生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_被覆電線の摩耗試験方法および摩耗試験装置
出願番号:2000104543
年次:2004
IPC分類:7,G01N3/56


特許情報キャッシュ

中村 哲也 川本 基喜 JP 3580220 特許公報(B2) 20040730 2000104543 20000406 被覆電線の摩耗試験方法および摩耗試験装置 住友電装株式会社 000183406 吉田 茂明 100089233 吉竹 英俊 100088672 有田 貴弘 100088845 中村 哲也 川本 基喜 20041020 7 G01N3/56 JP G01N3/56 F 7 G01N 3/00- 3/62 G01N 19/00-19/10 JICSTファイル(JOIS) 特開平6−223630(JP,A) 特開平11−7834(JP,A) 実開昭63−168841(JP,U) 4 2001289763 20011019 8 20020718 ▲高▼見 重雄 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、特に、自動車用電線の耐摩耗性を評価する際に、自動車搭載時の環境を限りなく再現するのに適した被覆電線の摩耗試験方法および摩耗試験装置に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、この種の電線被覆の摩耗試験方法として、ISO−6722やJASO−D618、またはJIS−C3406に規定されているブレード往復法やテープ摩耗試験法がある。【0003】これらの摩耗試験方法では、被覆電線に金属製のブレードやテープ状の研磨紙(サンドペーパー)を一定荷重で押し当てて、内部の導体が露出した時のブレードの往復回数、研磨紙の長さを測定する方法である。【0004】ここで、測定結果について規格での取り決めはなく、往復回数や研磨紙の長さは被覆電線を使用する当事者間で決められる。【0005】【発明が解決しようとする課題】従来の摩耗試験方法では、上述の通り、金属製のブレードや研磨紙を用いて試験していたが、自動車に搭載された被覆電線は、実際には金属製のブレードや研磨紙と接触する箇所は皆無である。【0006】一般的に、電線被覆材等の高分子材料は、温度や接触圧力、摩擦係数、摩擦速度、相手材の種類等によって摩耗性が変化する。従って、従来の摩耗試験方法での測定結果は、自動車搭載時の摩耗を再現しているとは言い難い。【0007】例えば、実際の自動車においては、電線束の保護を目的として、電線束の周囲を、ポリプロピレン(PP)製のコルゲートチューブ(蛇腹状チューブ)や、PVC製チューブ(円筒状チューブ)等からなる保護チューブで覆った状態で使用されることが多い。この場合、被覆電線は、自動車を構成する部品(ボディやエンジン、シート等のあらゆる部品)と直接接触することはほとんどなく、ましてや金属製のブレード状のものや研磨紙状の相手と接触することは皆無である。【0008】一方、これらコルゲートチューブやPVC製チューブ等の保護チューブは被覆電線の保護が目的とされているにもかかわらず、相互に接触、摺動する部位では多かれ少なかれ必ず摩耗が発生するため、保護チューブとの接触といえども摩耗性を評価することは必要である。【0009】そこで、本発明の課題は、自動車搭載時の環境を限りなく再現して摩耗試験を行うことの可能な被覆電線の摩耗試験方法および摩耗試験装置を提供することを目的とする。【0010】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための方法の技術的手段は、保護チューブ内に遊挿状態で収められて使用される被覆電線の表面の摩耗を試験する被覆電線の摩耗試験方法であって、前記遊挿状態とされた前記被覆電線および前記保護チューブの一端部をそれぞれ固定保持すると共に、保護チューブの自由端とされた他端部より突出する被覆電線の他端部を振動付与機構に固定保持し、この状態で振動付与機構により被覆電線の他端部に振動を付与して摩耗を試験する点にある。【0011】また、前記保護チューブが蛇腹状チューブであってもよく、円筒状チューブであってもよい。【0012】さらに、上記被覆電線の摩耗試験方法に使用される摩耗試験装置の技術的手段は、前記遊挿状態とされた前記被覆電線および前記保護チューブの一端部をそれぞれ固定保持する双方固定部と、前記保護チューブの自由端とされた他端部より突出する前記被覆電線の他端部を固定保持する電線固定部と、前記電線固定部に振動を付与する振動付与機構と、を備えてなる点にある。【0013】【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態にかかる被覆電線の摩耗試験方法を図面に基づいて説明する。【0014】図1および図2は、被覆電線1を可撓性を有する保護チューブの一例としてのコルゲートチューブ2(蛇腹状チューブ)で覆って保護した際のコルゲートチューブ2との相互干渉による被覆電線1の摩耗性の評価を行うための摩耗試験方法に使用される摩耗試験装置を示しており、被覆電線1とコルゲートチューブ2の一端部をそれぞれ着脱自在に固定保持するチャック部3を下面に備えた板状の双方固定部4と、被覆電線1の他端部を着脱自在に固定保持するチャック部5を上面に備えた板状の電線固定部6とを備える。【0015】そして、電線固定部6は、振動付与機構としての振動発生装置8における水平方向の一軸または二軸に振動制御可能な振動部である振動板に着脱自在に固定もしくは一体に構成されている。【0016】また、双方固定部4は、装置全体を覆って囲む恒温槽10の天板部に着脱自在に固定もしくは一体に構成されている。【0017】この被覆電線1の摩耗試験方法は、二輪や四輪自動車等に使用されるワイヤーハーネスが対象で、被覆電線1を外傷から保護する目的でコルゲートチューブ2を装着した部分において適用される。そして、本実施形態においては、特に、地面に対して垂直に取り付けられたワイヤーハーネスにおいて、被覆電線1とコルゲートチューブ2内周面との相互干渉による摩耗の状態を再現するためのものである。【0018】そして、被覆電線1の摩耗試験を行う場合には、摩耗試験環境として、恒温槽10内の温度を調整することにより幅広い温度域での測定も可能で、自動車等に実際に使用される温度域になるよう調整し、また、エンジンルームを再現したい場合には、砂や水等を適宜吹き付ければよい。これらは、被覆電線1が実際に取り付けられる環境に応じて任意に設定すればよい。【0019】また、摩耗試験の際の被覆電線1の本数や、コルゲートチューブ2の内径等は、実車搭載時と同等の条件に設定する。さらに、被覆電線1に作用する張力に関しても、実車搭載時の環境を再現することが好ましい。【0020】そして、コルゲートチューブ2内に被覆電線1を遊挿状態で収め、被覆電線1およびコルゲートチューブ2の一端部である上端部をそれぞれ双方固定部4のチャック部3に着脱自在に取付固定する。ここに、被覆電線1およびコルゲートチューブ2は吊下げ状態で支持される。【0021】この状態で、コルゲートチューブ2の自由端とされた他端部である下端より突出する被覆電線1の下端部を電線固定部6のチャック部5に着脱自在に取付固定する。【0022】そして、双方固定部4や電線固定部6を図2に示されるように天板部や振動板に固定する。この被覆電線1およびコルゲートチューブ2の取付状態で、振動発生装置8を駆動して、被覆電線1下端が取付固定されている電線固定部6を水平方向の一軸もしくは二軸に振動させる。この場合の振動発生装置8による振動も実車での振動周波数に近づけるほど好ましい。そして、所定時間振動させた後、被覆電線1の摩耗量を、重量や寸法、表面粗さ計等で測定すればよい。【0023】ここに、従来の摩耗試験方法では再現できないコルゲートチューブ2と被覆電線1の摩耗状況が再現でき、振動発生装置8による加振により、実車搭載状況に応じた被覆電線1の表面とコルゲートチューブ2の内面との相互干渉による摩耗が測定できる。【0024】<実施例1>外径2.2mm、長さ100mmのPVC製の1本の被覆電線1を、長さ60mm、内径7mmのPP製のコルゲートチューブ2内に遊挿状態で収め、被覆電線1およびコルゲートチューブ2の上端部を双方固定部4のチャック部3に取付固定すると共に、下方に突出する被覆電線1の下端部を電線固定部6のチャック部5に取付固定する。さらに、恒温槽10の天板部に双方固定部4を固定すると共に、電線固定部6を振動発生装置8の振動板に固定する。【0025】そして、室温状態で、周波数10Hz、振幅10mmで振動発生装置8により振動板を一軸方向に振動させた。【0026】500時間振動させたところ、被覆電線1はコルゲートチューブ2内において下端に向かうほどその摩耗量は大きく、その下端で最大であり、その下端では外径2.2mmの被覆電線1が外径2.0mmまで摩耗していた。また、従来の被覆電線1表面に見られた押出時の凹凸もなくなっており、滑らかな表面になっていた。【0027】<実施例2>外径2.2mm、長さ100mmのPVC製の1本の被覆電線1を、長さ60mm、内径7mmのPP製のコルゲートチューブ2内に遊挿状態で収め、被覆電線1およびコルゲートチューブ2の上端部を双方固定部4のチャック部3に取付固定すると共に、下方に突出する被覆電線1の下端部を電線固定部6のチャック部5に取付固定する。さらに、恒温槽10の天板部に双方固定部4を固定すると共に、電線固定部6を振動発生装置8の振動板に固定する。【0028】エンジンルームを再現するために、アクリル板等で砂が飛散しないように囲い、このアクリル板で囲まれた空間内に中にJISで規定されている砂を100gほど振りかけた。【0029】そして、恒温槽10内の温度が40℃で、周波数10Hz、振幅10mmで振動発生装置8により振動板を二軸方向に振動させた。【0030】500時間振動させたところ、被覆電線1はコルゲートチューブ2内において下端に向かうほどその摩耗量は大きく、その下端で最大であり、その下端では外径2.2mmの被覆電線1が外径1.9mmまで摩耗していた。また、被覆電線1の表面には砂が付着しており、自動車搭載時に近い状態で試験することができた。【0031】以上のように、従来の試験法で再現できなかった自動車搭載時に近似した環境下での摩耗試験を行うことができた。【0032】図3および図4は、第2の実施形態にかかる被覆電線の摩耗試験方法に使用される摩耗試験装置を示しており、上記第1の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。【0033】即ち、本実施形態にあっては、保護チューブの一例としての前記コルゲートチューブ2に換えて、円筒形状のPVC製チューブ12(円筒状チューブ)とされ、被覆電線1をPVC製チューブ12で覆って保護した際のPVC製チューブ12との相互干渉による被覆電線1の摩耗性の評価を行うものである。【0034】そして、被覆電線1の摩耗試験を行う場合は、上記第1の実施形態と同様にして行われる。【0035】本実施形態においても、地面に対して垂直に取り付けられたワイヤーハーネスにおいて、被覆電線1とPVC製チューブ122内周面との相互干渉による摩耗の状態を再現するためのものである。【0036】そして、被覆電線1の摩耗試験を行う場合には、前述同様、摩耗試験環境として、恒温槽10内の温度を調整することにより幅広い温度域での測定も可能で、自動車等に実際に使用される温度域になるよう調整し、また、エンジンルームを再現したい場合には、砂や水等を適宜吹き付ければよい。これらは、被覆電線1が実際に取り付けられる環境に応じて任意に設定すればよい。【0037】また、摩耗試験の際の被覆電線1の本数や、PVC製チューブ12の内径等は、実車搭載時と同等の条件に設定する。さらに、被覆電線1に作用する張力に関しても、実車搭載時の環境を再現することが好ましい。【0038】さらに、振動発生装置8による振動も実車での振動周波数に近づけるほど好ましい。そして、所定時間振動させた後、被覆電線1の摩耗量を、重量や寸法、表面粗さ計等で測定すればよい。【0039】ここに、従来の摩耗試験方法では再現できないPVC製チューブ12と被覆電線1の摩耗状況が再現でき、振動発生装置8による加振により、実車搭載状況に応じた被覆電線1の表面とPVC製チューブ12の内面との相互干渉による摩耗が測定できる。【0040】<実施例3>外径2.2mm、長さ100mmのPVC製の1本の被覆電線1を、長さ60mm、内径7mmのPVC製チューブ12内に遊挿状態で収め、被覆電線1およびPVC製チューブ12の上端部を双方固定部4のチャック部3に取付固定すると共に、下方に突出する被覆電線1の下端部を電線固定部6のチャック部5に取付固定する。さらに、恒温槽10の天板部に双方固定部4を固定すると共に、電線固定部6を振動発生装置8の振動板に固定する。【0041】そして、室温状態で、周波数10Hz、振幅10mmで振動発生装置8により振動板を一軸方向に振動させた。【0042】500時間振動させたところ、被覆電線1はPVC製チューブ12内において下端に向かうほどその摩耗量は大きく、その下端で最大であり、その下端では外径2.2mmの被覆電線1が外径2.1mmまで摩耗していた。また、従来の被覆電線1表面に見られた押出時の凹凸もなくなっており、滑らかな表面になっていた。【0043】<実施例4>外径2.2mm、長さ100mmのPVC製の1本の被覆電線1を、長さ60mm、内径7mmのPVC製チューブ12内に遊挿状態で収め、被覆電線1およびPVC製チューブ12の上端部を双方固定部4のチャック部3に取付固定すると共に、下方に突出する被覆電線1の下端部を電線固定部6のチャック部5に取付固定する。さらに、恒温槽10の天板部に双方固定部4を固定すると共に、電線固定部6を振動発生装置8の振動板に固定する。【0044】エンジンルームを再現するために、アクリル板等で砂が飛散しないように囲い、このアクリル板で囲まれた空間内に中にJISで規定されている砂を100gほど振りかけた。【0045】そして、恒温槽10内の温度が40℃で、周波数10Hz、振幅10mmで振動発生装置8により振動板を二軸方向に振動させた。【0046】500時間振動させたところ、被覆電線1はPVC製チューブ12内において下端に向かうほどその摩耗量は大きく、その下端で最大であり、その下端では外径2.2mmの被覆電線1が外径2.0mmまで摩耗していた。また、被覆電線1の表面には砂が付着して自動車搭載時に近い状態で試験することができた。【0047】以上のように、従来の試験法で再現できなかった自動車搭載時に近似した環境下での摩耗試験を行うことができた。【0048】なお、上記各実施形態において、保護チューブとしてコルゲートチューブ2やPVC製チューブ12を例示しているが、その他の可撓性を合成樹脂等からなる保護チューブであってもよい。【0049】また、上記各実施形態において、被覆電線1やそれを保護するコルゲートチューブ2やPVC製チューブ12が垂直方向に取り付けられた配置状態を例示しているが、この取付方向に限らず、水平方向や傾斜方向等の任意の方向であってもよく、実車搭載状況に合わせた取付方向で摩耗試験を行えばよく、より実際の使用環境に応じた条件を再現でき、有益な摩耗試験を行うことができる。そして、この場合の振動付与機構による振動方向も前述のような水平方向に限らず、実際の振動方向に応じて振動を付与する方式とすればよい。【0050】【発明の効果】以上のように、本発明の被覆電線の摩耗試験方法によれば、遊挿状態とされた被覆電線および保護チューブの一端部をそれぞれ固定保持すると共に、保護チューブの自由端とされた他端部より突出する被覆電線の他端部を振動付与機構に固定保持し、この状態で振動付与機構により被覆電線の他端部に振動を付与して摩耗を試験するものであり、金属ブレードや研磨紙で摩耗試験を行っていた従来方式に比べて、実際の使用環境に応じた条件を再現でき、有益な摩耗試験を行うことができるという利点がある。【0051】また、本発明の摩耗試験装置によれば、上記のような摩耗試験を有効に実行することができるという利点がある。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の第1の実施形態にかかる要部斜視図である。【図2】同全体説明図である。【図3】本発明の第2の実施形態にかかる要部斜視図である。【図4】同全体説明図である。【符号の説明】1 被覆電線2 コルゲートチューブ3 チャック部4 双方固定部5 チャック部6 電線固定部8 振動発生装置10 恒温槽12 PVC製チューブ 保護チューブ内に遊挿状態で収められて使用される被覆電線の表面の摩耗を試験する被覆電線の摩耗試験方法であって、前記遊挿状態とされた前記被覆電線および前記保護チューブの一端部をそれぞれ固定保持すると共に、保護チューブの自由端とされた他端部より突出する被覆電線の他端部を振動付与機構に固定保持し、この状態で振動付与機構により被覆電線の他端部に振動を付与して摩耗を試験することを特徴とする被覆電線の摩耗試験方法。 前記保護チューブが蛇腹状チューブであることを特徴とする請求項1記載の被覆電線の摩耗試験方法。 前記保護チューブが円筒状チューブであることを特徴とする請求項1記載の被覆電線の摩耗試験方法。 前記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の被覆電線の摩耗試験方法に使用される摩耗試験装置であって、前記遊挿状態とされた前記被覆電線および前記保護チューブの一端部をそれぞれ固定保持する双方固定部と、前記保護チューブの自由端とされた他端部より突出する前記被覆電線の他端部を固定保持する電線固定部と、前記電線固定部に振動を付与する振動付与機構と、を備えてなる摩耗試験装置。


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