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タイトル:特許公報(B2)_ルイス酸を用いた反応の後処理方法
出願番号:1999373474
年次:2011
IPC分類:C07B 63/00,C07C 67/36,C07C 69/732,C07D 239/52


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石井 裕 JP 4669097 特許公報(B2) 20110121 1999373474 19991228 ルイス酸を用いた反応の後処理方法 日本曹達株式会社 000004307 廣田 雅紀 100107984 松橋 泰典 100113860 石井 裕 20110413 C07B 63/00 20060101AFI20110324BHJP C07C 67/36 20060101ALI20110324BHJP C07C 69/732 20060101ALI20110324BHJP C07D 239/52 20060101ALI20110324BHJP JPC07B63/00 BC07C67/36C07C69/732 ZC07D239/52 C07B 63/00 C07C 67/36 C07C 69/732 C07D 239/52 特表平07−501561(JP,A) 国際公開第00/040537(WO,A1) Chem. Pharm. Bull.,1983年,31(6),p.1896-1901 Tetrahedron Letters,1999年,40,p.4227-4230 Tetrahedron Letters,1997年,38,p.8727-8730 5 2001187752 20010710 5 20060710 安田 周史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、有機溶媒中でのルイス酸及びルイス塩基を用いたアルドール反応またはクライゼン縮合反応の後処理方法に関し、更に詳しくは低級の有機酸を用いることを特徴とする後処理方法に関する。【0002】【従来の技術】アルドール反応、又はクライゼン縮合反応は、炭素−炭素結合生成反応として有用であり、中でもルイス酸、ルイス塩基を用いた系は、操作性がよく、反応条件が温和であることから好適に用いられている。通常反応は、エステル又はケトンと反応させるエステル、ケトン又はアルデヒド中に低温下ルイス酸、ルイス塩基を加えることにより行われる。この場合、反応生成物はβ−ケトエステル構造、又はβ−ヒドロキシケトン構造を有していることから、反応生成物は反応に関与したルイス酸が配位した形で得られてくることになる。【0003】即ち、反応生成物を加水分解し、ルイス酸を脱離させて最終生成物が得られてくることとなる。しかし、反応生成物であるルイス酸との複合体は、その構造によっては水だけでは加水分解しにくい場合がある。更にルイス酸自身の加水分解も不十分でその部分加水分解生成物同士が縮合しオリゴマーを形成する場合がある。このような状態で有機溶媒を加え、最終生成物を有機層に抽出しようとする場合、これらの化合物が一種の乳化剤の役割をして系が懸濁し、分液することが不可能になることがある。更に、これらの反応の後処理中、加水分解を促進するためpHを極端に酸性側もしくはアルカリ側にすると、得られアルドールの水酸基が脱離したり、得られたケトエステルにおいて脱アシル化するなどの副反応を引き起こし収率が低下したり、構造によっては必ずしも分液性が向上するとは限らない場合があった。このため、従来、後処理においてpH7のリン酸緩衝液等がよく用いられいた。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかし、リン酸緩衝液は、高価であり、廃水処理の上でも工業的に使用することは困難であった。そこで、本発明は、ルイス酸を用いたアルドール反応又はクライゼン縮合反応の後処理において、工業的にも安価で廃液処理の問題もなく簡便な操作で、加水分解を促進し、分液性を向上させる処理方法を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応液を水で処理する前に酢酸を所定量加えることにより、その後の分液性を飛躍的に向上させることができることを見出し、本発明を完成するにいたった。【0006】即ち、本発明は、有機溶媒中でのルイス酸及びルイス塩基を用いたアルドール反応またはクライゼン縮合反応の後処理において、反応液に炭素数1〜4の有機酸を加えた後に水を加え、分液性を向上させたことを特徴とする反応の後処理方法(請求項1)に関する。【0007】詳しくは、炭素数1〜4の有機酸を用いるルイス酸の2.5倍モル以上用いることを特徴とする請求項1に記載の後処理方法(請求項2)、又は炭素数1〜4の有機酸が酢酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応の後処理方法(請求項3)に関する。【0008】更に、ルイス酸が四塩化チタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかにに記載の反応の後処理方法(請求項4)、塩基がトリエチルアミンであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の反応の後処理方法(請求項5)、又はクライゼン縮合反応が、置換フェニル酢酸エステルとギ酸エステルとの縮合反応であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反応の後処理方法(請求項6)に関する。【0009】【実施の形態】本発明の反応の後処理方法は、有機溶媒中のルイス酸及びルイス塩基を用いたアルドール反応またはクライゼン縮合反応の後処理に有効な方法である。アルドール反応に用いる基質としては、種々のケトンを用いることができる。具体的には、アセトフェノン、フェニルエチルケトン、フェニルアセトキシメチルケトン、エチルメチルケトン、n−プロピルエチルケトン、シクロヘキサノン等を例示することができる。また、基質に反応させる化合物としては、種々のケトン又はアルデヒドをを用いることができる。具体的には、アセトフェノン、フェニルエチルケトン、フェナシルクロライド、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンツアルデヒド、イソプロピルアルデヒド、n−プロピルアルデヒド等を例示することができる。【0010】クライゼン縮合反応に用いる基質としては、エステルのα位がメチレンである種々のエステルを用いることができる。具体的には、フェニル酢酸アルキルエステル、3−フェニルプロピオン酸エステル、アジピン酸ジエステル等を例示することができる。また、基質の反応させる化合物としては、種々のエステル、特にα位がメチレンでないエステルを用いることができる。具体的には安息香酸エステル、ギ酸エステル、α−クロロプロピオン酸エステル等を例示することができる。特に、基質として置換フェニル酢酸エステル、基質として反応させる化合物としてギ酸エステルを用いてクライゼン縮合反応を行い、α−ホルミル−置換フェニル酢酸エステルを合成した場合の後処理において本発明の後処理方法が有効である。【0011】アルドール反応、及びクライゼン縮合反応に用いられる有機溶媒としては、用いるルイス酸に悪影響を及ぼさない溶媒であれば、特に制限されず、具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等を例示することができ、これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。特に、塩化メチレン、クロロベンゼンが好ましい。【0012】アルドール反応、及びクライゼン縮合反応に用いられるルイス酸としては、特に制限されないが、中でも二座以上の配位能力のあるルイス酸が好ましい。具体的には、三弗化ホウ素、塩化アルミニウム、メチルジクロロアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリメチルアルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、四塩化チタン、ジクロロチタンビストリフレート、ビスシクロペンタジエニルチタニウムビストリフレート、ジクロロチタニウムビスフルオロスルホネート、四塩化スズ、スズ(II)ビストリフレート等を例示することができる。また、四塩化チタンを触媒量のメタンスルホン酸トリメチルシリルエーテルと組み合わせることでも使用することもできる。【0013】アルドール反応、及びクライゼン縮合反応に用いられる塩基としては、特に制限はされず、具体的には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、テトラメチレンジアミン、N−エチルピペリジン、ジアザビシクロ[2,2,0]ウンデセン、ジアザビシクロ[3,3,0]オクタンと等を例示することができる。用いるルイス酸、ルイス塩基の組み合わせは、反応させる化合物の組み合わせによって適宜選択することができるが、中でも四塩化チタン−トリエチルアミンの組み合わせが好ましい。【0014】後処理に用いる炭素数1〜4の有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を例示することができるが、廃液の処理、価格を考慮すると工業的には酢酸が好ましい。【0015】本発明にアルドール反応、及びクライゼン縮合は、通常、反応基質及び、基質に反応させる化合物を有機溶媒に溶解し、低温で、ルイス酸を加え、更に塩基を加えることにより反応させその後後処理を行う。通常基質に反応させる化合物を基質に対して1.0〜1.2当量、ルイス酸を基質に対して1〜1.5当量、塩基を2〜3当量用いるのが好ましい。反応は、−70℃〜40℃の範囲で行われる。原料が消失した時点で、反応を停止させるわけだが、先に述べたように、通常他の反応で行うようにいきなり水を加えたり、水に投入する方法では、後に行う分液操作において、系全体が懸濁し有機層と水層の分離が困難となる場合がある。本発明の特徴は、炭素数1〜4有機酸をまず加えその後水を加えることであり、この後の分液操作における分液性を格段に向上させることができる。原因の詳細について、詳しいことはわかっていないが、おそらくルイス酸上がアセトキシ基で置換されることにより後の加水分解が容易に進行するためであると推定している。用いる有機酸の量は、用いるルイス酸に対して2.5倍モル以上が好ましい。2.5倍モル以下では分液性を向上させる効果が小さく、最低限2.5倍モルあれば充分の効果が得られる。2.5倍モル以上用いることもできるが、効果の面で大きな変化は見られない。有機酸を加える際、多少の発熱が見られるので急激な温度上昇を抑える方が好ましい。この場合有機酸を含む水溶液を加えても分液性を向上させることはできない。【0016】以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は実施例に限定されるものではない。【0017】【実施例】実施例1四塩化チタン8.54gの15mlのクロルベンゼン溶液中に、ギ酸メチル2.70gを10℃以下で加えた。次いで、反応液を10℃以下に保ちながら2−ブロモメチルフェニル酢酸メチル7.29gの15mlのクロルベンゼン溶液を加えた。更に10℃以下で30分間撹拌後、トリエチルアミン9.10gを10℃以下で加え、30分間反応させた。反応液にクロルベンゼン15mlを加えて、次いで酢酸1.82gを滴下した。水12mlを添加後、室温で1時間撹拌し有機層を分液した。水量は四塩化チタンに対して270ml/molであり、分液状態は良好であった。有機層は更に2規定塩酸18mlで洗浄した。有機層を減圧留去により濃縮乾燥させて2−(2−ブロモメチルフェニル)−3−ヒドロキシアクリル酸メチルのモノクロルベンゼン溶液を得た。(収率94%)【0018】実施例2窒素雰囲気下、78mlのクロルベンゼンを−5℃に冷却した。四塩化チタン22.2gを加え、ギ酸メチル7.03gを滴下した。次いで41.4%の2−(2−イソプロポキシ−6−トリフロロメチルピリミジン−4−イルオキシメチル)フェニル酢酸メチルのクロルベンゼン溶液72.4gを加えた。−5℃で30分撹拌後にトリエチルアミン23.7gを滴下した。30分間熟成した後に酢酸14.1gを滴下した。室温で30分間撹拌を続け、水31mlをゆっくりと加えた。更に30分間室温で撹拌した後に反応液を250mlのメスシリンダーに移した。水層と有機層か分離するまでの時間を計測したところ20分であった。有機層は更に2規定塩酸18mlで洗浄した。有機層を減圧留去により濃縮乾燥させて2−(2−イソプロポキシ−6−トリフロロメチルピリミジン−4−イルオキシメチル)−3−ヒドロキシアクリル酸メチルのモノクロルベンゼン溶液を得た。(収率96%)【0019】【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法を用いれば、工業的にもよく用いられるアルドール反応又はクライゼン縮合反応の後処理後の有機層と水層を分離する工程において、分液性を格段に向上させることができ、作業時間の短縮等工業的製造工程の効率化に寄与し、しかも分液による収率の損失を最小限に抑えることが可能となった。 有機溶媒中でのルイス酸及び塩基を用いたアルドール反応またはクライゼン縮合反応の後処理において、反応液にルイス酸の2.5倍モル以上の炭素数1〜4の有機酸を加えた後に水を加え、分液性を向上させたことを特徴とする反応の後処理方法。 炭素数1〜4の有機酸が酢酸であることを特徴とする請求項1に記載の反応の後処理方法。 ルイス酸が四塩化チタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応の後処理方法。 塩基がトリエチルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反応の後処理方法。 クライゼン縮合反応が、置換フェニル酢酸エステルとギ酸エステルとの縮合反応であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反応の後処理方法。


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