タイトル: | 特許公報(B2)_重合性多官能メタクリルオリゴマーの製造方法 |
出願番号: | 1999320353 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 67/343,C07C 69/54,C07C 69/734,C08F 299/00,C08G 2/26,C07B 61/00 |
加藤 久豊 田口 裕務 JP 4147708 特許公報(B2) 20080704 1999320353 19991110 重合性多官能メタクリルオリゴマーの製造方法 東亞合成株式会社 000003034 加藤 久豊 田口 裕務 20080910 C07C 67/343 20060101AFI20080821BHJP C07C 69/54 20060101ALI20080821BHJP C07C 69/734 20060101ALI20080821BHJP C08F 299/00 20060101ALI20080821BHJP C08G 2/26 20060101ALI20080821BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080821BHJP JPC07C67/343C07C69/54 ZC07C69/734 ZC08F299/00C08G2/26C07B61/00 300 C07C 67/343、69/54 C08F 299/00 CASREACT(STN) 特開2001−114849(JP,A) 特開平10−338720(JP,A) Jeffrey W. STANSBURY et al.,Macromolecules,1997年,vol.30,p.4540-4543 1 2001139521 20010522 14 20060126 神野 将志 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、重合性多官能メタクリルオリゴマーの製造方法に関するものであり、本発明により得られるオリゴマーは、機械的性質や光学的性質等に優れたプラスチック成形材料、塗料又は歯科材料等として広範に使用することができるものである。【0002】【従来の技術】メタクリル樹脂の原料となるメタクリル基含有化合物について、様々な誘導体が開発されてきた。下記反応式[1]は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(以下、DABCOと略す)の存在下で、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートとパラホルムアルデヒドを反応させて、重合性多官能メタクリルオリゴマーを得る反応である。Stansburyは、下記反応式[1]のように、2官能アクリル酸エステルとホルムアルデヒドとの反応により重合性多官能メタクリルオリゴマーが得られることを見出し、反応生成物を歯科材料や架橋剤として利用することを提案している(参考文献1:J.W.Stansbury,Macromolecules, 24, 2029(1991))。【0003】【化3】【0004】上記反応式[1]により得られるオリゴマーは、汎用モノマーであるスチレンとの相溶性が低いという問題点があったが、下記反応式[2]に示されているように、Mathiasらは、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、アクリル酸エチルおよびパラホルムアルデヒドをDABCOの存在下で反応させることにより、スチレンとの相溶性が向上した重合性多官能メタクリルオリゴマーが得られることを報告している(参考文献2:L.Mathias,et al., Macromolecules, 24, 2048(1991))。【0005】【化4】【0006】【発明が解決しようとする課題】上記の参考文献2で開示される重合性多官能メタクリルオリゴマーの製造方法は、出発物質として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどの2官能アクリル酸エステルに代えて、1分子中のアクリロイルオキシ基の数が2を超える多官能アクリレートを用いた場合、不溶性のゲル状物質が生成するという問題がある。本発明の課題は、出発物質として1分子中のアクリロイルオキシ基の数が2を超える多官能アクリレートを用いた場合であっても、不溶性のゲル状物質を生成させず、汎用性溶媒に可溶な重合性多官能メタクリルオリゴマーの製造方法を提供することである。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の溶媒を用いることが有効な手段であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、炭素数が1から6のアルコール溶媒中において、塩基性触媒の存在下で、(a)下記式[1]で表わされる多官能アクリル酸エステルの1モル当たり、(b)下記式[2]で表わされる単官能アクリル酸エステルをPモル及び(c)ホルムアルデヒド又はその等価体をQモル反応させることを特徴とする重合性多官能メタクリルオリゴマーの製造方法である。但し、P及びQは以下を満たす数である。【0008】【数2】【0009】【化5】【0010】【化6】【0011】【発明の実施の形態】(イ)反応原料本発明における反応原料は、(a)1分子中におけるアクリロイルオキシ基の数が2より大きい多官能アクリル酸エステル、(b)1分子中におけるアクリロイルオキシ基の数が1である単官能アクリル酸エステル及び(c)ホルムアルデヒド又はその等価体である。【0012】(イ.1)多官能アクリル酸エステル本発明における多官能アクリル酸エステルは、下記式[1]で表わされるものである。【0013】【化7】【0014】(上記式[1]においてR1は多官能アクリル酸エステルにおけるアクリロイルオキシ基の残基であり、nは2より大きい数である。)【0015】多官能アクリル酸エステルにおける1分子中のアクリロイルオキシ基の数nは分子毎に異なることがあり、本発明における前記の数nは各分子におけるnを平均した値である。従って、本発明におけるnは整数以外の数であっても良く、好ましいnは3〜6である。nが大きすぎる多官能アクリル酸エステルは、本発明で用いるアルコール溶媒に溶解し難くなり、本発明の効果を充分に発揮できない恐れがある。多官能アクリル酸エステルの好ましい具体例として以下のものがある。(nが3であるもの):ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM305、共栄社化学株式会社製商品名:ライトアクリレートPE−3A)、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM309、共栄社化学株式会社製商品名:ライトアクリレートTMP−A)、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM350またはM360、共栄社化学株式会社製商品名:ライトアクリレートTMP−6EO−3AまたはTMP−3EO−A)、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM310またはM320)、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM315)などがある。(nが3.6であるもの):フェノールノボラック型エポキシアクリレート(商品名:昭和高分子SP4010)等がある。(nが4であるもの):ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM450、共栄社化学株式会社製商品名:ライトアクリレートPE−4A)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM408、共栄社化学株式会社製商品名:ライトアクリレートDTMP−4A)などがある。(nが6であるもの):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM400またはM401B、共栄社化学株式会社製商品名:ライトアクリレートDPE−6A)などがある。これらの多官能アクリル酸エステルは単独または混合して用いることが出来る。【0016】(イ.2)単官能アクリル酸エステル本発明における単官能アクリル酸エステルは、下記式[2]で表わされるものである。【0017】【化8】【0018】(上記式[2]においてR2は単官能アクリル酸エステルにおけるアクリロイルオキシ基の残基である。)【0019】好ましい単官能アクリル酸エステルは本発明で用いるアルコール溶媒に可溶性のものである。好ましい単官能アクリル酸エステルの具体例として以下のものがある。即ち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸ジシクロペンタジエニル、アクリル酸アダマンチル及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル等があり、これらは単独または混合して用いることが出来る。【0020】(イ.3)ホルムアルデヒド又はその等価体本発明におけるホルムアルデヒド等価体は、反応原料としてホルムアルデヒドと同じ挙動をするものであり、好ましいホルムアルデヒド等価体として、通常ホルマリンと称される水和ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドと炭素数1から6のアルコールから誘導される半アセタール及びホルムアルデヒドの重合体であるパラホルムアルデヒド等がある。【0021】(ロ)触媒本発明における触媒は塩基性触媒であり、好ましい具体例として、トリエチルアミン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、ヘキサメチレンテトラミン等の三級アミン類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタン等のホスフィン類、塩基性イオン交換樹脂(商品名:アンバーライトIRA−68等)などがある。これらのなかで、DABCOを特に好適に用いることが出来る。これらの塩基性触媒は単独あるいは併用して用いることが出来る。【0022】(ハ)溶媒本発明で使用する溶媒は、炭素数が1から6のアルコール溶媒である。本発明の製造方法は前記の特定の溶媒中で行うことを特徴としており、もしも前記の溶媒を用いないと、反応生成物中に汎用溶媒に不溶性のゲル状物質が生成してしまうという問題がある。好ましいアルコール溶媒は、炭素数が1から5のアルコール溶媒であり、沸点が60〜100℃のものである。好ましい具体的として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、i−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール等のアルキルアルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノール等のシクロアルキルアルコール;アリルアルコール等の不飽和アルキルアルコール等があり、メタノール、エタノール、i−プロピルアルコール及びt−ブチルアルコール等を特に好適に用いることが出来る。これらの溶媒は、単独または混合して用いることができる。【0023】(ニ)反応条件(ニ.1)反応モル比本発明における多官能アクリル酸エステル、単官能アクリル酸エステルおよびホルムアルデヒドの反応モル比は、1:P:Qであり、好ましい反応モル比は、1:n:2nである。但し、P及びQは以下を満たす数である。【0024】【数3】【0025】(但し、nは多官能アクリル酸エステル1分子におけるアクリロイルオキシ基の数であり、上記式[1]におけるnと同義である)である。【0026】(ニ.2)触媒の量本発明で使用する塩基性触媒の好ましい量は、反応系内の全アクリロイルオキシ基に対して1〜100モル%であり、より好ましくは、3〜30モル%である。触媒の使用量が少な過ぎる場合、反応の進行が不十分となり、また、大過剰に用いても効果向上は僅かである。【0027】(ニ.3)溶媒の使用量溶媒の使用量は、多官能アクリル酸エステルおよび単官能アクリル酸エステルの重量の和に対して、0.1から10倍量、好ましくは、0.5から5倍量である。溶媒の使用量が少ない場合、本発明の効果が充分に得られない恐れがあり、使用量が多すぎると反応の進行に時間を要するという恐れがある。【0028】(ニ.4)反応原料、触媒及び溶媒の仕込み方法反応原料、触媒及び溶媒の仕込み順序に特に制限はない。好ましい仕込み順序は、先に反応原料と溶媒を反応容器に仕込み、次に触媒を添加する方法である。【0029】(ニ.5)反応温度・反応時間本発明における好ましい反応温度は、0〜150℃の温度範囲であり、好ましい反応時間は、通常、数時間から数十時間である。【0030】(ニ.6)所望の添加剤本発明の製造方法を実施するに際して、着色剤、重合防止剤、保存安定剤等の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。【0031】(ホ)反応生成物本発明の製造方法により得られる反応生成物は重合性多官能メタクリルオリゴマーであり、分子中に複数の二重結合を有しており、加熱や紫外線、電子線、エックス線等の活性エネルギー線の照射により重合させることができる。又、本発明に用いる3種類の原料を反応させることにより、本発明により得られる重合性多官能メタクリルオリゴマーにおいて下記式[3]で表わされる構成単位が形成され、この構成単位は重合時に環状エーテルを形成する。このため、本発明により得られる重合性多官能メタクリルオリゴマーの重合物は耐熱性を有する。【0032】【化9】【0033】(上式におけるR1,R2は上記式[1][2]におけるものと同義である。)本発明の製造法により得られる好ましい重合性多官能メタクリオリゴマーの例は下記式[4]で表わされるものである。【0034】【化10】【0035】(上記式[4]においてR1は多官能アクリル酸エステルにおけるアクリロイルオキシ基の残基であり、R2は単官能アクリル酸エステルにおけるアクリロイルオキシ基の残基であり、a及びbはいずれも零又は正の数であり、cは2より大きい数であり、a、b及びcはa+b+c=nを満たす数である。但し、nは上記式[1]におけるnと同義である。)【0036】本発明の製造方法において、1分子の多官能アクリル酸エステルと反応するホルムアルデヒドの量は多官能アクリル酸エステルの分子毎にばらつきがあるため、反応生成物は通常混合物である。1分子当たりのアクリロイルオキシ基の数がnである多官能アクリル酸エステルを反応原料とする場合、上記したように、最も好ましい反応モル比(多官能アクリル酸エステル:単官能アクリル酸エステル:ホルムアルデヒド)は、1:n:2nである。もしも、多官能アクリル酸エステル1分子当たりのホルムアルデヒドの反応分子比が2nより小さいと、多官能アクリル酸エステル又は単官能アクリル酸エステルにおいて未反応のアクリロイルオキシ基が残り(上記式[4]におけるaが正の場合に相当する)、又多官能アクリル酸エステル1分子当たりの単官能アクリル酸エステルの反応分子比がnより小さいと、多官能アクリル酸エステルにおける一部のアクリロイルオキシ基はホルムアルデヒドが1分子反応した状態に止まり、水酸基が末端に生成することになる(上記式[4]におけるbが正の場合に相当する)。【0037】本発明の製造方法により得られる好ましい反応生成物は、B型粘度計で測定した40℃における粘度が10万cps以下のものであり、更に好ましくは上記式[4]におけるaとbが零である化合物である。以下にその具体例を示す。(多官能アクリル酸エステルが3官能の場合)【0038】【化11】【0039】(多官能アクリル酸エステルが4官能の場合)【0040】【化12】【0041】【化13】【0042】(多官能アクリル酸エステルが6官能の場合)【0043】【化14】【0044】本発明により得られる重合性多官能メタクリルオリゴマーは通常沸点60〜120℃の汎用性溶媒に可溶性である。汎用性溶媒の具体例として、トルエン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等がある。【0045】(ヘ)精製方法本発明により得られる重合性多官能メタクリルオリゴマーは、必要に応じて公知の方法、すなわち、溶媒抽出、ゲル浸透圧クロマトグラフィーなどにより容易に精製することができる。【0046】【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。[実施例1]フェノールノボラック型エポキシアクリレート(昭和高分子株式会社製商品名:SP4010、3.6官能、理論分子量920)153g(166mmol)、アクリル酸イソボルニル 125g(600mmol)、95%パラホルムアルデヒド 37.9g(1.20mol)、DABCO 13.5g(120mmol)、イソプロピルアルコール 280gおよびハイドロキノン 0.2gを室温で24時間、つぎに、50℃で24時間攪拌した。さらに空気気流下で105℃に加熱し、イソプロピルアルコールを留去しながら3時間攪拌した。60℃まで放冷後、酢酸エチル 700mlおよびメタノール300mlを加えて攪拌し、反応混合物を溶解した。次に、室温まで放冷後、0.5N塩酸 300mlおよび飽和食塩水 300mlで順次洗浄し、得られた有機層を濃縮することにより、黄褐色液状の重合性多官能メタクリルオリゴマー 152gを得た。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーの、ポリスチレンを標準としたゲル浸透圧クロマトグラフィーによる重量平均分子量は、1400であった。40℃での粘度は24000cps(B型粘度計)であった。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーの赤外線吸収スペクトルのチャートを図1に示した。図1における1634cm-1の吸収は、多官能アクリル酸エステルや単官能アクリル酸エステルにおけるアクリロイルオキシ基に由来する炭素−炭素二重結合によるものであり、又、1109cm-1の吸収は、ホルムアルデヒドの反応に由来するエーテル結合によるものである。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーは、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランに溶解することを確認した。得られた重合性多官能メタクリオリゴマー100部に対して光開始剤としてベンジルジメチルケタール1部を溶解し、これをテフロン鋳型(50×25×2mm)に流し込み、60W/cm高圧水銀型UVランプ、平行型、ランプ高さ30cmで60秒照射という条件で紫外線照射を行うことにより硬化物を得た。【0047】[実施例2]ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM401B)57.9g(100mmol)、アクリル酸イソボルニル125g(600mmol)、95%パラホルムアルデヒド 37.9g(1.20mol)、DABCO 13.5g(120mmol)、イソプロピルアルコール 366gおよびハイドロキノン 0.1gを空気気流下、50℃で20時間攪拌した。さらに、イソプロピルアルコールを留去しながら100℃で5.5時間攪拌した。60℃まで放冷後、酢酸エチル 500mlおよびメタノール200mlを加えて攪拌し、反応混合物を溶解した。次に、室温まで放冷後、0.5N塩酸 300mlおよび飽和食塩水 300mlで順次洗浄し、得られた有機層を濃縮することにより、黄褐色液状の重合性多官能メタクリルオリゴマー 94gを得た。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーの、ポリスチレンを標準としたゲル浸透圧クロマトグラフィーによる重量平均分子量は、1400であった。25℃での粘度は2500cps(B型粘度計)であった。図2に得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーの赤外線吸収スペクトルのチャートを示した。図2における1637cm-1の吸収は、多官能アクリル酸エステルや単官能アクリル酸エステルにおけるアクリロイルオキシ基に由来する炭素−炭素二重結合によるものであり、又、1108cm-1の吸収は、ホルムアルデヒドの反応に由来するエーテル結合によるものである。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーは、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランに溶解することを確認した。得られた重合性多官能メタクリオリゴマー100部に対してラジカル開始剤としてt−ブチルペルオキシベンゾエート3部を溶解し、これをテフロン鋳型(50×25×2mm)に流し込み、150℃、1時間加熱を行うことにより硬化物を得た。【0048】[実施例3]ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM401B)57.9g(100mmol)、アクリル酸イソブチル 76.9g(600mmol)、95%パラホルムアルデヒド 37.9g(1.20mol)、DABCO 13.5g(120mmol)、イソプロピルアルコール 270gおよびハイドロキノン 0.1gを空気気流下、50℃で20時間攪拌した。さらに、イソプロピルアルコールを留去しながら100℃で4.5時間攪拌した。60℃まで放冷後、酢酸エチル 500mlおよびメタノール200mlを加えて攪拌し、反応混合物を溶解した。次に、室温まで放冷後、0.5N塩酸 300mlおよび飽和食塩水 300mlで順次洗浄し、得られた有機層を濃縮することにより、黄褐色液状の重合性多官能メタクリルオリゴマー 86gを得た。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーの、ポリスチレンを標準としたゲル浸透圧クロマトグラフィーによる重量平均分子量は、1600であった。25℃での粘度は5300cps(B型粘度計)であった。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーは、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランに溶解することを確認した。【0049】[実施例4]ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM401B)57.9g(100mmol)、アクリル酸エチル 60.1g(600mmol)、95%パラホルムアルデヒド 37.9g(1.20mol)、DABCO 13.5g(120mmol)、イソプロピルアルコール 236gおよびハイドロキノン 0.1gを空気気流下、50℃で20時間攪拌した。さらに、イソプロピルアルコールを留去しながら100℃で4.5時間攪拌した。60℃まで放冷後、酢酸エチル 500mlおよびメタノール200mlを加えて攪拌し、反応混合物を溶解した。次に、室温まで放冷後、0.5N塩酸 300mlおよび飽和食塩水 300mlで順次洗浄し、得られた有機層を濃縮することにより、黄褐色液状の重合性多官能メタクリルオリゴマー 80gを得た。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーのポリスチレンを標準としたゲル浸透圧クロマトグラフィーによる重量平均分子量は、1700であった。25℃での粘度は16000cps(B型粘度計)であった。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーは、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランに溶解することを確認した。【0050】[実施例5]ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製商品名:アロニックスM401B)38.6g(66.7mmol)、アクリル酸エチル 120g(1.20mol)、37%ホルマリン水溶液 130g(1.60mol)、DABCO 18.0g(160mmol)、イソプロピルアルコール 311gおよびハイドロキノン 0.1gを空気気流下、室温で90時間攪拌した。さらに、イソプロピルアルコールを留去しながら105℃で6.5時間攪拌した。60℃まで放冷後、酢酸エチル 600mlおよびメタノール300mlを加えて攪拌し、反応混合物を溶解した。次に、室温まで放冷後、0.5N塩酸 400mlおよび飽和食塩水 300mlで順次洗浄し、得られた有機層を濃縮することにより、黄褐色液状の重合性多官能メタクリルオリゴマー 50gを得た。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーのポリスチレンを標準としたゲル浸透圧クロマトグラフィーによる重量平均分子量は、1400であった。得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーは、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランに溶解することを確認した。【0051】[比較例1]イソプロピルアルコールを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして、反応を行った結果、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランに溶解しない不溶性化合物が定量的に生成した。【0052】[比較例2]イソプロピルアルコールを使用しなかったこと以外は実施例4と同様にして、反応を行った結果、メチルエチルケトンまたはテトラヒドロフランに溶解しない不溶性化合物が定量的に生成した。【0053】【発明の効果】本発明の製造方法により、汎用性溶媒に不溶性の化合物を副生させないで、多官能アクリル酸エステル、ホルムアルデヒド、単官能アクリル酸エステルを出発物質とした重合性多官能メタクリルオリゴマーを容易に得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】実施例1で得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーの赤外線吸収スペクトルのチャートである。【図2】実施例2で得られた重合性多官能メタクリルオリゴマーの赤外線吸収スペクトルのチャートである。 炭素数が1から6のアルコール溶媒中において、塩基性触媒の存在下で、(a)下記式[1]で表わされる多官能アクリル酸エステルの1モル当たり、(b)下記式[2]で表わされる単官能アクリル酸エステルをPモル及び(c)ホルムアルデヒド又はその等価体をQモル反応させることを特徴とする重合性多官能メタクリルオリゴマーの製造方法。但し、P及びQは以下を満たす数である。(上式におけるnは下記式[1]におけるnと同義である。)