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タイトル:特許公報(B2)_ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法および発光試薬
出願番号:1999516581
年次:2005
IPC分類:7,C12Q1/26,C12N9/02


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龍福 正行 田中 穂積 竹内 秀行 JP 3679134 特許公報(B2) 20050520 1999516581 19980828 ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法および発光試薬 東洋インキ製造株式会社 小林 正明 龍福 正行 田中 穂積 竹内 秀行 JP 1997235740 19970901 20050803 7 C12Q1/26 C12N9/02 JP C12Q1/26 C12N9/02 7 C12Q 1/26 C12N 9/02 BIOSIS/WPIDS(STN) CA(STN) 特表平06−500921(JP,A) 特開平01−262791(JP,A) 特開平1−141592(JP,A) 国際公開第95/27797(WO,A1) 6 JP1998003833 19980828 WO1999011766 19990311 6 20020530 佐久 敬 技術分野本発明は、発光反応を安定化させたルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法およびルシフェラーゼアッセイ試薬に関する。本発明のルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法およびルシフェラーゼアッセイ試薬は、ルシフェラーゼ酵素をレポーターおよびシグナルとしたあらゆるアッセイ系に適用される。背景技術従来、in vitroでのルシフェリン/ルシフェラーゼによる発光反応においては、その発光パターンはフラッシュ状に観察されるものであった。このため、試薬注入の特別な機構を持つ装置を用いなければ発光反応を正確に測定することができなかった。しかし、K.V.Woodらは反応系にCoA(コエンザイムA)を添加することによって、発光の半減期が5分間と比較的長い発光系を確立した(Wood,K.V. Recent advantage and prospects for beetle luciferase as genetic reporters. In: Bioluminescence and Chemiluminescence current states. Proceeding of the th International Symposium on Bioluminescence and Chemiluminescence, Cambridge, September 1990. p.543. Ed. by P.Stanley and L.J.Kricka.)。これによりルシフェリン/ルシフェラーゼ系におけるる発光量の正確な測定が試薬の自動注入装置を持たないルミノメーターや液体シンチレーションカウンターによっても可能となった。これにより、培養細胞の中でレポーターとして発現されたルシフェラーゼを高感度で測定するレポーターアッセイ法が広く用いられるようになった。しかし、薬剤の開発に向けたHigh Through-Putスクリーニング等にレポーターアッセイを適用する場合、5分間の発光半減期では十分ではなく、例えば96ウエルを用いた多検体のサンプルには依然、発光試薬を多数回添加してその度ごとに測定をしなければならない等、操作および測定上さまざまな制約が生じている。また、発光試薬に含まれる発光基質のルシフェリンは、保存中に溶液中で酸化を受け易く、これによって生じるオキシルシフェリンはルシフェラーゼの酵素反応を阻害してしまうことが広く知られている。これまでのルシフェリンを発光基質として含む発光試薬では、ルシフェリンの酸化による発光活性の劣化が大きな問題となっており、ルシフェラーゼをレポーターとしたアッセイのさらなる用途の拡大を妨げている。このため、新しい安定化法の開発が期待されている。本発明は、発光反応の半減期を延長したルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法、およびルシフェラーゼアッセイ試薬の提供を目的とする。本発明はさらに、発光活性の劣化を抑制し、安定した発光反応を期待できるルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法、およびルシフェラーゼアッセイ試薬の提供を目的とする。発明の開示本発明は、二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたルシフェリン含有溶液とルシフェラーゼとを反応させることを特徴とするルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法を提供する。更に本発明は、ルシフェリン含有溶液のpHを5.0から8.5の範囲に調整する上記ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法を提供する。更に本発明は、ルシフェリン含有溶液が、ドライアイスの添加により二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたものである上記ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法を提供する。更に本発明は、ルシフェリン含有溶液が、二酸化炭素ガスを吹込み二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたものである上記ルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法を提供する。更に本発明は、二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたルシフェリン含有溶液を備えたルシフェラーゼアッセイ試薬を提供する。更に本発明は、乾燥ルシフェリンを含む第1成分と二酸化炭素の溶存量を有効量増加させ溶液からなる第2成分とを備えたルシフェラーゼアッセイ試薬を提供する。発明を実施するための最良の形態本発明においてルシフェラーゼとは、ホタル・ルシフェラーゼを始め、シーパンジー(Renilla)・ルシフェラーゼ、ウミホタル・ルシフェラーゼ等生物発光に関わるあらゆるルシフェラーゼを含む。本発明においてルシフェリンとは、ホタル・ルシフェラーゼを始め、シーパンジー(Renilla)・ルシフェラーゼ、ウミホタル・ルシフェラーゼ等生物発光に関わるルシフェラーゼに対応する発光基質を意味する。本発明のルシフェラーゼの発光試薬であるルシフェリン溶液中の溶存二酸化炭素量を増加させる方法としては、炭酸ガスあるいはドライアイスを添加する方法が好ましい。重炭酸ソーダなど水に添加することによりガスを発生する無機の化合物をも添加する方法も例示されるが、微生物等の生物に障害を与えることが少なく、また化学反応等が生じることがない炭酸ガスあるいはドライアイスの使用が好ましい。炭酸ガスの使用によりルシフェラーゼの発光反応は長時間にわたり持続し、同時に溶液中の発光基質ルシフェリンを溶存酵素による酸化劣化から保護することができる。本発明において発光溶液のpHの制御方法としては、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、プロピオン酸、粘液酸、安息香酸、マレイン酸、コハク酸、フマール酸等の有機酸、又は苛性ソーダ、苛性カリ、アンモニア水、炭酸ソーダ、炭酸カリ等の無機アルカリ性化合物、アニリン、ピリジン、イミダゾール、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機塩基を添加する。pH5〜8.5の好ましいpH値に制御することにより、発光反応の経過でアルカリ側へのシフトを抑えルシフェラーゼの酵素活性保持に寄与させることができる。発光反応は、pH5.0〜8.5の範囲外では極端に阻害されてしまうが、この範囲内ではpHが高い場合には強い発光量が得られるが半減期は短くなり、反対に低いpHの場合は発光量が低いが長時間の発光半減期を得ることができる。つまり、pHとその緩衝成分との組み合わせにより、同一組成の発光溶液による発光量と発光の半減期をある程度調節することが可能である。なおpHを制御する緩衝液成分はルシフェラーゼ活性を阻害しないものならいずれでもよく、これにはトリス−硫酸、クエン酸、コハク酸、など一般的な緩衝剤を始め、HEPESやMESなどのグッド緩衝剤、GTAなどの広域緩衝剤も含まれる。緩衝成分の濃度は、発光の開始から発光が半減する時間まで十分にpHを所定範囲に保ちうる濃度であればよい。本発明のルシフェラーゼアッセイ試薬は、ルシフェラーゼを含むサンプルと混合した際に反応が開始され、発光反応に関与する発光基質等の成分が測定されるルシフェラーゼを発光させるに十分な濃度であるようにする。発光試薬としては凍結品と凍結乾燥品のキットがある。凍結品としてはルシフェリン、ATP、CoA、緩衝液成分、マグネシウムイオン等を含む成分を凍結したもので、凍結前に溶液へ二酸化炭素を強制的に溶存させる。凍結品は約−70℃で保存し、解凍後十分に室温に戻した後に使用する。凍結乾燥品のキットは、ルシフェリン、ATP、CoAを含む溶液を凍結乾燥した第1成分と、緩衝液成分、マグネシウムイオンを含む溶液からなる第2成分とからなり、使用直前に第1成分と第2成分を混合する。この場合は、第2成分である溶液に二酸化炭素を強制的に溶存させ、密封して保存する。凍結乾燥品と溶液成分は冷凍保存し、室温に戻してから混合して使用する。凍結品、凍結乾燥品のどちらの形態のものであっても、溶液の状態として室温で24時間、冷蔵(4℃)で1ヶ月間は、ほとんど発光性能を失うことなく保存させることができる。次に、本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説明する。実施例1「ピッカジーン発光キット(東洋インキ製造株式会社製:製品番号PGL100)」のルシフェラーゼアッセイ試薬10mlにpHを6.7に調製したGTA緩衝液を終濃度100mMとなるように加えた。続いてドライアイスを発光試薬10mlに対して1g加え、ドライアイスを完全に気化させる。続いてルシフェラーゼの安定剤として、グリセロールを終濃度1%となるように加え、よく混和し発光溶液を調製した。ルシフェラーゼを100ng/ml含む酵素溶液を、ルミノメーター(Berthold製 LB9506)用の測定キュベットに10μl採った。続いて、調製した上記の発光溶液を100μl添加し、即座にルミノメーターにセットし、試薬添加直後(0分)から7時間(420分)後まで、経時の発光量を測定した。上記発光試薬による発光反応では、開始してから5分後に発光量(RLU/秒)は上昇傾向にはあるがほぼ一定値を取って安定化し、30分後にピークを迎え徐々に減衰する。その後2時間を経過した時点で最大発光量の50%となり半減期を迎えた。なおルシフェラーゼ酵素溶液を希釈し、10ng(10-9g)から1fg(10-15g)の範囲で添加したところ、上記発光溶液によって10fgまでのルシフェラーゼ酵素が検出できた。また調製した発光溶液を3回の凍結解凍を行ったところ、発光活性の低下はほとんど認められなかった。また4℃で1ヶ月保存したものについても活性の低下は生じなかった。実施例2「ピッカジーン発光キット(東洋インキ製造株式会社製:製品番号PGL100)」のルシフェラーゼアッセイ試薬10mlにpHを6.3に調製したクエン酸緩衝液を終濃度100mMとなるように加えた。続いてドライアイスを発光試薬10mlに対して1g加え、ドライアイスを完全に気化させた。続いてルシフェラーゼの安定剤として、グリセロールを終濃度1%となるように加え、よく混和し発光溶液を調製した。ルシフェラーゼを100ng/ml含む酵素溶液を、ルミノメーター(Berthold製 LB9506)用の測定キュベットに10μl採取した。続いて、調製した上記の発光溶液を100μl添加し、即座にルミノメーターにセットし、試薬添加直後(0分)から7時間(420分)後まで、経時の発光量を測定した。上記発光試薬による発光反応では、開始してから10分後に発光量(RLU/秒)はほぼ一定値を取って安定化し、60分後にピークを迎え徐々に減衰した。その後7時間を経過した時点でも最大発光量の67%の発光量を維持した。なおルシフェラーゼ酵素溶液を希釈し、10ngから1fgの範囲で添加したところ、上記発光溶液によって100fgのルシフェラーゼ酵素が検出できた。また調製した発光溶液を3回の凍結解凍を行ったところ、発光活性の低下はほとんど認められない。また4℃で1ヶ月保存したものについても活性の低下は生じなかった。実施例3「ピッカジーン発光キット(東洋インキ製造株式会社製:製品番号PGL100)」のルシフェラーゼアッセイ試薬10mlにpHを6.7に調製したGTA緩衝液を終濃度100mMとなるように加える。続いて炭酸ガスをガス導入管を用いて流量20ml/minで試薬溶液の中に軽くバブリングして約3分間吹き込んだ。ルシフェラーゼの安定剤として、グリセロールを終濃度1%となるように加え、よく混和し発光溶液を調製した。ルシフェラーゼを100ng/ml含む酵素溶液を、ルミノメーター(Berthold製 LB9506)用の測定キュベットに10μl採取した。続いて、調製した上記の発光溶液を100μl添加し、即座にルミノメーターにセットし、試薬添加直後(0分)から7時間(420分)後まで、経時の発光量を測定した。上記発光試薬による発光反応では、開始してから5分後に発光量(RLU/秒)は上昇傾向ではあるがほぼ一定値を取って安定化し、30分後にピークを迎え徐々に減衰した。その後2時間を経過した時点で最大発光量の50%となり半減期を迎えた。なおルシフェラーゼ酵素溶液を希釈し、10ngから1fgの範囲で添加したところ、上記発光溶液によって10fgまでのルシフェラーゼ酵素が検出できた。また調製した発光溶液を3回の凍結解凍を行ったところ、発光活性の低下はほとんど認められなかった。また4℃で1ヶ月保存したものについても活性の低下は生じなかった。比較例1ルシフェラーゼを100ng/ml含む酵素溶液を、ルミノメーター(Berthold製 LB9506)用の測定キュベットに10μl採取し、従来の発光試薬として「ピッカジーン発光キット(東洋インキ製造株式会社製:製造番号PGL100)」を調整し100μlをこれに添加した。即座に測定キュベットをルミノメーターにセットし、試薬添加直後(0分)から7時間(420分)後まで、経時の発光量を測定した。発光反応の開始から非常に高い発光量が得られるが、およそ5分間で半減期を迎え、反応開始2時間を経過した時点で最大発光量(RLU/秒)の1.4%まで減衰し、7時間を経過した時点で最大発光量(RLU/秒)の0.17%にまで減衰した。また調製した発光溶液を3回の凍結解凍を行ったところ、発光活性は90%に低下した。さらに4℃で1ヶ月保存したものについては活性は10%以下に低下した。実施例および比較例における測定結果を表1に示した。従来の方法と比較して、発光の持続性と安定性について良好な結果を得ることができた。注:1ng/10μlのルシフェラーゼ溶液に対し、各々100μlの発光試薬を添加し、反応開始直後からの経時発光量をBerthold社製LB9506ルミノメーターで測定し、単位秒あたりの相対発光量(RLU/s)を測定した。産業上の利用可能性本発明により調製した発光溶液を用いた場合、ルシフェラーゼの検出感度が1fg、発光半減期が5分間である従来のものと較べ、高いpHに設定したものでは検出感度が10fgで半減期が20倍以上、低いpHに設定したもので検出感度が100fgで半減期が90倍以上を達成でき、発光の安定性が飛躍的に向上される。以上のように、本発明によれば、迅速性と高感度を特徴としていた従来のルシフェラーゼの発光測定法に代わり、持続性と安定性に優れた発光測定法が提供される。 二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたルシフェリン含有溶液とルシフェラーゼとを反応させることを特徴とするルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法。 ルシフェリン含有溶液のpHを5.0から8.5の範囲に調整することを特徴とする請求の範囲第1項記載のルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法。 ルシフェリン含有溶液が、ドライアイスの添加により二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載のルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法。 ルシフェリン含有溶液が、二酸化炭素ガスを吹込み二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載のルシフェリン/ルシフェラーゼ系の発光方法。 二酸化炭素の溶存量を有効量増加させたルシフェリン含有溶液を備えたことを特徴とするルシフェラーゼアッセイ試薬。 乾燥ルシフェリンを含む第1成分と二酸化炭素の溶存量を有効量増加させた溶液からなる第2成分とを備えたことを特徴とするルシフェラーゼアッセイ試薬。


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