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タイトル:特許公報(B2)_粒径単分散粒子、その製造方法及びそれを用いた用途
出願番号:2000127634
年次:2011
IPC分類:C08F 2/44,C08F 2/22,C08F 2/38,C08F 265/06,G01N 30/88


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村中 和昭 津田 輝彦 JP 4779186 特許公報(B2) 20110715 2000127634 20000424 粒径単分散粒子、その製造方法及びそれを用いた用途 東ソー株式会社 000003300 村中 和昭 津田 輝彦 JP 1999116237 19990423 20110928 C08F 2/44 20060101AFI20110908BHJP C08F 2/22 20060101ALI20110908BHJP C08F 2/38 20060101ALI20110908BHJP C08F 265/06 20060101ALI20110908BHJP G01N 30/88 20060101ALI20110908BHJP JPC08F2/44 CC08F2/22C08F2/38C08F265/06G01N30/88 101S C08F G01N 特開平11−049810(JP,A) 特開昭62−227903(JP,A) 特開昭63−079065(JP,A) 10 2001002716 20010109 13 20070316 繁田 えい子 【0001】【発明の属する技術分野】本願発明は、粒径が1μm〜1000μm程度の範囲にあり、粒径が単分散である粒子及びその粒子を製造する方法に関するものである。【0002】【従来の技術】粒径が数μmから数百μmであり、粒径が単分散である粒子を作成する方法として、乳化重合におけるシード重合法、二段膨潤シード重合法、膜乳化法等が広く知られている。乳化重合によるシード重合法では、例えば米国特許第4247434号公報に記載されているように、粒径単分散のシード粒子を用いること、及び乳化重合時の乳化剤濃度を規定することにより、2から40μmの粒子の膨潤と重合を繰り返しながら合成することが可能である。しかしこの場合には、一度に膨潤可能な体積は数倍程度であり、大粒径の粒子を得ようとすると前記のような操作を数十回繰り返す必要があることや、凝集を押さえるため、宇宙空間のような無重力条件下で重合を行う必要性があることから、実用性に課題があった。更には粒子の架橋度を大きくすると異形粒子の発生、新粒子の発生が起こるため、事実上は架橋度が1%以下の非常に弱い粒子しか作製できないという課題もあった。【0003】米国特許第4336173号公報には二段膨潤シード重合法が記載されている。この方法は、油溶性物質に対して微量の高疎水性有機化合物を混合した後に乳化することにより、油溶性物質の乳化液の安定性が飛躍的に高まる現象を利用したものであり、高疎水性物質の粒径単分散油滴を作製し、これに対してモノマーを吸収させて単分散粒子を作製する方法である。【0004】しかしこの方法では、単分散の高疎水モノマー性物質の油滴を作製するために、まず単分散ポリスチレンの水分散液を作製し、この水相に対してアセトンを添加することで水相の有機溶媒濃度を上げ、高疎水性物質を吸収しやすくした後、高疎水性物質の乳化液をこれに添加し、その後水相のアセトン濃度を低下させるというように煩雑な操作が必要があった。【0005】この方法では、架橋度が任意の粒子を作製することができ、また単に単分散のポリスチレン粒子をモノマーにより直接膨潤させるよりは大きい膨潤倍率を達成できるとされている。しかし、膨潤倍率でみると、出発のポリスチレン粒子に対する膨潤倍率では150倍程度が達成されるが、高疎水性物資を吸収した油滴に対しての膨潤倍率では50倍程度の膨潤倍率にしかならない。このことから、膨潤倍率については実際上高膨潤倍率を達成できるものではない。また高疎水性物質を単分散ポリスチレンに吸収させる工程が必要で、本来吸収されにくい高疎水性物質を吸収させるために、高疎水性物質の乳化液と単分散ポリスチレン分散液の混合物にアセトン等を添加する必要があり、混合系が不安定となりやすい。このため工程の維持には細心の注意を払う必要があり、シード粒子合成から膨潤までの段階において多段階の工程が必要となっていた。【0006】更に、高疎水性物質を併用することから、これが生成する粒子に対し細孔を形成する際に悪影響を及ぼす可能性もある。なお、ポリスチレンシード粒子を用いたシード重合法を行った場合、モノマーとしてポリスチレンと相溶性の低いアクリル系モノマーを用いた場合だけではなく、同種のスチレンを用いた場合にも、得られた粒子にはシード粒子が相分離した細孔が生じることが広く知られている。【0007】単分散ポリマー粒子をシードとして、これに直接モノマーを吸収膨潤させる一段膨潤シード重合法では、例えば特開昭62−12701号公報に記載されたように、モノマーの乳化液の油滴粒子径を規定し、膨潤時間を規定することで、高膨潤倍率を達成することが可能である。【0008】しかしながら、この方法ではシード粒子の粒子径に対してモノマーの乳化液の油滴粒子径を規定する必要があるが、かかる規定は実際の製造上非常に困難である。また膨潤時間に最適時間帯が存在することになり、製造上好ましくない。【0009】米国特許第5496897号公報には、重合性モノマーに親水性有機化合物を添加し、これを水中で乳化した後、ポリマーシード粒子に吸収させる方法が記載されている。この方法によれば、10%前後の親水性有機化合物を併用することで50〜60倍の膨潤倍率を達成することができるが、親水性有機化合物を併用することから、これが生成する粒子に対し細孔を形成する際に悪影響を及ぼす可能性がある。【0010】膜乳化法は、例えばJournal of Applied PolymerScience Vol.51 1−11(1994年)に記載されているように、均質な細孔を有するSPG膜(シラスポーラスグラス膜)を介し、乳化剤を含む水性媒体中に均一粒径の油滴を作製する方法である。この方法により重合性モノマーを直接均質粒径油滴とし、重合することにより、比較的単分散な粒子を合成するこが可能で、また単分散の高疎水性有機化合物油滴を作製し、これに重合性モノマーを吸収させ重合するシード重合を行うことも可能である。【0011】この方法では、疎水性の高いスチレンモノマーのようなモノマーを用いた場合、膜の細孔径の5倍程度の粒径を有する単分散粒子は合成可能であるが、比較的親水性が高いモノマーを用いた場合、膜の親水性が高いために膜表面で該モノマーが広がってしまい、単分散油滴を作製することが困難となる課題がある。また更には、高疎水性有機化合物の単分散油滴を作製し、シード重合により粒子を作製する場合に於いても、作製可能な高疎水性有機化合物の単分散油滴の粒径は数μmと比較的大きいために、10μm以下の粒子を作製する場合は膨潤倍率が低くなり、モノマーに対する高疎水性有機化合物の割合が大きくなって細孔形成に悪影響を与えてしまう。【0012】【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明は、以上のごとき課題を解決し、粒径が1μm〜1000μm程度の範囲にある粒径が単分散である粒子、該粒子をより簡便に製造する方法、該粒子を充填してなる液体クロマトグラフィー用カラム、そして該カラムを用いる液体クロマトグラフィー分析法を提供することを目的とするものである。【0013】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するためになされた本願請求項1の発明は、炭素数6以上の直鎖アルキル基、炭素数6以上の脂肪族環状アルキル基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数3以上のハロゲン化アルキル基を少なくとも一種類以上含むポリ(メタ)アクリル酸エステルからなる粒径単分散なポリマーシード粒子に、重合性モノマーを含む水性乳化液を添加して膨潤させた後、重合して得られる粒径単分散粒子である。【0014】また前記目的を達成するためになされた本願請求項7の発明は、炭素数6以上の直鎖アルキル基、炭素数6以上の脂肪族環状アルキル基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数3以上のハロゲン化アルキル基を少なくとも一種類以上含むポリ(メタ)アクリル酸エステルからなる粒径単分散なポリマーシード粒子に、重合性モノマーを含む水性乳化液を添加して膨潤させた後、重合させる粒径単分散粒子の製造法である。【0015】また前記目的を達成するためになされた本願請求項13の発明は、前記粒径単分散粒子を充填してなる液体クロマトグラフィー用カラムである。そして前記目的を達成するためになされた本願請求項14の発明は、前記カラムを用いる液体クロマトグラフィー分析法である。以下、本願発明を詳細に説明する。【0016】本願発明における粒径単分散粒子の製造方法を工程順に下記に記す。【0017】第一段階としては、粒径単分散のシード粒子を作製する工程である。シード粒子作製法としては、乳化重合法及び分散重合法を用いることができる。【0018】第二段階としては、シード粒子を膨潤、重合する工程である。この工程ではシード粒子分散液とモノマー乳化液を任意の割合で混合することで膨潤が進行する。本願発明のシード粒子を用いることにより、従来知られている二段膨潤法等とは異なり、高疎水性物質をシード粒子分散液と混合し、アセトン等の膨潤助剤を添加して、高疎水性物質の油滴を作製する必要もなく、高膨潤倍率を達成できる。また、従来油滴の合一、分断等による粒子径分布の拡大を防ぐ方法として、油滴を安定化させるために、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子を添加する方法が知られているが、これらの添加はシード粒子のモノマーによる膨潤を妨げることが知られている。このため、従来膨潤倍率を高く設定する場合、水溶性高分子の添加は、膨潤工程が終了した後に行うことが一般的であった。しかし本願発明におけるシード粒子を用いることにより、水溶性高分子の添加が可能となり、膨潤工程における粒子径分布の拡大を防ぐことが可能となった。重合工程は従来から知られている方法と異なることはなく、容易に進行させることができる。【0019】第三段階は、必要に応じて行われる重合体粒子の洗浄である。例えばシード粒子ポリマーを重合体から取り出す場合には、ケトン系溶媒、酢酸エステル系溶媒、芳香族系溶媒等の広範囲の溶媒で洗浄を行えば、容易にシード粒子ポリマーを重合体粒子から取り去ることができる。【0020】本願発明で用いる(メタ)アクリル酸エステルポリマーシード粒子は、炭素数6以上の直鎖アルキル基、炭素数6以上の脂肪族環状アルキル基、フェニル基、ベンジル基又は炭素数3以上のハロゲン化アルキル基をエステル部に有するポリマー粒子であり、一種を用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。これらの例としては、(メタ)アクリル酸n−ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル、(メタ)アクリル酸n−オクチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸2,3−ジブロモプロピルエステル、(メタ)アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタフルオロ−n−デシルエステル、(メタ)アクリル酸1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロイソプロピルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルエステル、(メタ)アクリル酸4−メチルフェニルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチルフェニルエステル、(メタ)アクリル酸3−メチルフェニルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル等を例示することができる。なかでも直鎖状アルキル基、脂肪族環状アルキル基又はベンジル基を有するポリマー粒子を用いると、後の重合性モノマーを重合した場合に、幅広い種類の重合性モノマーにおいて、シード粒子の相分離による影響が現れずに良好な表面形状を有する粒径単分散粒子を得ることが可能であり、特に好ましい。一方、膨潤倍率を重視する場合には直鎖アルキルエステルを用いることが好ましく、シード粒子の製造安定性や保存安定性を重視する場合には脂肪族環状エステル又はベンジルエステルを用いることが好ましい。【0021】用いるシード粒子の分子量に特別の制限はないが、後の重合性モノマーを含む有機化合物混合体を吸収させる工程において膨潤倍率を大きく設定できることから、重量平均分子量において50,000以下のものが好ましい。【0022】上記シード粒子は、従来の有機溶媒系での分散重合又は水溶媒系での乳化重合法を用いて合成することができる。シード粒子を分散重合で作製する場合には、シード粒子分散液を水性分散液に置換する必要が頻繁に生じることがあるため、乳化重合により作製することが好ましい。【0023】乳化重合法を行う場合には、ソープフリー乳化重合を用い、連鎖移動剤を併用することが、分子量、平均粒径、粒径分散度の再現性良好なシード粒子を作製するうえで好ましい。連鎖移動剤としては一般的な連鎖移動剤を使用することができるが、その一例として1,1,3,3−テトラメチルブタン−1−チオール、シクロヘキシルメルカプタン、t−テトラデカンチオール、オクタデシルメルカプタン、1−ペンタンチオール、1−ヘキサデカンチオール、2−メチル−2−プロパンチオ−ル、2−プロペンチオール、1−ペンタンチオール、1−ドデカンチオール、1−オクタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ブタンチオール等の直鎖又は脂肪族環状アルキルチオール類、ナフタレンチオール、ペンタフルオルチオフェノール、2−メトキシベンゼンチオ−ル、4−メトキシベンゼンチオール、2−クロロチオフェノール、o−ブロモチオフェノール、2−イソプロピルチオフェノール、1,3−ベンゼンチオール、チオフェノール、m−チオクレゾール、チオキシレノール等の芳香族チオール類、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、3−メルカプトプロピオン酸エステル類、チオサリチル酸エステル類を例示することができるが、なかでも炭素数8以下のエステル部を有するチオグリコール酸エステルを用いることが好ましい。連鎖移動剤として分子内に陰イオン交換基を有する連鎖移動剤を用いると乳化重合中に凝集を引き起こす可能性があり、注意を要する。また分子内に2個以上のチオール基を有する連鎖移動剤の使用は、分子量を小さくするため使用しないことが好ましい。【0024】乳化重合法等を行って合成したシード粒子は特に精製等する必要なしに、そのまま、後の工程に使用することができる。なお、本願発明により得られた粒径単分散粒子をシード粒子として用い、さらに大粒径の粒径単分散粒子を得ることも可能である。また、従来知られている2段階膨潤重合法のシード粒子として用い、高疎水性物質を吸収させることも可能である。この場合、従来高疎水性物質を吸収させるために、高疎水性物質乳化液とシード粒子分散液の混合物に添加していたアセトン等の膨潤助剤を添加せずとも、膨潤が進行し、粒子のそろった高疎水性物質の単分散油滴を作製することが可能である。【0025】重合性モノマーを含む水性乳化液は、重合性モノマー、重合開始剤、乳化剤及び水から構成されるが、必要に応じて粒子に細孔を形成するための細孔形成剤を添加しても良い。乳化方法はホモジナイザーなどを用いる等の一般的な方法を用いることができる。【0026】重合性モノマーとしては、水に対する溶解度が0.001重量%以上であれば特に制限はなく、また非架橋性モノマーと架橋性モノマーは任意の割合で用いることができる。重合性モノマーとしてはスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、アクリロニトリル、マレイン酸エステル類、マレイン酸アミド類、マレイン酸イミド類、塩化ビニル、酢酸ビニル、トリアリルイソシアヌレート、ブタジエン等を例示することができるが、水溶性の高いカチオン性モノマーを用いるとシード粒子が凝集することがあるため、非イオン性又はアニオン性であるモノマーを使用することが特に好ましい。【0027】細孔を形成するために必要に応じて添加する細孔形成剤としては、一般的な懸濁重合法に於いて粒子の細孔形成剤として用いられる有機物を使用することができる。例えば、トルエン、キシレン、ベンジルアルコール、フタル酸エステル類、安息香酸エステル等の芳香族化合物、酢酸エステル類、酢酸アミド類、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の高級アルコール類、エチレンジクロライド、1、3−ジクロロプロパン、クロロベンゼン類、クロロフォルム等のハロゲン化化合物を例示することができる。これらの細孔形成剤の使用量に特に制限はないが、生成した粒子の強度上の問題からモノマー1重量に対して0〜2重量部程度用いることが一般的である。【0028】重合開始剤としては、油溶性重合開始剤を使用することが好ましい。例えばアゾイソブチロバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤や過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等を例示することができる。【0029】重合性モノマー、必要に応じて添加する細孔形成剤そして重合開始剤の混合比は特に制限されず、目的に応じて任意の割合で用いることができる。【0030】乳化剤としてはノニオン系又はアニオン系の乳化剤が好ましい。例えばポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールドデシルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体、アルキルスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル燐酸塩類、アルキルカルボン酸塩類等を例示することができる。これらの乳化剤の使用量は、作製する乳化液の安定性を十分に保てれば良く、特に制限はない。そして前記水性乳化液を構成する各成分、すなわち重合性モノマーを含む有機物混合体を水中に乳化する場合の割合は、同体積以上の水を用いることが好ましい。【0031】前記したように、本願発明により得られた粒径単分散粒子をシード粒子として用い、更に大粒径の粒子を作製する場合には、水性乳化液に連鎖移動剤を添加することが好ましい。添加方法としては、水性乳化液作製時に重合性モノマーなどと混合して用いる方法や、シード粒子のモノマー膨潤に先立って連鎖移動剤のみの乳化液を作製しシード粒子に吸収させる方法を例示できる。これらに使用される連鎖移動剤は一般的な油溶性連鎖移動剤で良い。その使用量に特別の制限はなく、目標とする分子量作製に見合った必要量を添加すればよい。【0032】ポリマーシード粒子と重合性モノマー及び細孔形成剤の割合は、ポリマーシード粒子の体積に対して、10〜50000倍が好適である。【0033】また上記ポリマーシード粒子に重合性モノマーを含む水性乳化液を添加し、ポリマーシード粒子を膨潤させる工程では、油滴安定化のために必要に応じて高分子分散安定剤を用いることができる。高分子分散安定剤を添加する時期は、ポリマーシード粒子分散液に高分子分散安定剤を添加し、その後重合性モノマーを含む水性乳化液を添加してもよいし、ポリマーシード粒子分散液に重合性モノマーを含む水性乳化液を添加した後に高分子分散安定剤を添加してもよい。高分子分散安定剤としては、ノニオン系及びアニオン系の高分子分散安定剤であれば特に制限はない。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、(メタ)アクリル酸塩共重合物等を例示することができる。添加する量としては、重合中に粒子の分散を保つ必要量あれば十分であり、一般的には水中の濃度で0.5重量%から4重量%あれば十分である。【0034】本願発明では、水相での乳化重合が進行することを阻止する目的で、水溶性重合禁止剤を添加することができる。例えば、亜硝酸ナトリュウム、塩化銅、ヒドロキシエチルアミン、芳香族二級アミン構造を有する化合物等を例示することができる。【0035】上記のように、ポリマーシード粒子に水性乳化液の各構成成分、すなわち重合性モノマーを含む有機混合物を吸収させた後、重合を行う。重合は定法に従い、必要に応じて窒素置換等を行いつつ、重合開始剤に適した重合温度で行えば良い。【0036】重合が終了した粒子は、例えば高分子分散安定剤を使用した場合には、これを取り除く意味で温水を用いて洗浄することが好ましい。また粒子の用途によって、シード粒子ポリマーを取り除く必要がある場合は、アセトンなどの溶媒により洗浄してこれを取り除くことが好ましい。【0037】【発明の実施の形態】以下に本願発明を更に詳細に説明するために実施例を記載するが、本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0038】実施例1300mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、シクロヘキシルメタクリレート(試薬特級)30g、エチルヘキシルチオグリコール酸エステル0.6mlを入れよく攪拌した。イオン交換水200mlを該三つ口フラスコに入れ、冷却管及び温度計を取り付けた。三つ口フラスコを窒素置換して、オイルバス温度を70度に設定し加温した。1時間後、20mlイオン交換水に過硫酸カリュウム0.6gを溶解した液を三つ口フラスコに投入した。バス温度を70度に保ったまま、20時間重合を継続した。重合終了後、200μmメッシュのふるいを用いて凝集物を取り除いた。得られたシクロヘキシル粒子の平均粒径はレーザー散乱粒度分布計(堀場社製)を用いて測定した。得られた結果は、体積平均粒径0.65μm、CV4.5%の均一粒径粒子であった。また分子量をゲルパーミテェーションクロマトグラフィー法により測定した結果、平均分子量17,000であった。また固形分濃度は11.6%であった。【0039】500mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、上記の方法で得られたシード粒子分散液を1.71g(固形分量0.2g)をはかり取り、これに8%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ224)を30g加えて室温下攪拌した。これとは別に、500mlフラスコにスチレン(試薬特級)15g、ジビニルベンゼン(試薬55%ジビニルベンゼン)10g、トルエン(試薬特級)25g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下V−65(和光純薬製))0.3gをはかり取り混合した。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリュウム(試薬)0.5gをはかり取り、イオン交換水200mlを加えた。次いで超音波ホモジナイザー(BRANSON社製)を用いて乳化した。この乳化液を上記シード粒子分散液に加え、ゆっくりと室温下攪拌した。6時間後、光学顕微鏡観察により、モノマー乳化液は完全にシード粒子に吸収され、均一油滴が生成していた。この溶液に第二塩化銅(試薬)0.3gを添加し、バス温度を70度に設定し、窒素気流下重合を行った。3時間後の重合転化率を逆相液体クロマトグラフィー法で測定したところ、スチレン95%、ジビニルベンゼン98%であった。得られた粒子を温水及びアセトンを用いて洗浄後、電子顕微鏡観察を行ったところ、数平均粒径4.0μm、CV9.8%の均一粒径粒子であり、シード粒子相分離に伴う粒子の細孔発生等は観察されなかった。この粒子の電子顕微鏡写真を図1に示す。【0040】実施例2重合性モノマーをグリシジルメタクリレート37.5g及びエチレングリコールジメタクリレート12.5gに変更し、細孔形成剤は使用せず、かつ第二塩化銅は添加せずに重合を行った以外は実施例1と同様に合成をおこなった。得られた粒子は数平均粒径4.2μm、CV11.2%の均一粒径あり、シード粒子相分離による細孔発生などは観察されなかった。この粒子の電子顕微鏡写真を図2に示す。【0041】実施例3300mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、n−ヘキシルメタクリレート(試薬特級)30g、エチルヘキシルチオグリコール酸エステル0.6mlを入れよく攪拌した。イオン交換水200mlを該三つ口フラスコに入れ、冷却管及び温度計を取り付けた。三つ口フラスコを窒素置換して、オイルバス温度を70度に設定し加温した。1時間後、20mlイオン交換水に過硫酸カリュウム0.6gを溶解した液を三つ口フラスコに投入した。バス温度を70度に保ったまま、20時間重合を継続した。重合終了後、200μmメッシュのふるいを用いて凝集物を取り除いた。得られたn−ヘキシルメタクリレート粒子の平均粒径はレーザー散乱粒度分布計(堀場社製)を用いて測定した。得られた結果は、体積平均粒径1.0μm、CV4.6%の均一粒径粒子であった。また分子量をゲルパーミテェーションクロマトグラフィー法により測定した結果、平均分子量39,000であった。また固形分濃度は5.9%であった。【0042】上記の方法で得られたシード粒子分散液1.69g(固形分0.1g)とした以外は実施例1と同様に合成を行った。得られた粒子は数平均粒径8.1μm、CV5.6%の均一粒径あり、シード粒子相分離による細孔発生などは観察されなかった。この粒子の電子顕微鏡写真を図3に示す。【0043】実施例4300mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、2−エチルヘキシルメタクリレート(試薬特級)30g、エチルヘキシルチオグリコール酸エステル0.6mlを入れよく攪拌した。イオン交換水200mlを該三つ口フラスコに入れ、冷却管及び温度計を取り付けた。三つ口フラスコを窒素置換して、オイルバス温度を70度に設定し加温した。1時間後、20mlイオン交換水に過硫酸カリュウム0.6gを溶解した液を三つ口フラスコに投入した。バス温度を70度に保ったまま、20時間重合を継続した。重合終了後、200μmメッシュのふるいを用いて凝集物を取り除いた。得られた2−エチルヘキシルメタクリレート粒子の平均粒径はレーザー散乱粒度分布計(堀場社製)を用いて測定した。得られた結果は、体積平均粒径0.95μm、CV5.6%の均一粒径粒子であった。また分子量をゲルパーミテェーションクロマトグラフィー法により測定した結果、平均分子量27,000であった。また固形分濃度は4.4%であった。【0044】上記の方法で得られたシード粒子分散液2.27g(固形分0.1g)とした以外は実施例1と同様に合成を行った。得られた粒子は数平均粒径7.3μm、CV6.7%の均一粒径あり、シード粒子相分離による細孔発生などは観察されなかった。【0045】実施例5300mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、ベンジルメタクリレート(試薬特級)30g、エチルヘキシルチオグリコール酸エステル1.2mlを入れよく攪拌した。イオン交換水200mlを該三つ口フラスコに入れ、冷却管及び温度計を取り付けた。三つ口フラスコを窒素置換して、オイルバス温度を70度に設定し加温した。1時間後、20mlイオン交換水に過硫酸カリュウム0.6gを溶解した液を三つ口フラスコに投入した。バス温度を70度に保ったまま、20時間重合を継続した。重合終了後、200μmメッシュのふるいを用いて凝集物を取り除いた。得られたベンジルメタクリレート粒子の平均粒径はレーザー散乱粒度分布計(堀場社製)を用いて測定した。得られた結果は、体積平均粒径0.8μm、CV5.0%の均一粒径粒子であった。また分子量をゲルパーミテェーションクロマトグラフィー法により測定した結果、平均分子量13,000であった。また固形分濃度は11.8%であった。【0046】上記の方法で得られたシード粒子分散液3.39g(固形分0.4g)とし、重合モノマーをスチレン30g及びジビニルベンゼン20gとし、細孔形成剤を使用せず、それ以外は実施例1と同様に合成を行った。得られた粒子は数平均粒径4.0μm、CV7.6%の均一粒径粒子であり、シード粒子相分離に伴う粒子の細孔発生等は観察されなかった。【0047】実施例61000mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、実施例5で得られたシード粒子分散液を0.13g(固形分量0.015g)をはかり取り、これに4%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ224)を150g加えて室温下攪拌した。これとは別に、500mlフラスコに重合性モノマーとして、グリシジルメタクリレート(試薬特級)33.0g、エチレングリコールジメタクリレート(試薬)27.0g及び細孔形成剤としてシクロヘキサノール(試薬特級)90.0g及び2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下V−65(和光純薬製))0.6gをはかり取り混合した。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリュウム(試薬)0.7gをはかり取り、イオン交換水150mlを加えた。次いで超音波ホモジナイザー(BRANSON社製)を用いて乳化した。この乳化液を上記シード粒子分散液に加え、ゆっくりと室温下三日間攪拌した。光学顕微鏡観察により、モノマー乳化液は完全にシード粒子に吸収され、均一油滴が生成していた。バス温度を70度に設定し、窒素気流下重合を行った。得られた粒子を温水及びアセトンを用いて洗浄後、電子顕微鏡観察を行ったところ、数平均粒径17μm、CV4.9%の均一粒径粒子であり、シード粒子相分離に伴う粒子の細孔発生等は観察されなかった。この粒子の電子顕微鏡写真を図6に示す。【0048】実施例7実施例4で作製されたシード粒子分散液2.72g(固形分0.32g)とし、重合性モノマーをグリシジルメタクリレート40g、エチレングリコールジメタクリレート18g及び細孔形成剤として1,2−エチレンジクロライド110gとし、また膨潤時間を一週間と変更した以外は、実施例6と同様に合成を行った。得られた粒子は数平均粒径6.3μm、CV9.7%の均一粒径粒子であった。【0049】実施例8300mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、実施例5で得られたシード粒子分散液を0.51g(固形分量0.06g)をはかり取り、これに4%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ224)を10g加えて室温下攪拌した。これとは別に、100mlフラスコにチオグリコール酸エチルヘキシル2.3ml及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリュウム(試薬)0.1gをはかり取り、イオン交換水10mlを加えた。次いで超音波ホモジナイザー(BRANSON社製)を用いて乳化した。この乳化液を上記シード粒子分散液に加え、ゆっくりと室温下一週間攪拌した。光学顕微鏡観察により、連鎖移動剤乳化液は完全にシード粒子に吸収されていた。新たに、300mlフラスコにベンジルメタクリレート50g及びV−65 0.6g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリュウム0.3gをはかり取りイオン交換水50mlを加えた。次いで超音波ホモジナイザー(BRANSON社製)を用いて乳化した。この乳化液を上記シード粒子分散液に加え、ゆっくりと室温下16時間攪拌した。光学顕微鏡観察により、モノマー乳化液は完全にシード粒子に吸収されていた。【0050】バス温度を70度に設定し、窒素気流下重合を行った。得られた粒子分散液をシードシード粒子分散液として固形分量0.28gとした以外は、実施例6と同様に合成を行った。得られた粒子を光学顕微鏡観察したところ、数平均粒径40μm、CV7.9%の均一粒径粒子であった。この粒子の光学顕微鏡写真を図7に示す。【0051】比較例1300mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、スチレン(試薬特級)30g、エチルヘキシルチオグリコール酸エステル0.6mlを入れよく攪拌した。イオン交換水200mlを該三つ口フラスコに入れ、冷却管及び温度計を取り付けた。三つ口フラスコを窒素置換して、オイルバス温度を70度に設定し加温した。 1時間後、20mlイオン交換水に過硫酸カリュウム0.6gを溶解した液を三つ口フラスコに投入した。バス温度を70度に保ったまま、20時間重合を継続した。重合終了後、200μmメッシュのふるいを用いて凝集物を取り除いた。得られたポリスチレン粒子の平均粒径は体積平均粒径1.1μm、CV4.9%の均一粒径粒子であった。また分子量は平均分子量48,000であった。また固形分濃度は15.0%であった。。【0052】500mlの三つ口フラスコをオイルバスに取り付け、上記の方法で得られたシード粒子分散液を11.1g(固形分量1.67g)を用いた以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られた粒子を温水及びアセトンを用いて洗浄後、電子顕微鏡観察を行ったところ、数平均粒径3.2μm、CV7.8%の均一粒径粒子であったが、シード粒子由来の細孔を生じた粒子であった。この粒子の電子顕微鏡写真を図4に示す。【0053】比較例2比較例1で作製したシード粒子分散液3.3g(固形分濃度0.5g)を用いて実施例1と同様に合成を行った。得られた粒子を温水及びアセトンを用いて洗浄後、電子顕微鏡観察を行ったところ、目的粒子以外の大粒径粒子や、微粒子分が多数存在したものであった。【0054】比較例3比較例1で作製されたシード粒子分散液6.6g(固形分濃度1.0g)とした以外は実施例2と同様に合成を行った。得られた粒子を温水及びアセトンを用いて洗浄後、電子顕微鏡観察を行ったところ、数平均粒径3.2μmであったが、油滴合一による大粒径粒子が大量に存在し且つ、シード粒子由来の細孔を生じた非円形粒子であった。この粒子の電子顕微鏡写真を図5に示す。【0055】【発明の効果】これまで説明してきたように、本願発明によれば、粒径が1μm〜1000μm程度の範囲にある粒径が単分散である粒子を従来技術に比較して非常に簡便に製造することができる。また、粒子径の揃った単分散粒子を液体クロマトグラフィー用充填剤として液体クロマトグラフィー用カラムに充填し、液体クロマトグラフィー分析に用いることにより、測定圧力の減少、測定試料のピーク形状の改善、そして分離性能の向上等、種々の効果を達成することができる。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、実施例1で作製した粒子の粒子構造を示すための電子顕微鏡写真である。【図2】図2は、実施例2で作製した粒子の粒子構造を示すための電子顕微鏡写真である。【図3】図3は、実施例3で作製した粒子の粒子構造を示すための電子顕微鏡写真である。【図4】図4は、比較例1で作製した粒子の粒子構造を示すための電子顕微鏡写真である。【図5】図2は、比較例3で作製した粒子の粒子構造を示すための電子顕微鏡写真である。【図6】図6は、実施例6で作製した粒子の粒子構造を示すための電子顕微鏡写真である。図中のスケール1メモリは2.5μmに相当する。【図7】図7は、実施例8で作製した粒子の粒子構造を示すための電子顕微鏡写真である。図中のスケール1メモリは5μmに相当する。 炭素数6以上の直鎖アルキル基、炭素数6以上の脂肪族環状アルキル基、ベンジル基を少なくとも一種類以上含むポリ(メタ)アクリル酸エステルからなる粒径単分散なポリマーシード粒子に、架橋性モノマーを含む水性乳化液を添加して膨潤させた後、重合して得られる粒径単分散粒子であって、ソープフリー乳化重合によって得られる、分子量が重量平均分子量で50,000以下のポリマーシード粒子を用いて得られる粒子径単分散粒子。 ソープフリー乳化重合において連鎖移動剤を用いて製造されたポリマーシード粒子を用いて得られる請求項1記載の粒径単分散粒子。 炭素数8以下のエステル部を有するチオグリコール酸エステルである連鎖移動剤を用いて得られる請求項2記載の粒径単分散粒子。 水に対する溶解性が0.001重量%以上の架橋性モノマーを用いて得られる請求項1記載の粒径単分散粒子。 炭素数6以上の直鎖アルキル基、炭素数6以上の脂肪族環状アルキル基、ベンジル基を少なくとも一種類以上含むポリ(メタ)アクリル酸エステルからなる粒径単分散なポリマーシード粒子に、架橋性モノマーを含む水性乳化液を添加して膨潤させた後、重合させる粒径単分散粒子の製造法であって、ソープフリー乳化重合によって得られる、分子量が重量平均分子量で50,000以下のポリマーシード粒子を用いて得られる粒子径単分散粒子の製造方法。 ソープフリー乳化重合において連鎖移動剤を用いて製造されたポリマーシード粒子を用いる請求項5記載の粒径単分散粒子の製造法。 炭素数8以下のエステル部を有するチオグリコール酸エステルである連鎖移動剤を用いる請求項6記載の粒径単分散粒子の製造法。 水に対する溶解性が0.001重量%以上の架橋性モノマーを用いる請求項5記載の粒径単分散粒子の製造法。 請求項1乃至4記載の粒径単分散粒子を充填してなる液体クロマトグラフィー用カラム。 請求項1乃至4記載の粒径単分散粒子を充填してなる液体クロマトグラフィー用カラムを用いる液体クロマトグラフィー分析法。


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