| タイトル: | 特許公報(B2)_耐薬剤性固形ハロゲン剤 |
| 出願番号: | 2000143003 |
| 年次: | 2010 |
| IPC分類: | A01N 41/06,A01P 3/00,A61K 8/00,C11D 3/48,C11D 7/34,C11D 7/54,A01N 59/00,A01N 59/08 |
徳岡 由一 堀越 由美子 柴谷 治雄 JP 4580502 特許公報(B2) 20100903 2000143003 20000516 耐薬剤性固形ハロゲン剤 エステー株式会社 000102544 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 小野 信夫 100086324 徳岡 由一 堀越 由美子 柴谷 治雄 20101117 A01N 41/06 20060101AFI20101028BHJP A01P 3/00 20060101ALI20101028BHJP A61K 8/00 20060101ALI20101028BHJP C11D 3/48 20060101ALI20101028BHJP C11D 7/34 20060101ALI20101028BHJP C11D 7/54 20060101ALI20101028BHJP A01N 59/00 20060101ALN20101028BHJP A01N 59/08 20060101ALN20101028BHJP JPA01N41/06 ZA01P3/00A61K8/00C11D3/48C11D7/34C11D7/54A01N59/00 ZA01N59/08 A A01N A61K C11D CAplus(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特公昭47−000319(JP,B1) 特開平10−212209(JP,A) 国際公開第99/011126(WO,A1) 特表平03−502199(JP,A) 特開昭63−010700(JP,A) 3 2001322902 20011120 9 20061225 棚橋 貴子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、耐薬剤性固形ハロゲン剤に関し、更に詳細には、他の薬剤と混ざったときのハロゲンガスの発生が抑制された、安全な耐薬剤性固形ハロゲン剤に関する。【0002】【従来の技術】固形塩素剤に代表される固形ハロゲン剤は、公共施設や工場等において、プール、スパ、工業用水、冷却水、防火用水等の殺菌消毒剤等として広く用いられている。また、家庭においても、台所、トイレ、浴室等でいろんな用途に使われている。【0003】例えば台所では、流し台の排水口付近に、雑菌が繁殖してヌメリが生じるのを防ぐために、台所排水口除菌剤として使われている。これらは、ヌメリ取り剤またはヌメリ防止剤と呼ばれている。【0004】また、トイレでは、固形ハロゲン剤が徐々に溶けて、自動的に便器を殺菌洗浄する水洗トイレ自動洗浄剤として使われている。そのひとつは、水洗トイレの貯水タンク上部の水洗い部に設置するタイプであり、オンタンク剤と呼ばれている。他のひとつは、貯水タンク内に設置するタイプであり、インタンク剤と呼ばれている。さらに、便器の縁の下につり下げるタイプもあり、便座ブロックと呼ばれている。【0005】更に、浴室や洗面所では、配水管を殺菌洗浄するためのパイプ洗浄剤を用いられている。また、風呂水を殺菌浄化するための、風呂水浄化剤としても使われている。その他、浄化槽の消毒槽や配水の殺菌剤、台所や浴室、トイレまわりの殺菌洗浄剤、衣類の殺菌漂白剤、入れ歯洗浄剤、風呂場黒カビ除去剤、紙おむつ容器の消臭殺菌剤、自動食器洗浄器用の洗浄剤等への利用が提案されている。【0006】上記の固形ハロゲン剤の主成分としては、一般に、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、トリクロロイソシアヌル酸などのイソシアヌル酸系化合物や、ジクロロジメチルヒダントイン、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジブロモジメチルヒダントインなどのヒダントイン系化合物が用いられている。【0007】しかし、これらの固形ハロゲン化剤は、塩酸や次亜塩素酸ナトリウムなど他の薬剤と混ざった場合には、瞬間的に多量のハロゲンガスを発生し、きわめて危険である。そのため、これらを用いた製品には、一部を除いて「まぜるな危険」の表示がなされている。【0008】その他の固形ハロゲン剤としては、クロラミンB、クロラミンT、クロラミンX、ジクロラミンB、ジクロラミンT、ハラゾン、セプタミド等がある。【0009】これらは、1910年代から20年代に殺菌剤として開発されたもので、クロラミンTがその代表的なものであり(「防菌防黴の化学」、p29:三共出版株式会社発行)、上水の滅菌、手指・器具の消毒、創傷の消毒、プール水の消毒等に用いられてきたが、現在はあまり使用されていない(「防菌防黴剤事典」p118:日本防菌防黴学会発行)。また、上記固形ハロゲン剤の別の用途としては、繊維の糊抜漂白処理剤(特開昭49−110979号)、食酢と併用した切り花、生け花の保存剤(特開昭49−41151号)、洗剤の一成分(特開昭52−115809号)、ソフトコンタクトレンズ洗浄剤(特開昭57−42614号、特開平1−160912号)、精製水製造時の殺菌剤(特開平1−135506号)、酸性物質と併用した殺菌消毒液(特開平10−81610号)への使用が知られている。【0010】しかし、台所排水口除菌剤など、上に示した固形ハロゲン剤の家庭での用途に使われた例はみられない。また、他の薬剤と混ざったときの、ハロゲンガスの発生について調べた例もない。【0011】ところで、固形ハロゲン剤が他の薬剤と混ざったときに、危険なハロゲンガスが発生する問題に対しては、収納具の工夫でこれを抑える試みがなされている。例えば、特公平3−117号公報には、通水性のある収納具に、固形ハロゲン剤を収納する方法が開示されており、また特開平10−212209号公報には、収納具の一部または全部に、通水性はないが透湿性のある素材を使う改良法が示されている。【0012】【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法は、収納具で他の薬剤との接触を抑制しようとするものであり、本質的な解決とはいえない。そのため、本質的に、他の薬剤と混ざったときのハロゲンガスの発生の抑制された、安全な固形ハロゲン剤が求められていた。【0013】【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種の固形ハロゲン剤について、他の薬剤と接触した場合のハロゲンガスの発生挙動を調べていたところ、次の式(I)R−SO2NXM(I)(式中、Rは芳香環式基を、Xはハロゲン原子を、Mはアルカリまたはアルカリ土類金属原子を示す)で表される化合物は、意外にも塩酸や次亜塩素酸ナトリウムなど他の薬剤と混ざったときのハロゲンガスの発生が、他の固形ハロゲン剤として利用される化合物に比べ極めて少なく、これを固形ハロゲン剤の主剤として用いれば使用中に誤って薬剤と接触させても問題となるハロゲンの発生はわずかであることを見出し、本発明を完成した。【0014】すなわち本発明は、上記式(I)で表される化合物を有効成分として含有し、他の薬剤と混ざったときのハロゲンガスの発生の抑制された耐薬剤性固形ハロゲン剤を提供するものである。【0015】【発明の実施の形態】本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤の有効成分である化合物(I)において、好ましい基Rとしては、フェニル基、メチルフェニル基等の低級アルキルフェニル基、メトキシフェニル基等の低級アルキルオキシフェニル基等が挙げられる。また、好ましいXとしては塩素が、好ましいMとしてはナトリウムがそれぞれ挙げられる。【0016】上記化合物(I)の具体例としては、N−クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=フェニル、X=Cl、M=Na)、N−クロロトルエンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=メチルフェニル、X=Cl、M=Na)、N−クロロキシレンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=ジメチルフェニル、X=Cl、M=Na)、N−クロロメトキシベンゼンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=メトキシフェニル、X=Cl、M=Na)、N−ブロモベンゼンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=フェニル、X=Br、M=Na)、N−ブロモトルエンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=メチルフェニル、X=Br、M=Na)、N−ブロモキシレンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=ジメチルフェニル、X=Br、M=Na)、N−ブロモメトキシベンゼンスルホンアミドナトリウム(式(I)中、R=メトキシフェニル、X=Br、M=Na)、N−クロロベンゼンスルホンアミドマグネシウム(式(I)中、R=フェニル、X=Cl、M=Mg)、N−クロロトルエンスルホンアミドマグネシウム(式(I)中、R=メチルフェニル、X=Cl、M=Mg)、N−クロロキシレンスルホンアミドマグネシウム(式(I)中、R=ジメチルフェニル、X=Cl、M=Mg)、N−クロロメトキシベンゼンスルホンアミドマグネシウム(式(I)中、R=メトキシフェニル、X=Cl、M=Mg)などを挙げることができる。【0017】本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤は、上記化合物(I)をそのまま、あるいはこれに適当な添加剤、例えば、界面活性剤、溶解調節剤、香料、顔料等を添加した後、その用途に応じて、粉末、顆粒、錠剤等適当な剤型に製剤化することにより調製される。【0018】本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤における化合物(I)の配合量は、全組成中、1から80質量%(以下、「%」という)程度であり、好ましくは、2から70%である。【0019】かくして得られる本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤は、家庭において、いろんな用途に用いることができる。具体的な例としては、ヌメリ取り剤、ヌメリ防止剤などの台所排水口除菌剤、オンタンク剤、インタンク剤、便座ブロックなどの水洗トイレ自動洗浄剤、浴室やトイレ、ロッカー、押入、下駄箱、流しの下、紙おむつ容器などの防カビ防菌消臭剤、青果物類を含む食品の鮮度保持剤、浴室や洗面所などの排水パイプ洗浄剤、風呂水浄化剤、台所や浴室、トイレなどの殺菌洗浄剤、衣類の殺菌漂白剤、入れ歯洗浄剤、浄化槽殺菌剤などを挙げることができる。もちろん、家庭以外でも、公共施設や工場等において、殺菌消毒剤等として用いることができる。【0020】【作用】従来より固形ハロゲン剤として用いられる、ヒダントイン系化合物やイソシアヌル酸系化合物は、塩酸や次亜塩素酸ナトリウムなど他の薬剤と混ざった場合に、大量のハロゲンガスを発生することが知られていた。また、クロラミンTなどの化合物も同様であると考えられていた(特開平10−212209号)。しかし、驚くべきことに、式(I)の化合物は、他の薬剤と混ざったときのハロゲンガスの発生が抑えられるという作用を有すことが見いだされ、これに基づいて本発明は完成されたのである。【0021】【実施例】次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。【0022】参 考 例 1N−クロロ−p−メトキシベンゼンスルホンアミドナトリウムの合成と同定:50ml三つ口フラスコに塩化−p−メトキシベンゼンスルホニル(Aldrich社製)3.86gを入れ、28%アンモニ水溶液約5mlを滴下漏斗より添加し、水浴で冷やしながら30分間攪拌した。反応終了後、析出した結晶をろ過し、冷水で洗浄後乾燥させて、p−メトキシベンゼンスルホンアミド3.40gを得た。得られたp−メトキシベンゼンスルホンアミド3.34gと、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1.35g、48%水酸化ナトリウム水溶液0.71gを50ml三つ口フラスコに入れ、約50℃で1時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液を冷却し、析出した結晶をろ過分取し、白色結晶2.70gを得た。得られた結晶は、元素分析値、NMRスペクトル、IRスペクトルより、目的物N−クロロ−p−メトキシベンゼンスルホンアミドナトリウムであることを確認した。出発物質塩化p−メトキシベンゼンスルホニルからの全収率は59%であった。【0023】元素分析(単位:%。括弧内は理論値):C:34.45(34.50)H:3.90(2.87)N:5.63(5.75)S:10(13.14)Cl:14(14.58)【0024】1H−NMR(D2O)による分析:δ3.75(3H,s)、7.00(2H,d)、7.70(2H、d)【0025】IR最大吸収の測定:3588,1252,1135cm−1【0026】実 施 例 1ハロゲンガス発生量:家庭用品品質表示法に定められた方法に準じて、固形ハロゲン剤が他の薬剤と混ざったときのハロゲンガスの発生量を測定した。試験は、容量20リットルの図1に示すような装置を用いておこなった。図1のEで示されるビーカー中に、粉体状のN−クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム、N−クロロ−p−トルエンスルホンアミドナトリウムおよびN−クロロ−p−メトキシベンゼンスルホンアミドナトリウム(本発明品)を3g取り、この中に10%の塩酸水溶液あるいは5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を3ml加え、直ちに蓋をし、マグネティックスターラーFで攪拌した。この容器中では、ファンDにより下方に送風した。塩酸水溶液あるいは次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加5分後、検知管Bを備えたガス採取器Cによりガスを吸引し、容器中の塩素ガス濃度を測定した。【0027】なお、比較として、3gの粉体状のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ジクロロ−p−カルボキシベンゼンスルホンアミド(比較品)を用いて同様にハロゲンガス発生量を調べた。【0028】また、参考として、N−クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム、N−クロロ−p−トルエンスルホンアミドナトリウム、N−クロロ−p−メトキシベンゼンスルホンアミドナトリウムのそれぞれ10%水溶液、およびジクロロイソシアヌル酸ナトリウムの1.5%水溶液を調製し、固形ハロゲン剤3gに変えて、これらの水溶液3mlをビーカーにとり、他は同様にしてハロゲンガスの発生量を測定した。これらの結果を表1に示す。【0029】【表1】【0030】これらの結果から明らかなように、本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤は、固形、水溶液のいずれの状態であっても、酸性、塩素系のいずれの薬剤と混ざったときの塩素の発生が抑制されることが示された。【0031】実 施 例 2有効塩素量:本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤の所定量を水に溶解し、酢酸酸性下でよう化カリウムを添加後、生成したよう素をチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定して有効塩素量を測定した。結果を表2に示す。【0032】【表2】【0033】この結果、本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤は、十分な有効塩素量を有することが示された。【0034】【発明の効果】本発明の耐薬剤性固形ハロゲン剤は、塩酸や次亜塩素酸ナトリウムなど他の薬剤と混ざったときでもハロゲンガスの発生が少ないので、そのような環境で固形ハロゲン剤を使用する場合にも安全性の高いものである。【0035】従って、例えば、台所排水口除菌剤、水洗トイレ自動洗浄剤、防カビ防菌消臭剤、鮮度保持剤、排水パイプ洗浄剤、風呂水浄化剤、台所浴室トイレ用殺菌洗浄剤、衣類用殺菌漂白剤、入れ歯洗浄剤、浄化槽用殺菌剤等に有利に用いることができ、製品の安全性の確保や事故の防止を図ることができるものである。【図面の簡単な説明】【図1】ハロゲンガス発生量を測定するために用いる装置を示す図面。【符号の説明】A 測定容器B ハロゲンガス検知管C ガス採取器D 攪拌用ファンE ビーカーF スターラービーズG マグネスティックスターラー 次の式(I) R−SO2NXM(I)(式中、Rはメトキシフェニル基を、Xはハロゲン原子を、Mはアルカリ又はアルカリ土類金属原子を示す)で表される化合物を有効成分として含有し、他の薬剤と混ざったときのハロゲンガスの発生の抑制された耐薬剤性固形ハロゲン剤。 式(I)中、Xが塩素、Mがナトリウムである請求項1記載の耐薬剤性固形ハロゲン剤。 台所排水口除菌剤、水洗トイレ自動洗浄剤、防カビ防菌消臭剤、鮮度保持剤、排水パイプ洗浄剤、風呂水浄化剤、台所浴室トイレ用殺菌洗浄剤、衣類用殺菌漂白剤、入れ歯洗浄剤または浄化槽用殺菌剤である請求項1または2項記載の耐薬剤性固形ハロゲン剤。