タイトル: | 特許公報(B2)_ガルバニ電池式酸素センサ |
出願番号: | 2000020558 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 27/30,G01N 27/404 |
北澤 直久 岩波 良治 JP 4415442 特許公報(B2) 20091204 2000020558 20000128 ガルバニ電池式酸素センサ 株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション 304021440 北澤 直久 岩波 良治 20100217 G01N 27/30 20060101AFI20100128BHJP G01N 27/404 20060101ALI20100128BHJP JPG01N27/30 BG01N27/30 341JG01N27/46 323 G01N 27/404 G01N 27/416 特開昭61−040556(JP,A) 特開平09−049823(JP,A) 特開平06−130026(JP,A) 特開昭59−217153(JP,A) 特開昭54−008591(JP,A) 3 2001208717 20010803 6 20070109 大竹 秀紀 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、正極と負極と電解液と隔膜とを備えたガルバニ電池式酸素センサに関する。【0002】【従来の技術】正極と負極と電解液と隔膜とを備えたガルバニ電池式酸素センサは、小型、軽量であるとともに、常温で作動し、しかも安価であるため、船倉やマンホールの酸欠状態のチェックや麻酔器、人工呼吸器などの医療機器における酸素濃度の検出等、広い分野で使用されている。【0003】従来、広く実用に供されているガルバニ電池式酸素センサの一般的な断面構造を図1に示す。図1において、1は中蓋、2はO−リング、3は四フッ化エチレン樹脂製の多孔性膜、4は触媒電極、5は正極集電体、6は正極リード線、7は電解液、8は負極、9はホルダー本体、10はホルダー蓋、11は電解液供給用の穿孔、12はリード線用の穿孔、13は正極集電体保持部であり、触媒電極4と正極集電体5とで正極を構成する。【0004】ガルバニ電池式酸素センサの動作原理はつぎのとおりである。酸素を選択的に透過させかつ透過量を反応に見合うように制限する多孔性膜3を通ってきた酸素は、酸素が電気化学的に還元することができる触媒電極4において還元され、電解液7を介して負極8との間で次のような電気化学反応を起こす。【0005】電解液が酸性の場合正極反応:O2+4H++4e- → H2O負極反応:2Pb+2H2O → 2PbO+4H++4e-全反応 :2Pb+ O2 → 2PbO電解液がアルカリ性の場合正極反応:O2+2H2O+4e- → 4OH-負極反応:2Pb+4OH- → 2PbO+2H2O+4e-全反応 :2Pb+ O2 → 2PbO電解液が酸性の場合とアルカリ性の場合とでは、電荷の担い手は異なるが、いずれの場合も触媒電極4と負極8との間に、酸素濃度に応じた電流が発生する。触媒電極4での正極反応によって生じた電流は、触媒電極4に圧接された正極集電体5に集められ、正極リード線6によって外部に導かれる。電流は通常温度補償用のサーミスター素子を通して負極に流れ込むことによって、電圧信号に変換され、酸素センサ出力としての電圧が得られる。【0006】従来のガルバニ電池式酸素センサにおいては、正極集電体5としてカーボン繊維が使用されていた。そのため、正極集電体5と金属製正極リード線6とを溶接等で接合することが不可能であった。そのため、正極集電体5と金属製正極リード線6との電気的接触は、中蓋1とそれを締め付けるホルダー蓋10とによって圧接されていた。【0007】【発明が解決しようとする課題】そのため、従来のガルバニ電池式酸素センサでは、振動や衝撃が加わった場合に、正極集電体と正極リード線の間の接触状態が変化しやすく、この部分の接触抵抗成分が変動し、センサの出力変動や出力異常が生じるという問題があった。【0008】本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、正極集電体と正極リード線との接触不良を除去することにより、出力変動が小さく、信頼性、安定性の極めて高い、長寿命のガルバニ電池式酸素センサを得ることを目的とする。【0009】【課題を解決するための手段】本発明は、正極と負極と電解液と多孔性膜とを備えたガルバニ電池式酸素センサにおいて、前記正極は触媒電極と金属材料からなる正極集電体とを備え、前記正極集電体と正極リード線とがはじめから一体化されてなる、または溶接して一体化されてなることを特徴とする。【0010】また本発明は、上記において、正極集電体材料がチタンであることを特徴とし、さらに、チタンの表面に貴金属層を設けたことを特徴とする。【0011】【発明の実施の形態】本発明になるガルバニ電池式酸素センサの断面構造は図1に示したのと基本的に同じである。ただし、本発明においては、正極集電体5と金属製正極リード線6の材質としては共に金属を使用し、正極集電体5と正極リード線6は溶接等で固定されている。【0012】なお、正極集電体5と正極リード線6の材質は同じ金属であってもよいし、異なる金属でもよい。そして、正極集電体5と正極リード線6の材質が同じ金属の場合は、溶接等で接合固定して一体化してもよいし、はじめから一体化しておいてもよい。ただし、電解液中で電気化学的に安定であるという点から、正極集電体5の材料としてはチタンが好ましい。【0013】さらに、正極集電体5と触媒電極4との接触による電気抵抗を減少させ、正極集電体5の電解液に対する耐腐食性能をより向上させるためには、チタンからなる正極集電体の表面に貴金属層を設けることが好ましい。貴金属として、金や白金などを用いることができる。また、チタン表面へ貴金属層を設ける方法としては、メッキや蒸着などの、通常よく知られた方法を用いることができる。【0014】正極集電体5と正極リード線6以外は、従来のガルバニ電池式酸素センサと同様のものを使用することができる。【0015】【実施例】以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。【0016】本発明の一実施例にかかるガルバニ電池式酸素センサの断面構造を図1に示す。図1において、1はABS樹脂製の中蓋、2はO−リング、3は四フッ化エチレン樹脂製の多孔性膜、4は金をスパッタした四フッ化エチレン六フッ化プロピレンコポリマー膜からなる触媒電極、5はチタンからなる正極集電体、6はチタンからなる正極リード線であり、共にチタンからなる正極集電体5と正極リード線6とを溶接して一体化した。【0017】また、7は酢酸と酢酸カリウムと酢酸鉛の混合水溶液からなる電解液、8は鉛からなる負極、9はABS製のホルダー本体、10はABS樹脂製のホルダー蓋である。ホルダー本体9およびホルダー蓋10には、それぞれネジが切られている。【0018】中蓋1、O−リング2、四フッ化エチレン樹脂製の多孔性膜3、触媒電極4、正極集電体5は、ホルダー本体9とホルダー蓋10とのネジ締めによって押圧され、互いに良好な接触状態が保持される。中蓋1は押圧端板として機能し、四フッ化エチレン樹脂製の多孔性膜3は金をスパッタした触媒電極4の表面の汚れを防止させるためのものである。また、O−リング2によって、ホルダー内部の気密、液密性が確保される。11は正極および隔膜への電解液供給用の穿孔、12は正極集電体のチタンリード線部分をはめ込むための穿孔である。【0019】このようにして得られたガルバニ電池式酸素センサを、本発明になるガルバニ電池式酸素センサAとした。【0020】つぎに、比較用として、構造は図1と同様であるが、正極集電体5にカーボン繊維を使用し、正極集電体5とチタン製リード線6を圧接した構造の、従来のガルバニ電池式酸素センサを作製し、これを比較用のガルバニ電池式酸素センサBとした。【0021】ガルバニ電池式酸素センサAおよびBを、4.3Hz、1.5Gの振動を1時間連続で印加し、出力の推移を調べたところ、本発明のガルバニ電池式酸素センサAは非常に安定した出力を示したが、比較例のガルバニ電池式酸素センサBでは出力の変動が大きく、なかには急激な出力変動を示したものがあった。【0022】次に、ガルバニ電池式酸素センサAおよびBを、リノリューム床の上で1mの高さから自然落下させたところ、本発明のガルバニ電池式酸素センサAは落下による衝撃印加の瞬間の出力変動が小さく、その後の出力も安定していたが、比較例のガルバニ電池式酸素センサBでは落下の瞬間の出力変動が大きく、その後、通常の使用状態に於いても出力異常を示すものがあった。【0023】これらの結果は、本発明のガルバニ電池式酸素センサAでは、安定した還元電流が外部に取り出せていること示している。【0024】【発明の効果】本発明になるガルバニ式酸素センサは、正極集電体の材質を金属製とし、正極集電体と正極リード線とを一体化したために、想定される使用状況において振動や衝撃が加わった場合でも、正極集電体と正極リード線の接触状態の変化が除去できるため、出力変動が小さく、信頼性、安定性の極めて高い、長寿命のガルバニ式酸素センサが得られるものである。【図面の簡単な説明】【図1】ガルバニ電池式酸素センサの断面構造を示す図。【符号の説明】1 中蓋2 O−リング3 四フッ化エチレン樹脂製の多孔性膜4 触媒電極5 正極集電体6 正極リード線7 電解液8 負極9 ホルダー本体10 ホルダー蓋11 電解液供給用の穿孔12 リード線用の穿孔13 正極集電体保持部 正極と負極と電解液と多孔性膜とを備えたガルバニ電池式酸素センサにおいて、前記正極は触媒電極と金属材料からなる正極集電体とを備え、前記正極集電体と正極リード線とがはじめから一体化されてなる、または溶接して一体化されてなることを特徴とするガルバニ電池式酸素センサ。 正極集電体材料がチタンであることを特徴とする請求項1記載のガルバニ電池式酸素センサ。 チタンの表面に貴金属層を設けたことを特徴とする請求項2記載のガルバニ電池式酸素センサ。