生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_低アルコール清酒の製造法
出願番号:2000020352
年次:2008
IPC分類:C12G 3/08,C12G 3/02


特許情報キャッシュ

長井 潔 広常 正人 濱地 正昭 熊谷 知栄子 JP 4044712 特許公報(B2) 20071122 2000020352 20000128 低アルコール清酒の製造法 大関株式会社 000204686 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 長井 潔 広常 正人 濱地 正昭 熊谷 知栄子 20080206 C12G 3/08 20060101AFI20080121BHJP C12G 3/02 20060101ALI20080121BHJP JPC12G3/08C12G3/02 119HC12G3/02 119J C12G 3/08 C12G 3/02 特開昭62−040280(JP,A) 特開昭56−058488(JP,A) 特開昭61−289875(JP,A) 特開昭54−157897(JP,A) 特開昭59−028468(JP,A) 特開平10−179131(JP,A) 特開昭63−157967(JP,A) 4 2001204457 20010731 9 20061005 田村 明照 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、低アルコール清酒の製造法に関する。さらに詳しくは、もろみ(醪)途中で発酵を停止する方法で得られた低アルコール清酒において、しばしば問題とされるダイアセチル(diacetyl)臭発生の危険性、および、原酒の乳酸菌による変敗の危険性を減じ、加水希釈後に水っぽさが感じられず、程よいコク味が付与された、風味の良い低アルコール清酒の製造法に関する。【0002】【従来の技術】通常、清酒のアルコール濃度は13〜15%である場合が最も多く、標準的であった。しかしながら近年、酒類商品全体の低アルコール化に伴い、清酒においても、低アルコール商品による消費市場の拡大が目指されるようになっている。現在のところ低アルコール清酒が消費者の間に定着したかどうかはともかく、いくつかのタイプの低アルコール清酒が清酒商品の一角を占めるようになったことは否定できない。「低アルコール酒用酵母の開発」(宮城県工業技術センター研究報告 28(1996) 74−77)は、アルコール濃度が10%以下の低アルコール清酒を、その製造法から「加水希釈タイプ」と「発酵停止タイプ」の2つに分類している。「加水希釈タイプ」は割水や追い水などで通常の製品よりも希釈度合いを増やし、低アルコールの製品を製造するもので、コクが少なく水っぽいものになりがちである。「発酵停止タイプ」はアルコール濃度の低い段階で強制的にもろみの発酵を停止し、上槽し、低アルコールとする。この製造法ではエキス分が多く残されており、風味の点でコクを損なわない特徴がある。「発酵停止タイプ」に代表されるような、甘みと酸味を付与することによってバランスが取れており、かつ、コクと特徴のある風味を備えた低アルコール清酒の範疇において必要とされる酒質は、一般の清酒の酒質とはかけ離れたものである。そこで、このような低アルコール清酒の製造法もまた一般の清酒の製造法とは異なるものとならざるを得ない。むしろ、これらの清酒の酒質が、清酒製造工程中の「酒母」の酒質に近いことは、容易に察せられる。通常、速醸系酒母の成分目標はアルコール濃度11〜12%、酸度7〜8、日本酒度−60〜−80とされる(醸造協会誌第93巻第5号334−343、1998)。これは通常の清酒と比べてアルコールが低く、酸度が高いことで酸味が強く、日本酒度が高いことで甘味が強い。酒母工程は酵母の健全な育成を目的とするものであり、その後、段階的に乳酸、麹、掛け米、水等を加えてもろみ工程に入る。そこで、酒母工程をそのまま、もろみ工程に見立てるならば、低アルコール清酒を製造するために酒母を利用する構成が考えられる。事実、特開昭61−289875号には、高温糖化型の酒母をもろみと見立てる応用を行った例と言える製造法が開示されている。このような、甘みと酸味を付与することによって好ましい酒質を実現する低アルコール清酒においても、すでに多くの商品開発がなされていることは、よく知れられている。【0003】しかしながら、このような低アルコール清酒の製造法において、その特徴から必然的に発生する製造法上の問題も2点知られている。第一点として、「低アルコール酒用酵母の開発」(宮城県工業技術センター研究報告 28(1996) 74−77)の指摘するところでは、「発酵停止タイプ」の清酒の多くには「つわり香(ダイアセチル臭)」という好ましくない香りが認められたことである。すなわち、もろみにおける発酵を強制的に停止することにより、酵母が蓄積するα−アセト乳酸は、製品中で酸化されてダイアセチルを生じ、「つわり香」と称する異臭となる。従来、清酒醸造においてこの異臭は本来の清酒の風味を損なわせ、消費する際に、明らかに製品の劣化と判断されるので製造者は工程管理によく留意しなければならない。そこで酵母の代謝経路でα−アセト乳酸の前駆物質であるピルビン酸をアルコール生成のためによく消費させることや、発酵停止以降の工程を低温で管理することが求められる。また、第二点として、圧搾、貯蔵する以前に原酒の時点ですでに低アルコールであるために、乳酸菌による変敗の危険が高まることが挙げられる。清酒醸造工程中に発生する乳酸菌は「火落ち菌」と呼ばれ、清酒中のアルコール濃度が6〜8%でもっとも増殖しやすいことが知られている。そこで、清酒醸造工程において圧搾、貯蔵する場合には変敗の危険のため十分に注意する必要がある。すなわち圧搾、貯蔵時点でのアルコール濃度が低くないことや、低温でこれらの工程を管理することが求められる。例えば、特開昭59‐48070号、特開昭 60−186273号、特開昭61−289875号は多酸存在下で糖化、発酵を行ない、13%以下のアルコール濃度で発酵を停止することにより得られる「発酵停止タイプ」低アルコール清酒の製造法を開示しているが、火落ち菌による原酒の変敗の危険性や、つわり香発生の危険性については一切触れていない。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、甘みと酸味を付与することによってバランスが取れており、かつコクと特徴のある風味を備えた低アルコール清酒の製造法において、「火落ち菌」による変敗の危険性とダイアセチル発生による風味劣化の危険性という製造法上の問題を解決することを目的とする。すなわち、ダイアセチル臭の原因物質であるピルビン酸を低減させ、かつ、原酒のアルコール濃度をできるだけ高くし、かつ、加水希釈後も水っぽくなく、コクと特徴のある酒母の風味を備えた低アルコール清酒を製造する方法を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、アルコール濃度が15%以上で、かつ、ピルビン酸濃度を100ppm以下になるまで熟成させた酒母に、直接還元糖分16%以上の四段を添加し、上槽し、アルコール濃度9〜12%の原酒を得ることを特徴とする低アルコール清酒の製造法を提供する。本発明の製造法においては、酒母に添加する直接還元糖分16%以上の四段が、6%以上の非発酵性オリゴ糖を含むことが好ましく、また、得られた低アルコール清酒は、アルコール度数6〜9%、酸度2.5〜3.5、直接還元糖分8〜11%、非発酵性オリゴ糖分2〜5%の範囲であることが好ましい。【0006】清酒醸造において酒母製造の目的は、原料の米・米麹・水を効率的に用いて多量の清酒酵母と所定濃度の乳酸を含んだ培養物を得ることである。したがって、アルコールをはじめ、醸造成分の調和がとれた生成を目的とする「もろみ」とは製造原理が異なる。「もろみ」では糖化と発酵が並行するが、酒母の製造では一般に蒸し米の溶解・糖化が先行する。すなわち、酵母の増殖に必要な栄養分として、糖分(ボーメ)とアミノ酸等が十分に整ってから酵母の増殖を誘導する。乳酸は酒母のpHを下げ、有害細菌あるいは野生酵母の増殖を抑える力が他の有機酸に比べて優れている上に、糖化を阻害することが少ない。また、酒母はアミノ酸を多く含むため、その緩衝作用によってpHが安定に保たれており、残糖も乳酸の作用から酵母を保護している。上記の様に、アルコール濃度が低く、乳酸を多量に含み、糖分とアミノ酸が多く残っているのが酒母の特徴である。本発明は、低アルコール清酒の水っぽさをなくすために酒母仕込を採用する。ただし、強制的に発酵を停止させることなく、酒母を熟成させることによってピルビン酸を減少させる。これにより糖化・発酵が従来の酒母よりも進むことから糖濃度が減少し、少なくなる甘味を補填するために、いわゆる四段掛けを行う。四段掛けで一般的に用いられる酵素四段法の四段液は、通常、直接還元糖分10%以下であり、これを酒母に添加する場合、酸味とのバランスをとるために、通常のもろみで用いられるよりも多くの量を必要とする。しかしながら、四段液の添加量を多くすると、酒母のアルコール濃度がさらに低くなり、上槽後の原酒の乳酸菌による変敗の危険性が高まる。このために、本発明では、直接還元糖分を高めて甘味を増した酵素四段液を用いて酸味とのバランスをとるとともに、添加四段液量をできるだけ少なくして原酒のアルコール濃度を高めるという構成を採用する。ここに、本明細書における「四段」なる語は、通常の三段仕込における四段掛としての四段液に限定するものではなく、三段仕込以外の仕込方法おいて同様な目的で添加する場合の仕込成分の糖化液をも包含する意味で使用する。また、発明者らは四段液の直接還元糖濃度を過度に上げすぎると、今度はむしろ風味にコク味がなくなることを見出した。そこで、本発明においては、四段液中の非発酵性オリゴ糖を増加させることによりコク味を補填し、直接還元糖分中の非発酵性オリゴ糖濃度が一定の割合以上となる構成を採用する。【0007】【発明の実施の形態】本発明の製造法における各製造工程は、通常の清酒醸造において自体公知の方法を用いて実施できる。酒母は、速醸系(速醸酒母、高温糖化酒母、簡易速醸酒母、ウルトラセブン酒母など)、生モト系(生モト、山卸廃止モトなど)のいずれの酒母を用いても良い。従来まで知られている速醸系酒母の成分目標とされるアルコール濃度10〜13%の時点より、さらに熟成をはかることとし、その指標をピルビン酸濃度で100ppm以下とする。発酵および熟成過程での温度経過および日数は、四段添加前のピルビン酸濃度を100ppm以下にさせるものであれば何でもよい。熟成によって酒母のアルコール濃度を15%以上、好ましくは18%以上とする。【0008】四段の添加量は、アルコール濃度15%以上、好ましくは18%以上の酒母に添加しても、原酒のアルコール濃度が火落ち菌の増殖し難い9%以上になる量に抑えることが必要である。したがって、酒母に添加する四段は、良好なバランスの風味を与える観点から、特に直接還元糖濃度を高めるよう製造される。そのために、四段液製造用酵素剤中のグルコアミラーゼ活性を高めることとし、四段液中の単糖含量を増加させて直接還元糖の増加に貢献させる。この四段液は、直接還元糖濃度16%以上を指標とする。また、酒母に添加する四段液は、同時に非発酵性オリゴ糖濃度を6%以上にすることが味にコクを与える点で好ましい。このために、四段液製造用酵素剤にトランスグルコシダーゼ活性を含め、グルコアミラーゼ剤とトランスグルコシダーゼ剤を、得られる四段液が上記の直接還元糖濃度と、非発酵性オリゴ糖濃度を達成するようバランスよく使用する。一定量以上の濃度を製造できる酵素剤配合であれば何でもよく、用いる酵素剤の種類、配合には特に限定するものではない。なお、原酒アルコール濃度をさらに高める必要がある場合、四段液として濃縮糖液を用いてもよい。この場合も、加水希釈後に風味のコク味を残すために、イソマルトオリゴ糖等の非発酵性オリゴ糖の濃縮糖液を用いることが望ましい。【0009】四段添加後、ダイアセチルの生成を防ぐため、好ましくは直ちに上槽し、得られたアルコール濃度9〜12%の原酒を火入れ、貯蔵後にアルコール濃度6〜9%の範囲で所望のアルコール濃度まで加水希釈(割水)することにより、所望の低アルコール清酒が製造できる。好ましくは、酸度2.5〜3.5、直接還元糖分8〜11%、非発酵性オリゴ糖分2〜5%の範囲に調整し、割水後、そのまま熱酒瓶詰め、あるいは、炭酸ガスを含ませて瓶詰めして製品とする。非発酵性オリゴ糖分が2〜5%の低アルコール清酒は従来見当たらず、このようにして得られた低アルコール清酒は新規な低アルコール清酒と考えられる。【0010】【実施例】以下の参考例および実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。参考例1公知の速醸系酒母の仕込み方法に従い製造したピルビン酸濃度が332ppmの13日目の酒母に四段添加し、直ちに、または15℃で24時間放置後に遠心処理にて上清を分離し官能評価に供した結果、四段添加直後に低温で遠心処理するとダイアセチル臭は発生しないが、四段添加後15℃で24時間放置した場合にダイアセチル臭が強く感じられた。ピルビン酸濃度が300ppm以上であっても、低温で迅速に遠心処理することはダイアセチル臭発生の危険性を減じるために有効な処理方法となるが、実際の圧搾機等の処理設備はこのような条件を想定しておらず、清酒醸造の現場でこのような処理を行なうことは現実的ではない。通常の上槽処理には15℃前後で丸1日を要し、さらに開放状態に数日間置かれる。そこで、同じ酒母の13日目と、さらに熟成させて15日目、18日目までの3時点で、それぞれ四段添加し、15℃で1日放置後に遠心処理にて上清を分離し、その後15℃で1日放置後に5℃に冷却した。5〜7日間放置後に12人のパネルで官能評価に供して、各サンプルについてダイアセチル臭の有無を訊ねた。表1に四段添加前の酒母分析値と、処理後の官能評価結果を示す。【0011】【表1】【0012】酒母のピルビン酸は、13日目で300ppm以上であったが、15日目で200ppmになり、18日目では100ppm以下となり、酒母の熟成とともにピルビン酸が減少して行くことが示されている。官能評価の結果、300ppmと、200ppm以上のピルビン酸を含む酒母ではダイアセチル臭が多く指摘されたが、100ppm以下のピルビン酸ではダイアセチル臭の指摘は全くなかった。これは、ダイアセチルの酵母生体内前駆物質であるピルビン酸が十分に減少したためにダイアセチルが発生しなかったことによる。このように、四段添加前の酒母中のピルビン酸を減じることは、ダイアセチル臭の発生の危険性を少なくするために有効な方法の一つとなり、その基準は100ppm以下であることが確認された。すなわち、酒母のアルコール濃度が15%以上であっても、ピルビン酸濃度を100ppm以下になるまで熟成させることが、四段添加後のダイアセチル臭発生の危険性を減じるために不可欠な様態である。【0013】参考例2参考例1と同様にして、アルコール濃度15%以上で、かつ、ピルビン酸濃度を100ppm以下になるまで熟成させた酒母に、直接還元糖分が異なるよう調整した四段液を種々の四段歩合で添加し、直ちに上槽し官能評価を行った。各直接還元糖分の四段液の中で、水っぽくなく、甘みと酸味のバランスが取れていると評価された四段歩合と、その原酒成分を表2に示す。【0014】【表2】【0015】四段液の直接還元糖分が低いほど、酒母の酸味とのバランスを取るために四段歩合が多く必要であり、原酒のアルコール濃度は低くならざるを得ない。一般的な酵素四段液の直接還元糖分の10%では、四段歩合55%でしか酸味とのバランスがとれないため、原酒のアルコール濃度が火落ち菌の最も増殖しやすい6〜8%の範囲に入る。しかし、直接還元糖分16%以上の四段液を用いることにより、酸味とのバランスを保ちながら四段歩合を減らして、原酒のアルコール濃度を9%以上に維持して、火落ち菌による変敗の危険性を減じることが可能となった。【0016】参考例3参考例2と同様にして、アルコール濃度15%以上で、かつ、ピルビン酸濃度を100ppm以下まで熟成させた酒母に、種々の酵素剤で調整した直接還元糖分16%以上の四段液を添加して、直ちに上槽した。アルコール7度に割水後の清酒の分析値と官能評価結果を表3に示す。【0017】【表3】【0018】トランスグルコシダーゼ活性を持つ酵素剤を用いて四段液中の非発酵性オリゴ糖濃度を6%以上に調整した四段液を添加した区分は、グルコアミラーゼ剤のみの区分に比べて、加水希釈後にも非発酵性オリゴ糖を含むため、水っぽさが感じられず程良いコク味が付与されていた。すなわち、本発明において、酒母に添加する直接還元糖分16%以上の糖化液が6%以上の非発酵性オリゴ糖を含むことが、風味の良い低アルコール清酒を得るに必要な様態である。【0019】実施例1総米1000Kgで酒母を仕込んだ。仕込み白米600Kg、仕込汲み水109%、仕込汲み水に対する乳酸の添加歩合0.78%、仕込み白米における麹歩合28%とした。酒母は二段階に分けて仕込むこととした。一次仕込後2日15℃にて保持し、二次仕込時の品温は中温速醸酒母にならい、20℃とした。後期に徐々に品温を低下させながらピルビン酸100ppm以下まで熟成させた。仕込み配合を表4に示す。【0020】【表4】【0021】四段液(白米400Kg、汲み水歩合160%)を製造するために、酵素剤としてグルコアミラーゼ剤(グルコアミラーゼ「アマノ」、天野製薬)を80g、トランスグルコシダーゼ剤(四段用TG−B、天野製薬)を400g使用した。白米と汲み水を53℃に保持した容器に、少量の水に溶かした酵素剤を添加、攪拌後、53℃で20時間保持して糖化した。得られた四段液の成分は日本酒度−152、直接還元糖分24.9%、非発酵性オリゴ糖濃度9.7%であった。この四段液を仕込み18日目の酒母に添加し、直ちに圧搾、濾過して原酒を得た。原酒は火入れ後、容器に貯蔵した。貯蔵後の原酒は炭素濾過後に、アルコール度数6%台になるよう加水希釈した。糖化液添加前の酒母の成分、原酒、および、加水希釈後の成分を表5に示す。【0022】【表5】【0023】得られた低アルコール清酒製品は官能評価において、水っぽくなく、コク味も感じられる好ましい酒質であった。また、甘みと酸味のバランスが取れており、実際の酒母の風味をよく再現していた。以上の結果から、本発明の目的である、「火落ち菌」による変敗の危険性とダイアセチル発生による風味劣化の危険性という製法上の問題を解決し、かつ甘みと酸味を付与することによってバランスが取れており、かつコクと特徴のある酒母の風味を備えた低アルコール清酒を製造することができた。【0024】【発明の効果】以上記載したごとく、本発明により得られた低アルコール清酒においては、全般的な風味評価でも高い評点を得ており、水っぽくなく、コク味も感じられる好ましい酒質を実現できた。かくして、本発明によれば、「火落ち菌」による変敗の危険性とダイアセチル発生による風味劣化の危険性という製造法上の問題を解決し、かつ甘みと酸味を付与することによってバランスが取れ、かつコクと特徴のある風味を備えた低アルコール清酒を製造することができる。 アルコール濃度が15%以上で、かつ、ピルビン酸濃度を100ppm以下になるまで熟成させた酒母に、直接還元糖分16%以上の四段を添加し、上槽し、アルコール濃度9〜12%の原酒を得ることを特徴とする低アルコール清酒の製造法。 酒母に添加する直接還元糖分16%以上の四段が、6%以上の非発酵性オリゴ糖を含む請求項1記載の低アルコール清酒の製造法。 原酒を加水希釈後の成分が、アルコール度数6〜9%、酸度2.5〜3.5、直接還元糖分8〜11%、非発酵性オリゴ糖分2〜5%の範囲である請求項1記載の低アルコール清酒の製造法。 アルコール濃度が15%以上で、ピルビン酸濃度を100ppm以下になるまで熟成させた酒母に、直接還元糖分16%以上で、かつ6%以上の非発酵性オリゴ糖を含む四段を添加し、上槽し、アルコール濃度9〜12%の原酒として得られる低アルコール清酒であって、アルコール度数6〜9%、酸度2.5〜3.5、直接還元糖分8〜11%、非発酵性オリゴ糖分2〜5%の低アルコール清酒。


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