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タイトル:特許公報(B2)_経皮吸収型外用貼付剤
出願番号:2000276139
年次:2011
IPC分類:A61K 9/70,A61K 47/22,A61K 47/14,A61K 47/32


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和田 好夫 平山 良之 大原 長夫喜 春日 慎也 東原 直子 米谷 映美 JP 4658299 特許公報(B2) 20110107 2000276139 20000912 経皮吸収型外用貼付剤 三笠製薬株式会社 390039468 斉藤 武彦 100071755 畑 泰之 100070530 和田 好夫 平山 良之 大原 長夫喜 春日 慎也 東原 直子 米谷 映美 20110323 A61K 9/70 20060101AFI20110303BHJP A61K 47/22 20060101ALI20110303BHJP A61K 47/14 20060101ALI20110303BHJP A61K 47/32 20060101ALI20110303BHJP JPA61K9/70 401A61K47/22A61K47/14A61K47/32 A61K 9/00 A61K 47/00 A61K 8/00 A61L 15/00-33/00@Z CAPLUS(STN) 特開2000−095687(JP,A) 特開平09−194396(JP,A) 特開平10−139661(JP,A) 特開昭56−161323(JP,A) 特開昭61−275212(JP,A) 5 2002087954 20020327 11 20070905 田村 直寛 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は外用貼付剤に関するものであり、更に詳しくは、薬物の皮膚吸収性及び安定性、並びに粘着特性に優れた、皮膚刺激性の低い外用貼付剤に関するものである。【0002】【従来の技術】薬剤を外用貼付剤として経皮吸収させて投与する方法は、注射剤や経口剤の投与と比較して、有効血中濃度の持続化による投与回数の減少化、最高血中濃度の低下による副作用の回避、注射や点滴投与時の苦痛の除去、在宅治療への可能性、経口投与における初回通過効果の回避、患者のコンプライアンスおよびクオリティー・オブ・ライフ(QOL)の改善等、様々な問題が解決できる。【0003】しかし、大部分の薬物は皮膚透過が困難な場合が多く、溶解剤や吸収促進剤の配合により経皮吸収性を向上させることが必要となってくる。経皮吸収促進剤としては極性の異なる多くの物質が発見されているが、溶液状態では効果がある経皮吸収促進剤でも、実用化に向け製剤化(特にパップ剤やテープ剤等)した場合、多くの経皮吸収促進剤でその効果が失われたり、製剤から経時的に経皮吸収促進剤が分離したりして、目的とする皮膚透過性や経時安定性が得られない場合がある。【0004】また、現在外用貼付剤としては、水溶性高分子を主体としたパップ剤、天然ゴムや合成ゴムを主体としたゴム系のテープ剤、アクリル樹脂を主体としたアクリル系のテープ剤等が一般に用いられている。中でもゴム系の粘着剤は、その高い安全性や粘着性、さらには溶剤を使わないホットメルト法の発展に伴い環境問題の懸念もなくなったこと等から外用貼付剤の基剤として汎用されるようになっている。しかしながら、ゴム系の粘着剤は経皮吸収促進剤や溶解剤を配合することが難しく、加えて汗による刺激や粘着力の低下が問題点として残されている。更に、汗による粘着力の低下を補うために粘着力を高く設定すると、剥離時の物理的な刺激が高まり、同一箇所での繰り返しの使用に耐え難くなるという問題も生じている。【0005】また別の問題として、ゴムを主体とした基剤中では薬物が溶解しにくく、結晶が析出して粘着力が低下したり、薬物の局在化等が起こり、商品価値を低下させる等の問題点も指摘されている。特開平4−321624号公報には、クロタミトンを消炎鎮痛薬の溶解剤として用いた貼付剤が提案されているが、クロタミトンの配合による結晶の溶解には限度があり、製造時には溶解しても、経時的に結晶が析出し、粘着力の低下が起こるという問題がある。また、溶解性を増すためにクロタミトンを増量すると、基剤からのしみ出し等の問題が起こる。【0006】また特開平10−218793号公報には1−メントールを溶解補助剤として用い、酢酸エチルなどのエステル系有機溶剤を用いることにより難溶性の薬物が容易に溶解し、乾燥工程でエステル系有機溶剤を揮散させても薬物が溶解状態で安定に保持されることが記載されている。薬物の溶解補助剤として1−メントール、経皮吸収促進剤としてアジピン酸ジイソプロピルやオレイルアルコール等を用いることにより薬物の経皮吸収性も改善されることが記載されている。しかしこれらの技術は溶剤を用いる方法であり、環境汚染の原因となりうる。また、一時的に過飽和な状態となることから、長期的に結晶が析出しない保証がなく、経時的な品質劣化が懸念される。更に、溶剤の乾燥工程で1−メントール等の揮発性成分の原料等もあり、一定の品質を保つには製造工程管理に多大の労力を必要とする。【0007】【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来知られたゴム系の粘着剤を用いる外用貼付剤では、非溶媒系での製造法上の利点を生かしたまま、薬物の経皮吸収性を増加させ、かつ品質の良い状態を長期間保つことのできるものは開発されていない。本発明の目的はかかる従来技術の問題点を解決することにある。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者等は上記した従来技術の問題点を解決するため鋭意研究を進め、ゴム系粘着剤に配合が容易でかつ薬物の経皮吸収性を増加させ、かつ品質の良い状態を長期間保つことのできる添加剤として炭酸プロピレンを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、薬物を含む粘着剤層が支持体に保持されている外用貼付剤において、粘着剤層がゴム系粘着剤と炭酸プロピレンを必須成分として含有することを特徴とする外用貼付剤にある。本発明の外用貼付剤は、薬効成分の結晶析出状態をコントロールし、経皮吸収性を増加させるだけでなく、粘着力等の品質の長期的な保持も可能にするのである。【0009】本発明において、ゴム系粘着剤としては当該分野で知られた適宜のゴム系粘着剤を用いうる。エラストマー成分の具体例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。これらの中でも、経皮吸収性や粘着性などの観点から、特にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)が好ましい。SISの市販品としては、SIS5002(日本合成ゴム製)、クレイトンD−1107(シェル製)等がある。特に溶液粘度(25%トルエン溶液)が2000〜100、より好ましくは1000〜500のものが好適に用いられる。溶液粘度が高すぎても、低すぎても粘着力のバランスをとるのが難しく、剥がれやすかったり、剥がすときの痛みが強かったりする。【0010】ゴム系粘着力は、粘着性を高めるために、通常、エラストマー成分以外に粘着付与剤や軟化剤を含有する。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂などが用いられる。SISなどのエラストマー成分100重量部に対して、粘着付与剤は通常20〜200重量部、好ましくは50〜150重量部、より好ましくは70〜120重量部用いられる。これらの配合割合の範囲内において、製剤の安定性、薬物の経皮吸収性、粘着性などが特に良好である。軟化剤としては、流動パラフィン、ポリイソブチレン、ポリブテン、液状ポリイソプレン、鉱油、プロセスオイル、ラノリンなどが用いられる。【0011】炭酸プロピレンはゴム系粘着剤のエラストマー成分100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、特に1〜10重量部用いることが好ましい。炭酸プロピレンの配合量が0.1重量部未満では、薬物の溶解性や粘着性が悪く、また50重量部を越えるとしみ出しの原因となるおそれがある。炭酸プロピレンはそれ単独でも用いうるが、界面活性剤と組合せて用いることにより、その効果は一層顕著となる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等特に限定されるものではないが、数平均分子量が1000を超える高分子界面活性剤が好ましく、中でもポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体が特に好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体は、数平均分子量が2000以上であることが好ましい。分子量が2000以下では糊残りを生じるおそれがある。更に好ましい分子量は5000〜20000である。【0012】上記のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体によって代表される界面活性剤の添加量はゴム系粘着剤のエラストマー成分100重量部に対して10〜100重量部が好ましく、より好ましくは30〜70重量部である。10重量部未満では粘着剤が硬くなり、100重量部以上では粘着力が弱くなるおそれがある。【0013】本発明において薬物は通常経皮的に投与可能で、全身作用或いは局所作用が期待される経皮吸収性薬物であればその種類は特に制限されないが、同一部位に繰り返し貼付する必要のある局所作用が期待される外皮用薬が好ましく、特に鎮痛、鎮痒、収れん、消炎剤等が好ましい。局所作用が期待される鎮痛、鎮痒、収れん、消炎剤の具体例としては、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェルビナク、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、ピロキシカム、イブプロフェン、インドメタシンファルネシル等の非ステロイド系消炎鎮痛剤やプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアレドナードやそれらの有機酸塩等のステロイド剤、ジフェンヒドラミン、グリチルレチン酸、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤等がある。【0014】さらに中枢神経系用薬、末梢神経系用薬、循環器官用薬、呼吸器官用薬、消化器官用薬、ホルモン剤等も用いることができる。それらを非限定的に列挙すれば、中枢神経系用薬では、具体的には、アルプラゾラム、オキサゾラム、クロチアゼパム、ジアゼパム、トフィソパム、フルジアゼパム、ブロマゼパム、ロフラゼブ酸エチル等の催眠鎮静剤、抗不安剤、エトスクシミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、ニトラゼパム、フェニトイン、フェノバルビタール等の抗てんかん剤、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、塩酸ブプレノルフィン、塩酸トラマドール、ケトプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ピロキシカム、プラノプロフェン、メフェナム酸、ロキソプロフェンナトリウム等の消炎鎮痛剤、エチゾラム、塩酸クロカプラミン、塩酸マブロチリン、塩酸ミアンセリン、塩酸モサブラミン、スルピリド、ゾテピン、炭酸リチウム、ハロペリドール、ブロムペリドール等の精神神経作用剤、アニラセタム、塩酸アマンタジン、塩酸チアプリド、バクロフェン等のその他の中枢神経系用薬等が、末梢神経系用薬としては、塩酸ジプカンイン、塩酸テトラカイン、塩酸プロカイン、塩酸メピバカイン、オキセサゼイン、リドカイン等の局所麻酔剤、カルバミン酸クロルフェネシン、臭化ベクロニウム、ダントロレンナトリウム、メシル酸プリジノール等の骨格筋弛緩剤、塩化アセチルコリン、塩酸オキシフェンサイクリミン、塩酸トラゾリン、臭化ジスチグミン、ネオスチグミン等の自立神経剤、アフロクァロン、塩酸エペリゾン、塩酸チザニジン、塩酸トルペリゾン、臭化水素酸スコポラミン、臭化ブチルスコポラミン、バクロフェン等の鎮けい剤等が、循環器官用薬としては、アミノフィリン、塩酸エチレフリン、塩酸エフェドリン、塩酸ドパミン、塩酸ドブタミン、デノパミン、ユビデカレノン等の強心剤、アテノロール、塩酸アロチノロール、塩酸カルテオロール、塩酸プロプラノロール、酒石酸メトプロロール、ピンドロール、フマル酸ビソプロロール等の不整脈用剤、アゾセミド、カンレノ酸カリウム、スピロノラクトン、トリクロルメチアジド、フロセミド等の利尿剤、アラセプリル、塩酸アモスラロール、塩酸ジルチアゼム、塩酸テモカプリル、塩酸テラゾシン、塩酸ニカルジピン、塩酸ブナゾシン、塩酸プラゾシン、塩酸マニジピン、塩酸ラベタロール、カプトプリル、シラザプリル、ニルバジピン、マレイン酸エナラプリル、メシル酸ドキサゾシン、リシノプリル等の血圧降下剤、塩酸ミドドリン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン等の血管収縮剤、塩酸ジルチアゼム、塩酸ニカルジピン、塩酸ベニジピン、硝酸イソソルビド、ニコランジル、ニトレンジピン、ニフェジピン、ニルバジピン等の血管拡張剤、エラスターゼ、クリノフィブラート、シンバスタチン、プラバスタチンナトリウム、プロブコール、ベザフィブラート等の高脂血症用剤等が、【0015】呼吸器官用薬としては、カルボシステイン、塩酸アンブロキソール、塩酸ブロムヘキシン、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸コデイン等の鎮咳去たん剤、塩酸クレンブテロール、塩酸プロカテロール、塩酸マブテロール、臭化水素酸フェノテロール、ツロブテロール、テオフィリン、硫酸サルブタモール等の気管支拡張剤等が、消化器官用薬としては、アズレン、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩酸セトラキサート、塩酸ラニチジン、塩酸ロキサチジンアセタート、シメチジン、スルピリド、テプレノン、ニザチジン、ファモチジン等の消化性潰瘍用剤、塩酸グラニセトロン、シサプリド、ドンペリドン、マレイン酸トリメブチン等の制吐剤等が、ホルモン剤としては、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン等の副腎ホルモン剤、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン等の男性ホルモン剤、エストラジオール、エストリオール、エチニルエストラジオール、ノルエチステロン、プロゲステロン等の卵胞ホルモン及び黄体ホルモン剤、ノルゲストレル・エチニルエストラジオール等の混合ホルモン剤等が、その他の代謝性医薬品としては、アルファカルシドール、エルカトニン、イプリフラボン、アルファカルシドール、サケカルシトニン、カルシトリオール等の骨代謝改善剤、エパルレスタット、インスリン、グリクラジド、グリベンクラミド等の糖尿病用剤、ビタミン剤としては、アルファカルシドール、カルシトリオール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA及びD剤、塩酸チアミン、コカルボキシラーゼ、フルスルチアミン等のビタミンB1剤、フラビンアデニンジヌクレオチド、酪酸リボフラビン等のビタミンB2剤、塩酸ピリドキシン等のビタミンB6剤、コバマミド、メコバラミン等のビタミンB12剤、アスコルビン酸等のビタミンC剤、酢酸トコフェロール等のビタミンE剤、フィトナジオン等のビタミンK剤等が、腫瘍用薬としては、チオテパ、ブスルファン等のアルキル化剤、テガフール、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、メトトレキサート、メルカプトプリン等の代謝拮抗剤、クエン酸タモキシフェン、クレスチン、カルボプラチン、シスプラチン、ビシバニール等のその他の腫瘍用剤等が、アレルギー用薬としては、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸プロメタジン、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤、ブシラミン等の刺激療法剤、イブジラスト、塩酸アゼラスチン、塩酸エピナスチン、塩酸オザグレル、オキサトミド、クロモグリク酸ナトリウム、テルフェナジン、トラニスト、フマル酸エメダスチン、フマル酸ケトチフェン等のその他のアレルギー用薬等がある。更に、塩酸モルヒネやクエン酸フェンタニル等の麻薬性鎮痛剤等も挙げることができる。【0016】本発明の外用貼付剤には、さらに、必要に応じて経皮吸収促進剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、架橋剤等を配合することもできる。さらにメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール等の保存料の他、着香料等も添加することができる。さらには各種の分散剤、湿潤剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤および懸濁剤等を含有させることもできる。【0017】経皮吸収促進剤としては、通常、経皮吸収型製剤に使用されるものであればよく、特に限定されないが、例えば高級アルコール類、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル類、尿素類、ピロリドン誘導体、有機酸、有機酸エステル類、テルペン類、精油、炭化水素、ベンジルアルコール、エイゾン(化学名:1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)、クロタミトン、シクロデキストリン、チオグリコール酸カルシウム等が挙げられる。【0018】高級アルコール類としては、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール等があげられる。これらの内、特にオクチルアルコール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール等が好ましい。【0019】高級脂肪酸としては、炭素数6〜32の飽和または不飽和脂肪酸等があげられる。具体例としてはカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘブタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、エライジン酸、ブラシジン酸等があげられる。これらの内、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸等が好ましい。【0020】高級脂肪酸エステルとしては(A)炭素数10〜32の脂肪酸エステルと炭素数14〜32の脂肪族一価アルコールとのエステル、(B)炭素数10〜22の飽和ないし不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルまたはそれらの水素添加物があげられ、具体的には例えば(A)としてパルミチン酸ミルスチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、リグノセリン酸セリル、セロチン酸ラクセリル、ラクセル酸ラクセリル等の脂肪酸エステル、ラノリン、蜜蝋、鯨蝋、セラミック蝋等の動物由来の天然蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋の如き植物由来の天然蝋等があげられる。また(B)としてはグリセリルモノラウレート、グリセリルモノミリスチレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、グリセリルジラウレート、グリセリルジミリスチレート、グリセリルジステアレート、グリセリルトリラウレート、グリセリルトリミリスチレート、グリセリルトリステアレート等があげられる。これらの内、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノミリスチレート、グリセリルモノオレートが特に好ましい。【0021】尿素類としては、尿素、チオ尿素等があげられ、更にピロリドン誘導体としては、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチルピロリドン、1−エチルピロリドン等があげられる。この内、尿素、1−メチル−2−ピロリドン等が好ましい。【0022】有機酸としては、乳酸、プロピオン酸、ケイ皮酸、ニコチン酸、フタル酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。有機酸エステル類としては乳酸エステル類等が挙げられる。この内、特に乳酸、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸ラウリル等が好ましい。【0023】テルペン類としてはテルピネオール、シネオール、メントール、イソメントール、メントン、ピペリトン、プレゴン、イオノン、カルボン、リモネン、カンフル、ボルネオール等が挙げられる。精油としてはこれらのテルペン類を主成分とするハッカ油、テレビン油、ユーカリ油、オレンジ油等が挙げられる。この内、メントール、リモネン、ハッカ油、ユーカリ油等が好ましい。【0024】炭化水素としては炭素数12〜32の炭化水素等があげられ、具体的には白色ワセリン、スクワラン、スクワレン等が挙げられる。【0025】pH調整剤としては、塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸等の無機酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、シュウ酸、乳酸、グルタル酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸あるいはこれらの塩、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸あるいはこれらの塩、及び水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機塩基、アンモニア、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。【0026】安定化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、酢酸トコフェロール、d1−α−トコフェロール等が挙げられる。【0027】【実施例】以下に、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。貼付剤の特性は、以下の方法で評価した。(1)貼付剤の表面観察支持体に塗工された粘着剤の表面を、デジタルマイクロスコープを用いて800倍で観察した。視野(約0.15mm2 )の中に観察された結晶の数を適当な3箇所で計測し、その平均値により表1のように評価した。【0028】【表1】【0029】(2)粘着の持続性の評価貼付剤を20〜30人の成人の肘部に12時間貼付し、貼付後の経時的な付着面積(%)を、指定した測定時間に各6回、目視により測定してもらった。測定された付着面積(%)の累計を、一人当たりのポイントとし、その平均値を持続的粘着力とし、表2のように評価した(貼付時から剥離時まで少しも剥がれずに付いていれば600ポイント)。【0030】【表2】【0031】(3)刺激性の評価貼付剤を20〜30人の成人の肘部に12時間貼付し、剥離30分後の皮膚の状態を観察してもらった。軽い紅斑や紅斑等異常のあった人の割合を刺激発生率として表3のように評価した。【0032】【表3】【0033】(4)再付着性の評価貼付剤を5人の成人の肘部に12時間貼付し、剥離後もう一度貼付してもらい、表4のように評価した。【0034】【表4】【0035】(5)薬物皮膚透過量の測定貼付剤を直径1cm2 の円に打ち抜き、8週齢の雄性ヘアレスラット摘出皮膚の角質側表面に貼付し、これを拡散セルに装着した後、皮膚の真皮側に37℃の水を約2.8ml充填する。貼付剤を皮膚に装着してから12時間後に水を0.4ml採取し、水中の薬物濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することにより、含有薬物の皮膚透過量値(μg/cm2 )を得た。【0036】表5に実施例と比較例を示し、炭酸プロピレンをゴム系の粘着剤に配合した場合の有用性についてまとめた。【0037】実施例1は、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体20重量部、流動パラフィン35重量部、脂環族飽和炭化水素樹脂20重量部、ポリブテン20重量部、BHT0.5重量部、炭酸プロピレン1重量部、フェルビナク3.5部の各成分を混合層内で窒素置換下、120〜150℃に加熱し、溶融混合した。こうして得られた粘着剤組成物をシリコン処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムに展延した後、メリヤス等の支持体に10×14cmあたり2gの重量になるように転写させ、目的の貼付剤を得た。【0038】比較例1は、実施例1の炭酸プロピレンの替わりにクロタミトンを用いたものである。結果より、フェルビナクの溶解性が炭酸プロピレンより高いクロタミトン(5倍以上の溶解性を示す)と比較しても表面に析出する結晶の量が少なかった。【0039】実施例2と比較例2は、薬物としてフェルビナクをケトプロフェンに替えた場合であるが、いずれの場合も製造後しばらくの間は結晶が観察されなかったが、比較例2の場合は、1年以上経過したサンプルにおいて目視で確認できる結晶の析出が観察された。【0040】実施例3は、実施例1に1−メントールを加えたものである。比較例3は、実施例3の炭酸プロピレンをアジピン酸ジイソプロピルに替えたものである。経皮吸収性は、炭酸プロピレンの方が高かった。【0041】実施例4は、実施例1のポリブテン(軟化剤)の一部を界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体)に替えたものである。これにより、表面の結晶はほとんどなくなり、粘着の持続性が高くなり、低刺激性、再貼付性等の付加価値も得られた。比較例4は、実施例4の炭酸プロピレンをオレイルアルコールに替えたものである。経皮吸収性のみは実施例4と同様であるが、他の品質(特に粘着の持続性)については劣る結果であった。比較例5は、実施例4の粘着付与剤である脂環族飽和炭化水素樹脂の量を増加し、実施例4と同様の粘着の持続性を得たものであるが、粘着力を増加させたためか、刺激性や再貼付性の面で品質が低下した。【0042】【表5】 薬物を含む粘着剤層が支持体に保持されている外用貼付剤において、粘着剤層がゴム系粘着剤と炭酸プロピレンを必須成分として含有することを特徴とする外用貼付剤。 粘着剤層が更に相溶化剤として界面活性剤を含有する請求項1記載の外用貼付剤。 薬物が鎮痛剤、鎮痒剤、収れん剤又は消炎剤である請求項1又は2記載の外用貼付剤。 薬物がフルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェルビナク、インドメタシン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ピロキシカム及びそれらの塩からなる群より選択される請求項1〜3のいずれか1項記載の外用貼付剤。 界面活性剤がポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体である請求項2〜4のいずれか1項記載の外用貼付剤。


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