タイトル: | 特許公報(B2)_L−グルタミン酸生産菌及びL−グルタミン酸の製造法 |
出願番号: | 1999293925 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C12N 1/21,C12P 13/14,C12N 15/09,C12R 1/01,C12R 1/22,C12R 1/13,C12R 1/15 |
泉井 裕 守屋 美加 原 吉彦 伊藤 久生 JP 4144131 特許公報(B2) 20080627 1999293925 19991015 L−グルタミン酸生産菌及びL−グルタミン酸の製造法 味の素株式会社 000000066 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 遠山 勉 100089244 佐貫 伸一 100126505 丹羽 武司 100131392 泉井 裕 守屋 美加 原 吉彦 伊藤 久生 JP 1998297350 19981019 20080903 C12N 1/21 20060101AFI20080814BHJP C12P 13/14 20060101ALI20080814BHJP C12N 15/09 20060101ALI20080814BHJP C12R 1/01 20060101ALN20080814BHJP C12R 1/22 20060101ALN20080814BHJP C12R 1/13 20060101ALN20080814BHJP C12R 1/15 20060101ALN20080814BHJP JPC12N1/21C12P13/14 AC12N15/00 AC12N1/21C12R1:01C12N1/21C12R1:22C12N15/00 AC12R1:13C12N15/00 AC12R1:15C12P13/14 AC12R1:22C12P13/14 AC12R1:01 C12N 1/00-15/90 C12P 13/00-13/24 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) CA(STN) PubMed JSTPlus(JDreamII) 特公昭32−009393(JP,B1) 特開昭63−119688(JP,A) 国際公開第97/008294(WO,A1) 特開平07−203980(JP,A) 特開2000−189169(JP,A) 5 FERM BP-6614 FERM BP-6615 FERM BP-6616 FERM BP-6617 FERM BP-6660 2000189175 20000711 15 20040824 三原 健治 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なL−グルタミン酸生産菌及びそれを用いた発酵法によるL−グルタミン酸の製造法に関する。L−グルタミン酸は、食品、医薬品等として重要なアミノ酸である。【0002】【従来の技術】従来、L−グルタミン酸は、主としてブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属に属するいわゆるコリネ型L−グルタミン酸生産菌またはそれらの変異株を用いた発酵法により製造されている(アミノ酸発酵、学会出版センター、195〜215頁、1986年)。その他の菌株を用いた発酵法によるL−グルタミン酸の製造法としては、バチルス属、ストレプトミセス属、ペニシリウム属等の微生物を用いる方法(米国特許第3,220,929号)、シュードモナス属、アースロバクター属、セラチア属、キャンディダ属等の微生物を用いる方法(米国特許第3,563,857号)、バチルス属、シュードモナス属、セラチア属、アエロバクター・アエロゲネス(現エンテロバクター・アエロゲネス)等の微生物を用いる方法(特公昭32−9393号)、エシェリヒア・コリの変異株を用いる方法(特開平5−244970号)等が知られている。【0003】上記のような微生物の育種や製造法の改良により、L−グルタミン酸の生産性はかなり高まってはいるが、今後の需要の一層の増大に応えるためには、さらに安価かつ効率的なL−グルタミン酸の製造法の開発が求められている。【0004】上記観点から、本発明者は、L−グルタミン酸生産能を有する微生物を広く検索、研究した。その結果、エンテロバクター属、セラチア属、クレブシエラ属又はエルビニア属に属する微生物のL−グルタミン酸の生合成反応を触媒する酵素(クエン酸シンターゼ、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ)の活性を高めることによって、高いL−グルタミン酸生産能を有する微生物が得られることを見いだしている(特願平10-224909号、特願平10-297129号)。【0005】また、エシェリヒア属に属するバリン感受性株に、エシェリヒア属細菌由来のクエン酸シンターゼ(以下、「CS」ともいう)及びフォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼをコードする遺伝子を導入し、これらの酵素活性を増幅することによって、高いL−グルタミン酸生産能を有する微生物が得られることを見出している(WO 97/08294号)。【0006】一方、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属細菌において、エシェリヒア・コリ又はコリネバクテリウム・グルタミクム由来のクエン酸シンターゼをコードする遺伝子(CS遺伝子)の導入が、L−グルタミン酸生産能の増強に効果的であったことが報告されている(特公平7-121228号)。これらのコリネ型細菌を宿主とした場合は、宿主と同種のコリネバクテリウム・グルタミクム由来のCS遺伝子導入が、大腸菌由来のCS遺伝子導入に比べ若干高めの効果を示したが、顕著な差は見られなかった。【0007】上記のように、各種微生物にCS遺伝子を導入し、L−グルタミン酸生産能を高めることが知られているが、エシェリヒア属細菌をはじめとする腸内細菌群に属する微生物にコリネ型細菌由来のCS遺伝子を導入した例は知られていない。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、L−グルタミン酸生産能を有する新規なL−グルタミン酸生産菌を見出し、安価かつ効率的なL−グルタミン酸の製造法の開発につなげることにある。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者等は、腸内細菌群のL−グルタミン酸生産能の向上を目指し、遺伝子導入による育種を行った。通常、遺伝子増幅による微生物の育種においては、宿主が目的遺伝子を有している場合は、宿主固有の遺伝子又は宿主に近縁の微生物由来の遺伝子を用いた方が、異種遺伝子を導入するよりも、より良い効果が得られると考えられている。しかし本発明者等は、腸内細菌群においては同種の微生物由来のCS遺伝子に比べて、コリネ型細菌由来のCS遺伝子の導入が、L−グルタミン酸生産能の増強に非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下のとおりである。【0010】(1)コリネ型細菌由来のクエン酸シンターゼ遺伝子が導入され、L−グルタミン酸生産能を有する腸内細菌群に属する微生物。【0011】(2)コリネ型細菌がブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムである(1)の微生物。【0012】(3)腸内細菌群に属する微生物がエンテロバクター属またはクレブシエラ属に属する細菌である(1)又は(2)の微生物。【0013】(4)前記細菌がエンテロバクター・アグロメランスまたはクレブシエラ・プランティコーラに属する(3)の微生物。【0014】(5)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の微生物を液体培地に培養し、培地中にL−グルタミン酸を生成蓄積せしめ、これを該培地から採取することを特徴とするL−グルタミン酸の製造法。【0015】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。【0016】<1>本発明の微生物本発明の腸内細菌群に属する微生物は、腸内細菌群に属し、かつ、コリネ型細菌由来のCS遺伝子の導入によってL−グルタミン酸生産能が付与されるか、又はL−グルタミン酸生産能が向上するものであれば特に制限されないが、例えば、エンテロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、エルビニア属、パントエア属又はエシェリヒア属に属する細菌が挙げられる。これらの中では、エンテロバクター属またはクレブシエラ属に属する細菌が好ましい。以下に、これらの細菌の具体的な例を示すが、本発明の微生物はこれらに限定されない。【0017】本発明で使用されるエンテロバクター属に属する微生物には、以下のようなものがある。エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)エンテロバクター・アムニゲナス(Enterobacter amnigenus)エンテロバクター・アスブリア(Enterobacter asburiae)エンテロバクター・クロエッケ(Enterobacter cloacae)エンテロバクター・ディソルベンス(Enterobacter dissolvens)エンテロバクター・ジェルゴビア(Enterobacter gergoviae)エンテロバクター・ホルマエッケ(Enterobacter hormaechei)エンテロバクター・インターメディウス(Enterobacter intermedius)エンテロバクター・ニミプレスラリス(Enterobacter nimipressuralis)エンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)エンテロバクター・テイロレ(Enterobacter taylorae)【0018】さらに好ましくは、以下に示す菌株が挙げられる。エンテロバクター・アグロメランス ATCC12287エンテロバクター・アグロメランス AJ13355エンテロバクター・アグロメランス AJ13355は、平成10年2月19日に、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERM P−16644として寄託され、平成11年1月11日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−6614が付与されている。また、エンテロバクター・アグロメランス ATCC12287は、ATCCより分譲を受けることができる。【0019】エンテロバクター・アグロメランス AJ13355株は静岡県磐田市の土壌から分離された株である。AJ13355の生理的性質を記す。【0020】(1)グラム染色性:陰性(2)酸素に対する挙動:通性嫌気性(3)カタラーゼ:ポジティブ(4)オキシダーゼ:ネガティブ(5)硝酸還元能:ネガティブ(6)フォゲス−プロスカウエル試験:ポジティブ(7)メチルレッド試験:ネガティブ(8)ウレアーゼ:ネガティブ(9)インドール生成:ポジティブ(10)運動性:有り(11)TSI培地での硫化水素生成:微弱な活性あり(12)β−ガラクトシダーゼ:ポジティブ【0021】(13)糖資化性:アラビノース:ポジティブシュークロース:ポジティブラクトース:ポジティブキシロース:ポジティブソルビトール:ポジティブイノシトール:ポジティブトレハロース:ポジティブマルトース:ポジティブメリビオース:ポジティブアドニトール:ネガティブラフィノース:ポジティブサリシン:ネガティブメリビオース:ポジティブ【0022】(14)グリセロース資化性:ポジティブ(15)有機酸資化性:クエン酸:ポジティブ酒石酸:ネガティブグルコン酸:ポジティブ酢酸:ポジティブマロン酸:ネガティブ(16)アルギニンデヒドラターゼ:ネガティブ(17)オルチンデカルボキシラーゼ:ネガティブ(18)リジンデカルボキシラーゼ:ネガティブ(19)フェニルアラニンデアミナーゼ:ネガティブ(20)色素形成 黄色(21)ゼラチン液化能:ポジティブ(22)生育pH pH4生育不良、pH4.5〜7生育良好(23)生育温度 25℃生育良好、30℃生育良好、37℃生育良好、42℃生育可、45℃生育不可【0023】これらの菌学的性質からAJ13355はエンテロバクター・アグロメランスと判定された。【0024】本発明で使用されるクレブシエラ属に属する微生物には、以下のようなものがある。クレブシエラ・プランティコーラ(Klebsiella planticola)クレブシエラ・テリゲナ(K. terrigena)さらに好ましくは、クレブシエラ・プランティコーラ AJ13399が挙げられる。クレブシエラ・プランティコーラ AJ13399は、平成10年2月19日に、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERMP−16646として寄託され、平成11年1月11日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−6616が付与されている。【0025】クレブシエラ・プランティコーラ AJ13399株は、北海道札幌市の土壌から分離された株である。以下に、AJ13399の生理的性質を記す。【0026】(1)細胞の形:桿菌(2)運動性:なし(3)胞子:なし(4)LabM栄養寒天培地でのコロニー形態:円形、表面は平滑、クリーム色、なめらか、隆起状、光沢有り。(5)グルコースOFテスト:発酵能ポジティブ(6)グラム染色性:陰性(7)酸素に対する挙動:通性嫌気性(8)カタラーゼ:ポジティブ(9)オキシダーゼ:ネガティブ(10)ウレアーゼ:ポジティブ【0027】(11)チトクロームオキシダーゼ:ネガティブ(12)β−ガラクトシダーゼ:ポジティブ(13)アルギニンデヒドラターゼ:ネガティブ(14)オルニチンデカルボキシラーゼ:ネガティブ(15)リジンデカルボキシラーゼ:ポジティブ(16)トリプトファンデアミナーゼ:ネガティブ(17)フォゲス−プロスカウエル試験:ポジティブ(18)インドール生成:ポジティブ(19)TSI培地での硫化水素生成:ネガティブ(20)クエン酸資化性:ポジティブ【0028】(21)M−ハイドロキシベンゼン酸資化性:ネガティブ(22)ゼラチン液化能:ネガティブ(23)糖からの酸の生成グルコース:ポジティブマンニトール:ポジティブラムノース:ポジティブアラビノース:ポジティブシュークロース:ポジティブソルビトール:ポジティブイノシトール:ポジティブメリビオース:ポジティブアミグダリン:ポジティブアドニトール−ペプトン−水:ポジティブセロビオース−ペプトン−水:ポジティブデュルシトール−ペプトン−水:ネガティブラフィノース−ペプトン−水:ポジティブ(24)生育温度 37℃生育良好、45℃生育不可【0029】これらの菌学的性質からAJ13399は、クレブシエラ・プランティコーラと判定された。【0030】本発明で使用されるセラチア属に属する微生物には、以下のようなものがある。セラチア・リクエファシエンス(Serratia liquefacience)セラチア・エントモフィラ(Serratia entomophila)セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)セラチア・フォンティコーラ(Serratia fonticola)セラチア・グリメシ(Serratia grimesii)セラチア・プロテアマキュランス(Serratia proteamaculans)セラチア・オドリフェラ(Serratia odorifera)セラチア・プリムシカ(Serratia plymuthica)セラチア・ルビダエ(Serratia rubidaea )【0031】さらに好ましくは、以下に示す菌株が挙げられる。セラチア・リクエファシエンス ATCC14460セラチア・リクエファシエンス ATCC14460は、ATCCより分譲を受けることができる。【0032】本発明で使用されるエルビニア属に属する微生物には、以下のようなものがある。エルビニア・ヘルビコーラ(Erwinia herbicola)(現在はパントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)として分類されている)エルビニア・アナナス(E. ananas)エルビニア・カクティシダ(E. cacticida)エルビニア・クリサンテミ(E. chrysanthemi)エルビニア・マロティボラ(E. mallotivora)エルビニア・ペルシシナス(E. persicinus)エルビニア・プシディ(E. psidii)エルビニア・ケルシナ(E. quercina)エルビニア・ラポンティシ(E. rhapontici)エルビニア・ルブリファシエンス(E. rubrifaciens)エルビニア・サリシス(E. salicis)エルビニア・ウレドボラ(E. uredovora)【0033】さらに好ましくは、エルビニア・ヘルビコーラ IAM1595(パントエア・アグロメランス AJ2666)が挙げられる。エルビニア・ヘルビコーラ IAM1595は、東京大学分子細胞生物学研究所より分譲を受けることができる。尚、バージーズ・マニュアル・オブ・デターミネイティブ・バクテリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology)第9版には、エルビニア・ヘルビコーラは記載されておらず、エルビニア・ヘルビコーラとして分類されていた微生物は、パントエアアグロメランスに分類されている。このように、エルビニア属に属する微生物及びパントエア属に属する微生物は、互いに近縁である。したがって、パントエア属に属する微生物は、エルビニア属に属する微生物と同様に使用することができる。そのようなパントエア属に属する微生物として、パントエア・アグロメランス及びパントエア・ディスパーサ(Pantoea dispersa)が挙げられる。エルビニア・ヘルビコーラ IAM1595は、パントエア・アグロメランス AJ2666と命名され、平成11年2月25日に、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERMBP−6660としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている。【0034】本発明で使用されるエシェリヒア属に属する微生物には、エシェリヒア・コリ(Esherichia coli)が挙げられる。【0035】さらに好ましくは、バリン耐性を有するエシェリヒア・コリ、具体的には以下に示す菌株が挙げられる。エシェリヒア・コリB11エシェリヒア・コリK−12(ATCC10798)エシェリヒア・コリB(ATCC11303)エシェリヒア・コリW(ATCC9637)エシェリヒア・コリK−12(ATCC10798)、エシェリヒア・コリB(ATCC11303)、エシェリヒア・コリW(ATCC9637)は、ATCCより分譲を受けることができる。【0036】尚、上記したようなエンテロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、エルビニア属、パントエア属又はエシェリヒア属に属する細菌等の腸内細菌による糖の代謝はエムデン−マイヤーホフ経路を経て行われ、同経路で生成するピルビン酸は好気的条件下ではトリカルボン酸サイクルにて酸化される。L−グルタミン酸は、トリカルボン酸サイクルの中間体であるα−ケトグルタル酸より、GDHあるいはグルタミンシンセターゼ/グルタミン酸シンターゼによって生合成される。このように、これらの微生物ではL−グルタミン酸生合成経路は共通のものであり、本発明においては、上記のような微生物は単一の概念を形成する。従って、上記した種または菌株以外の腸内細菌群に属する微生物も本発明に含まれる。【0037】本発明の微生物は、上記のような腸内細菌群に属する微生物であって、コリネ型細菌由来のCS遺伝子が導入され、L−グルタミン酸生産能を有する微生物である。ここで「L−グルタミン酸生産能を有する」とは、培養したときに培地中にL−グルタミン酸を蓄積する能力を有することをいう。このL−グルタミン酸生産能は、野生株の性質として有するものであってもよく、育種によって付与または増強された性質であってもよい。また、コリネ型細菌由来のCS遺伝子が導入されることによってL−グルタミン酸生産能が付与される微生物であってもよい。腸内細菌群に属する微生物においてL−グルタミン酸生産能が付与または増強された微生物としては、例えば、L−グルタミン酸の生合成反応を触媒する酵素の活性が高められた微生物、またはL−グルタミン酸の生合成経路から分岐してL−グルタミン酸以外の化合物を生成する反応を触媒する酵素の活性が低下あるいは欠損した微生物が挙げられる。また、L−グルタミン酸の生合成反応を触媒する酵素の活性が高められ、かつ、L−グルタミン酸の生合成経路から分岐してL−グルタミン酸以外の化合物を生成する反応を触媒する酵素の活性が低下あるいは欠損した微生物も含まれる。【0038】腸内細菌群に属する微生物に導入するgltA遺伝子の供給源となるコリネ型細菌は、従来ブレビバクテリウム属に分類されていたが現在コリネバクテリウム属に統合された細菌を含み(Int. J. Syst. Bacteriol., 41, 255 (1981))、またコリネバクテリウム属と非常に近縁なブレビバクテリウム属細菌を含む。このようなコリネ型細菌の例として以下のものが挙げられる。【0039】コリネバクテリウム・アセトアシドフィラムコリネバクテリウム・アセトグルタミカムコリネバクテリウム・アルカノリティカムコリネバクテリウム・カルナエコリネバクテリウム・グルタミカムコリネバクテリウム・リリウム(コリネバクテリウム・グルタミカム)コリネバクテリウム・メラセコーラコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスコリネバクテリウム・ハーキュリスブレビバクテリウム・ディバリカタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ブレビバクテリウム・フラバム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ブレビバクテリウム・インマリオフィラムブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ブレビバクテリウム・ロゼウムブレビバクテリウム・サッカロリティカムブレビバクテリウム・チオゲニタリスブレビバクテリウム・アルバムブレビバクテリウム・セリヌムミクロバクテリウム・アンモニアフィラム具体的には、下記のような菌株を例示することができる。【0040】コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム ATCC13870コリネバクテリウム・アセトグルタミカム ATCC15806コリネバクテリウム・アルカノリティカム ATCC21511コリネバクテリウム・カルナエ ATCC15991コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13020、13032、13060コリネバクテリウム・リリウム(コリネバクテリウム・グルタミカム) ATCC15990コリネバクテリウム・メラセコーラ ATCC17965コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス AJ12340(FERM BP−1539)コリネバクテリウム・ハーキュリス ATCC13868ブレビバクテリウム・ディバリカタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ATCC14020ブレビバクテリウム・フラバム(コリネバクテリウム・グルタミカム) ATCC13826、ATCC14067ブレビバクテリウム・インマリオフィラム ATCC14068ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(コリネバクテリウム・グルタミカム) ATCC13665、ATCC13869、ブレビバクテリウム・ロゼウム ATCC13825ブレビバクテリウム・サッカロリティカム ATCC14066ブレビバクテリウム・チオゲニタリス ATCC19240ブレビバクテリウム・アルバム ATCC15111ブレビバクテリウム・セリヌム ATCC15112ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム ATCC15354【0041】コリネ型細菌由来のgltA遺伝子は、CS活性を欠失した微生物、例えばコリネ型細菌の変異株を用いてその栄養要求性を相補するDNA断片を上記コリネ型細菌の染色体DNAから単離することによって取得できる。コリネ型細菌のgltA遺伝子の塩基配列が明らかにされていることから(Microbiology, 1994, 140, 1817-1828)、その塩基配列に基づいてプライマーを合成し、染色体DNAを鋳型にしてPCR法により取得することが可能である。前記プライマーとしては、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。【0042】腸内細菌群に属する微生物にコリネ型細菌由来のCS遺伝子を導入するには、例えば、該CS遺伝子を適当なプラスミド上にクローニングし、得られた組換えプラスミドを用いて宿主となる上記出発親株を形質転換すればよい。形質転換株の細胞内のCS遺伝子(以下、「gltA遺伝子」と略する)のコピー数が上昇し、その結果CS活性が高められる。【0043】上記プラスミドとしては、腸内細菌群に属する微生物の細胞中で自律複製可能なプラスミドであれば特に制限されないが、例えばpUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218等が挙げられる。他にもファージDNAのベクターも利用できる。【0044】gltA遺伝子の導入は、gltA遺伝子を、宿主となる上記出発親株の染色体DNA上に、好ましくは多コピーで存在させることによっても達成できる。腸内細菌群に属する微生物の染色体DNA上にgltA遺伝子を多コピーで導入するには、レペッティブDNA、転移因子の端部に存在するインバーティッド・リピート等、染色体DNA上に多コピー存在する配列が利用できる。あるいは、gltA遺伝子をトランスポゾンに搭載して、これを転移させて染色体DNA上に多コピー導入することも可能である。形質転換株の細胞内のgltA遺伝子のコピー数が上昇し、その結果CS活性が高められる。【0045】形質転換は、例えば、D.A.Morrisonの方法(Methods in Enzymology 68, 326 (1979))あるいは受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M. and Higa,A.,J.Mol.Biol.,53,159(1970))等により行うことができる。【0046】導入されるgltA遺伝子は、gltA遺伝子固有のプロモーターに代えて、腸内細菌群に属する微生物の細胞に好適なプロモーター、例えばlac、trp、PL等のプロモーター等に置換してもよい。【0047】遺伝子のクローニング、DNAの切断、連結、形質転換法等の技術については、Molecular Cloning, 2nd edition, Cold Spring Harbor press (1989))に詳述されている。【0048】本発明の微生物は、コリネ型細菌由来のgltA遺伝子の導入に加えて、CS以外のL−グルタミン酸生合成を触媒する酵素の活性が高められていてもよい。このようなL−グルタミン酸生合成を触媒する酵素としては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)、グルタミンシンターゼ、グルタミン酸シンターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アコニット酸ヒドラターゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、エノラーゼ、ホスホグリセロムターゼ、ホスホグリセリン酸キナーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、フルトースビスリン酸アルドラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ等がある。さらに、L−グルタミン酸の生合成経路から分岐してL−グルタミン酸以外の化合物を生成する反応を触媒する酵素の活性が低下または欠損していてもよい。L−グルタミン酸の生合成経路から分岐してL−グルタミン酸以外の化合物を生成する反応を触媒する酵素としては、αケトグルタール酸デヒドロゲナーゼ(αKGDH)、イソクエン酸リアーゼ、リン酸アセチルトランスフェラーゼ、酢酸キナーゼ、アセトヒドロキシ酸シンターゼ、アセト乳酸シンターゼ、ギ酸アセチルトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、1−ピロリンデヒドロゲナーゼ、等がある。これらの酵素の中では、αKGDHが好ましい。【0049】PEPCをコードする遺伝子、およびGDHをコードする遺伝子は、おのおのPEPCまたはGDH活性を欠失した変異株を用いて、その栄養要求性を相補するDNA断片を上記微生物の染色体DNAから単離することによって取得できる。またエシェリヒア属細菌のこれら遺伝子、コリネバクテリウム属細菌のこれら遺伝子は既に塩基配列が明らかにされていることから(Biochemistry、第22巻、5243〜5249頁、1983年;J.Biochem.、第95巻、909〜916頁、1984年;Gene、第27巻、193〜199頁、1984年;Mol.Gen.Genet.、第218巻、330〜339頁、1989年;Molecular Microbiology、第6巻、317〜326頁、1992年)、それぞれの塩基配列に基づいてプライマーを合成し、染色体DNAを鋳型にしてPCR法により取得することが可能である。【0050】腸内細菌群に属する微生物において、上記のような酵素の活性を低下または欠損させるには、通常の変異処理法によって、あるいは遺伝子工学的手法によって、上記酵素の遺伝子に、細胞中の当該酵素の活性が低下または欠損するような変異を導入すればよい。【0051】変異処理法としては、たとえばX線や紫外線を照射する方法、またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン等の変異剤で処理する方法等がある。遺伝子に変異が導入される部位は、酵素タンパク質をコードするコード領域であってもよく、プロモーター等の発現制御領域であってもよい。【0052】また、遺伝子工学的手法には、例えば遺伝子組換え法、形質導入法、細胞融合法等を用いる方法がある。例えば、クローン化された目的遺伝子の内部に薬剤耐性遺伝子を挿入し、機能を失った遺伝子(欠失型遺伝子)を作製する。次いで、この欠失型遺伝子をエンテロバクター属またはセラチア属に属する微生物の細胞に導入し、相同組み換えを利用して染色体上の目的遺伝子を前記欠失型遺伝子に置換する(遺伝子破壊)。【0053】細胞中の目的酵素の活性が低下または欠損していること、および活性の低下の程度は、候補株の菌体抽出液または精製画分の酵素活性を測定し、野生株と比較することによって確認することができる。例えば、αKGDH活性は、Reedらの方法(L.J.Reed and B.B.Mukherjee, Methods in Enzymology 1969, 13, p.55-61)に従って酵素活性を測定することができる。【0054】また、目的とする酵素によっては、変異株の表現型によって目的変異株を選択することができる。例えば、αKGDH活性が欠損もしくは低下した変異株は、好気的培養条件ではグルコースを含む最少培地、あるいは、酢酸やL−グルタミン酸を唯一の炭素源として含む最少培地で生育できないか、または生育速度が著しく低下する。ところが、同一条件でもグルコースを含む最少培地にコハク酸またはL−リジン、L−メチオニン、及びジアミノピメリン酸を添加することによって通常の生育が可能となる。これらの現象を指標としてαKGDH活性が欠損もしくは低下した変異株の選抜が可能である。【0055】相同組換えを利用したブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのαKGDH遺伝子欠損株の作製法は、WO95/34672号に詳述されており、エンテロバクター属およびセラチア属に属する微生物にも同様の方法を適用することができる。【0056】以上のようにして得られるαKGDH活性が欠損もしくは低下した変異株の具体例としては、エンテロバクター・アグロメランス AJ13356、及びクレブシエラ・プランティコーラ AJ13410が挙げられる。エンテロバクター・アグロメランス AJ13356及びクレブシエラ・プランティコーラ AJ13410は、それぞれ平成10年2月19日に、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERM P−16645及びFERM P−16647として寄託され、平成11年1月11日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−6615及びFERM BP−6617が付与されている。腸内細菌群に属し、コリネ型細菌由来のgltA遺伝子を導入された微生物を液体培地に培養することにより、培地中にL−グルタミン酸を生成蓄積させることができる。【0057】前記培地としては、炭素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の栄養培地を用いることができる。合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。培地に使用される炭素源および窒素源は、培養する菌株の利用可能なものならばよい。【0058】炭素源としてはグルコース、グリセロール、フラクトース、シュークロース、マルトース、マンノース、ガラクトース、でんぷん加水分解物、糖蜜等の糖類が使用され、その他、酢酸、クエン酸等の有機酸等も単独あるいは他の炭素源と併用して用いられる。【0059】窒素源としてはアンモニア、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウム塩または硝酸塩等が使用される。【0060】有機微量栄養素としては、アミノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、さらにこれらのものを含有するペプトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白分解物等が使用され、生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変異株を使用する場合には要求される栄養素を補添する事が必要である。【0061】無機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が使用される。培養方法は、発酵温度20ないし42℃、pHを4ないし8に制御しつつ通気培養を行う。かくして10時間ないし4日間程度培養することにより培養液中に著量のL−グルタミン酸が蓄積される。【0062】培養終了後、培養液中に蓄積されたL−グルタミン酸を単離する方法としては公知の方法に従って行えばよい。例えば、培養液から菌体を除去した後に濃縮晶析する方法、あるいはイオン交換クロマトグラフィー等によって単離することができる。【0063】【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。【0064】<1>ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム由来のgltA遺伝子を有するプラスミドの作製ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム由来のgltA遺伝子を有するプラスミドは、以下のようにして構築した。コリネバクテリウム・グルタミカムのgltA遺伝子の塩基配列(Microbiology, 1994, 140, 1817-1828)をもとに、配列番号1及び2に示す塩基配列を有するプライマーDNAを用い、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869の染色体DNAを鋳型としてPCRを行い、約3kbのgltA遺伝子断片を得た。この断片をSmaI消化したプラスミドpHSG399(宝酒造(株)より購入)に挿入し、プラスミドpHSGCBを得た(図1)。次に、pHSGCBをHindIIIで切断し切り出された約3kbのgltA遺伝子断片をHindIII消化したプラスミドpMW218(ニッポンジーン(株)より購入)に挿入し、プラスミドpMWCBを得た(図1)。得られたプラスミドpMWCBがgltA遺伝子を発現していることは、エンテロバクター・アグロメランスAJ13355株中での酵素活性の測定によって確認した。【0065】<2>エシェリヒア・コリ由来のgltA遺伝子を有するプラスミドの作製対象として、エシェリヒア・コリ由来のgltA遺伝子を有するプラスミドを、以下のようにして構築した。gltA遺伝子を有するプラスミドpTWVC(WO97/08294号)をHindIII、EcoRI消化して得られたgltA遺伝子を有するDNA断片を精製回収後、プラスミドpMW219(ニッポンジーン(株)より購入)のHindIII、EcoRIサイトに導入することによって、プラスミドpMWCを得た(図2)。得られたプラスミドpMWCがgltA遺伝子を発現していることは、エシェリヒア・コリのgltA遺伝子欠損株の栄養要求性の相補と酵素活性の測定によって確認した。【0066】<3>エンテロバクター・アグロメランスとクレブシエラ・プランティコーラへのgltA遺伝子の導入、及びL−グルタミン酸の製造エンテロバクター・アグロメランスAJ13355株及びクレブシエラ・プランティコーラAJ13399株を、pMWCあるいはpMWCBを用いて形質転換した。得られた形質転換株、AJ13355/pMWC、AJ13355/pMWCB、AJ13399/pMWC、AJ13399/pMWCBを、それぞれグルコース40g/L、硫酸アンモニウム20g/L、硫酸マグネシウム7水塩0.5g/L、リン酸2水素カリウム2g/L、塩化ナトリウム0.5g/L、塩化カルシウム7水塩0.25g/L、硫酸第一鉄7水塩0.02g/L、硫酸マンガン4水塩0.02g/L、硫酸亜鉛2水塩0.72mg/L、硫酸銅5水塩0.64mg/L、塩化コバルト6水塩0.72mg/L、ホウ酸0.4mg/L、モリブデン酸ナトリウム2水塩1.2mg/L、酵母エキス2g/L、炭酸カルシウム30g/Lを含有する培地20mlを注入した500ml容フラスコに接種して、37℃で15時間振とう培養した。培養終了後、培養液中に蓄積したL−グルタミン酸及び残存したグルコースを測定した結果を表1に示した。【0067】【表1】【0068】エンテロバクター・アグロメランスAJ13355株及びクレブシエラ・プランティコーラAJ13399株ともに、gltA遺伝子の導入によりL−グルタミン酸生産能が認められた。L−グルタミン酸の蓄積は、エシェリヒア・コリ由来のgltA遺伝子よりも、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム由来のgltA遺伝子を導入した方が顕著であった。尚、AJ13355/pMWCBは、上記条件ではかなりの量のグルコースが消費されずに残っていたが、グルコースを全て消費するまで培養を行えば、1.5〜2g/L程度のL−グルタミン酸を蓄積することが予想される。【0069】尚、AJ13355/pMWCとAJ13355/pMWCB、及びAJ13399/pMWCとAJ13399/pMWCBは、それぞれ保持するプラスミドのコピー数に顕著な差は認められなかった。【0070】【発明の効果】本発明により、腸内細菌群に属する微生物に効率よくL−グルタミン酸生産能を付与することが可能となることから、コリネ型L−グルタミン酸生産菌で従来知られている育種手法等を用いてさらに高い生産能を付与できると考えられる。また培養条件等の検討により、安価で、効率の良いL−グルタミン酸製造法の開発につながるものと期待される。【0071】【配列表】SEQUENCE LISTING<110> 味の素株式会社(Ajinomoto Co., Inc.)<120> L−グルタミン酸生産菌及びL−グルタミン酸の製造法<130> P-6906<141> 1999-10-15<150> JP 10-297350<151> 1998-10-19<160> 2<170> PatentIn Ver. 2.0【0072】<210> 1<211> 30<212> DNA<213> Artificial Sequence<220><223> Description of Artificial Sequence: primer<400> 1gtcgacaata gccygaatct gttctggtcg 30【0073】<210> 2<211> 30<212> DNA<213> Artificial Sequence<220><223> Description of Artificial Sequence: primer<400> 2aagcttatcg acgctcccct ccccaccgtt 30【図面の簡単な説明】【図1】 gltA遺伝子を有するプラスミドpMWCBの構築を示す図。【図2】 gltA遺伝子を有するプラスミドpMWCの構築を示す図。 コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に属するコリネ型細菌由来のクエン酸シンターゼ遺伝子が導入され、L−グルタミン酸生産能を有する、クレブシエラ属、またはエンテロバクター属に属する微生物。 配列番号1および2のプライマーを用いて増幅されるコリネ型細菌由来のクエン酸シンターゼ遺伝子が導入され、L−グルタミン酸生産能を有する、クレブシエラ属、またはエンテロバクター属に属する微生物。 前記クエン酸シンターゼ遺伝子が、コリネバクテリウム・グルタミカムまたはブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムに由来する請求項1または2記載の微生物。 前記微生物がエンテロバクター・アグロメランスまたはクレブシエラ・プランティコーラに属する請求項1〜3のいずれか一項記載の微生物。 請求項1〜4のいずれか一項に記載の微生物を液体培地に培養し、培地中にL−グルタミン酸を生成蓄積せしめ、これを該培地から採取することを特徴とするL−グルタミン酸の製造法。