タイトル: | 特許公報(B2)_ローヤルゼリーの品質評価法 |
出願番号: | 1999305349 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 33/02,G01N 27/447,A23L 1/076,G01N 30/26,G01N 30/74,G01N 30/88,A61K 35/64 |
鎌倉 昌樹 福田 寿之 三谷 信 福島 信 JP 3774602 特許公報(B2) 20060224 1999305349 19991027 ローヤルゼリーの品質評価法 ポーラ化成工業株式会社 000113470 遠山 勉 100089244 松倉 秀実 100090516 川口 嘉之 100100549 鎌倉 昌樹 福田 寿之 三谷 信 福島 信 JP 1998324582 19981029 20060517 G01N 33/02 20060101AFI20060420BHJP G01N 27/447 20060101ALI20060420BHJP A23L 1/076 20060101ALN20060420BHJP G01N 30/26 20060101ALN20060420BHJP G01N 30/74 20060101ALN20060420BHJP G01N 30/88 20060101ALN20060420BHJP A61K 35/64 20060101ALN20060420BHJP JPG01N33/02G01N27/26 301AA23L1/076G01N30/26 AG01N30/74 EG01N30/88 AA61K35/64 G01N 33/02 G01N 33/68 Food Chemistry 54(1995) p.195-200 ミツバチ科学 第9巻第2号(1988)第67−71頁 8 2000199753 20000718 20 20031021 山村 祥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ローヤルゼリーの品質評価法に関する。【0002】【従来の技術】現代はストレスの時代であり現代社会に暮らすものは、大なり小なりストレスと共に生活している。その為に人々の栄養のバランスが崩れ、ひどくなると過食症や拒食症等の疾患にかかる。そして現状として、それらの患者が、年々増加傾向にあるので問題となっている。一方、そこまで至らない人たちは、栄養のバランスを考え、個人個人が食事療法を考えている人は決して少なくはない。この様に生活に於ける栄養摂取が重要になっている中、栄養環境を整える簡便な方法として健康食品で栄養のバランスをとる人が増えており、健康食品ブームとなっている。【0003】この様な、健康食品の成分として使用されている原料には、漢方生薬剤、ビタミン剤、カルシウム、ローヤルゼリーなどが用いられ、その含量は重量によってコントロールされているが、これらの多くは天然成分であるため、内容成分の構成にバラツキがある場合があり、その有効成分が正確に配合されているかどうかが問題となっている。特に、ローヤルゼリーの様に、その有効性が如実に認められ、それ自身が複数の成分からなるものは、どの物質を標準として有効性や品質を分析・評価するかを決めるのが困難である。従って、製剤や品質の安定性の面で特に、健康食品などに配合されるローヤルゼリーについて、ロット毎の有効性の度合いやローヤルゼリー自体の劣化の基準となる分析手段の開発が望まれている。【0004】一方、ローヤルゼリー中の有効成分が蛋白質であることも、該蛋白質が、還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分子量57キロダルトンであり、このものを指標として、その分解によりローヤルゼリーの鮮度やロット毎の有効性を測定・評価できるということは全く知られていなかった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような状況をふまえて為されたものであり、ローヤルゼリーの品質の評価の手段を提供することを課題とする。【0006】【課題を解決するための手段】この様な状況に鑑みて、本発明者らは鋭意研究努力を重ねた結果、ローヤルゼリー中の有効成分が蛋白質であり、該蛋白質の含有量や分解の度合いを指標とすることにより、ローヤルゼリーの品質の評価や効果の推定が可能であり、この蛋白を指標とするローヤルゼリーの品質評価法を見いだし、発明を完成させるに至った。【0007】 すなわち本発明は、以下のとおりである。(1) ローヤルゼリー中の下記の性質を有する蛋白質の分解を指標とする、ローヤルゼリーの品質評価法。 還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定される分子量:約57キロダルトン。(2) 前記蛋白質が、トーソー株式会社製TSKゲルG3000SW(7.5×30cm)をカラムとして用いて、0.3M塩化ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウム含有0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)を展開液とし、流速を0.3ml/min、カラム温度を35℃に設定し、280nmの吸光度で検出する、高速液体クロマトグラフィーにおいて、保持時間25分〜30分にピークを有する蛋白質である、(1)のローヤルゼリーの品質評価法。(3) 前記蛋白質が、配列番号1のアミノ酸番号1〜8のアミノ酸配列を含むものである(1)又は(2)のローヤルゼリーの品質評価法。(4) 品質評価が、ローヤルゼリーの鮮度である、(1)〜(3)の何れかのローヤルゼリーの品質評価法。(5) 前記鮮度が、抗疲労活性又は疲労回復活性の残存度である(4)のローヤルゼリーの品質評価法。(6) (2)のローヤルゼリーの品質評価法に於いて、前記蛋白質のピーク面積が、クロマトグラムに於ける全ピーク面積の9%以上を有するローヤルゼリーを、良品とすることを特徴とする、ローヤルゼリーの品質評価法。(7) (1)〜(6)の何れかのローヤルゼリーの品質評価法により決定される、ローヤルゼリーの保存に適した条件で保存することを特徴とするローヤルゼリーの保存方法。(8) (1)〜(6)の何れかのローヤルゼリーの品質評価法によりローヤルゼリーを評価し、良品であると評価されたローヤルゼリーを食品用組成物に配合することを特徴とするローヤルゼリーを含有する食品用組成物の製造方法。【0008】【発明の実施の形態】以下、本発明について、実施の形態を中心に説明を加える。【0009】(1)電気泳動によるローヤルゼリー中の指標蛋白質の分析本発明のローヤルゼリーの品質評価法は、ローヤルゼリー中の蛋白質分解を指標とする。本発明において蛋白質分解は、例えば、電気泳動又はクロマトグラフィー等の手段により蛋白質の構成を分析し、有効成分であると推定される蛋白質の含有量を測定することにより調べることができる。【0010】電気泳動の方法としては、前記有効蛋白質が特定できれば特段の限定は受けないが、前記有効成分であると推定される蛋白質は、下記の性質を有しており、該性質を利用して特定することができる。(a)ローヤルゼリー中の蛋白質の非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動において単一のバンドを形成する。(b)還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定される分子量:約57キロダルトン。【0011】非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動の方法としては、特に制限されないが、例えば、ポリアクリルアミドゲル(10%均一)を用い、電流20mAで電気泳動を行い、クマシーブリリアントブルーにより染色して、蛋白質を特定する。【0012】上記の条件でローヤルゼリー中のタンパク質の電気泳動を行うと、前記有効成分蛋白質は、単一のバンドを形成する。この点で、電気泳動により有効成分蛋白質の分解を調べるには、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動が好ましい。この蛋白の含有量が多くなれば、ローヤルゼリーの効果、即ち、抗疲労作用や疲労回復作用がそれに比例して大きくなる。即ち、この蛋白質が効果の指標であり、この含有量の減少が劣化の指標である。分子量マーカーとしてLMW Kit E(ファルマシアバイオテク社)を用いた場合、本発明の評価法の指標となる蛋白質の分子量は約51キロダルトンである。【0013】また、還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、Laemmliらの方法(Laemmli, U. K. et al., J. Biol. Chem. 252, 1102-1106 (1977))の方法によって行うことができる。分子量マーカーとしてLMW Kit E(ファルマシアバイオテク社)を用いた場合、本発明の評価法の指標となる蛋白質の分子量は約57キロダルトンである。【0014】(2)クロマトグラフィーによるローヤルゼリー中の劣化指標蛋白質分析【0015】上記の劣化の指標となる蛋白質は、ゲル濾過クロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィーによっても、識別・定量することが出来る。従って、この様な分析結果をもって、品質管理や効果の鑑別・評価に使用することもできる。クロマトグラフィーとしては、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。また、クロマトグラフィーは、オープンカラムを用いることもできるが、高速液体クロマトグラフィーが好ましい。【0016】例えば、ゲル濾過分析は、通常に知られている方法に従って行えば良く、好ましい例としては、例えば、トーソー株式会社製TSKゲルG3000SW(7.5×30cm)をカラムとして用いて、0.3M塩化ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウム含有0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)を展開液とし、流速を0.3ml/min、カラム温度を35℃に設定し、280nmの吸光度で検出する、高速液体クロマトグラフィーが挙げられる。この分析条件下で、上記指標蛋白質は、保持時間約25分〜30分にピークとして現れる。また、分子量マーカーとしてゲル濾過用LMW Kit及びHMW Kit(ファルマシアバイオテク社)を用いた上記と同様のゲル濾過分析により、上記指標蛋白質の分子量は、約57キロダルトンと推定された。この蛋白質は、(1)と同様の還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳分析において、分子量約57キロダルトンを示した。以下、上記のようにして電気泳動またはゲル濾過クロマトグラフィーで特定されるローヤルゼリー中の蛋白質を、「57kDa蛋白質」ということがある。57kDa蛋白質をN−グリコシダーゼFで消化した後の分子量は、48kDaであり、糖蛋白質であることがわかっている。【0017】尚、後記実施例に示すように、57kDa蛋白質のN末端アミノ酸配列を決定したところ、ローヤルゼリー中の報告されている蛋白質MRJP1(Schmitzova, J., et al., Cell. Mol. Life Sci. 54 (9), 1020-1030 (1998))及びアピシン(apisin)(Kimura, Y. et al., Biosci, Biotech. Biochem, 60(12), 2099-2102 (1996))のアミノ酸配列と高い相同性を有していた。特に、57kDa蛋白質のN末端の8アミノ酸残基は、MRJP1中のアミノ酸配列(N末端から20〜27番目のアミノ酸残基))と完全に一致している。報告されているMRJP1をコードするDNAの塩基配列及び該配列がコードするアミノ酸配列を、配列番号2及び3に示す。【0018】MRJP1は、432アミノ酸からなり、蜜蜂の下咽頭腺から分泌された後、N末端にあるシグナルペプチドが切断され、ローヤルゼリー中に存在する。成熟蛋白質は416アミノ酸からなり、その推定分子量は、46.8kDaである。しかし、ローヤルゼリー中の電気泳動で55kDaを示す蛋白質のN末端アミノ酸配列が、MRJP1のN末端から20番目のアミノ酸残基以降の配列と一致したことから、MRJP1の成熟蛋白質の分子量は55kDaであると推定されている(前記Schmitzova, J., et al.)。そして、MRJP1中には3つの糖鎖付加部位が存在すると記載されていることから、上記の分子量の差異は糖鎖付加によるものと考えられる。【0019】上記のように、57kDa蛋白質とMRJP1成熟蛋白質のN末端のアミノ酸配列は一致し、さらに、ローヤルゼリー中の蛋白質を非変性条件でポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った場合にも、57kDa蛋白質に相当するバンドは単一であることから、57kDa蛋白質とMRJP1は同一蛋白質である可能性が高い。尚、配列番号1のアミノ酸配列と配列番号3のアミノ酸番号20以降のアミノ酸配列とで、一部異なるが、一般的に塩基配列決定に比べてアミノ酸配列決定は不正確である場合があることから、これらの相違は読み誤りである可能性がある。また、アピシンは、ローヤルゼリー中に存在する蛋白質であり、ゲル濾過分子量は350kDa、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量は58kDaである(米倉ら、ローヤルゼリーの蛋白質の特徴と機能 ミツバチ科学、第19巻第1号、第15−22頁、1998年)。また、N末端アミノ酸配列分析の結果、2種類の配列がみられたことから、2種の58kDaのサブユニットが3分子づつ会合したヘテロオリゴマー蛋白質である。このように、サブユニットの分子量は57kDa蛋白質に近く、N末端アミノ酸配列も同一であることから、アピシンも57kDa蛋白質と同一である可能性が高い。【0020】一方、アピシンのサブユニットに2種類の配列がみられたこと、及び配列番号1及び配列番号3とで一部異なることから、57kDa蛋白質は、互いに類似した複数種の蛋白質の混合物である可能性も否定できない。しかし、いずれにしても、少なくとも高温で保存中に減少が観察される電気泳動におけるバンド又はゲル濾過クロマトグラフィーにおけるピークを指標とする限りにおいては、本発明を実施するに際しては、単一の蛋白質と同等のものとして扱うことができる。【0021】(3)本発明のローヤルゼリーの品質評価法及びその利用 上記のようにして57kDa蛋白質の分解を指標とすることによってローヤルゼリーの品質を評価することができる。57kDa蛋白質の分解は、例えば、上記(1)又は(2)に記載したのと同様にして、電気泳動又はクロマトグラフィーを行い、ゲル中のバンドの染色強度又はクロマトグラムにおけるピークの面積によって、定量することができる。【0022】評価の一例では、例えばHPLCゲル濾過クロマトグラフィーにおいては、57kDa蛋白質のピーク面積が、クロマトグラムに於ける全ピーク面積の9%以上を有するローヤルゼリーを良品とされる。尚、ローヤルゼリー中の蛋白質の分解は、通常、同蛋白質を定量することによって行われるが、蛋白質の量の測定は、試料間又は標準品との相対的な量であってもよい。【0023】本発明の方法によって評価され得るローヤルゼリーの品質として具体的には、ローヤルゼリーの鮮度が挙げられる。ローヤルゼリーの鮮度は、抗疲労活性及び/又は疲労回復活性の残存度に反映される。【0024】本発明のローヤルゼリーの品質評価法は、製品の品質評価の他、例えば、ローヤルゼリーの保存法の条件の設定等に利用することできる。すなわち、本発明のローヤルゼリーの品質評価法により決定される、ローヤルゼリーの保存に適した条件でローヤルゼリーを保存することにより、保存中のローヤルゼリーの品質の低下を防止又は低減することができる。また、本発明のローヤルゼリーの評価法によりローヤルゼリーを評価し、良品であると評価されたローヤルゼリーを食品用組成物に配合することによって、品質に優れたローヤルゼリーを含有する食品用組成物を製造することができる。【0025】【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明がかかる実施例にのみ限定を受けないことは、言うまでもない。【0026】<実施例1>種々のローヤルゼリー中の蛋白質を非変性条件でのポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分析した。結果を図1に示す。図1中のレーン1〜4は以下に示すとおりである。1:台湾産で、王台を設置してから48時間後に回収したもの(10mg/ml,W/V;サンプル1)、2:中国杭州産で、王台を設置してから48時間後に回収したもの(10mg/ml,W/V;サンプル2)、3:中国杭州産で、王台を設置してから72時間後に回収したもの(10mg/ml,W/V;サンプル3)、4:サンプル3を劣化させたもの(10mg/ml,W/V;サンプル4)。尚、劣化品は、40℃で1週間放置したものである。各サンプルの濃度は、50mM Tris−HCl緩衝液(pH6.8)、20%グリセリン溶液を用いて調整した。これらのサンプル10μlについて8.5×7cm、厚さ1mmの10%ポリアクリルアミドゲルを用いて、20mAで 時間、還元条件下でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。ゲルは、クマシーブリリアントブルーで染色した。尚、分子量マーカーとしてLMW Kit E(ファルマシアバイオテク社)を用いた。【0027】結果を図1に示す。これより、サンプル1〜3には分子量約51キロダルトンと推定される蛋白質が認められるが、劣化品にはこの蛋白質が殆ど認められないことがわかる。この蛋白の含有量は、当該バンドの染色強度を測定することにより定量することもできる。一方、分子量マーカーとしてLMW Kit Eを用い、Laemmliらの方法によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(10%ポリアクリルアミドゲル)を行ったところ、上記蛋白質の分子量は、約57キロダルトンと推定された。【0028】<実施例2>実施例1のサンプル1〜4をトーソー株式会社製TSKゲルG3000SWを(7.5×30cm)カラムとして用いて、0.3M塩化ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウム含有0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)を展開液とし、流速を0.3ml/min、カラム温度を35℃に、検出を280nmでの吸光度に設定したGPCにより、分析した。結果は図2〜5に示すようなクロマトグラムとして得られた。即ち、保持時間25分〜30分の位置にあるピークAが、図2に比べ図5では35%減少している様に、強制劣化によりピークAの蛋白質の量が変動していることが判明した。即ち、この蛋白質が劣化の指標物質であることがわかる。このピークAの蛋白質は、分子量マーカーとしてゲル濾過用LMW Kit及びHMW Kit(ファルマシアバイオテク社)を用いた上記と同様のゲル濾過分析により、分子量57キロダルトンと推定した。また、このピークAの画分を電気泳動した結果、実施例1の電気泳動で減少していた推定分子量51キロダルトンの蛋白質と同一の泳動度であることから、同一の蛋白質であると推定した。このピークAのピーク面積の全ピークのピーク面積に対する百分率を表1に示す。【0029】【表1】【0030】<実施例3>マウス抗疲労試験を指標として、上記4種のローヤルゼリーの生理活性試験を行った。即ち、実験動物としてddYマウス、5週齢、雌、1群10匹を用いた。ローヤルゼリーの投与方法として、ローヤルゼリーの凍結乾燥物を生換算で5%になるように粉餌(CE−2)に混ぜて2週間自由摂取させた(計算上の摂取量は5g/Kg)。【0031】抗疲労試験として、京大松元式マウス運動量測定流水糟を用いた。水糟の水流量は8L/分で流し、マウスを遊泳させ、7秒間以上息継ぎが出来なくなった時点を遊泳時間とした。群分けとして、1群はコントロール(通常食)、2群はサンプル1のローヤルゼリー投与群、3群はサンプル2のローヤルゼリー投与群、4群はサンプル3のローヤルゼリー投与群、5群はサンプル4のローヤルゼリー投与群(サンプル3を40℃で1週間放置したもの)とした。【0032】マウスの選定に際し、、マウスは泳ぎの上手いものと下手なものがおり、下手なものは遊泳を重ねても遊泳時間がほとんど伸びなかった。従って、投与前遊泳時間において40分以上泳いだものだけを選出し実験に供した。実験のスケジュールとして、まず、マウスを週1回遊泳させた。1週目に予備遊泳させ、2週目に投与前遊泳時間を測定した。4週目に投与開始後2週目の遊泳時間を測定した。結果を平均遊泳時間比(投与前の遊泳時間を1とした場合の投与後の遊泳時間の比を平均したもの。)として表2に示す。これより、指標蛋白質の含有量の多いものほど遊泳時間がのびていること、及び、上記投与量においてはこの蛋白質の含有量が9%以上になるとその効果が著しいことがわかる。従って、該蛋白質が抗疲労の生理活性と極めて良好な相関があることが確かめられた。【0033】【表2】【0034】<実施例4〜6>以下に示す処方に従って、健康食品を作成した。即ち、処方成分を10重量部の水と共に転動相造粒し、打錠して錠剤状の健康食品を得た。これらのものは何れも優れた疲労回復効果を有していた。尚、表中の数値の単位は重量部を表す。【0035】【表3】【0036】<実施例7〜9>以下に示す処方に従って、健康食品を作成した。即ち、処方成分を撹拌可溶化しドリンク製剤の健康食品を得た。これらのものは何れも優れた疲労回復効果を有していた。尚、表中の数値の単位は重量部を表す。【0037】【表4】【0038】<実施例10>凍結乾燥したローヤルゼリーを0.7重量%で10mMのトリス塩酸緩衝液pH7に溶解し、遠心分離した後、上清をUF10万(Miniplate100)で6倍に濃縮した後、前記緩衝液による希釈及び濃縮を計7回繰り返して脱塩を行い、その濾液をさらにUF3万(Miniplate30)で8倍に濃縮し、1回脱塩を行い、分子量10万〜3万の分画を得た。【0039】上記分子量10万〜3万のサンプルは、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーによって分画することで、57キロダルトンタンパク質を分離できる。陰イオン交換クロマトグラフィーとしては通常に知られている方法に従って行えばよく、このような好ましい例として、例えばトーソー株式会社製DEAE-Toyoperal 650M (2.2×20cm)をカラムとして用いて、20mM Tris−HClバッファー(pH7.0)を展開液A、20mM Tris−HClバッファー(pH7.0)、1M NaClを展開液Bとしてグラジエントにより、流速5ml/分で溶出し、280nmの吸光度で検出し、2.5ml/チューブで分画したフラクションNo.119〜127に分子量57キロダルトンのタンパク質画分を検出することができる。【0040】さらに、この画分をゲル濾過クロマトグラフィーにより分画した。ファルマシア株式会社製HiLoad16/60Superdex600(1.6cm×60cm)をカラムとして用いて、0.15M塩化ナトリウム含有50mMリン酸カリウムバッッファーpH7.0を展開液とし、流速を1.0ml/min、カラム温度を35℃に設定し、280nmの吸光度で検出することによって、上記サンプルを分画した。分画は、1フラクション2mlとして行った。その結果、フラクションNo.35〜43に分子量57キロダルトンの蛋白質を得ることが出来た。得られた蛋白質の分子量は、電気泳動により確認した。また、分子量既知のマーカーを用いたゲル濾過分析の結果、及びSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量測定の結果より、上記蛋白質は、分子量57キロダルトンのモノマー蛋白質であると確定された。【0041】上記のようにして精製した蛋白質について決定したN末端のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。このアミノ酸配列は、蜜蜂の頭のcDNAライブラリー及びローヤルゼリー中の報告されている蛋白質MRJP1(Schmitzova, J., et al., Cell. Mol. Life Sci. 54 (9), 1020-1030 (1998))及びアピシン(apisin)(Kimura, Y. et al., Biosci, Biotech. Biochem, 60(12), 2099-2102 (1996))のN末端アミノ酸配列と高い相同性を有しており、MRJP1とは、8個のアミノ酸が完全に一致していた。【0042】<実施例11>ローヤルゼリー中の57kDa蛋白質の温度安定性を調べた。ローヤルゼリー(実施例1のサンプル3)を種々の温度で1〜7日間保存した後の57kDa蛋白質の含有率を、実施例2と同様のクロマトグラフィーにより調べた。結果を表5に示す。【0043】【表5】【0044】上記結果から、57kDa蛋白質は、ローヤルゼリー中で室温でも分解されるが、4℃ではほぼ安定であることがわかった。また、57kDa蛋白質の分解は、保存日数よりも、保存温度による影響が大きいことがわかった。【0045】【発明の効果】本発明によれば、ローヤルゼリーの品質の評価の手段を提供することが出来る。【0046】【配列表】【0047】【0048】【0049】【図面の簡単な説明】【図1】 ローヤルゼリーの電気泳動を表す図である。(図面代用写真)【図2】 サンプル1のクロマトグラムを示す図である。【図3】 サンプル2のクロマトグラムを示す図である。【図4】 サンプル3のクロマトグラムを示す図である。【図5】 サンプル4のクロマトグラムを示す図である。 ローヤルゼリー中の下記の性質を有する蛋白質の分解を指標とする、ローヤルゼリーの品質評価法。 還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定される分子量:約57キロダルトン。 前記蛋白質が、トーソー株式会社製TSKゲルG3000SW(7.5×30cm)をカラムとして用いて、0.3M塩化ナトリウム、0.05%アジ化ナトリウム含有0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)を展開液とし、流速を0.3ml/min、カラム温度を35℃に設定し、280nmの吸光度で検出する、高速液体クロマトグラフィーにおいて、保持時間25分〜30分にピークを有する蛋白質である、請求項1に記載のローヤルゼリーの品質評価法。 前記蛋白質が、配列番号1のアミノ酸番号1〜8のアミノ酸配列を含むものである請求項1又は2に記載のローヤルゼリーの品質評価法。 品質評価が、ローヤルゼリーの鮮度である、請求項1〜3の何れか一項に記載のローヤルゼリーの品質評価法。 前記鮮度が、抗疲労活性又は疲労回復活性の残存度である請求項4に記載のローヤルゼリーの品質評価法。 請求項2に記載のローヤルゼリーの品質評価法に於いて、前記蛋白質のピーク面積が、クロマトグラムに於ける全ピーク面積の9%以上を有するローヤルゼリーを、良品とすることを特徴とする、ローヤルゼリーの品質評価法。 請求項1〜6の何れか一項に記載のローヤルゼリーの品質評価法により決定される、ローヤルゼリーの保存に適した条件で保存することを特徴とするローヤルゼリーの保存方法。 請求項1〜6の何れか一項に記載のローヤルゼリーの品質評価法によりローヤルゼリーを評価し、良品であると評価されたローヤルゼリーを食品用組成物に配合することを特徴とするローヤルゼリーを含有する食品用組成物の製造方法。