生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ハロゲン化合物の除害塔及び検知方法
出願番号:2000025331
年次:2009
IPC分類:G01N 31/00,G01N 31/22


特許情報キャッシュ

茨木 義浩 川中 秀治 伊奈 秀和 安藤 伸一 JP 4212746 特許公報(B2) 20081107 2000025331 20000202 ハロゲン化合物の除害塔及び検知方法 日本エア・リキード株式会社 000109428 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所 110000729 尾崎 雄三 100105717 梶崎 弘一 100104422 谷口 俊彦 100104101 茨木 義浩 川中 秀治 伊奈 秀和 安藤 伸一 20090121 G01N 31/00 20060101AFI20081225BHJP G01N 31/22 20060101ALI20081225BHJP JPG01N31/00 QG01N31/22 121BG01N31/22 121NG01N31/22 122 G01N 31/00-G01N 31/22 JSTPlus(JDreamII) 特開平10−002894(JP,A) 特開平06−242099(JP,A) 特開平03−154862(JP,A) 特開昭58−153163(JP,A) 欧州特許出願公開第00962248(EP,A1) 特開昭63−130124(JP,A) 特開昭62−019765(JP,A) 特開昭62−002140(JP,A) 4 2001215221 20010810 8 20060807 白形 由美子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、クルクミン又はブロモクレゾールグリーンを変色成分とするハロゲン化合物の検知剤、その検知剤を用いたハロゲン化合物の除害塔及び検知方法に関し、半導体製造設備等で使用されているハロゲン化合物の漏洩や、除害用の固体処理剤の破過を判断するのに有用である。【0002】【従来の技術】F2、Cl2、ClF3、HF、BrF5、SiCl4等のハロゲン化合物を含むガスは、ハロゲン原子の持つ高い反応性を利用すべく、半導体製造設備をはじめ化学工業分野において多くの用途がある。それらを使用した場合、その反応物としても多くのハロゲン化合物を生成する。これらのハロゲン化合物は高い反応性を有するものが多く、危険性および毒性の強いものが多い。そのため、これらのハロゲン化合物を含むガスをそのまま大気中に放出することができず、除害装置で無害化して大気放出するのが望ましい。【0003】このような除害装置としては、アルカリスクラバー等の湿式処理や、分解触媒、固体反応剤、吸着剤等の固体処理剤を使用する乾式処理により、ハロゲン化合物を除去又は分解するものが知られている。固体処理剤を使用する場合、触媒被毒、反応劣化、吸着飽和等による寿命(破過時間)があるため、その下流側でハロゲン化合物を検知して、固体処理剤の劣化を判断する必要がある。【0004】ハロゲン化合物を検知する方法としては、ハロゲン化合物の存在により変色する検知剤を使用する方法が簡便であり、例えばジクロロシランに対してモリブデン酸塩を変色成分とする検知剤などが知られている。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかし、半導体製造設備等で使用される広範なハロゲン化合物に対して、低濃度で効果的に変色する検知剤は、現在まで知られていなかった。なお、クルクミン又はブロモクレゾールグリーンは、ホウ素の検知やpH指示等の変色成分としてのみ知られていた。【0006】そこで、本発明の目的は、広範なハロゲン化合物に対して、低濃度で効果的に変色する検知剤、その検知剤を用いたハロゲン化合物の除害塔及び検知方法を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究したところ、変色成分としてクルクミン又はブロモクレゾールグリーンを用い、以下のハロゲン化合物の除害塔及び検知方法により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。【0008】即ち、本発明は、ハロゲン化合物を除去又は分解する固体処理剤およびハロゲン化合物の検知剤を一つの容器内部に充填した除害塔であって、該容器の下側から被処理ガスを導入する配管部と、該被処理ガスの分散機能と固体処理剤の支持機能を有する支持板と、該支持板の上部に充填された前記固体処理剤と、該固体処理剤の上層に充填された前記検知剤と、少なくとも該検知剤の充填高さ方向の全てと前記固体処理剤の一部を外部から視認可能な窓部と、前記ハロゲン化合物を除去又は分解する温度に加熱するための加熱手段と、を有し、前記検知剤の使用温度を前記固体処理剤による除害処理の昇温下の温度条件とすることを特徴とする。【0009】上記において、前記検知剤の充填高さを、被検知ガス中のハロゲン化合物の許容濃度(TLV値)を基準にして設定することが好ましい。【0010】一方、本発明の検知方法は、上記いずれかのハロゲン化合物の除害塔を用い、前記容器の下側から、被処理ガスを導入し、前記支持板によって被処理ガスを分散した状態で前記固体処理剤を流通させ、その上層の前記検知剤の変色を外部から視認して前記固体処理剤の劣化を判断するハロゲン化合物の検知方法である。【0011】また、本発明の別の検知方法は、前記検知剤の充填層の変色の速さに応じて被検知ガス中のハロゲン化合物の排出量を検知して前記固体処理剤の劣化を判断するとともに、該固体処理剤の劣化による交換時期を予め検知剤の変色の速さに対応させておくことを特徴とするハロゲン化合物の検知方法である。【0012】[作用効果]本発明の検知剤によると、実施例の結果が示すように、クルクミン又はブロモクレゾールグリーンを変色成分とするため、広範なハロゲン化合物に対して、低濃度で効果的に変色する検知剤を提供することができる。また、固体処理剤および検知剤が一つの容器内部に充填された本発明の除去塔によると、少なくとも固体処理剤の一部およびその上層に充填された検知剤の充填高さ方向の全てを外部から視認することができるのぞき窓を設けることが可能となり、こうした簡易な構成により、被処理ガスを流通させて処理を行いながら、外部から視認することによって、ハロゲン化合物を検知して固体処理剤の劣化を判断することができる。さらに、支持板に支持された固体処理剤の上層に検知剤を配置するという簡易な構成の下、容器の下部から、被処理ガスの分散機能と固体処理剤の支持機能を有する支持板を介して被処理ガスを流通させることによって、処理後のガスに含まれる広範なハロゲン化合物に対して、低濃度で効果的に検知できるため、固体処理剤の劣化を確実に判断することができる。また、ハロゲン化合物を除去又は分解する温度に加熱するための加熱手段を有するとともに、該加熱手段を固体処理剤および検知剤が充填された一つの容器の周囲又は内部などに設けることによって、一体として検知剤の使用温度を前記固体処理剤による除害処理の昇温下の温度条件とすることができる。【0013】また、検知剤の充填層の高さを、被検知ガス中のハロゲン化合物の許容濃度(TLV値)を基準にして設定することによって、排出ガス中のハロゲン化合物の濃度をTLV値より低濃度に維持することができる。さらに、前記変色成分を粒状の活性アルミナに担持させてなる場合、変色成分の有効接触面積が増加し、また色調の変化が視認し易くなるため、検知感度が上昇する。更に、被検知ガスの流動性も良好になる。【0014】一方、本発明の検知方法によると、上記の如き検知剤を外部から視認可能な位置に配置した状態で、ハロゲン化合物を含有し得る被検知ガスと接触させるため、広範なハロゲン化合物に対して、低濃度で効果的に検知を行うことができる。また、固体処理剤の上層に上記の如き検知剤を配置するという簡易な方法により、処理後のガスに含まれる広範なハロゲン化合物に対して、低濃度で効果的に検知できるため、固体処理剤の劣化を確実に判断することができる。特に、被処理ガスを分散した状態で前記固体処理剤の充填層を流通させることによって、固体処理剤の劣化をより確実に判断をすることができる。【0015】また、検知剤の充填層の変色の速さに応じて、ハロゲン化合物の排出量を検知して、固体処理剤の劣化を判断するとともに、該固体処理剤の劣化による交換時期を予め検知剤の変色の速さに対応させておくことによって、適切な時期に固体処理剤を交換することができる。【0016】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、ハロゲン化合物の検知剤、ハロゲン化合物の検知方法の順で説明する。【0017】(ハロゲン化合物の検知剤)本発明において検知可能なハロゲン化合物としては、クルクミンを変色成分とする場合、SiH2Cl2、HF、F2、HBr、Cl2、ClF3、TiCl4、BCl3、HIなどが挙げられる。また、ブロモクレゾールグリーンを変色成分とする場合、SiH2Cl2、HF、Cl2、BCl3、SiHCl3、BF3、SiF4、SiCl4、WF6などが挙げられる。【0018】クルクミンは、ジケトン類の一種で、化学式C21H20O6、融点183℃のオレンジ色結晶であり、ホウ素の検知やpH指示の変色成分に使用されている。クルクミンは、担体に適当量を担持させると黄橙色の外観となる。【0019】また、ブロモクレゾールグリーンは、化学式C21H14Br4O5S、融点217℃の無色の結晶であり、pH指示の変色成分に使用されている。ブロモクレゾールグリーンは、活性アルミナ等の担体に適当量を担持させると青色の外観となる。【0020】両者の変色成分を検知剤として使用するには、粒状物等に担持又は付着等させるのが好ましく、粒状の多孔質担体に担持させて使用することがより好ましい。担体としては、アルミナ、シリカゲル、珪藻土等、様々なものを使用することができるが、白色のものが好ましく、前述の理由より粒状の活性アルミナが好ましい。なお、粒状担体の粒径は2〜5mmが好ましい。【0021】前記の変色成分を担体に担持させる方法は何れでもよく、例えば、クルクミン又はブロモクレゾールグリーンをアルコール等の適当な溶媒に溶解し、これに担体を浸漬した後、溶媒を乾燥除去するなど、従来公知の方法で行うことができる。担体に担持させて使用する場合、その担持量を0.001〜0.1重量%にすることが好ましい。担持量が多くなり過ぎると変色が判別し難くなり、逆に、担持量が少なくなり過ぎるとハロゲン化合物に接触してもほとんど変色が認められなくなる。【0022】また、繊維、繊維布、多孔質膜などに変色成分を担持又は付着等させてもよく、その場合、上記の担体の場合と同様に、変色成分の溶液をこれらに含浸又は塗布等した後、溶媒を乾燥除去するなどすればよい。なお、本発明の検知剤は、変色を避けるために、ビニール袋等に入れて湿気及び直射日光を避けて保存するのが好ましい。【0023】(ハロゲン化合物の検知方法)本発明の検知方法は、本発明の検知剤を外部から視認可能な位置に配置した状態で、ハロゲン化合物を含有し得る被検知ガスと接触させるものである。具体的には、従来のこの種の検知剤と同様に、少なくとも一部が透明な筒体(カラム)内に前記検知剤を充填し、このカラム内に適当な流速で被検知ガス、例えば除害処理後の排出ガスを流通させる等すればよい。【0024】その際、接触時の温度条件は、常温でもよいが、除害処理の昇温下(例えば60〜80℃)でも使用可能である。なお、水分が被検知ガスに含まれると変色する場合があるため、被検知ガスを予め乾燥剤等で処理してもよい。また、日光が直接照射する位置を避けて、カラムを配置するのが好ましい。【0025】本発明の好ましい実施形態は、図1に示すように、ハロゲン化合物を除去又は分解する固体処理剤1を充填した容器2の下側から、被処理ガスを流通させて処理を行いながら、固体処理剤1の上層に配置した検知剤3を外部から視認することにより、ハロゲン化合物を検知して固体処理剤1の劣化を判断するものである。【0026】容器2内部には、被処理ガスの分散機能と固体処理剤1の支持機能を有する支持板4が設けられており、容器2の周壁には、検知剤3を外部から視認可能なのぞき窓2aが設けられている。また、ハロゲン化合物を除去又は分解するのに適した温度に加熱するための加熱手段が、必要に応じて容器2の周囲又は内部などに設けられる(図示省略)。【0027】固体処理剤1としては、ハロゲン化合物を除去又は分解する公知の分解触媒、固体反応剤、吸着剤等が何れも使用可能である。また、その種類に応じた温度に加熱手段により適宜加熱され、固体処理剤1の量(充填高さ)や被処理ガスの供給流量が適宜設定される。【0028】検知剤3の充填高さは、50mm以上が好ましく、検知剤3の変色の速さに応じて、ハロゲン化合物の排出量がある程度推測できる。このため、固体処理剤1の種類等に応じて、その劣化による交換時期を予め検知剤3の変色の速さに対応させておくことにより、適切な時期に固体処理剤1を交換することができる。また、1988年ACGIHによる臭気許容濃度(TLV値)を基準にして、変色の高さを決めておくことで、排出ガス中のハロゲン化合物の濃度をTLV値より低濃度に維持することができる。【0029】【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。【0030】実施例1粉末状のクルクミン0.5gをエタノール2.5Lに混合・攪拌して溶解させ、更に直径約4mmの活性アルミナ5kgを混合し、活性アルミナがオレンジ色に均一に着色するまで攪拌を続けた。この着色した活性アルミナを液体から分離し、乾燥機内で約60℃にて残留するエタノールを十分除去し、クルクミンを変色成分とする黄橙色の検知剤(担持量0.01重量%)を作製した。【0031】この検知剤を透明なガラス管(内径50mm)内に高さ約50mmで充填し、表1に示すハロゲン化合物を異なる濃度で含有するガス(常温)を順次1L/分で供給し、変色を視認して、変色後の色と変色する最低濃度を調べた。その結果を表1に示す。【0032】【表1】実施例2(ブロモクレゾールグリーン)粉末状のブロモクレゾールグリーン1gをエタノール2.5Lに混合・攪拌して溶解させ、更に直径約4mmの活性アルミナ5kgを混合し、活性アルミナが青色に均一に着色するまで攪拌を続けた。この着色した活性アルミナを液体から分離し、常温乾燥で残留するエタノールを除去し、クルクミンを変色成分とする青色の検知剤(担持量0.02重量%)を作製した。【0033】この検知剤を透明なガラス管(内径50mm)内に高さ約50mmで充填し、表2に示すハロゲン化合物を異なる濃度で含有するガス(常温)を順次1L/分で供給し、変色を視認して、変色後の色と変色する最低濃度を調べた。その結果を表2に示す。【0034】【表2】実施例3図1に示すような内径150mmの除害塔に固体処理剤を高さ300mmで充填し、その上層に実施例1で得られた検知剤を高さ約50mmで充填した。検知剤を外部から視認しながら、除害塔の下部から、窒素ガス中にF2を2000ppm含有する被処理ガスを20L/分で流通させて、常温にてF2を反応固定化する処理を行った。【0035】約90時間経過後に検知剤の充填層の下部から白色に変色し始め、80%の位置まで変色した時点で、排出ガス中のF2濃度を隔膜電極法によるF2用検知器で測定した。その結果、0〜0.5ppmであり、TLV値より低い値であった。また、その時点で固体処理剤の能力は、ほぼ飽和していることが確認できた。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の検知方法に使用する装置の一例を示す正面図【符号の説明】1 固体処理剤2 容器2a のぞき窓3 検知剤 ハロゲン化合物を除去又は分解する固体処理剤およびハロゲン化合物の検知剤を一つの容器内部に充填した除害塔であって、該容器の下側から被処理ガスを導入する配管部と、該被処理ガスの分散機能と固体処理剤の支持機能を有する支持板と、該支持板の上部に充填された前記固体処理剤と、該固体処理剤の上層に充填された前記検知剤と、少なくとも該検知剤の充填高さ方向の全てと前記固体処理剤の一部を外部から視認可能な窓部と、前記ハロゲン化合物を除去又は分解する温度に加熱するための加熱手段と、を有し、前記検知剤の使用温度を前記固体処理剤による除害処理の昇温下の温度条件とすることを特徴とするハロゲン化合物の除害塔。 前記検知剤の充填高さを、被検知ガス中のハロゲン化合物の許容濃度(TLV値)を基準にして設定することを特徴とする請求項1記載のハロゲン化合物の除害塔。 前記請求項1または2いずれかのハロゲン化合物の除害塔を用い、前記容器の下側から、被処理ガスを導入し、前記支持板によって被処理ガスを分散した状態で前記固体処理剤を流通させ、その上層の前記検知剤の変色を外部から視認して前記固体処理剤の劣化を判断するハロゲン化合物の検知方法。 前記検知剤の変色の速さに応じて被検知ガス中のハロゲン化合物の排出量を検知して前記固体処理剤の劣化を判断するとともに、該固体処理剤の劣化による交換時期を予め検知剤の変色の速さに対応させておくことを特徴とする請求項3記載のハロゲン化合物の検知方法。


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