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タイトル:特許公報(B2)_ベロ毒素遺伝子検出のためのオリゴヌクレオチド及びそれを用いたベロ毒素遺伝子の検出方法
出願番号:2000089567
年次:2010
IPC分類:C12N 15/09,C12Q 1/68,C12R 1/19


特許情報キャッシュ

荒川 秀俊 渡辺 一之 前田 昌子 JP 4534294 特許公報(B2) 20100625 2000089567 20000328 ベロ毒素遺伝子検出のためのオリゴヌクレオチド及びそれを用いたベロ毒素遺伝子の検出方法 日立化成工業株式会社 000004455 長谷川 芳樹 100088155 清水 義憲 100128381 木元 克輔 100126653 荒川 秀俊 渡辺 一之 前田 昌子 JP 2000061857 20000302 20100901 C12N 15/09 20060101AFI20100812BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20100812BHJP C12R 1/19 20060101ALN20100812BHJP JPC12N15/00 AC12Q1/68 AC12Q1/68 AC12R1:19 C12N 15/00 - 15/90 C12Q 1/68 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 第120回日本薬学会年会要旨集(Mar.5,2000)p.179(30-【PF】15-27) 第120回日本薬学会年会要旨集(Mar.5,2000)p.180(30-【PF】15-34) 3 2001314186 20011113 8 20070131 特許法第30条第1項適用 平成12年3月5日 社団法人日本薬学会発行の「日本薬学会第120年会要旨集1」に発表 上條 肇 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はベロ毒素遺伝子検出のためのオリゴヌクレオチド、これを用いて増幅されたヌクレオチド断片及びベロ毒素遺伝子の検出方法に関する。【0002】【従来の技術】ベロ毒素産生性大腸菌は、出血性大腸炎に代表される食中毒症、溶血性尿毒症症候群等の重篤な疾患の原因菌であることが認められ、近年、これらの菌の迅速な検出が臨床検査分野で重要視されている。【0003】従来、ベロ毒素産生性大腸菌の検査は、患者の便、感染源として疑われる食品、飲料水等から採取された検体を直接培養後、一次確認培養試験、二次確認培養試験、抗血清による凝集反応試験といった煩雑な操作により行われてきた。【0004】【発明が解決しようとする課題】ところが、培養にはそれぞれ18〜24時間を要するため、この検査は3〜4日もの長時間がかかるという問題点があった。また、血清型と起病性が必ずしも一致しないため、血清型の同定のみで起因菌の判定を行うことは困難であった。【0005】本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、迅速でかつ選択的にベロ毒素産生性大腸菌を同定検出するための方法を提供しようとするものである。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ベロ毒素産生性大腸菌の産生するベロ毒素1型(以下、VT1)の遺伝子(以下、VT1遺伝子)又はベロ毒素2型(以下、VT2)の遺伝子(以下、VT2遺伝子)に選択的に結合するオリゴヌクレオチドを作製し、これらのオリゴヌクレオチドをプライマーとして増幅したヌクレオチド断片を検出することにより、ベロ毒素産生性大腸菌の病原因子であるVT1及びVT2のどちらか一方のみ又は両方を産生する菌を迅速でかつ選択的に検出できることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0007】 すなわち、本発明は、(1)下記の配列番号1〜4に示される塩基配列のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、 配列番号1: AACAGCGGTTACATTGTCTGG ……(a) 配列番号2: AACCGTAACATCGCTCTTGC ……(b) 配列番号3: ACCAGAGATGCATCCAGAGC ……(c) 配列番号4: GGCGTCATCGTATACACAGG ……(d)(2)次の(I)及び(III)から選ばれる少なくとも1組のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して増幅させたヌクレオチド断片、(I)上記配列番号1に示される塩基配列(a)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び上記配列番号2に示される塩基配列(b)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(III)上記配列番号3に示される塩基配列(c)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び上記配列番号4に示される塩基配列(d)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び(3)上記(2)に記載のヌクレオチド断片を用いるベロ毒素遺伝子の検出方法に関する。【0008】【発明の実施の形態】本発明におけるオリゴヌクレオチドに用いられる下記の配列番号1〜4に示される塩基配列(a)〜(d)は、VT1又はVT2を選択的に検出するためのプライマーを得るために、まず、VT1又はVT2の遺伝子配列の中から増幅領域として、サイズが100〜200bp、両増幅領域のサイズ差が20〜100bpであることを目安とした特徴的配列を選び出し、その上流域と下流域に位置する約20個の塩基の配列を選択したものである。VT1遺伝子の特徴的配列としては、375〜548番目に位置する、配列番号1に示される塩基配列(a)で始まり、配列番号2で示される塩基配列(b)に相補的な配列で終わる塩基配列を対の片方とする174bpの遺伝子配列を選択した。VT2遺伝子の特徴的配列としては、517〜644番目に位置する、配列番号3に示される塩基配列(c)で始まり、配列番号4で示される塩基配列(d)に相補的な配列で終わる塩基配列を対の片方とする128bpの遺伝子配列を選択した。配列番号1: AACAGCGGTTACATTGTCTGG ……(a)配列番号2: AACCGTAACATCGCTCTTGC ……(b)配列番号3: ACCAGAGATGCATCCAGAGC ……(c)配列番号4: GGCGTCATCGTATACACAGG ……(d)【0009】本発明のオリゴヌクレオチドは、プライマーとして用いるために、選択性、検出感度及び再現性の観点から、15塩基以上の長さであることが必要で、18塩基以上が好ましく、上記配列番号1〜4の塩基配列(a)〜(d)又はその塩基配列(a)〜(d)に相補的配列をそのままの長さで用いることがより好ましい。プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドは、化学合成等により合成したものでも天然の遺伝子から抽出したものでもどちらでも良い。また、プライマーは、検出用に蛍光標識等の標識がしてあっても良いし、標識していなくても良い。【0010】 本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いることにより、ベロ毒素遺伝子に選択的なヌクレオチド断片を増幅できる。 すなわち、次の(I)に示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用することにより、VT1遺伝子に特異的なヌクレオチド断片を増幅でき、次の(III)に示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用することにより、VT2遺伝子に特異的なヌクレオチド断片を増幅できる。また、(I)及び(III)に示されるオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用することにより、VT1遺伝子に特異的なヌクレオチド断片とVT2遺伝子に特異的なヌクレオチド断片を同時に増幅できる。(I)上記配列番号1に示される塩基配列(a)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び上記配列番号2に示される塩基配列(b)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(III)上記配列番号3に示される塩基配列(c)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び上記配列番号4に示される塩基配列(d)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド【0011】 プライマーの組合せを例示すると、VT1遺伝子に特異的なヌクレオチド断片を増幅するためのプライマーとしては次の(1)、VT2遺伝子に特異的なヌクレオチド断片を増幅するためのプライマーとしては次の(4)、VT1遺伝子に特異的なヌクレオチド断片とVT2遺伝子に特異的なヌクレオチド断片を同時に増幅するためのプライマーとしては次の(7)等の組合せが挙げられる。(1)(a)及び(b)(4)(c)及び(d)(7)(a)、(b)、(c)及び(d)【0012】本発明のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる遺伝子の増幅方法は、PCR法等の常法により行うことができる。【0013】PCR法等により増幅されたヌクレオチド断片を含む反応液をアガロースゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、マイクロチップキャピラリ電気泳動等の電気泳動法などで、増幅されたヌクレオチド断片の存在、及びその長さを確認することができる。この確認に供する試料は、VT1遺伝子に特異的なヌクレオチド断片、及びVT2遺伝子に特異的なヌクレオチド断片のいずれか片方を増幅した反応液、両者の混合液、VT1遺伝子に特異的なヌクレオチド断片、及びVT2遺伝子に特異的なヌクレオチド断片を同時に増幅した反応液のいずれであってもかまわない。その結果から検体中にプライマーに特異的な配列を持ったヌクレオチド断片、すなわちVT1遺伝子及び/又はVT2遺伝子が存在しているか否かが判定できる。この判定は、検体中のVT1及びVT2のどちらか一方のみ又は両方を産生するベロ毒素産生性大腸菌の有無を示すものとなる。【0014】【実施例】次に、実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。ベロ毒素産生性大腸菌株DNA試料の調製ベロ毒素産生性大腸菌O−157の臨床分離株2種(VT−1及びVT−2産生株、VT−2産生株)、及びベロ毒素を産生しない大腸菌の臨床分離株4種(E.hemanii、O−126、O−143、O−153)の合計6種の大腸菌の臨床分離株を、それぞれLBブロス液体培地を用いて37℃で18時間培養した後、108個の菌を含む量の培養液を取り12000rpmで5分間遠心分離してペレットに菌体を回収した。菌体からのDNA抽出は、核酸抽出剤SepaGeneセパジーン(三光純薬株式会社製商品名)を用いて、次のとおり行った。上記ペレットに試薬I(トリス塩酸緩衝液)100μLを加えて混和し、10分間放置後、試薬II(チオシアン酸グアニジン)100μLを加えて緩やかに混和した後、さらに試薬III(クロロホルムを含む変性蛋白吸着剤)700μL試薬IV(酢酸ナトリウム溶液)400μLを加えて乳濁化するまで10秒間激しく振とうして、12000rpm、5分間遠心分離して、核酸を含む上清を分取し、試薬V(核酸沈殿促進剤の酢酸緩衝液)を上清の1/10量加え、さらにその総量と同量のイソプロピルアルコールを加えて転倒混和し、−20℃で1時間静置した後、12000rpm、15分間遠心分離して、上清を除去し、70%エタノールを1mL加えて軽く転倒混和した後、12000rpm、15分間遠心分離後、上清を除去し、得られた核酸を乾燥し、TE緩衝液(10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)、0.1mMETDA)に溶解し、260nmの吸光度により50μg/mLのDNA試料を調製した。【0015】PCR法によるDNA断片の増幅上記で得られた大腸菌の臨床分離株6種のDNA試料50ngをそれぞれ(上記抽出DNA溶液1μL)、1.5mM塩化マグネシウム、50mM塩化カリウム、0.001%(重量/容量)、2%(重量/容量)DMSO、0.2mMdNTPs、1.25unitTaqDNAポリメラーゼ(Perkin−Eler社製)を含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)に溶解し、さらに上記配列番号1に示される塩基配列(a)のオリゴヌクレオチド、上記配列番号2に示される塩基配列(b)のオリゴヌクレオチド、上記配列番号3に示される塩基配列(c)のオリゴヌクレオチド、及び上記配列番号4に示される塩基配列(d)のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて各々0.2μM溶解した反応液50μLをPCR用サーマルサイクラー(アステック社製 PROGRAM TEMP CONTROL SYSTEM PC-700)で94℃で1分、56℃で1分、72℃で1分の反応を20回くり返し、PCR反応を行った。【0016】アガロースゲル電気泳動法によるDNA断片の検出上記により得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動法により確認した。PCR産物4μLにローディング緩衝液(宝酒造株式会社製商品名10×Loading Buffer)1μLを加え、0.5%(重量/容量)エチジウムブロマイドを含む4%(重量/容量)アガロースゲルにて50Vで90分間電気泳動した。その結果、ベロ毒素産生性大腸菌O−157の臨床分離株2種のDNAからのPCR産物のみ増幅DNA断片のバンドが確認された。VT−1及びVT−2産生株の増幅DNA断片では128bpと174bpの位置に2本のバンドが確認され、VT−2産生株の増幅DNA断片では128bpの位置にバンドが確認された。(図1)また、PCR反応に供する大腸菌の臨床分離株のDNA試料の量を50ngから減らして検出限界を求めた結果、最少DNA試料2.5ngからのPCR産物でアガロースゲル電気泳動による増幅DNA断片のバンドが確認できた。【0017】 これらの結果から、上記配列番号1に示される塩基配列(a)のオリゴヌクレオチド、及び、上記配列番号2に示される塩基配列(b)のオリゴヌクレオチド、をプライマーとして使用することにより、VT1遺伝子に特異的な174bpのDNA断片を増幅させることができ、上記配列番号3に示される塩基配列(c)のオリゴヌクレオチド、及び、上記配列番号4に示される塩基配列(d)のオリゴヌクレオチド、をプライマーとして使用することにより、VT2遺伝子に特異的な128bpのDNA断片を増幅させることができ、検体中のベロ毒素遺伝子の有無が容易に検出できることがわかった。増幅DNA断片のバンドは、ベロ毒素産生性大腸菌O−157の臨床分離株2種(VT−1及びVT−2産生株、VT−2産生株)でのみ検出され、ベロ毒素を産生しない大腸菌の臨床分離株4種(E.hemanii、O−126、O−143、O−153)ではいずれも検出されなかったので、本発明のオリゴヌクレオチドは特異性に優れていることがわかった。【0018】【発明の効果】本発明によれば、検体の培養といった煩雑な操作をすることなく、迅速でかつ選択的に検体中のVT1遺伝子及び/又はVT2遺伝子を検出でき、検体中のベロ毒素産生性大腸菌の有無を確認できるので、その工業的価値は大である。【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】実施例のアガロースゲル電気泳動結果 下記の配列番号1〜4に示される塩基配列のうち、少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。 配列番号1: AACAGCGGTTACATTGTCTGG ……(a) 配列番号2: AACCGTAACATCGCTCTTGC ……(b) 配列番号3: ACCAGAGATGCATCCAGAGC ……(c) 配列番号4: GGCGTCATCGTATACACAGG ……(d) 次の(I)及び(III)から選ばれる少なくとも1組のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して増幅させたヌクレオチド断片。(I)上記配列番号1に示される塩基配列(a)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び上記配列番号2に示される塩基配列(b)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(III)上記配列番号3に示される塩基配列(c)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び上記配列番号4に示される塩基配列(d)のうちの少なくとも連続した15塩基よりなる塩基配列からなるオリゴヌクレオチド 請求項2記載のヌクレオチド断片を用いるベロ毒素遺伝子の検出方法。


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