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タイトル:特許公報(B2)_マレイミド誘導体の製造方法
出願番号:2000187615
年次:2011
IPC分類:C07D 207/452,C08F 22/40


特許情報キャッシュ

早川 均 小池 展行 高橋 勝治 JP 4617539 特許公報(B2) 20101105 2000187615 20000622 マレイミド誘導体の製造方法 DIC株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 早川 均 小池 展行 高橋 勝治 20110126 C07D 207/452 20060101AFI20110111BHJP C08F 22/40 20060101ALN20110111BHJP JPC07D207/452C08F22/40 C07D 207/452 C08F 22/40 CAplus/REGISTRY(STN) 特開平11−124403(JP,A) 国際公開第92/18459(WO,A1) 特開平5−163209(JP,A) 特開平9−255622(JP,A) 4 2002003473 20020109 15 20070516 鳥居 福代 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、活性エネルギー線硬化型の各種コーティング剤、表面処理剤、成形材料、積層板、接着剤、粘着剤、バインダー等に有用な活性エネルギー線硬化性化合物の製造方法に関し、さらに詳しくは、光重合開始剤の不存在下で実用的な照射量の紫外線によって硬化するマレイミド誘導体を高収率で得る製造方法に関する。【従来の技術】【0002】紫外線や可視光線等の活性エネルギー線により重合する活性エネルギー線硬化性組成物は、硬化が速いという利点を有し、塗料、印刷インキ、接着剤、コーティング剤等に広く利用されている。しかしながら、従来使用されている活性エネルギー線硬化性化合物は、それら単独では重合が開始しないため、光重合開始剤を併用する必要がある。【0003】光重合開始剤は、光を効率的に吸収するために、一般的に芳香環を有する化合物が用いられており、配合物又は熱により、硬化物が黄変しやすい、という問題点を有している。また、光重合開始剤は、各種の活性エネルギー線硬化性化合物に溶解させて重合反応を効率的に開始させる必要性から、通常、低分子量化合物が使用されているが、これは蒸気圧が高く、常温〜150℃の状態で、悪臭を発生するものが多い。活性エネルギー線の光源の一つである紫外線ランプからは、紫外線以外に赤外線も発生するため、多数の紫外線ランプを連続的に並べて光照射すると、活性エネルギー線硬化性組成物がかなり加温され、光重合開始剤による悪臭が発生し、作業環境が悪くなる欠点があった。【0004】また、光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物からなる硬化物中には、未反応の光重合開始剤、あるいは光重合開始剤の分解物が残存するので、硬化物を水中等に放置した場合、未反応の光重合開始剤、あるいは光重合開始剤の分解物が水中等へ溶出移行するために、食品包装用材料としての使用は不適当であった。【0005】このような背景から特開平11−124403号公報には、硬化時の悪臭、硬化塗膜の黄変、硬化塗膜からの溶出物の原因となる光重合開始剤を使用せず、かつ実用的な光強度、光照射量で硬化する常温で液体の活性エネルギー線硬化性マレイミド誘導体の組成物並びにその組成物の活性エネルギー線による硬化方法が開示されている。【0006】該特開平11−124403号公報に開示されているマレイミド誘導体の一つとして、マレイミドカルボン酸類とポリオール類との脱水縮合によるマレイミドカルボン酸ポリオールエステル誘導体がある。一般に、エステル化合物はカルボン酸類とポリオール類とを脱水縮合させることにより得られるが、反応基質の種類によっては高収率でエステル化合物を得ることが困難なことがある。【0007】例えば当該特開平11−124403号公報に記載の合成例においては、分子内にエーテル連結鎖を有するポリオール類と、マレイミドカプロン酸やマレイミド酢酸等のマレイミドカルボン酸との酸触媒による脱水エステル化反応の際、水酸基に対するカルボン酸の過剰率が1.1倍程度の場合には、目的とするマレイミド誘導体の収率が50%前後の例も多い。この脱水エステル化反応において、水酸基に対するカルボン酸の過剰率を高くし収率を向上させることは可能であるが、そのような場合、過剰のマレイミドカルボン酸を回収再利用しなければ工業的に経済的な方法とはならない。【0008】このような問題点を解決する方法として本発明者らは、マレイミドカルボン酸エステルとポリオール類とのスズ触媒を用いたエステル交換反応による、マレイミドカルボン酸ポリオールエステル誘導体の製法を発明し、既に出願している(特願平11−128387号公報)。【0009】該特願平11−128387号公報の製造方法で用いられるマレイミドカルボン酸エステルは、例えば、例示に見られるように、無水マレイン酸とアミノカルボン酸とから得られるマレインアミド酸を、酸触媒の存在下でアルコールと反応させてジエステル化した後、特開平3−173866号公報、ならびに特開平2−200670号公報に開示されているような脱アルコール閉環イミド化を行う方法等により得られる。【0010】また、上記マレイミドカルボン酸エステルを製造する際の前駆体である、マレインアミド酸を製造する方法として、本発明者らは、非極性炭化水素系溶媒中、無水マレイン酸とアミノカルボン酸とを反応させ、高収率でこれを得る方法を発明し、既に出願している(特願平11−127008号公報)。【0011】しかしながら、特開平11−124403号公報に開示されているマレイミドカルボン酸ポリオールエステル誘導体を、安価な無水マレイン酸等を出発原料として高収率で得る工業的に有利な方法は、これまでに全く開示されていない。【0012】例えば、特開平3−173866号公報に開示されているように、無水マレイン酸およびアミノカルボン酸とから得られるマレインアミド酸を単離した後、これをエステル化することはコスト面で工業的に有利な方法とはならない。また当該マレインアミド酸をエステル化し、これを特開平2−200670号公報に開示されているような方法で、脱アルコール閉環イミド化反応によりマレイミドカルボン酸エステルに誘導しようとした場合、生成物であるマレイミドカルボン酸エステルが塩基性触媒の作用により分解し、収率が低下するといった問題がある。【0013】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、上記したように、マレイミド誘導体の一つであるマレイミドカルボン酸ポリオールエステル誘導体を、ポリオール、無水マレイン酸とアミノカルボン酸を出発原料として、中間体を単離精製することなく、高収率で製造する方法を提供することにある。【0014】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリオール、無水マレイン酸とアミノカルボン酸を出発原料として、(i)アミノカルボン酸またはアミノカルボン酸エステルとポリオールを反応させてポリアミン体を形成した後に、(ii)このポリアミン体と無水マレイン酸を反応させることで、特開平11−124403号公報開示のマレイミドカルボン酸ポリオールエステル誘導体を、中間体を単離精製することなく高収率で得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。【0015】すなわち、本発明は上記課題を解決するために、(A)一般式(1)【0016】R2−(OH)m (1)(式中、mは1〜6の整数を表わす。R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が、エーテル結合またはウレタン結合から選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。)で表されるポリオールと、一般式(2)【0017】H2N−R−COOR1 (2)(式中、R は2価の炭化水素基を表わす。R1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表す。)で表されるアミノカルボン酸、アミノカルボン酸エステル又はそれらの塩をエステル化反応もしくはエステル交換反応により反応させて、一般式(3)【0018】(H2N−R−COO)mR2 (3)(式中、mは1〜6の整数を表す。Rは2価の炭化水素基を表す。R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が、エーテル結合またはウレタン結合から選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。)で表されるポリアミン化合物を製造する第1工程、【0019】第1工程で得た一般式(3)で表されるポリアミン化合物と無水マレイン酸とを反応させて、一般式(4)【0020】【化2】(4)【0021】(式中、mは1〜6の整数を表す。Rは2価の炭化水素基を表す。R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が、エーテル結合またはウレタン結合から選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。)で表されるマレイミド誘導体を製造する第2工程からなるマレイミド誘導体の製造方法と、【0022】(B)一般式(2)及び一般式(3)のRが炭素原子数1〜7のアルキレン鎖である上記(A)に記載のマレイミド誘導体の製造方法と、【0023】(C)一般式(1)、一般式(3)及び一般式(4)のmが2〜4の整数である上記(A)又は(B)に記載のマレイミド誘導体の製造方法と、【0024】(D)エステル交換反応にジアルキル酸化スズ(II)を触媒として用いることを特徴とする上記(A)〜(C)に記載のマレイミド誘導体の製造方法とを含むものである。【0025】【発明の実施の形態】本発明は、上記一般式(4)で表わされるマレイミド誘導体、すなわちマレイミドカルボン酸ポリオールエステル誘導体の製造方法に関するものである。【0026】本発明の製造方法の第1工程で用いられるポリオールは、具体的には、一般式(1)【0027】R2−(OH)m (1)(式中、mは1〜6の整数を表わす。R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が、エーテル結合またはウレタン結合から選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。)で表される化合物である。【0028】式中、R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基がエーテル結合及びウレタン結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた数平均分子量44〜100,000の(a)(ポリ)エーテル連結鎖又は(b)(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。R2 は、これらの連結鎖が繰り返しの一単位となって繰り返されたオリゴマーあるいはポリマーで構成される連結鎖であっても良い。【0029】これらの連結鎖は、具体的には(a)炭素原子数1〜24の直鎖アルキレン基、炭素原子数2〜24の分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する数平均分子量44〜100,000の(ポリ)エーテル(ポリ)オール残基から構成される連結鎖、あるいは(b)炭素原子数1〜24の直鎖アルキレン基、炭素原子数2〜24の分枝アルキレン基、シクロアルキレン基及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基が、ウレタン結合で結合された一つあるいはそれらの繰り返し単位を有する数平均分子量230〜100,000の(ポリ)ウレタン(ポリ)オール残基から構成される。【0030】上記連結鎖(a)を構成する(ポリ)エーテル(ポリ)オールとしては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物;【0031】エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、プロピレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、エチレングリコールとテトラヒドロフランの共重合体、ポリイソプレングリコール、水添ポリイソプレングリコール、ポリブタジエングリコール、水添ポリブタジエングリコールの如き炭化水素系ポリオール類、ポリテトラメチレンヘキサグリセリルエーテル(ヘキサグリセリンのテトラヒドロフラン変性物)の如き多価水酸基化合物、等が挙げられ、中でも、アルキレングリコール類の各種変性物が好ましいが、これらに限定されるものではない。【0032】上記連結鎖(b)を構成する(ポリ)ウレタン(ポリ)オールとしては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールの如きアルキレングリコール類の、エチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、ブチレンオキシド変性物、テトラヒドロフラン変性物の如き多価水酸基化合物と、以下に挙げるイソシアネート化合物とを水酸基過剰の条件で付加重合させて得られるもの、等が挙げられる。【0033】イソシアネート化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの如き脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネート化合物の一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアヌレート体の如きポリイソシアネート等が挙げられる。このようにして得られる連結鎖(b)の(ポリ)ウレタン(ポリ)オールは、特にこれらに限定されるものではない。【0034】一般式(1)のmは、ポリオールの水酸基数を表す。水酸基数は1〜6の範囲が好ましく、中でも2〜4の範囲が好ましい。【0035】本発明の製造方法の第1工程で用いられるアミノカルボン酸としては、一般式(2)【0036】H2N−R−COOR1 (2)(式中、Rは2価の炭化水素基を表わし、R1は水素原子を表す。)で表わされる化合物である。具体的には、例えば、アスパラギン、アラニン、β−アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、トリプトファン、トレオニン、バリン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、α−メチル−フェニルアラニン、リジン、ロイシン、シクロロイシン、3−アミノプロピオン酸、α−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、2−アミノカプリル酸、3−アミノカプリル酸、6−アミノカプリル酸、8−アミノカプリル酸、2−アミノノナン酸、4−アミノノナン酸、9−アミノノナン酸、2−アミノカプリン酸、9−アミノカプリン酸、10−アミノカプリン酸、2−アミノウンデカン酸、10−アミノウンデカン酸、11−アミノウンデカン酸、2−アミノラウリン酸、11−アミノラウリン酸、12−アミノラウリン酸、2−アミノトリデカン酸、13−アミノトリデカン酸、【0037】2−アミノミスチン酸、14−アミノミスチン酸、2−アミノペンタデカン酸、15−アミノペンタデカン酸、2−アミノパルミチン酸、16−アミノパルミチン酸、2−アミノヘプタデカン酸、17−アミノヘプタデカン酸、2−アミノステアリン酸、18−アミノステアリン酸、2−アミノエイコサノン酸、20−アミノエイコサノン酸、アミノシクロヘキサンカルボン酸、アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノ−3−プロピオン酸、3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸、等が挙げられる。【0038】中でも、製造されるマレイミド誘導体の硬化性が良好であることから、Rが炭素原子数1〜7のアルキレン鎖であるアミノカルボン酸が好ましい。【0039】これらのアミノカルボン酸はあらかじめ塩酸塩、硫酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の塩の形になっていても、あるいは本工程の反応前に塩の形に誘導化してもかまわない。【0040】また、本発明の第1工程に用いられるアミノカルボン酸エステルは、上記アミノカルボン酸と炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を有するアルコールとのエステルであり、一般式(2)【0041】H2N−R−COOR1 (2)(式中、Rは2価の炭化水素基を表わす。R1は炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表す。)で表わされる化合物である。【0042】具体的には、上記アミノカルボン酸と、例えば、アルコールとして、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−ノナノール、n−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール等の1級アルコール、イソプロパノール、sec−ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の2級アルコール、tert−ブタノール等の3級アルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール等とのエステルが挙げられる。【0043】中でも、製造されるマレイミド誘導体の硬化性が良好であることから、Rが炭素原子数1〜7のアルキレン鎖であるアミノカルボン酸エステルが好ましい。【0044】これらのアミノカルボン酸エステルは一般的には塩酸塩、硫酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等の塩の状態で入手可能であり、また、酸の存在下、アルコールとアミノカルボン酸とのエステル化反応により系内で生成させることも可能である。また、一般的なエステル化反応条件では生成が難しい2級や3級アルコールのエステル化の場合は、相当するオレフィンへのカルボン酸の付加反応によって生成させることもできる。このような反応で生成させたアミノカルボン酸エステル、特に3級アルコールのエステルは、アミノリシスも生じにくい為にアミノ基が遊離の形で得ることができる。【0045】本発明の第1工程である、ポリオールとアミノカルボン酸又はアミノカルボン酸エステル、もしくはそれらの塩との反応については、その組み合わせにより、いろいろな方法が可能である。【0046】ポリオールとアミノカルボン酸又はアミノカルボン酸塩との反応では、遊離のアミノカルボン酸を用いる場合は、系内であらかじめアミノカルボン酸をその塩に誘導化した後に、アミノカルボン酸塩を用いる場合はそのままで、一般的なエステル化条件、すなわち、酸の存在下で脱水エステル化して目的のポリアミンの塩を生成することができる。【0047】アミノカルボン酸の塩への誘導化は、塩化水素ガスを直接導入したり、あるいは反応系内で化学反応により発生させた塩化水素を用いて行うことができる。また、取り扱いやすい塩酸を用いることもできる。ただし、塩酸を用いた場合は、ポリオールとの反応の前に、系内に多量に存在する水を除いておくことが望ましい。ポリオールとの反応も脱水反応であり、同時に脱水した方が操作上、効率的に見えるが、ポリオールの中には条件により酸性下での長時間の加熱等で分解や重合といった望ましくない変化を生じるものも多く、よって、ポリオール存在下における加熱時間をなるべく短くした方が工業的に有利である。【0048】ポリオールとアミノカルボン酸塩の脱水エステル化反応における脱水は、加熱あるいは適当な脱水剤や選択透過膜を用いる手法等、公知の種々の方法を用いることができる。また、加熱による脱水の場合は、効率を上げる目的でトルエン等の共沸剤を用いてもかまわない。また、本反応を妨げない適当な溶媒を用いることはなんら問題はない。【0049】本反応で使用するアミノカルボン酸塩は、ポリオールの水酸基量に対して0.5〜1.5当量用いることが好ましい。より好ましくは0.8〜1.2当量である。【0050】アミノカルボン酸塩をポリオールに対して1.5当量より多量に用いると反応は完全に進行しうるが、残存するアミノカルボン酸が次工程以降に付加反応等の副反応を生じるため好ましくないし、経済的にも有利でない。逆にアミノカルボン酸塩が0.5当量より少なすぎると、次工程で残存水酸基が無水マレイン酸と反応したり、マレイミドの2重結合への付加反応等を起こすことで、高分子量化等の原因となる一方、最終生成物の重合性官能基濃度が低下することで硬化特性が悪くなり、好ましくない。【0051】本反応で触媒として用いる酸は無機酸でも有機酸でも用いることができる。例えば、塩酸、硫酸、オルトリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、硝酸の如き無機酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸の如き有機スルホン酸類;メチルホスホン酸、ベンゼンホスホン酸の如き有機ホスホン酸類;トリクロル酢酸、トリフルオル酢酸、クロルプロピオン酸の如きハロゲノカルボン酸類、等が挙げられる。脱水エステル化の反応条件によって適当な酸を選択する必要がある。【0052】本反応の反応温度はアミノカルボン酸塩の種類、ポリオールの種類とその組み合わせによって、また、脱水手法によっても大きく異なるが、室温から約200℃の範囲が望ましい。反応温度が200℃を越えてしまうと、反応時間によってはポリオールやアミノカルボン酸塩が分解あるいは副反応を起こす場合がある。【0053】本発明の第1工程における、ポリオールとアミノカルボン酸エステル塩又は遊離アミノカルボン酸エステルとの反応では、適当な触媒存在下でのエステル交換反応により、目的のポリアミン化合物の塩もしくは遊離のポリアミンを得ることができる。【0054】本反応で用いられる触媒としては、一般に公知のエステル交換反応で使用される種々の触媒が挙げられるが、中でも酸性エステル交換触媒及び重金属エステル交換触媒が好ましい。【0055】例えば、アミノカルボン酸エステルの塩と金属アルコキシドの如きアルカリ性触媒を組み合わせた場合、該金属アルコキシドの添加によりアミノカルボン酸エステルが遊離のアミンとなる為に、アミノカルボン酸エステルの塩と当量以上の量を用いなければならず、また、その場合、アミノカルボン酸エステルのアルコール残基の形によってはエステルのアミノリシスが生じる為に好ましくない。逆に、遊離の形が安定なアミノカルボン酸エステル、例えばターシャリーブチルエステル体等、を用いる場合は金属アルコキシドの如きアルカリ性触媒を用いても特段差し支えない。【0056】本反応で使用する酸性エステル交換触媒としては、例えば、硫酸、燐酸の如き無機酸;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸の如き有機スルホン酸、等が挙げられる。【0057】本反応で使用する重金属エステル交換触媒としては、例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラフェノキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、シリコンテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシドの如き金属アルコキシド;ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化チタン、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化マンガン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化鉄、ハロゲン化鉛、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化ジルコニウム、ハロゲン化バナジウムの如き金属ハロゲン化物;亜鉛、鉛、スズ、ジルコニウム、銅、アンチモン、チタン、マグネシウム、マンガン、コバルト、ゲルマニウムの酸化物、等が挙げられる。【0058】これらのエステル交換触媒の中でも、アルミニウム、チタン、ジルコニウムの如き金属アルコキシドならびにジメチル酸化スズ(II)、ジブチル酸化スズ(II)、ジヘキシル酸化スズ(II)、ジオクチル酸化スズ(II)の如きジアルキル酸化スズ(II)は、エステル交換反応の反応速度が速いので好ましく、中でもジメチル酸化スズ(II)、ジブチル酸化スズ(II)、ジヘキシル酸化スズ(II)、ジオクチル酸化スズ(II)の如きジアルキル酸化スズ(II)は、アルミニウム、チタン、ジルコニウムの如き金属アルコキシド等に比べて少量の触媒使用量でエステル交換反応速度が速く、コスト面、また製品への着色の少なさの点から、特に好ましい。【0059】触媒の使用量は、酸性エステル交換触媒の場合、アミノカルボン酸エステル又はその塩に対して、0.1〜50モル%の範囲が好ましく、1〜20モル%の範囲が特に好ましい。また、アルミニウム、チタン、ジルコニウムの如き金属アルコキシドエステル交換触媒の使用量は、アミノカルボン酸エステル又はその塩に対して、1〜15モル%の範囲が好ましく、3〜10モル%の範囲が特に好ましい。ジメチル酸化スズ(II)、ジブチル酸化スズ(II)、ジヘキシル酸化スズ(II)、ジオクチル酸化スズ(II)の如きジアルキル酸化スズ(II)エステル交換触媒の使用量は、全仕込量に対して、0.01〜10モル%の範囲が好ましく、0.1〜5モル%の範囲が特に好ましい。【0060】触媒の使用量が少なすぎると実用上反応が進まないし、多すぎても反応速度は変わらず、経済的に不利である。さらにアルミニウム、チタン、ジルコニウムの如き金属アルコキシドの場合は、触媒の使用量が多すぎると、製品が着色したりすることもあり好ましくない。【0061】本反応では次工程で無水マレイン酸と反応させることから、エステル交換反応で遊離するアルコールが系内になるべく残らないようにする必要がある。そのため、常圧または減圧下において、室温〜150℃の温度範囲で、生成するアルコールを除去しながら行なうことが好ましい。エステル交換反応で生成するアルコールが高沸点成分である場合、生成アルコールと共沸する反応溶媒を添加し、反応溶媒と共沸させて該アルコールを除去することもできる。例えば、生成するアルコールが、n−ブタノール、イソブタノールあるいはイソアミルアルコールである場合は、共沸する反応溶媒としてシクロヘキサン、トルエン等を用いることができる。【0062】その他、反応溶媒は特に必要としないが、必要に応じて、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンの如き反応に不活性な溶媒を使用してもよい。【0063】本発明の第2工程では、第1工程で得られたポリアミン化合物もしくはその塩と無水マレイン酸とを、公知の方法で反応させてポリアミック酸を形成し、さらに引き続き閉環反応により目的とするマレイミド誘導体を得る。【0064】ポリアミック酸は以下に示される方法で製造される。ポリアミン化合物の塩を用いる場合は、アミノ基を遊離させる為に適当な塩基を添加しながら反応を行う。ただし、系が塩基性になるとポリアミック酸のカルボキシル基がマレイン酸残基の2重結合へ付加する等の副反応による高分子量化がおこるので望ましくなく、この目的に添加する塩基の添加量は、ポリアミン化合物の塩を形成している酸の種類と加える塩基の種類にもよるが、ポリアミン化合物のアミノ基を遊離させるために必要な最低限の量であることが望ましい。塩基としては有機塩基、無機塩基等、ポリアミン化合物のアミノ基を遊離させることができるものであれば種々用いることができる。【0065】本発明の第2工程で使用する無水マレイン酸の量は、ポリアミンのアミノ基に対し任意当量用いることができるが、好ましくは5当量以下である。5当量より多く用いても反応時間に向上はなく、逆に洗浄工程での排水の負荷が大きくなる等経済的に不利な点が多い。【0066】また、本反応に際し、本反応を妨げない限り公知の種々の触媒を用いてもかまわず、また、適当な溶媒を用いてもよい。【0067】本発明の第2工程のポリアミック酸の閉環反応には、適当な触媒存在下で脱水閉環させる方法や、アルコールとの反応によりエステルを形成し、脱アルコール−閉環させる方法等、公知の種々の方法を用いることができる。【0068】適当な触媒存在下で脱水閉環させる方法としては、プロトン酸やルイス酸を触媒として用い加熱脱水を行う方法(特開昭53−9320号公報)や、酸無水物やその他の脱水剤を用いて脱水を行う方法(特開昭58−96066号公報)が例として挙げられる。【0069】また、アルコールとの反応によりエステルを形成し、脱アルコール−閉環する方法については、特開平3−173866号公報や特開昭53−84964号公報に記載されている方法が例としてあげられる。【0070】本発明の第2工程の閉環反応においては、マレイミド基のラジカル重合を抑制する目的で、ラジカル重合禁止剤を使用することが望ましい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、カテコール、tert−ブチルカテコールの如きフェノール系化合物;フェノチアジン、p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミンの如きアミン類;【0071】ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅の如き銅錯体、等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも、2種以上を併用して用いることもできる。重合禁止剤の添加量は、全仕込量に対して10〜10,000ppmの範囲が好ましい。【0072】【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0073】<合成例1>ポリエーテルウレタンポリオールの合成撹拌機、温度計、滴下ロート及び冷却管を備えた容量1000mlの4つ口フラスコに、ポリエチレングリコール200(関東化学製、数平均分子量200)400g、ジブチルスズジラウレート100mgを仕込んだ後、加熱して液温を70℃に保ちながら、イソホロンジイソシアネート(関東化学製)222gを40分かけて滴下した。滴下終了後、さらに70℃で5時間反応を続けた。反応混合物を冷却した後、赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)にて遊離イソシアネートの吸収の消失を確認して、数平均分子量622のポリエーテルウレタンジオール620gを得た。【0074】<実施例1>撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量3リットルのセパラブル4つ口フラスコに、β−アラニン塩酸塩230g、トルエン400g、合成例1で合成した数平均分子量622のポリエーテルウレタンジオール571gおよびp−トルエンスルホン酸一水和物5gを仕込み、減圧下、還流加熱して脱水−エステル化した。反応により生成し、系から分離された水が34gに達したところで反応を終えて冷却した。この反応混合物に炭酸ナトリウム97gおよび無水マレイン酸182gを加えて80℃に加熱した。ガスクロマトグラフィーで反応系内に残存している無水マレイン酸が2g以下であることを確認し、反応を終えた。【0075】この反応混合物にハイドロキノン0.8gと、触媒としてさらにp−トルエンスルホン酸一水和物5gを加え、還流加熱した。反応により生成し、系から分離した水が32gに達したところで反応を終えた。この反応液にトルエン200gを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlで2回洗浄し、さらに飽和食塩水200mlで2回洗浄した後、有機層を濃縮して、ポリエーテルウレタンジオール基準の収率95%でマレイミドプロピオン酸ポリエーテルウレタンジオールエステルを得た。【0076】<実施例2>実施例1において、β−アラニン塩酸塩230gの代わりにバリン塩酸塩282gを用いた他は、全て実施例1に従って行った。その結果収率90%でマレイミドイソ吉草酸ポリエーテルウレタンジオールエステルを得た。【0077】<実施例3>実施例1において、β−アラニン塩酸塩230gの代わりに6−アミノカプロン酸塩酸塩308gを用いた他は、全て実施例1に従って行った。その結果収率90%でマレイミドカプロン酸ポリエーテルウレタンジオールエステルを得た。【0078】<実施例4>実施例1において、β−アラニン塩酸塩230gの代わりにグリシン塩酸塩205gを用いた他は、全て実施例1に従って行った。その結果収率95%でマレイミド酢酸ポリエーテルウレタンジオールエステルを得た。【0079】<実施例5>撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量3リットルのセパラブル4つ口フラスコに、β−アラニン163g、37%塩酸180gを仕込み、室温下、1時間撹拌した。これにトルエン400gを加え、減圧下、加熱して脱水した。室温に冷却した後、合成例1で合成した数平均分子量622のポリエーテルウレタンジオール571gおよびp−トルエンスルホン酸一水和物5gを仕込み、減圧下、還流加熱して脱水−エステル化した。反応により生成し、系から分離された水が34gに達したところで反応を終えて冷却した。この反応混合物に炭酸ナトリウム97gおよび無水マレイン酸182gを加えて80℃に加熱した。ガスクロマトグラフィーで反応系内に残存している無水マレイン酸が2g以下であることを確認し、反応を終えた。【0080】この反応混合物にハイドロキノン0.8gと、触媒としてさらにp−トルエンスルホン酸一水和物5gを加え、還流加熱した。反応により生成し、系から分離した水が32gに達したところで反応を終えた。この反応液にトルエン200gを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlで2回洗浄し、さらに飽和食塩水200mlで2回洗浄した後、有機層を濃縮して、ポリエーテルウレタンジオール基準の収率92%でマレイミドプロピオン酸ポリエーテルウレタンジオールエステルを得た。【0081】<実施例6>撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量3リットルのセパラブル4つ口フラスコに、グリシンメチルエステル塩酸塩230g、数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(デユポン社製「Terathane650」)597gおよびジブチル酸化スズ(II)6gを仕込み、減圧下、加熱してエステル交換反応を行った。反応により生成し、系から分離されたメタノールが60gに達したところで反応を終えて冷却した。この反応混合物にトルエン300g、酢酸ナトリウム151gおよび無水マレイン酸182gを加えて、80℃で加熱した。ガスクロマトグラフィーで反応系内に残存している無水マレイン酸が2g以下であることを確認した後に減圧下加熱して系内に生成した酢酸をトルエンと共に留去した。【0082】この反応混合物にブタノール300g、ハイドロキノン0.8g及び97%硫酸19gを加え、減圧下、還流加熱して脱水エステル化を行った。反応により生成し、系から分離した水が32gに達したところで分留器を留出器に換え、ブタノールを留去し、さらに温度を上げて90℃で閉環イミド化させた。この反応液にトルエン600gを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlで2回洗浄し、さらに飽和食塩水200mlで2回洗浄した後、有機層を濃縮して、ポリテトラメチレングリコール基準の収率95%でマレイミド酢酸ポリテトラメチレングリコールエステルを得た。【0083】<実施例7>実施例5において、ジブチル酸化スズ(II)6.0gの代わりにジオクチル酸化スズ(II)6.0gを用いた他は、全て実施例5に従って行った。その結果収率95%でマレイミド酢酸ポリテトラメチレングリコールエステルを得た。【0084】<実施例8>実施例5において、「Terathane650」597gの代わりに数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール(デユポン社製「Terathane1000」)918gを用いた他は、全て実施例1に従って行った。その結果収率88%でマレイミド酢酸ポリテトラメチレングリコールエステルを得た。【0085】<実施例9>撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量3リットルのセパラブル4つ口フラスコに、グリシンターシャリーブチルエステル482g、数平均分子量250のポリテトラメチレングリコール(デユポン社製「Terathane250」)460gおよびジブチル酸化スズ(II)6gを仕込み、減圧下、加熱してエステル交換反応を行った。反応により生成し、系から分離されたターシャリーブチルアルコールが265gに達したところで反応を終えて冷却した。この反応混合物にトルエン400gおよび無水マレイン酸362gを加えて80℃に加熱した。ガスクロマトグラフィーで反応系内に残存している無水マレイン酸が2g以下であることを確認して反応を終了した。【0086】この反応混合物にブタノール600g、ハイドロキノン0.8g及び97%硫酸38gを加え、減圧下、60℃に加熱して脱水エステル化を行った。反応により生成し、系から分離した水が32gに達したところで分留器を留出器に換え、ブタノールを留去し、さらに温度を上げて90℃で閉環イミド化させた。この反応液にトルエン600gを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlで2回洗浄し、さらに飽和食塩水200mlで2回洗浄した後、有機層を濃縮して、ポリテトラメチレングリコール基準の収率92%でマレイミド酢酸ポリテトラメチレングリコールエステルを得た。【0087】<比較例>撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量3リットルのセパラブル4つ口フラスコに、トルエン825g、p−トルエンスルホン酸一水和物31.4g及びトリエチルアミン16.7gを順次仕込み、撹拌しながら無水マレイン酸180gを加えた後、30℃まで昇温させながら溶解させた。さらにβ−アラニン163gを加えた後、撹拌しながら70℃で3時間反応させた。トルエン300g、トリエチルアミン370gを加え、溶媒を加熱環流させて生成する水を除去しながら1時間反応させた。反応混合物から溶媒を留去して得られた残留物に、0.1mol/m3塩酸を加えてpH2に調整した後、酢酸エチル100mlで3回抽出した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、酢酸エチルを留去してマレイミドプロピオン酸の淡黄色固体127gを得た。【0088】撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量1リットルの丸底フラスコに、得られたマレイミドプロピオン酸127g、「Terathane650」240g、トルエン200g、p−トルエンスルホン酸一水和物14.8g及び2,6−tert−ブチル−p−クレゾール0.74gを順次仕込んだ。減圧下、撹拌しながらトルエンを80℃で還流させ、生成する水を除去しながら4時間反応させた。この反応液にトルエン350gを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液80mlで2回洗浄し、さらに飽和食塩水80mlで2回洗浄した後、有機層を濃縮して、無水マレイン酸基準の収率40%でマレイミドプロピオン酸ポリテトラメチレングリコールエステルを得た。【0089】【発明の効果】本発明の製造方法によれば、ポリオール、無水マレイン酸とアミノカルボン酸を出発原料として、中間体を単離精製することなく、マレイミドカルボン酸ポリオールエステル誘導体を高収率で製造することができる。 一般式(1)R2−(OH)m (1)(式中、mは1〜6の整数を表わす。R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が、エーテル結合またはウレタン結合から選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。)で表されるポリオールと、一般式(2)H2N−R−COOR1 (2)(式中、R は2価の炭化水素基を表わす。R1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を表す。)で表されるアミノカルボン酸、アミノカルボン酸エステル又はそれらの塩をエステル化反応もしくはエステル交換反応により反応させて、一般式(3)(H2N−R−COO)mR2 (3)(式中、mは1〜6の整数を表す。Rは2価の炭化水素基を表す。R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が、エーテル結合またはウレタン結合から選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。)で表されるポリアミン化合物を製造する第1工程、第1工程で得た一般式(3)で表されるポリアミン化合物と無水マレイン酸とを反応させて、一般式(4)(4)(式中、mは1〜6の整数を表す。Rは2価の炭化水素基を表す。R2は、直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、シクロアルキレン基、アリール基及びアリールアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機基が、エーテル結合またはウレタン結合から選ばれる少なくとも1つの結合で結ばれた(ポリ)エーテル連結鎖又は(ポリ)ウレタン連結鎖を表わす。)で表されるマレイミド誘導体を製造する第2工程、からなるマレイミド誘導体の製造方法。 一般式(2)及び一般式(3)のRが炭素原子数1〜7のアルキレン鎖である請求項1に記載のマレイミド誘導体の製造方法。 一般式(1)、一般式(3)及び一般式(4)のmが2〜4の整数である請求項1又は2に記載のマレイミド誘導体の製造方法 エステル交換反応にジアルキル酸化スズ(II)を触媒として用いることを特徴とする請求項1〜3に記載のマレイミド誘導体の製造方法。


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