タイトル: | 特許公報(B2)_変性イソシアネート化合物の製造方法 |
出願番号: | 2000251064 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C08G 18/79,C08G 18/22,C07D 251/34 |
池本満成 笹原俊昭 JP 3952673 特許公報(B2) 20070511 2000251064 20000822 変性イソシアネート化合物の製造方法 日本ポリウレタン工業株式会社 000230135 岡▲崎▼ 秀雄 100092314 池本満成 笹原俊昭 20070801 C08G 18/79 20060101AFI20070712BHJP C08G 18/22 20060101ALI20070712BHJP C07D 251/34 20060101ALI20070712BHJP JPC08G18/79 AC08G18/22C07D251/34 L C08G 18/00- 18/87 C07D 251/34 特開平04−306218(JP,A) 特開平05−070444(JP,A) 特開平08−104728(JP,A) 特開平06−041270(JP,A) 3 2002060459 20020226 10 20040406 武貞 亜弓 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、硬化塗膜の諸物性に優れた低粘度のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】 塗料・塗装及び接着剤分野においては、HDI、IPDIなどの脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートより誘導される無黄変ポリイソシアネートは耐候性に優れているが、その中でもイソシアヌレート結合を含有するポリイソシアネートタイプが、化学的、熱的安定性が高く、特に耐候性、耐熱性、耐久性に優れているため、その用途に応じて幅広く使用されており、今後もより一層の用途展開が期待されている。【0003】 このイソシアヌレート結合を含有するタイプは、ビュレットタイプやウレタンタイプよりも溶剤溶解性(以下、トレランスという。)に優れ、非極性の芳香族炭化水素系溶剤であるトルエン、キシレンなどに溶解するが、トルエン、キシレンなどの通常の溶剤はプラスチックを侵すほどの強い溶解性を有するため、塗装工程において下地が硬化するまで塗り重ねができないなど、溶剤選択性の点において実用上の制約が存在しているのが現状である。 これら従来技術の問題点を解決する方法として、たとえば、特公昭62−51968号公報、特開昭62−215662号公報の方法や、特開平4−306218号公報の方法のように、ジイソシアネートをアルコールによって変性して得られるイソシアヌレート結合含有ポリイソシアネートとアロファネート結合含有ポリイソシアネートとの混合物により、非極性有機溶剤に対するトレランスを向上させる方法が提案されている。 さらには、悪臭防止の観点から非極性有機溶剤では刺激臭がするため好ましくなく、将来的にはパラフィン系炭化水素のような無臭溶剤を使用していく動きがあるが、これに溶解性の良い硬化剤は得られていないのが現状である。【0004】【発明が解決しようとする課題】 前記特公昭62−51968号公報、特開昭62−215662号公報で提案されている方法のように、ジイソシアネートを炭素数の長いジアルコールにより変性した場合には、生成する変性ポリイソシアネートの分子量が大きくなるため粘度が高くなり、非極性有機溶剤、とりわけその中でも溶解能のないアニリン点の高い溶剤、そして無臭溶剤に対してトレランスが低下し好ましくない。 また、前記特開平4−306218号公報の方法のように、炭素数の短いモノアルコールにより変性した場合にも同様に、前記溶剤に対するトレランスが不足する。【0005】 前記各公報に開示されている技術はいずれも、非極性有機溶剤に対するトレランスの向上のみを目標に掲げたもので、種々の変性剤を用いることによりトレランスの向上を図っているが、塗料組成物、接着剤組成物として使用する際の硬度、乾燥性については、通常の極性溶剤に溶解しやすい既存の硬化剤に比べて劣る傾向にあり、硬度、乾燥性に配慮した技術ではなかった。 すなわち、非極性有機溶剤、とりわけその中でも溶解能のないアニリン点の高い溶剤、そして無臭溶剤に対して高いトレランスを有し、かつ、硬度、乾燥性にすぐれた硬化剤は得られていないのが現状である。 塗料、接着剤分野においては、硬度低下は物性の低下につながり、乾燥性の低下は作業性の低下につながり、一般的に短所として位置付けられるものとなり好ましくない。【0006】【課題を解決するための手段】 そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ね、非極性有機溶剤さらには無臭溶剤にも溶解する変性イソシアネート化合物の開発に取組み、従来技術よりもこれらの溶剤に対する「トレランス向上」を達成すると同時に、「低粘度化」及び「硬度や乾燥性」との両立を図るために、その製造について鋭意研究した結果、まずヘキサメチレンジイソシアネートの一部をモノアルコールによりウレタン化し、これと同時に又は次いでアロファネート化し、更にイソシアヌレート化するという順序で反応を行なって、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】 すなわち、本発明は、モノアルコールと過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させてヘキサメチレンジイソシアネートとウレタン基含有イソシアネート化合物との混合物を合成し、この混合物を飽和脂肪族カルボン酸のスズ塩、亜鉛塩及び鉛塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上のアロファネート化触媒の存在下でウレタン基含有イソシアネート化合物のウレタン基に対して0.8〜1.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で70〜150℃でアロファネート化して実質的に全てのウレタン基をアロファネート基に変換し、次いでカルボン酸のアルカリ金属塩からなるイソシアヌレート化触媒の存在下で20〜70℃でイソシアヌレート化した後、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去すること、を特徴とする25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法である。【0008】 本発明は、モノアルコールと過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートとを飽和脂肪族カルボン酸のスズ塩、亜鉛塩及び鉛塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上のアロファネート化触媒の存在下でモノアルコールの水酸基に対して1.8〜2.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で70〜150℃で反応させてアロファネート化し、次いでカルボン酸のアルカリ金属塩からなるイソシアヌレート化触媒の存在下で20〜70℃でイソシアヌレート化した後、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去すること、を特徴とする25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法である。【0009】 また本発明は、前記モノアルコールが炭素数1〜4のモノアルコールである、前記の各25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法である。【0010】【発明の実施の形態】 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明において変性イソシアネート化合物を合成するために用いる有機ポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIという。)などのヘキサメチレンジイソシアネートである。【0011】 本発明における変性イソシアネート化合物の合成において、モノアルコールは非極性有機溶剤及び無臭溶剤に対するトレランスをさらに上げるために使用されるものであり、炭素数1〜4のモノアルコールが好ましい。モノアルコールの炭素数が4を超えると、変性イソシアネート化合物のイソシアネート含量(以下、NCO含量という。)が低下する。 モノアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノールなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。【0012】 モノアルコールの使用量は、ヘキサメチレンジイソシアネートとの反応におけるウレタン化率が全イソシアネート基に対して2〜20モル%となる量であることが好ましい。モノアルコールの使用量がウレタン化率2モル%未満となる量では、収率が悪く非効率的である。ウレタン化率20モル%となる量を超えると、得られる変性イソシアネートのNCO含量が少なくなり、また、塗料組成物あるいは接着剤組成物としたときの硬度、乾燥性及び耐候性の向上が達成できない。 ウレタン化反応は、20〜120℃の範囲で好適に行うことができる。【0013】 アロファネート化反応は、公知のアロファネート化触媒を使用して行う。 アロファネート化触媒は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸のスズ塩、亜鉛塩及び鉛塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。【0014】 助触媒として例えば亜リン酸エステルを併用することができ、具体的には亜リン酸ジエステルと亜リン酸トリエステルが挙げられる。 亜リン酸トリエステルの具体例としては、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト等のモノホスファイトなどが挙げられる。また、ジステアリルペンタエリスリチルジホスファイト、ジトリデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルテトラトリデシルペンタエリスリチルテトラホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、トリペンタエリスリトールトリホスファイトなどの多価アルコールから誘導されたジ、トリあるいはテトラホスファイト類も挙げられる。さらに、炭素数が1〜20のジアルキルビスフエノールAジホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシル)ホスファイトなどのビスフェノール系化合物から誘導されたジホスファイト類、水素添加ビスフェノールAホスファイトポリマー(分子量2400〜3000)等のポリホスファイト類、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトも挙げられる。 亜リン酸ジエステルの具体例としては、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどが挙げられる。 これらの亜リン酸エステルは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。 飽和脂肪族カルボン酸のスズ、亜鉛、鉛塩と亜リン酸エステルとを組合わせて使用すると、飽和脂肪族カルボン酸のスズ、亜鉛、鉛塩自体の使用量はそれ単独で使用する場合よりも少ない量でよい。飽和脂肪族カルボン酸のスズ、亜鉛、鉛塩の使用量はその種類により異なるが、通常、ウレタン基含有化合物に対して0.0005〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%が更に好ましい。ウレタン基含有化合物に対する飽和脂肪族カルボン酸のスズ、亜鉛、鉛塩の使用量が0.0005質量%未満であると、実質的に反応が遅く、長時間を要し、他方、飽和脂肪族カルボン酸のスズ、亜鉛、鉛塩の使用量が1質量%を超えると、反応制御が難しく、また、反応生成物を硬化剤とする二液型樹脂のポットライフが短くなる等の問題が生じることがある。 亜リン酸エステルの使用量は、ウレタン基を有する化合物に対して0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましい。その使用量が0.005質量%未満であると、助触媒としての作用が充分でなく、他方、その使用量が1質量%を超えると、反応により得られた生成物を利用した最終製品の物性に悪影響を及ぼすおそれがある。【0015】 アロファネート化率は、ウレタン基に対して0.8〜1.0倍モル量、すなわち、モノアルコールの水酸基に対して1.8〜2.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で行う。アロファネート化率が水酸基に対して1.8倍モル量未満のイソシアネート基を消費する範囲で反応させて得られる生成物は1官能成分が多量に残り、塗膜物性を悪化させ、2.0倍モル量を超えるイソシアネート基が消費された場合、イソシアヌレート化反応が起きていると考えられるが、アロファネート化触媒でイソシアヌレート化させることは効率的でなく、また、濁りも発生させやすい。 アロファネート化反応は、70〜150℃の範囲で行う。反応温度が70℃未満では反応の進行が極めて遅く、150℃を超えると着色しやすくなる。【0016】 前記アロファネート化反応生成物のイソシアヌレート化反応は、公知のイソシアヌレート化触媒を使用して行う。 イソシアヌレート化触媒は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、吉草酸、オクチル酸、ミリスチン酸、ナフテン酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩である。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。 イソシアヌレート化触媒は、ヘキサメチレンジイソシアネートに対して0.0001〜1.0質量%、特に0.001〜0.1質量%の量を用いるのが好ましい。 イソシアヌレート化反応は、20〜70℃の範囲で行う。反応温度が20℃未満又は70℃を超えると反応の進行が極めて遅く、また、70℃を超えると着色しやすいという不都合がある。【0017】 目的のイソシアヌレート化反応率に到達後、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等の停止剤を添加してイソシアヌレート化反応を停止させ、反応混合物中に存在している遊離の未反応のヘキサメチレンジイソシアネート(モノマー)を、例えばn−ヘキサンを用いる抽出あるいは10〜100Paの高真空下での120〜140℃における薄膜蒸留といった適当な手段により、多くとも1.0質量%の残留含有率まで除去して、目的とする変性イソシアネート化合物を得る。【0018】 本発明により得られる変性イソシアネート化合物は、不活性溶剤で希釈して、塗料や接着剤の硬化剤として使用することができる。 このような不活性溶剤としては、ハウス(シェル化学製、アニリン点15℃)、スワゾール310(丸善石油製、アニリン点16℃)、エッソナフサNo.6(エクソン化学製、アニリン点43℃)、ロウス(シェル化学製、アニリン点43℃)、Aソルベント(日本石油製、アニリン点44.5℃)などの非極性有機溶剤及び/又は無臭溶剤であるイソペンタン、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカンなどを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらの不活性溶剤に極性有機溶剤を混合して使用することも好ましい。【0019】【発明の効果】 本発明により製造される変性イソシアネート化合物は、モノアルコールによりヘキサメチレンジイソシアネートの一部をウレタン化し、これと同時に又は次いで(ウレタン基のすべてを)アロファネート化し、更にイソシアヌレート化しているので、低粘度で溶剤や多価ヒドロキシル化合物との相溶性が良く、特に、非極性有機溶剤及び/又は無臭溶剤に対するトレランスと、硬化性、乾燥性、耐候性の両立した(ポリウレタン塗料組成物や接着剤組成物の)硬化剤として使用することができる。そのため、金属、プラスチック、コンクリート、木材等の広範囲の被塗物に良好な作業性で適用可能である。また、従来の極性溶剤を使用した際と比較して、極性溶剤に侵されやすい塗膜の上に塗り重ねる場合や補修する際の塗膜のリフティングを発生させず、外観の良好な塗膜を得ることができる。【0020】【実施例】 以下、本発明について実施例及び比較例により更に詳細に説明する。実施例1 撹拌機、温度計及び還流冷却器を取り付けた四ッ口フラスコに、HDI(日本ポリウレタン工業株式会社製;NCO含量=49.9%、固形分=100%)970gを仕込み、次いでメタノール30gを仕込んだ。これを攪拌しながら90℃に加熱し、同温度で2時間攪拌してウレタン化反応を行った。そしてその後、この反応液中にアロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸鉛0.2gを加え、90℃で3時間攪拌してアロファネート化反応を行った。次いで、50℃に冷却し、この中にイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸カリウム0.2gを加え、同温度で4時間攪拌してイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で反応停止剤であるリン酸0.2gを加えて、1時間攪拌して反応を停止させた。未反応のHDIを130℃、40Paで薄膜蒸留により除去し、変性イソシアネートP−1を得た。 使用した各原料、それらの仕込み量、各反応条件、反応結果、変性イソシアネートの性状などを表1にまとめて示す。 なお、残留の遊離HDI含有率はガスクロマトグラフィー分析により求めた。変性イソシアネートの分析は、GPC分析、IR分析、C13NMR分析により行った。【0021】実施例2 撹拌機、温度計及び還流冷却器を取り付けた四ッ口フラスコに、HDI(日本ポリウレタン工業株式会社製;NCO含量=49.9%、固形分=100%)980gを仕込み、次いでこの中にメタノール20gとアロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸鉛0.2gを加え、90℃で3時間攪拌して(ウレタン化反応と同時に)アロファネート化反応を行った。次いで、50℃に冷却し、この中にイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸カリウム0.2gを加え、同温度で6時間攪拌してイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で反応停止剤であるリン酸0.2gを加えて、1時間攪拌して反応を停止させた。未反応のHDIを130℃、40Paで薄膜蒸留により除去し、変性イソシアネートP−2を得た。 使用した各原料、それらの仕込み量、各反応条件、反応結果、変性イソシアネートの性状などを表1にまとめて示す。【0022】実施例3 実施例1において、HDIを950g使用し、ブタノールを50g使用した以外は同様にして、変性イソシアネートP−3を得た。 使用した各原料、それらの仕込み量、各反応条件、反応結果、変性イソシアネートの性状などを表1にまとめて示す。【0023】比較例1 撹拌機、温度計及び還流冷却器を取り付けた四ッ口フラスコに、HDI(日本ポリウレタン工業株式会社製;NCO含量=49.9%、固形分=100%)970gを仕込み、次いでメタノール30gを仕込んだ。これを攪拌しながら90℃に加熱し、同温度で2時間攪拌してウレタン化反応を行った。そしてその後、この反応液中にアロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸鉛0.2gを加え、90℃で3時間攪拌してアロファネート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で反応停止剤であるリン酸0.1gを加えて、1時間攪拌して反応を停止させた。未反応のHDIを130℃、40Paで薄膜蒸留により除去し、変性イソシアネートP−4を得た。 使用した各原料、それらの仕込み量、各反応条件、反応結果、変性イソシアネートの性状などを表1にまとめて示す。【0024】比較例2 撹拌機、温度計及び還流冷却器を取り付けた四ッ口フラスコに、HDI(日本ポリウレタン工業株式会社製;NCO含量=49.9%、固形分=100%)970gを仕込み、次いでメタノール30gを仕込んだ。これを攪拌しながら90℃に加熱し、同温度で2時間攪拌してウレタン化反応を行った。次いで、50℃に冷却し、この中にイソシアヌレート化触媒としてカプリン酸カリウム0.2gを加え、50℃で8時間攪拌してイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で反応停止剤であるリン酸0.1gを加えて、1時間攪拌して反応を停止させた。未反応のHDIを130℃、40Paで薄膜蒸留により除去し、変性イソシアネートP−5を得た。 使用した各原料、それらの仕込み量、各反応条件、反応結果、変性イソシアネートの性状などを表1にまとめて示す。【0025】【表1】【0026】〔塗膜試験〕 実施例1〜3、比較例1〜2で得られた変性イソシアネートP−1〜5それぞれとアクリルポリオール(アクリディックA−801、大日本インキ化学工業株式会社製、水酸基価=50mgKOH/g、NV50%)と溶剤(酢酸ブチル)とからなる組成物をトリクロロエチレンで脱脂した鋼板(JIS G3141〈3141−SB〉、仕様:PF−1077、日本テストパネル工業株式会社製)に塗布し、20℃、65%RHの環境下で1週間放置して、乾燥膜厚=30〜40μの塗膜を形成させた。 形成した塗膜をメチルエチルケトンで湿らせた脱脂綿で20往復回払拭し、塗膜の外観を目視により判定した。 組成物の組成と硬化性の評価結果を表2に示す。【0027】【表2】 モノアルコールと過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させてヘキサメチレンジイソシアネートとウレタン基含有イソシアネート化合物との混合物を合成し、この混合物を飽和脂肪族カルボン酸のスズ塩、亜鉛塩及び鉛塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上のアロファネート化触媒の存在下でウレタン基含有イソシアネート化合物のウレタン基に対して0.8〜1.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で70〜150℃でアロファネート化して実質的に全てのウレタン基をアロファネート基に変換し、次いでカルボン酸のアルカリ金属塩からなるイソシアヌレート化触媒の存在下で20〜70℃でイソシアヌレート化した後、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去すること、を特徴とする25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法。 モノアルコールと過剰量のヘキサメチレンジイソシアネートとを飽和脂肪族カルボン酸のスズ塩、亜鉛塩及び鉛塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上のアロファネート化触媒の存在下でモノアルコールの水酸基に対して1.8〜2.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で70〜150℃で反応させてアロファネート化し、次いでカルボン酸のアルカリ金属塩からなるイソシアヌレート化触媒の存在下で20〜70℃でイソシアヌレート化した後、未反応のヘキサメチレンジイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去すること、を特徴とする25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法。 前記モノアルコールが炭素数1〜4のモノアルコールである、請求項1又は2に記載の25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法。