生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_グリコシル化および非グリコシル化タンパク質の分離法
出願番号:1999358585
年次:2010
IPC分類:C07K 1/22,C07K 14/76,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

イュルゲン・レーミシュ イェルク・ヴァイセ ハーラルト・シュタウス アネッテ・フォイスナー JP 4565230 特許公報(B2) 20100813 1999358585 19991217 グリコシル化および非グリコシル化タンパク質の分離法 ノボザイムス バイオファーマ デーコー アクティーゼルスカブ 509198343 結田 純次 100127926 竹林 則幸 100140132 イュルゲン・レーミシュ イェルク・ヴァイセ ハーラルト・シュタウス アネッテ・フォイスナー DE 19858777:5 19981218 20101020 C07K 1/22 20060101AFI20100930BHJP C07K 14/76 20060101ALI20100930BHJP C12N 15/09 20060101ALI20100930BHJP JPC07K1/22C07K14/76C12N15/00 A C07K 1/00 - 1/36 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) WPI 特開昭56−040694(JP,A) J.Chromatogr.,Vol.575(1992)p.223-228 Clin.Chim.Acta,Vol.145(1985)p.205-211 BBA,Vol.1252(1995)p.209-216 J.Chromatogr.,Vol.165(1979)p.301-319 6 2000178298 20000627 6 20061130 上條 肇 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、グリコシル化および非グリコシル化タンパク質のクロマトグラフィー分離法に関する。【0002】【従来の技術】細胞内にて生じるタンパク質のグリコシル化は、タンパク質の安定化およびそれらの細胞受容体への結合に生理的に作用し、細胞活性化過程において役割を果たし得ることが知られている。タンパク質の非酵素的グリコシル化は細胞外でも起こりうるものであり、そのようなものは例えば糖尿病の場合において観察される。高い値のグリコシル化アルブミンは、糖尿病の患者の血漿中においてしばしば検出される。グリコシル化は、組換えタンパク質において特別な役目を果たす。従って、例えばヒトのタンパク質のアミノ酸配列と完全に一致する酵母細胞中で調製されるタンパク質は、適当なグリコシル化部位を有する場合には、概して顕著に異なるグリコシル化パターンを有する。これは、例えば血漿中において、組換えタンパク質の半減期の変更を導きうるものであり、タンパク質の連続投与においてアレルギー反応を引き起こす可能性がある。組換えタンパク質の発現において、タンパク質の一部のみグリコシル化されることが観察されるのは特別なことではなく、これは検出され、そしてタンパク質から除去されなければならない。しかし、タンパク質のグリコシル化変異体が好ましい産物である場合もありうることであり、これから非グリコシル化タンパク質を除去するべきである。【0003】【発明が解決しようとする課題】タンパク質の非グリコシル化変異体からグリコシル化変異体を分離することは、クロマトグラフィーまたは沈殿法など慣用の方法を用いて達成するのはしばしば非常に困難であり得る。アミノ酸にN−またはO−グリコシル化結合した糖は、しばしば等電点などのタンパク質の物理化学的特性をごくわずかに変化させるだけであり、例えばイオン交換クロマトグラフィーはほとんど役に立たない。しかし、ドイツ国特許出願第19856433.3号には、特異的糖構造を認識する固定化したレクチンが糖タンパク質の分離に有用であり、特定の試験系において吸着または検出試薬として用いることができると記載されている。しかし、基質のにじみ出しの危険性がたえずあり、その結果として放出されたレクチンが原因で、顕著な干渉が例えば細胞培養におけるような生物試験において生じうる。レクチンが免疫反応を引き起こすため、ヒトにおいて使用することができる薬剤の製造にこれらを用いることは提案されていない。【0004】【課題を解決するための手段】グリコシル化および非グリコシル化タンパク質を部分的または完全にクロマトグラフィー分離する方法を見出し、これはa) 基質(matrix)に固定化したトリアジン色素をグリコシル化および非グリコシル化タンパク質の混合物とインキュベートし、b) 次に基質を洗浄して、未結合のタンパク質を除去し、そしてc) イオン強度もしくはpHを段階的もしくは連続的に増加させることによって、またはグリコシル化もしくは非グリコシル化タンパク質が結合していない基質中を通し、対応する結合タンパク質が溶出されるような条件を選択することによってタンパク質を溶出させ、得られた溶出画分において、非グリコシル化タンパク質およびグリコシル化の度合いが増加しているタンパク質を互いに別々に収集する方法である。【0005】事実、一連のトリアジン色素を混合物からタンパク質を分離するのに使用できることは既に知られている(1)。これらはまた、アルブミンのような血漿タンパク質または酵母抽出物から得られる特異的酵母タンパク質を包含する。しかし、タンパク質のグリコシル化および非グリコシル化成分を分離する方法は新規であり、驚くべきものである。例えば、酵母または他の真核細胞において発現したアルブミンは部分的にグリコシル化されているため、非グリコシル化アルブミンからグリコシル化アルブミンを分離する方法を利用可能にする必要性がある。更に、組換えタンパク質の製造において、宿主細胞抽出物に含まれる細胞タンパク質もまた汚染物として得られるが、そのグリコシル化成分も同様に本発明による方法を用いて除去することができる。故に、酵母タンパク質の場合には、グリコシル化タンパク質、特にしばしばより大きいかまたはより小さい程度で複合するマンノース構造を有するものは、低濃度でもヒトにおいて免疫原効果を有していることが知られている。従って、ヒトに使用されることを意図するタンパク質からグリコシル化タンパク質を十分に除去することが必要である。【0006】本発明に従って使用されるべきトリアジン色素は、特にシバクロンおよびプロシオン色素よりなる群からの化合物である。トリアジン色素を、アガロース、架橋もしくは非架橋デキストラン、ポリアクリルアミドまたはセルロースのような担体基質に共有カップリングさせる方法もまた当業者に公知である(2,3,4)。カップリング方法は普通、単純で、迅速、且つ毒性化学物質を全く包含しない。トリアジン色素は高い化学的安定性によって特徴付けられ、適切な基質に使用されて、長期保存することができる。このタイプの色素基質は、タンパク質分解活性および他の潜在的干渉作用に対して高い安定性を示す。更に、上述の物質は比較的安価である。【0007】本発明による方法において、1つまたはそれ以上のタンパク質のグリコシル化および非グリコシル化変異体を含有する、1つまたはそれ以上のタンパク質の混合物をトリアジン色素基質と接触させ、基質を洗浄し、次いでタンパク質を溶出させる。増加する塩濃度の勾配を溶出に用いる。低下または上昇するpH勾配もまた連続的または段階的溶出に適する。この過程において、タンパク質は、そのグリコシル化成分から分離されて、そして分画される。【0008】本発明による方法の好ましい態様において、アルブミンをpH3.5〜10の範囲で色素基質と接触させ、洗浄し、そして塩濃度を増加させるかまたはpH勾配を増大させることによって段階的にまたは連続的に溶出させる。条件は、各グリコシル化または非グリコシル化タンパク質が未結合の基質中を流れる条件下において選択されるが、状況に従って個々の場合において決定され、そして例えばpHによって影響を受けうる。方法は、アルブミンを、好ましくはpH6〜10の範囲において、特に好ましくはリン酸緩衝液中で“Reactive Green 5(R)”として知られる固定化した色素と接触させるのが特に好ましい。基質を洗浄後、グリコシル化タンパク質が除かれたアルブミンは、塩濃度を上昇させることによって溶出される。次いでグリコシル化タンパク質は、イオン強度を更に増加させることによって回収することができる。【0009】pH3.5〜6.5の範囲においてアルブミン溶液と接触させるのが好ましい“Reactive Yellow 3(R)”の使用が特に好ましい。ここでもまた、グリコシル化アルブミンと非グリコシル化アルブミンの別々の溶出はイオン強度を増加させることおよび/またはpHを上昇させることによって実施することができる。更に、エチレングリコールまたはヌクレオチドのような添加剤を溶出に使用することができる。シバクロン・ブルー(R)のような他の色素基質も同様に使用することができる。本発明を下記の実施例によって説明する。【0010】【実施例】特定の発酵条件下において、トランスフェクションしたパン酵母において発現させたヒトアルブミンには少量のマンノシル化アルブミンが含有されうる。これはドイツ国特許出願第198 56 433.3号に記載されるように定量することができる。この方法において、レクチン コンカナバリンAは、マイクロタイタープレート上に固定化されて、マンノースを有するグリコシル化分子のスカベンジャーとして作用する。未結合の非グリコシル化アルブミンは洗浄にって除去され、結合したアルブミンを標識したモノクローナル抗体断片によって測定した。標準曲線を定量に用いた。【0011】この方法で調整した試料は、ゲル濾過によって20mM Na2HPO4,pH7.0の溶液中にもたらされ、70mgのアルブミンを次いで“Reactive Green 5(R)"アガロースカラム(Sigma;直径1.6cm,高さ10cm)に加えた。カラムを上述の緩衝液で洗浄した後、NaCl勾配(0.1M;0.2%/mlの勾配)を適用し、各々7.5mlの画分を収集した。各試料中のアルブミン濃度は、ピーク面積を積分して標準曲線における量を読みとることでSEC−HPLCによって定量した。グリコシル化アルブミンの量を上述のように決定した。全タンパク質に対するグリコシル化タンパク質の比率をパーセントで表した。【0012】結果は、図1として添付するクロマトグラムから見出すことができる。これは280nmにおける吸収、即ち特に光度計を通過するタンパク質の進路を示す。また、連続的塩勾配はイオン強度を測定することによって記録した。画分(破線)において検出可能なアルブミンのグリコシル化アルブミンの算出されたパーセント割合を続けて記録した。画分13〜22は、出発材料(0.52%)と比較して顕著に減少したグリコシル化タンパク質の量を含有すると理解されるのは明らかである。他方、明らかに増加した量のグリコシル化アルブミンは画分30(約 0.8%)および画分50〜53(1.34%)において見出された。【0013】全体的に、グリコシル化アルブミンと非グリコシル化アルブミンの分離の明らかな効果が示されており、例えばより緩やかな勾配を用いることによって更に至適化することができる。【0014】参考文献一覧:(1) Dean P.D.G., Watson D.H., J. Chromatogr. 1979; 165: 302-319.(2) Lowe C.R. et.al., Int. J. Biochem. 1981; 13: 33-40.(3) Atkinson T. et.al., Biochem. Soc. Trans., 1981; 9: 290-293.(4) Easterday R.L. et.al., Adv. Exp. Med. Biol. 1974; 42: 123-133.【図面の簡単な説明】【図1】全タンパク質に対するグリコシル化アルブミンの比率を表すクロマトグラムを示す。 a) 基質に固定化したトリアジン色素をグリコシル化および非グリコシル化タンパク質の混合物とインキュベートし、 b) 次いで基質を洗浄して未結合のタンパク質を除去し、そして c) イオン強度を段階的にもしくは連続的に増加させることによって、またはpHを段階的にもしくは連続的に増加もしくは減少させることによって、タンパク質を溶出させることからなる、得られた溶出画分における、非グリコシル化タンパク質およびグリコシル化の度合いが増加しているタンパク質を互いに別々に収集する、グリコシル化および非グリコシル化タンパク質の部分的または完全分離法。 基質がアガロース、架橋もしくは非架橋デキストラン、ポリアクリルアミドまたはセルロースよりなる、請求項1に記載の方法。 シバクロン色素またはプロシオン色素よりなる群からの化合物をトリアジン色素として用いる、請求項1または2に記載の方法。 タンパク質混合物をpH3.5〜10の範囲でトリアジン色素基質とインキュベートする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 グリコシル化および非グリコシル化タンパク質の混合物が真核細胞またはトランスジェニック微生物中において組換え的に調製されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 グリコシル化および非グリコシル化タンパク質の混合物が酵母細胞から得られたグリコシル化および非グリコシル化ヒトアルブミンの混合物である、請求項5に記載の方法。


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