タイトル: | 特許公報(B2)_溶存酸素濃度測定用指示薬 |
出願番号: | 1999306159 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N31/22,G01N21/77,G01N21/78,G01N31/00,G01N33/18 |
中島 純一 溝上 慶太 浮穴 雄二 JP 3669231 特許公報(B2) 20050422 1999306159 19991028 溶存酸素濃度測定用指示薬 三浦工業株式会社 000175272 株式会社三浦研究所 391010219 中島 純一 溝上 慶太 浮穴 雄二 20050706 7 G01N31/22 G01N21/77 G01N21/78 G01N31/00 G01N33/18 JP G01N31/22 122 G01N21/77 B G01N21/78 Z G01N31/00 L G01N33/18 D 7 G01N 31/22 122 G01N 21/77 G01N 21/78 G01N 31/00 G01N 33/18 特開昭62−012853(JP,A) 特開昭52−066492(JP,A) 実開平03−017564(JP,U) 3 2001124760 20010511 12 20010920 竹中 靖典 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、試料溶液中に含まれる溶存酸素濃度を検知するための溶存酸素濃度測定用指示薬に関する。【0002】【従来の技術】周知のように、ボイラなどの鋼鉄製圧力容器では、給水される水中の溶存酸素を主原因として腐食されるので、脱酸素装置等を通して水中の溶存酸素を減少させ、圧力容器の腐食を防止している。【0003】従来、試料溶液中に含まれる溶存酸素濃度を検知するためにインジゴカルミンを発色色素とした溶存酸素濃度測定用指示薬が使われている。しかし、還元型インジゴカルミンは、空気に接触すると直ちに変色する。そのため、溶存酸素濃度測定用指示薬の発色色素としてインジゴカルミンを用いる場合には、真空封入等の空気との接触を完全に防ぐ必要があった。【0004】【発明が解決しようとする課題】この発明は、水中の酸素と接触すると変色する溶存酸素濃度測定用指示薬として、▲1▼溶存酸素濃度が0のときの色を基準にした濃淡により溶存酸素の有無を判断することができる。▲2▼熱安定性(60℃にて24時間以内に分解等を起こさない)が良い。▲3▼色素と還元剤の反応速度が早すぎず,遅すぎない,程よい反応性(数分では還元反応が終了しないが、24時間以内には還元反応が終了する)を有する。▲4▼色素還元後も水に溶解する。等の条件を満たす還元剤を必要とする。そして、これらの条件を満たす還元剤の中でも、空気中の酸素を還元せず、水に入ったときはじめて還元剤としてはたらく程度の反応速度を有する還元剤が求められている。【0005】【課題を解決するための手段】 この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、一般式(I)もしくは一般式(II)で表される色素と、ハイドロサルファイト,ロンガリット,塩化スズ,水素化ホウ素塩のうちの少なくとも1種を含む還元剤とからなることを特徴としている。【0006】【化4】【0007】【化5】【0008】請求項2に記載の発明は、前記色素は、一般式(II)で表される色素であることを特徴としている。【0009】【化6】【0010】請求項3に記載の発明は、前記色素は、インジゴカルミンもしくはインジゴトリスルホン酸塩であることを特徴としている。【0013】【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、試料溶液,たとえばボイラへの給水の溶存酸素濃度を検知するのに好適に実施することができる。この発明における溶存酸素濃度検出指示薬の主成分として、酸素により変色する色素が適用される。一般式(I)に記載の色素を使用する利点として、モル吸光係数が大きいので、少量の色素添加でのはっきりとした吸収を示し、また色素の還元状態での安定性が良いことが挙げられる。【0014】【化7】【0015】一般式(II)に記載の色素を使用する利点として、酸化反応が速く測定時間が短くて済み、測定の再現性が良いことが挙げられる。この発明における溶存酸素濃度検出指示薬中の発色色素として、メチレンブルー,インジゴカルミン等が適用されている。【0016】【化8】【0017】還元剤としては、空気中の酸素を還元することなく、水に入ったとき、はじめて還元剤としてはたらく程度の反応性を有するものが必要である。この発明における溶存酸素濃度測定用指示薬中の還元剤として、価数がIII〜IVの硫黄を含む還元剤,すなわちハイドロサルファイト,ロンガリット等が適用され、さらには塩化スズ,水素化ホウ素塩等が適用される。【0018】この発明の溶存酸素濃度測定用指示薬によれば、溶存酸素濃度が0のときの色を基準にした濃淡により溶存酸素の有無を判断することができ、また熱安定性も良い。また、色素の還元速度が速すぎて製造中に酸化するということがないことはもちろん、逆に遅すぎて指示薬として使えないということもない。すなわち、色素と還元剤の反応速度が早すぎず,遅すぎない,程よい反応性を有し、色素還元後も水に溶解するといった条件を満たすことができる。【0019】【実施例】つぎに、この発明の具体的実施例を詳細に説明する。この発明における溶存酸素濃度測定用指示薬の主成分として、まず発色色素について説明する。発色色素として、まず一般式(I)で表されるものの具体例として、メチレンブルーについて説明する。メチレンブルーは、モル吸光係数が大きいので、少量の色素添加でもはっきりとした吸収を示し、色素の還元状態での安定性が良いという利点があり、溶存酸素の存在を無色から青色に変化することで検知するようになっている。【0020】【化9】【0021】つぎに、一般式(II)で表されるものの具体例として、インジゴカルミンおよびインジゴトリスルホン酸塩について説明する。インジゴカルミンおよびインジゴトリスルホン酸塩は、酸化反応が速く測定時間が短くて済み、測定の再現性が良いという利点があり、溶存酸素の存在を無色から青色に変化することで検知するようになっている。【0022】【化10】【0023】ところで、前記メチレンブルーや前記インジゴカルミンおよび前記インジゴトリスルホン酸塩は、還元状態で空気に接すると直ちに酸化され、酸化型として市販されているので、溶存酸素濃度測定用指示薬として使うためには、一度還元剤により還元型に転換する必要がある。さらに、空気中での保存時の酸化を抑えるためにも還元剤を必要とする。【0024】そこで、前記両色素の酸化型から還元型への転換の目的と、空気中での酸化を抑える目的を満たす還元剤について説明する。前記両色素の空気中での酸化を抑える好適な還元剤を特定するために、表1に示した還元剤について、還元性テストおよび保存安定性テストを行い、総合評価を行った。ここにおいて、表1に示した各還元剤の配合量は、前記インジゴカルミン1モルに対して4モルとし、脱酸素条件下で透明バイアルに封入し、それぞれ還元性テストと保存安定性テストを行った。【0025】【表1】【0026】還元性テストとして、常温で5分,常温で24時間,60℃で4時間および60℃で24時間のテストを行った。この還元性テストの結果を表1に示す。判断基準として、「〇」は、目視で還元されていることを確認できる。「△」は、還元性が不十分である。「×」は、還元されていない。表1から明らかのように、ハイドロサルファイト,ロンガリット,グルコース,塩化スズ,シアノトリヒドロホウ酸ナトリウムおよび水素化ホウ素ナトリウムが還元性を示していることから、還元剤としての条件を満たしている。【0027】保存安定性テストとして、還元剤テストで還元された溶液が60℃で1週間保存した場合における着色の有無を調査した。この保存安定性テストの結果を表1に示す。判断基準として、「〇」は、還元状態と変化なし。「×」は、透明度が消える。「−」は、還元されなかった溶液である。表1から明らかのように、ハイドロサルファイト,ロンガリット,塩化スズ,シアノトリヒドロホウ酸ナトリウムおよび水素化ホウ素ナトリウムが還元剤として保存安定性を示していることから、還元剤の条件を満たしている。【0028】還元性テストならびに保存安定性テストの結果から、発明者らは、前記インジゴカルミンの空気中での酸化を抑えることに有効な還元剤を評価し、その結果を表1に示した(総合評価欄参照)。判断基準として、「◎」は、最適な還元剤である。「〇」は、備考欄に記載の問題点があるが使用可能である。「×」は、還元剤として不適である。【0029】したがって、還元性ならびに保存安定性のある還元剤が溶存酸素濃度測定用指示薬として必須条件であるので、前記条件を満たす還元剤として、価数がIII〜IVの硫黄を含むハイドロサルファイトおよびロンガリットが有効であり、また塩化スズも有効であり、さらには水素化ホウ素塩のシアノトリヒドロホウ酸ナトリウムおよび水素化ホウ素ナトリウムが有効である。【0030】さらに、発明者らは、前記メチレンブルーについても、前記インジゴカルミンと同様、表1に示した還元剤について、還元性テストおよび保存安定性テストを行い、総合評価を行った。その結果は、前記インジゴカルミンの総合評価とほぼ同様であることを確認した。【0031】【発明の効果】以上のように、この発明によれば、溶存酸素濃度が0のときの色を基準にした濃淡により溶存酸素の有無を判断することができ、熱安定性が良く、色素と還元剤の反応速度が早すぎず,遅すぎない,程よい反応性を有し、色素還元後も水に溶解する溶存酸素濃度測定用指示薬を提供することができる。 一般式(I)もしくは一般式(II)で表される色素と、ハイドロサルファイト,ロンガリット,塩化スズ,水素化ホウ素塩のうちの少なくとも1種を含む還元剤とからなることを特徴とする溶存酸素濃度測定用指示薬。 前記色素は、一般式(II)で表される色素であることを特徴とする請求項1に記載の溶存酸素濃度測定用指示薬。 前記色素は、インジゴカルミンもしくはインジゴトリスルホン酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の溶存酸素濃度測定用指示薬。