生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_引張試験機のチャック
出願番号:2000066173
年次:2009
IPC分類:G01N 3/04


特許情報キャッシュ

佐々木 治義 衣笠 和男 JP 4293405 特許公報(B2) 20090417 2000066173 20000310 引張試験機のチャック 高周波熱錬株式会社 390029089 八島 正人 100104835 桜井 隆夫 100090055 佐々木 治義 衣笠 和男 20090708 G01N 3/04 20060101AFI20090618BHJP JPG01N3/04 A G01N 3/04 実開平05−081690(JP,U) 実開平06−051859(JP,U) 特開平09−264826(JP,A) 実開平06−074953(JP,U) 実開昭63−029746(JP,U) 特開平04−301538(JP,A) 5 2001255249 20010921 6 20070305 尾崎 淳史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、引張試験において、試験片を把持する引張試験機のチャックに関するものであり、とくにPC鋼棒やばね鋼線などの高強度の材料の引張試験に適するものである。【0002】【従来の技術】一般に図3に示すような引張試験機を用いて材料の機械的強度が測定される。この試験機は、図3のAで示す部分に設けられた図1に示すようなチャック10により試験片Pを掴んで引張ることにより引張り強度を測定するものである。【0003】従来のチャックの試験片をグリップする部分は、図4に示すように、グリップホルダ14にセレーション15aを刻んだグリップピース14を保持して、押え板16により固定したグリップが使用されている。従来はこのグリップピース、グリップホルダは炭素鋼材が使用された。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の市販のチャックでPC鋼棒のようにHRC45以上の硬さの高強度鋼棒の引張試験を行うと、図4に示すグリップピース15のセレーション15aの摩耗が著しく、1〜2回の試験で使用できなくなった。したがって、このような高強度の鋼棒を、直接試験片をグリップする方法で引張試験を行うことは事実上困難であった。【0005】また、グリップピースを保持するグリップホルダも試験に伴って、図5に示すようなクラックが生じて4か月程度の使用で破損した。さらに図4のグリップピース15の押え板16´も、衝撃によりグリップピース15との接触面が変形するので、グリップホルダと同程度の寿命であった。【0006】そこで本発明は、上記欠点を改善し、高強度鋼棒でも直接グリップして引張試験できる、寿命の長い引張試験機のチャックを提供することを目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明の引張試験機のチャックは、試験片を掴むグリップピースを保持するグリップホルダに該グリップピースの引張り方向の運動を係止する押え板が設けられた引張試験機のチャックにおいて、前記グリップピースの引張方向の端部と前記グリップホルダの押え板との間に緩衝材を置いてグリップピースを保持することを特徴とするものである。【0008】この緩衝材の装入方法として、前記グリップホルダに試験片の引張方向に延長して前記グリップピースを挿入する溝が設けられ、該溝に挿入された前記グリップピースの引張方向の端部が前記グリップホルダの引張方向の端部に装着される押え板により係止され、該グリップピースと押え板との間に緩衝材が装入されることが望ましい。【0009】即ち、このようにすることにより、引張試験において試験片が破断した際に押え板にかかる衝撃が緩衝材により吸収されるので、押え板とグリップピースとの接触面の変形が減少されて、グリップホルダ、押え板の寿命を延長することができる。【0010】また、前記試験片を掴むグリップピースはHRC60以上の硬さに熱処理した高速度鋼からなることが、グリップピースのセレーションの摩耗を減少して寿命を延ばすために望ましく、さらに前記グリップピースを保持するグリップホルダは、HRC45〜58に熱処理した合金鋼からなることがグリップホルダの耐衝撃性を増し、割れを減少するために望ましい。この硬さはより望ましくはHRC50〜53である。【0011】前記グリップホルダのグリップピースを挿入する溝の縁の少なくも片側の幅がグリップピースの厚さの2.5倍以上あることが割れを減少するために望ましい。より望ましくは3倍以上である。図5に示すような割れを防止するためには、グリップピースを挿入する溝の縁の幅tを大きくすることが望ましいが、機械の構造上この幅を大きくすることができない場合が多い。本発明は、この縁の幅がグリップピースの厚さの2.5倍以上あれば、割れを大幅に減少できることを見出だした。この縁の溝の拡大は両側が望ましいが、片側でも効果を上げることができる。【0012】【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の1実施形態について具体的に説明する。図1は本発明実施例のチャックの断面図、図2はグリップの分解図、図3は本発明実施例に使用した引張試験機の全体図、図4は従来のグリップの斜視図である。【0013】まず図3の引張試験機について簡単に説明すると、引張試験機1は2本のコラム2により支持された上サドル3と、油圧シリンダ5によりコラム2をスライドして上下動する下サドル4からなり、上下サドル3、4に設けられたチャック10に試験片Pを把持して、油圧シリンダ5により下サドルを移動して試験片Pを引張って破断させ、その破断荷重がダイヤル6に表示されるようになっている。本発明は、この試験片を把持するチャック10に関するものである。【0014】図1に詳細を示すようにチャック10は、上下サドル3、4にそれぞれ固定されるチャックフレーム11とチャックピース12と、試験片を把持するグリップ13とからなる。【0015】チャックフレーム11は上下サドル3、4に固定され、内側にテーパー面11aを有する溝が設けられたいる。この溝にグリップ13を保持するチャックピース12が挿入され、テーパー面11によりチャックピース12の外側のテーパー面12aが支持される。【0016】チャックピース12の内側面に設けられた窪みにグリップ13が保持される。グリップ13は、詳細を図2に示すように、グリップホルダ14と、グリップピース15と、押え板16と緩衝材17とからなる。【0017】グリップピース15は両側面に傾斜面15bを有する梯形断面の板状をなし、梯形の頂面側の面に60度の角度で交差させたセレーション15aが刻まれている。【0018】グリップホルダ14は引張方向に延長された行き止まりの溝14aを有する。この溝14aの側面は、グリップピース15の梯形断面の傾斜面15bと嵌合するテーパーを有し、この溝にグリップピース15が挿入されて保持される。【0019】グリップホルダ14の溝の行き止まりの反対側の端面に、緩衝材17を介して押え板16がねじ18により装着される。これにより、グリップホルダ14の溝14aに挿入されたグリップピース15は、両側面の勾配面が溝14aの側面勾配面に保持され、両端が溝14aの行き止まり部と緩衝材17を介した押え板16とにより保持されて、グリップホルダに装着される。【0020】上記構造により、図1に示すグリップピース15の間に試験片Pを挟んでチャックフレーム11を図の上方に移動すると、チャックフレーム11のテーパー面11とチャックピース12のテーパー面12aとがスライドしてグリップピース15の間が狭くなり、試験片Pを確実に把持するようになる。【0021】従来のグリップでは、押え板に本発明のように緩衝材は使用されず、グリップピースを直接押え板と接触させて装着していた。本発明は、押え板とグリップピースとの間に緩衝材をおくことにより、引張試験時の衝撃を吸収させて押え板の変形を防止して、押え板の寿命を延長するものである。【0022】(実施例)本実施例では、グリップホルダ14の寸法は幅90mm×長さ100mm×厚さ40mmとし、グリップピース15の寸法は幅50mm×長さ85mm×厚さ10mmとした。そして、グリップホルダ14はHRC40の硬さに熱処理したクロムモリブデン鋼のSCM435を使用した。また、グリップピース15は、HRC63に熱処理したSKH51を使用し、緩衝材としてはウレタンゴムを使用した。【0023】また、図2に示すグリップホルダのグリップピースを挿入する溝の縁の幅tは、従来約10mmであったが片側だけ30mmに広くした。これによりこの幅が従来グリップピースの厚さの1倍であったものを3倍にした。【0024】上記の結果、グリップピースの寿命は従来1〜2回から約1か月に伸び、従来困難であった高強度のPC鋼棒などを直接グリップして引張試験することができるようになり、テストピースの製造コストを下げ能率よく引張試験できるようになった。また、グリップホルダと押え板の寿命は従来の4か月から2年以上に延長できた。これにより大幅な作業能率の向上と原価低減が達成できた。【0025】本実施例では、グリップホルダとしてSCM435を用いたが、その他の合金鋼でもよく、また、グリップピースとしてSKH51を使用したがその他の高速度鋼やダイス鋼を使用してもよい。緩衝材としてはウレタンゴムを使用したが、その他の強度の高い合成ゴムなどの弾性のある材料も使用できる。【0026】【発明の効果】以上述べたように、本発明の引張試験機のチャックによれば、従来直接グリップして試験することが困難であった高強度のPC鋼棒などの引張試験が可能になったため、試験片の製作が簡単になり、試験作業の能率が向上した。また、グリップホルダやグリップピースなどの寿命が大幅に向上したので、原価低減が可能になった。【図面の簡単な説明】【図1】本発明実施例の引張試験機のチャックの断面図である。【図2】本発明実施例のグリップの分解斜視図である。【図3】本発明実施例に使用した引張試験機の全体図である。【図4】従来のグリップの斜視図である。【図5】従来のグリップホルダの割れの発生状況を説明する図である。【符号の説明】1 引張試験機、2 コラム、3 上サドル、4下サドル、5 油圧シリンダ、6 ダイヤル、10 グリップ、11 チャックフレーム、12 チャックピース、13 グリップ、14 グリップホルダ、15 グリップピース、16押え板、17 ウレタンゴム(緩衝材)、18 ボルト、P 試験片 試験片を掴むグリップピースを保持するグリップホルダに該グリップピースの引張り方向の運動を係止する押え板が設けられた引張試験機のチャックにおいて、前記グリップピースの引張方向の端部と前記グリップホルダの押え板との間に緩衝材を置いてグリップピースを保持することを特徴とする引張試験機のチャック。 前記グリップホルダに試験片の引張方向に延長して前記グリップピースを挿入する溝が設けられ、該溝に挿入された前記グリップピースの引張方向の端部が前記グリップホルダの引張方向の端部に装着される押え板により係止され、該グリップピースと押え板との間に緩衝材が装入されたことを特徴とする請求項1に記載の引張試験機のチャック。 前記試験片を掴むグリップピースはHRC60以上の硬さに熱処理した高速度鋼からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の引張試験機のチャック。 前記グリップピースを保持するグリップホルダは、HRC45〜58に熱処理した合金鋼からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の引張試験機のチャック。 前記グリップホルダのグリップピースを挿入する溝の縁の少なくも片側の幅がグリップピースの厚さの2.5倍以上あることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の引張試験機のチャック。


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