タイトル: | 特許公報(B2)_コラーゲン産生促進剤、エラスターゼ活性阻害剤、コラゲナーゼ活性阻害剤及び皮膚化粧料 |
出願番号: | 2000210931 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61Q 19/08,A61K 36/18,A61P 17/00,A61P 43/00 |
秦 ゆう子 川嶋 善仁 岸田 直子 JP 4413387 特許公報(B2) 20091127 2000210931 20000712 コラーゲン産生促進剤、エラスターゼ活性阻害剤、コラゲナーゼ活性阻害剤及び皮膚化粧料 丸善製薬株式会社 591082421 早川 裕司 100108833 太田 昌孝 100132207 志村 尚司 100104307 秦 ゆう子 川嶋 善仁 岸田 直子 20100210 A61K 8/97 20060101AFI20100121BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20100121BHJP A61K 36/18 20060101ALI20100121BHJP A61P 17/00 20060101ALI20100121BHJP A61P 43/00 20060101ALI20100121BHJP JPA61K8/97A61Q19/08A61K35/78 CA61P17/00A61P43/00 111 A61K 8/00-8/99 A61Q 1/00-99/00 A61K 36/00-36/9068 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭62−234006(JP,A) 特開平09−002935(JP,A) 特開平08−175955(JP,A) 特開2001−151659(JP,A) 特開2001−192317(JP,A) 特開2001−269398(JP,A) 刈米達夫、北村四郎,薬用植物分類学,株式会社廣川書店,1998年11月15日,改稿版18刷発酵,pp296-297 SANKARAM A V B,Zeylanone and isozeylanone, two novel quinones from Plumbago zeylanica,Tetrahedron,1979年,Vol.35, No.14,pp.1777-1782 GUNAHERATH G M K B,1,2(3)-Tetrahydro-3,3'-biplumbagin: A naphthalenone and other constituents from Plumbagozeylanica,Phytochemistry,1983年,Vol22,No.5,pp.1245-1247 4 2002029923 20020129 13 20070601 福井 美穂 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はコラーゲン産生促進剤、エラスターゼ活性阻害剤、コラゲナーゼ活性阻害剤及び皮膚化粧料に関する。具体的には、人の皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲンの産生を活発化して皮膚の老化を防止するのに有用なコラーゲン産生促進剤、エラスターゼ活性阻害剤、コラゲナーゼ活性阻害剤及びこれらを利用した皮膚の老化予防に有用な新規皮膚化粧料に関する。【0002】【従来の技術】老化して弾力性を失い、シワ・タルミができた皮膚の組織レベルの変化としては、真皮層におけるコラーゲンの減少が最も顕著である。すなわち、健康で若い人の皮膚真皮層では繊維状のコラーゲンとそれに絡み付くようにして存在するコイル状の硬タンパク質、エラスチンによって皮膚のハリや弾力性が良い状態に保たれており、これら皮膚の弾力保持に寄与するコラーゲンもエラスチンも線維芽細胞で逐次産生されて補給され、新陳代謝を繰り返している。ところが、加齢に伴い新たなコラーゲンやエラスチンの補給量が減少したり、紫外線刺激によってエラスチンの分解が促進されたりすると、これら皮膚の弾力保持に関わっている構造の維持が困難になり、皮膚は老化した状態となる。【0003】これまで、シワ・タルミを予防する方法として、紫外線からの防御、抗酸化剤、活性酸素の消去が有用であると考えられ、これらの機能を有する種々の物質の開発が試みられて来たが、今だ十分なものはなく、近年ではコラーゲンの産生促進などに直接関与する調節因子についての研究が盛んになって来ている。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、皮膚の弾力維持に関与するコラーゲンやエラスチンの調整因子に関し、老化した皮膚を若返らせる作用物質として、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を促進するコラーゲン産生促進剤や産成されたコラーゲンの分解を促すコラゲナーゼの活性を阻害するコラゲナーゼ活性阻害剤、さらには、エラスチンの分解を促すエラスターゼの活性を阻害するエラスターゼ活性阻害剤を見出し、皮膚の老化防止に有用な新規皮膚化粧料を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】 本発明に係るコラーゲン産生促進剤及びコラゲナーゼ活性阻害剤並びにエラスターゼ活性阻害剤は、それぞれセイロンマツリの抽出物からなることを特徴としている。【0006】 また、本発明に係る皮膚化粧料は、本発明に係るコラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤及びエラスターゼ活性阻害剤のうちの少なくとも1種を含有することを特徴としている。【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細に説明すると、本発明に係るコラーゲン産生促進剤及びコラゲナーゼ活性阻害剤並びにエラスターゼ活性阻害剤は、それぞれセイロンマツリ(Plumbago zeylanicum L.)、ハマスゲ(Cyperus rotundus L.)の何れか1種若しくは2種を用いた抽出物からなるものであって、コラーゲン産生促進物質及びコラゲナーゼ活性阻害物質並びにエラスターゼ活性阻害物質を有効成分として含有するものである。【0008】これらの植物は、通例乾燥した状態で使用され、その使用部位も限定されるものではないが、抽出効率の観点から、次に述べるごとく各植物に属した部位が好ましく用いられる。さらに具体的に説明すると、セイロンマツリは、ルリマツリ科イソマツ属に属するつる性、低木状の多年草であって、主に根部が好適に使用される。また、ハマスゲは、カヤツリグサ科カヤツリグサ属に属する多年草であり、細長い地下茎を伸ばして繁殖し、その先端に塊茎を作るが、本発明においてはこの塊茎が好適に使用される。【0009】セイロンマツリ特にその根部、ハマスゲ特にその塊茎が含有するコラーゲン産生促進作用及びコラゲナーゼ活性阻害作用並びにエラスターゼ活性阻害作用を有する物質の詳細については不明であるが、これらの物質は、水やメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの各種脂肪族低級アルコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリンなどの親水性有機溶媒、これら親水性有機溶媒の混合物及びこれらの親水性有機溶媒と水との混液などの各種水系溶媒を用いて抽出することによって容易に得られるものである。特に好ましい抽出溶媒は、これらの親水性有機溶媒と水との混液であって、当該抽出溶媒からの抽出物は高い活性を示し、しかも、取扱いが容易で、抽出作業が比較的容易に行なえる。【0010】これらの抽出対象植物は、一般的には各部位を乾燥した後、中切、細切したり、あるいは粉砕して用いられる。また、ハマスゲの塊茎の場合には、そのまま生で用いることもできる。抽出方法や抽出条件等も特に限定されるものではないが、好適には重量比で用いる植物量の5〜15倍量の前記抽出溶媒に浸漬し、常温ないし90℃程度の加熱・加温下で、ゆるやかに撹拌しながら可溶性成分を溶出させる。この後、当該抽出液をろ過又は遠心分離し、液固分離して目的となる抽出物を得る。【0011】こうして得られた抽出液はそのまま、本発明に係るコラーゲン産生促進剤及びコラゲナーゼ活性阻害剤並びにエラスターゼ活性阻害剤として用いることもできるが、活性が低い場合もあるため、適宜濃縮したエキス状物、あるいは、例えばスプレードライなどの方法を用いてさらに乾固させ、乾燥エキスとして用いることも可能である。また、必要に応じて、これらの作用の減退を大きく招かない範囲で、活性炭処理や吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等による簡単な精製処理を施してもよい。さらには、上記エキス状物や乾燥エキスもそのまま用いたり、あるいは任意の助剤、例えばデンプンや乳糖などの各種賦形剤を添加する、また、エタノールなどの溶剤等と混合して用いることができるのは言うまでもない。【0012】また、本発明においては、上記のごとく得られた抽出物を単独であるいは2種を混合して用いてもよく、あるいは、抽出時において、セイロンマツリ及びハマスゲの2つの植物を混合して抽出してもよいのはもちろんである。【0013】これらのコラーゲン産生促進剤及びコラゲナーゼ活性阻害剤並びにエラスターゼ活性阻害剤は、これらの作用を最も効果的に発揮させるために、各種の皮膚化粧料に配合される。配合対象は皮膚に適用可能なものであればよいが、適当な皮膚化粧料として、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤等が挙げられる。この場合の配合量として、各抽出固形分としてそれぞれ概ね0.005〜15重量%、原料であるセイロンマツリ、ハマスゲの各乾燥物換算として、概ね0.04〜40%になるように添加するのが適当である。もちろん、本発明の効果を達成する限りにおいては、その上限量、下限量は問われるものではない。なお、本発明に係る皮膚化粧料には、これらのコラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用あるいはエラスターゼ活性阻害作用のいずれかを妨げない限り、皮膚化粧料の製造に通常用いられる各種の原材料を用いることができるのは言うまでもない。【0014】本発明によるコラーゲン産生促進剤及びコラゲナーゼ活性阻害剤並びにエラスターゼ活性阻害剤は、繊維状コラーゲンからなる皮膚張力保持構造を極めて良好な状態に保ち、それにより、老化した皮膚はハリや弾力性を取り戻し、健康な肌も常に良好な状態に保たれる。加えて、それによる二次的な効果として、皮膚の保湿力が向上し、肌荒れが改善される。従って、本発明によるコラーゲン産生促進剤、エラスターゼ活性阻害剤、コラゲナーゼ活性阻害剤を配合した皮膚化粧料は、若々しい肌を維持するのに極めて有効なものとなる。【0015】【実施例】次に、本発明の実施例であるコラーゲン産生促進剤、エラスターゼ活性阻害剤並びにコラゲナーゼ活性阻害剤及び本発明の製剤例である各種皮膚化粧料を示し、さらに本発明について詳細に説明する。【0016】(実施例1)乾燥したセイロンマツリの根部粗砕物、ハマスゲの塊茎粗砕物各々50gに、水を各々500mlを加え、還流抽出器で3時間加熱抽出した。その後、ろ過して得られた抽出液を減圧下に濃縮し、さらに凍結乾燥して、粉末状抽出物を得た。その収量を表1に示す。【0017】【表1】【0018】(実施例2)乾燥したセイロンマツリの根部粗砕物、ハマスゲの塊茎粗砕物各々50gに、80v/v%エタノール水溶液を各々500mlを加え、還流抽出器で3時間加熱抽出した。その後、ろ過して得られた抽出液を減圧下に濃縮し、さらに凍結乾燥して、粉末状抽出物を得た。その収量を表2に示す。【0019】【表2】【0020】(実施例3)乾燥したセイロンマツリの根部粗砕物、ハマスゲの塊茎粗砕物各々50gに、エタノールを各々500mlを加え、還流抽出器で3時間加熱抽出した。その後、ろ過して得られた抽出液を減圧下に濃縮し、さらに凍結乾燥して、粉末状抽出物を得た。その収量を表3に示す。【0021】【表3】【0022】(実施例4)乾燥したセイロンマツリの根部粗砕物、ハマスゲの塊茎粗砕物各々50gに、50v/v%1,3−ブチレングリコール水溶液を各々500mlを加え、95℃で3時間加熱抽出した。その後、ろ過して得られた抽出液を5℃に5日間静置し、生じたオリや沈澱をケイソウ土を用いてろ過して澄明な抽出液を得た後、さらに50v/v%1,3−ブチレングリコール水溶液を加え、液状の抽出物500mlを得た。なお、固形分濃度は、当該抽出物の少量を取り、蒸発乾固して求めた(実施例5においても同じ)。【0023】【表4】【0024】(実施例5)乾燥したセイロンマツリの根部粗砕物、ハマスゲの塊茎粗砕物各々50gに、1,3−ブチレングリコールを各々500mlを加え、95℃で3時間加熱抽出した。その後、ろ過して得られた抽出液を5℃に5日間静置し、生じたオリや沈澱をケイソウ土を用いてろ過し、澄明な抽出液を得た後、さらに1,3−ブチレングリコールを加え、液状の抽出物500mlを得た。当該抽出物の固形分濃度(w/v%)を表5に示す。【0025】【表5】【0026】次に、上記実施例1から実施例5で得た各種コラーゲン産生促進剤やエラスターゼ活性阻害剤並びにコラゲナーゼ活性阻害剤を用いて、本発明に係る皮膚化粧料を各種製造したところ、いずれの製剤例においても、良好な製剤を得ることができた。なお、以下の製剤例においては、各処方ごとに2種の抽出物についてそれぞれ製剤例を作製した。【0027】(製剤例1)〔乳液 100ml中〕植物80v/v%エタノール抽出物(実施例2) 2.0gホホバオイル 4.0gオリーブオイル 2.0gスクワラン 2.0gセタノール 2.0gポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.5gオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.0g1,3−ブチレングリコール 3.0gパラオキシ安息香酸メチル 0.15g香料 0.05g精製水 残 量上記成分分量を取り、常法に従って本発明に係る皮膚化粧料である乳液を作製した。【0028】(製剤例2)〔化粧水 100ml中〕植物水抽出物(実施例1) 1.0gグリセリン 3.0g1,3−ブチレングリコール 3.0gグリチルリチン酸ジカリウム 0.3gオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5gパラオキシ安息香酸メチル 0.15gクエン酸 0.5gクエン酸ナトリウム 1.0gアスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.1g黄杞エキス 0.5gオウゴンエキス 0.5gプラセンタエキス 3.0gオウレンエキス 0.5gフェノキシエタノール 0.5g香料 0.05g精製水 残 量上記成分分量を取り、常法に従って本発明に係る皮膚化粧料である化粧水を作製した。【0029】(製剤例3)〔クリーム 100g中〕植物エタノール抽出物(実施例3) 1.0g流動パラフィン 5.0gサラシミツロウ 4.0gセタノール 3.0gスクワラン 10.0gラノリン 2.0gステアリン酸 1.0gオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5gモノステアリン酸グリセリル 3.0g1,3−ブチレングリコール 6.0gパラオキシ安息香酸メチル 1.5g油溶性甘草エキス 0.5g紫米エキス 0.5gジユ抽出物 0.3g酵母抽出物 0.2g香料 0.1g精製水 残 量上記成分分量を取り、常法に従って本発明に係る皮膚化粧料であるW/O型のクリームを作製した。【0030】(製剤例4)上記成分分量を取り、常法に従って本発明に係る皮膚化粧料であるパックを作製した。【0031】(効果試験)〔コラーゲン産生促進作用〕上記実施例1〜5で得た各抽出物について、Websterらの方法(Anal.Biochem.,Vol96,220,1979)に従って、各抽出物を添加した培地で培養した線維芽細胞によって産生されたコラーゲン量を測定した。一方、各抽出物を添加しない培地で産生された放射活性を測定し、このコラーゲン量を100とした場合のコラーゲン産生量割合を求めた。以下に具体的な試験方法を示し、その結果を表6及び表7に示す。試験法:ヒトの線維芽細胞をプレートに播種し、37℃、5%二酸化炭素下、2種類の試料添加培地(試料濃度:200ppm及び50ppm)で数日間培養した後、β−アミノプロピオニトリルと[3H]−プロリンとを添加し、更に24時間培養した。当該培養液全体にペプシン/酢酸溶液を加えて4℃下で16時間消化し、次いでこの消化液にキャリアーを加えて、0.7M食塩水で沈殿させ、さらに中性条件下で再溶解させて、4.2M食塩水で再沈殿させた。得られた沈殿物を20v/v%エタノールで洗浄した後、その沈殿物の放射活性を測定した。【0032】【表6】【0033】【表7】【0034】〔エラスターゼ活性阻害作用〕上記実施例1〜5で得た各種抽出物について、下記のエラスターゼ活性阻害試験を行い、その結果を表8に示す。【0035】96穴マイクロプレートを用意し、1穴に対して試料溶液(溶媒:DMSO+水当量混合液)50μl及びエラスターゼ溶液50μlを添加し、さらに基質溶液100μlを添加して混合する。25℃で50分間反応させた後、波長415nmにおける吸光度As1を測定する。次に、エラスターゼ溶液の代わりに当該溶液に用いた溶媒を用いて同様の反応を行い、吸光度As0を測定する。また、ブランク試験として、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の溶媒を用いて同様の試験を行い、それぞれエラスターゼ溶液を添加した場合の吸光度Ab1及び添加しなかった場合の吸光度Ab0を測定し、次式により、エラスターゼ活性阻害率(%)を求めた。エラスターゼ活性阻害率(%)={1−(As1−As0)/(Ab1−Ab0)}×100試料溶液の濃度を種々変更して上記阻害率の測定を行い、エラスターゼの活性を50%阻害する試料溶液濃度を内挿法により求めた。【0036】なお、エラスターゼ溶液は、シグマ社製エラスターゼType3 5mgを、pH8の0.2Mトリス塩酸緩衝液1mlに溶解し、使用時に同トリス塩酸緩衝液にて250倍に希釈したものを用いた。また、基質溶液には、シグマ社製のN−SUCCINYL-ALA-ALA-ALA-p-NITROANILIDEをDMSOに溶解した濃度45.14mg/mlの溶液をpH8の0.2Mトリス塩酸緩衝液で100倍に希釈したものを用いた。【0037】【表8】【0038】〔コラゲナーゼ活性阻害作用〕上記実施例1〜5で得た各種抽出物について、下記のコラゲナーゼ活性阻害試験を行い、その結果を表9に示す。【0039】試料溶液(溶媒:pH7.1の0.1Mトリス塩酸緩衝液)50μl、コラゲナーゼ溶液50μl及び基質溶液400μlを混合し、37℃で30分間インキュベーションする。次いで、25mMクエン酸溶液1mlを加えて反応を停止し、酢酸エチル5mlを用いて抽出する。得られた抽出液について、波長320nmの吸光度As1(対照液:酢酸エチル)を測定する。また、コラゲナーゼ溶液の代わりに蒸留水を用いて同様の測定を行い吸光度As0を測定する。次いで、試料溶液の代わりに蒸留水を用いて同様の試験を行い、コラゲナーゼ溶液を添加した場合の吸光度Ab1及び添加しなかった場合の吸光度Ab0を測定し、次式により、コラゲナーゼ活性阻害率(%)を求めた。コラゲナーゼ活性阻害率(%)={1−(As1−As0)/(Ab1−Ab0)}×100試料溶液の濃度を種々変更して上記阻害率の測定を行い、コラゲナーゼの活性を50%阻害する試料溶液濃度を内挿法により求めた。【0040】なお、コラゲナーゼ溶液は、シグマ社製コラゲナーゼType4 5mgを蒸留水1mlに溶解し、使用時に蒸留水で50倍に希釈したものを用いた。また、基質溶液には、20mMの塩化カルシウムを含有するpH7.1の0.1Mトリス塩酸緩衝液に、Bachem Fenichemkalien AG社 Pz−ペプチドを濃度が0.5Mになるように溶解したものを使用した。【0041】【表9】【0042】(評価結果)表6から表9に示すように、水やエタノール、1,3−ブチレングリコール、これらの有機溶媒と水の混液など各種水系溶媒を用いたセイロンマツリ抽出物、ハマスゲ抽出物には、それぞれ良好なコラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用並びにエラスターゼ活性阻害作用が認められた。【0043】〔シワ改善効果及び肌荒れ改善効果〕次に上記製剤例1に示す乳液について、下記の評価試験を行った。なお、比較例として、セイロンマツリ抽出物、ハマスゲ抽出物を含まない乳液を作製し、これを用いた。・被験者:顔面皮膚角質層の剥離が多く、皮溝や皮丘が明らかでない(いわゆる肌荒れの状態)年齢35〜45歳の女性8名に、顔の右半分に製剤例1に示す乳液を、左半分には比較例である乳液を、朝夕各1回、その適量を2ヶ月間塗布してもらった。その後、被験者の目尻のシワの状態を肉眼観察により評価し、その結果を表10及び表11に示した。【0044】【表10】【0045】【表11】【0046】また、上記塗布期間途中である塗布開始20日経過時点で、顔面皮膚の状態を、ミリスチン樹脂を用いたレプリカ法を用いて、顔のレプリカを採り、倍率20倍の光学顕微鏡で皮紋の状態及び角層剥離状態を観察し、下記の評価基準に従って肌の状態を判定した。その判定結果を表12及び表13に示す。判定基準1:角層の剥離が非常に多い。皮溝、皮丘が消失している。2:角質の剥離が非常に多い。 皮溝、皮丘が明瞭でない。3:角質が若干剥離している。皮溝、皮丘は認められるが平坦である。4:角質の剥離がわずかに認められる。5:角質の剥離がほとんどなく、皮溝、皮丘が明瞭で整っている。【0047】【表12】【0048】【表13】【0049】表10〜表13から分かるように、本発明の製剤例である乳液を塗布した領域においては、比較例である乳液を塗布した場合に比べ、シワを少なくすると共に、顕著に肌荒れが改善され、若々しい皮膚になることが確認された。【0050】【発明の効果】本発明によれば、古くから使用され安全性が確保されている植物から、効果に優れた新規なコラーゲン産生促進剤、新規なコラゲナーゼ活性阻害剤、新規なエラスターゼ活性阻害剤を提供できる。これらを皮膚化粧料に適用することにより、皮膚の老化を効果的に防止し、皮膚のハリの維持に大きく貢献でき、若々しい皮膚の保持が期待できる皮膚化粧料を提供できる。 セイロンマツリの抽出物からなることを特徴とするコラーゲン産生促進剤。 セイロンマツリの抽出物からなることを特徴とするエラスターゼ活性阻害剤。 セイロンマツリの抽出物からなることを特徴とするコラゲナーゼ活性阻害剤。 請求項1記載のコラーゲン産生促進剤、請求項2記載のエラスターゼ活性阻害剤及び請求項3記載のコラゲナーゼ活性阻害剤のうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする皮膚化粧料。