タイトル: | 特許公報(B2)_転写箔シート及びその剥離性・破断性の評価方法 |
出願番号: | 2000282535 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 3/00,B44C 1/17,G01N 3/08,G01N 19/04,G02B 5/18,G03H 1/18,G03H 1/20 |
塩田 聡 斎藤 多恵 西澤 賢二 大滝 浩幸 田島 真治 JP 4453945 特許公報(B2) 20100212 2000282535 20000918 転写箔シート及びその剥離性・破断性の評価方法 大日本印刷株式会社 000002897 光来出 良彦 100099139 塩田 聡 斎藤 多恵 西澤 賢二 大滝 浩幸 田島 真治 20100421 G01N 3/00 20060101AFI20100401BHJP B44C 1/17 20060101ALI20100401BHJP G01N 3/08 20060101ALI20100401BHJP G01N 19/04 20060101ALI20100401BHJP G02B 5/18 20060101ALI20100401BHJP G03H 1/18 20060101ALI20100401BHJP G03H 1/20 20060101ALI20100401BHJP JPG01N3/00 QB44C1/17 KB44C1/17 LB44C1/17 GG01N3/08G01N19/04 DG02B5/18G03H1/18G03H1/20 G01N 3/00 B44C 1/17 G01N 3/08 G01N 19/04 G02B 5/18 G03H 1/18 G03H 1/20 特開平09−248997(JP,A) 特開平09−061340(JP,A) 特開平06−143788(JP,A) 特開2000−211257(JP,A) 実開平01−053946(JP,U) 6 2002090276 20020327 16 20070629 高橋 亨 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、各種被転写体に対して転写により容易に転写層、好ましくはホログラムを付与することができ、具体的には転写層の箔切れ性、及び基材フィルムからの転写層の剥離性が良好な、転写箔シートに関し、さらに、転写箔シートの転写層の剥離性・破断性の評価方法に関する。【0002】【従来の技術】ホログラム転写箔シートによる、被転写体への転写の例には、ホログラムや回折格子等の光回折構造を転写した、クレジットカード、キャッシュカード、金券類等が挙げられる。【0003】従来よりホログラム転写箔シートとしては、基材フィルム上に、剥離層、ホログラム形成層を形成し、主として各種凹凸パターンを付与し、その後形成された凹凸パターン面に金属蒸着や屈折率の異なる層を積層し、感熱性接着剤層を形成したホログラム又は回析格子機能を有する転写箔シートとしたものが広く知られている。このようにして形成されたホログラム転写シートは、被転写体に対してホットスタンプ等により熱転写される。【0004】図1は、被転写体10に対してホットスタンプ8等により加熱処理し、次いでホログラム転写箔シート1を剥離して転写されたホログラムを得る様子を示すフロー図であり、図2はホログラム転写箔シート1の剥離時の斜視図である。ホットスタンプ8の加熱を受けた部位のホログラム転写箔シート1は、剥離時にホットスタンプ8の金型による転写パターンの境界に沿って、転写層3の切断と、転写層3からの基材フィルム2の剥離が同時に行われる。【0005】【発明が解決しようとする課題】ホログラム転写箔シート1は、その熱転写、例えば、ホットスタンプされた後に、剥離されるが、この時、ホットスタンプ部位とそうでない部位との境界においてホログラム転写箔シート1の転写層3の箔切れ性が良好で、かつホログラム転写箔シート1の基材シート2からの転写層3の剥離性も良好であって、転写層3としてのホログラムが被転写体10に確実に転写されることが必要である。【0006】しかしながら、これまでのホログラム転写箔シート1は転写・剥離時にうまく切れたり、切れなかったりして、箔切れ性や剥離性が不十分であり、不安定なものが多いため改善が要望されている。【0007】そこで本発明は、これまで明確にされていなかった転写箔シートの転写層の箔切れ性を示す破断強度及び転写時のホログラム転写箔シートの基材シートからの転写層の剥離強度の良好な範囲を明確に規定し、さらには上記のような問題を解決して、転写工程において安定な転写を行うことができる転写条件を満足するホログラム転写箔シートを提供すること、及び各種転写シートの剥離性・破断性の評価方法を提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、転写箔シートの破断強度によって転写箔シートの転写層の箔切れ性が影響されることを見出した。また、基材フィルムからの転写層の剥離強度によって転写適性が影響され、該転写体の生産性に寄与することを見出した。これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。【0009】 即ち、前記した問題点を解決する本発明の転写箔シートの剥離性及び破断性の評価方法は、基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シートの熱圧着側を被転写体に重ね、該転写箔シートを該感熱性接着剤が熱融着する温度にて熱圧着し、得られた転写物積層体に対して、JIS K6854の手法により剥離強度の変化を測定することにより、熱圧着部位の境界の破断強度と、基材フィルムと転写層間の剥離強度を簡易的に得ることを特徴とする。なお、剥離方向は180°よりも小さい角度でも可能であり、その場合は剥離強度は剥離方向の角度と相関した価となる。【0010】 本発明の転写箔シートは、基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シートにおいて、被転写体に該転写箔シートの転写層側を重ね熱融着する温度にて熱圧着したときの転写物積層体における基材フィルムと転写層間の破断強度が4×105 Pa以上1×106 Pa以下、且つ、20℃〜25℃雰囲気における剥離強度が1×105 Pa以上6.5×105 Pa以下であり、該剥離強度はJIS K6854に基づき測定されたものであることを特徴とする。【0011】 本発明の転写箔シートの態様としては、基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層、ホログラム形成層及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シートにおいて、被転写体に該転写箔シートの転写層側を重ね熱融着する温度にて熱圧着したときの転写物積層体における基材フィルムと転写層間の破断強度が4×105 Pa以上1×106 Pa以下、且つ、20℃〜25℃雰囲気における剥離強度が1×105 Pa以上6.5×105 Pa以下であり、該剥離強度はJIS K6854に基づき測定されたものであることを特徴とする。【0012】本発明の転写箔シートにおいて、20℃〜25℃雰囲気における破断強度と剥離強度の各測定値は、室温での測定を想定したものである。【0013】本発明の転写箔シートにおいて、20℃〜25℃雰囲気における破断強度が4×105 Pa未満であると転写層がもろくなり、バリの発生原因となって、うまく転写できないという不都合がある。また、破断強度が1×106 Paを越えると、目的とした型通りにうまく切れなくなり、従って、転写がうまくいかないという不都合がある。【0014】本発明の転写箔シートにおいて、20℃〜25℃雰囲気における剥離強度が1×105 Pa未満であると基材フィルムが転写層から浮いてしまう等の不都合が発生することがあるという問題があり、剥離強度が6.5×105 Paを越えると基材フィルムを転写後に剥離しようとすると、転写されるべき層が基材フィルム側に持っていかれる不都合が発生することがあるという問題がある。【0015】本発明の転写箔シートは、基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層、及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シート、或いは基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層、ホログラム形成層及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シート(ホログラム転写箔シート)である。【0016】ホログラム転写箔シートにおいては、ホログラム形成層が、その表面に凹凸が賦型された表面レリーフ型ホログラムであってもよい。また、ホログラム形成層と前記感熱性接着剤層との間に反射性金属薄膜層が形成されていてもよい。また、本発明のホログラム転写箔シートにおいては、ホログラム形成層が、その形成材料内に干渉縞が記録されることによりホログラムが形成されていることを特徴とする体積型ホログラムであってもよいし、ホログラム形成層が光選択波長層を使用したホログラム形成層、例えば、液晶層を兼ねた層でもよい。【0017】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。【0018】 破断強度及び剥離強度の測定方法 被転写体の特定部位に転写箔シートを熱圧着した場合の熱圧着部位の境界における破断強度と、基材フィルムと転写層間の剥離強度は、JIS K6854の手法を用いて剥離強度の変化を測定することにより、以下のようにして求めることができる。【0019】転写箔シートを30±2mm×175mmの試験片とする。この試験片と同等な形状の被転写体を用意し、試験片の一方端から125mm迄の領域で被転写体と圧着する。圧着はラミパッカーLBP3301(商品名、日本オフィスラミネーター製)を用いて、130℃、1m/minの速度で行う。図5は、引張強度を測定することができるインストロン社製の万能材料試験機(商品名)の把持部付近の概略図である。該万能材料試験機(商品名)のつまみ12、12に、前記工程で得られた圧着体における試験片11の非圧着部位の端部と、被転写体10の非圧着部位の端部を固定し、測定モードをフィルム引張にセットし、20℃〜25℃雰囲気にて、前記圧着体の長手方向に、即ち、180°方向に引張速度100mm/minにて剥離する。【0020】 この時の引張強度と伸びの関係は、図6に示すグラフのようなパターンとなる。図6において、Aはピーク値であり、転写層における圧着部位と非圧着部位の境界が破断したときの破断強度に相当する。また、Bはピーク後の飽和値であり、基材シートが転写層から剥離が開始するときの剥離強度に相当する。したがって、JIS K6854の手法により測定した引張強度のグラフから、簡易的に破断強度と剥離強度を得ることができる。【0021】なお、剥離方向は前記180°よりも角度を小さくしても剥離することができ、この場合には、得られた破断強度、剥離強度は剥離方向の角度に応じて相関した値となる。【0022】ホログラム転写箔シートの層構成図3は本発明のホログラム転写箔シートの基本形態を示す断面図である。図3に示す本発明のホログラム転写箔シート1は、基材フィルム2上に転写層3を構成する層として、剥離層4、ホログラム形成層5、さらに感熱性接着剤層7を順次積層したものである。基材フィルム2とホログラム形成層5の間に剥離層4を設けることで、熱転写時に転写層3と基材フィルム2の剥離性を上げる効果が得られる。さらに剥離層4とホログラム形成層5の密着性が弱い場合は、密着性向上のための層を設けても良い。【0023】ホログラム形成層5が表面レリーフ型ホログラム層である場合には、図4に示すように、ホログラム形成層5と感熱性接着剤層7の間に、反射層6を設けると良い。【0024】基材フィルムホログラム転写箔シートの基材フィルムとしては、転写性、剥離性を有するものであればよく、例えば、2軸延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが寸法安定性、耐熱性、強靱性等の点から最も好ましい。これ以外に、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、セロファンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、アセテートフィルム、ナイロンフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン/ビニルアルコール共重合体フィルム、フッ素含有フィルム、各種共押出しフィルム等が使用できる。厚みとしては5μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmがよい。【0025】剥離層ホログラム転写箔シートの剥離層としては、例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等の内、1種若しくは2種以上を混合したものが用いられる。特に、剥離層は基材フィルムと転写層との間の剥離力を、20℃〜25℃における剥離強度が1×105 Pa以上6.5×105 Pa以下の範囲の剥離強度になるように、その材質等を適宜選択して形成するのが好ましい。この剥離層はインキ化し、塗布等の公知の方法によって基材フィルムの表面に形成することができ、その厚みは剥離力、箔切れ等を考慮すると0.1〜2μmの範囲が好ましい。【0026】ホログラム形成層ホログラム転写箔シートのホログラム形成層には、表面レリーフ型、体積型、光選択波長層を使用したものの3種類が挙げられる。【0027】1)表面レリーフ型ホログラム形成層ホログラム形成層のうち、表面レリーフ型ホログラム形成材料としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の各種樹脂材料が選択可能であり、以下のものが例示される。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。【0028】これらの樹脂は単独、若しくは2種以上の共重合体として使用される。また、これらの樹脂は単独、若しくは2種以上を各種イソシアネート樹脂や、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱あるいは紫外線硬化剤を配合しても良い。【0029】また、電離放射線硬化型樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。ここで電離放射線硬化型樹脂として、レリーフ型ホログラム形成材料として有用なウレタン変性アクリル系樹脂の製造例を示す。【0030】上記のような電離放射線硬化型樹脂に、架橋構造、粘度の調整等を目的として、下記のようなその他の単官能又は多官能モノマー、オリゴマー等を包含させることができる。【0031】例えば、単官能ではテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート、2官能以上では、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートであり、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。【0032】更に詳しく述べると、2官能のモノマー、オリゴマーとしてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしてはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等、4官能のモノマー、オリゴマーとしてはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしてはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。官能基数は特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、また、20以上では柔軟性が低下する傾向があるため、特に3〜20のものが好ましい。【0033】さらに、表面レリーフ型ホログラムを形成する際に、該形成材料に、表面に凹凸が形成されているプレスタンパーを圧着させ、凹凸を該形成材料表面に形成するが、この時、該形成材料が該プレスタンパーより容易に剥離できるように、予め離型剤を含有させることもできる。用いられる離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。特に好ましい離型剤は変性シリコーンであり、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型、トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと呼ぶ)、シリコーングラフトアクリル樹脂、及びメチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。【0034】変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル基変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。【0035】上記シリコーンオイルの中でも、被膜形成成分と反応性である基を有する種類の反応性シリコーンオイルは、樹脂層の硬化とともに樹脂に反応して結合するので、後に凹凸パターンが形成された樹脂層の表面にブリードアウトすることがなく、特徴的な性能を付与することができる。特に、蒸着工程での蒸着層との密着性向上には有効である。【0036】2)体積型ホログラム形成層ホログラム形成層のうち、体積型ホログラム形成材料としては、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等公知の体積ホログラム記録材料が挙げられ、特に、乾式の体積位相型ホログラム記録用途の感光性材料であり、マトリックスポリマー、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素とからなるものが挙げられる。【0037】光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマー、及びそれらの混合物が挙げられ、例えば不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。【0038】不飽和カルボン酸の具体例としてはアクリル酸、メタクルリ酸、イタコン酸、マレイン酸、及びそれらのハロゲン置換不飽和カルボン酸、例えば臭素化不飽和カルボン酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸塩としては、前述の酸のナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。【0039】また、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルの具体例としては、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリル酸エステル、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等のメタクリル酸エステル、その他、イタコン酸エステル系、マレイン酸エステル系化合物等が挙げられる。【0040】ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ジブロモプロピルアクリレート、メタクリル酸クロライド、トリブロモフェノールアクリレート等が例示される。【0041】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物の具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド等が例示される。【0042】必要に応じて添加される可塑剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジメチルシクロヘキシル、アジピン酸イソデシル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類、(アセチル)クエン酸トリエチル、(アセチル)クエン酸トリブチル等のクエン酸エステル類、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類が挙げられる。【0043】開始剤系における光重合開始剤としては、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メルカプトベンズイミダゾール、イミダゾール二量体類等が例示される。【0044】増感色素としては、チオピリリウム塩類、メロシアニン類、キノリン類、ケトクマリン類、チオキサンテン類、シアニン類、ローダミン類、ジフェニルヨードニウム塩類等が例示される。【0045】マトリックスポリマーとしては、ポリメタクリル酸エステル又はその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物、ポリビニルアルコール又はその部分アセタール化合物、トリアセチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも一つを重合成分とする共重合体等又はそれらの混合物が用いられる。【0046】光重合可能な化合物は、バインダー樹脂100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で使用される。光重合開始剤は、バインダー樹脂100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは5〜10重量部の割合で使用される。増感色素は、バインダー樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部の割合で使用される。【0047】これらのホログラム記録材料は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、酢酸エチル、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤を使用し、塗布液とされる。【0048】反射層ホログラム転写箔シートの反射層として、光を反射する金属薄膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でホログラム層と屈折率差がある場合は透明タイプとなるがいずれも本発明に使用できる。反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成可能である。【0049】不透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属及びその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜である。上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、望ましくは20〜200nmの範囲である。【0050】透明タイプのホログラムを形成する薄膜は、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材料のものも使用できる。例えば、ホログラム形成層(光硬化樹脂層)の樹脂と屈折率の異なる透明材料がある。この場合の屈折率はホログラム形成層の樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。また、上記以外では20nm以下の金属性反射膜がある。好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸化チタン(TiO2 )、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等が挙げられる。【0051】感熱性接着剤層ホログラム転写箔シートの感熱性接着剤層としては、公知の感熱接着性樹脂が使用できる。例えば、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレンブタジエンゴム等のゴム系、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系、ポリイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル系、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系、ポリアクリルアミド、ポリメチロールアクリルアミドなどのポリアミド系、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化オレフィン、ポリビニルブチラール、またその他、酢酸ビニル/アクリル酸オクチル、酢酸ビニル/アクリル酸ブチル、酢酸ビニル/エチレン、塩化ビニリデン/アクリル酸ブチル、ポリエチレン樹脂、エチレン/イソブチルアクリレート、ブチラール樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、SBS、SIS、SEBS、SEPS等の熱可塑性樹脂が挙げられる。【0052】ホログラム転写例図7は本発明のホログラム転写箔シートを用いた転写例を示す説明図である。図7に示すようにホログラムを付与しようとする被転写体10の表面に本発明のホログラム転写箔シート1を該転写箔シート1の感熱性接着剤層が接するように重ね合わせ、ホログラムを付与しようとする部分の転写箔シート1の上(基材フィルム2側)を加圧板9で加熱・加圧して、所望部分の感熱性接着剤層を溶融接着させ、しかる後に転写箔シート1を剥離すると、所望部分の転写層のみが転写されて、被転写体10表面にホログラムを付与することができる。【0053】【実施例】樹脂溶液の製造例冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、トルエン40g及びメチルエチルケトン(MEK:略語)40gをアゾ系の開始剤とともに仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA:略語)22.4g、メチルメタクリレート(MMA:略語)70.0g、トルエン20g、及びMEK20gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110℃の温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。【0054】これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI:商品名)27.8g、トルエン20g及びMEK20gの混合液を加えて、ラウリン酸ジブチル錫を触媒として付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。得られた樹脂溶液の固形分は41.0%、粘度は130mPa(30℃)、分子量はポリスチレン換算で60000、C=C結合導入量は13.8モル%であった。【0055】〔実施例1〕ホログラム形成層に表面レリーフ型ホログラムを使用した場合の実施例前記製造例で得た樹脂溶液を用いて下記の光硬化性樹脂組成物を調製し、表面レリーフ型ホログラム形成材料とした。【0056】上記配合の樹脂組成物をメチルエチルケトン(MEK)/トルエン:(5/5)で希釈して固形分を20%に調製した。25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーT60:商品名、東レ社製)に50m/minの速度で剥離層(ハクリニス45−3:商品名、昭和インク社製)をグラビアコートで塗工し、100℃で乾燥して溶剤を揮散させた後、乾燥膜厚で1g/m2 の剥離層/PETの層構成からなるフィルムを得た。【0057】前記の光硬化性樹脂組成物を剥離層/PETの層構成からなるフィルムの剥離層上にロールコーターで塗工し、110℃で乾燥して溶剤を揮散させた後、乾燥膜厚で2g/m2 の複製用感光性フィルムを得た。得られたフィルムはいずれも常温ではべとつかず、巻き取り状態で保管できるものであった。【0058】複製装置のエンボスローラーには、レーザー光を用いて作ったマスターホログラムから引き続き作成したプレススタンパーが設置されている。尚、樹脂製版にマスターホログラムから複製ホログラムを作成し、これをシリンダー上に貼り付けたものも使用できる。上記で作成した複製用感光性フィルムを給紙側に仕掛け、150℃で加熱プレスして微細な凹凸パターンを形成させた。引き続き、水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。引き続き真空蒸着法によりアルミニウム層をこの上に蒸着して反射型のレリーフホログラムを形成した。【0059】この表面に、HS−32マット(商品名、昭和インク工業社製)の感熱性接着剤をグラビアコートで塗工し、100℃で乾燥して溶剤を揮散させた後、乾燥膜厚で3g/m2 の感熱性接着剤層を形成した。【0060】得られた転写箔シートの基材フィルム側から特定の金型で130℃で加熱、加圧して塩化ビニルカードに転写してみたところ、箔切れも良好に転写することができた。【0061】〔実施例2〕ホログラム形成層に体積型ホログラムを使用した場合の実施例体積型ホログラム形成材料として、基本バインダーをガラス転移点が100℃付近になるポリメチルメタクリレート系とした光硬化性樹脂組成物を用いた。【0062】該体積型ホログラム形成用光硬化性樹脂組成物を、下記の溶剤と混合して、コーティング組成物とした。・体積型ホログラム形成用光硬化性樹脂組成物 60重量部・メチルエチルケトン(MEK) 25重量部・トルエン 15重量部【0063】 上記コーティング組成物を、50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(Myler2000(商品名)、デュポン社製)に乾燥後膜厚が3g/m2 となるようにグラビアコートで塗工し、さらに塗工面に50μmのPETフィルムをラミネートして、体積型ホログラム形成用フィルムを作成した。【0064】上記体積型ホログラム形成用フィルムの一方の側のPETフィルムを剥離し、予め用意された体積型ホログラム原版に、コーティングされた光硬化性樹脂組成物面をラミネートした。そこで、ホログラム形成用フィルム側から、波長が514nmのアルゴンレーザー光を入射して体積型ホログラムを得た。【0065】25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーT60(商品名)、東レ社製)に10m/minの速度で剥離層(ハクリニス46−7(商品名)、昭和インク社製)をグラビアコートで塗工し、100℃で乾燥して溶剤を揮散させた後、乾燥膜厚で1g/m2 の剥離層/PETの層構成からなるフィルムを得た。【0066】この剥離層上に、上記で作成した体積型ホログラムを原版から剥離してラミネートし、PET/剥離層/体積型ホログラム層/PETの構成を得、さらに加熱、紫外線照射で処理した。【0067】上記構成より体積型ホログラム層に接しているPETを剥離し、該体積型ホログラム層上に感熱性接着剤(アクアテックスEC−1200(商品名)、中央理化工業社製)をグラビアコートで乾燥後膜厚が4g/m2 となるように塗工し、PET/剥離層/体積型ホログラム層/感熱性接着剤層からなる、体積型ホログラム転写箔シートを得た。得られた転写箔シートの基材フィルム側から特定の金型で130℃で加熱、加圧して塩化ビニルカードに転写してみたところ、箔切れも良好に転写することができた。【0068】〔比較例1〕前記実施例1において、表面レリーフ型ホログラム形成材料のうち、ポリエステルアクリレートをウレタンアクリレート(商品名:3000B、日本合成社製)とした以外は変更せずに実施した。ここで調製した転写箔シートの20℃〜25℃雰囲気における破断強度は2.3×107 〔Pa〕、剥離強度は2×105 〔Pa〕であった。得られた転写箔シートの基材フィルム側から特定の金型で130℃で加熱、加圧して塩化ビニルカードに転写してみたところ、バリが発生してうまく被転写体に転写することができなかった。【0069】〔比較例2〕前記実施例2において、体積型ホログラム形成材料にガラス転移点が40℃付近であるポリ酢酸ビニル系を使用した以外は変更せずに実施した。ここで調製した体積型ホログラム形成材料の20℃〜25℃雰囲気における破断強度は1.5×107 〔Pa〕、剥離強度は4.6×104 〔Pa〕であった。得られた転写箔シートの基材フィルム側から特定の金型で130℃で加熱、加圧して塩化ビニルカードに転写してみたところ、転写工程時にはバリが発生してうまく被転写体に転写することができなかった。【0070】〔実施例1、2、比較例1、2の転写箔シートの性能評価〕以上の実施例1、2、比較例1、2で得られた転写箔シートの剥離性、耐薬品性、耐擦過性、蒸着適性、耐屈曲性についての評価結果を下記の表1に示す。なお、物性の評価法は次の通りである。【0071】剥離性(プレススタンパーからの剥離性):図8に示すホログラム複製装置を用い、ホログラム原版40を表面に形成したエンボスローラー31と押えつけローラー32で基材フィルム2上に塗工された樹脂層20を押圧して、樹脂層20表面に凹凸を形成し、1000m連続複製を行い、プレススタンパー上に樹脂の残りがないかを確認することにより行った。○・・・残りがない。×・・・残りがある。【0072】耐薬品性:加工部の硬化表面をメチルエチルケトンをしみ込ませたガーゼで100回往復させて擦ったとき、表面に異常がなかったものを良好とし、表面に異常を生じたものを不良とした。○・・・良好。×・・・不良。【0073】耐熱性:加工品の硬化表面を熱ロールで200℃に加熱し、3分間保持した後の変色や変形等を見た。異常のなかったものを良好とし、黄変若しくは変形や剥離を生じたものを不良とした。○・・・良好。×・・・不良。【0074】耐擦傷性:#0000のスチールウールで加工品の硬化表面を10回擦ったとき、表面に何の変化もなかったものを良好とし、表面が傷つき、白化したものを不良とした。○・・・良好。×・・・不良。【0075】蒸着適正:ホログラム又は回析格子形成面に、真空蒸着法によりアルミニウム層を蒸着した後、密着性をセロテープ基盤目試験で評価した。○・・・蒸着性良好。×・・・蒸着性不良。【0076】転写箔シート適正:ホログラム又は回析格子形成面に、真空蒸着法によりアルミニウム層を蒸着した後、更にヒートシール用のアクリル系接着剤(ホットスタンプ剤)を塗工して得たものを、転写機を用いてポリ塩化ビニルカード上へ転写し、転写箔シートの箔切れ性及び密着性を評価した。○・・・良好。×・・・不良。【0077】耐屈曲性:ポリ塩化ビニルカード上へ転写した転写箔にエンボス文字加工をして、エンボス文字に割れ等が生じていないかを確認した。○・・・変化なし。×・・・割れがある。【0078】【表1】【0079】 〔実施例1、2、比較例1、2の転写箔シートの剥離性及び破断性の評価〕 合板の上に前記実施例1、2、比較例1、2の転写箔シートの接着剤面を被転写体に、130℃にてラミパッカーLBP3301(商品名、日本オフィスラミネーター製)を用いて、1m/minの速度にて転写箔シートと被転写体をラミネートした。次いで、20℃〜25℃雰囲気において、転写箔シートをJIS K6854の手法により180°方向に剥離することにより、該特定部位における境界の破断強度と、基材フィルムと剥離層間の剥離強度を測定した。【0080】 図9に実施例1、2の転写箔シートの剥離試験の結果を、横軸に伸び(mm)、縦軸に強度〔Pa〕を採ったグラフに示す。図9のグラフにおいて、実施例1は▲及び▼で示す曲線であり、3回の測定データを示し、実施例2は●及び×で示す曲線であり、2回の測定データを示す。【0081】実施例1、2の転写箔シートの破断強度と、それらの基材フィルムと剥離層間の剥離強度を表2に示す。破断強度はグラフにおけるピーク値、剥離強度はピーク後に飽和した値としている。実施例1、2のそれぞれの値は、測定データの各平均値を表す。【0082】 図10に比較例1、2の転写箔シートのJIS K6854の手法により180°方向に剥離した剥離試験の結果を、横軸に伸び(mm)、縦軸に強度〔Pa〕を採ったグラフに示す。比較例1、2の転写箔シートの破断強度及び剥離強度を表2に示す。【0083】【表2】【0084】 表2によれば、本実施例1〜2の転写箔シートについて、JIS K6854の手法を用いて測定した20℃〜25℃雰囲気における、破断強度が4×105 Pa以上1×106 Pa以下、且つ、剥離強度が1×105 Pa以上6.5×105 Pa以下であることが分かる。【0085】【発明の効果】本発明に規定の破断強度及び剥離強度を有する転写箔シートによれば、転写時に転写層の安定した箔切れ性と、基材フィルムの剥離層からの剥離性を発揮することができるため、転写箔シートにおける転写層の転写を確実に行うことができ、被転写体への転写の生産性を高めることができる。【0086】本発明の転写箔シートの剥離性及び破断性の評価方法によれば、一つの簡易的な試験により、転写時に転写層の箔切れ性と、基材フィルムの剥離性の2つの評価を同時に行うことができる。【図面の簡単な説明】【図1】被転写体に対してホットスタンプ等により熱圧着処理し、次いでホログラム転写箔シートを剥離して転写されたホログラムを得る様子を示すフロー図である。【図2】ホログラム転写箔シートの剥離時の斜視図である。【図3】本発明のホログラム転写箔シートの基本形態を示す断面図である。【図4】本発明のホログラム転写箔シートの別の基本形態を示す断面図である。【図5】引張強度を測定することができるインストロン社製の万能材料試験機(商品名)の把持部付近の概略図である。【図6】本発明の転写箔シートの引張強度と伸びの関係を示すグラフ。【図7】本発明のホログラム転写箔シートを用いた転写例を示す説明図である【図8】ホログラム複製装置を示す図である。【図9】実施例1、2の転写箔シートの剥離試験の結果を、横軸に伸び(mm)、縦軸に強度〔Pa〕を採ったグラフを示す。【図10】比較例1、2の転写箔シートの剥離試験の結果を、横軸に伸び(mm)、縦軸に強度〔Pa〕を採ったグラフを示す。【符号の説明】1 ホログラム転写箔シート2 基材フィルム3 転写層4 剥離層5 ホログラム形成層6 反射層7 感熱性接着剤層8 ホットスタンプ9 加圧板10 被転写体11 試験片12 つまみ20 樹脂層31 エンボスローラー32 押えつけローラー40 ホログラム原版 基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シートにおいて、 被転写体に該転写箔シートの転写層側を重ね熱融着する温度にて熱圧着したときの転写物積層体における基材フィルムと転写層間の破断強度が4×105 Pa以上1×106 Pa以下、且つ、20℃〜25℃雰囲気における剥離強度が1×105 Pa以上6.5×105 Pa以下であり、該剥離強度はJIS K6854に基づき測定されたものであることを特徴とする転写箔シート。 基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層、ホログラム形成層及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シートにおいて、 被転写体に該転写箔シートの転写層側を重ね熱融着する温度にて熱圧着したときの転写物積層体における基材フィルムと転写層間の破断強度が4×105 Pa以上1×106 Pa以下、且つ、20℃〜25℃雰囲気における剥離強度が1×105 Pa以上6.5×105 Pa以下であり、該剥離強度はJIS K6854に基づき測定されたものであることを特徴とする転写箔シート。 前記ホログラム形成層が、その表面に凹凸が賦型された表面レリーフ型ホログラムであることを特徴とする請求項2記載の転写箔シート。 前記ホログラム形成層と前記感熱性接着剤層との間に反射性金属薄膜層が形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の転写箔シート。 前記ホログラム形成層が、その形成材料内に干渉縞が記録されることによりホログラムが形成されている体積型ホログラムであることを特徴とする請求項2記載の転写箔シート。 基材フィルム上に転写層として少なくとも剥離層及び感熱性接着剤層が形成されている転写箔シートの熱圧着側を被転写体に重ね、 該転写箔シートを該感熱性接着剤が熱融着する温度にて熱圧着し、 得られた転写物積層体に対して、JIS K6854の手法を用いて剥離強度の変化を測定することにより、熱圧着部位の境界における破断強度と、基材フィルムと転写層間の剥離強度を簡易的に得ることを特徴とする、転写箔シートの剥離性及び破断性の評価方法。