生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_リン酸イオン選択性電極およびその作製方法
出願番号:2000278477
年次:2010
IPC分類:G01N 27/333,C02F 1/00,G01N 27/416,G01N 33/18


特許情報キャッシュ

小林 剛士 岩本 恵和 JP 4448243 特許公報(B2) 20100129 2000278477 20000913 リン酸イオン選択性電極およびその作製方法 株式会社堀場製作所 000155023 藤本 英夫 100074273 小林 剛士 岩本 恵和 20100407 G01N 27/333 20060101AFI20100318BHJP C02F 1/00 20060101ALI20100318BHJP G01N 27/416 20060101ALI20100318BHJP G01N 33/18 20060101ALI20100318BHJP JPG01N27/30 321ZC02F1/00 VG01N27/46 351JG01N33/18 CG01N33/18 106Z G01N 27/333 G01N 27/416 特開平04−130262(JP,A) 特開平10−147654(JP,A) 特開平04−070559(JP,A) 特開昭62−174649(JP,A) 3 2002090332 20020327 5 20070828 大竹 秀紀 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、湖沼などでの富栄養化の指標として重要視されているリン酸イオンの濃度を選択的に測定できるリン酸イオン選択性電極およびその作製方法に関する。【0002】【従来の技術】イオン選択性電極(イオン電極ともいう)は、その電極が分析対象としているイオンに選択的に応答し、イオン濃度やイオン活量などを測定するものである。このようなイオン電極は、特定イオンに感応して比較電極との間にそのイオン濃度に応じた電位差を示すため目的イオンの定量ができる。これは、例えば陰イオン選択性電極では、測定対象イオン(Xn-)の活量ax と陰イオン選択性電極が示す電位差E(mv)との間にネルンストの式が成立し、25°Cではのように電位差Eと活量ax の対数との間に比例関係が成り立ち、電位差Eの測定から目的のイオンの活量ax が簡単に計算できるからである。【0003】【発明が解決しようとする課題】従来、リン酸イオンに応答するイオン電極として、イオンホアを高分子物質にしみこませて固定した液体膜電極があるけれども、これは一般的に検出限界が高く、安定性に乏しいという問題点がある。【0004】一方、感応膜が難溶性のリン酸塩であるリン酸亜鉛を主成分とする固体膜から構成されている固体膜電極が提案されている(特開平4−130262号公報参照)けれども、リン酸イオン濃度を低濃度まで測定するには検出限界が高すぎる。【0005】この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、検出限界を小さくしてリン酸イオン濃度を低濃度まで測定することができるリン酸イオン選択性電極およびその作製方法を提供することである。【0006】【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、この発明では、イオン選択性電極の感応膜が、難溶性金属塩を主成分とする固体膜から構成されており、さらに、前記難溶性金属塩がリン酸アルミニウムであることを特徴としている。【0007】また、この発明は別の観点から、難溶性金属塩としてリン酸アルミニウムを主成分とし、この粉末を高温加圧成形し、得られた固体膜を感応膜とすることを特徴とするリン酸イオン選択性電極の作製方法を提供する。【0008】【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の一実施形態のリン酸イオン選択性電極の全体構成を示し、図2は、リン酸イオンの検量線を示す。【0009】図1において、1は、感応膜で、リン酸アルミニウム(難溶性金属塩の一例)とアルミニウム金属の混合物を高温加圧成形(ホットプレス)することにより固体膜に形成されている。【0010】2は、固体膜1と支持管4内のリード線3とを電気的に接続する導電性接着剤である。そして、リン酸イオン選択性電極Aは、支持管4の下端に固体膜1が支持された状態で上端をキャップ5で封止してなる。6は、導線である。【0011】以下、固体膜1の作製手順について説明する。【0012】(1)まず、リン酸アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)を熱水に溶解したリン酸アルミニウム水をろ過精製して、前記リン酸アルミニウム水に含まれるリン酸ナトリウムを除去する。なお、リン酸アルミニウム水からリン酸ナトリウムを除去するのは、感応膜1からリン酸イオンの溶解を防ぐためである。この実施形態では、例えば、10グラムのリン酸アルミニウムを1000ミリリットルの熱水に溶かした。この場合、リン酸アルミニウムの純度を高めるために、ろ過精製を一回だけではなくて三回繰り返すのが好ましい。【0013】(2)続いて、リン酸ナトリウムが除去されたリン酸アルミニウム水を乾燥させる。この乾燥時の温度は110〜150℃が好ましく、乾燥時間は24時間が好ましい。【0014】(3)続いて、乾燥したリン酸アルミニウムとアルミニウム粉末(アルミニウム金属)を乳鉢に、例えば計20グラム混入してすり混ぜる。【0015】(4)最後に、すり混ぜたもの(粉末)に高温加圧成形(ホットプレス)を施すことによって、所定の大きさの固体膜に形成された感応膜1を得る。なお、高温加圧成形時の温度は160℃が好ましく、圧力は5ton/cm2 、加圧時間は20分が好ましい。【0016】そして、上述したように、得られた固体膜1とリード線3を導電性接着剤2で接着して組み立てを行い、リン酸イオン選択性電極Aを得る。【0017】このリン酸イオン選択性電極Aのコンディショニングには、感応膜1の外部を0.001モル/リットルのNa2 HPO4 溶液に一晩浸漬して行い、その後、リン酸イオン選択性電極Aとして使用する。【0018】このリン酸イオン選択性電極Aは、リン酸イオンに感応して比較電極との間にリン酸イオンの濃度に応じた電位差を示すためリン酸イオン濃度の定量ができる。なお、この発明のリン酸イオン選択性電極Aは、いわゆる第2種の電極で構成されており、アルミニウム金属の酸化還元電位でアルミニウムイオン濃度も検出できる。つまり、この発明のリン酸イオン選択性電極Aは、リン酸アルミニウムの溶解平衡がリン酸により決定され、同時にアルミニウムイオン濃度の変化をとらえるものである。【0019】次に、比較電極、イオンメータなどを使用して電位とリン酸イオン濃度の関係を測定した。その評価結果を図2に示す。【0020】図2から、この発明のリン酸イオン選択性電極Aは、電位差(mV)とHPO4 (m mol/l)(リン酸イオンの活量)の対数との間に比例関係が成り立つというネルンストの式に合致していることが分かる。その結果、この発明のリン酸イオン選択性電極Aはリン酸イオンに対して選択的に感応することが判明した。【0021】更に、検出限界(mol/l)について、上述した特開平4−130262号公報に記載されたリン酸イオン選択性電極Bと比較すると、この発明のリン酸イオン選択性電極Aは以下の特性を有する。【0022】すなわち、前記リン酸イオン選択性電極Bの感応膜に使用されている難溶性のリン酸塩であるリン酸亜鉛〔Zn3 (PO4 )2 〕の溶解度をsとすると、溶解度積をkspとして、ksp=9.1×10-33 =〔Zn〕3 〔PO4 〕2 、s=3.91×10-7となり、理論的には3.91×10-7(mol/l)までの濃度検出が可能である。【0023】これに対し、この発明のリン酸イオン選択性電極Aでは、難溶性金属塩としてリン酸アルミニウム(AlPO4 )を主成分として採用しており、これにより、リン酸アルミニウム(AlPO4 )の溶解度をs’とすると、溶解度積をk’spとして、ksp=1.3×10-20 =〔Al〕〔PO4 〕、s’=1.14×10-10 となり、理論的には1.14×10-10 (mol/l)までの濃度検出が可能である。【0024】すなわち、この発明のリン酸イオン選択性電極Aの方が前記リン酸イオン選択性電極Bよりも低濃度まで測定することができる。【0025】つまり、この発明は、溶解度の低い難溶性金属塩を主成分とする粉末を加圧成形して得られた所定の大きさの固体膜1を感応膜とする電極構造を採用しているので、この発明のリン酸イオン選択性電極Aの方が、前記難溶性金属よりも塩溶解度の高い難溶性のリン酸塩(金属塩)を主成分とする固体膜(感応膜)を有する前記リン酸イオン選択性電極Bよりも検出限界を小さくできる。【0026】【発明の効果】この発明によれば、従来の感応膜よりも低濃度まで測定できる検出限界の小さいリン酸イオン選択性電極を提供できる効果がある。【図面の簡単な説明】【図1】この発明の一実施形態を示す構成説明図である。【図2】上記実施形態の電位対リン酸イオン濃度特性図である。【符号の説明】1…感応膜、A…イオン選択性電極。 イオン選択性電極の感応膜が、難溶性金属塩を主成分とする固体膜から構成されており、さらに、前記難溶性金属塩がリン酸アルミニウムであることを特徴とするリン酸イオン選択性電極。 前記感応膜を形成する感応物質が前記リン酸アルミニウムとアルミニウム金属である請求項1に記載のリン酸イオン選択性電極。 難溶性金属塩としてリン酸アルミニウムを主成分とし、この粉末を高温加圧成形し、得られた固体膜を感応膜とすることを特徴とするリン酸イオン選択性電極の作製方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る