タイトル: | 特許公報(B2)_α,ω−ジシアノ化合物の製造方法 |
出願番号: | 2000274724 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 253/00,C07C 255/04,C07C 255/09 |
原田 勝正 福田 泰久 山中 良典 村上 正 弘津 健二 JP 4239388 特許公報(B2) 20090109 2000274724 20000911 α,ω−ジシアノ化合物の製造方法 宇部興産株式会社 000000206 原田 勝正 福田 泰久 山中 良典 村上 正 弘津 健二 20090318 C07C 253/00 20060101AFI20090226BHJP C07C 255/04 20060101ALI20090226BHJP C07C 255/09 20060101ALI20090226BHJP JPC07C253/00C07C255/04C07C255/09 C07C 253/00 C07C 255/04 C07C 255/09 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平9−40627(JP,A) 特開昭57−134454(JP,A) 特許第3788218(JP,B2) 特許第3918419(JP,B2) 2 2002088042 20020327 7 20060123 福島 芳隆 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、α,ω−ジシアノ化合物の新規な製造方法であり、得られる化合物は、各種ナイロン等の原料として有用なカルボン二酸、ジアミン等の中間原料である。【0002】【従来の技術】本発明に関連する先行技術として、特開平9−40627号公報には、2−ヒドロキシシクロヘキサノンオキシムとギ酸及びヒドロキシアミンからアジポニトリルが製造できることが開示されている。しかし、この方法では、収率が74%程度であり、充分満足すべき値とは言い難い。また、2−ハロゲノシクロヘキサノンオキシムから一段でアジポニトリルが得られることは記載されておらず、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類から一段でα、ω−ジシアノ化合物を合成する方法については、これまでに全く知られていなかった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、α,ω−ジシアノ化合物の収率の向上と工程を簡略することを目的とした新規な製造法を提供することである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明の課題は、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類、ギ酸およびヒドロキシルアミンをアンモニア及び/又はアミンの存在下で反応させることを特徴とするα,ω−ジシアノ化合物の製造方法によって達成される。【0005】【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の原料化合物である2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類は、対応するアルケンとニトロシルクロライド等の反応等によって、合成することが出来る。例えば、2−クロロシクロドデカジエノンオキシムの製造はChim.Ind. (Milan), 49(5), 494(1967)に記載されている。【0006】2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類は、炭素数6〜12の飽和あるいは不飽和の環状炭化水素からなる2-ハロゲノシクロアルカノンオキシム類が好ましく、特に12員環の2−ハロゲノシクロドデカノンオキシム類が好ましい。なお、二重結合を少なくとも1個有する2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類の場合には、シス体又はトランス体等いかなる構造であっても構わない。これらの異性体は混合して使用しても何ら問題はない。また、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類は、市販品あるいは合成品をそのまま使用することも、さらに結晶化等により精製したものを使用しても何ら問題はない。【0007】2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類におけるハロゲンは、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)およびヨウ素(アイオド)であり、好ましくは塩素(クロロ)である。具体的には2−クロロシクロペンタノンオキシム、2−クロロシクロヘキサノンオキシム、2−クロロシクロヘキセノンオキシム、2−クロロシクロヘプタノンオキシム、2−クロロシクロオクタノンオキシム、2−クロロシクロオクテノンオキシム、2−クロロシクロノナノンオキシム、2−クロロシクロデカノンオキシム、2−クロロシクロウンデカノンオキシム、2−クロロシクロドデカノンオキシム、2−クロロシクロドデカジエノンオキシム等がある。好ましくは2−ハロゲノシクロドデカジエノンオキシム類であり、特に好ましくは、2−ハロゲノ−5,9−シクロドデカジエノンオキシムである。これらは、単独でも2種以上を混合して使用しても良い。【0008】本発明で使用するギ酸は、特に制限がなく、通常の市販品が使用でき、無水ギ酸あるいは含水ギ酸を用いることが出来る。好ましくは50重量%以上のギ酸である。さらに好ましくは、90重量%以上のギ酸である。【0009】ギ酸の使用量は、原料2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類に対して、1〜100重量部、好ましくは2.5〜40重量部である。【0010】本発明で使用するヒドロキシアミンは、単体もしくは、その塩として用いることが出来る。塩としては、特に限定されないが、塩酸塩、硫酸塩、りん酸塩、硝酸塩、しゅう酸塩などの塩が市販されており、これらを用いることが出来る。その使用量は、原料2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類に対して、通常0.1〜10倍モル、好ましくは0.8〜2倍モルである。【0011】本発明では、反応系にアンモニア及び/又はアミンを含有させることが必要である。アンモニアの添加方法としては、特に制限はないが、アンモニア水溶液を使用することもできる。アンモニア水溶液の濃度については、特に制限はなく、通常の市販品を使用できる。また、アンモニアガスを直接反応系に加えることもできる。さらには、アンモニウム塩を反応系に加えてもよい。アンモニウム塩の具体例としては、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、有機カルボン酸アンモニウム塩等が挙げられる。【0012】アミンは、アンモニアの水素原子の少なくとも1個を炭化水素残基で置換したものであり、好ましくは、炭素数1〜4個の脂肪族アミンである。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。【0013】アンモニア及び/又はアミンの使用量は、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類に対して、当モル以上、好ましくは1〜10倍モル、より好ましくは1〜5倍モルである。【0014】本発明での反応溶媒は、通常はギ酸溶液をそのまま使用するが、有機溶媒も使用することができる。有機溶媒としては、本反応に不活性な溶媒であれば特に制限はないが、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、塩化メチレン、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸類等が挙げられる。これらの溶媒は、2−アルコキシシクロアルカノンオキシム類に対し、通常0〜100重量倍、好ましくは0〜50重量倍である。【0015】反応温度は、使用する反応溶媒の沸点以下で行う限り特に限定されないが、通常20〜200℃、好ましくは40〜110℃で行うことができる。また、反応圧力は、通常、常圧下で実施されるが、若干の加圧下で実施してもよい。反応装置も、特に制限はなく通常の攪拌装置を備えた反応器で実施することができる。【0016】その反応時間は、前記濃度、温度等の反応条件によって異なるが、通常0.05〜24時間である。【0017】本発明で得られたα,ω−ジシアノ化合物は、蒸留・結晶化等により分離・精製することができる。【0018】【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。【0019】実施例12−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム0.5g(2.2mmol)、硫酸ヒドロキシルアミン0.2g(1.2mmol)および25%アンモニア水0.31g(4.6mmol)を75%ギ酸5.0gに溶解し、30分加熱還流した。反応終了後、ギ酸を減圧留去し、得られた残査に水を加えトルエンで2回抽出した。有機層を水で1回、飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧下で溶媒を留去し、黄色油状物を得た。得られた油状物をアセトニトリル溶液とした後、液体クロマトグラフ分析(HPLC)によって定量分析した。その結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.35g(1.86mmol 収率85%)生成していることが判った。油状物である4,8−ドデカジエンジニトリルの各種機器分析結果は、以下の通りであった。(1)質量分析(MS)m/z(EI) 148, 94, 67m/z(CI)189(MH+)(2)水素核磁気共鳴分析(1H−NMR)1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:2.10〜2.22(4H,m)、2.32〜2.50(8H,m)、5.35〜5.64(4H,m)(3)赤外分光分析(IR)IR(cm-1):2245(−CN),1449,1427,972,735(4)炭素核磁気共鳴分析(13C−NMR)13C−NMR(200MHz,CDCl3)δ:16.5、16.6、22.4、26.1、27.4、31.3、118.7、118.8、125.1、125.9、131.3、131.7【0020】実施例22−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム0.5g(2.2mmol)、硫酸ヒドロキシルアミン0.2g(1.2mmol)および25%アンモニア水0.17g(2.5mmol)を75%ギ酸2.5gに溶解し、30分加熱還流した。反応終了後、後処理を実施例1と同様に行った。HPLCによる定量分析の結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.34g(1.8mmol 収率82%)生成していることが判った。【0021】実施例32−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム0.5g(2.2mmol)、硫酸ヒドロキシルアミン0.2g(1.2mmol)および25%アンモニア水0.31g(4.6mmol)を75%ギ酸2.5gに溶解し、外温75℃で6時間加熱還流した。反応終了後、後処理を実施例1と同様に行った。HPLCによる定量分析の結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.30g(1.6mmol 収率73%)生成していることが判った。【0022】実施例42−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム0.5g(2.2mmol)、硫酸ヒドロキシルアミン0.2g(1.2mmol)およびギ酸アンモニウム0.29g(4.6mmol)を75%ギ酸2.5gに溶解し、30分加熱還流した。反応終了後、後処理を実施例1と同様に行った。HPLCによる定量分析の結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.33g(1.8mmol 収率80%)生成していることが判った。【0023】実施例52−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム0.5g(2.2mmol)、硫酸ヒドロキシルアミン0.2g(1.2mmol)およびトリエチルアミン0.46g(4.6mmol)を75%ギ酸2.5gに溶解し、30分加熱還流した。反応終了後、後処理を実施例1と同様に行った。HPLCによる定量分析の結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.31g(1.6mmol 収率73%)生成していることが判った。【0024】実施例62−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム0.5g(2.2mmol)、硫酸ヒドロキシルアミン0.2g(1.2mmol)および25%アンモニア水0.31g(4.6mmol)を99%ギ酸2.5gに溶解し、30分加熱還流した。反応終了後、後処理を実施例1と同様に行った。HPLCによる定量分析の結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.29g(1.56mmol 収率71%)生成していることが判った。【0025】比較例12−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム1.0g(4.4mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン0.6g(8.8mmol)を99%ギ酸25mlに溶解し、30分加熱還流した。反応終了後、後処理を実施例1と同様に行った。HPLCによる定量分析の結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.2g(1.1mmol 収率25%)生成していることが判った。【0026】比較例22−クロロ−5,9−シクロドデカジエノンオキシム0.5g(2.2mmol)、硫酸ヒドロキシルアミン0.2g(1.2mmol)および水酸化カルシウム0.34g(4.6mmol)を75%ギ酸2.5gに溶解し、30分加熱還流した。反応終了後、後処理を実施例1と同様に行った。HPLCによる定量分析の結果、4,8−ドデカジエンジニトリルが0.23g(1.2mmol 収率55%)生成していることが判った。【0027】実施例1〜6および比較例1〜2の結果をまとめて表1に示した。【表1】【0028】【発明の効果】本発明の、アンモニア及び/又はアミンの存在下、2−クロロシクロアルカノンオキシム類とギ酸およびヒドロキシルアミンを反応させることによってα,ω−ジシアノ化合物を収率よく製造することができる。 アンモニア及び/又はアミンの存在下、2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類、ギ酸およびヒドロキシルアミンを反応させることを特徴とするα,ω−ジシアノ化合物の製造方法。 2−ハロゲノシクロアルカノンオキシム類が2−ハロゲノシクロドデカノンオキシム類である請求項1記載のα,ω−ジシアノ化合物の製造方法。