生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルキルグリコシドおよびアルキルグリコシドの製造方法
出願番号:2000146389
年次:2011
IPC分類:C07H 1/06,C07H 15/04,B01J 20/08


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円山 圭一 迫田 丈志 JP 4737704 特許公報(B2) 20110513 2000146389 20000518 アルキルグリコシドおよびアルキルグリコシドの製造方法 日油株式会社 000004341 細田 益稔 100097490 青木 純雄 100097504 円山 圭一 迫田 丈志 20110803 C07H 1/06 20060101AFI20110714BHJP C07H 15/04 20060101ALI20110714BHJP B01J 20/08 20060101ALI20110714BHJP JPC07H1/06C07H15/04 AB01J20/08 C C07H 1/06 B01J 20/08 C07H 15/04 B01J 31/02 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開平03−232894(JP,A) 特開平04−124196(JP,A) 特表平08−508996(JP,A) 国際公開第99/026957(WO,A1) 特表平09−509426(JP,A) 4 2001328996 20011127 7 20070514 早川 裕之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤、化粧料基剤等として有用なアルキルグリコシドおよびアルキルグリコシドの製造方法に関し、色相およびその安定性の良好なアルキルグリコシドの製造方法に関するものである。【0002】【従来の技術】界面活性剤として有用であるアルキルグリコシドは、興味ある物理特性、優れた生物学的分解性、人体に対する高い安全性のゆえになくてはならないものになってきている。これらのアルキルグリコシドは家庭内用品、特に化粧品分野において使用されるためには、色相および臭気の良好なものである必要がある。また、起泡性、浸透性など優れた性質に基づいて洗浄剤分野でも使用されているが、洗浄剤は大抵アルカリ性であるため、アルカリ性の洗浄剤としてアルキルグリコシドを配合すると強く着色する傾向があった。従来のアルキルグリコシドの製造方法は、EP132046号公報に代表されるように、酸触媒の存在下、糖類とアルコールを直接反応させる方法と、特開昭64−47796号公報に代表されるように、ブタノールなどの低級アルコールと反応させて得られた低級アルキルグリコシドを高級アルコールとアセタール交換反応する方法とに大きく分けられる。しかし、これらいずれの方法で得られるアルキルグリコシドもその色相は、満足できるものではなかった。【0003】このため、反応前後にさまざまな精製法を組み合わせることによって、色相の改善をはかってきた。特開昭61−33193号公報では、得られたアルキルグリコシドを過酸化水素などで漂白する方法、特開昭64−71895号公報では、得られたアルキルグリコシドに活性炭処理をする方法、特開平1−290692号公報では、得られたアルキルグリコシドを水素添加する方法、特開平2−88593号公報では、得られたアルキルグリコシドから有機溶媒抽出により着色物質を除く方法、特開平4−124196号公報では、吸着剤の存在下にアルコールと糖類とを反応させる方法、などが開示されている。しかし、これらの方法のいずれも、色相改良が満足できなかったり、保存安定性に欠けていたり、工程が複雑であったり、大規模な専用設備が必要であったりなど問題があり、十分満足できるものではなかった。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、界面活性剤、化粧料基剤として有用なアルキルグリコシドおよびアルキルグリコシの製造方法に関し、色相およびその安定性の良好なアルキルグリコシドを提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、グルコースと炭素数1〜12の直鎖1価アルコールとをパラトルエンスルホン酸の存在下に反応させ、アルキルグリコシドを含む反応混合物を得る工程、および この反応混合物を、糖類、1価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して0.5〜50重量%の吸着剤と混合して脱色処理する工程を有しており、前記吸着剤が、酸化マグネシウム40〜70重量%かつ酸化アルミニウム20〜50重量%を含有する複合金属酸化物の焼成体からなることを特徴とする。【0006】【発明の実施の形態】 本発明の製造方法は、グルコース、炭素数1〜12の直鎖1価アルコールおよびパラトルエンスルホン酸を反応槽に入れ、還流または減圧下で副生する水を除きながら反応を進行させた後、複合金属酸化物の焼成体を含有する吸着剤で処理を行いアルキルグリコシドを得るものである。【0007】 炭素数1〜12の直鎖1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、またこれらの混合物が挙げられる。反応におけるグルコースとアルコールの割合は、グルコース1モルに対してアルコール1〜20モル、好ましくは2〜10モルである。1モルより少ないと反応率が低下し、20モルより大きいと製造が困難である。【0008】 酸触媒は、パラトルエンスルホン酸である。酸触媒の使用量は、グルコース1モルに対して1〜200ミリモル、好ましくは5〜50ミリモルである。1ミリモルより少ないと反応速度が遅く、200ミリモルより多いと着色の原因にもなる。【0009】反応温度は80〜200℃、好ましくは100℃〜150℃である。80℃より低いと反応速度が遅く、200℃より高いと着色の原因にもなる。一般にアルキルグリコシドの反応は、生成する水を前記温度で系外に除くことで進行するが、必要ならばアルコールが蒸発しない真空圧で水を系外に除き、反応をさらに進行させることもできる。【0010】 複合金属酸化物を含有する吸着剤は、酸化マグネシウム40〜70重量%、かつ酸化アルミニウム20〜50重量%含有する吸着剤であり、色相の改善に有効である。また、複合金属酸化物を含有する吸着剤は焼成活性化したものである。焼成活性化温度は、200〜1000℃で2〜6時間処理することが一般的である。複合金属酸化物を含有する吸着剤は、市販品として、例えば、協和化学工業(株)製のキョーワード2000などが挙げられる。【0011】複合金属酸化物を含有する吸着剤の使用量は糖類、1価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%である。0.5重量%より少ないと処理しても色相の改善は十分ではなく、50重量%より多いと除去するのが困難になりコスト的に問題がある。通常、処理温度は30〜100℃、好ましくは50〜90℃である。30℃より低いと処理時間がかかりすぎ、100℃より高いと着色の原因になる。通常、処理時間は30分〜2時間である。また、当処理工程は水の存在下で行なうとより効果的である。水含有量は、水および吸着剤以外の成分の合計重量に対して1〜300重量%、好ましくは10〜100重量%である。処理後、濾過および遠心分離などで吸着剤を除去することが好ましい。水および吸着剤以外の成分は、糖類、1価アルコール、酸触媒、水以外の溶剤である。【0012】 また、アルキルグリコシド反応終了後の吸着剤処理前に酸触媒をアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、アルコラートなどで中和したり、未反応アルコールや溶剤などを減圧下で除去することもできる。さらに吸着処理し吸着剤を分離した後、中和や未反応アルコールの除去を行うことも可能である。【0013】 本発明の製造方法においては、吸着剤処理はグルコースと1価アルコールをパラトルエンスルホン酸触媒の存在下に反応させた後に行うことが必要である。反応前処理では脱色効果はなく、吸着剤存在下の反応では触媒が失活して反応が進行しない。また、反応終了後、反応が停止せず継続する場合は副生物が生成しやすいことから、反応終了後に吸着剤処理を行うことによって、色相および安定性に優れたアルキルグリコシドが得られる。【0014】本発明の製造方法で得られたアルキルグリコシドは、界面活性剤、化粧品用基剤等に使用することができる。好ましくは、界面活性剤として使用することができる。その中でも、pH12〜14のアルキルグリコシド30重量%水溶液、25℃で3日経過後、色相がガードナー5以下であるアルキルグリコシドからなる界面活性剤が特に好ましく、色相安定性に優れた界面活性剤として有用である。アルカリ水溶液中での保存安定性の評価方法としては、アルキルグリコシド30重量%水溶液を作成し、水酸化ナトリウムを5g加えて、25℃で3日間放置し、その後の色相を測定する。そのときのpHは12〜14である。【0015】【発明の効果】本発明の製造方法で製造されたアルキルグリコシドは、製造直後の色相および、アルカリ溶液中でも長期にわたって色相安定性が優れているため、界面活性剤、化粧料基剤として好適に使用できる。【0016】【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。実施例1 ブチルグルコシドの合成n−ブタノール518g(7モル)、グルコース180g(1モル)、パラトルエンスルホン酸1水和物2.85g(15ミリモル)を四ツ口フラスコに仕込み、窒素を吹き込みながら攪拌し、120℃に昇温した。常圧で上記温度を保ち、副生する水を系外に除去しながら還流し4時間反応を行なった。反応終了後、協和化学工業(株)製キョーワード2000(含有量:酸化マグネシウム59.2重量%、酸化アルミニウム33.0重量%)を20g(糖類、一価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して2.85重量%)添加し、80℃、1時間処理後濾過し吸着剤を除去した。その後、含有するn−ブタノールを除去するため減圧−0.092MPa(50mmHg)、120℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%ブチルグルコシド水溶液を得た。【0017】実施例2 ブチルグルコシドの合成実施例1の条件でブチルグルコシドを反応した後、水140g(水および吸着剤以外の成分の合計重量に対して20.0重量%)と協和化学工業(株)製キョーワード2000を20g(糖類、一価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して2.85重量%)添加し、80℃、1時間処理後濾過し吸着剤を除去した。その後、含有するn−ブタノールを除去するため減圧−0.092MPa(50mmHg)、120℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%ブチルグルコシド水溶液を得た。【0018】実施例3 デシルグルコシドの合成n−デカノール1106g(7モル)、グルコース180g(1モル)、パラトルエンスルホン酸1水和物3.8g(20ミリモル)を四ツ口フラスコに仕込み、窒素を吹き込みながら攪拌し、120℃に昇温した。減圧−0.07MPa(200mmHg)で上記温度を保ち、副生する水を系外に除去しながら還流し6時間反応を行なった。反応終了後、水200g(水および吸着剤以外の成分の合計重量に対して15.5重量%)と協和化学工業(株)製キョーワード2000を35g(糖類、一価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して2.71重量%)添加し、80℃、1時間処理後濾過し吸着剤を除去した。その後、含有するn−デカノールを除去するため減圧−0.99MPa(10mmHg)、150℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%デシルグルコシド水溶液を得た。【0019】実施例4 デシルグルコシドの合成n−デカノール1106g(7モル)、実施例1で得られたブチルグルコシド水溶液787g(1モル)、パラトルエンスルホン酸1水和物3.8g(20ミリモル)を四ツ口フラスコに仕込み、窒素を吹き込みながら攪拌し、120℃に昇温した。減圧−0.07MPa(200mmHg)で上記温度を保ち、水やブタノールを系外に除去しながら還流し6時間反応を行なった。反応終了後、水200g(水および吸着剤以外の成分の合計重量に対して14.4重量%)と協和化学工業(株)製キョーワード2000を35g(糖類、一価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して2.60重量%)添加し、80℃、1時間処理後濾過し吸着剤を除去した。その後、含有するn−デカノールを除去するため減圧−0.99MPa(10mmHg)、150℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%デシルグルコシド水溶液を得た。【0020】 参考例 実施例4の条件でデシルグルコシドを反応した後、水200g(水および吸着剤以外の成分の合計重量に対して14.9重量%)と富田製薬(株)製トミックスAD300(含有量:酸化マグネシウム13.2重量%、酸化アルミニウム31重量%、ニ酸化ケイ素30.5重量%)を35g(糖類、一価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して2.60重量%)添加し、80℃、1時間処理後濾過し吸着剤を除去した。その後、含有するn−デカノールを除去するため減圧−0.099MPa(10mmHg)、150℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%デシルグルコシド水溶液を得た。【0021】比較例1実施例1の条件でブチルグルコシドを反応した後、適量の1モル/L水酸化ナトリウム水溶液で中和し、反応容器中にある固形物を濾過した。濾液について含有するn−ブタノールを除去するため減圧−0.092MPa(50mmHg)、120℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%ブチルグルコシド水溶液を得た。【0022】比較例2実施例1の条件でブチルグルコシドを反応した後、適量の1モル/L水酸化ナトリウム水溶液で中和し、活性炭20g添加し、80℃、1時間処理後濾過し活性炭を除去した。その後、濾液について含有するn−ブタノールを除去するため減圧−0.092MPa(50mmHg)、120℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%ブチルグルコシド水溶液を得た。【0023】比較例3n−ブタノール518g(7モル)、グルコース180g(1モル)、パラトルエンスルホン酸1水和物2.85g(15ミリモル)、活性炭20gを四ツ口フラスコに仕込み、攪拌、窒素を吹き込みながら120℃に昇温した。常圧で上記温度を保ち、副生する水を系外に除去しながら還流し4時間反応を行なった。その後、活性炭を濾過して除去し、適量の1モル/L水酸化ナトリウム水溶液で中和した。含有するn−ブタノールを除去するため減圧−0.092MPa(50mmHg)、120℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%ブチルグルコシド水溶液を得た。【0024】比較例4実施例3の条件でデシルグルコシドを反応した後、高活性酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製キョーワマグ150)を35g(糖類、一価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して2.71重量%)添加し、80℃、1時間処理後濾過し吸着剤を除去した。その後、含有するn−デカノールを除去するため減圧−0.099MPa(10mmHg)、150℃で1時間処理し、残った固形分を水に溶解し、30%デシルグルコシド水溶液を得た。【0025】【表1】【0026】 実施例1〜4、参考例、比較例1〜4の製造直後のアルキルグルコシド水溶液の色相と、各アルキルグルコシド水溶液100gに、水酸化ナトリウム0.5gを溶解させ、pH12〜14で、25℃、3日間放置後の色相を比較観察した。色相は、APHA:JISK−1557 6.2、ガードナー:JIS K−6901 4.2に準じて測定を行った実施例1〜4と比較例を比較すると、本発明の製造方法で製造したアルキルグリコシドである実施例1〜4は比較例3を除いて、製造直後、3日後の色相ともに優れている。比較例3は製造直後では実施例と同レベルであったが、アルカリ水溶液中での色相安定性では劣っており、本発明の製造方法で製造したアルキルグリコシドは製造直後の色相、アルカリ水溶液保存安定性ともに優れていることがわかる。 グルコースと炭素数1〜12の直鎖1価アルコールとをパラトルエンスルホン酸の存在下に反応させ、アルキルグリコシドを含む反応混合物を得る工程、および この反応混合物を、グルコース、前記1価アルコールおよびその他水以外の成分の合計重量に対して0.5〜50重量%の吸着剤と混合して脱色処理する工程を有しており、 前記吸着剤が、酸化マグネシウム40〜70重量%かつ酸化アルミニウム20〜50重量%を含有する複合金属酸化物の焼成体からなることを特徴とする、アルキルグリコシドの製造方法。 前記脱色処理を、水および吸着剤以外の成分の合計重量に対して1〜300重量%の水の存在下で行なう、請求項1記載の方法。 前記反応混合物を前記吸着剤と接触させた後、前記吸着剤を濾過または遠心分離によって除去することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。 前記直鎖1価アルコールが、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノールまたはデカノールであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。


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