])が、この癌の転移抑制を目的とした薬物は一部の癌のみを対象(インターフェロン−αはカポジ肉腫、スラミンは前立腺癌[癌化学療法ハンドブック第3版、古江尚ら、95〜96頁、(株)メディカル・サイエンス・インターナショナル])として臨床応用が認められているのが現状である。【0011】また、最近、癌細胞の転移を阻害する薬物がいくつか臨床治験段階にあがってきている。そのひとつに、癌細胞の浸潤過程において重要となる細胞外マトリックス分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼを阻害することで転移を抑制するマリマスタットがある(ファルマシア34巻10号、995〜997頁[1998])。しかしながら、この薬剤には、重篤ではないが関節痛、筋肉痛や消化器系の副作用が認められている。【0012】さらに、癌転移抑制においては、先に示したように血管新生阻害も重要であり、最近では腫瘍細胞中に見出された内在性の血管新生抑制因子であるプラスミノーゲンやコラーゲンの断片化ペプチドであるアンジオスタチンやエンドスタチンが注目されている(化学と生物37巻5号、306〜311頁[1999])。【0013】さらにまた、研究段階のものとして、癌転移抑制剤としてフィブロネクチン分子のペプチド誘導体があるが、浸潤を抑制するのにかなり高濃度を必要としている。【0014】このように、従来技術においては、癌転移抑制剤として十分な作用を有し、かつ十分な安全性を有する物質は見出されておらず、また臨床において用いられている薬剤は少ない。【0015】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、副作用がなく安全であり、優れた癌転移抑制効果を有する癌転移抑制剤及びこれを含有する飲食品を提供することにある。【0016】【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、カカオ豆及び/またはカカオ豆の外皮からアルカリ性水溶液で抽出して得られる抽出物、或いはカカオ豆及び/またはカカオ豆の外皮に水または有機溶剤を加えて抽出した後の抽出残渣物から、アルカリ性水溶液で抽出して得られる抽出物であれば、副作用がなく安全であり、優れた癌転移抑制効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。【0017】すなわち本発明は、カカオ豆及び/またはカカオ豆の外皮からアルカリ性水溶液で抽出して得られる癌転移抑制剤及びこれを含有する飲食品である。【0018】また、好ましい態様として、上記抽出物をpHが4〜6の弱酸性の範囲にして得られる沈殿物、或いは上記抽出物からpHが4〜6の弱酸性の範囲にして得られる沈殿物を除去せしめた後、該抽出物に有機溶剤を添加して生成する沈殿物を有効成分とすることで、極めて効果的に癌の転移を抑制することができる。【0019】したがって、本発明の有効成分は、先行技術として特開平9−24606号公報に記載されているカカオ豆のエタノール可溶性の抽出成分とは異なるものである。【0020】【発明の実施の形態】本発明の有効成分であるカカオ豆及び/またはカカオ豆の外皮からアルカリ性水溶液で抽出して得られる抽出物は、アオギリ科の小高木であるカカオ(Theobroma Cacao L.)の豆の胚乳(カカオニブ)及び/またはその外皮(カカオハスク)を原料として、これにアルカリ性水溶液、例えば0.1〜1Nの水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等で1〜15時間抽出する。【0021】或いは、カカオ豆またはカカオ豆外皮を最初に水や熱水またはエタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ヘキサン等の有機溶剤、もしくはこれらの混合溶媒で抽出し、その抽出残渣より上記のアルカリ性水溶液によって抽出してもよい。なお、最初の水、熱水または有機溶剤の抽出処理は、別種の溶剤で繰り返し抽出することも可能である。【0022】さらに、本発明においては、好ましくは上記アルカリ性水溶液抽出物を酢酸、塩酸等によってpHを4〜6の弱酸性の範囲に調整し、約30分から一昼夜静置後に得られる沈殿物を有効成分として用いると効果的である。また、弱酸性の範囲に調整しても溶解している成分に対しては、有機溶剤を添加して4時間から一昼夜静置して生じる沈殿を使用することも可能である。この場合に使用する有機溶剤としては、アルコール類、アセトン類、或いはこれらの含水物を使用することができるが、好ましくは50%以上の濃度になるようにエタノールを添加することが最適である。【0023】なお、本発明においては、原料としてカカオ豆またはカカオ豆の外皮いずれかを必要に応じて選択して使用してもよいが、それらを適宜混合して使用することも可能である。【0024】本発明のカカオ豆及び/またはその外皮のアルカリ抽出物を有効成分とする癌転移抑制剤は、癌の転移抑制作用を有するので、各種癌、例えば、悪性黒色腫、子宮癌、食道癌、皮膚癌、胃癌、肺癌、小腸・大腸癌、膵臓癌、乳癌、膀胱癌、絨毛性腫瘍、リンパ肉腫、白血病等の悪性腫瘍の転移抑制剤として使用することができる。【0025】また、本発明の癌転移抑制剤は、ヒトを含む哺乳動物(ヒト、ウマ、イヌ、ウシ、ブタ等)等に対して投与することが可能であり、その有効成分の投与量としては、患者の年齢、体重及び処理すべき病状の重度や治療に対する反応、投与方法及び投与回数により変わりうるが、例えば、経口投与の場合には、通常0.3〜30mg/kg体重程度を1日1回または数回にわたって投与する。0.3mg/kgより低い濃度の使用では、効果が不十分である場合がある。【0026】さらに、本発明の癌転移抑制剤は、上記本発明の有効成分と製薬上許容されるキャリア等の製剤用の添加剤とを混合して医薬製剤の形で、経口的、非経口的(経静脈的、経直腸的等)に投与することができる。その剤型としては、錠剤、カプセル剤、散剤、坐剤、液剤、直腸軟膏、注射剤等が例示されるが、必ずしもこれらの剤型に限るものでない。【0027】本発明における有効成分の上記医薬製剤中の含有量としては、その形態並びに容量等により一概に規定することは困難であるが、好ましくは1〜90重量%である。【0028】本発明で使用するカカオ豆またはカカオ豆の外皮は、天然物で豊富にあり、また簡単に採取することができることから、本発明の癌転移抑制剤は、マリマスタットのように合成する工程が複雑であったり、アンジオスタチン、エンドスタチンのような遺伝子組み換え操作が必要になることはなく、生産における手間とコストがかからず安価に製造することができ実用的である。さらに、カカオ豆またはその外皮は食品として使用されているものであり、本発明の有効成分は毒性がなく安全である。【0029】以下に、本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。【0030】【実施例】〔実施例1〕カカオ豆とカカオ豆の外皮からの癌転移抑制剤の調製カカオ豆(カカオニブ)の圧搾物(カカオマス)またはカカオ豆の外皮(カカオハスク)各300gにヘキサン2.5lを加えて、一昼夜攪拌後濾過した。その残渣にヘキサン2.5lを加えて再度一昼夜攪拌した。それを濾過し、脱脂物をそれぞれ133g、270g得た。その脱脂物各25gに熱水250mlを加え1hr煮沸した。それを遠心分離(10,000g×20min)し、残渣を同様に熱水で抽出した。得られた熱水抽出残渣に0.3Nの水酸化ナトリウム溶液250mlを加え、一昼夜抽出した。それを遠心分離(10,000g×20min)し、得られた抽出液を酢酸でpH5.0に調整し、4℃で一昼夜静置した。それを遠心分離(10,000g×20min)し、得られた沈殿を水に溶解し、一昼夜透析後凍結乾燥し、カカオ豆及びカカオ豆の外皮由来の抽出物であるカカオマスP1画分、カカオハスクP1画分をそれぞれ1.4g、0.8g得た。また、上記酢酸でpH5.0に調整し、4℃で一昼夜静置後遠心分離を行った濾液については、同量のエタノールを加え、4℃で一昼夜静置した。これを遠心分離(10,000g×20min)し、得られた沈殿を水に溶解し、透析及び凍結乾燥し、カカオ豆及びカカオ豆の外皮由来の抽出物であるカカオマスP2画分、カカオハスクP2画分をそれぞれ0.61g、0.74g得た。【0031】〔実施例2〕癌浸潤抑制効果試験10%FCSを含むDMEM培地で培養維持しているヒト膵癌細胞株MIA PaCa−2(高浸潤能を示す)をトリプシン−EDTAで回収し、洗浄後、1%FCSを含むDMEM培地に懸濁し、浸潤能測定系に供した。【0032】浸潤能測定は二重構造の96穴ケモタキシスチャンバーを用いた。ポアサイズ8μmのポリカーボネートフィルターにヒト血漿由来フィブロネクチンをコートし風乾後、さらに細胞外マトリックスの構成成分からなるマトリゲルを重層した。ケモタキシスチャンバーの下層には1%FCSを含むDMEM培地を注入し、その上に先のポリカーボネートフィルターを装着して、約2時間、37℃でフィブロネクチンを膨潤させた。その後、上層に1%FCSを含むDMEM培地に懸濁したMIA PaCa−2を細胞数1×105播種し、マトリゲル上で均一となるようにケモタキシスチャンバーを軽く振った。カカオマスP1、P2画分またはカカオハスクP1、P2画分をFCSを含まないDMEM培地で60℃、15分間加温し、溶解後、各最終濃度となるように上層の細胞に添加した。そのケモタキシスチャンバーを37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間インキュべートした。【0033】ポリカーボネートフィルター下面に浸潤した細胞はメタノールで固定し、ヘマトキシリン‐エオジン染色後、顕微鏡下で細胞数を計測した。浸潤細胞数は倍率400倍で10視野を計測し、1視野あたりの平均細胞数で表した。【0034】図1にカカオマスP1画分のMIA PaCa−2細胞浸潤能抑制効果を示した。カカオマスP1画分は濃度依存的に抑制し、30μg/mlで有意な抑制効果が見られた。図2にカカオマスP2画分の結果を示した。カカオマスP1画分より効果は弱いが、濃度依存的に抑制し、100μg/mlで有意な抑制効果を示した。図3にカカオハスクP1画分の結果を示した。カカオマスP1画分同様に、濃度依存的に抑制し、30μg/mlで有意な抑制効果があった。図4にカカオハスクP2画分の結果を示した。カカオハスクP1画分より効果は弱いが、濃度依存的に抑制し、100μg/mlで有意な抑制効果を示した。【0035】〔実施例3〕錠剤【0036】(1)から(4)までを均一に混合した後に、(5)を添加してさらに混合し、その混合末を打錠して、1錠200mgの錠剤とした。この錠剤は、必要に応じて、通常用いられる胃溶性フィルムコーティング剤(例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート)または食用性着色剤でコーティングすることも可能である。【0037】〔実施例4〕カプセル剤(1)実施例1のカカオハスクP1画分 1000g(2)乳糖 960g(3)ステアリン酸マグネシウム 40g【0038】上記成分を均一に混合し、その混合粉末をハードゼラチンカプセルに200mgずつ充填した。【0039】〔実施例5〕注射剤(1)実施例1のカカオハスクP1画分 100mg(2)ブドウ糖 100mg(3)注射用水 全量で10ml【0040】(1)と(2)を(3)に溶解した液をメンブランフィルターで濾過後、再び除菌濾過を行い、その濾過液を無菌的にバイアルに分注し、窒素ガスを充填し密封して静脈内注射剤とした。【0041】〔実施例6〕シロップ剤(1)実施例1のカカオハスクP1画分 50g(2)単シロップ 100ml(3)精製水 全量で300ml【0042】(1)を(3)で完全に溶解し、(2)を加えて混合し、シロップ剤とした。【0043】〔実施例7〕坐剤(1)実施例1のカカオハスクP1画分 2g(2)ウイテプゾール 200g【0044】(2)を120℃、30分加熱し、室温で50〜60℃まで冷却し、これに(1)を加えて十分に混和して均一とし、坐剤型に注入、放冷、固化して100個の坐剤とした。【0045】〔実施例8〕錠剤【0046】実施例3と同様に調製し、錠剤とした。【0047】〔実施例9〕カプセル剤(1)実施例1のカカオハスクP2画分 1000g(2)乳糖 960g(3)ステアリン酸マグネシウム 40g【0048】実施例4と同様に調製し、カプセル剤とした。【0049】〔実施例10〕チューインガムガムベース500g、砂糖1.2kg、水飴200g、軟化剤20g、色素20g、酸味料20g、香料20g、及び実施例1のカカオハスクP1画分20gを練り合わせ、常法によりチューインガムを製造した。テクスチャー、風味ともに良好で、癌転移抑制用として日常的に摂取し得るチューインガムであった。【0050】〔実施例11〕チョコレートカカオマス3.5kg、カカオバター1.5kg、全脂粉乳0.4kg、砂糖4.5kg、及び実施例1のカカオハスクP1画分0.1kgを混合機に入れ、38〜43℃で30分混合後、リファイナーに移し、35〜36℃で粒子が40μ以下になるように均一に微細化した。次いでコンチングマシンに移して、約60℃に加温しながら40時間攪拌混和し、コンチング終了直前に乳化剤としてレシチン50gと若干の香料を加えて均質化した後、27〜32℃でテンパリングを行なった。これを所定のモールドに入れ、冷却固化させてチョコレートを製造した。風味が良好で、癌転移抑制用として日常的に摂取し得るチョコレートであった。【0051】〔実施例12〕キャラメル砂糖150g、水飴150g、練乳60g、小麦粉18.8gを混合し120℃まで煮詰めて後、実施例1の方法で得られたカカオハスクP2画分2.0g、バター2.2g、カカオバター1.6g、椰子油2.2g、香料1gを加えて攪拌後、冷却、成形してキャラメルを製造した。口溶け、風味ともに良好で、癌転移抑制用として日常的に摂取し得るキャラメルであった。【0052】〔実施例13〕ウーロン茶定法により製造したウーロン茶1リットルに実施例1で得られたカカオマスP2画分1gを添加し、癌転移抑制用のウーロン茶飲料を製造した。風味が良好で、癌転移抑制用として日常的に摂取し得るウーロン茶飲料であった。【0053】【発明の効果】本発明の有効成分であるカカオ豆及び/またはカカオ豆の外皮からアルカリ性水溶液で抽出して得られる抽出物は、副作用がなく安全であり、優れた癌浸潤抑制効果を有するので、癌転移抑制剤として各種癌の転移予防に有用である。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の癌転移抑制剤であるカカオマスP1画分による癌浸潤抑制効果を示したグラフである。【図2】本発明の癌転移抑制剤であるカカオマスP2画分による癌浸潤抑制効果を示したグラフである。【図3】本発明の癌転移抑制剤であるカカオハスクP1画分による癌浸潤抑制効果を示したグラフである。【図4】本発明の癌転移抑制剤であるカカオハスクP2画分による癌浸潤抑制効果を示したグラフである。 カカオ豆の圧搾物及び/またはカカオ豆の外皮にヘキサンを加えて抽出後の抽出残渣を更に熱水抽出した抽出残渣物に、0.3N水酸化ナトリウム溶液で抽出して得られる抽出液を、酢酸でpH5.0に調整後、得られた沈殿物を水に溶解し、透析後乾燥して得られる抽出物を有効成分とすることを特徴とする癌転移抑制剤。 カカオ豆の圧搾物及び/またはカカオ豆の外皮にヘキサンを加えて抽出後の抽出残渣を更に熱水抽出した抽出残渣物に、0.3N水酸化ナトリウム溶液で抽出して得られる抽出液を、酢酸でpH5.0に調整後、得られた濾液にエタノールを加えて得られた沈殿物を水に溶解し、透析後乾燥して得られる抽出物を有効成分とすることを特徴とする癌転移抑制剤。