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タイトル:特許公報(B2)_生ワクチンの細胞性免疫活性を不活化ワクチンにも起こさせる方法、及びこれより得られる混合ワクチン
出願番号:2000114421
年次:2010
IPC分類:A61K 39/295,A61K 39/05,A61K 39/08,A61K 39/10,A61K 39/12,A61K 39/145,A61K 39/21,A61K 39/25,A61K 39/29,A61K 35/76,C12N 7/04,C12R 1/92


特許情報キャッシュ

白木 公康 高橋 理明 JP 4540795 特許公報(B2) 20100702 2000114421 20000310 生ワクチンの細胞性免疫活性を不活化ワクチンにも起こさせる方法、及びこれより得られる混合ワクチン 一般財団法人阪大微生物病研究会 000173692 渡邉 潤三 100116838 納 壽一郎 391021905 白木 公康 高橋 理明 20100908 A61K 39/295 20060101AFI20100819BHJP A61K 39/05 20060101ALI20100819BHJP A61K 39/08 20060101ALI20100819BHJP A61K 39/10 20060101ALI20100819BHJP A61K 39/12 20060101ALI20100819BHJP A61K 39/145 20060101ALI20100819BHJP A61K 39/21 20060101ALI20100819BHJP A61K 39/25 20060101ALI20100819BHJP A61K 39/29 20060101ALI20100819BHJP A61K 35/76 20060101ALI20100819BHJP C12N 7/04 20060101ALN20100819BHJP C12R 1/92 20060101ALN20100819BHJP JPA61K39/295A61K39/05A61K39/08A61K39/10A61K39/12A61K39/145A61K39/21A61K39/25A61K39/29A61K35/76C12N7/04C12N7/04C12R1:92 A61K 39/00-295 A61K 35/00-76 C12N 7/00-04 C12R 1/00-92 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平03−242141(JP,A) 特開平10−234362(JP,A) 特開昭60−126229(JP,A) 国際公開第98/017785(WO,A1) 特開平02−223531(JP,A) 国際公開第02/000249(WO,A1) 特開平05−085943(JP,A) 特開平06−234659(JP,A) 徳山幸夫, 他.,トリレオウイルス感染症生及び不活化ワクチンの開発,日本獣医学会学術集会講演要旨集,日本,1998年 3月,Vol.125th,p.180 中村観善,マウスにおけるインフルエンザ弱毒ウイルスの干渉,徳島大学医療技術短期大学部紀要,日本,1995年12月,Vol.5,p.153-158 江藤正信, 他.,日本脳炎ブタパルボウイルス感染混合ワクチン − ブタおよびモルモットにおける免疫試験,医学と生物学,日本,1977年,Vol.94, No.1,p.43-46 4 2001253833 20010918 10 20061225 横井 宏理 【0001】【産業上の利用分野】この発明は、生ワクチンの細胞性免疫活性を不活化ワクチンにも起こさせる方法、及びかかる方法に得られる不活化ワクチンと生ワクチンとの混合ワクチンに関するものである。【0002】【従来の技術】混合ワクチンに係る技術は約半世紀前から実用に供されており、次の3つに大別される:(1)異種抗原の複雑混合により調製された混合ワクチン、例えば、百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPT不活化ワクチン)、麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(MMR生ワクチン)等;(2)同種内の異なる血清型抗原の単純混合により調製された多価ワクチン、例えば、経口生ポリオワクチン(I型、II型及びIII型弱毒生ポリオウイルスからなる3価ワクチン)、インフルエンザHAワクチン(通常、A型2株とB型1株に由来の不活化インフルエンザウイルスHA抗原からなる3価ワクチン)等;及び(3)異種ワクチンの同時接種、例えば、2者(上記MMR及び弱毒生水痘ワクチン)、3者[上記DPT、ヘモフィリス・インフルエンザb型(Hib)不活化ワクチン及びA型肝炎不活化ワクチン]等の同時接種(“New Generation Vacines”、第619−629頁,M.M.Levineら編,MarcelDekker,lnc.,1997年発行)。ところで、弱毒生ワクチンは体液性免疫と細胞性免疫の両者を誘導する。しかし、不活化ワクチンでは、体液性免疫は誘導されるが通常、細胞性免疫が誘導されないという欠陥が知られている.かかる欠陥を解消するため、不活化ワクチン用の抗原をコードする遺伝子を生ワクチン用の弱毒ウイルスのゲノムに挿入連係することにより構築した弱毒組換えウイルスが作出されている。例えば、水痘ウイルス(VZV)とB型肝炎表面(HBs)両抗原を同時に産生する組換え弱毒VZV(日本特許第3,026,029号、米国特許第5,653,976号、欧州特許第0,510,996号等)、VZV抗原とヒト免疫不全ウイルス(HIV)のV3抗原領域を同時に産生する組換え弱毒VZV(日本国特許願H11−104337号)等が既に作出されている。これ等の組換え弱毒VZVはいずれも、2種混合生ワクチンの有効成分としての機能と効果、即ち、相異なる2種の抗原に対する体液性免疫と細胞性免疫の両者を誘導することが前臨床試験により確認されている。しかし、ヒトに対する安全性は未確認の状態にある。【0003】【発明が解決しようとする課題】この発明は、前述した細胞性免疫を誘導しないという不活化ワクチンの欠陥を解消すると共に、上述の組換え弱毒VZVの安全性に係る臨床試験を実施する上での困難な条件の回避を目的として、新たに着想され完成された。更に、予防接種においては、被接種者は地理的、時間的、及び経済的に制約を受け、一方、接種する側は、それを実施するための要員や場所等の確保・配備を要する。従って、予防接種の簡素化、省力化及びコスト低減は公衆保健上、重要課題であり、この発明は、かかる課題の解決にも寄与する。【0004】【課題を解決するための手段】この発明は、不活化ワクチンと生ワクチンとを混合ワクチンとして接種すると、生ワクチンと同様に不活化ワクチンが体液性免疫と細胞性免疫の両者を誘導するという驚くべき発見に基づいており、その構成は、生ワクチンにより生じる感染型の細胞性免疫、あるいは生ワクチンが誘導する細胞性免疫と同等の活性を不活化ワクチンにも起こさせることにある。換言すれば、不活化ワクチンの有効成分と生ワクチンのそれとを免疫応答時に共存させ、不活化ワクチンに細胞性免疫を誘導させるための一種のアジュバントとして生ワクチンを用いることにある。この発明は、次の(1)〜(4)の提供により、前述の諸課題を解決するものである:(1)不活化ワクチン及び生ワクチンの各有効成分をそれぞれ細胞性免疫を誘導する量、混合することにより、生ワクチンの有効成分の感染により生じる細胞性免疫、あるいは生ワクチンの細胞性免疫活性を、不活化ワクチンにも起こさせる方法;(2)不活化ワクチン及び生ワクチンの各有効成分をそれぞれ細胞性免疫を誘導する量、含有する混合ワクチン;(3)不活化ワクチンの有効成分が、B型肝炎、非A非B型肝炎、HIV、ロタ、日本脳炎及びインフルエンザの各ウイルス並びに破傷風、百日せき及びジフテリアの各細菌に由来の不活化された抗原群から選ばれる少なくとも1種の抗原である上記(2)に記載の混合ワクチン;及び(4)生ワクチンの有効成分が弱毒水痘ウイルスである上記(2)又は(3)の混合ワクチン。【0005】【発明の実施の形態】[ワクチン混合における留意点]不活化ワクチンと生ワクチンとの混合に際しては、(a)混合による効果、即ち、不活化ワクチンによる細胞性免疫の誘導を確認することが先決ではある。しかし、更に次の(b)〜(e)を確認し、これ等に該当しない場合には、その混合を避けることが重要である。即ち、かかる混合又は共存により、(b)生ワクチンの有効成分、例えば、弱毒ウイルスや弱毒細菌等の増殖が阻害されない;(c)混合後の各有効成分の免疫原性が混合前に比べ低下しない;(d)混合ワクチンの接種に起因する副反応とその頻度が混合前に比べ増強されず、また、多様化しない;及び(e)混合後の各有効成分の保存性が混合前に比べ損なわれない。【0006】[不活化ワクチンとその有効成分]人体用、獣疫用、魚類用等の不活化ワクチンを用いることができる。尚、かかる不活化ワクチンの有効成分として、既知の抗原、あるいは将来開発される種々の抗原を随意に用いることができる。例えば、A型肝炎、B型肝炎、ポリオ、ロタ、インフルエンザ、日本脳炎、デング、狂犬病等のウイルスに由来の抗原、また、非A非B型肝炎ウイルス(NANBV)、HIV Hib、肺炎球菌、髄膜炎菌、ジフテリア菌、破傷風菌、百日せき菌等に由来の抗原、更に詳しくは、例えば、HBs、日本脳炎ウイルスの全粒子、ロタウイルスの全粒子、VP4、VP7等、NANBVのE、C、M等、HIVのGag、Pol、Env、Nef、及びその他アクセサリーに係るタンパク、肺炎球菌の多糖体、DPT、破傷風毒素B−C断片等々の抗原を上げることができる。尚、この発明では不活化ワクチンの有効成分として、例えば、ホルマリン、エチレンオキサイド、β−プロピオラクトン、グルタルジアルデヒド等の不活化剤ないしは変性剤、紫外線等を用いる常法によりその増殖性や毒性を失活あるいは無毒化することにより調製された抗原だけではなく、その立体構造を固定化し安定化することにより調製された抗原をも用いる。但し、かかる抗原の免疫原性及び抗原性を保持するには、条件の選択設定、例えば、用いる不活化剤あるいは変性剤の濃度、温度、pH等、更に、不活化緩和剤、例えば、グリシン、アルギニン等の併用等の工夫を要する。【0007】[生ワクチンとその有効成分]人体用、獣疫用、魚類用等の生ワクチンを用いることができる。尚、かかる生ワクチンの有効成分として、既知の弱毒ウイルス、弱毒細菌等、あるいは将来、生ワクチンの有効成分として開発される種々の弱毒病原体を随意に用いることができる。例えば、水痘、ワクチニア、マレック病、麻しん、風しん、ポリオ、インフルエンザ等の弱毒ウイルス、また、結核菌、炭疽菌等の弱毒細菌、更に詳しくは、例えば、弱毒VZV岡株、弱毒麻しんウイルス田辺株、弱毒風しんウイルス松浦株、マレック病ウイルスC2株、HVTの01株、カルメット・ゲラン菌、無莢膜弱毒炭疽菌34F2株等を上げることができる。【0008】[不活化ワクチンと生ワクチンとの混合ワクチンの調製]ワクチンの調製及び製造、並びにその安全性と有効性に関する品質の確保と管理は、「生物学的製剤基準」[薬事法(昭和35年法律第145号)第42条第1項の規定に基づく厚生省告示(平成5年10月1日)第217号]の規程に準拠するか、あるいはWHO(世界保健機関)の勧告“Requirementsfor Biological Substances and othersets of recommendations”(WHO Thechnical Reports Series,No.889,pp.105−111,1999)に従って行う。例えば、不活化ワクチンの調製では、「沈降B型肝炎ワクチン」、「インフルエンザHAワクチン」、「日本脳炎ワクチン」、「沈降精製百日せきワクチン」等に係る上記基準に準拠して製造かつ各種試験を行い、不活化ワクチンとして適格性を確保する。また、生ワクチンの調製では、「乾燥弱毒生水痘ワクチン」、「乾燥細胞培養痘そうワクチン」、「乾燥弱毒生麻しんワクチン」等に係る前記基準に準拠して製造かつ各種試験を行い、生ワクチンとしての適格性を確保する。更に、混合ワクチンの調製では、例えば「百日せきジフテリア破傷風」、「乾燥弱毒生風しんおたふくかぜ麻しんワクチン」等に係る上記基準に準拠して製造かつ各種試験を行い、混合ワクチンとしての適格性を確保することができる。混合ワクチン1ml中に含有される最終抗原量は、不活化ワクチンの抗原では0.01μg〜10mg、望ましく0.1μg〜100μg、生ワクチンでは、例えば、弱毒ウイルスの場合、102〜107感染粒子、好ましくは103〜105感染粒子である。また、混合ワクチンの調製に関し、例えば、1ドーズ(0.5ml)中の最終抗原量が不活化抗原20μg及び弱毒ウイルス104PFU(プラーク形成単位)からなる混合ワクチンは、ワクチン原液を希釈し、不活化ワクチン(抗原量80μg/ml)及び生ワクチン(弱毒ウイルス4×104PFU/ml)を含有する各ワクチンをそれぞれ予め個別に調製の後、これ等の両ワクチンを等量混合することにより調製することができる。混合するワクチンの種類に関し、この発明では、少なくとも1種の不活化ワクチンと、少なくとも1種の生ワクチンとを組合せて混合することが可能であり、少なくとも2種混合ワクチン、更に、3種以上のワクチンを組合せて混合した多種混合ワクチンを得ることができる。尚、混合ワクチンの安定化剤としては常用の物質、例えば、アルギニン、グルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸類、ラクトース、サッカロース等の糖類、血漿アルブミン、ビタミン類等を使用できる。混合ワクチン製剤は、例えば、0.5〜10mlのバイアル又はアンプルに分注の後、密栓又は熔封し、液状又は乾燥の形態で提供される。乾燥製剤は、分注後に凍結乾燥しその容器内部に窒素ガスを充填することにより製造できる。かかるワクチン製剤は通常、1〜5℃で保存し、使用に際しては、液状製剤は開封後そのまま、乾燥製剤は開封の後、添付されている溶解液で溶解し、被接種者当たり通常、0.5〜1.0mlずつ皮下又は筋肉内に接種して用いる。【0009】[混合ワクチンの免疫原性の検定]体液性免疫の検定は、ワクチン接種後の血中抗体価を、免疫学や血清診断で常用されている方法、例えば、中和反応、蛍光抗体反応、ELISA(enzyme−linked immunosorbent assay),PHA(passive hemagglutination)等により行うことができる。免疫の消長は、接種前の抗体価を対照として経時的に比較することにより確認できる。例えば、混合ワクチンをサル、ウサギ、モルモット、マウス等の実験小動物の皮下に接種の後、これ等の免疫動物を飼育管理する。かかる飼育の間、ウイルス接種後、週又は月単位で一定期間毎に、例えば、モルモットの場合には、その大腿部静脈から約3mlの部分採血を行い、その血中抗体価を測定する。抗体価の測定には、例えば、免疫に使用した抗原を付着させた赤血球を用いるPHA、免疫に使用した抗原と酵素で標識した抗IgG抗体とを用いるELISA,既知の一定量の感染ウイルスとその抗血清との間で抗原抗体反応させた後、その感染ウイルス量を50%中和減少させる抗血清の最高希釈倍数を、CPE法やプラークアッセイにより測定する中和試験等を採用できる。これに対し、細胞性免疫の検定は次の様にして行うことができる。【0010】[混合ワクチン及び不活化抗原による細胞性免疫の誘導の検定]細胞性免疫は、ワクチン接種により誘導される感作Tリンパ球(T細胞)の機能活性を指標として用いる測定方法により検定できる。尚、細胞性免疫に関与する細胞としては、ヘルパーT細胞1(Th1)、ヘルパーT細胞2(Th2)、細胞障害性Tリンパ球(CTL:cytotoxic T lymphocyte、又はTc)、記憶担当T細胞(Tm)、サプレッサーT細胞(Ts)等が知られており、これ等の測定方法の具体例は、“Current Protocols in Immunology”[vol.1,pp.3.0.1〜4.8.17,J.E.Coliganら編,1991年〜現在(加除式),JohnWiley & Sons(米国)発行]において詳述されている。例えば、Th1の存在は遅延型過敏症(DTH:delayed−type hypersensitisity)反応あるいは遅延型皮膚過敏反応を用いる方法(“同前”,pp.4.5.1〜4.5.5)により検出できる。これには、例えば、マウスやモルモット等での皮内反応を用いる。皮内反応は、予め抗原を接種することにより感作した動物において、その抗原に対するTh1が増加(細胞性免疫が成立)している場合には、同じ抗原を皮内接種すると、接種局所に発赤あるいは硬結が生じるので、その大きさや程度を経時的に測定することにより行う。また、CTL活性は、例えば、51Crで標識した標的細胞(感染細胞)を用いるクロム放出法、[3H]チミジン標識の標的細胞を用いるDNA断片法、CTLの存在頻度を知るための限界希釈法等(“同前”,pp.3.11.1〜3.11.20)により測定できる。以下、この発明の具体例につき、参考例及び実施例を上げて説明する。但し、この発明は、これ等の参考例及び実施例だけに限定されるものではない。【0011】【参考例】参考例1[PBS(リン酸塩緩衝食塩水)の調製]NaClを8.0g、KClを0.2g、Na2HPO4・12H2Oを2.9g、KH2PO4を0.2g、CaCl2を0.1g及びMgCl2・6H2Oを0.1g、それぞれ蒸留水に溶解して1,000mlとし、PBSを調製した。また、2価をイオン、CaCl2及びMgCl2・6H2Oを共に含有しないPBS(−)を別途に調製した。【0012】参考例2[不活化ワクチン及び生ワクチンの調製]不活化B型肝炎ワクチン、及び弱毒生水痘ワクチンの調製には、前述した「生物学的製剤基準」に係る「沈降B型肝炎ワクチン」の諸規定、及び「乾燥弱毒生水痘ワクチン」の諸規定にそれぞれ準拠し製造かつ品質管理された各ワクチンの原液を用いた。ワクチン中の抗原量の調整は、これ等の原液をPBS(−)で希釈することにより行った。【0013】参考例3[血中抗体価の測定]免疫モルモットの血清につき、PHA試験[国際試薬(株)製]及びELISAにより行った。尚、ELISAでは、96穴ELISA用プレートを用い、酵素標識抗体として、ペルオキシダーゼで標識の抗モルモットIgGヒツジIgG抗体[Cappel(全分子);ICN社(米国)製]を用いた。抗原には、HBs及びVZV糖タンパク(gE:gl)両抗原を用いた。HBs抗原としてB型肝炎キャリアー血清に由来の糖鎖付加HBs抗原、及び組換え体酵母が産生の無糖鎖HBs抗原を用いた。また、gE:gl抗原は、弱毒生水痘ワクチンの有効成分である岡株ウイルスの感染細胞の破砕物から、抗gEモノクローナル抗体を用いるアフィニティーカラムにより精製し調製した(Archieves of Virology,142,2295−2301,1997;及びVaccine,16,1263−1269,1998)。【0014】参考例4[遅延型過敏症(DHT)反応による細胞性免疫の検定]ワクチン接種の後、飼育管理したモルモットでの皮内反応により行った。脱毛剤で背毛を除去したモルモットの背部3か所/抗原(2抗原ではモルモット当たり合計6か所)に実施例1で後述する抗原を0.1mlずつ皮内接種し、その接種後、8、24及び48時間にそれぞれ、生じた楕円発赤を計測し、各面積を式[面積(mm2)=π×長径(mm)×短径(mm)/4]により算出の後、その平均値を求めた。【0015】【実施例】実施例1[ワクチンの調製]不活化B型肝炎ワクチン(H):参考例2に記載の通り、該ワクチン原液をPBS(−)で希釈し、20μg/0.1mlの不活化HBs抗原を含有する不活化ワクチンを調製した。弱毒生水痘ワクチン(V):参考例2に記載の通り、該ワクチン原液をPBS(−)で希釈し、104PFU(プラーク形成単位)/0.5mlの弱毒VZV岡株ウイルス含有する生ワクチン調製した。混合ワクチン(H−V):上記のHとV両原液をPBS(−)で希釈及び混合し、0.5ml中に20μgの不活化HBs抗原及び104PFUの弱毒VZV岡株ウイルスの両者を含有する混合ワクチンを調製した。[比較対照の調製]比較対照(M):参考例2に記載の「乾燥弱毒生水痘ワクチン」の諸規定に準拠し、VZVの培養宿主であるMRC−5の未感染細胞培養物から、弱毒岡株ウイルスを含有しないmockワクチン(疑似対照)の原液を調製の後、これを上記Vの原液と同様にPBS(−)で希釈し比較対照(M)を得た。比較対照(加熱抗原):上記Vの原液の一部を取り、60℃で30分間、加熱し、比較対照[K:加熱V(104PFU相当の加熱VZVを含有)]として用いた。[免疫スケジュール]免疫には、1群につき5匹、合計7群35匹のモルモット(ハートレイ種、4週齢,体重230〜270g)を用い、各モルモットの背部の皮下に検体を接種した。尚、接種量/モルモットは、Hが20μg、また、Vが104PFUであり、免疫スケジュールは、次の通りであった:上記の通り合計7群への免疫を完了後、3週目に後述する皮内反応を行った。また、皮内反応終了後に各モルモットから採血した血清について各々血中抗体価を測定した。[血中抗体価の測定]上記G1〜7、合計35匹の各モルモットの血清につき、酵母由来のHBs及びVZV糖タンパク(gE:gl)両抗原に対する血中抗体価をELISAによりそれぞれ測定した。先ず、96穴ELISA用プレートの各ウエルを1μgのHBs抗原又は0.5μgのgE:gl抗原でコーティングした。次いで、2%(W/V)スキムミルクを含有のPBSで100倍希釈した血清、及びペルオキシダーゼ標識の抗モルモットIgGヒツジIgG抗体[Cappel(全分子)]を順次、反応させた後、HAT−EIA[デンカ生研(株)製]で発色させた後、96穴プレート用の吸光光度計で波長490nmの吸光度を測定した。その結果を表1に示す。比較対照群(G5〜G7)に比べ、特に混合ワクチン接種群(G1)においては、HBs及びVZV両抗原に対する血中抗体の著しい上昇が見られた。また、G1〜G4とG5との比較により、上記の両抗原の混合又は同時接種が、不活化抗原HBsによる体液性免疫を強めることが観察された。更に、これ等の両抗原に対する各血中抗体価の差(G1>>G5〜G7)はいずれも、t検定による有意水準p<0.0001において、有意であった。【0016】【表1】[モルモット皮内反応]各免疫モルモットの背部(3か所/抗原;合計6か所/2抗原/モルモット)に、0.1mlのHBs抗原(2μg)及びVZV糖タンパク(gE:gl)抗原(1μg)をそれぞれ皮内接種し、その8、24及び48時間後に、DTHにより生じた各楕円発赤の長径と短径をそれぞれ計測し、各発赤の面積を参考例4に記載の式により算出すると共に、各免疫群の平均値を求め、これ等の免疫群間の有意差をt検定により推計した。その結果を表2に示す。尚、表中の数値は、皮内接種後24時間における各免疫群の発赤面積(mm2):[π×長径(mm)×短径(mm)/4の平均値±標準誤差]をそれぞれ示す。【0017】【表2】混合ワクチン接種群(G1)とG2〜G7各群との間の差、即ち、G1>>G2〜G7はいずれも、有意水準p=0.0001又は<0.0001において有意であり、HBs抗原(不活化抗原)により細胞性免疫が誘導されると判定された。尚、VZVに関し、G1とG5〜7との間ではいずれもp<0.0001で有意差があり、混合ワクチン接種群(G1)と同時接種群(G3)との間においてはp=0.4703により有意差なしと判定された。これ等の結果は、不活化ワクチンと生ワクチンとの混合あるいは混在により、不活化ワクチン抗原に対する細胞性免疫が生ワクチンによるそれに伴い誘導されることを示している。【0018】【発明の効果】この発明により提供される、生ワクチンの細胞性免疫活性を不活化ワクチンもに起こさせる方法、及びかかる方法により得られる混合ワクチンは、生ワクチンにより生じる感染型の細胞性免疫、あるいは生ワクチンが誘導する細胞性免疫と同等の活性を不活化ワクチンが生じるという画期的な効果をもたらす共に、予防接種の簡素化、省力化及びコスト低減に寄与する。 弱毒生水痘ワクチンの有効成分となる弱毒水痘ウイルスを、水痘以外の疾患用の不活化ワクチンの有効成分となる不活化抗原と混合して混合物を得、そして得られた混合物を有効成分として、102〜107PFU/mlの該弱毒水痘ウイルス及び0.01μg/ml〜10mg/mlの該不活化抗原を含有するワクチンを調製することを特徴とする、不活化抗原に対する細胞性免疫を誘導する混合ワクチンの製造方法。 102〜107PFU/mlの、弱毒生水痘ワクチンの有効成分となる弱毒水痘ウイルス、及び0.01μg/ml〜10mg/mlの、水痘以外の疾患用の不活化ワクチンの有効成分となる不活化抗原を含有することを特徴とする混合ワクチン。 不活化ワクチンの有効成分となる不活化抗原が、B型肝炎ウイルス、非A非B型肝炎ウイルス、HIVウイルス、ロタウイルス、日本脳炎ウイルス、インフルエンザウイルス、破傷風菌、百日せき菌及びジフテリア菌に由来の不活化抗原からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2に記載の混合ワクチン。 不活化ワクチンの有効成分となる不活化抗原が、B型肝炎ウイルスに由来の不活化抗原であることを特徴とする、請求項3に記載の混合ワクチン。


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