タイトル: | 特許公報(B2)_超分散安定性を有する粉体の油性分散体及びこれを配合した化粧料 |
出願番号: | 2000275413 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C09C 1/00,A61K 8/00,A61K 8/02,C09C 3/08,C09C 3/10,C09C 3/12 |
長谷川 幸夫 大原 亮 JP 5001486 特許公報(B2) 20120525 2000275413 20000911 超分散安定性を有する粉体の油性分散体及びこれを配合した化粧料 三好化成株式会社 391024700 加藤 朝道 100080816 長谷川 幸夫 大原 亮 20120815 C09C 1/00 20060101AFI20120726BHJP A61K 8/00 20060101ALI20120726BHJP A61K 8/02 20060101ALI20120726BHJP C09C 3/08 20060101ALI20120726BHJP C09C 3/10 20060101ALI20120726BHJP C09C 3/12 20060101ALI20120726BHJP JPC09C1/00A61K8/00A61K8/02C09C3/08C09C3/10C09C3/12 C09C 1/00 C09C 3/08 C09C 3/10 C09C 3/12 特開平09−031358(JP,A) 特開昭56−029512(JP,A) 特開平05−285370(JP,A) 特開平04−202108(JP,A) 特開昭62−051609(JP,A) 特開平04−297407(JP,A) 9 2002080748 20020319 40 20070316 仁科 努 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は粉体粒子の分散性、貯蔵安定性、使用適性に非常に優れた粉体の新規油性分散体に関するものである。より詳しくは、粉体の粒子表面の少なくとも一部上に形成されたA、B2種類の層で、常温でそれぞれ固体層と液体層である表面処理剤被覆層とを含有する被覆粉体であって、更に粉体粒子表面の少なくとも一部上において、第1層としてA層である特定の反応性オルガノポリシロキサン等、アルキルシラン、ポリオレフィン、水添レシチン(その塩を含む。)、N−アシルアミノ酸(その塩を含む。)、脂肪酸(その塩を含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選ばれた1種以上の化合物を含有し常温で固体状である表面処理剤被覆層を、更にその上に第2層としてB層である特定の片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、特定のアルキルシラン、特定のパーフルオロアルキルシラン、及び特定の分岐脂肪酸(その塩を含む。)の中から選ばれた1種以上の化合物を含有する常温で液体状である表面処理剤被覆層を形成する被覆粉体と、親油性溶媒とを少なくとも含有する粉体の油性分散体、及びこれらを配合した化粧料に関するものである。【0002】本発明の粉体の油性分散体は粉体粒子の分散性、貯蔵安定性、使用適性に非常に優れているため粉体粒子の分散状態によって大きく変わる粉体の機能、例えば、皮膚への付着力(付着性)、感触(使用感)、光沢、隠蔽力、着色力、透明性、紫外線や赤外線の遮蔽能、導電性、蛍光性、発光性、触媒活性等を飛躍的に向上させることができる。【0003】従って、本発明による粉体の油性分散体を配合した本発明の化粧料は化粧料としての機能を従来のものより大きく向上させることができる。【0004】更に、このようにして得られる粉体の油性分散体は、化粧料のみならずプラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉)、化学繊維、包装材料、電子材料等の各種分野で広く使用される粉体の油性分散体にも適用可能である。【0005】【従来の技術】近年、粉体を取り扱う産業界では中間材料として粉体を何等かの分散媒に分散安定化させた分散体の必要性が高まっている。その理由としては、作業所内で粉体が飛散し作業者が吸入することによる呼吸障害の可能性があること、作業所周辺の環境保全のため、粉体は微粒子になる程容積が大きくなるため保管スペースをとること、粉体の分散には分散機の選定や分散条件等の技術的な問題が多々あり手間がかかること、更には、安定な粉体の分散体を使用することで作業の効率化が可能なこと、等が挙げられる。【0006】油性分散体の性状は流動する液状のタイプと流動しない粘土状のタイプに二分される。流動する油性分散体は粉体と分散液との比重差により経時で沈降しハードケーキ化し易く沈降防止や安定化のため第三成分として界面活性剤等の分散剤やゲル化剤を配合しているものが多い。また、粉体の含有量については50重量%以下のものが殆どである。一方、流動しない分散体は、粉体の含有量を高くすることができ粉体の沈降やハードケーキ化は起こり難いが処方へ配合の際に再分散が悪く作業の効率化に問題があった。本発明における粉体の油性分散体は最終製品に含めることもできるが、目的とする最終製品を処方する(配合する)際の成分(原料)又は中間体の一つとして使用することもできる。粉体を油性分散体とする目的は粉体をそのまま原料として取り扱うときの種々のデメリット(作業者の粉塵吸入、粉塵回収装置の設置による設備投資、分散の手間、粉体による保管スペース増等)を改善するため粉体の機能を最大限に発揮させるためである。そのために好適な粉体構成或いは分散媒の選択が求められる。油性分散体中の粉体含有量はできるるだけ高い程、かつ油性分散体の組成もできるだけ単純な配合(1種類の粉体と1種類の媒体)であることが好ましい。その理由としては、分散体の分散媒の量が多いと処方設計上の自由度が少なくなり、また他の処方への汎用性も悪くなるためである。【0007】紫外線や赤外線を遮蔽する微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛等の無機粉体は一次粒子径が数十nmと小さいため粉体粒子の凝集性と飛散性が特に高いため作業性が著しく悪く、その粒子の分散と分散安定化が非常に難しい。微粒子の分散が不十分であると処方へ配合したものを皮膚へ塗布すると白化が生じたり、目的のSPF値が得られないことが多い。また、最近では無機粉体の化粧料への配合量をできるだけ減らして高SPF値と高透明性を得ることに主眼がおかれる傾向に有り無機の微粒子粉体の高分散化とその安定化が望まれている。このため、微粒子粉体を溶媒に分散させた種々の油性分散体とその製法が公開されている。例えば、油と二酸化チタン及び有機分散剤が含有した油分散体及びその製法(特公平6−61457号公報参照。)、油と酸化亜鉛、二酸化チタン、及び有機分散剤を含有した日焼止めの製造方法(特開平5−201844号公報)、油と酸化亜鉛、及び有機分散剤を含有した酸化亜鉛粒子分散物(特開平5−213618号公報参照。)がある。これらの油性分散体は有機分散剤を必須成分としており最終製造者に親油性分散溶媒の選択の自由が無く処方への汎用性が非常に悪い。また、有機分散剤がシリコーン系分散溶媒への溶解が悪くシリコーン系分散体が得られない。シリコーン系分散体としては、特開平9−208438号公報、特開平10−167946号公報等に記載があるがこれらも分散剤が必須成分で有り処方への汎用性は非常に悪い。処方への汎用性を改良したものとしては、無機紫外線フィルターが液状紫外線フィルター中に分散されている油分散体(特開平12−26262号公報参照。)があるが無機紫外線フィルターの分散が悪く処方へ配合した際に白化現象を生じたり目的とするSPF値が得られないことや有機の紫外線吸収剤を配合しないいわゆるケミカルフリーと言われる剤型には使用できないこと等の理由により更なる改良が望まれている。【0008】ネールラッカーに配合される粉体として比重が大きく分散安定化の難しいものに酸化チタンや酸化鉄等がある。これらの粉体は酢酸エチルや酢酸ブチル等の有機溶剤を分散媒として分散体を調製しているが貯蔵安定性が悪く色別れ、色浮き、沈降等の現象が生じるため再分散を余儀なくされたり、剤型に配合したとき剤型の安定性や光沢の減少を生ずることがある。【0009】一方、ルースパウダー、パウダーファンデーション、パウダーアイシャドウ、ほほ紅等の粉末状又は固形粉末状のいわゆるパウダーものと言われる剤型に配合される粉体は、良好な使用感や高い透明性を出すために体質顔料が、また、粉体に隠蔽力や着色力を出すために酸化チタンや酸化鉄等が配合される。これらの粉体はその分散状態によってそれらの機能が大きく異なるため、予め粉体が高濃度に高分散した分散体が望まれている。【0010】油性塗料や油性インクに配合される無機粉体としては、酸化チタン、黄鉛、カドミウムエロー、カドミウムレッド、弁柄、鉄黒、亜鉛華、紺青、群青等が挙げられる。これらの粉体は有機顔料に比較して比重が大きいため粘性の低い有機溶剤への分散安定化はかなり難しく分散剤や安定化剤等が配合された多成分系で分散安定化を達成しているのが現状である。【0011】以上のような情況下に、粉体の機能を最大限に活かすために粉体を高濃度に高分散化し、しかも長期間安定に分散する方法、或いはそのような分散体が求められている。【0012】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記種々の問題点を改良し、従来品に比較して粉体粒子の分散性、貯蔵安定性、使用適性(再分散性及び汎用性)に極めて優れた粉体の分散体を提供するものである。本発明のもう一つの課題は、このような優れた分散体を配合することで従来品より優れた粉体の機能を有する化粧料等を提供することにある。【0013】【課題を解決するための手段】本発明者等は前記種々の課題を解決して、化粧料等に使用可能な粉体が高濃度にしかも長期にわたって安定に高分散を維持する優れた分散体を開発すべく鋭意検討した結果、粉体に特定の表面処理剤で2層被覆することにより得られる被覆粉体が親油性溶媒に対して著しく分散性が優れていることを見出した。特に、粉体(基材)の第1層目を、固体状を有する表面処理剤で被覆した後、更に第2層目を、液体状を有する表面処理剤で被覆することでこれまでにない高性能な被覆粉体が得られることを見出した。【0014】 更に、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、化粧料等に使用可能な粉体の表面の少なくとも一部上に(その全表面又はその一部表面上に)、少なくとも二つの層、粉体の粒子表面上にA層、A層の上にB層を配置し、A層には特定の反応性オルガノポリシロキサン、反応性オルガノポリシロキサンが三次元に架橋反応して樹脂化したもの、アルキルシラン、ポリオレフィン、水添レシチン(金属塩等塩の形態にあるものを含む。)、N−アシルアミノ酸(金属塩等塩の形態にあるものを含む。)、脂肪酸(金属塩等塩の形態にあるものを含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選択される化合物(1種又は複数)を含有し、常温で固体状態にある表面処理剤被覆層を、またB層には特定の片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、特定のアルキルシラン、特定のパーフルオロアルキルシラン及び特定の分岐脂肪酸(金属塩等塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物(1種又は複数)を含有し、常温で液体状態にある表面処理剤被覆層を構成することにより、得られる新規被覆粉体が前記親油性溶媒中に分散せしめたときに目的とする安定な高分散体として極めて有効であること、特に親油性溶媒との親和性が非常に良く、その結果分散性及び分散安定性に著しく優れていることを見出し、以上の多くの知見に基づいて本発明を完成するに到った。【0015】 即ち、本発明は化粧料等に使用可能な粉体の分散体であって、粉体粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層を有する被覆粉体と、その分散媒として親油性溶媒とを少なくとも含有し、前記被覆粉体は、粉体粒子表面の少なくとも一部上において、A層で被覆され、更にその上にB層で被覆されている粉体であることに特徴を有する粉体の油性分散体、A層:トリオルガノシロキシケイ酸及び両末端官能基変性オルガノポリシロキサンの中から選択される反応性オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリオレフィン、N−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)、脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選択される化合物(一種以上)を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:直鎖状で重合度が10〜100である片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、炭素数6〜30のアルキル基を有するアルキルシラン、フルオロカーボン数が1〜30のパーフルオロアルキルシラン及び炭素数が8〜22である分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物(一種以上)を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層、に存する。【0016】 また、本発明は、粉体粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層を有する被覆粉体と、その分散媒として親油性溶媒とを少なくとも含有し、前記被覆粉体は、粉体粒子表面の少なくとも一部上において、A層で被覆され、更にその上にB層で被覆されている粉体であることを特徴とする粉体の油性分散体、A層:反応性オルガノポリシロキサンが三次元に架橋反応して樹脂化したものを含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:直鎖状で重合度が10〜100である片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、炭素数6〜30のアルキル基を有するアルキルシラン、フルオロカーボン数が1〜30のパーフルオロアルキルシラン及び炭素数が8〜22である分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層、に存する。 また、本発明は、粉体粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層を有する被覆粉体と、その分散媒として親油性溶媒とを少なくとも含有し、前記被覆粉体は、粉体粒子表面の少なくとも一部上において、A層で被覆され、更にその上にB層で被覆されている粉体であることを特徴とする粉体の油性分散体、A層:水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:直鎖状で重合度が10〜100である片末端官能基変性オルガノポリシロキサン(但し、官能基がハロゲン原子である場合を除く)、下記一般式で示される炭素数6〜30のアルキル基を有するアルキルシラン及び炭素数が8〜22である分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層、に存する。R5nSiR6(4−n)上記一般式中、R5は炭素数6〜30のアルキル基を、複数存在するR6は全て相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I)、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、nは1、2又は3を、それぞれ表す。 ここで、粒子は、その表面がA層で被覆され、次いでそのA層の表面がB層で被覆される複合粉体の形態にあるものが特に好ましい。尚、上記粉体上でA層は常温で固体状であり、B層は常温で液体状である。 本発明には、このような分散体を含有し、配合し又は使用することに特徴を有する化粧料にも存する。【0017】 別の態様として本発明の粉体の油性分散体は下記被覆粉体を含有することができる。 化粧料に使用可能な粉体と、該粉体粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層とを含有することに特徴を有する被覆粉体、A層:アルキルシランを含む常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、パーフルオロアルキルシラン及び分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層、或いはA層:反応性オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリオレフィン、水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)、N−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)、脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:パーフルオロアルキルシランを含む常温で液体状の表面処理剤被覆層。【0018】【発明の実施の形態】以下に、本発明の特に好ましい形態として、化粧料用の粉体粒子表面をA層で被覆し、更にその表面をB層で被覆した表面処理粉体を親油性溶媒(複数でも可。)に分散した油性分散体を中心に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、この特に好ましい形態は本発明に含まれるが、これに限定されることはない。【0019】本発明に使用する粉体(A層、B層で被覆される前の基材)としては、通常化粧料に使用されうる粉体(基材)等であれば特に限定はないが、その平均粒子径は、好ましくは500〜0.01μm程度、より好ましくは100〜0.01μm程度である。【0020】尚、粒子径の測定法に関しては、0.1μm以上の粒子の場合レーザー回折法や、沈降法等が、また0.1μm以下の粒子の場合光子相関法や電子顕微鏡等が使用される。【0021】例えば、無機粉体としては、体質顔料として、マイカ、セリサイト、タルク、クレー、カオリン、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、窒化ホウ素、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等を挙げることができる。【0022】白色顔料としては、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム等を、着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、亜酸化銅、黒鉛、黄鉛、カドミウムエロー、カドミウムレッド、コバルトブルー、モリブデートオレンジ等を、蛍光顔料としては、硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等を、パール顔料としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、魚鱗箔等を、微粒子粉体としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウム等を、金属光沢顔料としては、アルミニウムパウダー、亜鉛粉、金粉、銀粉、スズ粉、ステンレスパウダー、ダイヤモンドパウダー、銅粉、ニッケルパウダー、ブロンズパウダー等を、蛍光顔料としては硫化亜鉛、タングステン酸カルシウム等を、その他の粉体としては、酸化錫、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、Alドープ酸化亜鉛等をそれぞれ挙げることができる。【0023】また、必要に応じてこれらの粉体を複合化したものを用いることができる。例えば、ベンガラ等の無機着色顔料を無水ケイ酸で被覆した粉体、体質顔料を微粒子白色顔料で被覆した粉体等が挙げられる。【0024】有機粉体としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、アクリル酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴムパウダー、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体等や、これ等の単量体の2種以上から成る共重合体、セルロイド、アセチルセルロース、セルロース、多糖類、タンパク質、有機タール色素等を挙げることができる。【0025】更に、本発明において表面処理される粉体は、表面処理剤との親和性や固着性の向上を図るべく、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル及びスズの少なくとも1種の酸化物又は含水酸化物で被覆されていてもよい。このような場合、このように被覆された粉体が本発明において被覆処理される粉体や処理すべき粉体等の、本発明においてA層を被覆する前の粉体(基材)に該当する。【0026】本発明において、表面処理される粉体の表面が、その少なくとも一部上において少なくともA層とB層で被覆されている。代表的には、粉体粒子表面に接して先ずA層で、A層の上に更にA層の表面に接してB層で、それぞれ当該粒子表面が被覆されている。この場合、粉体粒子の全表面についてA層とB層による二重被覆層を形成するのが本発明の効果が十分に得られる点で望ましいが、粒子表面の一部上でA又はBの層の被覆層のみという場合もあるし、極まれには粉体粒子表面の僅かな一部についてA層、B層何れの被覆層も存在しないこともあり得る。【0027】本発明の目的や、本発明で得られる効果を害しない範囲で、必要により更に別の層を、例えばA層とB層の層間、A層と粉体(基材)表面との層間に有していてもよい。【0028】以下に、具体的に粉体(化粧料用)の表面に接してA層、更にA層の表面に接してB層で被覆されている粉体を中心に説明するが、前述の通り本発明はこれに制限されるものではない。【0029】A層は粉体粒子表面に接して被覆される表面処理剤被覆層で、常温で固体状を呈しており、一方B層はA層を被覆した粉体粒子表面に接して被覆される表面処理剤被覆層で常温で液体状を呈している。常温で固体状とは、粉体粒子表面に被覆されている表面処理剤被覆層が常温で固体状を呈するものであり、常温で液体状とは、粉体粒子表面に被覆されている表面処理剤被覆層が常温で液体状を呈するものである。従って、粉体粒子表面に被覆された状態において常温で固体状(A層)又は液体状(B層)であればよい。この場合、粒子表面に被覆される前の表面処理剤の状態においては液体状でも、固体状でもよく被覆された状態でそのような目的とする状態をとることが望ましい。【0030】尚、常温で固体状或いは常温で液体状とは常温でそれぞれ固体状或いは液体状にあるものを意味するが、特に液体状の判定法として「オイリーな感触」をもって液体状と判定することができる。【0031】また、常温で固体状にあるものでもオイリーな感触を示すものがある。例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸等中鎖脂肪酸やその塩類、N−ラウロイル−L−リジン、レシチン、窒化ホウ素、シリコーンレジンパウダー、シリコーンゴムパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー等は薄片状や球状の粒子形状であるのとそれらの化合物の性質上非常に滑らかな感触を有しているため、これらの化合物で被覆(B層)した粉体はオイリーな感触を示すことがあるが、本発明の効果は得られない。【0032】A層は、反応性オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)、N−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)、脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層である。B層は、片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、パーフルオロアルキルシラン及び分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層である。【0033】本発明において粉体表面上に形成されるA層、B層の被覆層については、本発明でA層或いはB層にそれぞれ使用する前記成分が粉体上に付着しておれば本発明におけるA層或いはB層の表面処理剤被覆層に含まれる。【0034】(反応性オルガノポリシロキサン)反応性オルガノポリシロキサンには、好ましくはオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ポリアルコキシオルガノポリシロキサン、トリオルガノシロキシケイ酸及び両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン等が含まれる。【0035】本発明に使用する反応性オルガノポリシロキサンとしては、特に下記一般式(1)〜(6)の何れかで示される直鎖状又は環状の反応性オルガノポリシロキサンが好ましい。この一般式(1)〜(6)において好ましくは、複数存在する(一の一般式のみならず全ての一般式にわたって)R1は全て相互に独立していて、それぞれ炭素数1〜4の低級アルキル基を、複数存在するR2は全て同様に相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、nは2以上の整数を、mは0又は整数を、それぞれ表し、n+mは2〜10000の整数を構成する。【0036】【化1】(R13SiO)(R1R2SiO)n(R12SiO)m(SiR13) (1)【0037】【化2】【0038】【化3】【0039】【化4】【0040】一般式(1)で示される化合物については、nが0や1の場合には粉体粒子表面での反応性が悪く、三次元の網目構造を取らず油状の滑らかな感触を示すようになるが、粉体の疎水化や親油化には寄与しないので好ましくない。【0041】一般式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンについては、nが3〜7の整数であることがより好ましい。【0042】一般式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンについては、nが2以上でn+mが3〜7の整数であることがより好ましい。上記環状のハイドロジェンポリシロキサンについては、粉体粒子表面で開環して三次元の網目構造を取る。【0043】一般式(4)で示されるポリアルコキシオルガノポリシロキサンについては、mが1〜100の整数で、n/mの値が0.5以上であることがより好ましい。【0044】本発明に用いる前記一般式(1)〜(4)に含まれる反応性オルガノポリシロキサンは、上記の如く環状、直鎖状等を問わず、三次元に架橋反応し樹脂化(固体化)するものであればよい。粘度については、25℃で測定したときに、好ましくは0.5〜500cs程度、より好ましくは0.5〜100cs程度、更に好ましくは1〜50cs程度の粘度を有する。粘度が0.5cs未満であるものは反応が極めて速いため粉体粒子を凝集させ易く粒子表面に形成される被覆層が物理的な衝撃に極めて弱くはがれ易い。また、500csを超えるものはオイル(油)の延びが悪く粉体粒子表面への均一な被覆が難しい。このような表面処理剤としては、信越化学工業 (株)製「KF―99」や「KF―9901」、東レ・ダウコーニング (株)製「SH−1107」、GE東芝シリコーン (株)製「TSF484」及び「TSF483」、日本ユニカー (株)製「FZ3704」及び「AZ6200」等を使用することができる。【0045】下記一般式(5)で示される化合物はトリオルガノシロキシケイ酸である。【0046】【化5】(R13SiO1/2)n(SiO2)m (5)【0047】m、nは整数で、m+nは2〜100の整数を構成し、n/m比率は1.0以下の数値を、それぞれ表すのがより好ましい。【0048】ここで、n/mの比率が1.0を超えると、粉体粒子表面の被覆層は固体状の硬い被覆層ではなく、油状の滑らかな被覆層になり、油状の被覆層では強い撥水性や親油性が得られないので好ましくない。【0049】本発明にトリメチルシロキシケイ酸を用いる場合、水ガラスのナトリウムをトリメチルシリル基で置換して得られたものを溶媒に溶解したものでM/Q比率(前記一般式(5)においてn/mに対応する比の値)によって硬化被覆層の硬さがコントロールされているものが多く市販されておりそれらを好適に使用できる。例えば、信越化学工業 (株)製「KF―7312F」、「KF−7312J」、「KF−7312K」、「KF―9001」、「KF―9002」、「X−21−5249」及び「X−21−5250」、東レ・ダウコーニング (株)製「DC593」、「BY−11−015」、「BY−11−018」及び「BY−11−022」並びにGE東芝シリコーン (株)製「TSF4600」等を使用することができる。【0050】下記一般式(6)で示される化合物は、両末端官能基変性オルガノポリシロキサンであり、両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサンを含む。【0051】【化6】(R23SiO)(R12SiO)n(SiR23) (6)【0052】上記一般式中、nは1〜100の整数を表す化合物がより好ましい。【0053】本発明に用いる両末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサンには、直鎖状又はT型鎖状がありシロキサンの繰り返し単位が1〜100のものが好ましく使用できる。前述の如く、n値が100を超えると粉体粒子表面との反応性が悪くなるのと、反応後の被覆層は半固体状(ゲル状)から液体状になり、その結果よれる感触となり本発明による好ましい効果は得られ難い。容易に入手可能な表面処理剤として、例えば、信越化学工業 (株)製「X−24−9817」及び「X−24−9221」等を購入、使用することができる。【0054】(アルキルシラン)アルキルシランは、下記一般式(7)で示される化合物を使用するのが特に好ましい。【0055】【化7】R5nSiR6(4-n) (7)【0056】上記一般式中、好ましくは、R5は炭素数6未満の直鎖若しくは側鎖を有するアルキル基を、複数存在するR6は全て相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I等)、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、nは1〜3をそれぞれ表す。例えば、モノメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフエニルトリメトキシシラン等が挙げられる。炭素数が6以上になると常温で液体状になるためA相の処理剤には適さない。【0057】(ポリオレフィン)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンとして好ましくは、カルボキシル基を少なくとも1個有するポリオレフィン樹脂を挙げることができる(例えば、本発明者等の提案による特開昭63−179972号公報参照。)。例えば、分子量500〜20000で融点が40℃以上の低分子ポリエチレンや、ポリプロピレンを酸化して得られる酸化ポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン等の市販品を使用することができる。【0058】(水添レシチン)水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)は、卵黄、大豆、コーン、菜種等から抽出された天然のレシチン、及び合成レシチンを水素添加したもので、ヨウ素価が好ましくは30以下、より好ましくは15以下の水添レシチンであり、リン酸基を有するグリセライドである。塩の形態にあるものとしては、Al、Mg、Ca、Zn、Zr、Ti等の水不溶性水添レシチン金属塩が好ましい。50℃以上の融点を有する水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)が特に好ましい(例えば、本発明者等の提案による特開昭60−184571号、特開昭60−190705号、特公平4−58443号公報等参照。)。簡便には、例えば、旭化成工業 (株)製「水添卵黄油No.5」や日清製油 (株)製水素添加大豆リン脂質(「ベイシスLS−60HR」)等の市販品を購入、使用することができる。【0059】(N−アシルアミノ酸)N−アシルアミノ酸はアミノ酸のアミノ基及び/又はイミノ基がアシル化されたものである。N−アシルアミノ酸を構成するアミノ酸としては1種でも複数混合物でもよい。N−アシルアミノ酸を構成するアミノ酸については、L−体、D−体、DL−体が存在する場合、何れの異性体でもよいし、その複数混合物でもよい。天然に存在する異性体L−体がより好ましい。【0060】アミノ酸の種類としては、グリシン、アラニン、β−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、セリン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、メチオニン、シスチン、システイン等を挙げることができる。【0061】N−アシル体を構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数1〜23の、飽和又は不飽和の脂肪酸、或いは炭素数1〜23の、飽和又は不飽和の脂環式構造を有する脂肪酸を挙げることができる。例えば、N−アシル化グリシン、N−アシル化−N−メチル−β−アラニン、N−アシル化グルタミン酸やこれ等の塩を挙げることができる(本発明者等の提案による、特開昭61−73775号、特公平1−50202号公報等参照。)。【0062】構成する脂肪酸としては長鎖脂肪酸が好ましく、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)等を挙げることができる。【0063】N−アシルアミノ酸はフリー体又は塩の形態で使用することができるが、塩の形態としてはNa、K、Ba、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、Zr、Ti等の金属塩や、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等の各種アルカノールアミン塩等を挙げることができる。【0064】簡便には購入、使用することができ、例えば、N−ヤシ油脂肪酸によるアシル化−又はN−ラウロイル−β−アラニン(川研ファインケミカル (株)製)及びそのCa、Al塩、ミリストイルシルクアミノ酸(PHYTOCOS社:仏国)及びそのAl塩並びにN−ラウロイル−L−リジン及びN−ステアロイル−L−グルタミン酸(味の素 (株)製)等が好ましい。【0065】N−アシル化方法については公知の方法(例えば、特開平6−256274号公報や、特表平7−502010号公報等参照。)を利用して行うことができる。例えば、シルク、パール等動物や、小麦、大豆等の植物に由来するタンパク質を全加水分解して得られるアミノ酸に対して、例えば長鎖脂肪酸を使用してN−アシル化を行い、更に必要により塩を構成して得られるN−アシルアミノ酸を使用することもできる。このN−アシル体を調製するために使用するアミノ酸としては、グリシン、L−アラニン、L−バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−スレオニン、L−セリン、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−リジン、L−アスパラギン酸及びL−グルタミン酸の少なくとも14種を含むものが好ましく、L−チロシン、L−メチオニン、L−シスチン、L−システイン等のN−アシル体を含んでもよい。【0066】(脂肪酸)本発明に使用する脂肪酸については、前記N−アシルアミノ酸を構成する脂肪酸について説明した脂肪酸を採用することができる。塩の形態にあるものも含まれるが。その塩についても前記N−アシルアミノ酸が塩の形態にある場合に説明された塩の内容がそのまま採用される。特に、炭素数が12〜26までの直鎖状の飽和脂肪酸、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等の脂肪酸、或いはそのCa、Mg、Zn、Zr、Al、Ti等の金属塩が好ましい(例えば、本発明者等の提案による特開昭60−69011号公報参照。)。特に、40℃以上の融点を有する脂肪酸が適している。【0067】尚、炭素数が12より少ないと皮膚刺激の問題が生じ易く、一方、炭素数が26より大きいと反応性が悪くなり本発明で得られる効果が得られ難い。【0068】(デキストリン脂肪酸エステル)本発明に使用するデキストリン脂肪酸エステルについては特に制限は無く、デキストリンと脂肪酸とで構成されるエステル或いはその誘導体から選択することができる。好ましくは、デキストリン1分子に対し、その水酸基の1つに炭素数8〜24の脂肪酸の1分子がエステル化した部分構造を少なくとも有するエステル体或いはその誘導体、例えばデキストリン1分子に対し炭素数8〜24の脂肪酸が1個又は複数個、その水酸基の1個又は複数個にエステル結合した構造を有するエステル体や当該エステル体において水酸基が更に別種の脂肪酸でエステル化された誘導体等を挙げることができる。【0069】前記エステル体のエステル化度として、好ましくは30〜95%程度、より好ましくは50〜90%程度のエステル化度を採用することができる。エステル化度が30%未満の場合は親油性が不十分であり、一方95%より大きい場合は粉体粒子表面との固着性が悪くなるので、何れも好ましくない。具体的には、デキストリンミリスチン酸エステル、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリンヤシ油脂肪酸エステル、デキストリンベヘン酸エステル、デキストリンパルミチン酸2−エチルヘキサン酸エステル等が挙げられる。必要により、常法に基づいて調製することができるが、このような処理剤を簡便に入手するには、例えば「レオパールKL」、「レオパールMKL」、「レオパールTT」、「レオパールKE」及び「レオパールTL」(以上、何れも千葉製粉 (株)製)等の市販品を購入して、そのまま使用することもできる。【0070】以上に説明の各種表面処理剤を、本発明において表面処理剤被覆層(A層)の構成のために使用する場合、上記何れか1種のみ或いはその複数を混合して表面処理剤として使用し目的とする表面処理を行い被覆層(A層)を構成することができる。【0071】(片末端官能基変性オルガノポリシロキサン)本発明でB層の表面処理剤被覆層として使用する片末端トリアルコキシ基変性オルガノポリシロキサン等片末端官能基変性オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式(8)及び(9)の何れかで示される化合物が好ましい。【0072】【化8】[(R33SiO)(R32SiO)m]nSiR4(4-n) (8)【化9】【0073】上記一般式中、好ましくは、複数存在するR3は全て相互に独立していて、それぞれ炭素数1〜10の、飽和若しくは不飽和の炭化水素基を、複数存在するR4は全て相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I等)、シラザン基、イソプロペノキシ基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、mは10〜100の整数を、nは1、2又は3を、それぞれ表す。【0074】 m値が10未満のときは、反応が速過ぎるため粉体粒子表面に付着した微量の水分や粉体の酸点や塩基性点により加水分解が促進されて架橋重合してしまい、被覆層はゲル状(半固体状)を呈し、目的とする油状の被覆層が得られない。また、m値が100を超えると、反応性が極端に悪くなり粉体粒子表面の被覆層が不均一になるため親油液体への分散性は期待できず、疎水化及び親油化には寄与しない。【0075】このようなB層のための表面処理剤として簡便には、例えば、ジメチルポリシロキシシラザン、α−モノヒドロキシシロキサン、α−モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α−ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α−トリアルコキシポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品としては、例えば、信越化学工業 (株)製「X−24−9826」、「X−24−9171」及び「X−24−9174」等があり、これを購入、使用することができる。【0076】(アルキルシラン)アルキルシランには、下記一般式(10)で示される化合物を使用するのが特に好ましい。【0077】【化10】R5nSiR6(4-n) (10)【0078】上記一般式中、好ましくは、R5は炭素数6〜30の直鎖若しくは側鎖を有するアルキル基を、複数存在するR6は全て相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I等)、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、nは1、2又は3を、それぞれ表す。【0079】R5の炭素数が6未満のときはオイリーな感触が得られず、一方30を超えると反応性が極端に悪くなり、粉体粒子表面の被覆層が不均一になり易い。その結果、親油性液体への分散性が得られ難く、処理する粉体の疎水化及び親油化に寄与しないばかりか、固体被覆層になってしまい本発明で得られる効果、オイリーな感触が得られ難い。【0080】簡便には、このような表面処理剤としては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシランデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシラン、トリアコンチルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、市販品としては、例えばGE東芝シリコーン (株)製「TSL8185」及び「TSL8186」、チッソ (株)製「SID4632.5B」、「SIH5925.0」及び「SIO6645.0」、信越化学工業 (株)製「KBM−3103」並びに日本ユニカー (株)製「A−137」等を購入、使用することができる。【0081】(パーフルオロアルキルシラン)パーフルオロアルキルシランは下記一般式(11)で示される化合物を使用するのが好ましい。【0082】【化11】Rf(CH2)nSiR73 (11)【0083】上記一般式中Rfはパーフルオロアルキル基を表し、そのフルオロカーボン数が1〜30で、nは1〜5の整数を表し、複数存在するR7は全てそれぞれ相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I等)、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、それぞれ表す。例えば、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、ヘプタフルオロプロピルトリメトキシシラン、ノナフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデカニルトリメトキシシラン、ヘンイコサフルオロドデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM−7803」並びにGE東芝シリコーン(株)製「TSL―8233」、「TSL―8257」等を購入、使用することができる。【0084】(分岐脂肪酸) 本発明に使用する前記特定の分岐脂肪酸については、分岐したアルキル基を有する脂肪酸であれば特に制限は無い。粉体に処理したときにオイリーな感触が得られかつ分散性に優れているものとしては、炭素数8〜22の分岐脂肪酸を使用するのが好ましい。具体的には、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソベヘン酸等の市販品を購入、使用することができる。炭素数が8より小さい場合、また22より大きい場合には何れも本発明の効果が得られず好ましくない。【0085】以上に説明の各種表面処理剤を使用する場合、何れか1種のみでも或いは複数を混合して表面被覆処理をしてもよい。【0086】前記B層に使用する処理剤は、A層の外側で粉体の最外層を覆っている化合物であり処理された粉体の分散性や感触等に大きく影響する。これらの処理剤は片末端にのみ官能基を有するため主鎖の分子であるオルガノポリシロキサン鎖、直鎖アルキル鎖や分岐アルキル鎖、パーフルオロアルキル鎖は自由に運動できる状態にあり親油性溶媒への分散性やオイリーな感触の性能はこの主鎖の長さによるところが大きい。片末端官能基変性オルガノポリシロキサンの場合、重合度が10〜100程度のもので、アルキルシランの場合、アルキル基の炭素数が6〜30程度のもので、パーフルオロアルキルシランの場合、フルオロカーボン数(フッ素原子が結合する炭素原子の数)は1〜30程度のもので、分岐脂肪酸の場合、炭素数8〜22程度のもので、それぞれ被覆した粉体を親油性溶媒に分散することで新規な油性分散体が得られる。【0087】片末端官能基変性オルガノポリシロキサンの場合、前記重合度が10未満のものを被覆したり、前記重合度が高過ぎたり(100を超える場合)或いはアルキルシランや分岐脂肪酸の炭素数が多いもの、パーフルオロアルキルシランのフルオロカーボン数が多いものを被覆した粉体の場合(炭素数が30を超えたり、或いは分岐脂肪酸の場合炭素数が22を超える場合)、親油性溶媒への分散性や分散安定性が劣るので、何れも好ましくない。【0088】本発明においては、A層は常温で固体状であることが必要である。それは、常温で液体状の化合物よりも粉体粒子の最表面を必要最少限の量で均一な親油化膜として被覆することが容易なためである。また、B層は常温で液体であることが必要である。それは、粉体粒子の最外層を液体の分子が覆うことによって、粒子表面の性質をリキッドライクにすることができるからである。また、外観は粉末状であるが、ミクロ的に観ると粉体粒子が液体に分散しているような状態になることが好ましい。これらの液体分子が粒子表面に被覆されているために粉体粒子が接近しても凝集することなく優れた分散性が得られるものと考えられる。また、粉体粒子表面は既に濡れているために親油性溶媒への親和性に優れ分散性が極めて良好となる。特に、親油性溶媒中では被覆されたB層の液体分子が延びて分散し、また粒子同士の接触の障害になり分散安定化が達成されるものと考察される。これらA層とB層の化合物は被覆される粉体が配合される系や分散媒である親油性溶媒の種類によって適宜選択される。例えば、バインダーを添加しないプレストパウダーを調製したいときには、A層をデキストリン脂肪酸エステルで被覆しB層を分岐脂肪酸で被覆する。シリコーンオイルへの分散性が必要なときにはA層をオルガノポリシロキサンで被覆し、B層を片末端官能基変性オルガノポリシロキサンで被覆する。揮発性炭化水素への分散性が必要なときにはA層を脂肪酸で被覆しB層をアルキルシランで被覆する。エステル油への分散性が必要なときにはA層をN−アシル化アミノ酸で被覆してB層を分岐脂肪酸で被覆する等の選択が可能である。【0089】また、固体状被覆層を形成する表面処理剤量は、重量比較で液体状の表面処理剤量と同じかそれ以下が好ましい(A≦B)。従って、これら常温で固体状の被覆層を形成する表面処理剤、及び常温で液体状の被覆層を形成する表面処理剤でそれぞれ粉体表面を被覆処理するが、それらの粉体への配合比率については、液体状被覆層用の表面処理剤量(B層)が固体状被覆層用の表面処理剤量(A層)以上(重量)となるように配合することが好ましい。【0090】固体状被覆層用の表面処理剤量の方が液体状被覆層用の表面処理剤量よりも多い(重量)と、得られる被覆粉体の親油性溶媒への分散性がやや悪い傾向にある。【0091】前述の如く、固体状被覆層用の表面処理剤量は粉体粒子を均一に被覆することができる必要最少量であることが好ましく、必要最少量より多いと粉体粒子を凝集させるだけであり常温で液体状を有する被覆層のための表面処理剤で被覆しても、得られる被覆粉体について親油性液体への優れた分散性は得られない。必要最少量は粉体の種類や処理の方法によって変化するので予め実験を行って適当な被覆量をチェックすることが必要である。【0092】これらの常温で固体状を有するA層の表面処理剤の被覆量については、本発明において処理する粉体の種類やその比表面積により異なるが、表面処理する前の粉体に対して好ましくは0.1〜15重量部程度、より好ましくは0.1〜10重量部程度、更に好ましくは1〜8重量部程度である。被覆量が0.1重量部より少ないと粉体粒子表面の均一な被覆層が得られず、一方15重量部より多いと粉体粒子を凝集させるだけであり常温で液体状を有する被覆層用の表面処理剤で被覆しても、得られる被覆粉体の親油性液体への優れた分散性は得られ難い。【0093】同様に、B層の表面処理剤の被覆量については、表面処理する前の粉体に対して好ましくは0.1〜30重量部程度、より好ましくは0.5〜25重量部程度、更に好ましくは1〜20重量部程度である。上記範囲未満の場合、感触、皮膚への付着性、分散性が悪く、一方上記範囲を超えると粉体粒子表面と反応しないフリーの処理剤が多くなるだけで、得られる被覆粉体の親油性液体への分散性は向上しないので、それぞれ好ましくない。【0094】(被覆方法)本発明で、処理すべき粉体の第1層目にA層、好ましくは常温で固体状被覆層形成のための表面処理剤を、第2層目にB層、好ましくは常温で液体状被覆層形成のための表面処理剤を被覆する方法としては、表面処理剤の被覆方法として知られている方法を適宜採用することができる。例えば、1.ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等で、例えば固体状の表面処理剤を混合後、液体状の表面処理剤を混合し乾燥する乾式法;2.ボールミルやサンドグラインダー等のメカノケミカル型のミルで水や有機溶媒中に処理すべき粉体を分散させた後、例えば固体状の表面処理剤を混合固着し、例えば液体状の表面処理剤を混合した後、溶媒を除去して乾燥する方法;及び3.発明者等が提案した特公平6−59379号公報に記載のJETミルのような高速気流中で処理すべき粉体と、例えば固体状の表面処理剤を接触させ被覆後更に、例えば液体状の表面処理剤を接触させて被覆する方法等が挙げられる。特に、サブミクロン以下の一次粒子径を有する微粒子粉体にはジェット(JET)法による処理方法を採用するのが好ましい。【0095】ここで使用する「処理方法」とは、一般に粉体(基剤)の表面処理に適用できる疎水化の処理方法であればよく親油性溶媒への分散性はやや劣るが、A層、好ましくは常温で固体状の表面処理剤と、B層、好ましくは常温で液体状の表面処理剤とを混合して同時に被覆することも可能である。【0096】本発明において油性分散体の分散媒としては、親油性のものであればよく、常温で液体状でも固体状でもよ。各種化粧料に使用可能な溶媒を使用するのが好ましい。具体的には、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール等の一価アルコール系溶剤類、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソヘキサン、イソオクタン、ガソリン、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、アミルベンゼン等の芳香属炭化水素系溶剤類、ジペンテン、テレビン油等の植物系炭化水素系溶剤類、ニトロパラフィン、ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素系溶剤類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、パークロルエチレン、モノクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、プロピレンオキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、ぎ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸アミル等のエステル系溶剤類、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、アボガド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、カカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、ミンク油、乳脂、卵黄油、タートル油等の油脂類、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸、ヒドロキシステアリン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ホホバアルコール、バチルアルコール、コレステロール、フィトステロール、ラノリンアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソイソプロピル、オクタン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリカプリル酸グリセリル、イソノナン酸イソオクチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸ミリスチル、ジイソノナン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等のエステル油類、ミツロウ、カンデリラロウ、鯨ロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、ヌカロウ、イボタロウ、オレンジラッフィー油、モンタンロウ、サトウキビロウ、セラックロウ、ラノリン、ホホバオイル、等のロウ類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、オレフィン変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロメチルシクロペンタン、パーフルオロジメチルシクロヘキサン、パーフルオロジメチルシクロブタン、メトキシノナフルオロブタン、エトキシノナフルオロブタン、ドデカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、4−トリトリフルオロメチルパーフルオロモルホリン、4−ペンタフルオロエチルパーフルオロモルホリン等のフッ素系油剤、UV吸収剤としてパラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N−ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル等の安息香酸類、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸類、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート等のサリチル酸類、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート等の桂皮酸類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、シリコーン変性紫外線吸収剤、フッ素変性紫外線吸収剤等が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を本発明において親油性溶媒として使用できる。尚、複数成分の混合物で本発明に使用する親油性溶媒を構成する場合、複数成分を混合して得られた溶媒自体が親油性で均一の溶液であれば、構成成分の1種以上が親油性でなくとも構わない。【0097】本発明における粉体の油性分散体はできるだけ単純な組成のもので被覆粉体の含有量が多い程好ましいが、被覆粉体をより分散させるため、またその分散をより安定化させるため、又は油性分散体の機能を第三成分との相乗効果でより向上させるため等、各種の目的で第三成分以上の他の成分が添加されても構わない。このような目的で配合される成分には、各種の界面活性剤が含まれ、例えばPOEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、脂肪酸セッケン、スルホコハク酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、POEアルキルエーテルカルボン酸、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン、カゼインナトリウム等のアニオン系界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩等のアルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン系界面活性剤、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤、アルキルベタイン、アミドベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン系両性界面活性剤、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリリシノール酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEソルビタンモノオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル、POEモノオレート、POEジステアレート等のPOE脂肪酸エステル、POEラウリルエーテル、POEステアリルエーテル等のPOEアルキルエーテル、POE・POP水添ラノリン等のPOE・POPアルキルエーテル、硬化ひまし油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、でんぷん脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸等のノニオン系界面活性剤、その他レシチン等のリン脂質類、トレハロースリピド等の糖脂質類、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素系界面活性剤等、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ベントナイト、スメクタイト、カオリン等の天然又は合成の粘土鉱物、有機アミンカチオン変性ベントナイト等の有機変性粘土鉱物、アエロゾル等、挙げることができる。【0098】本発明における被覆粉体を分散媒に混練又は混合分散させる方法は、公知の方法を採用すればよく特に限定されない。例えば、ニーダー混練、ヘンシル混練、ロール混練、エクストルーダー混練等の混練混合機、プロペラミキサー、ハイスピードミキサー、ディゾルバー、ホモジナイザー、アルテマイザー、湿式ジェットミル、コロイドミル、マスコロイダー、ビーズミル、サンドミル等の湿式混合分散機を使用して油性分散体を製造することができる。【0099】常温で固体状の親油性溶媒(1種単独溶媒又は複数溶媒の混合物が含まれる。)に被覆粉体を分散させる方法としては、特に困難は無い。例えば、その親油性溶媒を融点以上の温度に加熱して液化した状態で粉体を分散させるとよい。この方法は、例えば口紅等の常温で固体状のワックス等を多く配合する剤型に普通に行われる方法である。【0100】更に、本発明の油性分散体は従来から使用されている粉体や被覆粉体を配合することなく本発明で使用する被覆粉体のみで分散体とすることが、本発明の効果をより発現する点で好ましいが、本発明の効果を害しない範囲で従来から使用される粉体を一部配合して油性分散体とすることもできる。【0101】(化粧料)本発明には油性分散体を配合する化粧料やこの分散体を使用して製造された化粧料等も含まれる。【0102】このようにして得られる油性分散体の化粧料への配合量は化粧料の性質に応じて任意に選択されるが、全組成中に好ましくは0.1〜100重量%程度、より好ましくは1〜99重量%程度である。【0103】また、これらの被覆粉体は必要に応じて、本発明で得られる被覆粉体の1種又は2種以上を配合することができる。【0104】更に、本発明の油性分散体は他の従来から使用されている油性分散体を使用することなく本発明の油性分散体の1種以上を化粧料等に配合するのが、本発明の効果をより発現する点で好ましいが、本発明の効果を害しない範囲で従来から使用される油性分散体を一部混合使用することもできる。【0105】本発明で使用する前記被覆粉体を含有した油性分散体を配合する化粧料としては、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等の仕上用化粧料、エモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、カーマインローション、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス等の皮膚用化粧料、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等の頭髪用化粧料、その他として日焼け止め又は日焼け用クリームや乳液、石鹸、浴用剤、香水等を挙げることができる。【0106】本発明において表面処理剤を2層(A層とB層)被覆した粉体を含有する油性分散体を配合した化粧料には、発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料等に用いられる顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。【0107】(化粧料以外の用途)本発明において得られる粉体の油性分散体は、化粧料のみならずプラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉)、化学繊維、包装材料、電子材料等の各種分野で広く使用される粉体の油性分散体にも適用可能である。特に、他の分野で、化粧料に使用可能な粉体を使用し、同様に分散体を必要とする場合には、上記化粧料用に説明した油性分散体が当該他の分野でも同様に採用可能である。【0108】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。尚、本発明の油性分散体に配合される2層被覆された粉体(被覆粉体)を以後「マイブリッド処理粉体」と称し、マイブリッド処理粉体を配合した油性分散体を「マイブリッドディスパージョン」と称する。当然のことながら、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。【0109】(実施例1)以下、本発明のマイブリッド処理粉体を配合した油性分散体(マイブリッドディスパーション)の製造例を示す。【0110】[実施例1]セリサイト(三信鉱工(株)製「FSE」)5000gに、固体状表面処理剤としてメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業(株)製「KF―9901」)50g及び50%イソプロパノール水溶液500gを加え、ジャケット付き高速ヘンシル(三井鉱山(株)製「FM20BX」)を用いて減圧下80℃で30分混合した。更に、液体状表面処理剤として重合度が20で片末端にモノシラノール基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製「X−24−9825」)250gび50%イソプロパノール水溶液250gを加え前記高速ヘンシルで減圧下100℃で60分間混合してマイブリッド処理セリサイトを得た。ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製「KF―96(6cs)」100gと前記マイブリッド処理セリサイト900gを1リッターのSUS容器に投入しホモミキサー(特殊機化工業(株)製「TKロボミックス」)で3000rpm/5minの条件で混合分散しマイブリッドディスパージョンを得た。【0111】[実施例2]実施例1においてセリサイトをシリカビーズ(触媒化成工業(株)製「P−1500」)に代えて、液体状の表面処理剤である重合度が20で片末端にモノシラノール基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン量を350gに代えて同様に処理を行い、マイブリッド処理シリカビーズを得た。軽質流動イソパラフィン(日本油脂(株)製「パールリーム4」)200gと前記マイブリッド処理シリカビーズ800gを1リッターのSUS容器に投入しホモミキサー3000rpm/5minの条件で混合分散しマイブリッドディスパージョンを得た。【0112】[実施例3]二酸化チタン(石原産業(株)製「CR―50」)5000gに固体状表面処理剤としてデキストリンパルミテート(千葉製粉(株)製「レオパールKL」)50gを揮発性イソパラフィン「IPソルベント1620」(出光石油化学(株)製)250gに60℃で加熱溶解した液を加えジャケット付き高速ヘンシル(三井鉱山(株)製「FM20BX」)を用いて減圧下60℃で30分混合した。更に、液体状表面処理剤としてオクチルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製「A−174」)を300g加え100℃で30分間混合した後アトマイザーを通してマイブリッド処理二酸化チタンを得た。ミリスチン酸イソプロピル(クローダジャパン(株)製「クロダモルIPM」)200gと前記マイブリッド処理二酸化チタン800gを混合した後、3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)に2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0113】[実施例4]実施例3において二酸化チタンを黄酸化鉄(チタン工業 (株)製「マピコイエローレモン」)に代えて、また固体状の表面処理剤をメチルトリメトキシシラン(信越化学工業 (株)製「KBM13」)に代えて、液体状の表面処理剤をデシルトリメトキシシラン(信越化学工業 (株)製「KBM3103」)に代えて、実施例3と同様の処理を行い、マイブリッド処理黄酸化鉄を得た。スクワラン(岩瀬コスファ(株)製「フィトスクワラン」)250gと前記マイブリッド処理二酸化チタン750gを混合した後、3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)で2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0114】[実施例5]実施例3において二酸化チタンをベンガラ(森下弁柄工業 (株)製「ベンガラ七宝」)に代えて、また液体状の表面処理剤をイソステアリン酸(高級アルコール工業(株)製「イソステアリン酸EX」)に代えて、実施例3と同様の処理を行い、マイブリッド処理ベンガラを得た。流動パラフィン(カネダ(株)製「ハイコールK−230」)200gと前記マイブリッド処理二酸化チタン800gを混合した後、3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)で2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0115】[実施例6]実施例3において二酸化チタンを黒酸化鉄(チタン工業 (株)製「BL―100」)に代えて、実施例3と同様の処理を行い、マイブリッド処理黒酸化鉄を得た。マカデミアナッツ油(クローダジャパン(株)製「CROPURE MACADAMIA」)200gと前記マイブリッド処理二酸化チタン800gを混合した後、3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)で2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0116】[実施例7]実施例5において得られたマイブリッド処理ベンガラ200gと酢酸ブチル800gを混合した後、3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)で2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。。【0117】[実施例8]微粒子酸化チタン(石原産業 (株)製「TTO−55A」)3000gと固体状表面処理剤としてレシチン(キューピー(株)製「PL―100P」)60gを加えヘンシルミキサーで30分間混合した。更に液体状の表面処理剤としてオクタデシルトリメトキシシラン(GE東芝シリコン(株)製「TSL8186」)300gを加えヘンシルミキサーで15分間混合した。これらの混合物をJETミル(ドイツ、アルピネ社製100AFG型)を用いて粉砕同時処理をした後、130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化チタンを得た。C12−15アルキルベンゾエート((株)伊那貿易商会製「FINSOLV TN」)400gとマイブリッド処理微粒子酸化チタン600gを混合して0.5mmφジルコニアビーズを充填したサンドミル(アイメックス(株)製「ウルトラビスコミル:UVM」)で2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0118】[実施例9]微粒子酸化亜鉛(堺化学工業 (株)製「FINEX−50」)4000gと固体状表面処理剤としてマレイン化ポリエチレン(日本石油化学 (株)製「POWAX S−30」)120gをヒーターヘンシルミキサーで30分間混合した後、液体状表面処理剤としてパーフルオロアルキルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製「TSL8233」)400gとIPA500gを加え減圧下50℃の条件下ヒーターヘンシルミキサーで30分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。パーフルオロメチルシクロペンタン(Fluorochemicals Ltd「Flutec PCI」)400gとマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛600gを混合して0.5mmφジルコニアビーズを充填したサンドミル(アイメックス(株)製「ウルトラビスコミル:UVM2」)で2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0119】[参考例10] 微粒子酸化亜鉛(住友大阪セメント (株)製「UFZO−350」)1000g、固体状表面処理剤としてトリメチルシロキシケイ酸(東レ・ダウコーニング(株)製「BY−11−022」)30g、液体状表面処理剤としてオクタデシルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製「TSL8186」)50gと重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製「X−24−9826」)50g、パーフルオロアルキルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製「TSL8233」)50gとトルエン2000gを1mmφジルコニアビーズを充填したアジテータミル(アシザワ(株)製「LMK4」)に投入し3回通し分散処理した。この分散液をスラリードライヤー((株)大川原製作所製「スラリードライヤーSFD−ミニ」)で乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛を得た。シクロメチコン(日本ユニカー(株)製「VS―7158」)200g、紫外線吸収剤(日本ロシュ(株)製「Parsol MCX」)200gとマイブリッド処理微粒子酸化亜鉛600gの混合物を超高圧ホモジナイザー(みづほ工業(株)製「マイクロフルイダイザー M―140K」)にて2000kg/cm2の圧力で1回通しマイブリッドディスパージョンを得た。なお、以下の比較例10、表1及び表6における「実施例10」の記載は、「参考例10」であるものとする。【0120】[実施例11](混合マイブリッド処理粉体を分散したディスパージョンの製造)実施例1、2、3、4、5、6で各々得られたマイブリッド処理粉体セリサイト、シリカビーズ、二酸化チタン、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄を各々250g、130g、180g、100g、65g、25gを採りイソノナン酸イソトリデシル(日本エマルジョン(株)製「INTD-139」)250gと混合する。これらを3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)に2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0121】[実施例12](粒子径の大きな粉体を分散したディスパージョンの製造)ブロンズパウダー(中島金属箔工業(株)製「TT―777」)1000gと固体状表面処理剤としてエチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製「SIE4901.4」)30gとIPA50gをミキサー((株)奈良機械製作所製「グラニュレーター NMG−3」)で30分間混合した。更に、液体状表面処理剤としてイソオクチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製「SII6458.0」)100gとIPA50gを加え再度ミキサーで30分間混合した。熱風乾燥機にて70℃で3時間乾燥後さらに130℃で10時間乾燥し粉砕しマイブリッド処理ブロンズパウダーを得た。酢酸ブチル100gとマイブリッド処理ブロンズパウダー900gを万能混合撹袢機((株)ダルトン製「5DM−r」)で20分間混練してマイブリッドディズパージョンを得た。【0122】[実施例13](処理粉体濃度50wt%以上で粘度1000mPa・s以下のディスパージョンの製造)実施例8で得られたマイブリッド処理微粒子酸化チタン550gをシクロメチコン(日本ユニカー(株)製「VS―7158」)450gと混合し0.5mmφジルコニアビーズを充填したサンドミル(アイメックス(株)製「ウルトラビスコミル:UVM2」)に2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0123】[実施例14](粘土状のディスパージョンの製造)実施例8で得られたマイブリッド処理微粒子酸化チタン750gをシクロメチコン(日本ユニカー(株)製「VS―7158」)250gと混合し3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)に3回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0124】[実施例15](従来の表面処理粉体との併用)実施例8で得られたマイブリッド処理微粒子酸化チタン300gと比較例8で得られたオクタデシルシラン処理微粒子酸化亜鉛250gをシクロメチコン(日本ユニカー(株)製「VS―7158」)450gと混合し0.5mmφジルコニアビーズを充填したサンドミル(アイメックス(株)製「ウルトラビスコミル:UVM2」)に2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0125】[実施例16](特開平12−26262号公報の例1の無機フィルターをマイブリッド処理して分散)オイソレックスT−2000(ドイツ:MERCK社)の微粒子酸化チタン4000gと固体状表面処理剤としてN−ラウロイル−L−グルタミン酸(味の素(株)製「アミソフト LA」)120gをヒーターヘンシルミキサーで30分間混合した後、液体状表面処理剤としてイソオクチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製「SII6458.0」)400gを加えヒーターヘンシルミキサーで30分間混合した。更に、JETミルを用いて粉砕同時処理をした後130℃で7時間乾燥してマイブリッド処理微粒子酸化チタンを得た。得られた微粒子酸化チタン300gとアエロゾルR812(ドイツ:Degussa社)50gを混合したのちオイソレックスOCR(ドイツ:MERCK社)650gと混合し3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)に2回通しマイブリッドディスパージョンを得た。【0126】(比較例)次に、マイブリッドディスパージョンの比較として従来の表面処理粉体を配合分散したディスパージョンの製造例を示す。【0127】[比較例1]実施例1の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業(株)製「KF―9901」)250gに代えて50%イソプロパノール水溶液500gを加え高速ヘンシル(三井鉱山 (株)製「FM20BX」)を用いて30分混合した。更に、高速ヘンシルで減圧下100℃で60分間混合してメチルハイドロジェンポリシロキサン処理セリサイトを得た。ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製「KF―96(6cs」)100gと前記メチルハイドロジェンポリシロキサン処理セリサイト900gを1リッターのSUS容器に投入し混合したが粘度が高過ぎてホモミキサーでは分散できなかった。ホモミキサーで分散可能な粘度にするためにこの混合物に更にジメチルポリシロキサンを500g添加して混合し3000rpm/5minの条件で分散してディスパージョンを得た。【0128】[比較例2]実施例2の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤を重合度が20で片末端にモノシラノール基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン400gに代えて比較例1と同様に処理を行い、ジメチルポリシロキサン処理シリカビーズを得た。軽質流動イソパラフィン(日本油脂(株)製「パールリーム4」)200gと前記ジメチルポリシロキサン処理シリカビーズ800gを1リッターのSUS容器に投入しホモミキサー3000rpm/5minの条件で混合分散しディスパージョンを得た。【0129】[比較例3]実施例3の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をデキストリンパルミテート350gに代えて揮発性イソパラフィン500gを加え高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合した後アトマイザーを通してデキストリンパルミテート処理二酸化チタンを得た。以下実施例3と同様の操作でディスパージョンを得た。【0130】[比較例4]実施例4の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をデシルトリメトキシシラン350gに代えて50%イソプロパノール500gを加え高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合した後アトマイザーを通してデシルトリメトキシシラン処理黄酸化鉄を得た。以下実施例4と同様の操作でディスパージョンを得た。【0131】[比較例5]実施例5の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をイソステアリン酸350gに代えて揮発性イソパラフィン500gを加え高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合した後アトマイザーを通してイソステアリン酸処理ベンガラを得た。以下実施例5と同様の操作でディスパージョンを得た。【0132】[比較例6]実施例6の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をデキストリンパルミテートに代えて揮発性イソパラフィン500gを加え高速ヘンシルを用いて減圧下100℃で60分間混合した後アトマイザーを通してデキストリンパルミテート処理黒酸化鉄を得た。以下実施例6と同様の操作でディスパージョンを得た。【0133】[比較例7]比較例5において得られたイソステアリン酸処理ベンガラを用いて実施例7と同様の操作でディスパージョンを得た。【0134】[比較例8]実施例8の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をオクタデシルトリメトキシシラン360gに代えてヘンシルミキサーで30分間混合した後、JETミルを用いて粉砕同時処理をした。更に130℃で7時間乾燥してオクタデシルシラン処理微粒子酸化チタンを得た。以下実施例8と同様の操作でディスパージョンを得た。【0135】[比較例9]実施例9の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をパーフルオロアルキルシラン520gに代えてIPA500gと添加しヒーターヘンシルで減圧下50℃で30分間混合した後、JETミルを用いて粉砕同時処理をした。更に130℃で7時間乾燥してパーフルオロアルキルシラン処理微粒子酸化亜鉛を得た。以下実施例9と同様の操作でディスパージョンを得た。【0136】[比較例10]実施例10の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をオクタデシルトリメトキシシラン60g、重合度が50で片末端にトリメトキシ基を有する直鎖状のジメチルポリシロキサン60gとパーフルオロアルキルトリメトキシシラン60gに代えた以外実施例10と同様の操作でオクタデシルシラン、ジメチルポリシロキサン及びパーフルオロアルキルシランの混合処理微粒子酸化亜鉛を得た。以下実施例10と同様の操作でディスパージョンを得た。【0137】[比較例11]比較例1、2、3、4、5及び6で各々得られた処理粉体を実施例11と同様の操作でディスパージョンを得た。【0138】[比較例12]実施例12の固体状表面処理剤と液体状表面処理剤をエチルトリメトキシシラン130gに代えミキサーで60分間混合し以下実施例12同様に操作でディスパージョンを得た。【0139】[比較例13](処理粉体濃度50wt%以上で粘度1000mPa・s以下のディスパージョンの製造)比較例8で得られたオクタデシルシラン処理微粒子酸化チタン550gをシクロメチコン(日本ユニカー(株)製「VS―7158」)450gと混合し0.5mmφジルコニアビーズを充填したサンドミル(アイメックス(株)製「ウルトラビスコミル:UVM2」)に2回通したが得られたディスパージョンの粘度は58000mPa・sであった。粘度を下げるためポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業(株)製「KF―6017」)を添加した。配合はオクタデシルシラン処理微粒子酸化チタン/シクロメチコン/ポリエーテル変性シリコーン=550g/300g/150gとし上記同条件で分散しディスパージョンを得た。【0140】[比較例14](粘土状のディスパージョンの製造)比較例8で得られたオクタデシルシラン処理微粒子酸化チタン750gをシクロメチコン(日本ユニカー(株)製「VS―7158」)250gと混合し3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)に3回通しディスパージョンを得た。【0141】[比較例15](特開平12−26262号公報の例1の紫外線フィルター懸濁液の試作)オイソレックスT−2000(ドイツ:MERCK社)の微粒子酸化チタン300gとアエロゾルR812(ドイツ:Degussa社)50gを混合したのちオイソレックスOCR(ドイツ:MERCK社)650gと混合し3本ロールミル(アシザワ(株)製「HR500」)に2回通しディスパージョンを得た。【0142】次に、上記の如く得られた本発明のマイブリッドディスパージョンと比較例で得られたディスパージョンについて下記の試験方法による評価を行った。結果を表1に示した。【0143】(1)粘度試料温度を25℃としB型粘度計(芝浦システム(株):VDA型)で60秒後の粘度(mPa・s)を測定した。【0144】(2)粒度各ディスパージョンをレーザー回折式粒度測定装置((株)島津製作所製「SALD−2000J」)の高濃度粒度測定装置を用いて平均粒子径(D50:μm)を測定した。【0145】(3)経時での分散安定性各ディスパージョンを50ccの透明ガラス容器に30cc採り蓋をして50℃のオーブン中に1ヶ月間放置し固液の分離状態(安定:〇、分離:×)を観察した。【0146】(4)in−vitro SPF値測定実施例及び比較例の微粒子酸化チタン及び微粒子酸化亜鉛のディスパージョンを、石英硝子板(100mm×100mm×3mm/縦×横×厚み)上に40cm2の塗布面を作り0.03g塗布した。この塗布面をSPFアナライザー(OPTOMETORICS社:米国)で9スポット測定しその平均値をSPF値とした。【0147】(5)透明性前記(4)で調製した塗布石英板試料を分光色差計(日本電色工業(株)製「SZ−Σ90」)で560nmの透過率を9スポット測定しその平均値を透過率(%)とした。【0148】(6)感触(使用感;滑り性)各実施例及び比較例1、2及び11で得られたディスパージョン10gと酸化チタン(石原産業(株)製「CR―50」)10gを混合しアトマイザーで粉砕した。この粉砕物を8cm×5cm片のコラーゲンペーパー(出光石油化学(株)製「サプラーレ」)上に1.5mg/cm2の条件で塗布しハンディー圧縮試験機(カトーテック(株)製「KES−G5」)で10回往復させた時の抵抗(gf)の平均値を求めた。抵抗が少ない程滑り性が良いことを示す。【0149】(7)隠蔽力実施例及び比較例3,8,13で得られたディスパージョンを隠蔽率試験紙(日本テストパネル工業(株)製)上にマルチアプリケーター(太佑機材(株)製)を用いて塗布した。この時試験紙の白黒の境目が見えなくなる塗布膜の厚み(μm)を求めた。酸化チタンの場合(実施例及び比較例3)塗布膜の厚みが薄い程隠蔽力が強く粒子が分散しているが微粒子酸化チタンの場合(各実施例、及び比較例8及び13)は、塗布膜の厚みが薄い程隠蔽力が強い程粒子は凝集していることを示す。【0150】(8)着色力各実施例、及び比較例4、5、6及び11で得られたディスパージョンを隠蔽率試験紙(日本テストパネル工業(株)製)の黒色板上にベーカー式アプリケーター(太佑機材(株)製)を用いて10ミルで塗布した。その塗膜を分光色差計(日本電色工業(株)製「SZ−Σ90」)で測定し彩度を求めた。彩度が高い程着色力は強いことを示す。【0151】(9)再分散性実施例14及び比較例14で得られた粘土状物のディスパージョンの分散性を次の試験方法で評価した。ディスパージョンの分散媒と同じシクロメチコン100gに粘土状のディスパージョン20gを投入し70℃にてディスパーミキサー(特殊機化工業(株)製「TKロボミックス」)で1400rpm/5minの条件で分散した。この分散液を325メッシュフルイ(目開き45μm)に通しフルイ上の残留物を観察した。(残留物無し:〇、残留物有り:×)表1より明らかな如く、本発明の油性分散体は粉体の有する機能、例えば感触(使用感;滑り性)、隠蔽力、着色力、紫外線遮蔽能及び光学特性等を飛躍的に向上させることができる。また、実施例14と比較例14の再分散性評価より粘土状物のマイブリッドディスパージョンは再分散性が良く使用適性に優れている。また、実施例16と比較例15の結果より液状紫外線吸収剤と無機紫外線遮蔽粉体とのディスパージョンの比較ではマイブリッドディスパージョンの方が従来のものより平均粒子径、可視部の透明性と紫外線遮蔽能において圧倒的に優れている。【0152】【表1】【0153】[実施例17、比較例16及び比較例17](2WAYパウダーファンデーションの製造)表2に示す組成の2WAYパウダーファンデーションを下記の方法により製造した。数値は重量部を表す。【0154】【表2】*1:実施例17に配合*2:比較例17に配合*3:比較例3において得られたデキストリンパルミテート処理二酸化チタン*4:比較例1において得られたメチルハイドロジェンポリシロキサン処理セリサイト。【0155】(製法)上記成分(1)〜(7)を混合し粉砕機を通して粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、成分(8)〜(12)を混合し均一にしたものを加えて、更に混合し均一にした。これを粉砕機に通し、フルイをかけ粒度を揃えた後、圧縮成形して2WAYファンデーションを製造した。【0156】[実施例18及び比較例18](乳化型ファンデーションの製造)表3に示す組成の乳化型ファンデーションを下記の方法により製造した。【表3】*1:実施例18に配合*2:比較例18に配合。尚、数値は重量部を表す。【0157】(製法)70℃にて成分(1)〜(7)を均一に溶解混合した。成分(8)〜(12)を70℃で均一に混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、冷却し成分(13)を加え乳化粒子を整え、リキッドファンデーションを製造した。【0158】[実施例19、比較例19及び比較例20](パウダーアイシャドウの製造)表4に示す組成のパウダーアイシャドウを下記の方法により製造した。【0159】【表4】*1:実施例19に配合*2:比較例20に配合*3:比較例1において得られたメチルハイドロジェンポリシロキサン処理セリサイト。尚、数値は重量部を表す。【0160】(製法)上記成分のうち、雲母チタン以外の成分(1)〜(4)をヘンシルミキサーで混合した後、アトマイザーで粉砕した。これに成分(3)の雲母チタンを混合し成分(5)〜(10)を均一に加熱溶解したものを加え混合した。これをアトマイザーで粉砕した後、フルイを通し、中皿に圧縮成形してパウダーアイシャドウを製造した。【0161】比較例20はセリサイトの含有量を合わせるとジメチルポリシロキサン量が過剰になり剤型化はできなかった。比較例1で製造したディスパージョンは粉体の含有量が低く処方への汎用性が低い(使用適性が悪い)。【0162】本発明の上記実施例について、専門パネラー20名により化粧料の官能評価を行った。評価項目として使用時の滑らかさ、皮膚に対する付着性、皮膚上での伸び、仕上り感の4項目を選択し、5段階で評価した。その結果を表5に示す。【0163】(評価基準)5:良い;4:やや良い;3:普通;2:やや悪い;及び1:悪い。【0164】【表5】【0165】表5から明らかな如く、本発明の油性分散体を配合した化粧料においては、使用時の滑らかさ、皮膚に対する付着性、皮膚上での伸び及び仕上り感等の官能値が大きく向上した。また、パウダーファンデーションやパウダーアイシャドウ等のパウダーの配合率が高い剤型にディスパージョンを配合するためには粉体の含有量が高くないと油性剤が過剰になり剤型化不可能になったり、他の油性剤成分の配合量が限定されてしまう。マイブリッドディスパージョンは従来のディスパージョンより粉体のコンテンツを高くすることが可能なため処方への汎用性が高く使用適性に優れている。【0166】[実施例20及び比較例21](UV乳液の製造)表6に示す組成のUV乳液を下記の方法により製造した。数値は重量部を表す。【0167】【表6】*1:実施例20に配合*2:比較例21に配合。【0168】(製法)上記成分(1)〜(8)を75℃にて混合溶解した油相に成分(7)を加え均一にホモディスパーで分散した。成分(9)〜(13)を均一に75℃で混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、乳化粒子を整えた後、成分(14)を加え乳液を製造した。【0169】[実施例21及び比較例22](日焼け止めUVクリームの製造)表7に示す組成の日焼け止めクリームを下記の方法により製造した。数値は重量部を表す。【0170】【表7】*1:実施例21に配合*2:比較例22に配合。【0171】(製法)上記成分(1)〜(9)の油相成分を75℃で均一に分散溶解した。成分(10)〜(14)の水相成分を75℃で溶解し、均一化したものを油相成分に添加しホモミキサーで乳化して、これに成分(15)を加え冷却し日焼け止めクリームを製造した。【0172】[実施例22及び比較例23](特開平12−26262号公報の例1の日焼け止めUVクリームの製造)表8に示す組成の日焼け止めクリームを下記の方法により製造した。数値は重量部を表す。【0173】【表8】*1:実施例22に配合*2:比較例23に配合*3:Merck KGaA, Darmstadt*4:Th. Goldshmidt, Essen*5:Henkel KGaA, Dusseldorf*6:Unichema, Emmerich*7:Fuller, Luneburg*8:Merck KGaA, Darmstadt。【0174】(製法)上記成分(1)〜(9)の油相成分を75℃で均一に分散溶解した。成分(10)〜(13)の水相成分を75℃で溶解し、均一化したものを油相成分に添加しホモミキサーで乳化して日焼け止めクリームを製造した。【0175】[実施例23及び比較例24](日焼け止めUVローションの製造)表9に示す組成のローションを下記の方法により製造した。数値は重量部を表す。【0176】【表9】*1:実施例23に配合*2:比較例24に配合。(製法)上記成分(1)〜(8)を70℃にて混合溶解した。成分(9)〜(13)を均一に70℃で混合溶解した水相を前記油相に徐添し、ホモミキサーで均一分散後、乳化粒子を整えた後、成分(14)を加え冷却しローションを製造した。製造直後の粘度は実施例及び比較例の何れのローションも150±50mPa・sであった。このローション処方にはディスパージョンが25wt%配合されており表面処理された微粒子酸化チタン濃度は13.75wt%である。更なる高SPF値を求め微粒子酸化チタン濃度を上げる場合マイブリッドディスパージョンは配合量を増量すれば可能であるが、従来のディスパージョンは分散安定化剤としてポリエーテル変性シリコーンが配合されているのでディスパージョンの増量とともにポリエーテル変性シリコーンも増量されることになり処方が壊れてしまい増量できない。このことから、マイブリッドディスパージョンが処方への汎用性に優れていることが分かる。【0177】本発明の実施例20〜23及び比較例21〜24について、in-vitroPA値、in-vitroSPF値(SPFアナライザー)、可視部の透過率の評価を実施例23及び比較例24については経時での保存安定性(−10℃〜50℃/2日毎1ケ月間放置)を追加して評価した。その結果を表10に示す。【0178】(in-vitroPA値とin-vitroSPF値の測定)トランスポアサージカルテープ(3M Health Care USA)を石英板(100×100×3mm:タテ ヨコ タカサ)に張付け4.5×4.5cmの面積に2mg/cm2の条件でスポンジで塗布し15分間放置した。その塗布面についてSPFアナライザーで12スポットを測定し平均値を求めた。(可視部透過率の測定)前記PA及びSPFで調製した試料塗布面について積分球付き分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC:LISR−3100付属」)で560nmの透過率を10スポット測定し平均値を求めた。【0179】【表10】【0180】表10から明らかなように、本発明の油性分散体を配合した化粧料は、油性剤への親和性や分散性に優れているため微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の可視部の透明性や紫外線遮蔽能を大きく向上させることができる。更に、このようにして得られる化粧料の経時安定性にも優れている。また、実施例22と比較例23の結果から、液状紫外線吸収剤と無機紫外線遮蔽粉体とのディスパージョンの比較では処方へ配合した場合でも、マイブリッドディスパージョンを配合したものの方が従来のものより可視部の透明性や紫外線遮蔽能において圧倒的に優れていることが分かる。【0181】[実施例24及び比較例25](ヘアクリームの製造)表11に示す組成のヘアクリームを下記の方法により製造した。数値は重量部を表す。【0182】【表11】*1:実施例24に配合*2:比較例25に配合。(製法)上記成分(1)〜(9)を80℃にて混合溶解した。成分(10)〜(13)を均一に80℃で混合溶解し前記油相を徐添し、ホモミキサーで均一分散後、乳化粒子を整え冷却しヘアクリームを製造した。【0183】実施例24と比較例25で得られたヘアクリームについてパネラー20名による、ごわつきの無さ、柔軟性及びツヤ感についての官能試験を行った。官能試験は5段階評価で行った。その結果を表12に示す。【0184】(官能評価の評価基準)5:非常に良い;4:良い;3:普通;2:やや悪い1:悪い。【0185】【表12】表12から明らかなように、本発明のマイブリッドディスパージョンを配合したヘアクリームは、粉体が超分散しているため粉体の持つ感触や光沢等の機能が発揮されることでごわつきの無さ、柔軟性及びツヤ感の官能評価において従来のディスパージョンを配合したものよりも優れている。【0186】[実施例25及び比較例26](ネイルエナメルの製造)表13に示す組成のネイルエナメルを下記の方法により製造した。数値は重量部を表す。【0187】【表13】*1:実施例25に配合*2:比較例26に配合。(製法)上記成分(5)〜(9)を混合し、成分(1)〜(4)を加え均一に溶解した。更に、成分(10)〜(12)を添加し分散させてネイルエナメルを製造した。【0188】本発明の実施例25と比較例26で得られたネイルエナメルについて、光沢、彩度、経時での分散安定性、について評価した。結果を表14に示す。【0189】(光沢)試料をガラス板状に垂らしドクターブレードで300μm厚の塗膜を作製した。この塗膜について光沢計(日本電色工業 (株)製「VGS−300A」)で60°−60°の光沢値を測定した。(彩度)光沢の測定試料について分光色差計(日本電色工業(株)製「SZ−Σ90」)で測定し彩度を求めた。(分散安定性)試料を−10℃〜50℃の48時間サイクルで1ケ月間保存し沈降や色分かれの有無を観察した。【0190】【表14】【0191】表14から明らかな如く、本発明の油性分散体を配合したネイルエナメルは、粉体の分散性に優れるため彩度や光沢等の粉体の有する機能を最大限に発揮させることができる。また、経時での分散安定性にも優れている。【0192】【発明の効果】 以上詳述したように、本発明においては粉体を高濃度にかつ高分散させることが可能で更に高分散安定性を有する油性分散体が得られる。特に、本発明に使用する被覆粉体は、前記A、B2層を少なくとも含む前記特定の被覆層により、親油性溶媒中で分散性に優れるため高分散体が可能である。このため、この油性分散体は粉体粒子の分散状態によって大きく変わる粉体基材の機能、例えば皮膚への付着力、感触(使用感;滑り性)、隠蔽力、着色力、紫外線や赤外線の遮蔽能及び光学特性等を従来の被覆粉体に比較して飛躍的に向上させることができる。また、これらの粉体の超分散安定性を有する油性分散体を配合した本発明の化粧料は、化粧料としてこのように優れた粉体を含むので、その使用性や経時安定性に極めて優れている。【0193】本発明の油性分散体に使用する被覆粉体においては、化粧料に使用可能な粉体(基材)等であれば、化粧料以外で使用する粉体(基材)に対しても同様に本発明で得られる優れた効果(粉体の高分散体)が得られるので、化粧料以外の分野でも同様に本発明に使用する被覆粉体を好適に適用し、目的とする油性分散体とすることができる。 粉体粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層を有する被覆粉体と、その分散媒として親油性溶媒とを少なくとも含有し、 前記被覆粉体は、粉体粒子表面の少なくとも一部上において、A層で被覆され、更にその上にB層で被覆されている粉体であることを特徴とする粉体の油性分散体、A層:トリオルガノシロキシケイ酸及び両末端官能基変性オルガノポリシロキサンの中から選択される反応性オルガノポリシロキサン、アルキルシラン、ポリオレフィン、N−アシルアミノ酸(塩の形態にあるものを含む。)、脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)及びデキストリン脂肪酸エステルの中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:直鎖状で重合度が10〜100である片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、炭素数6〜30のアルキル基を有するアルキルシラン、フルオロカーボン数が1〜30のパーフルオロアルキルシラン及び炭素数が8〜22である分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層。 粉体粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層を有する被覆粉体と、その分散媒として親油性溶媒とを少なくとも含有し、 前記被覆粉体は、粉体粒子表面の少なくとも一部上において、A層で被覆され、更にその上にB層で被覆されている粉体であることを特徴とする粉体の油性分散体、A層:反応性オルガノポリシロキサンが三次元に架橋反応して樹脂化したものを含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:直鎖状で重合度が10〜100である片末端官能基変性オルガノポリシロキサン、炭素数6〜30のアルキル基を有するアルキルシラン、フルオロカーボン数が1〜30のパーフルオロアルキルシラン及び炭素数が8〜22である分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層。 粉体粒子表面の少なくとも一部上に形成された下記A層及びB層の表面処理剤被覆層を有する被覆粉体と、その分散媒として親油性溶媒とを少なくとも含有し、 前記被覆粉体は、粉体粒子表面の少なくとも一部上において、A層で被覆され、更にその上にB層で被覆されている粉体であることを特徴とする粉体の油性分散体、A層:水添レシチン(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で固体状の表面処理剤被覆層;及びB層:直鎖状で重合度が10〜100である片末端官能基変性オルガノポリシロキサン(但し、官能基がハロゲン原子である場合を除く)、下記一般式で示される炭素数6〜30のアルキル基を有するアルキルシラン及び炭素数が8〜22である分岐脂肪酸(塩の形態にあるものを含む。)の中から選択される化合物を含有する常温で液体状の表面処理剤被覆層。R5nSiR6(4−n)上記一般式中、R5は炭素数6〜30のアルキル基を、複数存在するR6は全て相互に独立していて、それぞれ水素原子、水酸基、ハロゲン原子(Cl、Br、I)、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基の何れかを、nは1、2又は3を、それぞれ表す。 粉体が化粧料に使用可能な粉体である請求項1〜3何れか記載の分散体。 被覆粉体中のA層とB層とが、重量比較でA≦Bの関係にある請求項1〜4何れか記載の分散体。 被覆粉体において、被覆処理される粉体に対し、A層の重量比が100対0.1〜10であり、B層の重量比が100対0.1〜30である請求項1〜5何れか記載の分散体。 被覆粉体がジェット法により処理された被覆粉体である請求項1〜6何れか記載の分散体。 請求項1〜7何れか記載の分散体を配合することを特徴とする化粧料。 当該分散体を1〜99重量%配合する請求項8記載の化粧料。