生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_グリセリンの製造方法
出願番号:2000020091
年次:2005
IPC分類:7,C07C29/80,C07C31/22


特許情報キャッシュ

植岡 秀晃 片山 孝信 JP 3712903 特許公報(B2) 20050826 2000020091 20000128 グリセリンの製造方法 花王株式会社 000000918 細田 芳徳 100095832 植岡 秀晃 片山 孝信 20051102 7 C07C29/80 C07C31/22 JP C07C29/80 C07C31/22 7 C07C 29/80 C07C 31/22 米国特許第03427230(US,A) 特開平04−077442(JP,A) 特開昭60−109534(JP,A) 特開昭61−140532(JP,A) 7 2001213827 20010807 12 20010618 松本 直子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ジオール類等の不純物を含む粗グリセリン水溶液よりグリセリンを製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】グリセリンの製法の一つとして、油脂をエステル交換、加水分解又はケン化する工程を経るという製法がある。エステル交換等を経て得られたグリセリン含有溶液には、通常、油分、アルカリ成分、セッケン分、塩、ジオール類等の不純物が存在している。従来の方法では、かかるグリセリン含有溶液を濾過、蒸留、活性炭処理又はイオン交換処理等に付した後で濃縮することにより、又はグリセリン含有溶液の濃縮を行った後、活性炭処理やイオン交換処理等を行うことにより、粗グリセリンを得ている。【0003】油分等の不純物は、濾過等の処理によりその大部分を除去することが可能であるが、一部の不純物、特にその物性がグリセリンに類似した1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、3-メトキシ-1,2- プロパンジオール、2-メトキシ-1,3- プロパンジオール等のジオール類は、かかる処理によっても十分に除去することができない。また、グリセリン含有溶液の濃縮を行う工程はグリセリンと物性の著しく異なる水を分離することを目的とした工程であるため、従来の濃縮工程では、ジオール類の含有量を各々0.1重量%以下まで低減することは不可能である。【0004】これらの問題を解決し、より高品質のグリセリンを製造すべく、種々の検討が進められており、例えば、特開昭55-157525 号公報、特開昭60-109534 号公報、特開昭61-140532 号公報、特開平1-135735号公報に記載されている。特開昭55-157525 号公報には、グリセリン含有溶液を濃縮する際に金属化合物を添加することで臭気を抑える方法が記載されている。しかしながら、該方法では濃縮後に添加した金属化合物の除去工程が必要となる。また、高いグリセリン純度も期待できない。【0005】特開昭60-109534 号公報には、グリセリン含有溶液から、10〜20mbar減圧下、165 〜180 ℃における蒸留操作にてあらかじめ塩を除去した後、精留塔により水分と高沸不純物とを分離し、得られたグリセリンを活性炭処理により精製する方法が記載されている。しかし、該方法では塩除去の際に油分等の不純物存在下において165 〜180 ℃の高温とするため、グリセリンの色相及び臭気が劣化し、結局のところ、最終工程において活性炭処理の必要が生じてしまう。しかも、濃縮後のグリセリンの粘度は高いため、該活性炭処理の実施は非常に困難となる。また、精留処理においても、塔内において非凝縮成分となる水分が原料中に10重量%まで存在することは、記載されているような真空度(5 〜10mbar)で運転させようとすると真空設備の設計を著しく困難ならしめ、非経済的な設備設計を余儀なくされる。【0006】特開昭61-140532 号公報には、ペンタノール添加によりグリセリン含有溶液から塩を除去した後、2回のフラッシュ蒸留を経て、蒸留塔により精製グリセリンを製造する方法が記載されている。しかしながら、該方法を天然系由来のグリセリン製造に適用した場合、フラッシュ塔における温度条件がそれぞれ150 ℃、170 ℃であること、また蒸留塔における温度条件が190 ℃であることというように、非常に高温で処理が施されており、グリセリンの品質劣化は避けられない。また、不純物を除去するための蒸留塔の操作条件が開示されていない。【0007】特開平1-135735号公報には、グリセリン水溶液を80〜95重量%まで濃縮して得た粗グリセリンに、多価カルボン酸を添加して蒸留する方法が記載され、該方法により色相及び臭気の安定性の優れた精製グリセリンの製造方法が記載されている。しかしながら、該方法では、蒸留条件が10〜20mmHg減圧下、150 〜170 ℃であることから、不純物の留出除去に対して真空度の不足または温度の不足のおそれが考えられる。またカルボン酸の添加量によっては、後工程に活性炭処理の必要が生じる。【0008】さらに、濃縮の際に発生する水の再利用方法や排水としての処理方法の検討や、グリセリンの収率向上も、製造工程全体のコストの低減の観点から重要な課題である。【0009】【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の一の目的は、ジオール及び水を含有してなる粗グリセリンからグリセリンを製造する方法において、蒸留操作の後に活性炭処理やイオン交換処理等の後処理が不要なまでに色相及び臭気を改善することができ、かつ、製造されたグリセリン中に含まれる個々の不純物を大幅に低減することのできるグリセリンの製造方法を提供することである。【0010】本発明の別の目的は、グリセリンの製造方法において回収される水を再利用又は排水として処理する場合に、回収された水が、さらなる精製工程が不要なまでに高純度化されている、グリセリンの製造方法を提供することである。【0011】さらに本発明の別の目的は、グリセリンの製造方法におけるグリセリンロス量が低減された、グリセリンの製造方法を提供することである。【0012】【課題を解決するための手段】 即ち、本発明は、グリセリン、ジオール及び水を含有してなる粗グリセリンからグリセリンを製造する方法であって、 直列に接続してなる2以上のフラッシュ塔と最終のフラッシュ塔に接続している精留塔とからなり、各フラッシュ塔のボトムフラクションが次の塔に供給されるように構成されてなる製造装置に粗グリセリンを供給し、かつ フラッシュ塔の塔内圧力を0.13〜40kPa、塔内温度を140℃以下とし、最終のフラッシュ塔のボトムフラクションの水分を0.1重量%以下とし、精留塔の塔底圧力を0.13〜0.90kPaとし、そして精留塔のボトムから精製グリセリンを得る、グリセリンの製造方法に関するものである。【0013】【発明の実施の形態】本発明に用いられる粗グリセリンは、グリセリン、ジオール及び水を含有してなるものである。かかる粗グリセリンは、例えば、油脂のエステル交換、加水分解又はケン化によって得られる、種々の副生物を含有するグリセリン水溶液から、油分、アルカリ成分、セッケン分及び塩分を除去することにより、得ることができる。上記の油分等の除去方法については公知の方法でよく、例えば酸分解、蒸留、濾過、活性炭処理又はイオン交換処理の中から適宜方法を選択、組み合わせればよい。【0014】粗グリセリンは、グリセリン、水の他に、上記の油分等の除去方法ではその多くを除去することができない不純物を含む。かかる不純物としては、構造及び物性がグリセリンと類似している成分、具体的には、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、3-メトキシ-1,2- プロパンジオール、2-メトキシ-1,3- プロパンジオール等のジオール等が挙げられる。なお、粗グリセリン中のグリセリン、水、ジオールの含有量は特に限定されない。【0015】本発明においては、精留塔にて精留を実施する前に、図1のフロー図に示されるように、まず2以上のフラッシュ塔に原料となる粗グリセリンを供給する。各フラッシュ塔は、フラッシュ塔のボトムフラクションが次のフラッシュ塔に供給されるように、直列に接続されている。【0016】フラッシュ蒸留の目的は、粗グリセリン等の蒸留対象物の水分を除去することにある。フラッシュ塔から留出する水分はコンデンサーにて凝縮、回収され、ボトムフラクションのグリセリンはさらに続くフラッシュ塔に供給される。これらフラッシュ蒸留による水分除去操作は、フラッシュ塔のボトムフラクションより得られるグリセリン中の水分量が0.1重量%以下になるまで繰り返される。【0017】フラッシュ塔のボトムフラクションの水分を0.1重量%以下、好ましくは0.08重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下とすることにより、製造装置全体の小型化を可能ならしめることができる。これは、精留塔内が高真空であり、精留工程で凝縮回収不可能となる水分量を低減することにより、精留塔及びそれに付随する真空装置の負荷を軽減できるからである。精留塔に供給されるグリセリンの水分量がこの範囲を超えても精留操作自体は可能であるが、上記理由により設備の大型化が避けられず現実的でない。ボトムフラクションの水分は、例えば工業用グリセリンの品質分析方法(JIS K3351)に定められた水分測定方法(JIS K0068)に従って定量する。【0018】最終のフラッシュ塔の上流側に接続されている、他のフラッシュ塔(図1の1、2)の操作条件は、フラッシュ塔から得られる留分の凝縮液中の水の含有量が好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上となるような条件とする。このような条件とすることにより、留分の凝縮液を回収、再利用する際に、さらなる精製工程が不要となること、留分の凝縮液を廃棄する際においても、さらなる処理工程が不要となること、さらにはグリセリンの収率を改善できることから好ましい。ここで、留分の凝縮液中の水の含有量は、濃縮液中のグリセリン量、不純物(ジオール類)量をGC(ガスクロマトグラフィー)により定量し、全体より差し引いて求めた値である。【0019】これら条件を満足させるためには、フラッシュ塔の操作条件は、例えば塔内圧力については0.13〜40kPaの範囲において適宜選択できる。蒸発水の凝縮と真空設備の設計の観点から0.13kPa以上が好ましく、水の分離を十分に行う観点から40kPa以下が好ましい。【0020】直列に接続してなる2以上のフラッシュ塔で効率よく水分を除去するためには、第1塔より順に塔内圧力を低くすることが好ましい。具体的には、最終のフラッシュ塔以外のフラッシュ塔の塔内圧力を2.7〜40kPaとすることがより好ましく、6.5〜27kPaとすることが特に好ましい。これは、フラッシュ塔から留出する水分を容易に凝縮・回収させるためである。さらに好ましくは、最終のフラッシュ塔の塔内圧力を0.13〜1.3kPaとすることがより好ましく、0.26〜0.70kPaとすることが特に好ましい。【0021】フラッシュ塔の塔内温度については、塔内圧力により決定されるが、得られるグリセリンの匂い・色相の劣化を抑える観点から140℃以下とすることが好ましく、70〜140℃とすることがより好ましく、90〜130℃とすることが特に好ましい。【0022】本発明で使用することのできるフラッシュ塔としては、特に限定されないが、蒸発缶内部に加熱装置を有する水平多管型、バスケット型、あるいは蒸発缶外部に加熱装置を有する強制循環型、上昇薄膜型、流下液膜型等の蒸発装置が挙げられる。これらの中では、グリセリンの熱履歴を小さくする観点から、上昇薄膜型、流下液膜型の蒸発装置が好ましい。【0023】また、最終のフラッシュ塔、即ち、精留塔の直前のフラッシュ塔(図1の3)の留分凝縮液については、図1に示すように、粗グリセリンを供給するフラッシュ塔のフィードに供給することが好ましい。これは、凝縮液に含まれるグリセリンを収率改善のために回収利用するためである。グリセリンの回収利用という観点では、凝縮液の供給先は精留塔フィードでもよいが、凝縮液には水分も含まれるため、このような操作は精留塔フィードの水分量を増加させるため好ましくない。【0024】図1に示すように、直列に接続された2以上のフラッシュ塔を経て得られた、水分が0.1重量%以下となったフラッシュ塔のボトムフラクションを、次いで、精留塔(図1の4)に供給する。精留塔とフラッシュ塔とは、最終のフラッシュ塔のボトムフラクションが精留塔に供給されるように接続されている。精留塔での処理条件は、高純度の精製グリセリン、例えば、グリセリン中の総不純物量が好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、かつ個々の不純物量が0.1重量%以下、好ましくは0.08重量%となる条件が好ましい。【0025】精留塔の操作条件は、塔底圧力を0.13〜0.90kPaとし、0.26〜0.73kPaが好ましく、0.26〜0.53kPaがより好ましい。かかる操作条件はグリセリンの熱履歴を軽減する目的から決定される。即ち、グリセリンの匂い・色相の劣化を防ぐ観点から、塔底温度は160℃以下が好ましく、したがってグリセリンの蒸気圧物性より塔底圧力は0.90kPa以下が好ましい。また、真空設備の設計条件および塔の圧力損失と塔径を考慮した場合、塔底圧力は0.13kPa以上が好ましい。【0026】さらに好ましくは、塔頂圧力を0.13〜0.40kPaとし、塔頂と塔底との間の圧力損失を0.13〜0.80kPaとする。塔頂圧力については、塔底部との間に圧力損失が存在することからより低いほうが好ましいが、設備面の点から0.13kPa以上が好ましい。また、圧力損失を考慮して、塔底部温度を上昇させない観点から0.40kPa以下が好ましい。さらに、塔内圧力損失についても、設備の大型化を抑制する観点から0.13kPa以上が好ましい。また、塔底部温度を上昇させない観点から0.80kPa以下が好ましい。なお、塔頂圧力については0.13〜0.33kPaが好ましく、0.13〜0.27kPaがより好ましい。また、上記圧力損失については0.13〜0.53kPaが好ましく、0.20〜0.40kPaがより好ましい。【0027】また、精留塔の段数については、リボイラー、コンデンサーを除き4段以上とすることが好ましく、6〜10段がより好ましく、6〜8段が特に好ましい。段数があまりに小さい場合、目的とするグリセリン純度を満足させるために還流比を大きく設定する必要が生じ、その結果、経済性で劣るだけでなく、グリセリンの熱履歴を増大させて匂い・色相という品質面でも不利になる。よって、精留塔の段数は4段以上が好ましい。また、装置の製造費の観点から、その段数は10段以下が好ましい。ここで、精留塔の段数とは、理論段数を塔効率で割った値であり、理論段数とは、その段を去る蒸気と液の組成が互いに平衡であるような段をいう。【0028】本発明で使用することのできる精留塔としては、塔内部に泡鐘トレイ、多孔板トレイ、あるいはバルブトレイの様な段を有する棚段型のもの、また、ラシヒリング等の不規則充填物を充填した充填塔型のもの、あるいはスルザーパッキング等の規則充填物を充填した充填塔型のものが考えられる。中でも圧力損失や熱履歴の観点から、規則充填物の充填塔が好ましい。【0029】精留塔のフィード位置については特に限定されないが、塔内の構造を簡略化する観点より、塔頂部フィードとすることが好ましい。精留塔の塔頂部コンデンサーは、塔頂真空度が高いことにより部分凝縮器であることが好ましく、コンデンサーにて凝縮されない蒸気のみを留分として排出し、凝縮液は全て還流として塔内に戻す形態とすることが好ましい。さらに、コンデンサーは塔内設置型とし、可能なかぎり圧力損失を低減することが好ましい。さらに好ましくは、コンデンサーでの冷却温度を80〜130℃とし、凝縮液を過冷却されることなく還流に供する。【0030】塔頂部コンデンサーで凝縮されない蒸気は、後に続くアフターコンデンサーにて凝縮される。凝縮液には、水分以外の不純物、特にジオール等が濃縮される。グリセリン収率を改善するためには、凝縮液中のグリセリン含有量を第1フラッシュ塔へのフィードグリセリン量の好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下になるよう、精留塔塔頂温度や留出量を求めれば良い。【0031】【実施例】実施例1天然油脂のエステル交換反応を経て得られたグリセリン含有溶液を、公知の酸分解、濾過、水の添加、油分離、活性炭処理及びイオン交換処理に付して粗グリセリンを得た。組成を表1に示す。組成の測定は、グリセリン及びジオール類をGCにより定量し、水分量についてはカールフィッシャー滴定法(JIS K0068)によって実施した。【0032】【表1】【0033】表1中、3M-PD は3−メトキシ−1,2−プロパンジオールを、2M-PD は2−メトキシ−1,3−プロパンジオールを、1,2-PDは1,2−プロパンジオールを、そして1,3-PDは1,3−プロパンジオールをそれぞれ示す。【0034】粗グリセリンを、直列に接続された3基のフラッシュ塔とそれに続く精留塔とからなる製造装置に供給して、グリセリンの製造を行った。ここで、各塔のボトムフラクションが次の塔に供給されるように、各塔間を接続した。各塔の操作条件及び得られたグリセリンの品質を、表2、表3に示す。【0035】得られたグリセリン中のジオールの定量はGC(スペルコ社製、OVI−G43カラム)によって実施した。得られたグリセリンの色相(APHA)はJISK3351に規定される色相測定方法によって求めた。還流比は塔頂部コンデンサーで凝縮し、塔内に戻る液量(還流流量)を塔頂部より留出する蒸気量で除した値を示す。また、グリロスとは本グリセリン製造装置におけるグリセリンの損失割合を意味し、精留塔より留出する蒸気中に含まれるグリセリン流量を粗グリセリン中に含まれるグリセリン流量で除して求めた。【0036】また、第1フラッシュ塔および第2フラッシュ塔は、上昇薄膜型であった。最終フラッシュ塔は、流下液膜型であった。精留塔は、規則充填物を用いた充填塔であった。【0037】【表2】【0038】実施例2、3精留塔の段数以外は実施例1と同様の方法にてグリセリンの製造を行った。【0039】実施例4天然油脂のエステル交換反応を経て得られた、グリセリンを含有する溶液を、酸分解、濾過、油分離、活性炭処理及びイオン交換処理に付して粗グリセリンを得た。組成を表1に示す。粗グリセリンを、直列に接続された2基のフラッシュ塔とそれに続く精留塔とからなる製造装置に供給して、グリセリンの製造を行った。ここで、各塔のボトムフラクションが次の塔に供給されるように、各塔間を接続した。各塔の操作条件及び得られたグリセリンの品質を、表2、表3に示す。【0040】実施例5、6精留塔の塔内圧力又は段数以外は実施例3と同様の方法にてグリセリンの製造を行った。【0041】実施例7天然油脂の加水分解反応を経て得られた、グリセリンを含有する溶液を、油分離、活性炭処理及びイオン交換処理に付して粗グリセリンを得た。組成を表1に示す。粗グリセリンを、直列に接続された3基のフラッシュ塔とそれに続く精留塔とからなる製造装置に供給して、グリセリンの製造を行った。ここで、各塔のボトムフラクションが次の塔に供給されるように、各塔間を接続した。各塔の操作条件及び得られたグリセリンの品質を、表2、表3に示す。【0042】【表3】【0043】上記のように、本発明の製造方法により、不純物含有量が少なく、かつ臭気・色相に優れたグリセリンを得ることができる。これらはいずれもさらなる製造工程が不要なまでに純度が高いものである。【0044】比較例1フラッシュ蒸留の操作条件以外は実施例1と同様の方法にてグリセリンの製造を行った。各塔の操作条件及び得られたグリセリンの品質を表4に示す。フラッシュ塔内温度がより高い場合、それ以外の操作条件を本発明の範囲内としても、得られたグリセリンの品質は悪く、匂いが劣化していた。【0045】比較例2精留塔の塔内圧力以外は実施例4と同様の方法にてグリセリンの製造を行った。各塔の操作条件及び得られたグリセリンの品質を表4に示す。精留塔の塔底圧力が0.90kPaを超え、塔内温度が160℃以上となることにより、得られたグリセリンの匂い・色相はともに劣化していた。【0046】【表4】【0047】【発明の効果】本発明の製造方法により、含有不純物量が著しく低減され、かつ色相・匂いに優れた精製グリセリンを得ることが可能となる。かつ、工程から排出される水分についても、さらなる精製工程が不要なまでに純度が優れ、回収・再利用あるいは廃棄が容易となる。さらにはグリセリン収率を改善することが可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、本発明の製造方法の概略のフロー図である。【符号の説明】1 粗グリセリンを供給するフラッシュ塔(第1フラッシュ塔)2 フラッシュ塔3 最終フラッシュ塔4 精留塔 グリセリン、ジオール及び水を含有してなる粗グリセリンからグリセリンを製造する方法であって、 直列に接続してなる2以上のフラッシュ塔と最終のフラッシュ塔に接続している精留塔とからなり、各フラッシュ塔のボトムフラクションが次の塔に供給されるように構成されてなる製造装置に粗グリセリンを供給し、かつ フラッシュ塔の塔内圧力を0.13〜40kPa、塔内温度を140℃以下とし、最終のフラッシュ塔のボトムフラクションの水分を0.1重量%以下とし、精留塔の塔底圧力を0.13〜0.90kPaとし、そして精留塔のボトムから精製グリセリンを得る、グリセリンの製造方法。 最終のフラッシュ塔の上流側に接続されている、他のフラッシュ塔から得られる留分の凝縮液中の水の含有量が98重量%以上となるようにフラッシュ蒸留を行う請求項1記載の製造方法。 粗グリセリンを供給するフラッシュ塔のフィードに最終のフラッシュ塔の留分の凝縮液を供給する請求項1又は2記載の製造方法。 精留塔の塔頂圧力を0.13〜0.40kPaとし、塔頂と塔底との間の圧力損失を0.13〜0.80kPaとする請求項1〜3いずれか記載の製造方法。 精留塔の段数を4段以上とする請求項1〜4いずれか記載の製造方法。 粗グリセリンが天然油脂のエステル交換反応を経て得られた粗グリセリンである請求項1〜5いずれか記載の製造方法。 粗グリセリンが酸分解、濾過、水の添加、油分離、活性炭処理及びイオン交換処理に付して得られた粗グリセリンである請求項1〜6いずれか記載の製造方法。


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