生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アントラキノン化合物及びこれを用いた着色樹脂成型組成物
出願番号:1999258218
年次:2010
IPC分類:C09B 1/32,C07C 225/34,C08K 5/17,D06P 3/00


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伊藤 浩光 萩原 英聡 大森 宏紀 田口 貴雄 渡辺 二郎 政岡 俊裕 熊谷 洋二郎 JP 4524010 特許公報(B2) 20100604 1999258218 19990913 アントラキノン化合物及びこれを用いた着色樹脂成型組成物 山本化成株式会社 000179904 森岡 博 100085202 伊藤 浩光 萩原 英聡 大森 宏紀 田口 貴雄 渡辺 二郎 政岡 俊裕 熊谷 洋二郎 20100811 C09B 1/32 20060101AFI20100722BHJP C07C 225/34 20060101ALI20100722BHJP C08K 5/17 20060101ALI20100722BHJP D06P 3/00 20060101ALI20100722BHJP JPC09B1/32C07C225/34C08K5/17D06P3/00 A C09B 1/00 C07C 225/00 C08K 5/00 D06P 3/00 CA/REGISTRY(STN) 特開昭62−199655(JP,A) 特公昭48−009942(JP,B1) 特開平08−073758(JP,A) 2 2001081340 20010327 15 20060628 前田 憲彦 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、新規なアントラキノン化合物、及びこれを用いた着色樹脂成型組成物に関する。詳しくは本発明のアントラキノン化合物は、溶解性、透過率特性、耐光性、耐熱性に優れた青色色素であり樹脂成型物の着色に用いられる。【0002】【従来の技術】従来、樹脂の着色に用いられる青色色素としては、C.I. Solvent Blue 11及び2等が知られているが、耐光堅牢度、加工時の耐熱安定性、溶解性が悪いという欠点があった。例えば、特開昭62−136604号、特開昭62−197459号公報に記載のアントラキノン系色素を含有させた着色樹脂成型組成物は、色素に昇華性があるため、耐光性、耐熱性に劣る。又、アントラキノン系色素として特開平8−301821号公報の5頁実施例6に記載の下記比較化合物(1)を含有する着色樹脂成型組成物は、透過率特性は良好であるが色素の昇華性がある為に耐光性、耐熱性に劣る欠点を持っていた。このような事情から透過率特性、耐光性、耐熱性に優れた着色樹脂成型組成物に用いられる青色色素が強く要望されている。【0003】【化3】【0004】又、特開平5−255599号公報には、アントラキノン系青色色素が記載されており、その中間体として本発明化合物に関連する化合物が記載されているが、ここには本発明化合物についての具体的な記載はない。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記従来の欠点がなく諸特性に優れた青色色素、及びこれを使用した着色樹脂成型組成物を提供することである。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の位置に特定の置換基を有するアントラキノン化合物を使用することにより、透過特性及び耐熱性、耐光性等の耐久性にも優れ、合成樹脂に対し高い着色能を有する青色色素が得られることを見いだした。【0007】本発明はまず、下記一般式(I)で表わされるアントラキノン化合物に関する。【0008】【化4】(式(I)中、R1及びR2は各々独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R3は炭素数4〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。)【0009】本発明はまた、一般式(I)で表されるアントラキノン化合物を含有する着色樹脂成型組成物に関する。【0010】式(I)において、R1及びR2は、各々別個に炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などが挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。又、R3は炭素数4〜8の直鎖又は分岐のアルキル基である。具体的には、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、特に炭素数5〜8の直鎖アルキル基が好ましい。R3の置換位置は式(I')で表されるものが特に好ましい。【0011】【化5】【0012】本発明の一般式(I)で示されるアントラキノン化合物は、例えば一般式(II)で表される2,3−ジヒドロ−1,4−ジヒドロキシアントラキノン(ロイコキニザリン)と一般式(III)で表されるアニリン誘導体とを縮合し次いで酸化することにより製造される。【0013】【化6】(式(III)中、R1、R2及びR3は式(I)に於けるものと同一の意味を表す。)【0014】一般式(III)で表されるアニリン誘導体の使用量は、一般式(II)で表されるロイコキニザリンの量に対し2〜10モル当量、好ましくは4〜7モル当量である。反応は通常硼酸の存在下に行う。硼酸の使用量は、一般式(II)で表されるロイコキニザリンのヒドロキシル基の量に対し0.1〜1モル当量、好ましくは0.25〜0.8モル当量である。【0015】本反応は必要に応じ有機溶媒の存在下に行うことができる。溶媒としては沸点60℃以上、好ましくは100℃以上の有機溶媒が好ましい。例えばn−ブタノールやイソアミルアルコールの様な脂肪族アルコール、或いは置換基を有する芳香族化合物、例えばジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トルエン、キシレン等がある。過剰に使用された一般式(III)のアニリン誘導体は有機溶媒としても作用する。溶媒の使用量は一般式(II)で表されるロイコキニザリンの1〜100重量倍、好ましくは5〜20重量倍である。【0016】反応温度は40〜200℃、好ましくは60〜160℃である。反応時間は2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。反応終了に向けて、昇温する事が有利であり、これは反応混合物からの残留反応水の除去を含む。【0017】後処理にあたっては、好ましくは反応後、反応混合物の冷却を行う。存在するロイコ化合物を酸化するために、反応混合物に空気を通す事が好ましい。しかし酸素以外の酸化剤を用いて酸化してもよい。その後一般に脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノール、もしくは水とこれらアルコールの混合物を用いて沈殿させた沈殿物を濾取したものを好ましくは上記アルコールで洗浄する。次いで一般に水洗して乾燥させる。又は溶媒を留去した後の残渣を再結晶或いはカラムクロマトグラフィーにより精製する。【0018】前記一般式(III)で表されるアニリン誘導体の製法としては、例えばアシル化剤を用い2,6−ジアルキルアニリンのアセチル体をアシル化し、加水分解後、還元することにより下記反応式(1)、(2)、(3)に従って製造することができる。又、前記一般式(III)で表されるアニリン誘導体の製法において、R3が窒素原子に対してパラ位である化合物を優先的に得るには、特開昭53−31645号公報に準じた方法により製造できる。【0019】【化7】(上記反応式(1)、(2)、(3)中、R1、R2及びR3は式(I)と同一の意味を表す。又R4はR3のアルキル基の炭素数から1を差し引いた炭素数のアルキル基を表す。)【0020】本発明のアントラキノン化合物の具体例を下記表1に挙げる。【0021】【表1】1) R3の置換位置は窒素原子に対してのメタ位もしくはパラ位を表す。【0022】本発明の一般式(I)で表されるアントラキノン化合物を用いた着色樹脂成型組成物について以下に説明する。本発明のアントラキノン化合物は、樹脂着色用青色色素として好適に使用される。【0023】本発明の一般式(I)で表わされるアントラキノン化合物は、種々の樹脂に配合したり、あるいは樹脂成型物の表面に塗布、製膜して着色樹脂成型組成物を得ることができる。かかる樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイト等の熱硬化性樹脂がいずれも好適に用いられる。【0024】本発明の一般式(I)で表わされるアントラキノン化合物を用いて樹脂を着色する方法としては、例えば、本発明の色素を樹脂に対して0.01〜10重量%混合し、射出成型、延伸などの方法により成型する。又、本発明の色素を単独またはバインダーと共に溶剤に溶解し、基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化するか、蒸着により基板上に成膜化してもよい。この時の基板としては、光学的に透明な樹脂であれば良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン樹脂、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂などが挙げられる。さらには色素を、樹脂中間体を含むワニスと共に混合した後、加熱処理により、樹脂化、加工する方法がある。【0025】【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。【0026】[実施例1] 前記表1の具体例化合物(1)の合成撹拌機、還流冷却器、水分分留器及び窒素導入管を備えた容器に、ロイコキニザリン3.87g、2,6−ジエチル−3−オクチルアニリン26.14g、硼酸0.62g、酢酸3.02gを装入、145℃で20時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール500mLに排出した。濾過後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:トルエン)精製して目的とする化合物(1)3.12gを得た。得られた化合物の物性及び元素分析の結果は以下の通りである。得られた化合物のトルエン溶液の吸収スペクトルを図1に、赤外線吸収スペクトルを図7に示す。【0027】【0028】[実施例2] 前記表1の具体例化合物(2)の合成撹拌機、還流冷却器、水分分留器及び窒素導入管を備えた容器に、ロイコキニザリン12.03g、2,6−ジメチル−3−オクチルアニリン71.90g、硼酸1.90g、57%ヒドロキシ酢酸水溶液16.84gを装入、145〜155℃で22時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール500mLに排出した。濾過後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:トルエン)精製して目的とする化合物(2)14.7gを得た。得られた化合物のトルエン溶液の吸収スペクトルを図2に、赤外線吸収スペクトルを図8に示す。【0029】【0030】[実施例3] 前記表1の具体例化合物(5)の合成撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、ロイコキニザリン4.11g、2,6−ジエチル−3−ヘキシルアニリン24.59g、硼酸0.65g、酢酸3.18gを装入、145〜155℃で22時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール500mLに排出した。濾過後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:トルエン)精製して目的とする化合物(5)3.56gを得た。得られた化合物のトルエン溶液の吸収スペクトルを図3に、赤外線吸収スペクトルを図9に示す。【0031】【0032】[実施例4] 前記表1の具体例化合物(12)の合成撹拌機、還流冷却器、水分分留器及び窒素導入管を備えた容器に、ロイコキニザリン3.37g、2,6−ジエチル−3−ペンチルアニリン19.10g、硼酸0.54g、57%ヒドロキシ酢酸水溶液0.65gを装入、145〜155℃で20時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール500mLに排出した。濾過後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:トルエン)精製して目的とする化合物(12)3.81gを得た。得られた化合物のトルエン溶液の吸収スペクトルを図4に、赤外線吸収スペクトルを図10に示す。【0033】【0034】[比較例1] 前記表1の具体例比較化合物(3)の合成撹拌機、還流冷却器、脱水装置及び窒素導入管を備えた容器に、ロイコキニザリン12.1g、2,6−ジエチルアニリン46.26g、硼酸1.91g、酢酸9.38gを装入、145℃で19時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール500mLに排出した。濾過後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:トルエン)精製して下記に示す比較化合物(3)2.02gを得た。【0035】【0036】【化8】【0037】[比較例2〜4] 前記表1の具体例比較化合物(2)、(1)、(4)の合成比較例1と同様にして、ロイコキニザリンと下記表に示すアニリン誘導体とを反応して目的とする化合物を得た。得られたアントラキノン化合物のトルエン溶液の極大吸収波長、グラム吸光係数を下記に示す。【0038】【0039】[実施例5] 着色樹脂成型組成物の製造ポリメチルメタクリレート0.5g、実施例1で合成した化合物(1)0.1gをクロロホルム5mLに溶解し、ガラス基板上にキャストし、乾燥した。得られた着色樹脂成型組成物の膜厚は10μmであった。このようにして得られた着色樹脂成型組成物の透過率及び吸光度を分光光度計(日立製作所製:U−3500)で測定した。また該着色樹脂成型組成物のコーティング面を180℃の条件下1時間の耐熱試験を行った。試験後、同様に吸光度を測定したところ試験前後での吸光度変化は小さく耐熱性は良好であった。着色樹脂成型組成物の特性を表2に示し、耐熱試験による吸光度変化を図5に示す。【0040】[実施例6] 着色樹脂成型組成物の製造化合物(1)の代わりに、実施例2で合成した化合物(2)を使用した以外は、実施例5とまったく同様にして、着色樹脂成型組成物を作成した。このようにして得られた着色樹脂成型組成物は良好な透過率を示すと共に、耐熱性に優れていた。着色樹脂成型組成物の特性を表2に示す。【0041】[実施例7] 着色樹脂成型組成物の製造化合物(1)の代わりに、実施例3で合成した化合物(5)を使用した以外は、実施例5とまったく同様にして、着色樹脂成型組成物を作成した。このようにして得られた着色樹脂成型組成物は良好な透過率を示すと共に、耐熱性に優れていた。着色樹脂成型組成物の特性を表2に示す。【0042】[実施例8] 着色樹脂成型組成物の製造化合物(1)の代わりに、実施例4で合成した化合物(12)を使用した以外は、実施例5とまったく同様にして、着色樹脂成型組成物を作成した。このようにして得られた着色樹脂成型組成物は良好な透過率を示すと共に、耐熱性に優れていた。着色樹脂成型組成物の特性を表2に示す。【0043】[比較例5] 着色樹脂成型組成物の製造化合物(1)の代わりに、比較例2で合成した比較化合物(2)を使用した以外は、実施例5とまったく同様にして、着色樹脂成型組成物を作成した。このようにして得られた着色樹脂成型組成物の透過率及び吸光度を分光光度計(日立製作所製:U−3500)で測定した。また該着色樹脂成型組成物のコーティング面を180℃の条件下1時間の耐熱試験を行った。試験後、同様に吸光度を測定したところ試験前後での吸光度変化は大きく昇華性があるために耐熱性は不良であった。着色樹脂成型組成物の特性を表2に示し、耐熱試験による吸光度変化を図6に示す。【0044】[比較例6〜8] 着色樹脂成型組成物の製造化合物(1)の代わりに、比較例1、3及び4で合成した比較化合物(3)、(1)、(4)を使用した以外は、実施例5とまったく同様にして、着色樹脂成型組成物を作成した。このようにして得られた着色樹脂成型組成物の特性を表2に示す。【0045】【表2】【0046】1) △Eab実施例及び比較例で作製した着色樹脂成型組成物の耐熱試験(180℃で1時間)前後での最大吸収波長での吸光度変化において、初期値(100%)に対する吸光度の低減率を表す。【0047】2) 耐熱性着色した樹脂成型組成物の大気中180℃で1時間加熱後の吸光度の変化量が10%以下 ◎ 10%超15%以下 ○15%超30%以下 △ 30%超 ×を表す。実用上15%以下が望ましく、15%を越えると昇華性がある為に耐熱性、耐光性に劣る。【0048】【発明の効果】本発明のアントラキノン化合物は有機溶剤に対する溶解性及び樹脂に対する相溶性に優れ、又この化合物は、透過率特性、耐光性、耐熱性等の耐久性に優れた着色樹脂成型組成物用途に対し好適に用いることができる。【図面の簡単な説明】【図1】 実施例1で合成した化合物(1)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。【図2】 実施例2で合成した化合物(2)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。【図3】 実施例3で合成した化合物(5)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。【図4】 実施例4で合成した化合物(12)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。【図5】 実施例5で作製した化合物(1)を含有してなる着色樹脂成型組成物の吸収スペクトルである。実線は耐熱試験(180℃1時間の条件下)前の初期吸収スペクトルを、波線は耐熱試験後の吸収スペクトルを示す。【図6】 比較例5で作製した比較化合物(2)を含有してなる着色樹脂成型組成物の吸光度スペクトルである。実線は耐熱試験(180℃1時間の条件下)前の初期吸収スペクトルを、波線は耐熱試験後の吸収スペクトルを示す。【図7】 実施例1で合成した化合物(1)の赤外線吸収スペクトルである。【図8】 実施例2で合成した化合物(2)の赤外線吸収スペクトルである。【図9】 実施例3で合成した化合物(5)の赤外線吸収スペクトルである。【図10】 実施例4で合成した化合物(12)の赤外線吸収スペクトルである。 下記一般式(I') で表わされるアントラキノン化合物。(式(I')中、R1及びR2は各々独立に炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R3は炭素数4〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。) 請求項1に記載のアントラキノン化合物を含有することを特徴とする着色樹脂成型組成物。


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